(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各歌唱区間に対応付けられた図形の形状、図形の相対的位置情報、及び図形の描画タイミングとからなる描画図形リファレンスデータを有する描画歌唱楽曲を選曲可能であり、当該描画歌唱楽曲を演奏する際に利用者により描画された図形と前記描画図形リファレンスデータとの一致度を採点するための描画歌唱採点システムであって、描画情報取得手段と、図形表示手段と、図形特定手段と、描画採点手段と、を備え、
前記描画情報取得手段は、描画された図形の座標情報及び描画タイミングを取得し、
前記図形表示手段は、前記取得した座標情報に基づく前記図形を所定の表示部に表示し、
前記図形特定手段は、前記取得した座標情報に基づき図形の形状を特定し、
前記描画採点手段は、歌唱区間毎に、前記描画図形リファレンスデータと、前記特定した図形の形状、前記取得した座標情報に基づく図形の相対的位置、及び前記取得した図形の描画タイミングとを比較して描画採点値を算出する、
ことを特徴とする描画歌唱採点システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、近年のカラオケシステムは、カラオケ歌唱だけではなく、種々のコンテンツを楽しむことができるようになっている。すなわち、カラオケシステムは、いわゆるナイト店のように飲酒を伴いながら歌唱を行うためだけではなく、家族連れやお年寄りまで幅広い年齢層や客層に利用されている。
【0008】
したがって、特に小学生以下の小さな子供を連れてカラオケを楽しむ場合には、子供を飽きさせることなく、利用者全員がカラオケを楽しめるような工夫が必要である。上述したように、クイズゲームを行う機能を備えたカラオケシステムも普及し始めており、幅広い年齢層や客層が気軽に利用することができるが、カラオケシステムの利用価値を高めるためには、さらなる工夫の余地がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、楽曲の演奏に合わせて描画を行わせ、当該描画の巧拙を採点する機能を持たせることにより、幅広い年齢層や客層でカラオケシステムの利用価値を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の描画歌唱採点システムは、上述した目的を達成するために提案されたもので、以下の特徴を有している。すなわち、本発明の描画歌唱採点システムは、各歌唱区間に対応付けられた図形の形状、図形の相対的位置情報、及び図形の描画タイミングとからなる描画図形リファレンスデータを有する描画歌唱楽曲を選曲可能であり、当該描画歌唱楽曲を演奏する際に利用者により描画された図形と描画図形リファレンスデータとの一致度を採点するための描画歌唱採点システムであって、描画情報取得手段と、図形表示手段と、図形特定手段と、描画採点手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
描画情報取得手段は、描画された図形の座標情報及び描画タイミングを取得するための手段である。図形表示手段は、取得した座標情報に基づく図形を所定の表示部(例えば、タブレット型カラオケリモコン装置の入出力表示部)に表示するための手段である。図形特定手段は、取得した座標情報に基づき図形の形状を特定するための手段である。描画採点手段は、歌唱区間毎に、描画図形リファレンスデータと、特定した図形の形状、取得した座標情報に基づく図形の相対的位置、及び取得した図形の描画タイミングとを比較して描画採点値を算出するための手段である。
【0012】
また、本発明の描画歌唱採点システムは、描画範囲特定手段を備えることが可能である。描画範囲特定手段は、直前に描画した図形の大きさ及び描画位置に基づき、次に描画する図形の描画範囲を特定するための手段である。この場合、描画採点手段は、歌唱区間毎に、描画図形リファレンスデータと、特定した図形の形状、取得した座標情報に基づく図形の相対的位置、及び取得した図形の描画タイミングとを比較するとともに、取得した座標情報と特定した図形の描画範囲とを比較して描画採点値を算出するように機能する。
【0013】
このような構成からなる描画歌唱採点システムでは、描画歌唱楽曲(絵描き歌)が選曲可能に設定されており、当該描画歌唱楽曲は描画図形リファレンスデータを有している。描画図形リファレンスデータとは、各歌唱区間に対応付けられた図形の形状、図形の相対的位置情報、及び図形の描画タイミングからなるデータであり、この描画図形リファレンスデータと実際に描画された図形とを比較して描画採点を行う。
【0014】
利用者が描画歌唱楽曲の演奏に合わせて、例えば、タブレット型カラオケリモコン装置を用いて描画を行うと、描画情報取得手段の機能により、描画した図形の座標情報及び描画タイミングを取得する。そして、図形表示手段の機能により、取得した座標情報に基づく図形をタブレット型カラオケリモコン装置の入出力表示部に表示する。
【0015】
