特許第6114664号(P6114664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114664
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20170403BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20170403BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170403BHJP
   H05B 33/24 20060101ALI20170403BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170403BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/12 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/24
   G09F9/30 365
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-178678(P2013-178678)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-49948(P2015-49948A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古家 政光
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−153191(JP,A)
【文献】 特開2008−047515(JP,A)
【文献】 特開2007−287354(JP,A)
【文献】 特開2006−072310(JP,A)
【文献】 特開2009−110864(JP,A)
【文献】 特開2009−038243(JP,A)
【文献】 特開2008−152291(JP,A)
【文献】 特開2009−199852(JP,A)
【文献】 特開2007−080603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0236620(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0260204(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0142807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/12
H05B 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する発光領域を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域と、
前記表示領域の周囲に形成され、少なくとも1つの検査用画素を有する検査領域と、を備え、
前記表示領域は、
前記画素にそれぞれ設けられた複数の第1電極と、
前記第1電極に前記発光領域において接して形成され、発光層を含む複数の有機材料の層からなる発光有機層と、
前記発光有機層に接して形成され、前記表示領域を覆って形成された第2電極と、を有し、
前記検査用画素は、
前記複数の第1電極と同一の層であり、前記複数の第1電極の各々とは電気的に独立である検査用第1電極と、
前記複数の有機材料の層のうちの少なくとも一つの前記発光層が前記表示領域から連続して形成され、前記検査用第1電極と接している検査用有機層と、
前記第2電極から連続的に形成され、前記検査用有機層と接して形成される検査用第2電極と、を有し、
前記検査用画素は、前記表示領域の前記画素より大きく、前記検査領域を埋めるように形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL表示装置であって、
前記検査領域の周囲にあり、金属配線及び薄膜トランジスタを用いた回路が配置された周辺回路領域と、
前記検査領域と前記周辺回路領域との間に形成され、前記検査領域の前記検査用第2電極から連続して形成された電極層を有し、前記電極層から基材である絶縁基板までが無機材料の層のみで構成される遮断領域と、を更に備える有機EL表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の有機EL表示装置であって、
前記表示領域は、前記第1電極の前記発光有機層側とは反対側に、前記発光層で発光した光を反射して、前記第1電極から前記第2電極に向う方向である第1出光方向に出射させる反射層と更に有し、
前記検査領域、前記遮断領域及び前記周辺回路領域のうち、前記遮断領域及び前記周辺回路領域のみに、前記第1出光方向へ出射される光を遮る遮光膜が配置される、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の有機EL表示装置であって、
前記表示領域は、前記発光層で発光し、前記第1電極の前記発光有機層側とは反対側に向う光を反射して、前記第1電極から前記第2電極に向う方向である第1出光方向に出射させる反射層を更に有し、
