特許第6114880号(P6114880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダブリュ.ミュラー ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許6114880-不連続発泡用押出パリソンヘッド 図000002
  • 特許6114880-不連続発泡用押出パリソンヘッド 図000003
  • 特許6114880-不連続発泡用押出パリソンヘッド 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6114880
(24)【登録日】2017年3月24日
(45)【発行日】2017年4月12日
(54)【発明の名称】不連続発泡用押出パリソンヘッド
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/04 20060101AFI20170403BHJP
   B29C 47/06 20060101ALI20170403BHJP
   B29C 47/26 20060101ALI20170403BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20170403BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20170403BHJP
【FI】
   B29C49/04
   B29C47/06
   B29C47/26
   B29B7/38
   B29C49/22
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-517280(P2016-517280)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-523189(P2016-523189A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2014061533
(87)【国際公開番号】WO2014195337
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】102013105749.7
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515333743
【氏名又は名称】ダブリュ.ミュラー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クニップ,グィード
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−036843(JP,A)
【文献】 特開平07−214644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C7/00−71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1層および第2層から構成されるホース状パリソンを、押出成形可能なプラスチックから製造する押出ヘッド(1)であって、
第1押出成形機用の接続部(2)を備える第1マニホルド(15)と、
第2押出成形機(3)用の接続部(8)を備える第2マニホルド(19)と、
前記第1層を形成するための環状第1排出開口部(18)を備えた第1流路(17)であって、前記第1マニホルド(15)により供給される第1流路(17)と、
前記第2層を形成するための環状第2排出開口部(22)を備えた第2流路(21)であって、前記第2マニホルド(19)により供給される第2流路(21)と、
発泡剤を投入するための接続部(54)を備えた、前記第2流路(21)内の混合機(27)と、を備える、
押出ヘッド(1)。
【請求項2】
前記混合機(27)が、ダイナミックミキサとして構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の押出ヘッド。
【請求項3】
前記混合機(27)が、前記押出ヘッド(1)の縦軸(L)周りを回転駆動可能で、かつ、混合機筐体(50)の穴部(52)内に配置されるシャフト状混合素子(47)を有し、環状経路部(55)が前記混合機筐体(50)の前記穴部(52)と前記混合素子(47)との間に形成され、前記環状経路部(55)が前記第2流路(21)の一部であることを特徴とする、
請求項2に記載の押出ヘッド。
【請求項4】
混合ブレード(48)は前記混合素子(47)の外周面(49)に配置されることを特徴とする、
請求項3に記載の押出ヘッド。
【請求項5】
前記混合機筐体(50)の内周面(51)には、前記混合素子(47)の混合ブレード(48)と相互作用する混合ブレード(53)が設けられることを特徴とする、