また、描画が行われると、図形特定手段の機能により、取得した座標情報に基づき図形の形状を特定する。そして、描画採点手段の機能により、歌唱区間毎に、描画図形リファレンスデータと、実際に描画した図形に関する情報を比較する。すなわち、描画採点手段は、歌唱区間毎に、描画図形リファレンスデータと、特定した図形の形状、取得した座標情報に基づく図形の相対的位置、及び取得した図形の描画タイミングとを比較して、その一致度に応じて描画採点値を算出する。採点結果である描画採点値は、例えば、タブレット型カラオケリモコン装置の入出力表示部やカラオケ本体に付帯した表示装置の表示画面に表示される。
【0016】
また、描画範囲特定手段を備えた構成の場合には、直前に描画した図形の大きさ及び描画位置に基づき、次に描画する図形の描画範囲を特定する。そして、描画採点において、特定した図形の描画範囲内に図形が描画されているか否かを評価対象に加えて、描画採点値の算出を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明の描画歌唱採点システムによれば、描画歌唱楽曲の演奏に合わせて描画を行わせ、当該描画の巧拙を採点することができる。したがって、カラオケ演奏端末の利用機会を広げて、幅広い年齢層や客層が気軽に利用することが可能となる。特に、小学生以下の小さな子供を連れてカラオケを楽しむ場合には、子供を飽きさせることなく、利用者全員がカラオケを楽しむことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の描画歌唱採点システムの実施形態について説明する。
図1〜
図6は本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システムを示すもので、
図1は描画歌唱採点システムを適用したカラオケ演奏端末の構成を示すブロック図、
図2は描画図形リファレンスデータの構成を示す説明図、
図3及び
図4は図形の描画範囲の特定を説明する説明図、
図5は描画歌唱に伴う画面表示の概要を説明する模式図、
図6は描画採点結果の表示画面を示す模式図である。
【0020】
<システムの概要>
本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システムは、各歌唱区間に対応付けられた図形の形状、図形の相対的位置情報、及び図形の描画タイミングとからなる描画図形リファレンスデータを有する描画歌唱楽曲を選曲可能であり、当該描画歌唱楽曲を演奏する際に描画された図形と描画図形リファレンスデータとの一致度を採点するためのシステムである。すなわち、本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システムでは、例えば、カラオケ演奏端末を利用して描画歌唱楽曲(絵描き歌)を演奏(歌唱)するとともに、当該演奏(歌唱)に合わせてタブレット型カラオケリモコン装置等で描画を行わせ、各歌唱区間に対応付けられた図形の形状、図形の相対的位置情報、及び図形の描画タイミングからなる描画図形リファレンスデータと、実際に描画した図形から取得する情報との一致度を採点するようになっている。
【0021】
なお、本実施形態で説明する描画歌唱楽曲とは、いわゆる絵描き歌のことであり、通常のカラオケ楽曲に付帯したデータの他に、描画図形リファレンスデータを有している。さらに、描画を行うための機器として、例えば、入出力画面へタッチすることによるデータ入力や、ポインティングデバイスによるデータ入力が可能なタブレット型カラオケリモコン装置や、利用者が持参したカラオケ演奏端末とペアリング可能なタブレット端末等を備えている必要がある。
【0022】
また、利用者毎に歌唱履歴を保存したり、描画採点値を保存したりする場合には、利用者を識別する必要がある。この場合、利用者を識別するための利用者識別情報は、利用者がカラオケ演奏端末を含むシステムにログインする際に取得するようになっている。すなわち、本実施形態の描画歌唱採点システムでは、利用者が所持するIDカードをカラオケリモコン装置の受信部に近接させて利用者識別情報(例えば、利用者ID)を受信したり、利用者が持参した携帯情報端末(タブレット端末等)の無線通信網及びネットワーク回線を介してカラオケ演奏端末に利用者識別情報を送信したり、利用者が持参した携帯情報端末から直接、カラオケ演奏端末に情報を送信したりすることにより、システムログインした利用者の利用者識別情報を取得することができる。なお、会員登録していない利用者であっても、仮の利用者識別情報(例えば、仮利用者ID)を発行して、システムログインできるようにしてもよい。
【0023】
また、以下の説明において、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0024】
<システムの具体的構成>
本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システム10は、
図1に示すように、描画情報取得手段47と、図形表示手段31eと、図形特定手段48と、描画採点手段49により実現される。さらに、本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システム10は、描画範囲特定手段50を備えていてもよい。これらの手段は、カラオケ演奏端末30(カラオケ本体40)と、これに付帯した(ペアリングした)カラオケリモコン装置31の機能として実現される。なお、カラオケリモコン装置31は、タッチ入力が可能な入出力表示部31dを備えている必要があり、例えばタブレット型カラオケリモコン装置31を用いることが可能である。また、利用者が所持する携帯情報端末(タブレット端末)とカラオケ演奏端末30とをペアリングすることができれば、当該携帯情報端末(タブレット端末)を用いて描画を行うように構成してもよい。
