特許第6114740号(P6114740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114740
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】建築構造用パネル用建築部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/86 20060101AFI20170403BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20170403BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   E04B2/86 601D
   E04B2/86 601X
   E04B2/56 601A
   E04B2/56 601D
   E04B1/61 502P
   E04B1/61 503H
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-504120(P2014-504120)
(86)(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公表番号】特表2014-510858(P2014-510858A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】AU2012000358
(87)【国際公開番号】WO2012139153
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】2011901361
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】513162066
【氏名又は名称】ディンセル,ビュラック
【氏名又は名称原語表記】Dincel,Burak
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ディンセル,ビュラック
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0244321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/86
E04B 2/20
E04B 2/34
E04C 2/30
E04B 1/16
F16B 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に細長い形状を有し、コンクリートが注入される押出中空建築部材であって、前記建築部材は、一体的に形成されるように押し出し成形され、
略垂直方向に同じ大きさで広がり、略垂直方向に平行で、互いに間隔を有する一対の垂直方向に延びる側壁と、
互いに間隔を有し、前記一対の側壁を接合し、垂直方向に延びる複数の横断ウェブと、
前記一対の側壁のそれぞれに形成された一対の垂直方向に延びる溝と、
前記一対の側壁のそれぞれの延長上で垂直方向に延びる一対のフランジと、
前記複数の横断ウェブのうち、前記フランジと反対側の端に位置する第1ウェブの両端のそれぞれから前記一対の溝のそれぞれに向かって設けられた一対の傾斜垂直面と、
前記一対のフランジのそれぞれから延び、かつ、垂直方向に延びるフランジ側密閉突出部とを有し、
前記一対のフランジのそれぞれは、前記側壁の延長上にある第1フランジ部と、前記第1フランジ部から横断方向に延びる第2フランジ部とを含み、各前記第2フランジ部は、連結される前記建築部材の前記一対の側壁のそれぞれに形成された前記溝とそれぞれ係合するように配置されて構成され、
連結される前記建築部材が前記一対のフランジで挟まれるように、前記各フランジを前記連結される建築部材の前記第1ウェブ側から各傾斜垂直面に接触させるように前記連結される建築部材に対して相対的に水平方向に移動させると、前記建築部材と前記連結される建築部材とを互いに固定的に連結させる前記各フランジのスナップ接合が、対応する前記溝の内側で可能となるように、前記各フランジは前記連結される建築部材の前記各傾斜垂直面との接触により弾性変形するように構成され、
更に、前記一対のフランジのそれぞれの前記フランジ側密閉突出部は、前記建築部材の連結を補助するようにそのフランジ側密閉突出部と前記連結される建築部材の溝とが係合するように、そのフランジの前記第2フランジ部から水平方向に関して延びており、
前記溝のそれぞれは前記建築部材の垂直方向に延びる溝提供部によって設けられ、前記溝提供部のそれぞれは前記建築部材の垂直方向に延びる溝側密閉突出部を有し、前記溝側密閉突出部のそれぞれは、連結される前記建築部材における前記第2フランジ部の前記フランジ側密閉突出部と組み合わされて前記建築部材同士の密閉接続を補助するように、対応する前記溝の内側に向かって延びている、建築部材。
