特許第6114544号(P6114544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小森コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6114544-番号印刷機 図000002
  • 特許6114544-番号印刷機 図000003
  • 特許6114544-番号印刷機 図000004
  • 特許6114544-番号印刷機 図000005
  • 特許6114544-番号印刷機 図000006
  • 特許6114544-番号印刷機 図000007
  • 特許6114544-番号印刷機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114544
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】番号印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/02 20060101AFI20170403BHJP
   B41F 33/14 20060101ALI20170403BHJP
   B41F 33/08 20060101ALI20170403BHJP
   B41F 11/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B41F35/02
   B41F33/14
   B41F33/08 S
   B41F11/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-275352(P2012-275352)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2013-163368(P2013-163368A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2012-4734(P2012-4734)
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】井田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】名倉 裕人
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−268253(JP,A)
【文献】 特開昭63−281883(JP,A)
【文献】 特開2007−210326(JP,A)
【文献】 特表2000−511835(JP,A)
【文献】 特表2011−530428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/02
B41F 11/00
B41F 33/08
B41F 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
番号印刷機において、
本体フレームに回転可能に支持され、複数の番号器が軸方向に一列に並ぶ番号器列をなすよう配列されるとともに、当該番号器列が円周方向に複数配設された番号胴と、
前記番号胴を回転させる番号胴駆動モータと、
前記番号胴の回転位相を検出する番号胴位相検出装置と、
本体フレームに移動自在に支持され前記番号器に対接して移動することにより前記番号器を洗浄するブラシ部材と、
前記ブラシ部材を移動させるブラシ部材駆動装置と、
前記番号胴位相検出装置の検出結果に基づき、前記番号胴を回転させて前記番号器列を前記ブラシ部材と対接する位置へ位置付けて当該番号胴を停止させ、前記ブラシ部材を移動させるよう前記番号胴駆動モータおよび前記ブラシ部材駆動装置を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする番号印刷機。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記番号胴位相検出装置の検出結果に基づいて、一つの前記番号器列を洗浄した後、隣接する前記番号器列が前記ブラシ部材と対接する位置へ位置付けられるように前記番号胴駆動モータを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の番号印刷機。
【請求項3】
前記ブラシ部材は回転可能かつ軸方向へ揺動可能に支持されたブラシローラであり、
前記ブラシ部材駆動装置は、前記ブラシローラを回転させるブラシローラ回転駆動装置と前記ブラシローラを前記軸方向へ揺動させるブラシローラ揺動駆動装置と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の番号印刷機。
【請求項4】
前記制御装置は、一つの前記番号器列を洗浄した後、前記ブラシ部材を停止させるように前記ブラシ部材駆動装置を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の番号印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷物に番号を印刷する番号印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、番号印刷機では、被印刷物に対して番号を印刷する番号胴が設けられており、この番号胴には多数の番号器が取り付けられている。番号印刷中に番号器にはインキが残存付着するためジョブ単位または1日の作業単位で洗浄する必要がある。
【0003】
番号印刷機において番号器を洗浄する場合、当該番号胴を取り外して行われることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−281883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、番号器を取り外して洗浄を行う方法では、番号胴の取付け取外し作業を行わなければならず、洗浄作業に時間がかかるとともに、作業者が全て手作業で洗浄を行わなければならず、作業者に多大な身体的負担を強いるという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、作業者にかかる時間を短縮するとともに作業者にかかる身体的負担を大幅に軽減して、容易かつ効率的に番号器を洗浄し得る番号印刷機を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明では、番号印刷機において、本体フレームに回転可能に支持され、複数の番号器が軸方向に一列に並ぶ番号器列をなすよう配列されるとともに、当該番号器列が円周方向に複数配設された番号胴と、前記番号胴を回転させる番号胴駆動モータと、前記番号胴の回転位相を検出する番号胴位相検出装置と、本体フレームに移動自在に支持され前記番号器に対接して移動することにより前記番号器を洗浄するブラシ部材と、前記ブラシ部材を移動させるブラシ部材駆動装置と、前記番号胴位相検出装置の検出結果に基づき、前記番号胴を回転させて前記番号器列を前記ブラシ部材と対接する位置へ位置付けて当該番号胴を停止させ、前記ブラシ部材を移動させるよう前記番号胴駆動モータおよび前記ブラシ部材駆動装置を制御する制御装置とを備えるようにする。