【0025】
<カラオケ演奏端末>
本発明の実施形態に係る描画歌唱採点システム10を適用するカラオケ演奏端末30は、
図1に示すように、カラオケ本体40、カラオケリモコン装置31、スピーカ32、マイクロホン33、表示装置34、ミキシングアンプ35を備えている。
【0026】
<マイクロホン/スピーカ>
マイクロホン33は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン33から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ35により、音楽再生制御手段52から送出される演奏音声信号とミキシングされるとともに増幅され、スピーカ32へ出力される。なお、マイクロホン33からの音声入力信号は、A/Dコンバータ53によりデジタル変換されて、歌唱採点手段51における歌唱採点等に使用される。
【0027】
<表示装置>
表示装置34は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ、採点結果等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0028】
<カラオケ本体>
カラオケ本体40は、
図1に示すように、ネットワーク送受信手段41、中央制御手段42、ROM43、RAM44、HDD45、予約管理手段46、描画情報取得手段47、図形特定手段48、描画採点手段49、描画範囲特定手段50、歌唱採点手段51、音楽再生制御手段52、A/Dコンバータ53、映像再生制御手段54を備えている。
【0029】
<ネットワーク送受信手段>
ネットワーク送受信手段41は、カラオケ本体40と管理サーバ60及び他のカラオケ演奏端末30との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。すなわち、本実施形態のカラオケ演奏端末30は、ルータ20を介して管理サーバ60及び他のカラオケ演奏端末30とネットワーク接続されており、種々のデータを送受信することができるようになっている。
【0030】
<中央制御手段>
中央制御手段42は、カラオケ本体40を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM43等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0031】
<ROM/RAM>
ROM43は、カラオケ本体40を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM44は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM44を構成するのではなく、HDD等を用いて仮想的なRAM44を構成してもよい。本実施形態では、RAM44に予約待ち行列44aが記憶されるようになっている。この予約待ち行列44aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成したデータテーブルであり、選曲者の利用者ID等、他の識別データが紐付けられている場合もある。
【0032】
<HDD>
HDD45は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース45a、映像データベース45bが格納されている。なお、HDD45に替えて、あるいはHDD45とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0033】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース45aは、複数のカラオケ楽曲について、演奏データ及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース45bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。なお、本実施形態の描画歌唱採点システムでは、いわゆる絵描き歌である描画歌唱楽曲の場合に、楽曲データベース45aに格納される当該描画歌唱楽曲の楽曲データは、演奏データ、歌詞描出データ、描画図形リファレンスデータを同期させて構成している。
【0034】
<描画図形リファレンスデータ>
上述したように、本実施形態の楽曲データベース45aでは、描画歌唱楽曲の楽曲データとして描画図形リファレンスデータを有している。この描画図形リファレンスデータは、例えば、
図2に示すように、描画歌唱楽曲の楽曲ID毎に、各歌唱区間に同期した図形の形状、相対的位置情報、及び描画タイミングとから構成される。なお、相対的位置情報とは、直前に描画された図形に対して、次に描画する図形をどの位置に描画するべきかを示す情報である。したがって、
図2に示すように、次の図形の情報として、直前の図形に対する相対的位置情報を関連付けてもよいし、直前の図形の情報として、次の図形の相対的位置情報を関連付けてもよい。
