特許第6114540号(P6114540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114540
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】精米機の搗精部
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20170403BHJP
【FI】
   B02B7/00 P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-267841(P2012-267841)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-113523(P2014-113523A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113919
【氏名又は名称】マルマス機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078031
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 皓一
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(74)【代理人】
【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男
(74)【代理人】
【識別番号】100175891
【弁理士】
【氏名又は名称】原 一敬
(72)【発明者】
【氏名】平野 治親
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】坂下 友浩
(72)【発明者】
【氏名】金井 淳
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一夫
(72)【発明者】
【氏名】大出 博之
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−246120(JP,A)
【文献】 特開平08−299814(JP,A)
【文献】 特開2004−090002(JP,A)
【文献】 特開平11−196638(JP,A)
【文献】 特開平03−004711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00 − 23/04
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受けた玄米を下端の玄米口から排出する玄米ホッパと、この玄米ホッパから受けた玄米を回転搗精する搗精ロールと、この搗精ロールの作用を受ける搗精穀粒を上記玄米口側から前端の白米出口側に案内しつつ除糠する筒状の案内除糠部とを備えてなる精米機の搗精部において、
上記案内除糠部を上記白米出口側から上記搗精ロールの軸線に沿って取出し可能に構成し、上記玄米ホッパの玄米口を開閉するシャッタと、このシャッタを閉位置に付勢保持する付勢部材とを設け、この付勢部材の付勢力に抗して上記シャッタを開位置に保持する対抗部を上記案内除糠部に設けたことを特徴とする精米機の搗精部。
【請求項2】
受けた玄米を下端の玄米口から排出する玄米ホッパと、この玄米ホッパから受けた玄米を回転搗精する搗精ロールと、この搗精ロールの作用を受ける搗精穀粒を上記玄米口側から前端の白米出口側に案内しつつ除糠する筒状の案内除糠部と、この案内除糠部の正面を開放可能に閉じる前扉とを備える精米機の搗精部において、
上記案内除糠部を上記白米出口側から上記搗精ロールの軸線に沿って取出し可能に構成し、上記玄米ホッパの玄米口を開閉するシャッタと、このシャッタを位置に付勢保持する付勢部材とを設け、この付勢部材の付勢力に抗して上記シャッタを位置に保持する対抗部を上記前扉に設けたことを特徴とする精米機の搗精部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能に構成した精米機の搗精部に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の精米機は、玄米を受けるホッパと搗精部とから構成され、ホッパに投入した玄米がホッパ下端の玄米口から搗精部に供給されて精米され、精米に伴って糠等が付着する筒状の搗精網を着脱可能に構成することにより、清掃の際に搗精網を外して容易にメンテナンスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−45714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、ホッパに玄米が残った状態で搗精網を外すと、ホッパ内の玄米がその下端開口から排出されて周りに散逸する事態を招くこととなるので、ホッパの排出口にシャッタを設け、メンテナンスの際に事前にシャッタを閉じることにより、上記事態を回避することができる。
しかしながらシャッタ操作を失念した場合は、煩わしい事前操作を省略した場合を含め、同様の事態を招くこととなる。
【0005】
