特許第6114520号(P6114520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114520
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20170403BHJP
   B65D 81/18 20060101ALI20170403BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B65D81/38 B
   B65D81/18 B
   B65D85/50 C
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-198970(P2012-198970)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-51316(P2014-51316A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】511149120
【氏名又は名称】株式会社積水化成品九州
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】吉弘 辰也
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−061768(JP,U)
【文献】 国際公開第01/044731(WO,A1)
【文献】 特開2010−260639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18
B65D 81/38
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性合成樹脂製の容器本体および蓋体を備え、
前記容器本体は、板状の底壁と、該底壁の表側外周縁部から立設され高さ方向端部を容器本体の開口部とする枠状の側壁であって、内部空間に被収容物を収容して前記高さ方向が水平方向となるように容器本体を立てた状態で被収容物を載置する載置面を有する側壁とを備え、
前記蓋体は、容器本体の開口部を閉塞する板状の天壁を備え、
容器本体の底壁の表面には、前記容器本体を立てた状態における上下方向途中位置に、開口部側に向かって凸状をなす底壁当接部が凸設されると共に、蓋体の天壁の裏面には、容器本体の開口部を閉塞した状態で底壁当接部に対向して底壁側に向かって凸状をなす天壁当接部が凸設されており、
内部空間を2つに区画する仕切り板を備え、2つに区画された内部空間のうち一方は保冷材を収容する内部空間とされ、
2つに区画された内部空間どうしを連通する通気溝が仕切り板に形成され、
内部空間のうちの一方の内部空間に保冷材を収容し、被収容物を内部空間のうちの他方の内部空間に収容した状態の容器本体の開口部を蓋体で閉塞し、前記高さ方向が水平方向となり、且つ、載置面が下に位置するように容器を立てた際には、被収容物が、載置面に載置されると共に、底壁当接部と天壁当接部とで挟み込まれて他方の内部空間における移動が規制されるように構成されており、
底壁の表面と天壁の裏面との少なくとも一方には、前記容器を立てた状態で底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側とで2つの内部空間どうしを連通する凹状の溝部が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記蓋体の天壁は、裏面の外縁部の一部から垂下して容器本体の側壁の高さ方向端部に嵌合する一対のスカート部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状のスカート部を備え、前記天壁当接部は、前記左右方向に長尺に形成されており、
前記溝部は、天壁当接部の左右方向両端部と、前記一対のスカート部の内面との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記蓋体の天壁は、裏面の外縁部の一部から垂下して容器本体の側壁の高さ方向端部に嵌合する一対のスカート部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状のスカート部を備え、
前記容器本体の側壁は、前記天壁の一対のスカート部が高さ方向の端部に嵌合する一対の壁部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状の壁部を備え、前記底壁当接部は、前記左右方向に長尺に形成されており、
前記溝部は、底壁当接部の左右方向両端部と、前記一対の壁部の内面との間に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性合成樹脂で形成された容器本体と蓋体とを備える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器としては、例えば特許文献1の図19に示すような、長尺な被収容物としてアスパラガス等の茎状植物を収容する、発泡性合成樹脂製の容器本体と蓋体とを備えるものが知られている。
【0003】
