特許第6114645号(P6114645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6114645液体クロマトグラフ、溶出時間導出装置及び溶出時間導出用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114645
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ、溶出時間導出装置及び溶出時間導出用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20170403BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20170403BHJP
   G01N 30/90 20060101ALN20170403BHJP
【FI】
   G01N30/86 F
   G01N30/34 E
   !G01N30/90
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-134940(P2013-134940)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-10874(P2015-10874A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391048533
【氏名又は名称】山善株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】大倉 喜八郎
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−054028(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0032520(US,A1)
【文献】 特開2003−240765(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0231471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/34
G01N 30/86
G01N 30/90
B01D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフに使用できる液体クロマトグラフ装置であって、
カラムに導入する溶媒の混合比の変化式を成分cの移動度Rの(t/t)の関数として表現した下記式(1)
【数1】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
を記憶する混合比変化式記憶手段と、
前記混合比変化式記憶手段が記憶した前記変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が連続的に変化する溶離液を生成する混合手段と、
前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプと、
試料が前記カラムに流入し始めてから成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出手段とを備えており、
前記溶出時間導出手段は、式(2)(5)によって表された移動度R(t/t)の式によってtを算出することによって溶出時間を算出するものであることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【数2】

【数3】
(bは初期移動度に関連した定数)
【請求項2】
溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフにおいて使用される溶出時間導出手段を有する溶出時間導出装置であって、
試料が前記カラムに流入し始めてから前記試料に含まれる成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出装置であり、
カラムに導入する溶媒の混合比の変化式を成分cの移動度Rの(t/t)の関数として下記式(1)
【数4】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
で表した場合に、
前記溶出時間導出手段は、式(2)(5)によって表された式によってtを算出することによって溶出時間を算出するものであることを特徴とする溶出時間導出装置。
【数5】

【数6】
(bは初期移動度に関連した定数)
【請求項3】
カラムに導入する溶媒の混合比の変化式
【数7】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
を記憶する混合比変化式記憶手段と、
試料が前記カラムに流入し始めてから成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出手段とを備えており、
前記溶出時間導出手段は、下記式(2)(5)によってtを算出することによって溶出時間を算出するものであることを特徴とする溶出時間導出用プログラム。