【0008】
また本発明において、前記制御装置は、前記番号胴位相検出装置の検出結果に基づいて、ひとつの前記番号器列を洗浄した後、隣接する前記番号器列が前記ブラシ部材と対接する位置へ位置付けられるように前記番号胴駆動モータを制御するようにすることができる。
【0009】
さらに本発明において、前記ブラシ部材は回転可能かつ軸方向へ揺動可能に支持されたブラシローラであり、前記ブラシ部材駆動装置は、前記ブラシローラを回転させるブラシローラ回転駆動装置と前記ブラシローラを前記軸方向へ揺動させるブラシローラ揺動駆動装置とを備えるようにすることができる。
【0010】
さらに本発明において、前記制御装置は、ひとつの前記番号器列を洗浄した後、前記ブラシ部材を停止させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、番号胴を本体フレームから取り外すことなく番号器を自動的に洗浄することができ、かくして洗浄作業を短時間でかつ容易に行うことができるとともに、作業者にかかる身体的負担を大幅に軽減することができる。また、番号胴を停止させた状態で番号器列を洗浄するので、番号器を確実にブラッシングすることができ、番号器に付着したインキが周囲に飛散し周辺部材を汚してしまうことがない。
【0012】
また本発明によれば、ブラシ部材の回転および軸方向への揺動により、確実に番号器を洗浄することができる。
【0013】
さらに本発明によれば、番号器列の洗浄後、次の番号器が洗浄する位置に到達するまでの間は、ブラシ部材を停止させるので、ブラシ部材に付着したインキが周囲に飛散し周辺部材を汚してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】番号印刷機の全体構成を示す側面図である。
図2】番号印刷機において移動インカーが退避位置へ移動したときの状態を示す側面図である。
図3】番号胴の番号器をブラシローラユニットによって洗浄するときの説明に供する側面図である。
図4】ブラシローラユニットの構成を示す断面図である。
図5】ブラシローラユニットと番号胴の番号器とが対接したときの状態を示す側面図である。
図6】ドクターにより壺ローラを洗浄するときの状態を示す側面図である。
図7】番号印刷機における番号器及び壺ローラの洗浄を行うための回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<番号印刷機の構成>
図1に示すように番号印刷機1は、シート供給部としての給紙部2と、シート処理部としての印刷部3と、シート排出部としての排紙部4とを備えている。
【0017】
給紙部2には、別の印刷機によって絵柄が印刷された多数の被印刷物としてのシート5を積載する積載台7およびシート5を1枚づつ吸着してフィーダボード6へ搬送するサッカー(図示せず)が設けられている。
【0018】
フィーダボード6のシート搬送方向の先端には、シート5を保持して搬送するスイング装置8が設けられ、スイング装置8には渡し胴9が対向配置され、当該渡し胴9が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。
【0019】
渡し胴9には渡し胴10が対向配置され、その渡し胴10が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。渡し胴10には渡し胴9との対接部よりもシート搬送方向下流側に渡し胴11が対向配置され、その渡し胴11が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。渡し胴9乃至11には、シート5の先端(くわえ側端部)をくわえた状態で保持するためのくわえ爪装置(図示せず)が設けられている。
【0020】
渡し胴11には、渡し胴10との対接部よりもシート搬送方向下流側に圧胴12が対向配置され、その圧胴12が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。圧胴12には、渡し胴11との対接部よりもシート搬送方向下流側に印章胴13、第1の番号胴14、および第2の番号胴15が順次対向配置され、これら印章胴13、第1の番号胴14および第2の番号胴15が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。ここで圧胴12は印章胴13、第1の番号胴14および第2の番号胴15の直径の2倍の直径を有する2倍胴として構成され、シート5の先端(くわえ側端部)をくわえた状態で保持するくわえ爪装置(図示せず)が円周方向に互いに180度位相をずらして2組設けられている。
【0021】
印章胴13は、圧胴12により搬送されるシート5に対して印章を印刷するものである。印章胴13には、インキ壺とローラ群とからなり、印章胴13にインキを供給する印章インカー19が対向配置され、その印章インカー19は本体フレーム3aに取り付けられている。
【0022】
第1の番号胴14および第2の番号胴15は、圧胴12により搬送されるシート5に対して番号を印刷するものである。
【0023】
第1の番号胴14にはインキ壺とインカーローラ群(壺ローラ301を含む)とからなるインキ供給装置としての第1の番号インカー20aが対向配置され、当該第1の番号インカー20aが移動インカー100のインカーフレーム100aに取り付けられている。第2の番号胴15にはインキ壺とインカーローラ群(壺ローラ301を含む)とからなるインキ供給装置としての第2の番号インカー20bが対向配置され、当該第2の番号インカー20bが移動インカー100のインカーフレーム100aに取り付けられている。
【0024】
