(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2には、呼び出しシステムに用いることができる無線通信システムが記載されている。この無線通信システムは、いわゆるアドホック無線通信システムであり、複数の送受信局(無線端末)が、互いに通信経路に関する情報を送受信することで通信経路を構築する。送受信局を呼び出し対象者に配布し、呼び出しシステムを構築した場合、呼び出し対象者は自由に移動することができる。しかし、送受信局が頻繁に移動する場合や、送受信局の数が多い場合には、各送受信局の処理負担が大きくなり通信経路を迅速に構築することが困難となる。これによって、送受信局間の通信が不確実となるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、無線端末に対する通信を簡単な処理で確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の中継機によって構築される無線通信経路にパケットを送信する送信部と、 前記無線通信経路からパケットを受信する受信部と、前記複数の中継機のいずれかに無線接続される端末について、その端末の保持者の行動傾向情報を取得する情報取得部と、前記複数の中継機のうち、前記端末に対する呼び出しパケットの宛先とする中継機を、前記行動傾向情報に基づいて認識する宛先認識部と、を備え、前記送信部は、前記宛先認識部によって認識された中継機を宛先として前記呼び出しパケットを送信し、前記宛先認識部は、前記端末から送信された応答パケットが、前記呼び出しパケットの宛先とした中継機から、前記受信部によって受信されなかった無応答時には、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を、前記行動傾向情報に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識
し、前記宛先認識部は、さらに、前記複数の中継機について、前記呼び出しパケットの宛先として認識する際の順序を定めた中継機順序パターンを複数通り記憶する中継機順序記憶部と、複数通りの前記中継機順序パターンのうちいずれかを、前記行動傾向情報に応じて取得する中継機順序パターン取得部と、を備え、前記無応答時には、前記行動傾向情報に応じて取得された前記中継機順序パターンに基づいて、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を前記呼び出しパケットの宛先として認識する、ことを特徴とする。
【0008】
また、望ましくは、前記宛先認識部は、前記行動傾向情報と、前記端末が存在する可能性のある場所を表すロケーション情報とを対応付けたマップを記憶するマップ記憶部を備え、前記中継機順序記憶部は、前記ロケーション情報に対し、前記中継機順序パターンを対応付けた順序テーブルを記憶し、前記中継機順序パターン取得部は、前記行動傾向情報に応じて前記マップを参照して、前記行動傾向情報に対応付けられた前記ロケーション情報を求め、さらに、前記順序テーブルを参照して、複数通りの前記中継機順序パターンのうちいずれかを取得する。
【0009】
また、本発
明は、
パケット通信装置において、複数の中継機によって構築される無線通信経路にパケットを送信する送信部と、前記無線通信経路からパケットを受信する受信部と、前記複数の中継機のいずれかに無線接続される端末について、その端末の保持者の行動傾向情報を取得する情報取得部と、前記複数の中継機のうち、前記端末に対する呼び出しパケットの宛先とする中継機を、前記行動傾向情報に基づいて認識する宛先認識部と、を備え、前記送信部は、前記宛先認識部によって認識された中継機を宛先として前記呼び出しパケットを送信し、前記宛先認識部は、 前記端末から送信された応答パケットが、前記呼び出しパケットの宛先とした中継機から、前記受信部によって受信されなかった無応答時には、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を、前記行動傾向情報に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識し、前記パケット通信装置は、さらに、前記端末と、前記端末が存在する可能性のある場所を表すロケーション情報とを対応付けた端末/ロケーションテーブルであって、前記端末と前記ロケーション情報とを前記行動傾向情報に基づいて対応付けた端末/ロケーションテーブルを記憶する端末/ロケーションテーブル記憶部を備え、前記宛先認識部は、各前記ロケーション情報についての対応端末数に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識する際の順序を示す中継機順序パターンを決定する中継機順序パターン決定部を備え、前記無応答時には、前記中継機順序パターンに基づいて、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を前記呼び出しパケットの宛先として認識する。