請求項4に記載の押出ヘッド。
【請求項6】
発泡剤を投入するための前記接続部(54)が前記混合機筐体(50)に設けられ、発泡剤供給ラインが前記環状経路部(55)に通じていることを特徴とする、
請求項3から5のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項7】
前記混合機(27)の下流には、前記第2流路(21)の穴状経路部(56)が設けられ、前記混合機(27)の前記環状経路部(55)からの材料流は、前記穴状経路部(56)で合流することを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項8】
前記混合機(27)を可変回転速度で駆動するサーボモータ(10)が設けられることを特徴とする、
請求項2から7のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項9】
前記第2流路(21)の断面積は、前記混合機(27)から前記第2排出開口部(22)に向けて連続的に減少することを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項10】
前記混合機(27)の上流には遮断弁が設けられることを特徴とする、
請求項1から9のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項11】
前記第1排出開口部(18)および/または前記第2排出開口部(22)を閉鎖することができることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項12】
前記第2層が前記第1層内に配置されるように前記第2排出開口部(22)が配置されることを特徴とする、
請求項1から11のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項13】
接続部(9)を備える第3マニホルド(23)が第3押出成形機(4)のために設けられ、
第3流路(25)には第3層を形成するための環状第3排出開口部(26)が提供され、前記第3流路(25)は前記第3マニホルド(23)により供給されることを特徴とする、
請求項1から12のいずれか1項に記載の押出ヘッド。
【請求項14】
前記第3層が前記第2層内に配置されるように前記第3排出開口部(26)が配置されることを特徴とする、
請求項13に記載の押出ヘッド。
【請求項15】
前記第2排出開口部(22)は前記第3排出開口部(26)より下流に配置されているか、または、前記第1排出開口部(26)は前記第2排出開口部(22)および前記第3排出開口部(26)の下流に配置されることを特徴とする、
請求項13または14に記載の押出ヘッド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の押出ヘッド(1)を備えた押出成形装置であって、
各マニホルド(15、19、23)の前方に、押出成形材料用の一時的貯蔵部(5、6、7)が設けられている、押出成形装置。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項に記載の押出ヘッド(1)または請求項16に記載の押出成形装置を作動する方法であって、
前記第2流路(21)内の圧力が所定値に保持される、方法。
【請求項18】
前記第2流路(21)内の圧力が前記所定値を下回ると、前記圧力が、前記押出ヘッド(1)の前方に配置される、押出成形材料用の第2の一時的貯蔵部(6)の放出速度を適合させることにより調節されることを特徴とする、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2流路(21)内の温度が、前記他の流路(17、25)内の温度と異なる値に調節されることを特徴とする、
請求項17または18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にブロー成形技術用に、少なくとも1つの第1層と第2層とから構成されるホース状またはパイプ状パリソンを、押出成形可能プラスチックから製造するための押出ヘッドに関する。さらに、本発明は、このような押出ヘッドを備える押出成形装置と、このような押出ヘッドの作動方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形技術、特に押出ブロー成形は、熱可塑性プラスチック製の中空体、たとえば任意の種類の容器の製造に利用される。この場合、ホース状またはパイプ状パリソンが押出成形によって製造される。次いで、パリソンはブロー成形で、内圧の印加によってブロー金型の内側輪郭に適合させられる。押出成形材料の硬化後、ブロー金型を開き、最終製品を取り出すことができる。押出成形のために、熱可塑性プラスチック材料を可塑化する少なくとも1つの押出成形機が提供される。作製された押出成形材料は押出ヘッドに移送されて、そこで管状パリソンに形成される。本件では、少なくとも2つの層が設けられて、多層パリソンを製造する。通常、2層以上も可能である。
