(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カメラにより撮像されたフラットパネルディスプレイの発光状態の2次元画像をムラ検査対象画像として取り込み、前記ムラ検査対象画像に基づいてムラのない背景画像を生成し、前記ムラ検査対象画像と前記背景画像との差分画像を生成する前処理部、前記前処理部により生成された前記差分画像に対してムラ候補領域の抽出処理を行う欠陥候補抽出部、および前記欠陥候補抽出部により抽出された前記ムラ候補領域の真偽判定を行う判定部とによる画像処理を施すことで、ムラ領域の有無を判定するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置であって、
前記前処理部は、
注目画素の近傍の複数の画素位置における画素値から、前記注目画素の背景画素推定値を算出するための複数のフィルタを備えており、
前記複数のフィルタは、前記注目画素の近傍の前記複数の画素位置を規定する1次元または2次元の配列として構成され、前記配列を構成する複数の画素の間隔、および前記配列の向きがそれぞれのフィルタにより異なっており、
前記ムラ検査対象画像に対して前記複数のフィルタのそれぞれを用いて、それぞれのフィルタで特定される複数の画素位置における画素値に基づいて、前記注目画素におけるそれぞれの背景画素推定値を算出し、算出した前記背景画素推定値のそれぞれに対して統計的処理を施すことで、各注目画素に関して背景画素に適した1つの背景画素推定値を選択することで背景画像を生成し、
前記前処理部は、
それぞれのフィルタで特定される前記複数の画素位置における画素値に対して、関数近似計算により前記注目画素の推定値を算出する第1の画素値推定手段を有するとともに、前記第1の画素値推定手段により算出された前記推定値と、前記複数の画素位置での実際の画素値との差分値の二乗和、あるいは差分の絶対値の和を差分分散として算出する差分分散評価手段を有する第2のフィルタリング処理部と、
前記第2のフィルタリング処理部内の前記差分分散評価手段により前記複数のフィルタのそれぞれを用いて算出された各フィルタの前記差分分散の最小値を判定する第1の判定手段と、
前記第2のフィルタリング処理部内の前記第1の画素値推定手段により算出された各推定値の中から、前記第1の判定手段により判定された前記最小値を有するフィルタを用いて算出された推定値を、前記背景画素に適した1つの背景画素推定値として選択するセレクタと
を有するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置。
カメラにより撮像されたフラットパネルディスプレイの発光状態の2次元画像をムラ検査対象画像として取り込み、前記ムラ検査対象画像に基づいてムラのない背景画像を生成し、前記ムラ検査対象画像と前記背景画像との差分画像を生成する前処理部、前記前処理部により生成された前記差分画像に対してムラ候補領域の抽出処理を行う欠陥候補抽出部、および前記欠陥候補抽出部により抽出された前記ムラ候補領域の真偽判定を行う判定部とによる画像処理を施すことで、ムラ領域の有無を判定するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置であって、
前記前処理部は、
注目画素の近傍の複数の画素位置における画素値から、前記注目画素の背景画素推定値を算出するための複数のフィルタを備えており、
前記複数のフィルタは、前記注目画素の近傍の前記複数の画素位置を規定する1次元または2次元の配列として構成され、前記配列を構成する複数の画素の間隔、および前記配列の向きがそれぞれのフィルタにより異なっており、
前記ムラ検査対象画像に対して前記複数のフィルタのそれぞれを用いて、それぞれのフィルタで特定される複数の画素位置における画素値に基づいて、前記注目画素におけるそれぞれの背景画素推定値を算出し、算出した前記背景画素推定値のそれぞれに対して統計的処理を施すことで、各注目画素に関して背景画素に適した1つの背景画素推定値を選択することで背景画像を生成し、
前記前処理部は、
それぞれのフィルタで特定される前記複数の画素位置における画素値に対して、関数近似計算により前記注目画素の推定値を算出する第1の画素値推定手段を有するとともに、前記第1の画素値推定手段により算出された前記推定値と、前記複数の画素位置での実際の画素値との差分値の二乗和、あるいは差分の絶対値の和を差分分散として算出する差分分散評価手段を有する第2のフィルタリング処理部と、
前記第2のフィルタリング処理部内の前記第1の画素値推定手段により算出された各推定値についてクラスタリングを行うクラスタリング手段と、