【0010】
また、本発明に係るパケット通信装置は、望ましくは、前記応答パケットに基づいて、前記端末が無線接続される中継機を特定する特定部を備える。
【0011】
また、本発明に係るパケット通信装置は、望ましくは、前記複数の中継機と、を備える。
【0012】
また、本発明は、複数の中継機によって構築される無線通信経路にパケットを送信する送信部と、前記無線通信経路からパケットを受信する受信部と、を備えるパケット通信装置に読み込まれる通信プログラムであって、前記複数の中継機のいずれかに無線接続される端末について、その端末の保持者の行動傾向情報を取得する情報取得処理と、前記複数の中継機のうち、前記端末に対する呼び出しパケットの宛先とする中継機を、前記行動傾向情報に基づいて認識する宛先認識処理とを、前記パケット通信装置に実行させ、前記宛先認識処理によって認識された中継機を宛先として前記呼び出しパケットを送信する処理を前記送信部に実行させ、前記宛先認識処理は、前記端末から送信された応答パケットが、前記呼び出しパケットの宛先とした中継機から、前記受信部によって受信されなかった
無応答時に、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を、前記行動傾向情報に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識する
無応答時処理を含
み、前記パケット通信装置は、さらに、前記複数の中継機について、前記呼び出しパケットの宛先として認識する際の順序を定めた中継機順序パターンを複数通り記憶する中継機順序記憶部と、複数通りの前記中継機順序パターンのうちいずれかを、前記行動傾向情報に応じて取得する中継機順序パターン取得部と、を備え、前記無応答時処理は、 前記行動傾向情報に応じて取得された前記中継機順序パターンに基づいて、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を前記呼び出しパケットの宛先として認識する処理を含むことを特徴とする。
また、本発明は、複数の中継機によって構築される無線通信経路にパケットを送信する送信部と、前記無線通信経路からパケットを受信する受信部と、を備えるパケット通信装置に読み込まれる通信プログラムであって、前記複数の中継機のいずれかに無線接続される端末について、その端末の保持者の行動傾向情報を取得する情報取得処理と、前記複数の中継機のうち、前記端末に対する呼び出しパケットの宛先とする中継機を、前記行動傾向情報に基づいて認識する宛先認識処理とを、前記パケット通信装置に実行させ、前記宛先認識処理によって認識された中継機を宛先として前記呼び出しパケットを送信する処理を前記送信部に実行させ、前記宛先認識処理は、前記端末から送信された応答パケットが、前記呼び出しパケットの宛先とした中継機から、前記受信部によって受信されなかった無応答時に、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を、前記行動傾向情報に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識する無応答時処理を含み、前記パケット通信装置は、さらに、前記端末と、前記端末が存在する可能性のある場所を表すロケーション情報とを対応付けた端末/ロケーションテーブルであって、前記端末と前記ロケーション情報とを前記行動傾向情報に基づいて対応付けた端末/ロケーションテーブルを記憶する端末/ロケーションテーブル記憶部と、各前記ロケーション情報についての対応端末数に基づいて、前記呼び出しパケットの宛先として認識する際の順序を示す中継機順序パターンを決定する中継機順序パターン決定部と、を備え、前記無応答時処理は、前記中継機順序パターンに基づいて、先に前記呼び出しパケットを送信した中継機とは別の中継機を前記呼び出しパケットの宛先として認識する処理を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明