移動インカー100は、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bと第1の番号胴14および第2の番号胴15とが対接する印刷位置(図1)と、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bが第1の番号胴14および第2の番号胴15から離反した退避位置(図2)との間で移動可能に支持されている。移動インカー100はモータや油圧シリンダ等の移動インカー駆動装置510(図6)により移動される。
【0025】
移動インカー100の印刷位置および退避位置に対応する本体フレーム3aには、図1に示すように、移動インカー100の位置を検出するインカー位置検出器502b、502cが取り付けられている。インカー位置検出器502b、502cは、インカーフレーム100aに取り付けられた被検出体502aが近接したことを検出する近接センサーから構成される。
【0026】
なお、インカー位置検出器502b、502cは近接センサに限定されずにリミットスイッチなどの接触式スイッチで構成しても良い。また、ポテンショメータやレーザ変位計のような移動インカー100の絶対位置を検出する位置検出器であってもよい。要は移動インカー100が印刷位置(図1)に存在する否かを検出するものであればよい。
【0027】
本体フレーム3a、圧胴12、印章胴13、印章インカー19、第1の番号胴14、第2の番号胴15により本体側印刷部を構成し、インカーフレーム100a、インキ供給装置(第1の番号インカー20a、第2の番号インカー20b)により移動インカー100を構成し、本体側印刷部と移動インカー100とにより印刷部3を構成する。
【0028】
圧胴12には、第2の番号胴15との対接部よりもシート搬送方向下流側で、かつ、渡し胴11との対接部よりもシート搬送方向上流側に、渡し胴16が対向配置され、その渡し胴16が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。この渡し胴16には、シート5の先端(くわえ側端部)をくわえた状態で保持するためのくわえ爪装置(図示せず)が設けられている。
【0029】
渡し胴16には、圧胴12との対接部よりもシート搬送方向下流側に2倍胴でなる検査胴17が対向配置されている。検査胴17には、シート5の先端(くわえ側端部)をくわえた状態で保持する図示しないくわえ爪装置が円周方向に互いに180°位相をずらして2組設けられている。検査胴17の周面には、多数の吸引孔(図示せず)が設けられ、これらの吸引孔が負圧源(図示せず)に接続されている。
【0030】
本体フレーム3aには、検査胴17の周面に巻き付けられた状態で搬送されるシート5の印章および番号の品質(例えば、印章および番号の位置や濃度)を検査する検査カメラ101、102が検査胴17の周面に指向して設けられている。検査カメラ101は、例えば通常のインキで印刷された箇所の番号の位置や濃度を検出するものである。検査カメラ102は例えば紫外線硬化型インキ(UV(Ultra Violet)インキ)で印刷された箇所の番号の位置や濃度を検出するものである。検査カメラ101、102により検査されるインキの種類はこれに限定されるものではない。また、検査胴17、検査カメラ101、102により検査部を構成する。
【0031】
検査胴17には、渡し胴16との対接部よりもシート搬送方向下流側に排紙胴21が対向配置され、その排紙胴21が本体フレーム3aに回動自在に支持されている。排紙胴21と同軸上に設けられた左右一対のスプロケット(図示せず)と、排紙部4の終端部に設けられた左右一対のスプロケット22との間にはシート5を排紙部4へ搬送する左右一対の排紙チェーン23が張架されている。
【0032】
これら左右の排紙チェーン23には、シート5の先端(くわえ側端部)をくわえた状態で保持する複数個の爪竿24が一定間隔で並設されている。排紙チェーン23の下方には、検査カメラ101、102により検査された良品のシート5が排出される第1の良品排出装置31および第2の良品排出装置32と、不良のシート5が排出される不良品排出装置33とが設けられている。また、排紙胴21、スプロケット22、排紙チェーン23、爪竿24、第1の良品排出装置31、第2の良品排出装置32、不良品排出装置33により排紙部4を構成する。
【0033】
<番号胴の構成>
次に、印刷部フレーム3aに取り付けられた第1の番号胴14および第2の番号胴15の構成について説明するが、双方共に同一構成であるため、ここでは便宜上、第2の番号胴15について説明し、第1の番号胴14についてはその説明を省略する。
【0034】
図3及び図5に示すように、第2の番号胴15の胴軸15aにはその軸方向に複数(本実施の形態においては5個)のマウントリング15bが並設されており、マウントリング15bの外周面には円周方向に複数(この場合は10個)の番号器50が一定間隔で取り付けられている。すなわち複数の番号器50は第2の番号胴15上で軸方向および円周方向に行列をなして配設されており、第2の番号胴15の軸方向へ一列に並ぶ複数の番号器50が番号器列50dを構成し、本実施の形態においては10列の番号器列50dが円周方向に配設されている。
【0035】
番号器50は、マウントリング15bに固定された番号器台50aと、当該番号器台50aに取り付けられ、シート5に番号を印刷する字輪50bを備えている。マウントリング15bには、10個の番号器50の他に複数(この場合は8個)のバランス調整用のウェイト50cが一定間隔で取り付けられている。このウェイト50cは、番号器50と同じ重さを有しており、番号器50が取り付けられていない箇所に取り付けられることにより、マウントリング15bの外周面に一定間隔で番号器50と同じ重さがかかり、重量バランスに偏りが生じることを防止している。
【0036】
第2の番号胴15の近傍には、第2の番号胴15における番号器50の字輪50bを洗浄する第1の洗浄装置としてのブラシローラユニット200が本体フレーム3aに対して着脱自在に取り付けられている。
【0037】
<ブラシローラユニットの構造>
図4に示すように、ブラシローラユニット200は、一対のフレーム200aとこの一対のフレーム200aの内側に固定されたサブフレーム200bを備えている。一対のフレーム200aの本体フレーム3aに対向する側面には端軸202aがそれぞれ突設されており、本体フレーム3aに固定された受台151のU字状の凹部151aに嵌め込まれている。
【0038】