前記第2のフィルタリング処理部内の前記差分分散評価手段により前記複数のフィルタのそれぞれを用いて算出された各フィルタの前記差分分散に関し、前記クラスタリング手段によりクラスタリングされた各クラスタについて前記差分分散の平均値を算出し、算出した前記平均値が最小となるクラスタを判定する第2の判定手段と、
前記第2のフィルタリング処理部内の前記第1の画素値推定手段により算出された各推定値の中から、前記第2の判定手段により判定された前記平均値が最小となるクラスタに含まれる推定値の平均値あるいはメディアンを、前記背景画素に適した1つの背景画素推定値として算出する推定値決定手段と
を有するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置。
カメラにより撮像されたフラットパネルディスプレイの発光状態の2次元画像をムラ検査対象画像として取り込み、前記ムラ検査対象画像に基づいてムラのない背景画像を生成し、前記ムラ検査対象画像と前記背景画像との差分画像を生成する前処理部、前記前処理部により生成された前記差分画像に対してムラ候補領域の抽出処理を行う欠陥候補抽出部、および前記欠陥候補抽出部により抽出された前記ムラ候補領域の真偽判定を行う判定部とによる画像処理を施すことで、ムラ領域の有無を判定するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置であって、
前記前処理部は、
注目画素の近傍の複数の画素位置における画素値から、前記注目画素の背景画素推定値を算出するための複数のフィルタを備えており、
前記複数のフィルタは、前記注目画素の近傍の前記複数の画素位置を規定する1次元または2次元の配列として構成され、前記配列を構成する複数の画素の間隔、および前記配列の向きがそれぞれのフィルタにより異なっており、
前記ムラ検査対象画像に対して前記複数のフィルタのそれぞれを用いて、それぞれのフィルタで特定される複数の画素位置における画素値に基づいて、前記注目画素におけるそれぞれの背景画素推定値を算出し、算出した前記背景画素推定値のそれぞれに対して統計的処理を施すことで、各注目画素に関して背景画素に適した1つの背景画素推定値を選択することで背景画像を生成し、
前記前処理部は、
それぞれのフィルタで特定される前記複数の画素位置における画素値に対して、関数近似計算により前記注目画素の推定値を算出する第1の画素値推定手段を有する第1のフィルタリング処理部、
前記第1の画素値推定手段を有するとともに、前記第1の画素値推定手段により算出された前記推定値と、前記複数の画素位置での実際の画素値との差分値の二乗和、あるいは差分の絶対値の和を差分分散として算出する差分分散評価手段を有する第2のフィルタリング処理部、あるいは
それぞれのフィルタで特定される前記複数の画素位置における画素値に基づいた補間処理により前記注目画素の推定値を算出する第2の画素値推定手段を有する第3のフィルタリング処理部
のいずれか1つであるフィルタリング処理部と、
前記フィルタリング処理部により算出された各推定値についてクラスタリングを行うクラスタリング手段と、
前記フィルタリング処理部により算出された各推定値に関し、前記クラスタリング手段によりクラスタリングされた各クラスタを構成する推定値の数が最多であるクラスタを判定する第3の判定手段と、
前記フィルタリング処理部により算出された各推定値の中から、前記第3の判定手段により判定された前記推定値の数が最多であるクラスタに含まれる推定値の平均値あるいはメディアンを、前記背景画素に適した1つの背景画素推定値として算出する推定値決定手段と
を有するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
このような自動検査は、まだまだ性能は十分でなく、特定の点欠陥や線欠陥以外の様々な欠陥に対応できるものではなかった。
【0007】
図9は、従来のフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置による一連のムラ検出処理に関するフローチャートである。
図9に示した流れは、大別すると、以下の3つの部分に分けられる。
(1)前処理部(フィルタ等によるノイズ除去、背景画像推定等)
(2)欠陥候補抽出部(2値化、ラベリングすることで、候補を抽出)
(3)判定部(欠陥にかかわる特徴量を抽出、経験に基づいた判断ルールで欠陥部分を特定、表示)
【0008】
すなわち、ムラ検査では、背景画像の推定精度が、後の処理に大きな影響を及ぼすため、非常に重要である。しかしながら、従来は、この背景画像の推定精度が必ずしも十分ではなかった。このため、最終的に、ムラ以外の場所で偽のムラを検出してしまう(過検出)、あるいは検出すべきムラが検出できない(未検出)などといった誤検出が生じるという問題があった。
【0009】
