(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114686
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】ボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法
(51)【国際特許分類】
G01M 13/02 20060101AFI20170403BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
G01M13/02
F16H25/22 Z
F16H25/22 K
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-249156(P2013-249156)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-105913(P2015-105913A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2014年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】許 ▲ほーん▼智
(72)【発明者】
【氏名】李 柏霖
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−062450(JP,A)
【文献】
特開2011−107030(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/096551(WO,A1)
【文献】
特開平06−235682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 − 13/04
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールねじの生じた物理的信号データを収集するステップ(1)と、
ボールねじの幾何学的寸法のデータおよび操作条件に基づいて前記物理的信号データを分割し、分割されたデータである分割データを複数生成するステップ(2)と、
ボールねじが転動する際に量化可能な動態特性に基づいて前記分割データ中のピーク信号を選び出し、
当該ピーク信号の特性を列記したピーク特徴データの副配列を生成するステップ(3)と、
複数のピーク特徴の評価モデルと前記ピーク特徴データの副配列に基づいて複数のピーク特徴データの主配列を算出するステップ(4)と、
前記ピーク特徴データの主配列の差異および分布状態に基づいて複数の数値化された転動の滑らかさを生成し、数値化された転動の滑らかさのボールねじとナットとの相対位置による変化に基づいてボールねじの転動の滑らかさをチェックするステップ(5)と、を含み、
前記ステップ(2)では、回転速度n(rpm)、行程S(mm)およびリードL(mm)に基づいてナットが一周回転する時間Tと、ナットが全行程を回転する回転数Nを算出し、回転数Nを分割段数Nと
を定義し、ナットが一周回転する時間Tを各前記分割データの時間の長さTと定義し、NおよびTの関係は下記の数式1を満たし、
【数1】
前記ステップ(3)では、数式2を用いて
算出されるボール通過周波数fc、数式4に基づいて算出される二つの隣り合うボールの間の角度ψ、数式5に基づいて算出されるボール公転角速度ωm、および、数式3に基づいて複数の前記分割データのそれぞれから取り出されるピークの数であるピーク数Npを算出した後、複数の前記分割データのそれぞれにおけるピーク数Np個のピーク信号のそれぞれの特性を列記した前記ピーク特徴データの副配列を生成し、
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
分割段数i(i=1〜N)におけるj(j=1〜Np)個目のピークをPijとすると、前記ステップ(4)では、{Pn_max}={P1_max、P2_max、‥‥Pn_max}、P1_max=max{P11、P12、‥‥‥P1Np}、P2_max=max{P21、P22、‥‥‥P2Np}に基づいて、分割段数Nのうちの最大ピークエネルギ{Pn_max}を算出し、最大ピークエネルギ{Pn_max}を主配列とし、
前記ステップ(5)では、最大ピークエネルギ{Pn_max}に基づいて算出されたピーク最大値の差異および変動量{Pn_diffB}を用いて、ボールねじの転動の滑らかさを判断することを特徴とするボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法。
【請求項2】
ステップ(3)において、前記量化可能な動態特性は、ボールねじにおいて転動ユニットが別のユニットに周期的に衝突して発生した特徴周波数であることを特徴とする請求項1に記載のボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法。
【請求項3】
ステップ(3)において、前記ピーク特徴データの副配列は、データの総数が前記分割データの数より多く、前記ピーク特徴データの副配列から組成されるデータ空間と前記分割データから組成されるデータ空間とが対応関係を有することを特徴とする請求項1に記載のボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法。
【請求項4】
ステップ(4)において、前記ピーク特徴データの主配列は、データの総数が前記分割データの数と同じであることを特徴とする請求項1に記載のボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法に関し、特にボールねじの転動の滑らかさを量化するチェック方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールねじは、位置決め精度が高い特性、寿命が長い特性、および摩擦係数が低い特性を有する。ボールねじは、正方向および逆方向の高速伝動を進め、伝動を変化することができるため、精密機械に関連する産業の位置決めおよび測量システムに広汎に応用されている。