【数8】

【数9】
(bは初期移動度に関連した定数)
【請求項4】
溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフに使用できる液体クロマトグラフ装置であって、
サンプルに与えられる溶媒のグラジエントパターンを表す式(6)
【数10】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
を入力するグラジエントパターン入力手段と、
前記グラジエントパターン入力手段によって入力されたグラジエントパターンを表す式を式(7)
【数11】
(bは初期移動度に関連した定数)
に基づいてカラムに導入する溶媒の混合比の変化式に変換する数式変換手段と、
前記溶媒の混合比の変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が変化する溶離液を生成する混合手段と、
前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプと
を備える特徴とすることを特徴とする液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ、溶出時間導出装置及び溶出時間導出用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフにおいては、固定相が充填されたカラムに、複数の成分を有する試料、及び、溶離液が流される。そして溶離液とともにカラムに流入した試料は、カラムに充填された固定相に吸着しつつ溶離液の流下に伴って移動し、所定時間後にカラムから排出される。ここで、試料に含まれた各成分が排出されるのに要する時間は、溶離液との親和性及びカラムの固定相と各成分との相互作用などに依存し、成分ごとに異なる。つまり、溶離液との親和性が弱いもの及び固定相との相互作用が強いものは、カラム内に長く留まる。また、逆に、溶離液との親和性が強いもの及び固定相との相互作用が弱いものは、早く排出される。これによって、カラムを通過する試料が成分ごとに分離されて溶出する。
【0003】
このような液体クロマトグラフの使用に当たっては、溶離液として使用する溶媒が溶出時間に与える影響が非常に大きい。したがって、最適な分離条件を得るために、複数種の溶媒を組み合わせて使用することも一般的に行われている。更に、複数種の溶媒を組み合わせる場合に、一定の混合比の溶離液を使用するのではなく、その混合比を徐々に変化させること(これをグラジエントという)によって、試料の固定相との相互作用を調整し、より精密な分離を図ることも行われている。
【0004】
本発明者は、液体クロマトグラフにおいて、プログラム等を使用して各成分の溶出時間を予測することについて検討を行ってきた。上述したようなグラジエントを行った場合における溶出時間の予測を行う方法として、本発明者は特許文献1を完成した。特許文献1は、下記式(2)
【0005】
【数1】
【0006】
によって、グラジエントを行った場合の溶出時間を予測する方法である。しかしながら、その後の検討によって、実際の溶出時間は上記式(2)によって算出された溶出時間との間にずれを生じる場合があることが明らかとなった。(2)の式は、カラム入口にかかる移動度の積分であるため、実際のサンプルに与えられる移動度ではない。そこで、この点を補正するための発明として特許文献2を完成した。
【0007】
特許文献2においては、直線的に複数種の溶媒の混合比を変化させる液体クロマトグラフにおいて、特許文献1において示した計算式を補正し、下記式(2),(4)によって、カラム入口の移動度ではなく、カラム内を移動しているサンプルに与えられる移動度を算出することにより、きわめて正確に溶出時間を算出できることを見出し、このような機能を備えた液体クロマトグラフ装置を提供することに成功した。
【0008】
【数2】
【0009】
【数3】
【0010】
しかしながら、特許文献2における発明は、直線的に複数種の溶媒の混合比を変化させる液体クロマトグラフにおいてのみ適用できる方法であり、非直線的に複数の溶媒の混合比を変化させる場合には適用できなかった。他方では、近年、より精密な分離を行うために、非直線的なグラジエントを行うことによるクロマトグラフが提案されている(特許文献3)。したがって、非直線的なグラジエントを行った場合においても正確に溶出時間を算出することができ、また、溶媒の適切なグラジエント方法を判定することができるようなクロマトグラフが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−3398号公報
【特許文献2】特開2013−54028号公報
【特許文献3】国際公開2000/72001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、任意のグラジエントを行った液体クロマトグラフにおいて、試料に含まれる各成分の溶出時間をより高精度に導出できる液体クロマトグラフを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、液体クロマトグラフにおいて試料に含まれる成分を所定の溶出時間で溶出させるための2つの溶媒の混合比の変化をより高精度に導出できる液体クロマトグラフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフに使用できる液体クロマトグラフ装置であって、カラムに導入する溶媒の混合比の変化式を成分cの移動度Rの(t/t)の関数として表現した下記式(1)