背景画像を推定する方法として、通常、ムラ検査対象画像において、フィルタサイズの大きい2次元のローパスフィルタ処理が行われる。しかしながら、フィルタの範囲内にムラ(の一部)が含まれると、その影響を受けて、フィルタの出力値に誤差が生じ、背景画像の推定精度が低下することとなる。例えば、明るいムラの場合、ムラ部分の背景は、ムラのない場合に比べてやや明るくなり、ムラの周囲では、逆にやや暗くなる。
【0010】
また、フィルタの範囲がフレーム端からはみ出る場合、通常、フレーム内側の画像データを外側に折り返して、その部分を埋めてフィルタ処理することが行われる。この際、フラットパネルディスプレイの輝度をフレーム端ほど低くしている場合、あるいはカメラ撮影時に周辺輝度が低下しているためにフレーム端近傍ほど輝度が低い場合には、はみ出たフィルタの部分を埋めた画素値と望ましい画素値とが異なるために、フレーム端近傍で誤検出が生じることとなる。
【0011】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、検査工程において、画像処理により不均一性(ムラ)領域を自動検出する際の高精度化を実現することのできるフラットパネルディスプレイの自動ムラ
検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置は、カメラにより撮像されたフラットパネルディスプレイの発光状態の2次元画像をムラ検査対象画像として取り込み、ムラ検査対象画像に基づいてムラのない背景画像を生成し、ムラ検査対象画像と背景画像との差分画像を生成する前処理部、前処理部により生成された差分画像に対してムラ候補領域の抽出処理を行う欠陥候補抽出部、および欠陥候補抽出部により抽出されたムラ候補領域の真偽判定を行う判定部とによる画像処理を施すことで、ムラ領域の有無を判定するフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置であって、前処理部は、注目画素の近傍の複数の画素位置における画素値から、注目画素の背景画素推定値を算出するための複数のフィルタを備えており、複数のフィルタは、注目画素の近傍の複数の画素位置を規定する1次元または2次元の配列として構成され、配列を構成する複数の画素の間隔、および配列の向きがそれぞれのフィルタにより異なっており、ムラ検査対象画像に対して複数のフィルタのそれぞれを用いて、それぞれのフィルタで特定される複数の画素位置における画素値に基づいて、注目画素におけるそれぞれの背景画素推定値を算出し、算出した背景画素推定値のそれぞれに対して統計的処理を施すことで、各注目画素に関して背景画素に適した1つの背景画素推定値を選択することで背景画像を生成するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前処理での背景画像の推定において、画素位置に応じて複数のフィルタの中から適切なフィルタを適応的に選択してフィルタ処理を施すことで、推定精度の向上を図ることにより、検査工程において、画像処理により不均一性(ムラ)領域を自動検出する際の高精度化を実現することのできるフラットパネルディスプレイの自動ムラ
検出装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置および自動ムラ検出方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
なお、本発明は、任意のパターンで発光したフラットパネルディスプレイのカメラ撮像画像をコンピュータに取り込み、画像処理によって自動的にムラを検出する手法において、不定形ムラを精度よく検出するための前処理による背景画像推定に関するものである。
【0017】
より具体的には、本発明は、ムラ検出対象画像に基づいてムラのない背景画像を推定する際に、
(1)注目画素の位置の背景画素値を推定するためにタップの形状や配置などが異なる複数のフィルタを用い、
(2)統計的手法に基づいて適切なフィルタや推定画素値の候補選択および決定を行い、
(3)背景画像およびムラ検査対象画像と背景画像との差分である背景差分画像の精度を向上させる
ことを技術的特徴としており、結果として、ムラの検出精度を向上させることができるものである。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置の全体構成図である。
図1に示した本実施の形態1におけるフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置は、カメラ10、画像処理部20、および表示部30を備えて構成され、検査対象であるフラットパネルディスプレイ(以下、「検査パネル1」と称す)の自動ムラ検出を行う。
【0019】