【0003】
高い位置決め精度を図るために、ボールねじが順調に転動するか否かということは極めて重要である。詳しく言えば、品質を保つ面において、完成したボールねじの転動の滑らかさをチェックすることによって不良品出荷を抑制することができる。産業応用面において、ボールねじの転動の滑らかさをチェックすることによってボールねじに異常があるか否かを判断し、即時交換の便をはかることができる。
【0004】
従来のボールねじに異常があるか否かを判断する方法は次の通りである。特許文献1では、ホールICによってボールねじのボール通過周波数を検出し、理論値と対照する。検出されたボール通過周波数が理論値より小さい場合、ボールねじに異常が起こった(即ち摩損が生じた)と判断される。特許文献2では、加速度計によってベアリングの振動信号を検出し、振動信号をスペクトル信号に変換し、そののち予め設定したしきい値に基づいて異常があるか否かを判断する。特許文献3では、時間領域信号を持続的に収集し、スペクトルに変換し、続いて前後に表示されたスペクトルを比較することによってボールねじの現状を確認する。
【0005】
実際には、ボールねじの組み立ておよび製造上の関係により、ボール通過周波数の測定値は変動量であり、理論値より低いため、特許文献1により提示された方法でボールねじの摩損状態を判断することは難しい。特許文献2の場合、しきい値を定義するにはデータベースをあらかじめ作成することが必要であり、診断を進めるにはシステムにスペクトル分析機能を整えることが必要であるため、コストが高く付く。それに対し、特許文献3は「システムが最初から正常状態である」と仮定した上で診断を進めるため、「システムが最初から異常である」という状態に対応できない。したがって特許文献3の応用は制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第I400438号明細書
【特許文献2】特開2004347401号公報
【特許文献3】米国特許第US7680565B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、ボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法は、次のステップ(1)〜(5)を含む。ステップ(1)は、ボールねじの生じた物理的信号データを収集する。ステップ(2)は、ボールねじの幾何学的寸法のデータおよび操作条件に基づいて物理的信号データを分割し(division)、分割されたデータである分割データを複数生成する。ステップ(3)は、ボールねじが転動する際に量化可能な動態特性に基づいて分割されたデータ中のピーク信号を選び出し(extraction)、ピーク特徴データの副配列を生成する。ステップ(4)は、複数のピーク特徴の評価モデルとピーク特徴データの副配列に基づいて複数のピーク特徴データの主配列を算出する。ステップ(5)は、ピーク特徴データの主配列の差異および分布状態に基づいて複数の数値化された転動の滑らかさを生成し、数値化された転動の滑らかさの変化に基づいてボールねじの転動の滑らかさチェックする。
【0009】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法において、ステップ(1)での物理的信号データは、移動、速度、加速度、圧力、および、電圧またはこれらの組成である。ステップ(2)での幾何学的寸法は、外径、ねじ山の長さ、全長、リード、ボールの直径、および、巻き数である。操作条件情報は、行程、回転速度、循環周期、速度曲線、および、負荷曲線である。
【0010】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法において、分割データは、時間領域において物理的信号データを分割することによってなるものである。分割データは、時間の長さが回転速度に関わり、数がリードおよび行程に関わる。
【0011】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法のステップ(3)において、量化可能な動態特性は、ボールねじにおいて転動ユニットが別のユニットに周期的に衝突して生成した特徴周波数である。
【0012】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法のステップ(3)において、ピーク特徴データの副配列は、データの総数が分割データの数より
多い。ピーク特徴データの副配列から組成されるデータ空間と分割データから組成されるデータ空間とはマッピング関係を有する。
【0013】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法のステップ(3)において、ピーク特徴は、ピーク特徴データの副配列の中の局部最大値(local maximum)をピーク値に、それぞれ0.5倍降下させる(振幅を0.707倍降下させる)エネルギ範囲内に含まれるピークエネルギの総和である。
【0014】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法のステップ(4)において、ピーク特徴の評価モデルは、ピーク特徴データの副配列を標本空間に、最大値、二乗平均値、L2−Norm、中央値を定義し、かつ変数の変化量を統計することに関わる測量モデルである。或いはピーク特徴データの副配列を標本空間に、偏差平方和(sum of squares due to error, SSE)、回帰平方和(sum of squares due to regression, SSR)および全平方和(sum of squares total, SST)を定義し、回帰分析を進めることに関わるモデルである。或いはピーク特徴データの副配列を標本空間に、確率密度関数を定義することに関わるモデルである。一方、ステップ(4)において、ピーク特徴データの主配列は、データの総数が分割データの数