【0003】
種々の筒状金型が既知である。たとえば、特許文献1は、複数層を有するパリソンを製造する筒状金型を開示しており、押出ヘッドは異なる要件と異なる数の層とに簡単に適用することができる。
【0004】
特許文献2から、高密度プラスチック製の閉鎖外装と発泡プラスチック製の多孔性芯部とを有するパリソンを、熱可塑性プラスチック材料より断続的に製造する押出ヘッドが既知である。この場合、押出ヘッドは押出成形機に接続され、押出成形機が押出ヘッドに可塑化プラスチックを供給する。押出ヘッド内で、押出成形材料流が、異なる層の形成に利用する異なる流路に分岐される。流路の一つにおいて、発泡剤が押出成形材料に導入されて、1つの層を発泡させる。
【0005】
特許文献3から、滑らかな表面と多孔性芯部とを有するプラスチック部品を射出成型する押出ヘッドが既知である。第1押出成形機内で熱可塑性プラスチック材料に発泡剤が提供されて、押出ヘッドに供給される。熱可塑性プラスチック材料は第2押出成形機によって押出ヘッドに供給されるが、そこでは熱可塑性材料は発泡しない。2つの押出成形機からの2つの押出流は、射出金型に投入される2つの異なる層の形成に利用される。この場合、2つの押出流が射出金型に投入されて、滑らかな外面と多孔性芯部とを備えた部品が製造される。
【0006】
特許文献4は、供給ラインを介して押出成形機と貯蔵庫に接続される押出ヘッドを示す。供給ラインと押出ヘッドのノズルとの間に混合素子が設けられ、別の供給ラインを介して該素子内でガスなどの発泡剤が押出成形材料に投入される。混合素子には放射状に突出する混合ブレードを備えたダイナミックミキサが設けられ、回転可能に配置される。混合機は押出成形材料と発泡剤の混合に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP0770469B1
【特許文献2】DE2623308C3
【特許文献3】DE2241002A
【特許文献4】US4548776
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特にブロー成形技術用に、発泡層を有するパリソンを製造することができる押出ヘッド、および押出ヘッドの作動方法を提供することである。この場合、発泡層を有するパリソンを製造するために押出成形機の調節を必要とせず、一般的な押出成形機を使用可能とすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る目的は、少なくとも第1層および第2層から構成されるホース状パリソンを、押出成形可能プラスチックから製造するための押出ヘッドであって、
第1押出成形機用の接続部を備える第1マニホルドと、
第2押出成形機用の接続部を備える第2マニホルドと、
第1層を形成するための環状第1排出開口部を備えた第1流路(チャネル)であって、第1マニホルドにより供給される第1流路と、
第2層を形成するための環状第2排出開口部を備えた第2流路であって、第2マニホルドにより供給される第2流路と、
発泡剤を投入するための接続部を備え、第2流路内の混合機と、を備える押出ヘッドにより達成される。
【0010】
この場合、別個の押出成形機に接続可能なマニホルドが層ごとに設けられると有利である。よって、層ごとに異なる材料を使用することができる。さらに、押出ヘッド内に混合機が設けられ、混合機内において、発泡剤が第2流路の押出成形材料に投入され、混合される。よって、押出成形材料の発泡を確保するために、いずれの押出成形機も特別に適合させる必要がない。したがって、ブロー成形機を販売している会社より入手可能な一般的な押出成形機を使用することができる。発泡層を有するパリソンの製造への転換は、単に押出ヘッドを交換するだけで達成される。
【0011】
好ましくは、混合機はダイナミックミキサ(動的混合機)であり、この混合機を使用して、押出成形材料と発泡剤とを特に効率的に混合することができる。この場合、混合機は、押出ヘッドの縦軸(長手軸)周りを回転駆動可能で、かつ、混合機筐体の穴部内に配置されるシャフト状混合素子を有する。混合機筐体の穴部と混合素子との間に環状経路部が形成され、この環状流路部は第2流路の一部である。
【0012】
好ましくは、混合素子の外周面に混合ブレードが配置される。押出成形材料と発泡剤との最も効率的な混合を確保するため、混合機筐体の穴部の内周面には、混合素子の混合ブレードと相互作用する混合ブレードが設けられる。
【0013】