この容器本体は、長尺な被収容物を横に寝かして載置する矩形板状の底壁と、該底壁の表側外周縁部から立設され高さ方向端部を容器本体の開口部とする矩形枠状の側壁とを備える。側壁は、底壁の各長辺縁部に形成される一対の長辺壁部と、底壁の各短辺縁部に形成される一対の短辺壁部とを備える。底壁の表面の長手方向略中央部には、一方の長辺壁部から他方の長辺壁部に亘る凸状の底壁当接部が突設されている。また、底壁の表面の長手方向一端側には、一方の長辺壁部から他方の長辺壁部に亘る板状の仕切り板が突設されている。この仕切り板には、凹状の通気溝が前記高さ方向に沿って形成されている。また、この仕切り板によって、容器本体の内部空間は、長手方向において、一端側の空間と、他端側の空間とに仕切れられている。
【0004】
蓋体は、容器本体の開口部を開閉する矩形板状の天壁と、該天壁の各長辺縁部の中央部に形成される一対の板状のスカート部とを備える。この天壁の裏面の長手方向略中央部には、例えば特許文献2の図4に示すような、一方のスカート部から他方のスカート部に亘る凸状の天壁当接部が突設されている。
【0005】
かかる容器では、運搬や保管などの場合に、容器本体の内部空間のうち他端側の空間に対し、長尺な被収容物を、その長手方向を底壁の長手方向に沿わせると共に、基端部(下端部)を他端側の空間の短辺壁部に対向させて底壁に載置して収容する。また、被収容物を保冷するための保冷材を一端側の空間に収容する。そして、容器本体の開口部を蓋体で閉塞し、前記側壁の高さ方向が水平方向となるように他端側の空間の短辺壁部を下にして容器を立てた際に、被収容物の基端部(下端部)を前記短辺壁部内面に載置すると共に、底壁当接部と天壁当接部とで被収容物を挟み込んで内部空間における被収容物の移動を規制している。よって、容器内面に被収容物がぶつかり品質が低下することを防止できる。また、仕切り板の通気溝を介して、一端側の空間に収容される保冷材からの冷気を他端側の空間に行き来させることができるので、他端側の空間に収容される被収容物を保冷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3023783号公報
【特許文献2】特開2010−260639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の容器にあっては、上記のように被収容物の移動を規制すべく被収容物を挟み込んでいる底壁当接部と天壁当接部とは、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で保冷材による冷気が行き来することを阻害している。即ち、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも下側には、上側の保冷材による冷気は行き渡り難くなっていた。このように被収容物に対する保冷効率の点で改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、被収容物に対する保冷効率を向上させることができる容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る容器は、発泡性合成樹脂製の容器本体および蓋体を備え、前記容器本体は、板状の底壁と、該底壁の表側外周縁部から立設され高さ方向端部を容器本体の開口部とする枠状の側壁であって、内部空間に被収容物を収容して前記高さ方向が水平方向となるように容器本体を立てた状態で被収容物を載置する載置面を有する側壁とを備え、前記蓋体は、容器本体の開口部を閉塞する板状の天壁を備え、容器本体の底壁の表面には、前記容器本体を立てた状態における上下方向途中位置に、開口部側に向かって凸状をなす底壁当接部が凸設されると共に、蓋体の天壁の裏面には、容器本体の開口部を閉塞した状態で底壁当接部に対向して底壁側に向かって凸状をなす天壁当接部が凸設されており、内部空間を2つに区画する仕切り板を備え、2つに区画された内部空間のうち一方は保冷材を収容する内部空間とされ、2つに区画された内部空間どうしを連通する通気溝が仕切り板に形成され、内部空間のうちの一方の内部空間に保冷材を収容し、被収容物を内部空間のうちの他方の内部空間に収容した状態の容器本体の開口部を蓋体で閉塞し、前記高さ方向が水平方向となり、且つ、載置面が下に位置するように容器を立てた際には、被収容物が、載置面に載置されると共に、底壁当接部と天壁当接部とで挟み込まれて他方の内部空間における移動が規制されるように構成されており、底壁の表面と天壁の裏面との少なくとも一方には、前記容器を立てた状態で底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側とで2つの内部空間どうしを連通する凹状の溝部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
かかる構成からなる容器によれば、運搬や保管などの場合に、被収容物と該被収容物を保冷するための保冷材とを容器本体の内部空間に収容して、該容器本体の開口部を蓋体で閉塞し、側壁の高さ方向が水平方向となるように載置面を下にして容器を立てにすると、被収容物は、載置面の上に載置されると共に、底壁当接部と天壁当接部とで挟み込まれて内部空間における移動が規制される。この被収容物の移動を規制する底壁当接部と天壁当接部とは、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で保冷材による冷気が行き来することを阻害する壁となる。ここで、底壁の表面と天壁の裏面との少なくとも一方には、前記容器を立てた状態で内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側とを連通する凹状の溝部が設けられているので、前記内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で保冷材による冷気が行き来し易くなっている。従って、かかる構成からなる容器によれば、被収容物に対する保冷効率を向上させることができる。