また、フレーム200aの本体フレーム3aに対向する側面にはL字形状をしたブラケット156がそれぞれ固定されており、このブラケット156の先端には凹部が設けられている。左右の本体フレーム3aにはピン152がそれぞれ回動自在に支持されており、このピン152の本体フレーム3aの内側への突出部152aには雌ネジが形成され、この突出部152aの雌ネジにはボルト153の雄ネジが螺合している。このボルト153の軸はブラケット156の凹部に嵌め込まれ、頭部155にはダイヤルが設けられている。154はボルト153に螺合するロックナットであり、頭部155との間でブラケット156を挟持してボルト153をブラケット156に固定したり、ボルト153とブラケット156との固定を解除するものである。
【0039】
フレーム200aの一方およびサブフレーム200bの一方には回転軸210が回転可能かつ軸方向へ移動自在に支持されており、この回転軸210にはギア211が固定されている。また、フレーム200aの他方およびサブフレーム200bの他方には、揺動軸213が回転可能かつ軸方向へ移動自在に支持されており、この揺動軸213には円周方向に沿う係合溝213aが設けられた溝付き係合部材213bが固定されている。
【0040】
ブラシ部材としてのブラシローラ201は、中空軸部201aと、当該中空軸部201aにネジ251で固定された複数個(本実施の形態では5個)の洗浄ブラシ250と、中空軸部200aの両端にそれぞれ固定された一対の連結部材201bとを備える。複数の洗浄ブラシ250は、第2の番号胴15の番号器50に対応して設けられている、すなわち、図5に示されるように、ブラシローラユニット200が本体フレーム3aに取り付けられた際に、複数の洗浄ブラシ250が第2の番号胴15における番号器列50dの複数の番号器50に対接するように、当該洗浄ブラシ250が番号器列50dの番号器50と同じ個数かつ同じ軸方向の位置に配設されているのである。
【0041】
ブラシローラ201の両端に嵌合された一対の連結部材201bの一方は回転軸210にボルト220で固定され、一対の連結部材201bの他方は揺動軸213にボルト220で固定されている。
【0042】
ブラシローラユニット200の一対のサブフレーム200bの一方には、回転駆動用モータ202が固定されており、当該回転駆動用モータ202の回転軸には回転軸210のギア211と噛合するギア202bが固定されている。また、一対のサブフレーム200bの他方には、揺動駆動用モータ203が固定されており、当該揺動駆動用モータ203の回転軸には円周方向に沿いかつ円周方向に対して傾斜する係合溝203cを有する溝カム203bが固定されている。
【0043】
そして、一対のサブフレーム200bの他方には取付台231が固定されており、この取付台231にはレバー230がピン231aを中心に揺動可能に支持されている。取付台231の一端側には、溝カム203bの係合溝203cに係合されるカムフォロア230aが設けられる。取付台231の他端側には、溝付き係合部材213bの係合溝213aに係合されるコロ230bが設けられている。
【0044】
ここで、回転駆動用モータ202、ギア211、ギア202b、回転軸210によりブラシ回転装置を構成し、揺動駆動用モータ203、溝カム203b、カムフォロア230a、レバー230、コロ230b、溝付き係合部材213bによりブラシ往復装置を構成する。また、ブラシ回転装置およびブラシ往復装置はブラシ部材駆動装置508(図7)を構成しているが、ブラシ部材駆動装置508は、ブラシ回転装置とブラシ往復装置の両方を備えている必要はなく、少なくとも一方を備えていれば良く、要は第1の番号胴14及び第2の番号胴15に配設された番号器列を構成している複数の番号器50に洗浄ブラシ250を対接させた状態で接触面にほぼ平行な方向(円弧を描く方向または斜め方向)に当該洗浄ブラシ250を移動させれば良いのである。
【0045】
<番号インカーの洗浄装置の構成>
続いて、図6に示すように、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bの壺ローラ301をドクター71によって洗浄する第2の洗浄装置としての番号インカー洗浄装置300の構成について説明する。因みに、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bについては同一構成であるため、ここでは便宜上、第1の番号インカー20aを例として説明する。
【0046】
第1の番号インカー20aにおいて、インキ壺312は、移動インカー100の左右のインカーフレーム100aにそれぞれ取り付けられ、壺ローラ301に対する遠近方向へ延びる左右両側のスライドレール311bにスライド自在に支持されている。これにより、インキ壺312は壺ローラ301に近接する近接位置と図6に示される壺ローラ301から離間する退避位置との間に位置付けられるように往復移動する。
【0047】
スライドレール311bの壺ローラ301側の端部には、回動軸81aが回動自在に支持されており、この回動軸81aにドクター保持部材70が固定されている。ドクター保持部材70には後述するドクター71がボルト等により着脱可能に固定される。
【0048】
また、スライドレール311bには、インキ壺312の位置を検出するインキ壺位置検出器511a、511bが取り付けられている。すなわち、インキ壺位置検出器511aは光電スイッチからなり、スライドレール311bの壺ローラ301側の端部に設けられ、インキ壺312が作動位置に位置することを検出する。インキ壺位置検出器511bは光電スイッチからなり、スライドレール311bの壺ローラ301とは反対側の端部に設けられ、インキ壺312が退避位置に位置することを検出する。
【0049】
ドクター71は、壺ローラ301の周面の軸方向長さとほぼ同じ長さを有し、先端が壺ローラ301に当接するドクターブレード74と、当該ドクターブレード74の基端部が固定され壺ローラ301の周面の軸方向長さとほぼ同じ長さを有する略直方体形状でなり、その内部に洗浄液収容空間が形成された受け皿71aを備える。
【0050】
回動軸81aには、エアーシリンダー80のロッド80eの先端部80cに回動自在に支持されたアーム81の他端部が固定されている。エアーシリンダー80は、その基端部80bがインカーフレーム100aに固定された支持板78に設けられている軸78aを介して回動自在に支持されている。エアーシリンダー80のロッド80eが伸長すると、図6に示されるようにドクター71はドクターブレード74の先端が壺ローラ301の周面から離間する脱位置に位置付けられ、エアーシリンダー80のロッド80eが退縮すると、ドクター71はドクターブレード74の先端が壺ローラ301の周面に接触する洗浄位置としての着位置に位置付けられる。ドクター保持部材70、回動軸81a、エアーシリンダ80、アーム81によりドクター着脱装置が構成されている。