混合機筐体には、発泡剤を投入するための接続部を設けることができ、環状経路部には発泡剤用供給ライン(供給導管)が通じている。この場合、発泡剤が可能な限り最も長い経路で混合機を流れるように、発泡剤投入用の接続部は、好ましくは混合機筐体の上流端に配置される。このようにして、可能であれば混合機の全長に沿って最も効率的な混合が確保される。
【0014】
混合機の下流には、第2流路の穴状経路部が設けられ、混合機の環状経路からの材料流は穴状経路部で合流する。これにより、押出成形材料の材料流の均質化を促進することができる。まず、混合機内で、押出成形材料が比較的大きい円周で、混合ブレードにより発泡剤と混合される。可能な限り大きい円周は、混合ブレードの高周方向速度を提供し、完全な混合が促進される。次いで、パリソン状材料流または環状経路部は穴状経路部で合流し、混合機内の材料は再度均質化され、パリソン状に環状経路へと移送される。
【0015】
好ましくは、混合機を可変回転速度で駆動するサーボモータが設けられ、混合の結果と発泡剤によって生成される気泡(気孔)の微細度とを簡単に変動させることができる。
【0016】
所定の圧力が発泡層の材料流、すなわち第2流路内で維持されることが有利であると証明されている。このため、第2流路の断面積を混合機から第2排出開口部に向かう方向に連続的に減少するように設けることができる。押出成形材料を押出ヘッドに押し込む間、押出成形材料が低粘度のため、流路の断面積が略一定のままの場合、下流よりも上流の方で高い圧力が生成される。押出ヘッド内の下流でも十分な圧力を確保するため、断面積は排出開口部に向けて連続的に減少する。よって、既に押出ヘッド内にある発泡剤が大きな気泡をもたらすことが防止される。気泡の拡張、ひいては実際の発泡は、特に押出成形材料が押出ヘッドから出た後に発生するように確保される。
【0017】
ブロー成形技術で押出ヘッドを使用する際、ブロー成形ではパリソンの押出終了後にパリソン状プリフォームが膨張させられるために、プリフォームの不連続押出が確保される。ブロー工程中、押出成形材料がさらに押出ヘッドから出ることはない。よって、通常は貯蔵ヘッドまたは別個の一時的貯蔵部が設けられる。よって、押出成形機は熱可塑性プラスチック材料を連続的に送達し、ブロー工程中は押出成形材料をその一時的貯蔵部に送達し、ブロー工程終了後は押出成形材料を再び一時的貯蔵部から押出ヘッドに送達することができる。ブロー工程中に第2層のための押出ヘッド内の圧力低下を防止するため、遮断弁が混合機の上流に配置されることで、圧力が第2層内で一定に維持される。このため、一般的に既知であるように、第2排出開口部も閉鎖可能である。
【0018】
通常、第2排出開口部を第1排出開口部の下流に配置することができる。第2排出開口部を第2層が第1層内に配置されるように配置することができる。よって、第1外側円滑層が確保され、第2層が第1層の内側に配置される。
【0019】
押出ヘッドは、第3押出成形機用の接続部を備える第3マニホルドをさらに有することができる。次いで、第3流路は第3層を形成するための環状第3排出開口部を備え、第3流路は第3マニホルドにより供給される。このようにして、3層パリソンを製造することができる。原則的には、さらなる層を形成するために追加のマニホルドと追加の流路を設けることも可能である。
【0020】
この場合、第3排出開口部は、第3層が第2層内に配置されるように形成される。よって、滑らかな外側層、滑らかな内側層、両層間に配置された発泡層を有するパリソンが達成される。
【0021】
第1実施形態では、第2排出開口部を第3排出開口部の下流に配置することができる。この場合、第3排出開口部の下流で第2流路と第3流路が合流するために、第2層と第3層が共に第2排出開口部から排出される。
【0022】
第2実施形態では、第1排出開口部を第2排出開口部および第3排出開口部の下流に配置することができる。第2排出開口部の下流で第1流路と第3流路が合流し、第2排出開口部は閉鎖可能である。第2排出開口部が開放されると、すべての流路が合流する。第2排出開口部が閉鎖されると、第1層と第3層が共に第1排出開口部から排出される。第2排出開口部が開放されると、第1層、第2層、第3層が共に第1排出開口部から排出される。
【0023】
上記目的は、上述した押出ヘッドを備え、各マニホルドに押出成形材料用の一時的貯蔵部が割り当てられる押出成形装置によってさらに達成される。
【0024】
さらに、上記目的は、上述した押出ヘッドまたは押出成形装置の動作方法であって、第2流路内の圧力が所定値に維持される方法によって達成される。
【0025】
好ましくは、第2流路内の圧力が所定値を下回ると、圧力は押出ヘッドの前方に配置される押出成形材料用の第2の一時的貯蔵部の放出速度を適合することによって調節される。このように、放出速度の調節によって、第2流路内の圧力は制御することができる。