【0011】
また、かかる容器では、前記蓋体の天壁は、裏面の外縁部の一部から垂下して容器本体の側壁の高さ方向端部に嵌合する一対のスカート部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状のスカート部を備え、前記天壁当接部は、前記左右方向に長尺に形成されており、前記溝部は、天壁当接部の左右方向両端部と、前記一対のスカート部の内面との間に形成されるように構成することも可能である。
【0012】
かかる構成からなる容器によれば、溝部は、左右方向に長尺な天壁当接部の左右方向両端部と、一対のスカート部の内面との間に形成されており、且つ、被収容物は、一般的に容器内において左右方向の中央部側に収容されるので、左右方向に長尺な天壁当接部によって、前記容器を立てた際に、被収容物の水平方向の移動を十分に規制することができると共に、天壁当接部の左右方向両端部側に設けられた溝部は、保冷材による冷気を通す通気路として適し、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で冷気が行き来し易くなっており、被収容物に対する保冷効率を向上させることができる。
【0013】
また、かかる容器では、前記蓋体の天壁は、裏面の外縁部の一部から垂下して容器本体の側壁の高さ方向端部に嵌合する一対のスカート部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状のスカート部を備え、前記容器本体の側壁は、前記天壁の一対のスカート部が高さ方向の端部に嵌合する一対の壁部であって、前記容器を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状の壁部を備え、前記底壁当接部は、前記左右方向に長尺に形成されており、前記溝部は、底壁当接部の左右方向両端部と、前記一対の壁部の内面との間に形成されるように構成することも可能である。
【0014】
かかる構成からなる容器によれば、溝部は、左右方向に長尺な底壁当接部の左右方向両端部と、一対の壁部の内面との間に形成されており、且つ、被収容物は、一般的に容器内において左右方向の中央部側に収容されるので、左右方向に長尺な底壁当接部によって、前記容器を立てた際に、被収容物の水平方向の移動を十分に規制することができると共に、底壁当接部の左右方向両端部側に設けられた溝部は、保冷材による冷気を通す通気路として適し、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で冷気が行き来し易くなっており、被収容物に対する保冷効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の容器によれば、運搬や保管などの場合に、被収容物と該被収容物を保冷するための保冷材とを容器本体の内部空間に収容して、該容器本体の開口部を蓋体で閉塞し、側壁の高さ方向が水平方向となるように載置面を下にして容器を立てにすると、被収容物は、載置面の上に載置されると共に、底壁当接部と天壁当接部とで挟み込まれて内部空間における移動が規制される。この被収容物の移動を規制する底壁当接部と天壁当接部とは、内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で保冷材による冷気が行き来することを阻害する壁となる。ここで、底壁の表面と天壁の裏面との少なくとも一方には、前記容器を立てた状態で内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側とを連通する凹状の溝部が設けられているので、前記内部空間の底壁当接部又は天壁当接部よりも上側と下側との間で保冷材による冷気が行き来し易くなっている。従って、本発明の容器によれば、被収容物に対する保冷効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る容器の斜視図を示す。
図2】同容器の断面図を示す。
図3】同容器本体の平面図を示す。
図4】同容器本体の底面図を示す。
図5】(a)は同容器本体の左側面図、(b)は右側面図を示す。
図6】(a)は同容器本体の正面図、(b)は背面図を示す。
図7】同蓋体の平面図を示す。
図8】同蓋体の底面図を示す。
図9】同蓋体の正面図を示す。
図10】同蓋体の左側面図を示す。
図11】運搬や保管などのために同容器を立てた状態の断面図を示す。
図12図11のA−A断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る容器の一実施形態について、図1から図12を参照しつつ説明する。本実施形態の容器1は、長尺な被収容物Cとしてアスパラガス等の茎状植物を収容することができる箱型状に形成されている。
【0018】
容器1は、図1,2に示すように、上端部に開口部2Aを有する発泡性合成樹脂製の容器本体2と、容器本体2の開口部2Aを閉じて密閉状態にするための発泡性合成樹脂製の蓋体3とを備える。尚、発泡性合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の各種発泡性合成樹脂が利用できる。また、容器1の短辺方向を左右方向とし、容器1の長辺方向を前後方向とする(以下、図中では、左方向を「左」で、右方向を「右」で、それぞれ示し、前方向を「前」で、後方向を「後」で、それぞれ示している)。