【0015】
【数4】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
【0016】
を記憶する混合比変化式記憶手段と、
前記混合比変化式記憶手段が記憶した前記変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が連続的に変化する溶離液を生成する混合手段と、
前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプと、
試料が前記カラムに流入し始めてから成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出手段とを備えており、
前記溶出時間導出手段は、式(2)(5)によって表された移動度R(t/t)の式によってtを算出することによって溶出時間を算出するものであることを特徴とする液体クロマトグラフである。
【0017】
【数5】
【0018】
【数6】
(bは初期移動度に関連した定数)
【0019】
本発明は、溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフにおいて使用される溶出時間導出手段を有する溶出時間導出装置であって、
試料が前記カラムに流入し始めてから前記試料
に含まれる成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出装置であり、
カラムに導入する溶媒の混合比の変化式を成分cの移動度Rの(t/t)の関数として下記式(1)
【0020】
【数7】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
【0021】
で表した場合に、
前記溶出時間導出手段は、式(2)(5)によって表された式によってtを算出することによってサンプルの溶出時間を算出するものであることを特徴とする溶出時間導出装置でもある。
【0022】
【数8】
【0023】
【数9】
(bは初期移動度に関連した定数)
【0024】
本発明は、溶媒の混合比の変化式
【数7】
を記憶する混合比変化式記憶手段と、
前記試料が前記カラムに流入し始めてから前記成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出手段とを備えており、
前記溶出時間導出手段は、下記式(2)(5)によってtを算出することによって溶出時間を算出するものであることを特徴とする溶出時間導出用プログラムでもある。
【0025】
【数11】
【0026】
【数12】
(bは初期移動度に関連した定数)
【0027】
本発明は、溶媒の混合比を変化させて行う液体カラムクロマトグラフに使用できる液体クロマトグラフ装置であって、
サンプルに与えられる溶媒のグラジュエントパターンを表す式(6)
【0028】
【数13】
(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)
【0029】
を入力するグラジエントパターン入力手段と、
前記グラジエントパターン入力手段によって入力されたグラジエントパターンを表す式を式(7)
【0030】
【数11】
(bは初期移動度に関連した定数)
【0031】
に基づいてカラムに導入する溶媒の混合比の変化式に変換する数式変換手段と、
前記溶媒の混合比の変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が変化する溶離液を生成する混合手段と、
前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプと
を備える特徴とすることを特徴とする液体クロマトグラフでもある。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、任意のグラジエントを行ったクロマトグラフにおいて、試料中に含まれる各成分の溶出時間を事前に高精度に予測できるため、複数の成分の分離の程度を測定者が容易に事前に把握することが可能となり、混合比の変化式を評価することができる。
【0033】
また、本発明によると、所望溶出時間に対する成分に係る移動度を高精度に導出することができるので、成分の分離に十分な溶出時間が確保された、短い溶出時間での液体クロマトグラフが可能となる。
【0034】
更に、事前に各成分の溶出時間を知ることができるため、種々のグラジエント条件について比較検討を行い、もっとも効率よく各成分を分離できるグラジエント条件がどのようなものであるかを実験前に予測することができる。これによって、液体クロマトグラフによる分離の効率化を図ることができる。
【0035】
