特許第6114573号(P6114573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6114573ロキソプロフェンナトリウムと制酸剤を含有する固形製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114573
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ロキソプロフェンナトリウムと制酸剤を含有する固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20170403BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170403BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170403BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61K47/02
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/48
   A61K9/14
   A61P29/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-38194(P2013-38194)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-209369(P2013-209369A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-44120(P2012-44120)
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【弁理士】
【氏名又は名称】竹元 利泰
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 公樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛士
(72)【発明者】
【氏名】望月 裕介
【審査官】 吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−068645(JP,A)
【文献】 特開2012−046514(JP,A)
【文献】 特開2006−052210(JP,A)
【文献】 特開平10−279476(JP,A)
【文献】 特開2010−235599(JP,A)
【文献】 特開平05−294829(JP,A)
【文献】 特開2001−122769(JP,A)
【文献】 特開2013−087061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/327
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 29/00
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及び酸化マグネシウムを含有する固形製剤において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を含む顆粒、及び酸化マグネシウムを含有する固形製剤。ただし、以下の(1)〜(5)のものを除く。
(1)ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、硬化油、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、乳糖水和物、酸化マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤
(2)ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、マクロゴール6000、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、乳糖水和物、酸化マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤
(3)ロキソプロフェンナトリウム水和物、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、硬化油、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、乳糖水和物、酸化マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤
(4)ロキソプロフェンナトリウム水和物、カルビノキサミンマレイン酸塩、マクロゴール6000、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、乳糖水和物、酸化マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤
(5)ロキソプロフェンナトリウム水和物、ブロムワレリル尿素、硬化油、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、乳糖水和物、酸化マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤
【請求項2】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
剤形が、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤又は錠剤である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項4】
剤形が錠剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れたロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及び制酸剤を含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等は、複数の薬効成分を配合した医薬製剤が広く使用されている。例えば、解熱鎮痛薬においては多くの薬効成分が配合された一般用医薬品が広く販売されており、配合成分の相互作用による分解物の生成等による予期しない副作用等を防ぐという安全性の観点から、製剤の安定性の確保は重要な課題である。
【0003】
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物(以下、ロキソプロフェンと略す場合がある)は、非ステロイド系解熱鎮痛薬として臨床で広く使用されている。ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン等の非ステロイド解熱鎮痛消炎剤は、プロスタグランジンの生合成を抑制する薬理作用機序を有するため、胃粘膜障害という副作用を引き起こすリスクを持つことが知られている。一方、ロキソプロフェンによる胃粘膜障害は、制酸剤の配合によって顕著に軽減されることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これまでにロキソプロフェンと制酸剤を含有する医薬固形組成物は市販されるに至っていない。
【0004】
医薬品の服用コンプライアンスを考慮すると、できるだけ小型化の製剤処方設計が望ましく、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に、制酸剤を配合する場合も、制酸効果が強く、一日最大分量が少量でよいものが製剤の小型化には望ましい。一方、制酸剤としては、速効性のもの、持続性のもの等、種々の制酸剤が知られているが、薬理作用の面から考えると胃酸を中和する際に炭酸ガスを発生する成分は胃粘膜が刺激されるため、係る制酸剤の配合は回避することが好ましい。このような条件を満たす制酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、及び乾燥水酸化アルミニウムゲル等を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−52210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と制酸剤とを含有する固形製剤の製剤化研究において、特にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と酸化マグネシウムを含む物理混和物を調製した場合、該混和物が、保存中に経時的に色調・性状の変化が発生する問題があることを見いだした。