前記検査用画素は、前記反射層に対応する層を有さないことにより、前記第1出光方向と共に、前記第2電極から前記第1電極に向う方向である第2出光方向に出射させる、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項に記載の有機EL表示装置であって、
前記検査領域は、前記第1出光方向へ出射される光を遮る遮光膜を更に有する、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至に記載の有機EL表示装置であって、
前記検査用画素の前記検査用第1電極は、隣接する他の前記検査用画素の前記検査用第1電極と電気的に接続されている、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
発光する発光領域を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域と、
前記表示領域の周囲に形成され、少なくとも1つの検査用画素を有する検査領域と、を備え、
前記表示領域は、
前記画素にそれぞれ設けられた複数の第1電極と、
前記第1電極に前記発光領域において接して形成され、発光層を含む複数の有機材料の層からなる発光有機層と、
前記発光有機層に接して形成され、前記表示領域を覆って形成された第2電極と、を有し、
前記検査用画素は、
前記複数の第1電極と同一の層であり、前記複数の第1電極の各々とは電気的に独立である検査用第1電極と、
前記複数の有機材料の層のうちの少なくとも一つの前記発光層が前記表示領域から連続して形成され、前記検査用第1電極と接している検査用有機層と、
前記第2電極から連続的に形成され、前記検査用有機層と接して形成される検査用第2電極と、を有し、
前記表示領域は、前記発光層で発光し、前記第1電極の前記発光有機層側とは反対側に向う光を反射して、前記第1電極から前記第2電極に向う方向である第1出光方向に出射させる反射層を更に有し、
前記検査用画素は、前記反射層に対応する層を有さないことにより、前記第1出光方向と共に、前記第2電極から前記第1電極に向う方向である第2出光方向に出射させる、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項に記載の有機EL表示装置であって、
前記検査用画素は、前記表示領域の前記画素と同じ大きさ及び同じ形状であり、前記表示領域と同じ間隔で前記検査領域を埋めるように配置されている、ことを特徴とする有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)と呼ばれる自発光体を用いた画像表示装置(以下、「有機EL(Electro-luminescent)表示装置」という。)が実用化されている。この有機EL表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、自発光体を用いているため、視認性、応答速度の点で優れているだけでなく、バックライトのような補助照明装置を要しないため、更なる薄型化が可能となっている。
【0003】
このような有機EL表示装置に使用される有機EL素子は、水分を吸収すると劣化するため、有機ELパネルでは、発光層が形成されたTFT(Thin Film Transistor)基板上に封止ガラス基板を樹脂で貼付けて密封するなどの対策が施されている。
【0004】
特許文献1は、有機発光層を形成するための複数の開孔が形成された蒸着マスクにおいて、外側に形成された開孔の形状が応力により変化してしまうことから、蒸着マスクにおいて表示領域の周囲の非表示領域にダミー画素としての開孔を形成することについて開示している。特許文献2は、表示領域の画素についての成膜条件等を均一にするため、表示領域の外側にダミー画素領域を設けて製造することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−148335号公報
【特許文献2】特開2007−256968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
TFT基板では、表面に表示領域及び周辺回路領域の全面を覆うように封止膜が形成されるが、封止膜に欠損があると、そこから外気の水分が侵入し、発光層の劣化が生じることが知られている。この封止膜の欠損は、表示領域内で発生していれば、ダークスポット(黒点)として検査工程で検出することができるが、表示領域外側(かつ後述する水分遮断領域内側)で発生している場合は、直ちにダークスポットとして検出できず、市場に流出してから経時的に表示領域の外側から点灯不良となる、いわゆるダークエッジといわれる表示不良となるポテンシャルを有することとなる。
【0007】
このような市場におけるダークエッジの発生を防ぐために、製造工程において、エージング処理を行いダークエッジの有無を確認することも考えられるが、製造コストの上昇及びスループットの悪化を招く恐れがある。
【0008】