【0051】
ドクター71は、受け皿71aの壺ローラ301側の側壁下方に固定された支柱76に取り付けられ、当該ドクター71の下方へ延びるカバー77を備えている。カバー77は、ドクター71の下方部分において壺ローラ301を覆い、第1の番号インカー20a側から壺ローラ301および当該壺ローラ301への異物の侵入を阻止し、壺ローラ301を保護する。また、ドクター保持部材70には、当該ドクター保持部材70に取り付けられたドクター71を検出するドクター装着検出器512(図6)が設けられている。
【0052】
第1の番号インカー20aでは、壺ローラ301の上方に当該壺ローラ301を洗浄するための溶剤でなる洗浄液を噴射する噴射ノズル82が、当該壺ローラ301へ指向された状態でインカーフレーム100aに支持されている。この噴射ノズル82には、当該噴射ノズル82からの洗浄液の噴射・停止を切替える電磁弁82a(図7)が接続されている。噴射ノズル82および電磁弁82aによって洗浄液供給装置が構成される。番号インカー洗浄装置300は、ドクター71、ドクター着脱装置(エアーシリンダ80等)、および洗浄液供給装置(噴射ノズル82等)から構成される。
【0053】
噴射ノズル82の下方には、当該噴射ノズル82から滴下された洗浄液を受ける受け皿86が設けられているとともに、壺ローラ301の下方にはインキや洗浄液を受ける固定パン99が設けられている。また、インキ壺本体312の下部に設けられたブラケット312aには、インキ壺の先端の下方に位置付けられインキや洗浄液を受けるインキパン312bが設けられている。
【0054】
<番号器および番号インカーの洗浄処理を制御するための構成>
次に、番号印刷機1において、第1の番号胴14および第2の番号胴15の軸方向へ番号器50が一列に並べられて構成された番号器列の各番号器50に対する洗浄処理と、第1の番号インカー20a及び第2の番号インカー20bの壺ローラ301(およびインカーローラ群)に対する洗浄処理とを制御するための回路構成について説明する。
【0055】
図7に示すように、番号印刷機1は、全体を統括制御するためのCPU(Central processing Unit)構成でなる制御装置501を備えている。制御装置501には、インカー位置検出手段としてのインカー位置検出器502b、502c、第1の番号胴14および第2の番号胴15の回転位相を検出する例えばロータリエンコーダからなる番号胴位相検出装置503、各種時間を計時するタイマー504、洗浄開始スイッチ513、インキ壺位置検出器511a、511b、およびドクター検出器512が接続されている。
【0056】
制御装置501には、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bのインカーローラ群を回転させるモータでなる番号インカーのインカーローラ駆動装置505、ドクター71を移動させるエアーシリンダ80(図5)、番号印刷機1を駆動させる主モータであって第1の番号胴14および第2の番号胴15を回転させる番号胴駆動モータ507、洗浄ブラシ250を移動するためのブラシ部材駆動装置508(回転駆動モータ202および揺動駆動モータ203)、移動インカー100を移動させる移動インカー駆動装置510、噴射ノズル82の電磁弁82aが接続されている。
【0057】
<番号印刷機における印刷動作>
次に、このように構成された番号印刷機1における印刷動作について説明する。番号印刷機1では、図1に示されるように、移動インカー100が移動インカー駆動装置510によって印刷位置に位置付けられているときに印刷動作が行われる。すなわち、移動インカー100が印刷位置に位置付けられるとインカー位置検出器502bが被検出体502aを検出し、制御装置501は番号印刷機1の主モータである番号胴駆動モータ507やインカーローラ駆動装置505を印刷速度で駆動するよう制御する。
【0058】
番号印刷機1が運転されると、給紙部2の積載台7上のシート5は、図示しないサッカー装置によって1枚ずつ吸引されてフィーダーボード6に送り出され、スイング装置8から渡し胴9、10、11のくわえ爪装置を順次介してくわえ替えされたシート5が印刷部3の圧胴12へ受け渡される。
【0059】
圧胴12に受け渡されたシート5は圧胴12の回転とともに搬送され、圧胴12と印章胴13との間を通過する。その際、印章インカー19aから供給されたインキにより印章胴13を介してシート5に印章が印刷される。その後、圧胴12の回転とともに搬送されるシート5は圧胴12と第1の番号胴14との間を通過する。その際、第1の番号インカー20aから供給されたインキにより第1の番号胴14を介してシート5に第1の番号が印刷される。圧胴12がさらに回転すると、シート5は圧胴12と第2の番号胴15との間を通過する。その際、第2の番号インカー20bから供給されたインキにより第2の番号胴15を介してシート5に第2の番号が印刷される。
【0060】
印章および番号が印刷されたシート5は、渡し胴16を介して検査胴17のくわえ爪装置によってくわえ替えされて搬送される。その際、シート5は検査胴17の周面に設けられた多数の吸引孔により吸引され、当該検査胴17の周面に密着された状態で検査カメラ101及び/又は102により印章および番号の位置や濃度が検査される。検査カメラ101及び/又は102により検査されたシート5は、爪竿24にくわえ替えられ排紙チェーン23の走行によって搬送され、排紙部4に排出される。
【0061】
ここで、検査カメラ101又は102からの撮像データに基づいて制御装置501が良品と判断したシート5は、第1の良品排出装置31または第2の良品排出装置32へ排出され、制御装置501が不良と判断されたシート5は、不良品排出装置33へ排出される。
【0062】
番号印刷機1では、図2に示されるように、移動インカー100が移動インカー駆動装置510によって印刷部3の本体フレーム3aから離間し、第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bが第1の番号胴14および第2の番号胴15から離反した退避位置に位置付けられると、印刷部3の本体フレーム3aに支持されている第1の番号胴14および第2の番号胴15と、インカーフレーム100aとの間に、作業者の進入を許容し当該作業者に圧胴12等のメンテナンス作業を実行させ得る広さのメンテナンス空間SPC1が形成される。
【0063】
作業者はメンテナンス空間SPC1に進入し、その場に位置した状態で、圧胴12の周面に装着されているトップシートの汚れを拭き取ったり、当該トップシートの交換を行うといったメンテナンス作業、および後述するブラシローラユニット200の取付け取外し作業を実行することができる。