に係る関連技術は、パケット通信装置との間で通信を行い、前記無線通信経路としてアドホック通信経路を構築し、前記複数の中継機のそれぞれとして用いられる無線通信ノードであって、パケットを送信するパケット送信部と、パケットを受信するパケット受信部と、前記無線通信ノードに無線接続される前記端末との間で無線通信を行う端末通信部と、を備え、前記無線通信ノードと共に前記アドホック通信経路を構築する他のノードから、前記パケット受信部が、前記無線通信ノードを宛先とする呼び出しパケットを受信したときは、前記端末通信部は、前記端末に対する局所的呼び出しパケットを送信し、前記局所的呼び出しパケットに対して前記端末から送信された局所的応答パケットが、前記端末通信部によって受信されたときは、前記パケット送信部は、前記呼び出しパケットに対する前記応答パケットを前記他のノードに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線端末に対する通信を簡単な処理で確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)無線端末呼び出しシステムの構成
図1には、本発明の実施形態に係る無線端末呼び出しシステムの構成が示されている。無線端末呼び出しシステムは、ホストコンピュータ10、親機P0、中継機R1〜R5、および無線端末Tを備える。ホストコンピュータ10および親機P0は有線接続され、それぞれ、互いにパケットを送受信するための有線送信機および有線受信機を備える。親機P0および中継機R1〜R5のそれぞれは、パケットを送信する無線送信機、およびパケットを受信する無線受信機を備える。親機P0および中継機R1〜R5は、アドホック無線通信システムを構成する。また、各中継機は、無線端末Tと無線通信を行うための無線通信機を備え、各無線端末Tは、中継機R1〜R5のいずれかを介して親機P0に通信接続される。
【0017】
図1には、このシステムが病院の建造物に設置された例が示されている。ホストコンピュータ10および親機P0は受付窓口Aに設置されている。また、中継機R1およびR2は、それぞれ、内科待合室INTおよび外科待合室SRGに設置されている。そして、中継機R3は薬剤部窓口PHMに、中継機R4は玄関ENTに、中継機R5は駐車場PRKにそれぞれ設置されている。各無線端末Tは、例えば、受付窓口Aにおいて患者に配布される。
【0018】
(2)通信経路の構築
親機P0および中継機R1〜R5は、互いに予備的な無線通信を行い通信経路を構築する。ここで、通信経路が構築されている状態とは、親機P0および中継機R1〜R5のそれぞれを通信ノードとし、通信ノード間を接続する通信ブランチに関する経路情報が、親機P0および中継機R1〜R5において認識されている状態をいう。また、通信ブランチは、一端の通信ノードが他端の通信ノード以外から受信したパケットを排除するという通信ノード間の関係が、概念的に線で描かれたものである。通信経路が構築された後、親機P0および中継機R1〜R5は、経路情報に従い通信経路に沿ってパケットの無線伝送を行う。
【0019】
図1に示される例では、親機P0と中継機R1との間に通信ブランチ01が形成されている。また、中継機R1と中継機R2との間に通信ブランチ12が形成され、親機P0と中継機R3との間に通信ブランチ03が形成されている。さらに、中継機R3と中継機R4との間に通信ブランチ34が形成され、中継機R4と中継機R5との間に通信ブランチ45が形成されている。無線端末呼び出しシステムにおいては、各通信ブランチで示される通信経路に従って、パケットの送受信が行われる。
【0020】
通信経路を構築する処理は、例えば、ホストコンピュータ10が親機P0に対して、通信経路を構築するための制御を実行し、親機P0および中継機R1〜R5に予備的な無線通信を実行させることで行われる。この場合、例えば、親機P0と第1番目の中継機との間で通信経路構築用の制御パケットが送受信され、さらに、第1番目の中継機と第2番目の中継機との間で制御パケットが送受信される。そして、第2番目の中継機と第3番目の中継機との間で制御パケットが送受信され、・・・・・第k番目の中継機と第k+1番目中継機との間で制御パケットが送受信される。・・・・・というように、親機P0から複数の中継機へと連鎖的に通信経路構築用の制御パケットの送受信が行われる。親機P0、および各中継機は、制御パケットに含まれる情報に従い、通信経路を構築する。
【0021】
複数の無線端末Tのそれぞれは、中継機R1〜R5のいずれかに無線接続される。通信経路が構築された後、ホストコンピュータ10、親機P0および中継機R1〜R5は、構築された通信経路を介して、無線端末Tにパケットを送信する。
【0022】
(3)呼び出し処理
呼び出し処理は、呼び出すべき患者が所有する無線端末Tに呼び出しパケットを送信する処理である。ここで、呼び出しパケットは、無線端末Tに呼び出し動作を実行させる制御情報を含む。呼び出し動作は、例えば、アラームの鳴動、電球、発光ダイオード等の発光体の発光、ディスプレイへのメッセージの表示等、患者の注意を喚起する動作である。呼び出しパケットを受信した無線端末Tは、呼び出しパケットに含まれる制御情報に従って呼び出し動作を実行する。患者は、自らが保有する無線端末Tが呼び出し動作を実行することで、自らが呼び出されたことを知る。