本発明は、上述の事情を鑑みてしたものであり、製造コストを抑えると共に、出荷後の点灯不良の発生を抑制した有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機EL表示装置は、発光する発光領域を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域と、前記表示領域の周囲に形成され、少なくとも1つの検査用画素を有する検査領域と、を備え、前記表示領域は、前記画素にそれぞれ設けられた複数の第1電極と、前記第1電極に前記発光領域において接して形成され、発光層を含む複数の有機材料の層からなる発光有機層と、前記発光有機層に接して形成され、前記表示領域を覆って形成された第2電極と、を有し、前記検査用画素は、前記複数の第1電極と同一の層であり、前記複数の第1電極の各々とは電気的に独立である検査用第1電極と、前記複数の有機材料の層のうちの少なくとも一つの前記発光層が前記表示領域から連続して形成され、前記検査用第1電極と接している検査用有機層と、前記第2電極から連続的に形成され、前記検査用有機層と接して形成される検査用第2電極と、を有することを特徴とする有機EL表示装置である。
【0010】
また、本発明の有機EL表示装置は、前記検査領域の周囲にあり、金属配線や薄膜トランジスタを用いた回路が配置された周辺回路領域と、前記検査領域と前記周辺回路領域との間に形成され、前記検査領域の前記検査用第2電極から連続して形成された電極層を有し、前記電極層から基材である絶縁基板までが無機材料の層のみで構成される遮断領域と、を更に備えていてもよい。
【0011】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記検査用画素は、前記表示領域の前記画素と同じ大きさ及び同じ形状であり、前記表示領域と同じ間隔で前記検査領域を埋めるように配置されていてもよい。
【0012】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記検査用画素は、前記表示領域の前記画素より大きく、前記検査領域を、前記検査領域を埋めるように形成されていてもよい。
【0013】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記表示領域は、前記第1電極の前記発光有機層側とは反対側に、前記発光層で発光した光を反射して、前記第1電極から前記第2電極に向う方向である第1出光方向に出射させる反射層を更に有し、前記検査領域、前記遮断領域及び前記周辺回路領域のうち、前記遮断領域及び前記周辺回路領域のみに、前記第1出光方向へ出射される光を遮る遮光膜が配置されていてもよい。
【0014】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記表示領域は、前記発光層で発光し、前記第1電極の前記発光有機層側とは反対側に向う光を反射して、前記第1電極から前記第2電極に向う方向である第1出光方向に出射させる反射層を更に有し、前記検査用画素は、前記反射層に対応する層を有さないことにより、前記第1出光方向と共に、前記第2電極から前記第1電極に向う方向である第2出光方法に出射させてもよい。
【0015】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記検査領域は、前記第1出光方向へ出射される光を遮る遮光膜を更に有していてもよい。
【0016】
また、本発明の有機EL表示装置において、前記検査用画素の前記検査用第1電極は、隣接する他の前記検査用画素の前記検査用第1電極と電気的に接続されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置を概略的に示す図である。
図2】有機ELパネルの構成を示す平面図である。
図3図2のIII−III線における断面を示す図である。
図4】遮断内側領域に異物が混入した場合の発光有機層への水分の侵入について説明するための図である。
図5図2のAで示される領域について、画素及びダミー画素の配置の概略について示す拡大図である。
図6】本実施形態の第1変形例に係る有機ELパネルの断面を概略的に示す図である。
図7】本実施形態の第2変形例に係る有機ELパネルの断面を概略的に示す図である。
図8】本実施形態の第3変形例に係る有機ELパネルにおける、図5と同じ視野による拡大図である。
図9】本実施形態の第4変形例に係る有機ELパネルにおける、図5と同じ視野による拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置100が概略的に示されている。この図に示されるように、有機EL表示装置100は、上フレーム110及び下フレーム120に挟まれるように固定された有機ELパネル200から構成されている。
【0020】
図2は、有機ELパネル200の構成を示す平面図である。有機ELパネル200は、TFT基板300と、透明樹脂410(後述)によりTFT基板300に接着された封止基板400とにより構成されており、この図に示されるように、アノード電極376(後述)が配置され、階調値に基づいて発光する画素310がマトリクス状に配置された表示領域320と、表示領域320の周囲に配置され、画素回路を駆動するための各種信号生成回路やカソード電極378(後述)に対して電位を印加する回路などが形成された周辺回路領域350と、表示領域320と周辺回路領域350との間に形成され、カソード電極378からガラス基板371まで無機材料のみで構成されることにより、水分の行き来を遮断する遮断領域340と、表示領域320及び遮断領域340の間に形成された遮断内側領域330と、を有している。外部から侵入する水分は、有機膜を介して進行するため、無機材料のみで構成される遮断領域340を設けることで、例えば、周辺回路領域350において侵入した水分が表示領域320に侵入することを防ぐことができる。