更に、液体クロマトフラフを行うサンプルにおける各成分の性質から予測される最適なグラジエント式に基づく液体クロマトグラフを行おうとする場合、当該グラジエント式に適応した最適な溶媒の混合比の変化式をえることができ、正確なグラジエントを行うことができる。このため、理論に基づいた正確な液体クロマトグラフを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態である第1実施形態に係る液体クロマトグラフの概略図である。
図2図1に示される液体クロマトグラフによるクロマトグラフに先立って行われる薄層クロマトグラフで用いられるTLC装置の概略図である。
図3図2に示される薄層板における試料中の成分の移動を示す図である。
図4図2に示されるTLC装置による薄層クロマトグラフから得られる移動度と混合比との関係を示すグラフである。
図5】第1の本発明における方法によってサンプルの移動度を算出した結果を示す図の一例。
図6】第1の本発明における方法によってサンプルの移動度を算出した結果を示す図の一例。
図7】第2の本発明における方法によって導かれた溶離液の溶媒の混合比の変化式の結果を示す図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述したように、グラジエントを行った場合は溶媒の混合比が変化することに対応してサンプル中の成分のR値が変化する。このR値の変化に基づいて理論的に溶出時間を算出する場合、特許文献1に記載されたような理論に基づいて溶出時間を算出すると、実際の溶出時間との間に差を生じる場合がある。よって、特許文献1の算出式に対して補正を行う必要がある。
【0038】
本発明においては、このような関係式について検討を行い、より正確に溶離液として使用する溶媒の混合率の変化式と溶出時間との関係を明らかにすることができ、これによって、精密な液体クロマトグラフを行える方法、および、これに使用する液体クロマトグラフを提供するものである。
【0039】
引用文献1の方法で完全に正確な予測ができない場合が生じる原因は、溶媒の混合比を変化させた場合、式(2)におけるR値として、カラムに注入された溶媒の混合比に対応した値を採用している点にある。現実には、成分cのR値は、その時点で成分cが存在する位置にある溶媒に対応したR値であり、ここに一定のずれが生じてしまう。よって、この時間のずれを反映させた計算式に修正することで、このような問題は解決される。本発明においては、このような点を考慮して、溶出時間を算出したものである。
【0040】
本発明は、より具体的には、溶媒の混合比の変化式を決定した後に溶出時間を決定する態様(以下、これを第1の本発明と記す)と、溶出時間から逆算して得られたグラジエント方法を数式化した後、この数式に対応した溶媒の混合比の変化式を決定する態様(以下、これを第2の本発明)とが考えられる。本明細書においては以下、これらを順次説明し、そののちに、具体的な液体クロマトグラフ装置について説明する。
【0041】
[第1の本発明について]
第1の本発明においては、溶離液の溶媒の混合比の変化式と、別途得られたサンプル中の成分についてのRと溶媒の混合比との関係に基づいてサンプルの溶出時間を計算し、これによって最適な液体クロマトグラフを行うための条件を選定するものである。これによって、各成分の溶出時間が明らかな状態で液体クロマトグラフを行うことができるため、液体クロマトグラフの操作も便利なものとなる。
【0042】
第1の本発明において、溶出時間を明らかにするためには、
(1)溶媒混合比の時間変化
(2)使用する混合溶媒において、溶媒混合比とサンプル中に含まれる成分のR値の関係を示す関係式
が必要である。(1)は、液体クロマトグラフを行う作業者が設定して、入力するものである。(2)は、各成分について混合溶媒の混合比とカラム充填剤の種類に応じて決まる固有値であり、実際に液体クロマトグラフ又は薄層クロマトグラフを行うことによって測定を行うことができる。
【0043】
<薄層クロマトグラフ>
以下は、薄層クロマトグラフ(TLC:thin layer chromatography)に係る説明である。本発明において、薄層クロマトグラフは、液体クロマトグラフにおける試料の各成分の移動度と溶媒の混合比との関係式を導出するために行われる。すなわち、薄層クロマトグラフ等によって各成分の移動度と溶媒の配合比との関係を明らかにして、この関係式を各成分の溶出時間を予想において利用する。
【0044】
図2は、薄層クロマトグラフに用いられるTLC装置30の概略図である。
TLC装置30は、薄層板31及び容器32を有している。容器32には、液体クロマトグラフ11によるクロマトグラフに用いられる溶媒と同様の溶媒を所定の混合比で混合した、溶離液33が貯留される。本実施形態においては、上記のように、溶離液33として溶媒A及びBが用いられる。また、薄層板31は、液体クロマトグラフ11に用いられる固定相と同様の材料からなり、本実施形態ではシリカゲルが用いられている。薄層板31には、液体クロマトグラフ11によるクロマトグラフの試料と同じ成分を有する試料3が設置される。試料3が設置された薄層板31は、図2に示されるように、容器32に貯留された溶離液33に浸される。
【0045】