画像処理部20は、カメラ10で撮像された検査パネル1の発光状態に対して画像処理を施すことで、ムラが発生している領域を特定し、表示部30に特定した場所を表示させることができる。そして、この画像処理部20は、前処理部21、欠陥候補抽出部22、および判定部23を備えて構成されている。
【0020】
前処理部21は、後段の欠陥候補抽出部22による処理を行うために、カメラ10で撮像された画像の補正処理を行う部分であり、具体的な処理例としては、以下のようなものが挙げられる。
・拡大/縮小処理
・幾何学的補正
・シェーディング補正
・ノイズ除去(平滑化フィルタ、メディアンフィルタ等)
・画素構造除去
・背景画像予測除去
【0021】
また、欠陥候補抽出部22は、前処理部21を経た画像に対して、ムラに相当する欠陥部分の候補領域を抽出する部分であり、具体的な処理例としては、以下のようなものが挙げられる。
・エンハンス処理
・エッジ検出(ラプラシアンフィルタ、ソーベルフィルタ等)
・第1の特徴量計算
・2値化
・孤立点除去
・膨張/収縮処理
・ラベリング
【0022】
さらに、判定部23は、欠陥候補抽出部22により抽出された候補領域について、ムラであるか否かを最終判断する部分であり、具体的な処理例としては、以下のようなものが挙げられる。
・第2の特徴量計算
・識別(閾値判定、分類等)
【0023】
ここで、本願に最も関連する、背景画像推定処理に関する従来技術について、図面を用いて簡単に説明する。
図2は、従来の背景画像推定処理に関する説明図であり、先の
図9に示したステップS901〜S903の前処置部による処理結果を示している。
【0024】
フラットパネルディスプレイ(検査パネル1)を撮影したカメラ10の出力画像に対し、カメラノイズ除去やフラットパネルディスプレイの画素構造の除去などを行った後の、ムラ検出対象画像を
図2(a)に示す。なお、この
図2(a)の画像は、
図9のステップS901におけるノイズ除去によって生成される画像に相当する。
【0025】
図2(a)においては、左下に白い(明るい)ムラがある場合を例示している。そして、この白いムラの右に表示したカーソルを通る水平方向の波形を、
図2(a)の下段に併せて示している。
【0026】
また、カメラ10の出力画像にガウスフィルタによるローパスフィルタをかけたものが、
図2(b)の推定背景画像である。なお、この
図2(b)の画像は、
図9のステップS902におけるフィルタ処理によって生成される画像に相当する。
図2(a)に示したような白いムラは、通常のローパスフィルタで抑圧し易いが、それでも弱くかつブロードに残っていることが分かる(
図2(b)の下段の波形参照)。
【0027】
そのため、
図2(a)に示した検出対象画像から、
図2(b)に示した背景画像を引いた
図2(c)の背景差分画像においては、ムラの周囲近傍および中央部のレベル低下が見られる(
図2(c)の下段の波形参照)。なお、この
図2(c)の画像は、
図9のステップS903における差分演算によって生成される画像に相当する。
【0028】
このように、ローパスフィルタを用いて背景画像推定を行っている従来技術に対して、本発明においては、タップの形状や配置などが異なる複数のフィルタを用い、統計的手法に基づいて適切なフィルタや推定画素値の候補選択および決定を行っている。この結果、背景画像、およびムラ検査対象画像と背景画像との差分である背景差分画像の精度を向上させ、以ってムラを精度よく検出することを可能としている。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1におけるフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置の背景画像推定処理に関する説明図である。従来技術に関する
図2と対比させながら、本実施の形態1における背景画像推定処理の概要を説明する。
図3(a)のムラ検出対象画像は、先の
図2(a)の画像と同一である。
【0030】
図3(b)の推定背景画像においては、先の
図2(b)のような弱くかつブロードに残っているムラは、ほぼ完全に無くなっている。そのため、
図3(c)の背景差分画像においては、先の
図2(c)と比較すると、ムラ部分ではそのレベルがそのまま残っており、かつムラの周囲近傍でレベルが低下することなく、平坦である。すなわち、従来よりも高い精度で、背景画像の推定および背景差分画像の生成が行われていることが分かる。
【0031】
そこで、次に、本発明による背景画像推定処理に関して、
図4〜
図7を参照しながら、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における背景画像推定処理で用いられる複数のフィルタに関する説明図である。本実施の形態1で用いられる複数のフィルタは、タップ形状や配置などが異なる。