【0035】
<予約管理手段>
予約管理手段46は、楽曲検索手段31aの機能を用いて検索され、選曲予約された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列44aを生成し、この予約待ち行列44aをRAM44に格納して管理するためのプログラムからなる。
【0036】
<描画情報取得手段>
描画情報取得手段47は、描画された図形の座標情報及び描画タイミングを取得するためのプログラムからなる。利用者が、カラオケリモコン装置31の入出力表示部31d等により図形を描画すると、当該図形を描画する際の入力情報に基づいて座標情報及び描画タイミングを取得することができる。そこで、描画情報取得手段47では、図形を描画する際の入力情報をカラオケリモコン装置31から取得し、当該入力情報に基づいて図形の座標情報及び描画タイミングを取得する。
【0037】
<図形特定手段>
図形特定手段48は、取得した座標情報に基づき図形の形状を特定するためのプログラムからなる。すなわち、描画図形とは利用者により入力された座標の軌跡であり、この座標の軌跡に基づいて、描画図形を特定することができる。また、利用者による座標の入力タイミングを時系列的に取得することにより、描画タイミングを特定することができる。
【0038】
<描画採点手段>
描画採点手段49は、歌唱区間毎に、描画図形リファレンスデータと、特定した図形の形状、取得した座標情報に基づく図形の相対的位置、及び取得した図形の描画タイミングとを比較して描画採点値を算出するためのプログラムからなる。描画図形リファレンスデータは、演奏データ及び歌詞描出データとともに、描画歌唱楽曲の楽曲データに付帯されたデータであり、この描画図形リファレンスデータに含まれる図形の形状と、図形特定手段48の機能により特定した図形の形状との一致度を比較することにより、描画した図形形状の採点値を算出することができる。例えば、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の形状が「三角」であれば、「三角」に相当する図形を描画したか否かにより、採点値を算出する。
【0039】
また、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の相対的位置情報と、描画情報取得手段47の機能により取得した座標情報に基づく図形の相対的位置との一致度を比較することにより、直前に描画された図形に対する相対的位置の採点値を算出することができる。例えば、描画図形リファレンスデータに含まれる相対的位置情報が「下」であれば、直前に描画された図形に対して「下側」に図形を描画したか否かにより、採点値を算出する。
【0040】
さらに、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の描画タイミングと、描画情報取得手段47により取得した図形の描画タイミングとの一致度を比較することにより、図形の描画タイミングの採点値を算出することができる。例えば、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の描画タイミングが「0〜15秒」であれば、この時間内に描画を行ったか否かにより、採点値を算出する。
【0041】
<描画範囲特定手段>
描画範囲特定手段50は、直前に描画した図形の大きさ及び描画位置に基づき、次に描画する図形の描画範囲を特定するためのプログラムからなる。すなわち、利用者が描画する図形の大きさや、入出力表示部31dにおける描画位置は、利用者の感性によりそれぞれ異なっている。すなわち、描画歌唱楽曲の演奏に合わせて描画を行った場合に、利用者毎に図形の大きさや描画位置が異なることになる。
【0042】
本発明の描画歌唱採点システム10では、このような利用者毎に異なる描画図形の大きさ及び描画位置に対応して、正確な描画採点値を算出するために、描画範囲特定手段50を備えている。この描画範囲特定手段50の機能により、描画すべき図形の描画範囲を特定して、描画採点値を算出することにより、利用者毎に描画する図形の大きさや、入出力表示部31dにおける描画位置が異なっている場合であっても、描画すべき図形の全体的な位置関係を加味して、より一層正確な描画採点値を算出することができる。
【0043】
例えば、
図3に示すように、入出力表示部31dにおいて左右方向の略中央部であって、上半部に図形(三角)が描画された場合に、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の相対的位置情報によれば、次の図形(四角)は、図形(三角)の下側に描画しなければならない。この場合、入出力表示部31dに描画された図形(三角)の大きさ及び位置に応じて、次に描画すべき図形(四角)の描画範囲が特定される。
【0044】
同様に、
図4に示すように、入出力表示部31dにおいて左右方向の右側部であって、上半部に図形(三角)が描画された場合に、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の相対的位置情報によれば、次の図形(四角)は、図形(三角)の下側に描画しなければならない。この場合、入出力表示部31dに描画された図形(三角)の大きさ及び位置に応じて、次に描画すべき図形(四角)の描画範囲が特定される。