【0019】
容器本体2は、図3から図6に示すように、長尺な被収容物Cを横に寝かして載置する多角形状又は円形状の底壁21と、前記底壁21の上側(表側)外周縁部から立設され高さ方向端部を容器本体2の開口部2Aとする枠状の本体側壁2Bと、容器本体2の内部空間を前後方向において2つに区画する仕切り板22とを備えてなる。
【0020】
本実施形態では、底壁21は、平面視略矩形の板状に形成されている。底壁21の上面21Uは容器本体2の底面に相当し、被収容物Cに当接する面又は被収容物Cを支持する面である。なお、底壁21の上面21Uを表面と称し、下面21Lを裏面と称してもよい。底壁21上面21Uの前後方向(長手方向)中央部には、図3に示すように、左右方向(短手方向)に長尺な底壁当接部21Aが凸設されている。その底壁当接部21Aの前方から前後方向の前端側(詳細には、後述の仕切り板22まで)にかけて、前後方向の前側に向かって高さが高くなるような傾斜をなす傾斜部21Bが形成されている。
【0021】
また、図4に示すように、底壁21の下面21Lは、平面状である。この下面21Lの外縁部であって、前後方向の前側と後側には、外周の周方向に沿って凹状の窪み21cが形成されている(図2,4参照)。また、下面21Lの中央部には、凹状の中央凹部21aが設けられている。この中央凹部21aは、上面21Uで凸状をなす底壁当接部21Aに対応している。中央凹部21aは、左右方向(短手方向)に沿って形成されており、左右方向に長尺である。また、この中央凹部21aの前方から前後方向の前端側にかけて、凹状の前凹部21bが設けられている。この凹状の前凹部21bは、上面21Uで傾斜をなす傾斜部21Bに対応している。前凹部21bは、左右方向(短手方向)に沿って形成されており、左右方向に長尺である。また、前凹部21bの前方であって、前後方向の前端側には、前方を指す矢印状の窪み21dが設けられている。
【0022】
また、左右方向(短手方向)に沿う下面21L外周縁の中央部、即ち短辺縁部の中央部には、指を掛けて容器本体2を把持するための凹状の把持用凹部21Sが形成されている(図2,4,5参照)。この把持用凹部21Sは、下面21Lから上面21U側に向けて、底壁21の厚み方向(表裏方向又は高さ方向)の途中(例えば底壁21の略半分の厚み)まで形成されている。
【0023】
また、前後方向(長手方向)に沿う下面21L外周縁の中央部、即ち長辺縁部の中央部には、傾斜をなす部分21Tであって、指を掛けて容器本体2を把持するための把持用傾斜部21T、或いは、容器本体2と蓋体3とを固定するバンドを掛け回すためのバンド掛部21Tが形成されている(図4,6参照)。この把持用傾斜部21T又はバンド掛部21Tは、底壁下面21Lと底壁外周側面とが、底壁下面21Lから底壁外周側面に向かって上方(高さ方向の開口部2A側)に傾斜する傾斜面で連結されてなる。
【0024】
底壁当接部21Aは、底壁21の前後方向の後側から中央部側にかけて設けられており、凸状をなす(図2,3参照)。具体的には、底壁当接部21Aは、前後方向の後側から中央部側に向かって上面21Uの高さが高くなるように傾斜をなしている。また、底壁当接部21Aは、左右方向に沿って長尺であり、左右方向の高さは、略同一である。この底壁当接部21Aの左右方向の両端部は、本体側壁2B(詳細には、後述の左右側壁23,23)に連設されている。
【0025】
傾斜部21Bは、底壁当接部21Aの前方に設けられており、詳細には、底壁21の前後方向の中央部側から前側にかけて設けられている(図2,3参照)。傾斜部21Bは、前後方向の中央部側から前側に向かって上面21Uの高さが高くなるように傾斜をなしている。また、傾斜部21Bは、左右方向の高さは、略同一である。
【0026】
かかる底壁21には、本体側壁2Bが上面21Uの外周縁部から上方に立ち上げられている。また、底壁21上面21Uの長手方向前側(一端側)には、容器本体2の内部空間を前後方向において前側空間FSと後側空間BSとに区画する仕切り板22が立設されている。なお、前記傾斜部21Bは、底壁21上面21Uの前後方向(長手方向)中央部から前側であって、底壁当接部21Aと仕切り板22との間に設けられている。
【0027】
本体側壁2Bは、平面視多角形状又は円形状の枠状に形成されている。本実施形態では、本体側壁2Bは、平面視略矩形の枠状をなしており、底壁21の各長辺の縁部から上方に立ち上げられた左右側壁23,23と、底壁21の各短辺の縁部から上方に立ち上げられた前後側壁24,24とを備える。
【0028】
左右側壁23,23では、前後方向の中央部23aの高さが両端側及び前後側壁24,24の高さよりも低く形成されている(図6参照)。具体的には、左右側壁23,23の高さ方向端部では、前後方向の両端側の高さが中央部23a側の高さよりも高くなっており、両端側と中央部23a側とは、傾斜面で連結されている。この中央部23aの前側における外面側の上端には、蓋体3を容器本体2に嵌合した際に容器本体2から蓋体3を取り外すために指を入れることができる凹状の指入用凹部23Aが形成されている(図6参照)。また、前側壁24の外面の底壁側には、「上」の文字形状の窪み24aが設けられている(図5参照)。また、後側壁24の内面には、凹凸面が形成されている。具体的には、後側壁24の内面には、断面四角形(詳細には、断面略矩形)の凸状をなす凸部24Pが、互いに離間して碁盤目状に複数突設されている(図1図3参照)。この凸部24Pによって、凸部24Pを除いた内面部分が相対的に凹んだ領域となっており、この領域が凹部24Qである。