【0032】
そして、
図4(a)においては、1次元配列の4タップのフィルタの具体例として、フィルタ0〜フィルタ5の6個のフィルタを例示している。フィルタ0〜フィルタ5は、タップ間隔(s画素、2s画素、3s画素:ここで、sは、1以上の整数)および配列の向き(水平、垂直)が、
図4に示されたように異なっている。
【0033】
すなわち、複数のフィルタは、注目画素の近傍の複数の画素位置を規定する1次元または2次元の配列として構成され、配列を構成する複数の画素の間隔、および配列の向きがそれぞれのフィルタにより異なっている。そして、このようなそれぞれのフィルタにより特定される複数の画素のことを「タップ」と称している。
【0034】
なお、これら6個のフィルタの相対的な位置関係は、任意である。また、本発明のフィルタとしては、この
図4(a)に例示された類型に限らず、他にも斜め1次元配列や各種の2次元配列のものなどが適用でき、数も6個には限らない。
【0035】
さらに、これら6個のフィルタ0〜フィルタ5は、
図4(b)に示すように、次の3つの類型の第1のフィルタ〜第3のフィルタとして機能させることができる。
第1のフィルタ:タップ位置の画素値に対して、例えば、2次関数などによる近似を行って、近似計算により注目画素の推定値を出力する第1の画素値推定手段
第2のフィルタ:上述した第1の画素値推定機能による推定値を出力するとともに、各タップでの実際の画素値と、第1の画素値推定機能による推定値との差分値の二乗和や差分の絶対値の和(以後、まとめて仮に差分分散と称す)を計算してさらに出力する差分分散評価手段
第3のフィルタ:各タップの画素値に基いた注目画素値を補間によって推定して出力する第2の画素値推定手段
【0036】
タップの一部がムラにかかると、各タップでの実際の画素値と推定値との差分が大きくなる、あるいは注目画素の推定値における誤差が大きくなるなどする。なお、各フィルタ出力は、それぞれの注目画素が同一画素であるタイミングで、次の処理手段(例えば、
図5〜
図7を用いて後述する第1〜第3の実施例におけるセレクタ、第1〜3の判定手段、クラスタリング手段)に入力するが、そのために図示していない遅延手段を適宜用いることとなる。
【0037】
図5は、本発明のフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置の前処理部における第1の実施例を示す図である。この
図5に示した第1の実施例における前処理部21aは、ノイズ除去部51、6つの第2のフィルタ52(0)〜52(5)、第1の判定手段53、セレクタ54、および差分演算部55を備えて構成されている。
【0038】
この第1の実施例では、フィルタとして、差分分散評価手段を有する6つの第2のフィルタ52(0)〜52(5)を用いている。そして、第1の判定手段53は、各フィルタ52(0)〜52(5)の差分分散の出力を受けて、それらの最小値を判定する。
【0039】
また、セレクタ54は、第1の判定手段53による判定結果、および各フィルタ52(0)〜52(5)内の第1の画素値推定手段による各推定画素値を受け、差分分散が最小であるフィルタによる推定画素値を選択する。
【0040】
そして、差分演算部55は、セレクタ54により選択された推定画素値を用いることで推定背景画像を生成し、さらに、ノイズ除去部51によりノイズが除去されたムラ検査対象画像と推定背景画像との差分をとることで、背景差分画像を生成する。
【0041】
次に、
図6は、本発明のフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置の前処理部における第2の実施例を示す図である。この
図6に示した第2の実施例における前処理部21bは、ノイズ除去部61、6つの第2のフィルタ62(0)〜62(5)、クラスタリング手段63、第2の判定手段64、推定値決定手段65、および差分演算部66を備えて構成されている。
【0042】
この第2の実施例では、フィルタとして、差分分散評価手段を有する6つの第2のフィルタ62(0)〜62(5)を用いている。そして、クラスタリング手段63は、各フィルタ62(0)〜62(5)による注目画素の推定値についてクラスタリングを行う。
【0043】
また、第2の判定手段64は、各フィルタ62(0)〜62(5)内の差分分散評価手段による各差分分散、およびクラスタリング手段63によるクラスタリング結果を受け、最適な推定値やその近傍からなるクラスタがどれであるかを判定する。例えば、第2の判定手段64は、クラスタ毎に推定値に対応する差分分散の平均値を計算して、これが最小であるクラスタを最適な推定値やその近傍の値によるクラスタであると判定する。
【0044】