薄層板31が溶離液33に浸されると、毛管作用により溶離液33が薄層板31に吸い上げられていく。薄層板31に設置された試料3に含まれる成分cは、溶離液33の移動に伴って、徐々に上方に移動する。そして、薄層板31が溶離液33に浸されてから、薄層板31に浸透した溶離液33の上端部分が薄層板31の上端に達するまでに要する時間に基づいて、成分cに係る移動度Rが求められる。図3は、このときの薄層板31の様子を示している。薄層板31における試料3の初期位置Sを基準位置とし、基準位置から薄層板31の上端までの長さを基準長さ1.0としたとき、移動度Rは基準長さに対する基準位置からの成分cの移動距離(0≦R≦1.0)として求められる。
【0046】
上記のような薄層クロマトグラフにより、混合比と移動度との関係が求められる。なお、一般に、混合溶媒中での成分cの移動度は、2種の溶媒の混合比に対する関数で表される。よって、1つの成分について、少なくとも2種類の混合比の混合溶媒に対してR値を測定すれば、これによってR値と混合溶媒の混合比との関係を関数としてあらわすことができる。
【0047】
図4は、薄層クロマトグラフから得られた混合比の変化と移動度の変化との関係の一例を示している。この例は、2つの溶媒の混合比がrに設定されて行われた薄層クロマトグラフによって、ある成分の移動度がRと求められた場合を示している。したがって、混合比と移動度との関係は、横軸が混合比、縦軸が移動度を示す平面において、点(r,R)を通る直線41によって表される。
【0048】
<液体クロマトグラフによるRf値の測定方法>
溶媒組成を変化させることのない液体カラムクロマトグラフにおいては、特定の成分cが溶出する時間をtc0、溶離液が前記カラムに流入し始めてから前記溶離液が前記カラムから流出し始めるまでの時間をtとすると、Rとtc0、tとは、
c0=t/tc0
の関係となる。したがって、溶媒の混合比を変化させない液体カラムクロマトグラフを溶媒組成の異なる2点について行って、tc0を測定することによっても、Rと溶媒の混合比との関係を明らかにすることができる。
【0049】
<溶媒混合比の変化式>
本発明においては、溶媒の組成を変化させながら液体カラムクロマトグラフを行うものである。
この関係は、時間tにおける溶媒Aの含有割合x%とすると、
x=f(t)
として、xを任意の時間の関数とすることで表現することができる。
【0050】
一方、図4において上述したように、特定の成分cに着目して考えれば、溶媒Aの含有割合がx%という特定の値となる場合、その特定の混合比に対応した成分cのR(x)値が特定の値として存在する。これは上述した方法で明らかにしたRと溶媒の混合比との関係から容易に導き出すことができる。
したがって、溶媒の混合比は、溶媒Aの含有割合ではなく、特定の成分cのR値であるRの時間変化の関数としてあらわすことができる。更に、当該関係において、時間tではなく、(t/t)(式中、tは溶離液がカラムに流入し始めてから溶離液がカラムから流出し始めるまでの時間)によってあらわすこともできる。
以上の観点から、溶媒組成の変化式は、サンプル中の成分cの移動度に着目して、
【0051】
【数15】
として、時間tと上記tの比(t/t)と、時間tの時点における溶媒混合比に対応したcの移動度Rとの関係式で表すことができる。
【0052】
なお、複数の成分を含有するサンプルの分離において液体カラムクロマトグラフを使用する場合は、それぞれの成分について、溶媒の混合比の変化式を上記式(1)の形で表すことができる。成分ごとに溶出時間を算出する必要がある場合は、上記式(1)を成分毎に作成する必要がある。
【0053】
<溶出時間の算出>
一方、特許文献1における知見において、特定成分cの溶出時間t
【0054】
【数16】

で求められることが知られている。
しかしながら、上述した式(1)で示されたRを式(2)に適用しても、実際の溶出時間に対応したtが算出できない場合があった。
【0055】
本発明においては、以下の式(5)
【0056】
【数17】
(bは、初期移動度に関連した定数)
【0057】
という関係式を式(2)に導入することでより正確な溶出時間の算出時間が算出できることを見出したものである。
【0058】
なお、式中、定数bは、液体クロマトグラフに導入する最初の溶媒に対する成分cのR値を表す初期移動度Rf0から導くことができる定数である。具体的には、b=ln(1−Rf0)である。bは薄層クロマトグラィ(TLC)又はカラムを用いた液体クロマトグラフでRf0を測定することによって得られる。
【0059】
式(3)を式(2)に適用することで、tを正確に算出することができ、これによって成分cの溶出時間を算出することができる。このような方法で算出されたtは、実際の実験結果との対応関係も良好である。
【0060】
また、試料中の複数成分のそれぞれについて上記操作を行うことによって、複数の成分に対してtを得ることもできる。これによって、各成分の溶出時間を知ることができるから、これによって良好な分離が行われるかどうかの予測を事前に行うこともできる。すなわち、各成分のtが非常に近い値となる場合は、グラジエント条件が不適切と判断されるため、新たなグラジエント条件を設定したり、より長いカラムを使用したりして、良好な分離が行われるように条件を変更することが好ましい。また、特定成分の溶出時間が過剰に長くなると予測される場合には、一般式(1)を変化させることによって、最適な条件の検討を行うこともできる。