【0029】
また、左右側壁23,23と前後側壁24,24との内面側の上端縁部の全周に亘って、上方に突出した嵌合用凸条25が形成されている(図1−3,5,6参照)。この嵌合用凸条25は、平面視略矩形の枠状をなす。
【0030】
仕切り板22は、基端部(下端部)が底壁上面21Uから立設される矩形板状の本体壁22Aと、該本体壁22Aの基端部を支持(又は補強)するリブ22Bとを備える(図1−3参照)。
【0031】
本体壁22Aは、矩形板状をなす。この本体壁22Aは、底壁上面21Uの前端側に左右方向に沿って立設され、左右方向の両端部は、左右側壁23,23に連設されている。本体壁22Aの高さは、左右側壁23,23の両端側と前後側壁24,24との高さよりも低くなっている。かかる本体壁22Aには、凹状の通気溝22aが高さ方向に沿って形成されている。具体的には、通気溝22aは、本体壁22Aの左右方向の中央部と左側と右側との3箇所において、高さ方向端部から基端部側にかけて形成されている。
【0032】
リブ22Bは、矩形板状をなす。このリブ22Bは、本体壁22Aと前側壁24との間の底壁上面21Uに前後方向に沿って立設されており、本体壁22Aの基端部と、前側壁24の基端部とを連結している。また、リブ22Bは、左右方向に対向して一対設けられている(図3参照)。具体的には、リブ22Bは、左右方向において、本体壁22Aの通気溝22a間に各々配置されている。即ち、リブ22Bは、本体壁22Aの左右方向中央部の通気溝22aを挟み、かつ、左右方向両側の通気溝22aの間に一対配置されている。
【0033】
かかる仕切り板22は、容器本体2の内部空間を、前後方向において前側空間FSと後側空間BSとに区画している(図2,3参照)。前側空間FSは、被収容物Cを保冷するための保冷材(蓄冷材)を収容可能に構成されている。また、後側空間BSは、長尺な被収容物Cを、その長手方向を前後方向に沿わせて収容可能に構成されている。具体的には、後側空間BSは、被収容物Cの長手方向の先端側を前方向(前側壁24側)に向け、基端側を後方向(後側壁24側)に向けて収容可能に構成されている。そして、前側空間FSと後側空間BSとは、仕切り板22の通気溝22aを介して連通している。
【0034】
このような容器本体2では、内部空間のうち、前側空間FSに保冷材を収容し、後側空間BSに長尺な被収容物Cを収容するように構成されている。また、この容器本体2では、前後左右の本体側壁2Bの上端に囲まれた内側領域が開口部2Aとして構成されている。この開口部2Aは、開口部2Aに対して着脱自在に構成される蓋体3によって自在に開放或いは閉塞されるようになっている。
【0035】
蓋体3は、図7から図10に示すように、平面視多角形状又は円形状の一例として平面視略矩形に形成された板状の天壁3Aと、天壁3Aの下面(裏面)外周部に沿って形成される嵌合用溝4と、下面の外縁部の一部から垂下する一対の板状のスカート部5とを備えている。
【0036】
天壁3Aは、矩形状の上面(表面)3Uと、上面外周縁から下方に垂下する外周側面と、矩形状の下面(底面又は裏面)3Lとを有する。天壁3Aの下面3Lの前後方向(長手方向)中央部には、図8に示すように、左右方向(短手方向)に長尺な天壁当接部31Aが凸設されている。その天壁当接部31Aの前方から前後方向の前端側にかけて、前後方向の前側に向かって高さが高くなるような傾斜をなす傾斜部31Bが形成されている。
【0037】
また、図7に示すように、天壁3Aの上面3Uの中央部には、凹状の中央凹部31aが設けられている。この中央凹部31aは、下面3Lで凸状をなす天壁当接部31Aに対応している。中央凹部31aは、左右方向(短手方向)に沿って形成されており、左右方向に長尺である。また、この中央凹部31aの前方から前後方向の前端側にかけて、凹状の前凹部31bが設けられている。この前凹部31bは、下面3Lで傾斜をなす傾斜部31Bに対応している。前凹部31bは、左右方向(短手方向)に沿って形成されており、左右方向に長尺である。また、前凹部31bの前方であって、前後方向の前端側には、前方を指す矢印状の窪み31cが設けられている。また、前後方向(長手方向)に沿う上面3U外周縁の中央部、即ち長辺縁部の中央部には傾斜をなす部分31Tであって、指を掛けて蓋体3を把持するための把持用傾斜部31T、或いは、容器本体2と蓋体3とを固定するバンドを掛け回すためのバンド掛部31Tが形成されている。この把持用傾斜部31T又はバンド掛部31Tでは、天壁上面3Uと天壁外周側面とが、上面3Uより高さが低い低段部と、該低段部から天壁外周側面に向かって下方に傾斜する傾斜面とで連結されてなる。なお、低段部は、詳細には、上面3Uから垂下する垂下面と、該垂下面の下端から水平方向に連設され、上面3Uより低い平面とからなる。
【0038】
天壁当接部31Aは、天壁3Aの下面3Lの前後方向の後側から中央部側にかけて設けられており、凸状をなす(図2,8参照)。天壁当接部31Aは、前後方向の後側から中央部側に向かって下面3Lからの高さが高くなるように傾斜をなしている。また、天壁当接部31Aは、左右方向に沿って長尺であり、左右方向の高さは、略同一である。この天壁当接部31Aは、天壁3Aの下面3Lの左右方向において、両端部側を除く中央部側に形成されている。
【0039】