【0026】
さらに、第2流路内の温度を他の流路内の温度と異なる値に調節することができる。これは、発泡剤の投入によって第2層の粘度が他の層の粘度と異なるときに特に重要である。温度の調節を通じて、第2層の粘度を残りの層の粘度に適合させることができる。
【0027】
図面を参照して、以下、好適な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】押出成形装置の透視図である。
図2】第1実施形態に係る図1の押出成形装置の押出ヘッドの縦断面図である。
図3】第2実施形態に係る図1の押出成形装置の押出ヘッドの部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係る、押出ヘッド1を備えた押出成形装置の透視図である。押出ヘッド1は、第1押出成形機(図示しない)用、すなわち、この装置を販売する会社で入手可能な大抵の押出成形機用の接続部2を有する。第1押出成形機は、管状パリソンの第1層の形成に利用される。さらに、第2層の形成に利用される追加の押出成形機として第2押出成形機3が設けられる。さらに、第3層の形成に利用される追加の押出成形機として第3押出成形機4が設けられる。通常、さらなる押出成形機を設けることもできる。後述するように、押出ヘッド1は、第1層が外側層となり、第2層が中央層となり、第3層が内側層となり、第2層が発泡体となるように形成される。
【0030】
押出成形機3、4のそれぞれに対して一時的貯蔵部5、6、7が割り当てられる。よって、第1の一時的貯蔵部5は、押出成形材料の流れ方向で第1押出成形機の下流に割り当てられ、第2の一時的貯蔵部6は第2押出成形機3に割り当てられ、第3の一時的貯蔵部7は第3押出成形機4に割り当てられる。一時的貯蔵部5、6、7はシリンダピストンユニットとして形成されるため、各押出成形機は最初にそれぞれの一時的貯蔵部のシリンダに押出成形材料を押し出し、そこから押出成形材料は流路を通ってさらに押出ヘッド1に流れる。よって、パリソンの不連続押出成形が可能である。ブロー技術では、最初にパリソンを押し出す必要がある。このため、押出成形材料が押出成形機から連続的に送達されて、パリソンが押出成形機ヘッド1から連続的に排出される。パリソンは最終的に形成されるとすぐに、ここでは図示しないブロー金型によって膨らまされなければならない。ブローステップ中、押出成形材料は押出成形機ヘッドから排出されてはいけない。しかしながら、押出成形機3、4はさらに連続的に動作しなければならない。よって、押出成形機3、4から押し出された押出成形材料は次に一時的貯蔵部5、6、7に供給され、一時的貯蔵部5、6、7のシリンダに貯蔵される。ピストンは図1に示す押出成形装置の方向における上方へ移動するため、シリンダ室が拡張する。パリソンが膨張し、ブロー金型から取り出されるとすぐに、個々の一時的貯蔵部5、6、7のピストンは再度下方へ移動され、押出成形材料を一時的貯蔵部5、6、7から押出ヘッドへと移送される。
【0031】
第2押出成形機3は接続部8を介して押出ヘッド1に接続される。第3押出成形機4は接続部9を介して押出ヘッド1に接続される。通常、第1押出成形機(ここでは図示せず)は水平に配置されて、接続部2に接続される。第2押出成形機3および第3押出成形機4は垂直(鉛直)に配置され、垂直下方に押し出す。この場合、押出成形機は、粒状の熱可塑性プラスチック材料を供給することのできる供給ホッパ11、12を有する。駆動モータ13、14は押出成形機3、4の駆動に利用される。
【0032】
押出ヘッド1内で、第2押出成形機によって押し出される第2層の可塑化プラスチック材料は発泡剤と混合される。詳細に後述するダイナミックミキサがこの混合に利用される。サーボモータ10がダイナミックミキサを駆動するために設けられる。
【0033】
概して、押出ヘッド1も垂直に配置され、押出成形材料が垂直下方に放出される。
【0034】
図2は、押出ヘッド1の第1実施形態の縦断面図であり、図1と共に以下に説明する。
【0035】
押出ヘッド1は、ここでは図示しない第1押出成形機に接続される第1マニホルド15を下部に有する。既知の方法でリングマニホルドとして形成される第1マニホルドは、供給ライン16を介して第1押出成形機に接続される。第1供給ライン16はさらに延びて環状第1流路17と合流し、ここでは閉状態で図示される第1排出開口部18まで延在しており、第1層用の押出成形材料は第1排出開口部18で押出ヘッド1から排出される。このように、第1排出開口部18は第1環状ノズルを形成する。
【0036】