【0061】
以下、具体的な例に基づいて上記式による算出を行う。
図5、6には、t/tに対する移動度R(t/t)の各種の変化の様子を表したグラフを示した。
【0062】
図5においては、特定の成分cに対して、
【数18】


の関係となるようにカラムに導入する溶媒の混合比を変化させるグラジエントをかけたものである。
この場合、当該式を上記式(5)に適用することによって、
【0063】
【数19】


の関係が導き出せる。このような関係を図5に示す。
このようにして得られたRの値を式(2)に適用して積分を行うことによって、成分cの溶出時間を算出することができる。
【0064】
同様に、図6においては、
【0065】
【数20】
【0066】
の関係となるようにカラムに導入する溶媒の混合比を変化させるグラジエントをかけたものである。
この場合、当該式を上記式(5)に適用することによって、
【0067】
【数21】
の関係が導き出せる。このような関係を図6に示す。
このようにして得られたRの値を式(2)に適用して積分を行うことによって、成分cの溶出時間を算出することができる。
【0068】
このように、本発明の液体クロマトグラフを使用することによって、任意のグラジエントを行った場合の正確な溶出時間を導くことができるものである。
【0069】
[第2の本発明について]
第2の本発明においては、溶出時間を先に設定して、適切な溶出時間を得るための溶媒の混合比の変化式を導き出し、このようにして導かれた溶媒の混合比の変化式に応じた液体クロマトグラフを行うものである。すなわち、サンプル中に存在する各成分のR値と溶媒の混合割合の関係を上述した方法によって明らかにすれば、式(2)
【0070】
【数22】

のtを目的の溶出時間として、複数種の成分cに対してそれぞれ目的の溶出時間を設定することで、最適な液体クロマトグラフのグラジエント条件をRの時間変化の関係式としてあらわすことができる。
【0071】
このようにして表されたRの時間を変数とする関係式は、
【0072】
【数23】
【0073】
とすることができる。
なお、このような関係式は、作業者が所定の測定値に基づいて設定して作成し、入力するものであってもよいし、条件に応じて関係式作成プログラムによって作成するものであってもよい。
【0074】
そして、溶出時間に基づいて決定された式(6)に基づく、移動度と時間との関係による正確な液体クロマトグラフを行うためには、上述したようなカラム入口部分と各成分との溶媒比の相違を反映させて、溶媒の混合比の変化式を導き出す必要がある。より適切な溶媒の混合比の変化式を得るには、上述した第1の本発明の計算方法を逆に行うことが必要である。このようにして、良好なグラジュエントを得るための溶媒の混合比の変化式を設定することが第2の本発明の特徴である。
【0075】
第2の本発明においては、まず、サンプル中に存在する各成分について、既に詳述した薄層クロマトグラフにより、混合比と移動度との関係を明らかにする。そして、この関係から、サンプルに対してどのようなグラジエントがかかれば、良好な分離を行うことができるか、という点について予測を行う。成分毎に混合比と移動度が分かれば、ある程度直線的な変化によってグラジエントをかけたほうがよいか、あるいは上に凸となるような曲線的な変化を行うことが好ましいか、下に凸となるような曲線的な変化を行うことが好ましいか、等のおおよその見当をつけることができる。また、このような混合比と移動度との関係式の作成をプログラムによって自動的に行ってもよい。
【0076】
そして、各成分が所定の溶出時間となるように予測される式(6)を決定することができる。すなわち、
【0077】
【数24】
【0078】
として、最適な溶出時間を有するような条件として各成分の時間tにおけるR値を表す式を得ることができる。
【0079】
なお、当該式(6)を上記式(2)に適用すれば、各成分のtは容易に算出できるから、これによって、適切な溶出時間が得られる関係式であるか否かの確認ができる。
【0080】
第2の本発明においては、このような関係式(6)に基づくR変化をカラム内に存在する各成分に適用させるために、カラムに導入する溶媒の混合比変化式を得るものである。このようにして得られた、溶媒の混合比変化式にもとづいて溶媒の混合比を変化させて液体クロマトグラフに導入することによって、理論によって導いたとおりの溶出時間を有する液体クロマトグラフを行うものである。
【0081】
上記(6)の関係式からカラムに導入する溶媒の混合比の変化式を求める方法は、上述した第1の本発明の計算式と完全に逆の計算を行えばよい。
すなわち、上記数式(5)(6)を組み合わせることによって、
【0082】
【数25】
【0083】
の関係が導かれる。
なお、上記式(8)中のbは、初期移動度に対する定数であり、上述したbと同様に実測によって測定することができる。
これを整理することで、
【0084】
【数26】
【0085】
の関係式を導くことができる。これによって、理論的に算出された所定の時間における成分cに対するR値の式に基づいてカラムに導入する溶媒の混合比の変化式を得ることができる。