本発明の目的は、搗精部の清掃の際に、事前のシャッタ操作を失念してもホッパ内の玄米が周りに散逸する事態を回避することができ、煩わしい操作手順を気にすることなく確実にメンテナンス作業に移行することができる精米機の搗精部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、受けた玄米を下端の玄米口から排出する玄米ホッパと、この玄米ホッパから受けた玄米を回転搗精する搗精ロールと、この搗精ロールの作用を受ける搗精穀粒を上記玄米口側から前端の白米出口側に案内しつつ除糠する筒状の案内除糠部とを備えてなる精米機の搗精部において、上記案内除糠部を上記白米出口側から上記搗精ロールの軸線に沿って取出し可能に構成し、上記玄米ホッパの玄米口を開閉するシャッタと、このシャッタを閉位置に付勢保持する付勢部材とを設け、この付勢部材の付勢力に抗して上記シャッタを開位置に保持する対抗部を上記案内除糠部に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、受けた玄米を下端の玄米口から排出する玄米ホッパと、この玄米ホッパから受けた玄米を回転搗精する搗精ロールと、この搗精ロールの作用を受ける搗精穀粒を上記玄米口側から前端の白米出口側に案内しつつ除糠する筒状の案内除糠部と、この案内除糠部の正面を開放可能に閉じる前扉とを備える精米機の搗精部において、上記案内除糠部を上記白米出口側から上記搗精ロールの軸線に沿って取出し可能に構成し、上記玄米ホッパの玄米口を開閉するシャッタと、このシャッタを位置に付勢保持する付勢部材とを設け、この付勢部材の付勢力に抗して上記シャッタを位置に保持する対抗部を上記前扉に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明により、玄米ホッパの玄米口はシャッタによって開閉され、このシャッタは付勢部材によって閉位置に付勢保持され、案内除糠部の対抗部は付勢部材の付勢力に抗してシャッタを開位置に保持するように作用することから、上記精米機の搗精部は、玄米ホッパに貯留された投入玄米が玄米口から搗精ロールに落下供給されて精米が可能となり、その一方で、案内除糠部をその前端の白米出口方向に取出すことによって案内除糠部の対抗部による対抗力が失われてシャッタが自動的に閉位置に付勢保持されることから、シャッタの操作ミスによって玄米ホッパから玄米が散逸する事態を回避することができ、煩わしい操作手順を気にすることなく案内除糠部を取出して確実にメンテナンス作業に移行することができる。
【0010】
請求項2に係る発明により、玄米ホッパの玄米口はシャッタによって開閉され、このシャッタは付勢部材によって閉位置に付勢保持され、前扉に設けた対抗部は、案内除糠部の正面を前扉で閉じた時に、付勢部材の付勢力に抗してシャッタを開位置に保持するように作用することから、上記精米機の搗精部は、玄米ホッパに貯留された投入玄米が玄米口から搗精ロールに落下供給されて精米が可能となり、その一方で、前扉を開いた時に対抗部による対抗力が失われてシャッタが自動的に閉位置に付勢保持されることから、シャッタの操作ミスによって玄米ホッパから玄米が散逸する事態を回避することができ、煩わしい操作手順を気にすることなく、前扉を開いた正面開口から案内除糠部を取出して確実にメンテナンス作業に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1例の精米機のメンテナンス時の要部縦断側面図
図2図1の精米機の内部透視平面図
図3】第2例の精米機の作動時の要部縦断側面図
図4図3の精米機のメンテナンス時の内部透視平面図
図5】第3例の精米機の精米時の要部横断正面図
図6図5の精米機のメンテナンス時の同様の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
(構成例1)
まず、第1の構成例について説明する。
本発明の第1の構成例に係る精米機1aは、メンテナンス時の要部縦断側面図および内部透視平面図を図1図2に示すように、上端開口から受けた玄米を下端の玄米口2aから排出する玄米ホッパ2と、この玄米ホッパ2から受けた玄米を回転搗精する搗精ロール3と、この搗精ロール3の作用を受ける搗精穀粒を玄米口2a側から前端の白米出口4a側に案内しつつ除糠する筒状の案内除糠部4と、この案内除糠部4から受けた糠を下方にガイドする糠ガイド5とを備え、これらを箱状の外装フレームF内に収容し、前扉Dからメンテナンス可能に構成される。
【0014】
玄米ホッパ2には、玄米口2aを開閉するシャッタ6を設ける。シャッタ6には、玄米口2aと対応する形状Wの透孔6aを形成し、この透孔6aが玄米口2aを外れる閉位置まで前後方向のスライド動作Sを可能にブラケット2bに支持し、このシャッタ6を閉位置に付勢保持する付勢部材であるコイルスプリング7を設ける。
【0015】
案内除糠部4は、白米出口4aに設けた搗精調節部4bと一体に搗精ロール3の軸線に沿って取出し可能に構成し、さらに、案内除糠部4にはシャッタ6に干渉する範囲に対抗部4cを突設し、この対抗部4cは、案内除糠部4が装着状態でシャッタ6に直接的にまたは間接的に干渉することにより、シャッタ6の付勢部材7の付勢力に抗してシャッタ6を開位置に保持する関係位置に配置する。
【0016】
上記構成の精米機1aは、玄米ホッパ2の下端の玄米口2aをシャッタ6により開閉することができ、このシャッタ6は付勢部材7によって閉位置に付勢保持され、その一方で、装着状態の案内除糠部4の対抗部4cが付勢部材7の付勢力に抗してシャッタ6を開位置に保持するように作用する。