【0021】
図3は、図2のIII−III線における断面を示す図である。この図に示されるように有機ELパネル200のTFT基板300は、絶縁基板であるガラス基板371と、ガラス基板371に、例えばLTPS(Low-Temperature Poly Silicon)により形成されたトランジスタを有する画素回路及び周辺回路が形成された薄膜トランジスタ層372と、主に薄膜トランジスタ層372が形成された領域を平坦化させるための有機絶縁膜である有機平坦化膜373と、有機平坦化膜373のスルーホールに成膜されたアノード電極376等の導電膜の端部を覆うように形成された有機絶縁膜である有機バンク374と、アノード電極376のガラス基板371側に配置され、発光した光を反射させるための反射膜375と、発光を担う発光層、及び/又は正孔注入・輸送層や電子注入・輸送層等からなる発光有機層377と、アノード電極376に対向する電極であるカソード電極378と、TFT基板300の全面を覆うように成膜され、無機膜や無機膜と有機膜との積層構造等からなる封止膜379と、を有している。なお、封止膜379に用いられる無機膜は、水分を透過しないSiNやSiO等が用いられ、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される。また本実施形態においては、有機絶縁膜からなる有機バンク374を用いることとしたが、無機絶縁膜からなる無機バンクであってもよい。
【0022】
また、TFT基板300に透明樹脂410を介して配置される封止基板400は、絶縁基板であるガラス基板401と、主に表示領域320において、各画素310において所定の波長領域の光を透過するR(赤)G(緑)B(青)のカラーフィルタ403と、画素310間からの漏れ光を防ぐための遮光膜であるブラックマトリクス402と、カラーフィルタ403及びブラックマトリクス402を覆う有機材料であるオーバーコート層404と、を有している。本実施形態においては、ブラックマトリクス402は、表示領域320外において、遮断領域340及び周辺回路領域350に形成され、これらの領域から出光するのを防いでいるが、遮断内側領域330には形成されていない。
【0023】
ここで、表示領域320内の薄膜トランジスタ層372には、各画素310の発光を制御する画素トランジスタが配置されるが、遮断内側領域330に配置されるダミー画素380には、画素トランジスタは配置されていない。また、ダミー画素380における反射膜381、アノード電極382、発光有機層383及びカソード電極384は、表示領域320の画素310と同じ工程で積層されることとし、アノード電極382は、スルーホールを介して、薄膜トランジスタ層372の配線385と接続される。なお、本実施形態においては、各ダミー画素380は、パッシブ駆動の画素として、表示領域320の画素310とは独立して点灯させることができるように配線される。製造工程におけるテストでは、ダミー画素380を一つずつ順次点灯してもよいし、複数まとめて点灯してもよい。また、すべてのダミー画素380について同時に点灯させてテストを行ってもよい。
【0024】
なお、本実施形態においては、ダミー画素380は、パッシブ駆動の画素となるように回路を形成することとしたが、表示領域320内の画素310と同様に画素トランジスタを配置し、アクティブ駆動となるように構成してもよいし、全てのダミー画素380が一斉にのみ点灯されるように配線を行ってもよい。また、本実施形態においては、ダミー画素380の発光有機層383の積層構造を表示領域320の画素310の積層構造と同様であることとしたが、表示領域の画素310の積層構造と異なる積層で発光させるものであってもよい。
【0025】
図4には、遮断内側領域330に異物389が混入した場合の発光有機層383への水分の侵入について説明するための図である。この図に示されるように、例えば、封止膜379を形成する際にTFT基板300に異物389が付着した場合には、封止基板400との貼り合せる際等において、封止膜379やカソード電極384が破壊されることが考えられる。封止膜379が破壊されていたり、封止膜379の被覆に不良があった場合には、そこから水分が侵入し、発光有機層383を介して水分が広がることとなる。水分を吸収した発光有機層383は劣化し、発光しない、又は発光が弱くなる等のダークスポットとなる。したがって、遮断内側領域330における封止膜379の被覆不良等は、遮断内側領域330のダミー画素380を点灯させることにより検査することができる。
【0026】