【0023】
図1に示されるように、内科待合室INT、外科待合室SRG、薬剤部窓口PHM、玄関ENT、および駐車場PRKには、それぞれ1つの中継機が設置されている。そして、複数の無線端末Tが、内科待合室INT、外科待合室SRG、薬剤部窓口PHM、玄関ENT、および駐車場PRKに散在している。各無線端末Tは、保有者である患者と共に移動する。
【0024】
各無線端末Tは、中継機R1〜R5のうち、通信状態が良好である1つを選択し、その選択した中継機との間で無線通信を行う。そこで、呼び出し処理では、ホストコンピュータ10が、複数の中継機のうちいずれか1つの中継機を宛先として呼び出しパケットを送信し、その中継機を介して呼び出し対象の無線端末Tに呼び出しパケットを送信する。呼び出しパケットを受信した無線端末Tは、呼び出しパケットが送信された中継機を介して、ホストコンピュータ10に応答パケットを送信する。これによって、ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tで呼び出し動作が実行されたことを認識する。
【0025】
しかし、呼び出し対象の無線端末Tに対する中継機は、呼び出し処理を実行する前においては、ホストコンピュータ10に認識されていない。また、呼び出し対象の無線端末Tは、患者と共に移動することがあるため、呼び出し対象の無線端末Tに対する中継機は、その無線端末Tの移動と共に切り替わる。この場合、呼び出し対象の無線端末Tと過去に無線通信を行っていた中継機に呼び出しパケットを送信したとしても、無線端末Tは、呼び出しパケットを受信し、呼び出し動作を実行することはない。
【0026】
そこで、呼び出し処理においては、予め定められた順序に従い、中継機R1〜R5のいずれか1つに呼び出しパケットを送信する。その後、呼び出し対象の無線端末Tから応答パケットが送信されず、ホストコンピュータ10で応答パケット受信されなかった場合には、予め定められた順序に従い、別の1つの中継機に呼び出しパケットを送信する。その後、呼び出し対象の無線端末Tから応答パケットが送信され、ホストコンピュータ10で応答パケット受信された場合に、ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tで呼び出し動作が実行されたことを認識する。また、ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tが無線通信を行う中継機を特定すると共に、その無線端末Tの保有者の居場所を認識する。
【0027】
例えば、予め定められた順序が、中継機R2、R1、R3、R4、R5の順であり、呼び出し対象の患者が薬剤部窓口PHMにいるものとする。この場合、呼び出し対象の無線端末Tは薬剤部窓口PHMにある。ホストコンピュータ10は、予め定められた順序に従い、初めに中継機R2を宛先として呼び出しパケットを送信する。このとき、呼び出し対象の無線端末Tは中継機R2と無線通信を行わず、中継機R3と無線通信を行う状態にある。そのため、無線端末Tからホストコンピュータ10に応答パケットは送信されない。次に、予め定められた順序に従い、ホストコンピュータ10は、中継機R1を宛先として呼び出しパケットを送信する。呼び出し対象の無線端末Tは中継機R1と無線通信を行っていないため、この場合も無線端末Tからホストコンピュータ10に応答パケットは送信されない。次に、予め定められた順序に従い、ホストコンピュータ10は、中継機R3を宛先として呼び出しパケットを送信する。呼び出し対象の無線端末Tは中継機R3と無線通信を行っており、中継機R3から呼び出しパケットを受信する。そして、受信した呼び出しパケットに従い呼び出し動作を実行すると共に、中継機R3を介してホストコンピュータ10に応答パケットを送信する。これによって、ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tで呼び出し動作が実行されたことを認識すると共に、無線端末Tを保有する患者が、薬剤部窓口PHMにいることを認識する。
【0028】
呼び出しパケットの宛先とする中継機の順序は、例えば、後述のように無線端末Tに対応する行動傾向情報に基づいて定められる。また、無線通信を行う無線端末Tの数が多い順序であってもよい。
【0029】
以下では、呼び出し処理について具体的に説明する。初めに、呼び出し処理を実行するために無線端末Tおよびホストコンピュータ10が実行する準備処理について説明し、その後、無線端末呼び出しシステムにおいて実行される詳細な処理について説明する。
【0030】
(3−1)無線端末Tの準備処理