【請求項2】
前記複数の横断ウェブは、前記フランジ側の端に位置する第2ウェブと前記第1ウェブとの間に位置する更なるウェブを含む、請求項1に記載の建築部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁やパネルを形成するために組み合わされる細長中空建築部材に関するものであり、特に、押し出し加工されたプラスチック材で、スナップ係合により互いに固定される建築部材に関する。この建築部材は基底部壁、液体及び粒状物貯蔵タンク、その他構造体の構成に利用される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特許文献1に開示された建築部材に関連する。
水貯蔵タンクの壁や地下建築物の壁のように、水分にさらされる壁においては、典型的には防水加工がその水分にさらされる壁に施される。伝統的なコンクリート及び強化組積壁の構造において、これら壁は長時間水分にさらされるとコンクリートの劣化や鉄の腐食の原因となるので、水分から保護される必要がある。更に、壁上に発生するカビ、白カビ及び真菌、そして細菌の繁殖といった問題もある。この課題を解決するために、典型的には防水加工された薄膜が適用され、水分がコンクリートや強化組積壁に到達するのを阻止する。また、防水加工薄膜を適用すべく、地表と壁との間に隙間を設けることも希ではない。標準的には、その隙間は1メートルになることもある。この隙間は働く人々のための安全問題と考えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7703248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
湿潤環境に存在しなければならない壁の上記のような構造は、防水し損ねると壁が劣化するという点で多くのデメリットを有している。更に、隙間が壁と地表との間で要求される場合はフロア面積の損失もデメリットである。
【0005】
そこで、本発明は上述したデメリットの少なくとも1つを克服、又は実質的に改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、垂直方向に細長い形状を有し、コンクリートが注入される押出中空建築部材について説明する。この建築部材は、一体的に形成されるように押し出し成形され、
略垂直方向に同じ大きさで広がり、略垂直方向に平行で、互いに間隔を有する一対の垂直方向に延びる壁と、
互いに間隔を有し、前記一対の側壁接合し、垂直方向に延びる複数の横断ウェブと、
前記一対の側壁のそれぞれに形成された一対の垂直方向に延びる溝と、
前記一対の側壁のそれぞれの延長上で垂直方向に延びる一対のフランジと、
前記複数の横断ウェブのうち、前記フランジと反対側の端に位置する第1ウェブの両端のそれぞれから前記一対の溝のそれぞれに向かって設けられた一対の傾斜垂直面と、
前記一対のフランジのそれぞれから延び、かつ、垂直方向に延びるフランジ側密閉突出部とを有し、
前記一対のフランジのそれぞれは、前記側壁の延長上にある第1フランジ部と、前記第1フランジ部から横断方向に延びる第2フランジ部とを含み、各前記第2フランジ部は、連結される前記建築部材の前記一対の側壁のそれぞれに形成された前記溝とそれぞれ係合するように配置されて構成され、
前記各フランジを前記連結される建築部材の各傾斜垂直面に対して相対的に横断方向に移動させると、前記建築部材と前記連結される建築部材とを互いに固定的に連結させる前記各フランジのスナップ接合が、対応する前記溝の内側で可能となるように、前記各フランジは前記連結される建築部材の前記各傾斜垂直面との接合により弾性変形するように構成され
更に、前記一対のフランジのそれぞれの前記フランジ側密閉突出部は、そのフランジの前記第2フランジ部からその横断方向に関して前記連結される建築部材へ向かって延びており
前記溝のそれぞれは前記建築部材の垂直方向に延びる溝提供部によって設けられ、前記溝提供部のそれぞれは前記建築部材の垂直方向に延びる溝側密閉突出部を有し、前記溝側密閉突出部のそれぞれは、連結される前記建築部材における前記第2フランジ部の前記フランジ側密閉突出部と組み合わされて前記建築部材同士の密閉接続を補助するように、対応する前記溝の内側に向かって延びている
【0007】
好ましくは、前記複数の横断ウェブは、前記フランジ側の端に位置する第2ウェブと前記第1ウェブとの間に位置する更なるウェブを含む
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の好ましい形態を、下記添付図面を例として参照しつつ説明する。