【0064】
ここで、移動インカー100が退避位置に位置付けられるとセンサ502cが被検出体502aを検出し、これにより制御装置501は、番号印刷機1の主モータである番号胴駆動モータ507やインカーローラ駆動装置505をメンテナンス空間SPC1に進入した作業者による押しボタン操作によってのみ駆動できるようにして、印刷速度では駆動できないように制御する。この制御装置501による制御は、インカー位置検出器502bが被検出体502aを検出しない、すなわち移動インカー100が印刷位置に位置付けられていないことを検出したときに行なうようにしても良い。
【0065】
番号印刷機1におけるシート5への印刷処理が終了すると、番号器50および第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bを同時に洗浄する。洗浄に先立ち、ブラシローラユニット200およびドクター71を番号印刷機1に取付ける。
【0066】
<ブラシローラユニットの取り付け>
作業者は移動インカー100を退避位置に位置付け、メンテナンス空間SPC1に進入してブラシローラユニット200を取付ける。すなわち、ブラシローラユニット200の端軸202aを左右の本体フレーム3aの受台151の凹部に嵌め込み、ボルト153をピン152を中心に回動させ、当該ボルト153の軸をブラシローラユニット200のブラケット156の凹部に嵌め込んだ後、ロックナット154を締めて当該ロックナット154と頭部155との間でブラケット156を挟持してボルト153を固定する。
【0067】
このように、ブラシローラユニット200を左右の本体フレーム3aに取付けると、図5に示すように、ブラシローラ201における複数の洗浄ブラシ250が、第1の番号胴14および第2の番号胴15の番号器列の各番号器50にそれぞれ対接された状態となる。
【0068】
洗浄ブラシ250の番号器50に対する接触圧力を調整する場合は、ボルト153の調整ダイヤル付きの頭部155を介して調整することができる。すなわち、ロックナット154を緩めて当該ロックナット154と頭部155によるブラケット156の固定を解除した後、頭部155を一方向に回転すると、ピン152の突出部152aの雌ねじ部に螺合しているボルト153がねじ作用によって移動して、ブラシローラ201が第2の番号胴15へ近づく方向へ移動(図5中上方へ)する。
【0069】
これにより、ブラシローラユニット200のブラシローラ201における複数の洗浄ブラシ250が、第1の番号胴14および第2の番号胴15の番号器列に近づくことになり、複数の洗浄ブラシ250と複数の番号器50との接触圧力が高められる。
【0070】
一方、調整ダイヤル155を他方向へ回転させると、ボルト153が先程とは反対の方向へ移動し、ブラシローラ201が第2の番号胴15から離反する方向へ移動(図5中下方へ)する。
【0071】
これにより、ブラシローラユニット200のブラシローラ201における複数の洗浄ブラシ250が、第1の番号胴14および第2の番号胴15の番号器列から離れることになり、複数の洗浄ブラシ250と複数の番号器50との接触圧力が弱められる。接触圧力を調整した後は、ロックナット154を締めて当該ロックナット154と頭部155との間でブラケット156を挟持してボルト153を固定する。
【0072】
ブラシローラユニット200を番号印刷機1に取付けた後、移動インカー100を印刷位置へ位置付けると、インカー位置検出器502bが被検出体502aを検出する。これにより、制御装置501は番号印刷機1の主モータである番号胴駆動モータ507を洗浄速度で駆動することを可能とするとともに、後述する第1の番号胴14および第2の番号胴15の洗浄を行なうことを可能とする。
【0073】
<ドクターの取り付け>
ブラシローラユニット200の左右の本体フレーム3aへの取付けの後、ドクター71を第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bへ取り付ける。
【0074】
図6に示されるように、壺ローラ301を含む多数のインカーローラの回転が停止している状態で、作業者はインキ壺312を2点鎖線で示される退避位置に手動で移動させた後、ドクター71をドクター保持部材70に取り付ける。ドクター71をドクター保持部材70に取り付ける際、エアーシリンダー80のロッド80eは伸長しており、ドクター71は、図6に示すように脱位置に位置付けられている。
【0075】
インキ壺312の退避位置への移動により第2のインキ壺検出器511bが当該インキ壺312を検出する。これにより制御装置501は、番号印刷機1の主モータである番号胴駆動モータ507およびインカーローラ駆動装置505を印刷速度で駆動することが出来ないように制御する。そして、ドクター71をドクター保持部材70に取り付けることにより、ドクター検出器512が当該ドクター71を検出する。制御装置501は、第2のインキ壺検出器511bによるインキ壺312の検出とドクター装着検出器512によるドクター71の検出により、インカーローラ駆動装置505を洗浄速度で駆動するとともに、後述する第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bの洗浄を行なうことを可能とする。
【0076】
ブラシローラユニット200およびドクター71を番号印刷機1に取り付けた後、移動インカー100を印刷位置へ位置付けると、インカー位置検出器502bが被検出体502aを検出し、インキ壺検出器511bがインキ壺312を検出し、ドクター検出器512がドクター71を検出する。これらの条件が全て満足されると、制御装置501は第1および第2の番号胴14、15と第1および第2の番号インカー20a、20bの洗浄を同時に行わせることができるのである。すなわち、作業者が洗浄開始スイッチ513を操作すると、制御装置501は番号印刷機1の主モータである番号胴駆動モータ507およびインカーローラ駆動装置505を洗浄速度で駆動するよう制御すると共に、回転駆動モータ202および揺動駆動モータ203、エアシリンダー80、電磁弁82aを制御して、第1および第2の番号胴14、15の番号器50および第1および第2の番号インカー20a、20bを同時に洗浄するのである。
【0077】
<ブラシローラユニットによる番号器の洗浄動作>