無線端末Tには、端末ID(Identification data)が記憶される。端末IDは、無線端末呼び出しシステムにおいて無線端末Tを特定するための情報である。端末IDは、無線端末Tの製造時に、無線端末Tに記憶されるマックアドレスのような情報であってもよいし、ユーザにおいて自由に記憶させることができる情報であってもよい。無線端末Tに端末IDを記憶させる場合には、例えば、受付窓口Aにおいて無線端末Tを患者に受け渡す際に、端末IDをその無線端末Tに割り当てて記憶させる。端末IDの無線端末Tへの記憶は、例えば、ホストコンピュータ10に無線端末Tが接続された状態で、ユーザの操作に応じてホストコンピュータ10が実行する処理によって行われる。
【0031】
(3−2)ホストコンピュータ10の準備処理
呼び出し処理を実行するためにホストコンピュータ10が予め実行する準備処理について説明する。ホストコンピュータ10は、ユーザの操作に基づいて、無線端末Tの端末IDと、その無線端末Tを保有者する患者の行動傾向情報を取得する。行動傾向情報は、患者の行動傾向を表す情報であり、例えば、診察科名、病名、患者が待機する可能性の高い場所等に関する情報等を含む。無線端末Tの端末IDおよび行動傾向情報の取得は、例えば、受付窓口Aにおいて無線端末Tを患者に受け渡す際に行われる。この場合、ホストコンピュータ10は、患者に受け渡す無線端末Tの端末ID、および、患者が行った受付手続の内容に応じた行動傾向情報を、ユーザの操作に応じて読み込む。
【0032】
ホストコンピュータ10は、患者の待機場所となる可能性の高い場所を示す情報として、行動傾向情報に対応するロケーション符号を求める。この処理は、行動傾向情報/ロケーションマップ12を参照することで行われる。行動傾向情報/ロケーションマップ12には、行動傾向情報と、ロケーション符号との対応関係が予め記憶されている。このテーブルにおけるロケーション符号は、患者の待機場所、すなわち、無線端末Tの位置を示す情報として予め定義されている。本実施形態においては、患者が待機する場所に付された符号と同様の符号を用い、ロケーション符号として、「INT」、「SRG」、「PHM」、「ENT」および「PRK」が定義されている。これらのロケーション符号は、それぞれ、内科待合室INT、外科待合室SRG、薬剤部窓口PHM、玄関ENTおよび駐車場PRKを示す。
【0033】
ホストコンピュータ10は、端末IDおよび行動傾向情報を取得した後、行動傾向情報/ロケーションマップ12を参照し、行動傾向情報に対応するロケーション符号を求める。そして、端末IDと、ロケーション符号とを対応付けて、端末ID/ロケーションテーブル14に記憶する。
【0034】
図2には、端末ID/ロケーションテーブル14の例が概念的に示されている。この例では、端末IDが二桁の符号で表され、「GT」、「IU」、「WS」、「MJ」、「QL」、「PG」、「JR」・・・・・で表される端末IDに、それぞれ、ロケーション符号として、「SRG」、「PRK」、「INT」、「INT」、「INT」、「ENT」、「SRG」、・・・・・が対応付けられている。端末ID/ロケーションテーブル14は、端末IDと、その端末IDを有する無線端末Tが存在する可能性が高い場所を示すロケーション符号とを対応づけたテーブルとしての意義を有する。
【0035】
また、ホストコンピュータ10は、中継機アドレス/ロケーションテーブル16を有し、このテーブルの内容を記憶する処理を実行する。中継機アドレス/ロケーションテーブル16は、中継機のアドレスと、中継機の設置場所を示すロケーション符号とを対応付けたテーブルである。
【0036】
ホストコンピュータ10は各中継機と通信を行い、各中継機からロケーション符号を取得する。この通信は、既に構築されている通信経路を用いて行われる。中継機のロケーション符号は、ユーザによって中継機に予め記憶させておいてもよい。ホストコンピュータ10は、各中継機について、アドレスとロケーション符号とを対応付けて、中継機アドレス/ロケーションテーブル16に記憶する。
【0037】
このように、ホストコンピュータ10が各中継機との通信によって中継機アドレス/ロケーションテーブル16の内容を記憶する代わりに、ユーザによる操作によって、ホストコンピュータ10が、中継機アドレス/ロケーションテーブル16の内容を記憶することとしてもよい。
【0038】
図3には、中継機アドレス/ロケーションテーブル16の例が概念的に示されている。この例では、中継機のアドレスが二桁の符号で表されている。アドレス「R1」、「R2」、「R3」、「R4」、および「R5」は、それぞれ、中継機R1、R2、R3、R4およびR5に割り当てられたアドレスである。アドレス「R1」、「R2」、「R3」、「R4」、および「R5」には、それぞれ、ロケーション符号「INT」、「SRG」、「PHM」、「ENT」、および「PRK」が対応付けられている。