傾斜部31Bは、天壁当接部31Aの前方に設けられており、詳細には、天壁3Aの前後方向の中央部側から前側にかけて設けられている(図2,8参照)。傾斜部31Bは、前後方向の中央部側から前側に向かって下面3Lからの高さが高くなるように傾斜をなしている。また、傾斜部31Bは、左右方向の高さは、略同一である。
【0040】
かかる天壁3Aには、下面3Lの外周部に周方向に沿って、嵌合用凸条25に嵌合される嵌合用溝4が形成されている。また、下面3Lの長辺縁部の前後方向中央部からは、左右方向に対向する一対のスカート部5が下方に垂下している。
【0041】
嵌合用溝4は、容器本体2の嵌合用凸条25と着脱自在に嵌合される凹部である。具体的には、嵌合用溝4は、凹状をなしており、天壁3Aの下面3Lの外縁から一定長離間した外周部に、周方向に沿って形成されている(図8参照)。この嵌合用溝4と嵌合用凸条25とを嵌合させることで、嵌合用溝4と嵌合用凸条25とが密閉される(容器本体2と蓋体3とが密閉される)と共に、容器本体2の開口部2Aが蓋体3で覆われるようになっている。
【0042】
スカート部5は、容器本体2の左右側壁23,23における中央部23aに嵌合される板状の壁部である。スカート部5は、左右方向(短手方向)に対向する一対の壁部であり、各壁部は、前後方向に沿って形成されている。このスカート部5は、左右側壁23,23の中央部23aの高さ方向端部(上端部)に嵌合されるように、中央部23aの高さ方向端部(上端部)に対応した形状をなす。即ち、スカート部5の高さ方向端部では、前後方向の中央部は、天壁3Aの下面3Lから突出した位置で下面3Lと平行をなし、前後方向の両端側は、中央部に向かって傾斜をなしている(図9参照)。
【0043】
このスカート部5は、天壁3Aの下面3Lの外縁部から突出する外縁壁部51と、下面3Lの外縁部から一定長離間した外周部の嵌合用溝4から突出する溝壁部52と、下面3Lの嵌合用溝4よりも中央部よりの外周部から突出する内側壁部53とが一体的に構成されてなる(図8,10参照)。即ち、溝壁部52は、外縁壁部51と内側壁部53とに挟まれている。また、外縁壁部51と内側壁部53とは略同一の高さであり、溝壁部52は、外縁壁部51及び内側壁部53よりも低くなっている(図10参照)。よって、溝壁部52は、外縁壁部51及び内側壁部53に挟まれることで、凹状をなしており、この凹状の溝高及び溝幅はそれぞれ、嵌合用溝4の溝高及び溝幅と略同一である。
【0044】
外縁壁部51は、左右側壁23,23の外面側の上端縁部に嵌合するように構成される。溝壁部52は、左右側壁23,23の内面側の上端縁部における嵌合用凸条25に嵌合するように構成される。内側壁部53は、左右側壁23,23の前記嵌合用凸条25の内面側に嵌合するように構成される。よって、蓋体3を容器本体2に嵌合した状態では、左右側壁23,23における嵌合用凸条25は、スカート部5の溝壁部52に嵌め込まれる。
【0045】
かかる左右方向に対向する一対のスカート部5の間には、前記天壁当接部31A及び傾斜部31Bが設けられており、天壁当接部31A及び傾斜部31Bの左右方向両端部は、スカート部5から離間して設けられている。このスカート部5と天壁当接部31A及び傾斜部31Bとの間の領域は、凹状をなす溝部6である(図8,10参照)。具体的には、溝部6は、蓋体3の下面3Lに設けられており、天壁3Aの裏側領域のうち、左右方向において、スカート部5の内面(詳細には、内側壁部53の内面)と、天壁当接部31A及び傾斜部31Bの左右方向両端部とに挟まれた領域からなる。また、この溝部6は、前後方向の中央部側に、スカート部5の内側壁部53に対応して設けられており、内側壁部53と略同一の長さを有し、前後方向に長尺に形成されている。
【0046】
以上の構成からなる容器1では、被収容物Cを内部空間に収容した容器本体2の開口部2Aを蓋体3で閉塞する。具体的には、作業者等によって容器本体2の開口部2Aから被収容物C又は被搬送物Cとしてアスパラガスが後側空間BSに収容されると共に、保冷材(蓄冷材)Dが前側空間FSに収容された後に、容器本体2に蓋体3が装着されることで開口部2Aが閉じられる(容器本体2の内部が外部に対してほぼ密封される)。
【0047】
この容器1は、本体側壁2Bの高さ方向が水平方向となるように後側壁24を下にして容器1を立てた際に、被収容物Cを後側壁24の内面に載置すると共に、底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとで被収容物Cを挟み込んで内部空間における被収容物Cの移動を規制しており、この状態で搬送(運搬)又は保管に供される(図11参照)。換言すれば、容器1は、後側壁24を下にして、前後方向を上下方向とし、高さ方向を水平方向として立てた状態で搬送(運搬)又は保管に供される。なお、左右方向は、容器1を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する方向である。また、このように容器1を立てた状態で、容器本体2では、底壁21下面21Lの前方を指す矢印状の窪み21dが上方を向き、前側壁24の「上」の文字形状の窪み24aが上面となる。蓋体3では、天壁3A上面3Uの前方を指す矢印状の窪み31cが上方を向く。
【0048】
ここで、後側壁24の内面(凸部24P及び凹部24Q)は、内部空間に被収容物Cを収容して前記高さ方向が水平方向となるように容器本体2を立てた状態で被収容物Cを載置する載置面である(図11参照)。
【0049】