図1】建造物基底部の複数の壁を示す概略上面図。
図2図1に示される複数の壁のうち1つの壁の一部について示す概略上面図。
図3図1に示される複数の壁のうち1つの壁の他の一部を示す概略上面図。
図4図1の基底部の壁を形成するために使われた建築部材を示す概略上面図。
図5図1の壁を形成する際に使用された更なる建築部材を示す概略上面図。
図6図1の壁を形成するために使用された建築部材の一部を示す概略拡大図。
図7図6の代替可能な箇所を示す概略上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面のうち図1には、ある建造物の基底部10が概略的に示されている。基底部10は、地下に設けられていてもよい。
基底部10は、直線状の又はカーブ状の複数の壁11を含む。各壁11は複数の細長い建築部材12によって形成されている。各建築部材12は、中空で、プラスチック材から押し出されたものである。各建築部材12は、垂直方向に延び、かつ垂直方向に平行な一対の側壁13を有している。図3に図示されている建築部材12は、水平方向にも平行で略平らな側壁13を有している。図5の建築部材12は、垂直方向に延びる側壁14、15を有している。側壁14、15は、カーブ状の壁及び角の構造のために所望の角度29によって傾けられた壁11を提供する。内壁15の水平方向に関する幅は外壁14と比較して短い。
【0012】
各建築部材12は複数の横断ウェブ16、及び複数のエンドウェブ17、18を有している。図4の建築部材12の各横断ウェブ16は、接続ウェブ19によって側壁13に結合する。接続ウェブ19のそれぞれは、側壁13との接続位置から対応する横断ウェブ16に向かって収斂するように傾いている。
【0013】
エンドウェブ18は、そのエンドウェブ18から延び、垂直方向に延びる傾斜面20を有する。傾斜面20はウェブ18から側壁13、14、15の方向へそれぞれ向かう。傾斜面20は垂直方向に延びる溝21に向かって延びる。
【0014】
エンドウェブ17から延びているのは、フランジ22である。図4の形態においてフランジ22は、互いに略平行であり同じ大きさである。
【0015】
同種の建築部材12同士は、建築部材12間の水平方向に関する相対的な動きによって接続される。特に、連結される建築部材12のうち一方の建築部材12のフランジ22のそれぞれは、個々に弾性的に変形されるように傾斜面20に対して水平方向に移動して、凹部21でスナップ接合し、これにより、隣接する建築部材12と接続する。
【0016】
図6及び図7に最もよく示されているように、各フランジ22は、エンドウェブ17から延びる第1フランジ部23と、第1フランジ部23から延びる第2フランジ部24とを含んでいる。第2フランジ部24は凹部21内に位置すべきものである。各建築部材12が有する2つの第1フランジ部23は、略平行で同じ大きさである、そして、関連付けられたエンドウェブ17に対して略水平方向に延びる。第2フランジ部26は、第1フランジ部から、エンドウェブ17に対して略平行な方向に突出している。
【0017】
各溝21は、溝提供部25によって設けられる。各建築部材12が有する2つの溝提供部25は略平行で同じ大きさである。溝提供部25は第2フランジ部24を受け入れるように、その横断面図はU字形である。
【0018】
図6の形態では、第1フランジ部23には、矢じりのような形状を有し、垂直方向に延びるシール突出部26が設けられている。シール突出部26は、第1フランジ部23から他方の建築部材12に向かって延びている。突出部26は実際に他方の建築部材12と係合していてもよいし、あるいは、他方の建築部材12から少し間隔があいていてもよい。そのような例において、空洞部30に注がれる塗れたコンクリートは、各密閉突出部26を隣接する建築部材12に対して密閉接続する。突出部26は係合された建築部材12を密閉接続させる。
【0019】
図6に示されているように、建築部材12が接続される時、第2フランジ部24は、第1フランジ部22の外方向への弾性変形を起こすために、溝21と並んでスナップ接合するまで傾斜面20に沿うように移動すればよい。
【0020】
図7の形態では、一対の密閉突出部27、28が設けられている。密閉突出部28が凹部提供部25から延びている一方、密閉突出部27は第2フランジ部24から延びている。密閉突出部27、28は、それらの隙間が塗れたコンクリートによって密閉されるように、互いに係合又は隣接した位置にある。
【0021】
突出部26、27、28は、建築部材12のそれぞれの垂直方向の全長にわたっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7