【0039】
ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tが存在する可能性の高い場所を示すロケーション符号に対し、送信位置順序パターンおよび中継機順序パターンを対応付けた順序テーブル18を有する。この順序テーブル18は、呼び出し処理において、内科待合室INT、外科待合室SRG、薬剤部窓口PHM、玄関ENTおよび駐車場PRKに呼び出しパケットを送信する順序、ならびに、中継機R1〜R5に呼び出しパケットを送信する順序を示す。送信位置順序パターンは、パケットを送信する順序をロケーション符号の順序によって表した情報である。また、中継機順序パターンは、パケットを送信する順序を中継機のアドレスによって表した情報である。
図4には、順序テーブル18の例が示されている。呼び出し対象の無線端末Tが存在する可能性の高い場所を示すロケーション符号「INT」に対しては、送信位置順序パターンとして、「INT→SRG→PHM→ENT→PRK」が対応付けられている。さらに、このロケーション符号「INT」に対しては、中継機順序パターンとして、「R1→R2→R3→R4→R5」が対応付けられている。これらは、呼び出し対象の無線端末Tが、内科待合室INTに存在する可能性が高い場合に、内科待合室INT、外科待合室SRG、薬剤部窓口PHM、玄関ENT、駐車場PRKの順に呼び出しパケットを送信することを示す。
【0040】
同様に、ロケーション符号「SRG」に対しては、送信順序パターンとして、「SRG→INT→PHM→ENT→PRK」が対応付けられている。また、中継機順序パターンとして、「R2→R1→R3→R4→R5」が対応付けられている。
【0041】
ロケーション符号「PHM」に対しては、送信順序パターンとして、「PHM→ENT→PRK→INT→SRG」が対応付けられている。また、中継機順序パターンとして、「R3→R4→R5→R1→R2」が対応付けられている。
【0042】
ロケーション符号「ENT」に対しては、送信順序パターンとして、「ENT→PRK→PHM→INT→SRG」が対応付けられている。また、中継機順序パターンとして、「R4→R5→R3→R1→R2」が対応付けられている。
【0043】
ロケーション符号「PRK」に対しては、送信順序パターンとして、「PRK→ENT→PHM→INT→SRG」が対応付けられている。また、中継機順序パターンとして、「R5→R4→R3→R1→R2」が対応付けられている。
【0044】
これらの例では、呼び出し対象の無線端末Tが存在する可能性の高い場所を示すロケーション符号、すなわち、最も左の欄に記載されているロケーション符号で示される場所に設置されている中継機に対しては、送信順序が最先とされている。そして、最も左の欄に記載されているロケーション符号で示される場所から近い順序で、その他の場所に設置されている中継機に対する送信順序が決定されている。
【0045】
なお、ロケーション符号と送信位置順序パターンとの対応付けについての情報は、呼び出し処理が行われる前にユーザの操作等によって予め順序テーブル18に記憶される。また、ロケーション符号と中継機順序パターンとの対応付けについての情報は、中継機アドレス/ロケーションテーブル16に基づいて送信位置順序パターンが中継機順序パターンに変換されることで求められる。すなわち、上述の処理によって中継機アドレス/ロケーションテーブル16にその内容が記憶されると共に、中継機順序パターンが求められ、順序テーブル18に記憶される。
【0046】
(3−3)呼び出し処理の実行
(3−3−1)ホストコンピュータ10が実行する処理
図5には、呼び出し処理において、ホストコンピュータ10が実行する処理のフローチャートが示されている。このフローチャートに基づく処理は、ホストコンピュータ10に読み込まれたプログラムによって実行される。ユーザは、呼び出すべき患者が保持する無線端末Tの端末IDをホストコンピュータ10に入力し、その無線端末Tに呼び出し動作を実行させるための操作を行う。ホストコンピュータ10は、ユーザの操作によって入力された端末IDを、呼び出し端末IDとして読み込む(S101)。そして、端末ID/ロケーションテーブル14を参照し、呼び出し端末IDに対応付けられたロケーション符号を取得する(S102)。
【0047】
ホストコンピュータ10は、順序テーブル18を参照し、呼び出し端末IDに対応付けられたロケーション符号に対応する中継機順序パターンを取得する(S103)。そして、中継機順序パターンにおける最先の中継機のアドレスを宛先アドレスとして認識する(S104)。ホストコンピュータ10は、端末IDおよび制御情報を含む呼び出しパケットを生成する(S105)。そして、呼び出しパケットに宛先アドレスを含ませ(S106)、親機P0および中継機R1〜R5によって構成される通信経路に呼び出しパケットを送信する(S107)。