また、容器本体2の底壁21の上面21Uには、本体側壁2Bの高さ方向が水平方向となるように後側壁24内面を下にして容器本体2を立てた状態における上下方向途中位置に、開口部2A側に向かって凸状をなす底壁当接部21Aが凸設されると共に、蓋体3の天壁3Aの下面3Lには、容器本体2の開口部2Aを閉塞した状態で底壁当接部21Aに対向して底壁21側に向かって凸状をなす天壁当接部31Aが凸設されている。よって、容器1を前記のように立てた際に、後側空間BSに収容された被収容物Cは、底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとで水平方向の移動が規制され、後側空間BS内で位置決めされている。
【0050】
また、天壁3Aの下面3Lには、前記容器1を立てた状態で内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側とを連通する凹状の溝部6が設けられている(図12参照)。よって、前側空間FSに収容された保冷材Dによる冷気が仕切り板22の通気溝22aを介して、前側空間FSから後側空間BSに行き来する。この後側空間BSにおける冷気は、溝部6を介して、底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側から下側に行き来する。また、後側壁24の内面、即ち載置面は、凸部24Pと凹部24Qとを備えてなるので、凹部24Qが冷気の通り道になっている。即ち、被収容物Cの基端側においても冷気が行渡る。このように、被収容物Cの先端側から基端側まで冷気が万遍なく循環し、被収容物Cを保冷している。
【0051】
以上、本実施形態に係る容器1によれば、発泡性合成樹脂製の容器本体2および蓋体3を備え、前記容器本体2は、板状の底壁21と、該底壁21の表側外周縁部から立設され高さ方向端部を容器本体2の開口部2Aとする枠状の本体側壁2Bであって、内部空間に被収容物Cを収容して前記高さ方向が水平方向となるように容器本体2を立てた状態で被収容物Cを載置する載置面(後側壁24の内面24P,24Q)を有する本体側壁2Bとを備え、前記蓋体3は、容器本体2の開口部2Aを閉塞する板状の天壁3Aを備え、容器本体2の底壁21の上面21Uには、前記容器本体2を立てた状態における上下方向途中位置に、開口部2A側に向かって凸状をなす底壁当接部21Aが凸設されると共に、蓋体3の天壁3Aの下面3Lには、容器本体2の開口部2Aを閉塞した状態で底壁当接部21Aに対向して底壁21側に向かって凸状をなす天壁当接部31Aが凸設されており、被収容物Cを内部空間に収容した容器本体2の開口部2Aを蓋体3で閉塞し、前記高さ方向が水平方向となり、且つ、載置面が下に位置するように容器1を立てた際には、被収容物Cが、載置面に載置されると共に、底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとで挟み込まれて内部空間における移動が規制されるように構成されており、天壁3Aの下面3Lには、前記容器1を立てた状態で内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側とを連通する凹状の溝部6が設けられている。
【0052】
かかる構成からなる容器1によれば、運搬や保管などの場合に、被収容物Cと該被収容物Cを保冷するための保冷材Dとを容器本体2の内部空間に収容して、該容器本体2の開口部2Aを蓋体3で閉塞し、本体側壁2Bの高さ方向が水平方向となるように載置面を下にして容器を立てにすると、被収容物Cは、載置面の上に載置されると共に、底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとで挟み込まれて内部空間における移動が規制されている。この被収容物Cの移動を規制する底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとは、内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側との間で保冷材Dによる冷気が行き来することを阻害する壁となる。ここで、天壁3Aの下面3Lには、前記容器1を立てた状態で内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側とを連通する凹状の溝部6が設けられているので、前記内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側との間で保冷材Dによる冷気が行き来し易くなっている。従って、かかる構成からなる容器1によれば、被収容物Cに対する保冷効率を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る容器1では、前記蓋体3の天壁3Aは、下面3Lの外縁部の一部から垂下して容器本体2の本体側壁2Bの高さ方向端部に嵌合する一対のスカート部5であって、前記容器1を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状のスカート部5を備え、前記天壁当接部31Aは、前記左右方向に長尺に形成されており、前記溝部6は、天壁当接部31Aの左右方向両端部と、前記一対のスカート部5の内面との間に形成されている。
【0054】