押出ヘッド1の上側領域には、第2押出成形機3に接続される第2マニホルド19が設けられ、第2供給ライン20は環状第2流路21につながる。第2流路21内には混合機27が設けられる。混合機27の下流では、第2流路21が、ここでも閉状態で図示される第2排出開口部22まで下方に延在し、第2層の押出成形材料を排出する第2環状ノズルを形成する。
【0037】
さらに、第3押出成形機4に接続される第3マニホルド23が設けられる。第3供給ライン24を介して、第3押出成形機4の押出成形材料が環状第3流路25に送達される。第3流路25は押出ヘッド1内に配置される第3排出開口部26を終端とし、第2流路21と合流する。
【0038】
押出ヘッド1は、第2層用の第2マニホルド19と第3層用の第3マニホルド23とを含む基部28を有する。基部28は本質的に、垂直に配向された縦軸Lの方向に長手状に形成される。縦方向の上端で、混合機27は基部28に接続される。基部28は、下方に向く端面29で、垂直下方に向いて終端する。
【0039】
ヘッド部30は、軸方向に変位可能に基部28と接続される。環状ノズルの形状の第1排出開口部18と、同じく環状ノズルの形状の第2排出開口部22とは、垂直下方に向くように配置されるため、パリソンは押し出されてヘッド部30から垂直下方に形成され得る。
【0040】
ヘッド部30は、内周面31を有する貫通孔によって縦方向に貫通されている。基部28には、中央マンドレル32が搭載され、中央マンドレル32は、軸方向に延在し、端面29を超えて突出し、ヘッド部30を通過してさらに延び、ヘッド部30を通って垂直下方に突出する。基部28には、さらにマンドレル管34が搭載され、マンドレル32と同軸に配置され、マンドレル管34の中にマンドレル32を収容する。マンドレル32は、マンドレル管34の内周面35と共に第3流路25、すなわち内側流路を形成する外周面33を有する。径方向支持のため、マンドレル32は径方向に突出するウェブ36を有し、ウェブ36はマンドレル管34の内周面35の内側に支持される。ウェブ36はマンドレル管34の周囲に沿って周方向に分布され、第3流路35が連通するように他の流路間に形成される。
【0041】
マンドレル管34は端面29を超えてヘッド部30の通路へ突出する。この場合、マンドレル管34は縦方向においてマンドレル32の前方または上方で終端となる。マンドレル管34の下端はマンドレル32と共に環状第3排出開口部26を形成する。
【0042】
基部28には、管状ソケット37がさらに搭載され、マンドレル32およびマンドレル管34と同軸に配置され、マンドレル管34を内部に収容する。ソケット37の内周面38とマンドレル管34の外周面39との間に、第2流路21の一部、すなわち中央流路の一部が形成される。ソケット37は端面29を超えて突出し、第1マニホルド15内で終端となる。
【0043】
第1マニホルド15にはスライド管(摺動管)40が搭載され、その内周面41でソケット37の外周面45を支える。よって、第2流路21は、スライド管40の内周面41とマンドレル管34の外周面39とによってさらに下方に延在するように形成される。第2流路21は第3排出開口部26から開始し、第2排出開口部22に達するまで、スライド管40の内周面41とマンドレル32の外周面33とによって形成される。図2に示す位置では、スライド管40はその下端がマンドレル32の下端と接触しているため、第2流路21を閉鎖する。
【0044】
さらに、第1マニホルド15には、下方を向くソケット42が設けられる。ソケット42の内面44は、スライド管40の外周面46と共に第1流路17の一部を形成する。ソケット42はヘッド部30内に突出する。さらに垂直下方では、第1流路17がヘッド部30の内周面41とスライド管40の外周面46とによって形成される。ヘッド部30の垂直方向下端で、スライド管40が外周面46でヘッド部30と接触し、第1流路17を閉鎖する。
【0045】
第1流路17と第2流路21を開放するため、第1マニホルド15は縦軸Lに沿って垂直に変位可能に配置され、図2に示す位置から垂直上方に変位した位置に移動させることができる。それと共にスライド管40は第1マニホルド15と一緒に移動し、スライド管40はヘッド部30の下端で内周面31から離昇(垂直上昇)する。スライド管40は下端でマンドレル32の外周面33から離昇し、第2流路21を開放する。よって、第1流路17および第2流路21から押し出された押出成形材料は、第1排出開口部18および第2排出開口部22から排出することができる。変位を確保するため、スライド管40は内周面41で基部28のソケット37の外周面45を変位可能に支える。さらに、第1マニホルド15のソケット32は、ヘッド部30の内周面31へ変位可能に軸方向に延在する。
【0046】
さらに、ヘッド部30は別々に軸方向に変位可能であるため、第2排出開口部22を同時に開くことなく、ヘッド部30の軸方向上昇によって第1排出開口部18を開く。さらに、第1マニホルド15およびヘッド部30は同期して離昇することができるため、第1排出開口部18は閉じたままで、第2排出開口部22のみ開放される。