図4に示す例では、
図3に示す例と比較して、描画された図形(三角)の大きさが小さいため、描画範囲の面積も小さくなり、さらに、描画された図形(三角)の描画位置が右側に偏っているため、描画範囲も右側に偏ったものとなる。
【0045】
描画範囲特定手段50を備えている場合には、描画採点手段49では、上述した採点値の算出だけではなく、描画情報取得手段47の機能により取得した座標情報と、描画範囲特定手段50の機能により特定した図形の描画範囲とを比較して、その一致度に応じて描画採点値を算出する。例えば、
図3及び
図4に示すように、図形(三角)が描画された場合に、次に描画すべき図形(四角)の描画範囲が特定され、この描画範囲内に描画を行ったか否かにより、採点値を算出する。
【0046】
<歌唱採点手段>
歌唱採点手段51は、マイクロホン33から入力された歌唱音声と所定のリファレンスデータとの比較に基づいて歌唱採点値を算出するためのプログラムからなる。この歌唱採点機能は、現在普及しているカラオケ演奏装置が一般的に備えている機能で有り、リズムや音程だけではなく、シャクリ、フォール、ビブラート、抑揚、ロングトーン等についても詳細に採点することもできる。
【0047】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段52は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース45aから抽出された演奏データを、ミキシングアンプ35に出力するための電子回路からなる。なお、演奏データがMIDI規格の演奏制御データである場合には、この演奏制御データに基づいて、音源データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ35に出力する。上述したように、ミキシングアンプ35は、マイクロホン33から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段52から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ32より出力するための装置である。
【0048】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段54は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース45bから抽出した背景映像データと、演奏データに含まれる歌詞描出データに基づく歌詞文字とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置34に出力するためのプログラムからなる。
【0049】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置31は、ユーザインタフェース機能を備えており、ルータ20との間で無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置31は、楽曲検索手段31a、楽曲索引データベース31b、データ記憶部31c、入出力表示部31d、図形表示手段31e、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム(図示せず)を備えている。なお、カラオケ本体40とカラオケリモコン装置31との間で、データの送受信を行うことが可能な構成としてもよい。この場合には、例えば、赤外線通信により、カラオケ本体40とカラオケリモコン装置31との間でデータの送受信が行われる。
【0050】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段31aは、利用者が入力した検索条件に基づいてカラオケ楽曲を検索するためのプログラムからなる。すなわち、楽曲検索手段31aは、利用者による検索条件(曲名、歌手名、音楽ジャンル区分、流行時期等)の入力に基づき、楽曲索引データベース31bを参照して楽曲を検索する。楽曲索引データベース31bは、カラオケ演奏端末30で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲ID・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・演奏形態・デュエット曲など、種々の属性情報がこれに含まれている。楽曲検索手段31aにより楽曲検索を行うと、カラオケリモコン装置31の入出力表示部31dに、検索結果が一覧表示される。
【0051】
<データ記憶部>
データ記憶部31cは、選曲予約の履歴等を記憶するための領域で、図示しないが、利用者識別ID、選曲予約データ、選曲予約履歴データ等、各種のデータが記憶される。
【0052】
<入出力表示部>