かかる構成からなる容器1によれば、溝部6は、左右方向に長尺な天壁当接部31Aの左右方向両端部と、一対のスカート部5の内面との間に形成されており、且つ、被収容物Cは、一般的に容器1内において左右方向の中央部側に収容されるので、左右方向に長尺な天壁当接部31Aによって、前記容器1を立てた際に、被収容物Cの水平方向の移動を十分に規制することができると共に、天壁当接部31Aの左右方向両端部側に設けられた溝部6は、保冷材Dによる冷気を通す通気路として適し、内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側との間で冷気が行き来し易くなっており、被収容物Cに対する保冷効率を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る容器1では、容器本体2は、内部空間を前後方向において前側空間FSと後側空間BSとに区画する仕切り板22を備えているので、前側空間FSに保冷材Dを収容し、後側空間BSに被収容物Cを収容して、両者を内部空間内で分けて収容することができる。また、仕切り板22の通気溝22aを介して、前側空間FSに収容される保冷材Dからの冷気を後側空間BSに行き来させることができる。よって、被収容物Cと保冷材Dとの接触による被収容物Cの品質の低下を防止できると共に、被収容物Cを適度に保冷することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る容器1では、底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとを備えているので、容器1を立てた状態で底壁当接部21Aと天壁当接部31Aとで被収容物Cを挟み込んで内部空間における被収容物Cの位置を位置決めすることができる。よって、容器1内面に被収容物Cがぶつかり品質が低下することを防止できる。
【0057】
また、本実施形態に係る容器1では、容器本体2の載置面(後側壁24の内面)は、凸部24Pと凹部24Qとからなるので、保冷材Dによる冷気が凹部24Qに流れ込むことで、載置面に載置した被収容物Cを基端側から保冷できる。即ち、保冷効率を向上させることができる。
【0058】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
前記実施形態では、溝部6は、スカート部5と天壁当接部31A及び傾斜部31Bとの間の領域として構成される場合について説明したが、これに限らず、溝部6は、蓋体3の左右方向の中央部側で、天壁当接部31A及び傾斜部31Bの長手方向の中央部側に形成することも可能である。また、溝部6は、凹状をなす場合について説明したが、これに限らず、溝部6は、天壁当接部31A及び傾斜部31Bに前後方向に沿って貫通して設けることも可能である。
【0060】
また、前記実施形態では、溝部6は、蓋体3の下面3Lに設けられる場合について説明したが、これに限らず、溝部6は、底壁21の上面21Uと天壁3Aの下面3Lとの少なくとも一方に設けることが可能である。
【0061】
例えば、容器1では、容器本体2の本体側壁2Bは、天壁3Aの一対のスカート部5が高さ方向の端部に嵌合する一対の左右側壁23,23であって、前記容器1を立てた状態の水平方向である前記高さ方向と上下方向とに直交する左右方向に対向する一対の板状の左右側壁23,23を備え、前記底壁当接部21Aは、前記左右方向に長尺に形成されており、溝部6は、底壁当接部21Aの左右方向両端部と、前記一対の左右側壁23,23の内面との間に形成されるように構成することも可能である。
【0062】
この溝部6は、底壁21の上面21Uに設けられており、底壁21の表側領域のうち、左右方向において、左右側壁23,23の内面と、底壁当接部21A及び傾斜部21Bの左右方向両端部とに挟まれた領域からなる。また、この溝部6は、前後方向の中央部側に前後方向に沿って設けられており、前後方向に長尺に形成されている。
【0063】
かかる構成からなる容器1によれば、溝部6は、左右方向に長尺な底壁当接部21Aの左右方向両端部と、一対の左右側壁23,23の内面との間に形成されており、且つ、被収容物Cは、一般的に容器1内において左右方向の中央部側に収容されるので、左右方向に長尺な底壁当接部21Aによって、前記容器1を立てた際に、被収容物Cの水平方向の移動を十分に規制することができると共に、底壁当接部21Aの左右方向両端部側に設けられた溝部6は、保冷材Dによる冷気を通す通気路として適し、内部空間の底壁当接部21A又は天壁当接部31Aよりも上側と下側との間で冷気が行き来し易くなっており、被収容物Cに対する保冷効率を向上させることができる。
【0064】
なお、底壁21の上面21Uと天壁3Aの下面3Lとの両方に溝部6を設ける場合には、底壁21と天壁3Aとの溝部6は、同形状(断面形状、長さ)又は異なる形状で構成することが可能である。また、蓋体3で容器本体2の開口部2Aを閉塞した状態で、底壁21の溝部6と天壁3Aの溝部6とが互いに対向又は対向しないように構成するが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・容器、2・・・容器本体、2A・・・開口部、2B・・・本体側壁、3・・・蓋体、3A・・・天壁、4・・・嵌合用溝、5・・・スカート部、6・・・溝部、21・・・底壁、21A・・・底壁当接部、21B・・・傾斜部、22・・・仕切り板、22a・・・通気溝、23,23・・・左右側壁、24,24・・・前後側壁、24P・・・凸部、24Q・・・凹部、25・・・嵌合用凸条、31A・・・天壁当接部、31B・・・傾斜部、51・・・外縁壁部、52・・・溝壁部、53・・・内側壁部、C・・・被収容物、D・・・保冷材、FS・・・前側空間、BS・・・後側空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12