【0017】
したがって、精米機1aの作動時は、シャッタ6が開位置に保持されることにより、玄米ホッパ2に貯留された投入玄米が玄米口2aから搗精ロール3に落下供給されて精米が可能となる。その一方で、案内除糠部4の取出し操作Aによってその前端の白米出口4aの方向に取出した場合は、案内除糠部4の対抗部4cによる対抗力が失われてシャッタ6が自動的に閉位置に付勢保持されて玄米口2aが閉鎖される。
【0018】
このように、精米機1aのメンテナンスに際して、事前のシャッタ操作を要することなく、案内除糠部4を取外すことによって自動的にシャッタ6が閉じらることから、玄米ホッパ2に玄米が残留している場合について、事前のシャッタ操作の失念や煩わしい操作手順のミス等に伴って引き起されることとなる玄米ホッパからの玄米散逸の事態を招くことなく、案内除糠部を取出して、随時、メンテナンス作業を実施することができる。
なお、案内除糠部4の取出しにより、搗精部の残留米は糠受箱等に収容される。
【0019】
(構成例2)
次に、第2の構成例について説明する。なお、以下において、前記同様の部材は、その符号を付して説明を省略する。
本発明の第2の構成例に係る精米機1bは、精米時の要部縦断側面図およびメンテナンス時の内部透視平面図を図3図4に示すように、ブラケット2bにスライド支持したシャッタ6の前端から受部6bを延長し、この受部6bに干渉する範囲に対抗部14cを前扉Dから内方に向けて突設し、この対抗部14cは、前扉Dを閉じた状態でシャッタ6に直接的にまたは間接的に干渉することにより、シャッタ6の付勢部材7の付勢力に抗してシャッタ6を開位置に保持する関係位置に配置する。
【0020】
上記構成の精米機1bは、玄米ホッパ2の下端の玄米口2aをシャッタ6により開閉することができ、このシャッタ6は付勢部材7によって閉位置に付勢保持され、その一方で、閉鎖状態の前扉Dの対抗部14cが付勢部材7の付勢力に抗してシャッタ6を開位置に保持するように作用する。
【0021】
したがって、前扉Dを閉じた時は、その対抗部14cが受部6bに作用してシャッタ6が開位置に保持されることにより、玄米ホッパ2に貯留された投入玄米が玄米口2aから搗精ロール3に落下供給されて精米が可能となる。その一方で、前扉Dの開放操作Bによってその対抗部14cが受部6bから離脱した場合は、対抗部14cによる対抗力が失われ、シャッタ6が自動的に閉位置に付勢保持されて玄米口2aが閉鎖されることから、前扉Dの開口から案内除糠部4の取出しが可能となる。
【0022】
このように、精米機1bのメンテナンスに際して、事前のシャッタ操作を要することなく、前扉Dを開くことによって自動的にシャッタ6が閉じらることから、玄米ホッパ2に玄米が残留している場合について、事前のシャッタ操作の失念や煩わしい操作手順のミス等に伴って引き起されることとなる玄米ホッパからの玄米散逸の事態を招くことなく、案内除糠部4を取出して、随時、メンテナンス作業を実施することができる。
【0023】
(構成例3)
次に、第3の構成例について説明する。
本発明の第3の構成例に係る精米機1cは、精米時の要部横断正面図およびメンテナンス時の同様の図を図5図6に示すように、玄米口2aを開閉可能にシャッタ26を設け、このシャッタ26を開閉操作するための操作部材27を設ける。また、シャッタ26が開位置にある時に案内除糠部24に係合してその取出しを規制するロック部材Lをシャッタ26と一体に、または、シャッタ26と連動可能に構成する。
【0024】
図例においては、シャッタ26をロック部材Lとして案内除糠部24の取出しを規制可能に構成する。すなわち、玄米ホッパ2の玄米口2aにシャッタ26を軸支して開閉動作θが可能に構成し、このシャッタ26が下方に開いた位置で、少なくともシャッタ26の一部がその下方の案内除糠部24に開口する玄米受口24aに係合する範囲にシャッタ26を配置する。また、操作部材27の一端にノブ27aを設け、このノブ27aの進退操作Cによるスライド動作Sによってシャッタ26を開位置から閉位置に切替えが可能に操作部材27をブラケット2cにスライド支持する。
【0025】
上記構成の精米機1cは、ブラケット2cにスライド支持した操作部材27を介して玄米ホッパ2の下端の玄米口2aをシャッタ26により開閉することができ、このシャッタ26と一体または連動のロック部材Lの系脱が切替えられ、シャッタ26が閉位置の場合に限りロック部材Lが解除されて案内除糠部24の取外しが可能となることから、玄米ホッパ2に玄米が残留している場合について、事前のシャッタ操作の失念や煩わしい操作手順のミス等に伴って引き起されることとなる玄米ホッパからの玄米散逸の事態を招くことなく、案内除糠部4を取出して、随時、メンテナンス作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0026】
1a 精米機(第1構成例)
1b 精米機(第2構成例)
1c 精米機(第3構成例)
2 玄米ホッパ
2a 玄米口
3 搗精ロール
4 案内除糠部
4a 白米出口
4c 対抗部
6 シャッタ
6a 透孔
6b 受部
7 コイルスプリング(付勢部材)
14c 対抗部
24 案内除糠部
24a 玄米受口
26 シャッタ
27 操作部材
A 取出し操作
B 開放操作
C 進退操作
D 前扉
L ロック部材
S スライド動作
W 透孔
θ 開閉動作
図1
図2
図3
図4
図5
図6