したがって、本発明の課題は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と酸化マグネシウムを含有する固形製剤において、変色や含量低下等がなく、安定性に優れた固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を推進した結果、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と酸化マグネシウムを、製剤中に境界を介して存在するように配合することによって、安定な製剤が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及び酸化マグネシウムを含有する固形製剤において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、酸化マグネシウムとが、製剤中に境界を介して存在することを特徴とする固形製剤。
(2)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を含む顆粒、及び酸化マグネシウムを含有する、(1)に記載の固形製剤。
(3)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を含む顆粒、及び酸化マグネシウムを含む顆粒を含有する、(1)に記載の固形製剤。
(4)少なくとも、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を含む層と、酸化マグネシウムを含む層を含む、(1)〜(3)のいずれか1に記載の固形製剤。
(5)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が、ロキソプロフェンナトリウム2水和物である、(1)〜(4)のいずれか1に記載の固形製剤。
(6)剤形が、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤又は錠剤である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の固形製剤。
(7)剤形が錠剤である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の固形製剤。
(8)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、酸化マグネシウムを含有する固形製剤の製造方法において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と酸化マグネシウムを、境界を介して配合することを特徴とする、固形製剤の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及び酸化マグネシウムを含有し、保存安定性に優れる固形製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物」は、ロキソプロフェンナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム1水和物、又はロキソプロフェンナトリウム2水和物を意味し、ロキソプロフェンナトリウム2水和物が好ましい。ロキソプロフェンナトリウム2水和物は、ロキソプロフェンナトリウム水和物として、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手可能である。
【0010】
本発明における「酸化マグネシウム」は、第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手可能である。
【0011】
本発明の「固形製剤」としては、具体的には、第15改正日本薬局方に記載されている顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤、又は丸剤等を意味し、好適には顆粒剤、散剤、カプセル剤及び錠剤であり、より好適には錠剤である。
また、本発明の顆粒剤又は錠剤の態様として、水溶性の高分子などで製剤をコーティングしたものや、糖で錠剤をコーティングしたものも好適である。すなわち、フィルムコーティング顆粒、フィルムコーティング錠、糖衣錠等が挙げられる。コーティング方法については、公知のコーティング技術を使用すればよい。
本発明の固形製剤が錠剤の場合、組成の異なる粉末又は顆粒を、2層又は3層以上に積み重ねて圧縮成型した多層錠を好ましい態様として挙げることができる。
【0012】
本発明の「境界を介して存在する」とは、固形製剤中に複数の薬剤成分等が存在する場合、相互作用を引き起こす2種以上の薬剤成分が、お互いに直接接触して相互作用を起こすことがないように、同一の固形製剤中に存在する状態をいう。例えば、それぞれの相互作用を引き起こす2種以上の薬剤成分の間に、結合剤や賦形剤等の薬剤と反応しない不活性添加物質が存在したり、それぞれの相互作用を引き起こす2種以上の薬剤成分が、異なる顆粒若しくは粒(粒子)中に存在する固形製剤が挙げられる。具体的な態様としては、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、酸化マグネシウムを、各々別の顆粒若しくは粒(粒子)に配合し混合した粒剤や;ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の顆粒若しくは粒(粒子)と、酸化マグネシウム及び必要に応じて添加物を添加・混合し、その混合物を圧縮成型した錠剤や;ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の顆粒若しくは粒(粒子)、及び、酸化マグネシウムの顆粒若しくは粒(粒子)に、必要に応じて添加物を添加・混合し、その混合物を圧縮成型した錠剤;を挙げることができる。また、本発明の固形製剤が錠剤の場合は、多層錠及び有核錠が好ましく、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を含む層と、酸化マグネシウムを含む層とに、分けて配合した錠剤を挙げることができる。
このように相互作用を引き起こす2種以上の薬剤成分が「境界を介して存在する」ことにより、複数の薬剤が同一の固形製剤中に存在しても、実質的に相互作用を引き起こす2種以上の薬剤成分同士が接触しないので、該固形製剤の変色や有効成分の含量低下を抑制することができる。
【0013】
本発明の固形製剤の調製方法としては特に限定されず、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、酸化マグネシウムを、境界を介して(分離して)配合する際には、必要により、本発明に影響のない範囲で他の薬効成分を配合し、さらに必要に応じて製剤添加剤を添加し、従来から知られている製剤手法により調製すればよい。
例えば、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、酸化マグネシウムをを分離して配合するフィルムコーティング錠を調製する方法の例示としては、(1)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及び製剤添加剤を含む顆粒と、酸化マグネシウム及び製剤添加剤を含む顆粒を調製し、各々の顆粒と滑沢剤を混合後に打錠し錠剤を調製する。(2)ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及び製剤添加剤を含む顆粒に、酸化マグネシウムと滑沢剤を混合し、混合後に打錠し錠剤を調製する等の方法で素錠を調製する。上記の(1)又は(2)で製した素錠を、フィルムコーティング機に投入、フィルムコーティング液を噴霧してフィルムコーティング錠を調製することができる。
【0014】
本発明の固形製剤の製剤化に使用される製剤添加剤としては、薬学的に許容される担体であれば特に限定されるものではないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、界面活性剤、安定化剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、香料、芳香剤、着色剤、コーティング剤、分散剤、消泡剤等が挙げられ、従来公知の固形製剤に使用可能な製剤添加剤を上記の目的で使用しうる。
【0015】
本発明の固形製剤中の、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及び酸化マグネシウムの含有比としては、本発明の効果に影響を与えない限り、特に限定されないが、ロキソプロフェンナトリウム2水和物の1重量部に対する、酸化マグネシウムの含有比率として、0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜3.0重量部がより好ましい。
【0016】
本発明の固形製剤に配合できる、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物、及び酸化マグネシウム以外の薬効成分としては、カフェインや無水カフェイン等のカフェイン類、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等の鎮静剤、リボフラビン、チアミン硝化物、ベンフォチアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等のビタミン剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0017】