先ず、ブラシローラユニット200による第1の番号胴14および第2の番号胴15の番号器列を構成している複数の番号器50に対する洗浄処理を説明する。ここでは便宜上、第2の番号胴15の番号器50に対する洗浄処理を説明する。制御装置501は、番号胴位相検出装置503の信号に基づいて、第2の番号胴15の番号器列50dがブラシローラユニット200に対向するように番号胴駆動モータ507を駆動させる。番号器列50dがブラシローラユニット200に対向する位置(位相)に位置付けられると第2の番号胴15の回転が停止するよう番号胴駆動モータ507を制御する。
【0078】
第2の番号胴15が停止した後、制御装置501は、ブラシ部材駆動装置508の回転駆動モータ202および揺動駆動モータ203を駆動させる。回転駆動モータ202の駆動により、ギア202b及び当該ギア202bに噛合されたギア211を介して回転軸210が回転駆動され、当該回転軸210に連結されたブラシローラ201が回転する。ブラシローラ201には複数の洗浄ブラシ250が一体に取り付けられているため、当該ブラシローラ201の回転とともに複数の洗浄ブラシ250も回転される。
【0079】
揺動駆動モータ203の駆動により、溝カム203bの係合溝203cに係合するカムフォロア230aが係合溝203cの傾斜に沿って揺動駆動モータ203の回転軸の軸線方向に往復動する。これによりレバー230が回動軸231aを中心として揺動してコロ230bが揺動軸213の軸線方向に往復動し、当該コロ230bが係合する溝付き係合部材213bが揺動軸213と共に軸線方向に往復動する。揺動軸213の軸線方向への往復動によりブラシローラ201および回転軸210が当該ブラシローラ201の軸線方向へ往復動し、ブラシローラ201に取り付けられた洗浄ブラシ250がブラシローラ201の軸線方向に往復動する。このとき、回転軸210のギア211は、ギア202bとの噛合を維持したまま当該ギア202bの歯幅方向に往復動する。
【0080】
これによりブラシローラユニット200では、ブラシローラ201に取り付けられた複数の洗浄ブラシ250と一列に並んだ複数の番号器50の字輪50Bとが対接した状態で、回転駆動用モータ202により洗浄ブラシ250を回転させるとともに、揺動駆動用モータ203により洗浄ブラシ250を軸方向へ往復動(揺動)させる。言い換えれば、洗浄ブラシ250は一列に並んだ字輪50Bとの接触面とほぼ平行な複数の方向に移動する。このとき、当該洗浄ブラシ250は字輪50Bに対して複数の方向に移動するので、当該字輪50Bに残存付着したインキを容易かつ効率的に短時間で掻き取ることができ、洗浄効果が格段に向上する。
【0081】
制御装置501は、洗浄ブラシ250により番号器列50dを構成している複数の番号器50の洗浄を予め設定された時間だけ行うよう回転駆動モータ202および揺動駆動モータ203を制御する。すなわち、予め設定された時間をタイマー504が計時すると、制御装置501は回転駆動モータ202および揺動駆動モータ203を停止させるのである。これにより制御装置501は、ブラシローラ201を無駄に回転駆動させたり、無駄に揺動駆動させることを未然に防止するため、無駄な電力の消費が抑えられると共に、番号器50の非洗浄時に洗浄ブラシ250の回転や往復動によりブラシに付着したインキや洗浄液が周囲に飛散することを防止することができる。
【0082】
第2の番号胴15の一つの番号器列50dに対する洗浄が終了すると、制御装置501は、番号胴位相検出装置503の検出結果に基づいて、番号器列50dに隣接する次の列の番号器列50eが洗浄ブラシ250と対向するように、番号胴駆動モータ507を駆動させる。番号器列50eがブラシローラユニット200と対向する位置に位置付けられると、第2の番号胴15の回転が停止するよう番号胴駆動モータ507を制御する。そして、番号器列50dに隣接する次の番号器列50eに対してブラシローラユニット200による洗浄が行われるのである。なお、制御装置501には、第2の番号胴15における番号器列が設置されている位相が予め設定されており、印刷仕様の変更により番号器列の列数や配置間隔が変更された場合は、作業者がその変更された番号器列の位相を再設定する。
【0083】
本実施の形態においては、番号胴が2つ設けられているため、番号胴駆動モータ507の駆動により第1の番号胴14および第2の番号胴15が回転することになる。このような構成において2つの番号胴14、15を洗浄する場合、第2の番号胴15の番号器列を洗浄した後、第1の番号胴14の番号器列を洗浄するようにしても良いし、第1の番号胴14および第2の番号胴15の双方の番号器列の位相を考慮して、洗浄時間が最短となる順序でこれら番号器列を洗浄してもよい。具体的には、第2の番号胴15のひとつの番号器列の洗浄後、当該第2の番号胴15の次の隣接する番号器列がブラシローラユニット200に対向する前に、第1の番号胴14の番号器列がブラシローラユニット200に対向するのであれば、この第1の番号胴14の番号器列を先に洗浄して、その後第2の番号胴15の次の隣接する番号器列を洗浄するようにしてもよい。
【0084】
<ドクターによる番号インカーの洗浄動作>
次に、ドクター71による第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bの洗浄処理を説明する。ここでは便宜上、第1の番号インカー20aに対する洗浄処理を説明する。
【0085】
第1の番号インカー20aの洗浄は、回転中の壺ローラ301に対し、電磁弁82aを介して噴射ノズル82から洗浄液を噴射した後、エアーシリンダー80によりドクター71のドクターブレード74を壺ローラ301の周面に押圧させるという順序で実施される。
【0086】
すなわち制御装置501は、先ずインカーローラ駆動装置505を駆動させて壺ローラ301を含む多数のインカーローラ群をインキ供給方向(図6における壺ローラ301の矢印方向)へ回転させ、電磁弁82aを制御して噴射ノズル82から壺ローラ301へ洗浄液を噴射させる。
【0087】
壺ローラ301の周面に供給された洗浄液は、当該壺ローラ301に当接するインカーローラを介して全インカーローラに供給され、全てのインカーローラの表面に付着したインキが洗浄液により溶解される。その後、制御装置501は、エアーシリンダー80のピストンロッド80eを壺ローラ301側とは逆方向(矢印PL方向)へ退縮させ、ドクター保持部材70及びこれに取り付けられているドクター71を回動軸81aを介して壺ローラ301に近接する方向(矢印RR方向)へ回動させ、当該ドクター71を着位置へ位置付ける。
【0088】