図5には、図2のAで示される領域について、画素310及びダミー画素380の配置の概略について示す拡大図である。この図に示されるように、表示領域320に形成された画素310と、遮断内側領域330に形成されたダミー画素380とは、同じ大きさ、同じピッチで形成され、ダミー画素380は、表示領域320の4辺の外側に形成された遮断内側領域330を埋め尽くすように形成されている。
【0027】
以上説明したように、本実施形態においては、表示領域320の周囲に、ダミー画素380が形成された遮断内側領域330を有するため、表示領域320の外側に封止膜の欠損等の水分の侵入経路があったとしても、ダミー画素380を発光させることにより容易に発見することができる。これにより、製品出荷後のダークエッジに起因する点灯不良を低減することができるため、出荷製品の耐用期間をより長くし、品質を向上させることができる。また、出荷前の検査における長期のエージング処理が不要となるため、製造コストの低減及びスループットの向上に繋げることができる。
【0028】
図6は、上述の実施形態の第1変形例に係る有機ELパネル510の断面を概略的に示す図である。上述の実施形態に係る図3と異なる点は、封止基板400のブラックマトリクス402が、遮断内側領域330にも形成され、遮断内側領域330のダミー画素512には、反射膜375が形成されていない点で異なっている。このような構成とすることにより、表示領域320の外側はすべてブラックマトリクス402に覆われているため、光漏れを防ぐことができると共に、ダミー画素512の発光は、有機ELパネル510の裏面側から確認することができる。したがって、図6の有機ELパネル510のような構成であったとしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この第1変形例においては、封止基板400の遮断内側領域330にブラックマトリクス402を形成することとしたが、ブラックマトリクス402を形成せずに、表面と裏面の両方からダミー画素512の発光を視認できるようにしてもよい。
【0029】
図7は、上述の実施形態の第2変形例に係る有機ELパネル520の断面を概略的に示す図である。有機ELパネル520は、各画素310の発光有機層377がRGBのそれぞれの波長領域の光を発するものであり、封止基板400にはカラーフィルタやブラックマトリクスは形成されない。また、この第2変形例では、表示領域320の画素310及び遮断内側領域330のダミー画素522に反射膜375は形成されていない。このような構成であっても、有機ELパネル520の表面側又は裏面側からダミー画素522の発光を確認することができるため、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図7においては反射膜375が形成されていない例について示したが、反射膜375が形成されていてもよい。
【0030】
図8及び図9は、上述の実施形態の第3及び第4変形例に係る有機ELパネル530及び540における、図5と同じ視野による拡大図であり、ダミー画素532及び542の大きさを表示領域320の画素310より大きくした場合について示す図である。図8は正方形のダミー画素532の場合について示す図であり、図9は長方形のダミー画素542の場合について示す図である。このような構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、画素トランジスタを配置するアクティブ駆動方式でダミー画素532又は542を点灯させる場合には、画素トランジスタの数を抑え、またトランジスタの配置の自由度を高めることができる。また、パッシブ駆動方式であっても、薄膜トランジスタ層372の配線に接続するためのスルーホールの数を減らした構成とすることができる。第3及び第4変形例においては、ダミー画素を表示領域320の画素310よりも大きくする場合について示したが、1つのアノード電極で共通とすることにより、遮断内側領域330全体を覆う1つのダミー画素を形成することとしてもよい。
【0031】
なお、上述の各実施形態においては、アノード電極376とカソード電極378との配置は、入れ替わっていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
100 有機EL表示装置、110 上フレーム、120 下フレーム、200 有機ELパネル、300 TFT基板、310 画素、320 表示領域、330 遮断内側領域、340 遮断領域、350 周辺回路領域、371 ガラス基板、372 薄膜トランジスタ層、373 有機平坦化膜、374 有機バンク、375 反射膜、376 アノード電極、377 発光有機層、378 カソード電極、379 封止膜、380 ダミー画素、381 反射膜、382 アノード電極、383 発光有機層、384 カソード電極、 389 異物、385 配線、400 封止基板、401 ガラス基板、402 ブラックマトリクス、403 カラーフィルタ、404 オーバーコート層、410 透明樹脂、510 有機ELパネル、512 ダミー画素、520 有機ELパネル、522 ダミー画素、530 有機ELパネル、532 ダミー画素、540 有機ELパネル、542 ダミー画素。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9