また、推定値決定手段65は、第2の判定手段64による判定結果、および各フィルタ62(0)〜62(5)内の第1の画素値推定手段による各推定画素値を受け、クラスタを構成する推定値に基いて、1個の推定値を出力する。例えば、推定値決定手段65は、は、第2の判定手段64により特定されたクラスタを構成する推定値について、例えば、平均値やメディアンなどを求め、1つの推定値として出力することができる。
【0045】
そして、差分演算部66は、推定値決定手段65により出力された1つの推定値を用いることで、推定背景画像を生成し、さらに、ノイズ除去部61によりノイズが除去されたムラ検査対象画像と推定背景画像との差分をとることで、背景差分画像を生成する。
【0046】
次に、
図7は、本発明のフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置の前処理部における第3の実施例を示す図である。この
図7に示した第3の実施例における前処理部21cは、ノイズ除去部71、6つのフィルタ72(0)〜72(5)、クラスタリング手段73、第3の判定手段74、推定値決定手段75、および差分演算部76を備えて構成されている。
【0047】
この第3の実施例では、フィルタとして、第1、第2、または第3のフィルタのいずれかで構成された6つのフィルタ72(0)〜72(5)を用いている。そして、クラスタリング手段73は、各フィルタ72(0)〜72(5)による注目画素の推定値についてクラスタリングを行う。
【0048】
また、第3の判定手段74は、各フィルタ72(0)〜72(5)内の第1の画素推定手段による注目画素の推定値、およびクラスタリング手段73によるクラスタリング結果を受け、最適な推定値やその近傍からなるクラスタがどれであるかを判定する。例えば、第3の判定手段74は、クラスタを構成する推定値の数が最多であるクラスタを最適なクラスタであると判定する。
【0049】
また、推定値決定手段75は、第3の判定手段74による判定結果、および各フィルタ72(0)〜72(5)内の第1の画素推定手段による注目画素の推定値を受け、クラスタを構成する推定値に基づいて、1個の推定値を出力する。例えば、推定値決定手段75は、第3の判定手段74により特定されたクラスタに含まれる推定値について、例えば、平均値やメディアンなどを求め、1つの推定値として出力することができる。
【0050】
そして、差分演算部76は、推定値決定手段75により出力された1つの推定値を用いることで、推定背景画像を生成し、さらに、ノイズ除去部71によりノイズが除去されたムラ検査対象画像と推定背景画像との差分をとることで、背景差分画像を生成する。
【0051】
なお、
図6に示したクラスタリング手段63、あるいは
図7に示したクラスタリング手段73については、特に方法を特定するものではなく、例えば、k平均法などを適用してもよい。また、
図8に示す簡易的な方法を用いることも可能である。
図8は、本発明の実施の形態1におけるクラスタリング処理の説明図である。
【0052】
まず、ステップS801において、クラスタリング手段は、2以上の整数であるN個の推定画素値P
i(i=0、1、・・・、N−1)を、値の大きい順にソートして、p
j(j=0、1、・・・、N−1)を求める。
【0053】
次に、ステップS802において、クラスタリング手段は、ソート後のp
jに関して、隣接推定画素値間の距離(画素値差分に相当)d
ij=p
i−p
j(=−dji)を算出する。次に、ステップS803において、クラスタリング手段は、距離d
ijの標準偏差σを算出する。そして、最後に、ステップS804において、クラスタリング手段は、下式(1)となるpi、pj間にクラスタ境界を設定することができる。なお、kとしては、例えば、k=2を設定することが考えられる。
|d
ij|>k*σ (1)
【0054】
なお、上述した実施例1〜3においては、
図5〜
図7では図示していないが、推定した背景画像に対して、メディアンフィルタあるいは他のローパスフィルタをかけることも考えられる。これにより、ノイズなどによって隣接画素間で適用フィルタの特性がずれる場合の影響を緩和した背景画像を得ることができ、背景差分画像の精度改善を図ることができる。
【0055】
以上のように、実施の形態1によれば、前処理での背景画像の推定処理において、統計的処理を用いることで、注目画素ごとに、複数のフィルタを用いた演算結果の中から適切な推定値を適応的に選択可能としている。これにより、画素位置に応じて適切なフィルタ処理を施すことができ、背景画像の推定精度の向上を図ることができる。この結果、検査工程において、画像処理により不均一性(ムラ)領域を自動検出する際の高精度化を実現することのできるフラットパネルディスプレイの自動ムラ検出装置および自動ムラ検出方法を得ることができる。