と同じである。
【0015】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法において、ピーク特徴データの主配列は、ピーク特徴データの副配列をデータ空間に、変化量統計に関わる測量モデル、回帰分析に関わるモデル、または、確率密度関数に関わるモデルに基づいて算出された結果データを収集する。
【0016】
本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法において、ねじの転動がスムーズである場合、ステップ(5)は転動の滑らかさの数値が1.4以下である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態によるボールねじの振動信号を示す特性図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるボールねじの振動信号を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるボールねじのピーク特徴データの主配列を示す特性図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるボールねじのピーク特徴データの主配列を示す特性図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるボールねじの転動の滑らかさを示す特性図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるボールねじの転動の滑らかさを示す特性図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるチェック方法のステップを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法および特徴を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図7に示すように、本発明の一実施形態によるボールねじの転動の滑らかさをチェックする方法は、次のステップを含む。
【0019】
ステップ(1)は、ボールねじの生じた物理的信号データを収集する。ステップS2はボールねじの幾何学的寸法のデータおよび操作条件に基づいて物理的信号データを分割し、複数の分割されたデータである分割データを生成する。ステップS3はボールねじが転動する際に量化可能な動態特性に基づいて分割データ中のピーク信号を選び出し、ピーク特徴データの副配列を生成する。ステップS4は複数のピーク特徴の評価モデルとピーク特徴データの副配列に基づいて複数のピーク特徴データの主配列を算出する。ステップS5はピーク特徴データの主配列の差異および分布状態に基づいて複数の数値化された転動の滑らかさを生じ、数値化された転動の滑らかさの変化に基づいてボールねじの転動の滑らかさをチェックする。
【0020】
ステップ(1)は、加速度計によってボールねじの特定行程に生じた振動信号を収集する。
【0021】
ステップ(2)は、行程に対応するねじ山の長さに基づいて測定信号の分割段数Nおよび各段のデータの時間の長さTを定義する。回転速度n(rpm)、行程S(mm)およびリードL(mm)に基づいてナットが一周回転する時間Tと、ナットが全行程を回転する回転数Nを算出する。回転数Nは即ち信号測定に必要な分割段数Nを表示する。ナットが一周回転する時間Tは即ち各段のテータの時間の長さTを表示する。NおよびTの関係は下記の数式1に基づいて明確にされる。
【0023】
ステップ(3)はボール通過周波数
fcに基づいてそれぞれの分割段数Nに収集する信号のピー
ク数Npを決める。従来の技術または文献により掲示された数式2に基づいてボール通過周波数
fcを算出することができる。それぞれの分割段数Nに収集する信号のピー
ク数Npは数式3に基づいて表示される。
【0026】
数式2において、ψ即ち二つの隣り合うボールの間の角度は数式4に基づいて算出される。ω
m即ちボール公転角速度は数式5に基づいて算出される。
【0029】
数式4において、αはリードの角度である。D
bはボールの直径である。D
sはスペーサーの厚さである。r
mは断面区間の半径即ち0.5d
m(d
mは断面区間の直径)である。数式5において、ωはねじの旋転角速度である。r´=r
b/r
m。(式において、r
bはボールの半径であり、0.5D
bである。D
bはボールの直径である。r
mは断面区間の半径即ち0.5d
m(d
mは断面の直径)である。)α0はボールがナットに接触する角度である。α1はボールがねじに接触する角度である。βはボールの自転角度であり、47度が一般的である。
【0030】
ステップ(4)において、あらゆる分割段数Nの中ピークエネルギの分布状態{Pn_max}&{Pn_rms}を計算する。まず測定対象の信号データ{Data}をdB即ち{Data}dBに変換する。つまり{Data}dB=20log{{Data}/(Dref)}。Drefは信号を測定信号する際の物理的基準量である。測定信号対象が加速度である場合、Dref=1μm/S2。続いて分割段数N中のそれぞれのピークエネルギの大きさPnnを計算する。即ちPnn=ΣPh*Pw。ΣPhはmaxの信号のピーク値信号と、ピーク値の3dB降下した数値との間においてピークの範囲内に含まれたピークの総高度との間である。Pwはピーク値の高さを計算する信号の幅(1/(4*