これにより、壺ローラ301上のインキは洗浄液に溶かされて廃液となってドクターブレード74によって掻き取られた後、受け皿71aに溜められる。これに加えて、壺ローラ301から滴下したインキや洗浄液は固定パン99によって溜められる。さらに、インカーローラ群の廃液も壺ローラ301を介してドクターブレード74によって掻き取られた後、受け皿71aに溜められる。このようにして、壺ローラ301および当該壺ローラ301と直接的または間接的に連結しているインカーローラ群が洗浄されるのである。
【0089】
制御装置501は、タイマー504が予め設定された洗浄液噴射時間を計時すると、電磁弁82aを制御して噴射ノズル82からの洗浄液の噴射を停止する。洗浄液の噴射を停止した後も壺ローラ301にドクターブレード74が押圧されているので、壺ローラ301および多数のインカーローラの周面に付着した洗浄液がドクターブレード74によって引き続き掻き取られる。制御装置501は、さらにタイマー504が予め設定された壺ローラ洗浄時間を計時すると、エアーシリンダー80のピストンロッド80eを伸長(矢印PS方向)させ、ドクター保持部材70及びこれに取り付けられているドクター71を回動軸81aを介して壺ローラ301から離反する方向(矢印RL方向)へ移動させ、当該ドクター71を脱位置へ位置付けた後、インカーローラ駆動装置505の駆動を停止させて、壺ローラ301およびインカーローラ群の回転を停止させる。
【0090】
番号胴14、15および番号インカー20a、20Bの洗浄動作が全て終了すると、作業者はブラシローラユニット200およびドクター71を機外へ取り出す。先ず、ドクター71をドクター保持部材70から取り外して機外へ出した後、インキ壺312を2点鎖線で示される退避位置から近接位置へ手動で移動させる。ドクター71をドクター保持部材70から取り外すことによりドクター検出器512はドクター71を検出しない状態となり、インキ壺312の近接位置への移動により第1のインキ壺検出器511aが当該インキ壺312を検出する。これにより、制御装置501はインカーローラ駆動装置505を印刷速度で駆動することを可能とする。
【0091】
次に、作業者は移動インカー100を退避位置に位置付け、メンテナンス空間SPC1に進入してブラシローラユニット200を取り外す。すなわち、ロックナット154を緩めて当該ロックナット154と頭部155によるブラケット156の固定を解除したのち、ボルト153をブラケット156の凹部から外し、ブラシローラユニット200の端軸202aを本体フレーム3aの受台151の凹部から取り出すことより、当該ブラシローラユニット200全体が本体フレーム3aから取り外される。ブラシローラユニット200を取り外した後、移動インカー100を印刷位置へ位置付ける。
【0092】
ここで、移動インカー100が印刷位置に位置付けられるとインカー位置検出器502bが被検出体502aを検出する。制御装置501は、ドクター検出器512がドクター71を検出せず、インキ壺検出器511aがインキ壺312を検出し、インカー位置検出器502bが被検出体502aを検出する条件が全て満足されたときに、主モータである番号胴駆動モータ507およびインカーローラ駆動装置505を印刷速度で駆動できるようにする、すなわち番号印刷機1による印刷を可能とするよう制御するのである。
【0093】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態においては、インカー位置検出器502b、502cにより移動インカー100のインカーフレーム100aが印刷位置(図1図3)に位置することを検出したとき、第1および第2の番号胴14、15の番号器洗浄と第1の番号インカー20aおよび第2の番号インカー20bの壺ローラ301およびインカーローラー群の周面洗浄とを同時に行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限るものではなく、番号胴14、15の番号器洗浄の後に壺ローラ301およびインカーローラー群の周面洗浄を行うようにしても良い。また、番号器洗浄と周面洗浄との順番を入れ替えてもよい。
【0094】
上述した実施の形態においては、番号器50の幅に対応した幅を有する洗浄ブラシ250を、複数の番号器50にそれぞれ対応して複数個設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数の番号器50に全て対接可能な1つの長尺の洗浄ブラシを設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0095】
1…番号印刷機、2…給紙部、3…印刷部、3a…本体フレーム、4…排紙部、5…シート、6…フィーダーボード、7…積載台、8…スイング装置、9〜11、16…渡し胴、12…圧胴、13…印章胴、14…第1の番号胴(番号胴)、15…第2の番号胴(番号胴)、17…検査胴、19…印章インカー、20a…第1の番号インカー(インキ供給装置)、20b…第2の番号インカー(インキ供給装置)、21…排紙胴、22…スプロケット、23…排紙チェーン、24…爪竿、31…第1の良品排出装置、32…第2の良品排出装置、33…不良品排出装置、50…番号器、70…ドクター保持部材、71…ドクター(洗浄装置)、74…ドクターブレード、77…カバー、78…支持板、80…エアーシリンダー、81…アーム、82…噴射ノズル(洗浄液供給装置)、82a…電磁弁、99…固定パン、100…移動インカー、100a…インカーフレーム、101、102…検査カメラ、151…受台、152…ピン、153…ボルト、154…ロックナット、155…頭部、156…ブラケット、200…ブラシローラユニット(第1の洗浄装置)、201…ブラシローラ(ブラシ部材)、202…回転駆動モータ(ブラシローラ回転駆動装置)、202a…主軸、202b、211…ギア、203…揺動駆動モータ(ブラシローラ揺動駆動装置)、203a…回転部、210…回転軸、213…揺動軸、220…ボルト、230…レバー、230a、230b…カム、231…取付台、250…洗浄ブラシ、251…ネジ、300…番号インカー洗浄装置(第2の洗浄装置)、301…壺ローラ、312…インキ壺、501…制御装置、502b、502c…インカー位置検出器(インカー位置検出手段)、503…番号胴位相検出装置(番号胴位相検出装置)、504…タイマー、505…インカーローラ駆動装置、507…番号胴駆動モータ、508…ブラシ部材駆動装置、510…移動インカー駆動装置、511a、511b…インキ壺位置検出器、512…ドクター装着検出センサ、513…洗浄開始スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7