入出力表示部31dは、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置からなり、上述したように、楽曲検索手段31aにより検索を行う際の入力表示、検索結果の一覧表示、各種の案内表示等を行うとともに、表示されるアイコン等を操作することにより、入力指示を行うことができる。また、本実施形態では、この入出力表示部31dが、利用者により図形の描画座標を入力するための描画手段として機能する。すなわち、液晶表示装置の表示画面上を入力ペン70等でなぞることにより、所望の図形を描画することができる。なお、描画手段は、カラオケ演奏端末30とペアリングすることが可能な機器であれば、カラオケリモコン装置31と別個の機器であってもよく、例えば、利用者が持参した携帯情報端末(タブレット端末)等を利用することもできる。
【0053】
<図形表示手段>
図形表示手段31eは、取得した座標情報に基づく図形を所定の表示部に表示するためのプログラムからなる。すなわち、入出力表示部31dへのペンタッチにより図形の描画座標が入力されると、図形表示手段31eの機能により、入力された座標情報に基づく図形を入出力表示部31dに表示する。なお、入力された座標情報に基づく図形は、表示装置34の表示画面に表示してもよい。
【0054】
<描画採点>
図5及び
図6を参照して、本実施形態の描画歌唱採点システム10における描画採点について説明する。
図5に示すように、描画歌唱楽曲(絵描き歌)の演奏が開始すると、演奏の進行に合わせて、表示装置34の表示画面34aに歌詞文字34bが色変わり表示される。そして、利用者が歌唱を行うと、当該歌唱音声がマイクロホン33に入力され、ミキシングアンプ35により、音楽再生制御手段52から送出される演奏音声信号とミキシングされるとともに増幅されてスピーカ32へ出力される。また、描画を行う利用者(例えば、幼児)は、絵描き歌のリズムに合わせて、カラオケリモコン装置31等の入出力表示部31dに、入力ペン70を用いて歌詞に対応する図形を描画する。
【0055】
例えば、歌唱音声が「サンカクオヤネガアリマシタ(三角お屋根がありました)」であれば、この歌唱音声のリズムに合わせて三角形を描画すればよい。この際、表示装置34の表示画面34aに図形描画ウインドウ34cを設けて、描画している図形を表示してもよい。これにより、一緒にカラオケを行っている利用者全員が、描画採点を楽しむことができるので、カラオケの楽しさをさらに一層高めることができる。
【0056】
そして、描画情報取得手段47の機能により、利用者が描画した図形の座標情報及び描画タイミングを取得し、図形特定手段48の機能により、取得した座標情報に基づき図形の形状を特定する。さらに、描画採点手段49の機能により、当該描画歌唱楽曲の描画図形リファレンスデータと、実際に描画された図形の形状、図形の相対的位置、図形の描画タイミングとを比較して、その一致度に応じて描画採点値を算出する。さらに、このような描画採点に加えて、描画情報取得手段47の機能により取得した座標情報と、描画範囲特定手段50の機能により特定した図形の描画範囲とを比較して、その一致度に応じて描画採点値を算出してもよい。
【0057】
例えば、描画した図形の形状及び描画範囲の採点値を50点満点とするとともに、描画タイミングの採点値を50点満点とし、その合計値を描画採点値とすることができる。この例では、描画採点値は100点満点となる。また、描画歌唱楽曲に合わせて描画する図形の難易度に応じて、描画形状の採点値と描画タイミングの採点値の割合を変更して設定することが可能である。例えば、描画する図形が複雑な場合には、図形の形状及び描画範囲の採点値を70点満点とし、描画タイミングの採点値を30点満点とすればよい。
【0058】
さらに、歌唱採点手段51の機能により歌唱採点値を算出し、描画採点値と歌唱採点値とを合算して、歌唱と描画の巧拙を総合評価してもよい。このように、描画採点値だけではなく、歌唱採点値も加味して描画歌唱の巧拙を総合評価することにより、カラオケ参加者が一体となって描画歌唱を楽しむことができる。
【0059】
例えば
図6に示すように、表示装置34の表示画面34aに描画採点値34dが表示される。この際、図形描画ウインドウ34cを設けて、採点結果とともに完成した図形を表示してもよい。また、描画した図形の形状及び描画範囲の採点値、描画タイミングの採点値、両者を合計した点数、歌唱採点値34e、総合評価点(合計点数)34fをそれぞれ表示してもよい。さらに、
図6に示すように、描画採点に対するコメント34gを表示するようにしてもよい。
【0060】
図6に示す例では、描画された図形の形状及び描画位置と、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の描画位置及び描画範囲特定手段50により特定された描画範囲との一致度が比較的高いため、得点が50点満点で39点となっており、当該得点に相当するコメントが表示されている。また、図形の描画タイミングは、描画図形リファレンスデータに含まれる図形の描画タイミングと比較して遅かったため、得点が50点満点で25点となっており、当該得点に相当するコメントが表示されている。さらに、歌唱採点値が100点満点で82点と比較的高いため、当該得点に相当するコメントが表示されるとともに、総合得点(合計得点)も200点満点で156点と、比較的高くなっている。
【0061】
<他の実施形態>
本発明の描画歌唱採点システム10及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。