【0047】
混合機27は穴部52を有する混合機筐体50を備え、混合素子47が穴部52内に回転可能に配置される。混合素子47はシャフト状に形成され、サーボモータ10によって駆動される。混合素子47は外周面49を有し、その外周面49には、径方向外方に突出する混合ブレード48が設けられる。混合機筐体50は穴部52によって形成される内周面51を有し、その内周面51には、混合機筐体50の混合ブレード48と噛み合う、または相互作用する混合ブレード53が径方向内方に突出するように設けられる。混合素子47を回転駆動することによって、混合素子47の混合ブレード48が混合機筐体50の固定混合ブレード53に対して移動させられて、第3流路21内で押出熱可塑性プラスチック材料の攪拌が行われる。混合機27の垂直方向上端には発泡剤用の接続部54が設けられているため、発泡剤を混合機27に投入可能であり、発泡剤は混合ブレード48、53によって可塑化熱可塑性材料と混合される。
【0048】
混合機筐体50の内周面51は、混合素子47の外周面49と共に、第2流路21の環状またはホース状の経路部55を形成する。環状経路部55は垂直下方に延在して穴状経路部56に合流する。このため、混合素子47は終端し、混合素子47は円錐形に先細(テーパ)となって先端を形成する。押出ヘッド1の基部28は第2流路21のさらなる拡張部に先端57を有し、先端57は円錐形に拡がり、材料流を再度環状またはホース状に拡張する。
【0049】
このようにして、第1実施形態の押出ヘッド1では、非発泡外側第1層と、非発泡内側第3層と、外側第1層と内側第3層との間の発泡した第2層とを有する3層パリソンを製造することができる。上記パリソンを製造するため、第1排出開口部18および第2排出開口部22が開放される。第3排出開口部26を閉めることができず、第3排出開口部26の下流で、第3流路25と第2流路21とが合流し、第2層および第3層は、開いている限り第2排出開口部22を通って共に排出される。
【0050】
パリソンの一部が発泡層のない領域を有する場合、第2排出開口部22は閉じているため、1層のみ、すなわち非発泡外側第1層のみが排出される。
【0051】
図3は、押出ヘッド1の第2実施形態を示し、第1実施形態の構成要素に対応する構成要素は同じ参照符号を付し、第1実施形態と関連して説明する。
【0052】
第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、第1排出開口部18は第2排出開口部22の下流に配置されている。第2排出開口部22は閉鎖可能であり、第2流路21のみを閉じる。第2排出開口部22の下流では、第1流路17および第3流路25を、閉鎖可能な第1排出開口部22によって共に閉じることができる。第2排出開口部22が開くと、第2流路21は第1流路17および第3流路25と合流し、第1排出開口部18によって共に閉じることができる。
【0053】
第1排出開口部18と第2排出開口部22が開くと、非発泡外側第1層と、非発泡内側第3層と、それらの間に配置される発泡された第2層とを有する形成部が形成される。
【0054】
第2排出開口部22のみが閉じられる場合、非発泡外側第1層と非発泡内側第3層との2層成形部が達成される。
【符号の説明】
【0055】
1 押出ヘッド
2 接続部
3 第2押出成形機
4 第3押出成形機
5 第1の一時的貯蔵部
6 第2の一時的貯蔵部
7 第3の一時的貯蔵部
8 接続部
9 接続部
10 サーボモータ
11 供給ホッパ
12 供給ホッパ
13 駆動モータ
14 駆動モータ
15 第1マニホルド
16 第1供給ライン
17 第1流路
18 第1排出開口部
19 第2マニホルド
20 第2供給ライン
21 第2流路
22 第2排出開口部
23 第3マニホルド
24 第3供給ライン
25 第3流路
26 第3排出開口部
27 混合機
28 基部
29 端面
30 ヘッド部
31 内周面
32 マンドレル
33 (マンドレルの)外周面
34 マンドレル管
35 (マンドレル管の)内周面
36 ウェブ
37 ソケット
38 (継手の)内周面
39 (マンドレル管の)外周面
40 スライド管
41 (スライド管の)内周面
42 ソケット
43 (第1マニホルドのソケットの)外周面
44 (第1マニホルドのソケットの)内周面
45 (基部のソケットの)外周面
46 (ソケット管の)外周面
47 混合素子
48 混合ブレード
49 (混合素子の)外周面
50 混合機筐体
51 (混合機筐体の)内周面
52 穴部
53 混合ブレード
54 発泡剤用接続部
55 環状経路部
56 穴状経路部
57 先端
L 縦軸
図1
図2
図3