本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例を記載するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
試験例1:ロキソプロフェンナトリウム2水和物と各種制酸剤の外観変化の確認
1.物理混和物及び固形製剤の製造
【0019】
(参考例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0gを、篩(20号)にて篩過してサンプルを得た。
【0020】
(参考例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム20.0gをポリ袋にて混合した後、混合末を、篩(20号)にて篩過して物理混和物を得た。
【0021】
(参考例3)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、及び水酸化アルミニウムゲル20.0gをポリ袋にて混合した後、混合末を、篩(20号)にて篩過して物理混和物を得た。
【0022】
(参考例4)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物84.0g、アリルイソプロピルアセチル尿素84.0g、無水カフェイン70.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム140.0g、結晶セルロース22.4g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒288.0gにクロスカルメロースナトリウム9.0g、ステアリン酸マグネシウム3.0gを混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0023】
(参考例5)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物60.0g、ブロムワレリル尿素200.0g、無水カフェイン50.0g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100.0g、結晶セルロース50.0g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒291.4gにクロスカルメロースナトリウム6.4g、ステアリン酸マグネシウム2.2を混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0024】
(比較例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物10.0g、及び酸化マグネシウム10.0gを、ポリ袋にて混合した後、混合末を、篩(20号)にて篩過して物理混和物を得た。
【0025】
(比較例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物78.9g、アリルイソプロピルアセチル尿素78.9g、無水カフェイン65.8g、酸化マグネシウム43.9g、結晶セルロース100g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒288.0gにクロスカルメロースナトリウム9.0g、ステアリン酸マグネシウム3.0gを混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0026】
(比較例3)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物60.0g、ブロムワレリル尿素200.0g、無水カフェイン50.0g、酸化マグネシウム33.3g、結晶セルロース50.0g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒290.2gにクロスカルメロースナトリウム7.5g、ステアリン酸マグネシウム2.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0027】
2.試験方法
参考例1〜5、及び比較例1〜3のサンプルを、ガラス瓶(4k規格瓶)に充填し、50℃密栓の条件で2ヶ月間放置(50℃密栓2M)した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。
【0028】
色調変化は;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色、の4段階で評価した。
【0029】
性状変化は;A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化、の4段階で評価した。
【0030】
3.試験結果
表1に示したように、ロキソプロフェンナトリウム2水和物と酸化マグネシウムの組成物は色調変化が認められることがわかった。
【0031】
試験例2:ロキソプロフェンナトリウム2水和物と酸化マグネシウム間の変色抑制の確認
1.固形製剤の製造
【0032】
(実施例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物84.0g、無水カフェイン70.0g、結晶セルロース100.8g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒296.5gに酸化マグネシウム32.5g、クロスカルメロースナトリウム10.5g、ステアリン酸カルシウム10.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0033】
(実施例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物210.0g、結晶セルロース83.0g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒264.3gに酸化マグネシウム64.8g、クロスカルメロースナトリウム10.5g、ステアリン酸カルシウム10.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を得た。
【0034】
2.試験方法
比較例2、及び実施例1、2のサンプルをガラス瓶(4k規格瓶)に充填し、50℃密栓の条件で2ヶ月間放置(50℃密栓2M)した。保管後に冷蔵庫保存品を対照として色調変化、性状変化を確認した。
【0035】
色調変化は;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色、の4段階で評価した。
【0036】
性状変化は;A:変化なし、B:わずかな変化、C:変化あり、D:著しい変化、の4段階で評価した。
【0037】
また、比較例2及び実施例2のロキソプロフェンナトリウム2水和物、及び酸化マグネシウムの錠剤中の含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法にて測定し、残存率を算出した。
【0038】
3.試験結果
表2の結果より、ロキソプロフェンナトリウム2水和物と酸化マグネシウムを、各々別の顆粒に配合して製した錠剤は、保存安定性に優れていることがわかった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
(製剤例1)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物84.0g、アリルイソプロピルアセチル尿素84.0g、無水カフェイン70.0g、結晶セルロース100.8g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒296.5gに酸化マグネシウム32.5g、クロスカルメロースナトリウム10.5g、ステアリン酸カルシウム10.5gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【0042】
(製剤例2)
ロキソプロフェンナトリウム2水和物108.0g、ブロムワレリル尿素360.0g、無水カフェイン45.0g、結晶セルロース25.9g、及び乳糖水和物適量を投入・混合・混和し、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒顆粒を調製した。造粒顆粒302.1gに酸化マグネシウム32.4g、クロスカルメロースナトリウム7.8g、ステアリン酸カルシウム7.8gを混合・混和後、打錠して裸錠を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により、保存安定性に優れたロキソプロフェンナトリウム2水和物、及び酸化マグネシウムを含有した固形製剤を提供することができ、総合感冒薬又は解熱鎮痛薬として利用できる。