【0086】
以下に、具体的な例によって更に説明する。
例えば、式(2)使用した検討によって、各成分について所定の溶出時間を得るためのR値の時間変化の最適な式が、
【0087】
【数27】
【0088】
であることが明らかになった場合を例に説明する。
【0089】
上記(6)式にこれを代入することで、
【0090】
【数28】
【0091】
の式を導くことができる。
これを図7に示す。
このような式によってあらわされた溶媒の混合比の変化式に従って、カラムに導入する溶媒の混合比を変化させることによって、当初設定した条件で予測された溶出時間で各成分を取り出すことができ、精密な分離を容易に行うことができる。
【0092】
[液体クロマトグラフ装置]
本発明は、上述したような溶媒の混合比の変化式と溶出時間との関係を用いて制御する液体クロマトフラフ装置に関するものである。
上述した第1の本発明を行う場合も、第2の本発明を行う場合も使用する装置は本質的に同一であり、いずれの場合も、混合比変化式記憶手段と、前記混合比変化式記憶手段が記憶した前記変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が連続的に変化する溶離液を生成する混合手段と、前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプと、試料が前記カラムに流入し始めてから成分cが前記カラムから溶出するまでの溶出時間tを導出する溶出時間導出手段を備えた液体クロマトグラフ装置によって発明を実施することができる。
【0093】
なお、第2の本発明の場合、上記構成を備えた装置に、上記(6)で示される関係式を入力し、これから混合比変化式を得て、これに基づいて混合手段を制御することによって使用するものであるから、使用方法は異なる。しかしながら、計算は逆算によって行うものであるから、使用態様が異なるのみであり、使用する装置は実質的に同一のものとすることができる。
【0094】
したがって、第2の本発明においては、グラジエントパターン入力手段と、前記グラジエントパターン入力手段によって入力されたグラジエントパターンを表す式を式(7)に基づいて溶媒の混合比の変化式に変換する数式変換手段と、前記溶媒の混合比の変化式に従って前記2つの溶媒の混合比が変化する溶離液を生成する混合手段と、前記混合手段によって得られた溶離液を連続的にカラムに導入するポンプを有する液体クロマトグラフとして表現されているが、(A)上記溶出時間導出手段に対してグラジエントパターンを入力する入力手段を備え、(B)上記溶出時間導出手段で逆算することによって混合比変化式を導き出している、と考えれば、これらは実質的に同一の手段である。
【0095】
したがって、本発明の液体クロマトグラフは、本発明1及び本発明2の両方の態様に対応できる液体クロマトグラフとすることができる。
以下にこれを具体的に説明する。
【0096】
<液体クロマトグラフの概略構成>
液体クロマトグラフ11は、溶媒A及びBをそれぞれ貯留した容器12及び13、電磁弁14、ポンプP1、並びに、容器15(以上、混合手段)を有している。容器12及び13が貯留した溶媒A及びBは、ポンプP1によって汲み上げられ、いったん容器15に貯留される。このとき、汲み上げられる溶媒A及びBのそれぞれの量は、電磁弁14によって調節されている。これによって、電磁弁14によって調節された混合比で溶媒A及びBが混合され、容器15において移動相となる溶離液10が形成される。
【0097】
溶離液として用いられる溶媒は2種類に限定されず、使用状態・目的に応じてその数が増やされる。一般に、溶媒A及びBには、非極性分子及び極性分子が用いられる。
【0098】
液体クロマトグラフ11は、さらに、ポンプP2、インジェクター17、及び、カラム18を有している。ポンプP2は、容器15に貯留された溶離液10を汲み上げて、インジェクター17へと流し出す。インジェクター17には、複数の成分を含んでいる試料が設置されている。インジェクター17に設置された試料は、ポンプP2によって汲み上げられた溶離液とともに、カラム18へと流し出される。
【0099】
カラム18には、固定相が充填されている。本実施形態においては、固定相には通常、シリカゲルが用いられている。但し、特殊な分離が必要とされる場合は、それ以外の固定相が使用されるものであってもよい。移動相である溶離液10とともにカラム18に流入した試料は、カラム18の固定相に吸着しつつ溶離液10の流下に従って移動し、所定時間後にカラムから排出される。ここで、試料に含まれた各成分が排出されるのに要する時間は、溶離液との親和性やカラムの固定相と各成分との相互作用などに依存し、成分ごとに異なる。つまり、溶離液との親和性が弱いもの、及び、固定相との相互作用が強いものは、カラム内に長く留まる。また、逆に、溶離液との親和性が強いもの、及び、固定相との相互作用が弱いものは、早く排出される。これによって、カラムに設置された試料が成分ごとに分離されて溶出する。
【0100】