fc)または3dB以内に含まれたピーク範囲)である。一方、ΣPhを計算する際、{Data}dBより{Data}を使用するほうが好ましい。Pnnは数がN*Npである。続いて分割段数Nのうちの最大ピークエネルギ{Pn_max}を標記する。つまり{Pn_max}={P1_max、P2_max、‥‥Pn_max}。式において、P1_max=max{P11、P12、‥‥‥P1Np}。P2_max=max{P21、P22、‥‥‥P2Np}。その以降の配列は上述参照である。続いて分割段数Nのピークエネルギの二乗平均値{Pn_rms}を標記する。つまり、{Pn_rms}={P1_rms、P2_rms、‥‥Pn_rms}。P1_rms、P2_rmsは、下記の数式6、数式7を用いて得ることが出来る。また、Pn_rmsは数式6および数式7に基づいて類推することができる。
【0033】
一方、{Pn_max}および{Pn_rms}はそれぞれ数値がN個である。続いて、ステップ(5)は{Pn_max}および{Pn_rms}に基づいてボールねじの転動の滑らかさを判断する。まず、{Pn_max}および{Pn_rms}を昇順に配列し、そののち最小値に基づいて{Pn_max}を{Pn_MAX}に変換し、{Pn_rms}を{Pn_RMS}に変換する。続いてピーク値の差異および変動量{Pn_diffA}を計算する。つまり、{Pn_diffA}={P1_diffA、P2_diffA、Pn−1_diffA}。式においてP1_diffA=P2_RMS―P1_RMS。P2_diffA=P3_RMS―P2_RMS。その以降の配列は上述参照である。P
N-1_diffA=P
N_RMS―P
N-1_RMS。一方、本実施形態において、{Pn_diffA}を定義する方法は上述方式に限らない。前後のねじ山の数の差異を判断する方式は同じ方法、例えば差分値、変化量、勾配値などに基づくことである。
【0034】
続いて、転動の滑らかさの数値即ちSA(1<SA<N−1)を定義し、下記の方式に基づいて転動の滑らかさを判断する。
【0035】
(方式一)
配列{Pn_diff}の数値において、絶対値が1.4以上の数値は2回、4回または6回以上である、即ちS=2、4、6(Pn_diffの数値において絶対値が1.4以上の数値が出れば正負が交差するように持続的に出る)の場合、許容値S_
limを定義する。S>S_
limの場合、ねじの転動の滑らかさはよくない(多段式ねじ山に対応する際の転動の滑らかさはよくない)と判断される。
【0036】
(方式二)
配列{Pn_diff}の数値において、絶対値が1.4以上の数値は2回、4回または6回以上であり、かつ任意の{Pn_diff}の数値に絶対値が1.4以上であるような絶対値現象が現れるという現象非連続的に現れるである場合、ねじの転動の滑らかさはよくない(連続する一段式ねじ山に対応する際の転動の滑らかさはよくない)と判断される。
【0037】
(方式三)
ピーク最大値の差異および変動量{Pn_diffB}を計算する。つまり{Pn_diffB}={P1_diffB、P2_diffB、Pn−1_diffB}。式においてP1_diffB=P2_MAX―P1_MAX。P2_diffB=P3_ MAX―P2_ MAX。その以降の配列は上述参照である。P
N-1_diffB=P
N_MAX―P
N-1_MAX。続いて転動の滑らかさの数値即ちSB(1<SB<N−1)を定義し、そののち上述した方式一および方式二に基づいて転動の滑らかさを判断する。
【0038】
一方、本実施形態において、{Pn_diffB}を定義する方法は上述方式に限らない。前後のねじ山の数の差異を判断する方式は同じ方法、例えば差分値、変化量、勾配値などに基づくことである。
【0039】
本発明によるチェック方法に基づいて範例1のボールねじおよび範例2のボールねじを実験する。
(実験例)
特定行程においての範例1のボールねじおよび範例2のボールねじの振動信号を加速度計によって収集する。
図1および
図2に示すように、範例1のボールねじおよび範例2のボールねじは行程Sが289mm、リードLが6mm、回転速度が1000rpmであるため、算出された回転数Nは48、時間Tは0.006sである。範例1および範例2はボール通過周波数
fcが151Hzであるため、収集する信号のピー
ク数Np
は9である。続いてそれぞれの分割段数の中のピークエネルギの分布状態{Pn_max}および{Pn_rms}を計算すれば、表1および表2に示すように、ピーク特徴データの副配列を求めることができる。
【0042】
ピーク特徴データの副配列に基づいて転動の滑らかさを判断すれば、
図3および
図4に示すようにピーク特徴データの主配列を求めることができる。
【0043】
続いて、
図5および
図6に示すように、{Pn_max}および{Pn_rms}に基づいてねじの転動の滑らかさを判断する。
図5および
図6により、範例1のボールねじの転動はスムーズであるのに対し、範例2のボールねじの転動はスムーズでないことが判明した。
【0044】
本発明によるチェック方法は、ボールねじが作動する際の時間領域信号データをセンサーによって検出し、かつボールねじの規格および動態特性と、分割された特定区域のピーク信号の変化特性とに基づいて量化された転動の滑らかさの指標を定義するため、従来のチェック方法に対し、スペクトル分析を行ったりデータベースをあらかじめ作成したりする必要がないだけでなく、コストが比較的低い。一方、本発明によるチェック方法は、量化された転動の滑らかさの指標を明確にできるため、人為的な判断ミスによって基準が一致しないという問題を排除することができる。
【符号の説明】
【0045】
S1:ステップ(1)、
S2:ステップ(2)、
S3:ステップ(3)、
S4:ステップ(4)、
S5:ステップ(5)。