【0048】
無線端末応答通信(S108)については後述するが、ここではその概要について説明する。まず、呼び出しパケットの宛先の中継機が、呼び出しパケットを受信した場合、その中継機は、無線端末Tに対し局所的な呼び出しパケットを送信する。呼び出し端末IDを有する無線端末Tが、呼び出しパケットの宛先の中継機の近傍にあり、その中継機と無線通信を行う状態にある場合、無線端末Tは、その中継機から局所的な呼び出しパケットを受信する。これに応じて無線端末Tは、呼び出し動作を実行すると共に、呼び出しパケットの送信元の中継機に、局所的な応答パケットを送信する。中継機は、呼び出しパケットの送信に用いられた通信経路および親機P0を介して、ホストコンピュータ10に応答パケットを送信する。
【0049】
一方、呼び出し対象の無線端末Tが、呼び出しパケットの宛先とした中継機の近傍に存在せず、その中継機と無線通信を行わない状態にある場合、無線端末Tは、呼び出しパケットの受信、および応答パケットの送信は行わない。これによって、ホストコンピュータ10において応答パケットが受信されることはない。
【0050】
ステップS109においてホストコンピュータ10は、所定時間内に応答パケットが受信されたか否かを判断する(S109)。ホストコンピュータ10は、所定時間内に応答パケットが受信されたときは、呼び出し端末IDと、宛先とした中継機のロケーション符号とを対応付けた情報を、呼び出し対象の無線端末Tの位置情報として記憶する(S110)。また、ホストコンピュータ10は、呼び出し対象の無線端末Tに対応する中継機を特定し、そのアドレスを記憶する処理や、その無線端末Tの保有者の居場所を記憶する処理を行ってもよい。
【0051】
一方、所定時間内に応答パケットが受信されなかったときは、ホストコンピュータ10は、ステップS103で取得した中継機順序パターンにおける順序が次の中継機のアドレスを宛先アドレスとして認識し(S111)、ステップS105の処理に戻る。これによって、ステップS105〜S109およびS111の処理が、応答パケットが受信されるまで繰り返される。
【0052】
なお、ステップS106における宛先アドレスが、中継機順序パターンにおける最後のアドレスであった場合には、ステップS111における順序が次のアドレスは、最先のアドレスとする。例えば、
図4に示されるように、ロケーション符号「SRG」に対しては、中継機順序パターンとして、「R2→R1→R3→R4→R5」が対応付けられている。この場合、ステップS106における宛先アドレスが最後のアドレス「R5」あった場合には、ステップS111における順序が次のアドレスは、最先のアドレス「R2」とする。これによって、ステップS111においては、中継機順序パターンにおける各アドレスが、応答パケットが受信されるまで巡回的に参照される。
【0053】
(3−3−2)無線端末応答通信
図6には、無線端末応答通信において、ホストコンピュータ10および中継機が実行する処理の流れが示されている。ホストコンピュータ10は、親機P0に呼び出しパケットを送信する(201)。親機P0は、通信経路Xを介して、中継機R1〜R5のうち宛先となっている中継機RDに、呼び出しパケットを送信する(S202)。
【0054】
ここで、通信経路Xは、親機P0と宛先の中継機RDとの間に介在する通信ブランチによって構成される。例えば、
図1に示される中継機R1が宛先の中継機RDである場合には、通信経路Xは、通信ブランチ01によって構築される通信経路である。また、中継機R2が宛先の中継機RDである場合には、通信経路Xは、通信ブランチ01および12によって構築される通信経路である。中継機R5が宛先の中継機RDである場合には、通信経路Xは、通信ブランチ03、34および45によって構築される通信経路である。
【0055】
中継機RDは、呼び出しパケットを受信した場合には、その呼び出しパケットを局所的な呼び出しパケットとして無線送信する(S203)。
【0056】
無線端末Tは、呼び出し端末IDとして自らの端末IDが含まれる局所的な呼び出しパケットを受信したときは、それに含まれる呼び出し制御情報に従い、呼び出し動作を実行する(S204)。そして、呼び出しパケットを無線送信した中継機RDに対し、局所的な応答パケットを送信する(S205)。
【0057】
局所的な応答パケットを受信した中継機RDは、通信経路Xを介して、親機P0に応答パケットを送信する(S206)。親機P0は、応答パケットをホストコンピュータ10に送信する(207)。ホストコンピュータ10は、中継機アドレス/ロケーションテーブル16を参照し、宛先とした中継機のロケーション符号を取得し、そのロケーション符号を呼び出し対象の無線端末Tの位置情報として記憶する(S208)。