液体クロマトグラフ11は、さらに、検知器19及びフラクションコレクター20を有している。検知器19は、カラム18から溶出される試料の各成分を検知する。フラクションコレクター20は、検知器19の検知結果に基づいて、試料に含まれる各成分をそれぞれ異なる試験管に収容する。
【0101】
液体クロマトグラフ11は、さらに、液体クロマトグラフ制御装置21を有している。液体クロマトグラフ制御装置21は電磁弁14に電気的に接続されている。そして、液体クロマトグラフ制御装置21は、後述のように、電磁弁14を制御して、溶媒A及びBの混合比を調節する。また、液体クロマトグラフ制御装置21は、図示されないポンプP1及びP2の駆動モータに電気的に接続されており、ポンプP1及びP2の駆動を制御する。
【0102】
<液体クロマトグラフの概略>
上記のような構成を有する液体クロマトグラフ11によって、液体クロマトグラフが以下のように行われる。
【0103】
まず、容器12及び13に溶媒A及びBが貯留される。そして、インジェクター17に試料が設置される。
【0104】
次に、液体クロマトグラフ制御装置21が、電磁弁14を制御して混合比を調節しつつ、ポンプP1の駆動を制御して、ポンプP1に溶媒A及びBを汲み上げさせる。このとき、液体クロマトグラフ制御装置21は、設定された混合比の変化反応式に従って混合比を調節する。汲み上げられた溶媒A及びBは、調節された混合比で混合され、溶離液10として、いったん容器15に貯留される。
【0105】
次に、液体クロマトグラフ制御装置21が、ポンプP2の駆動を制御して、ポンプP2に容器15に貯留された溶離液10を汲み上げさせる。汲み上げられた溶離液10は、インジェクター17に設置された試料とともに、カラム18に流入する。カラム18に流入した試料に含まれる各成分は、成分ごとに分離され、所定時間経過後にカラム18から溶出する。その際、各成分の溶出時間が算出されているから、これを液体クロマトグラフ装置に表示させることが好ましい。また、各フラクションの取得を算出された溶出時間に応じて適宜行うサンプル取得手段を備えたものであってもよい。
【0106】
なお、本明細書において、「試料中の成分がカラムから溶出する時」とは、カラム18から溶出される試料中の成分の単位時間当たりの量が最大となる時にほぼ相当するものである。
【0107】
<液体クロマトグラフ制御装置>
以下は、液体クロマトグラフ制御装置21についての説明である。
【0108】
液体クロマトグラフ制御装置21の機能は、汎用のコンピュータ及び所定のプログラムによって実現されている。このコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、FDやCDの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、このコンピュータを液体クロマトグラフ制御装置として機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、記憶部及び制御処理部が構築されている。
【0109】
本発明の液体クロマトグラフ制御装置は入力手段も備えており、TLC等によって導かれる図4に示したような関係、溶媒の混合比の変化式等の、本発明の目的を達成する上で必要とされる各種情報を作業者が入力する手段を有するものである。
【0110】
当該制御装置においては、上述した本発明の目的を達成する上で必要とされる各種関係式がすべて記憶されており、それぞれ目的に応じて呼び出されて、入力されたデータに基づいて必要な演算を行い、更に、入力された溶媒の混合比の変化式、又は、算出された溶媒の混合比の変化式に基づいて、溶離液における溶媒の混合比を制御する。更に、算出された各成分の溶出時間数値又はグラフとして表示手段上に表示し、作業者に情報を提供するものである。
【0111】
すなわち、これによって、第一の本発明においては、使用者が入力又は選択した混合比変化式を制御装置中の混合比変化式記憶手段に記憶させ、これを利用して溶離液の組成を変化させ、更に、溶出時間導出手段を用いて、溶出時間を予測するものである。
更に、第二の本発明においては、使用者が入力、選択又はプログラムによって推奨されたグラジエントパターンをあらわす式をグラジエント入力手段から入力し、これを数式変換手段によって、溶媒の混合比の変化式に変換し、これに基づいて溶媒の混合比を変化させ、カラムクロマトグラフを行うものである。第二の本発明においても、グラジエントパターンをあらわす式に基づいて溶出時間を予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の液体クロマトグラフは、研究室等における実験に際して、精密な分離を簡便に行うために使用することができる。
【符号の説明】
【0113】
10 溶離液
11 液体クロマトグラフ
18 カラム
21 液体クロマトグラフ制御装置
30 薄層クロマトグラフ
31 薄層板
33 溶離液
51 溶媒の混合比の変化を表すグラフ
52 特定の成分についての実際のRfを表すグラフ
53 特定の成分に期待されるRfを表すグラフ
54 53の関係式に対応した溶媒の混合比の変化を表すグラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7