【0058】
(3−3−3)呼び出し処理によって得られる効果
このような処理によれば、無線端末Tを保有する患者が移動したとしても、その無線端末Tを呼び出す処理が実行され得る。病院においては、インフルエンザ、麻疹等の感染症の患者は、駐車場PRKに駐車された車等、他の患者から隔離された場所で待機することが望まれている。本実施形態においては、患者が駐車場PRKにおいて車中で待機している場合でも、その患者が保有する無線端末Tが呼び出される。これによって、病院の職員、および感染症の患者の労力が軽減される。
【0059】
また、中継機R1〜R5を宛先とする順序は、呼び出し対象者の行動傾向に応じて定められる。これによって、呼び出し対象者が待機する可能性の高い場所、すなわち、呼び出し対象の無線端末Tが存在する可能性の高い場所にある中継機に優先的に呼び出しパケットが送信される。そのため、無線端末Tに呼び出し動作を実行させる処理が迅速に行われる。
【0060】
さらに、本実施形態においては、中継機R1〜R5は固定して用いられる。これによって、これらの中継機の配置位置が変更されない限り、構築される通信経路は一定に維持される。これによって、パケットの送受信が確実に行われる。
【0061】
(4)無線端末の数に基づく呼び出しパケットの送信
上記の実施形態では、中継機R1〜R5を宛先とする順序は、呼び出し対象者の行動傾向に応じて定められる。このような処理に代えて、無線通信を行う無線端末Tの数が多い順に、中継機R1〜R5を宛先とする順序が決定される処理を実行してもよい。
【0062】
この場合、ホストコンピュータ10は、端末ID/ロケーションテーブル14を参照し、ロケーション符号「INT」、「SRG」、「PHM」、「ENT」、および「PRK」につき、対応付けられている端末IDが多い順序を、送信位置順序パターンとして決定する。対応付けられている端末IDの数が同一のものについては、端末ID/ロケーションテーブル14の過去の記憶内容において、対応付けられた端末IDの数が多い方を優先させる。
図2に示される例では、対応付けられている端末IDが多い順序は、INT→SRG→PRK→ENT→PHMであり、この順序を送信位置順序パターンとする。ここで、PRKおよびENTは、対応付けられている端末IDの数が1つであり同一であるが、過去の記憶に基づきPRKが優先されているものとする。
【0063】
ホストコンピュータ10は、中継機アドレス/ロケーションテーブル16を参照し、このようにして決定された送信位置順序パターンを、中継機順序パターンに変換する。これによって、送信位置順序パターンINT→SRG→PRK→ENT→PHMは、中継機順パターンR1→R2→R5→R4→R3へと変換される。ホストコンピュータ10は、
図5のステップS103において取得される送信位置順序パターンの代わりに、無線通信を行う無線端末Tの数が多い順序で決定された送信位置順序パターンを採用する。
【0064】
(5)応用例
上記の実施形態では、無線端末呼び出しシステムは、病院の建造物に設置されている。無線端末呼び出しシステムは、イベント会場、各種証明書類を発行する役所、ショッピングモール等に設置されてもよい。
【0065】
例えば、新商品を公開するイベント会場においては、複数の商品展示室のそれぞれに中継機が配置される。ホストコンピュータ10および親機P0は、イベントを取り纏める者が駐在する管理室に配置される。
【0066】
各商品展示室で説明を行うスタッフには無線端末Tが配られる。ホストコンピュータ10は、スタッフに無線端末Tを所有させる際に、そのスタッフが担当する商品分野の情報を行動傾向情報として記憶する。ホストコンピュータ10の行動傾向/ロケーションマップ12には、商品分野に対応する商品展示室のロケーション符号が対応付けられる。このような構成によれば、無線端末呼び出しシステムを病院の建造物に設置した場合の処理と同様の処理によって、各スタッフが所有する無線端末Tを呼び出すことができる。
【0067】
イベント会場においては、イベント参加者の呼び出しに無線端末呼び出しシステムを用いてもよい。ショッピングセンターにおいては、洋服直しや包装を待つ客の呼び出しに無線端末呼び出しシステムを用いてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、親機P0および各中継機が無線による通信経路を構築する。このような構成に代えて、親機P0および各中継機が有線の通信経路を構築する構成としてもよい。また、上記の実施形態では、ホストコンピュータ10と親機P0は、別の装置とされているが、ホストコンピュータ10と親機P0は同一の装置として一体的に構成してもよい。