(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNPの存在は、前記1つ又は複数のSNPを有する核酸分子上の特異的な領域と特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを使用することによって決定される、請求項7に記載の方法。
前記SNPの存在は、配列特異的プライマー(SSP)タイピング、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、配列ベースタイピング(SBT)、DNA増幅(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR))、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析、又は逆転写PCRによって検出される、請求項8に記載の方法。
【発明の概要】
【0004】
患者がα7−nAChRアクチベーターによる処置に応答する可能性が高いかどうかを予測する必要がある。この目的は、本開示で示された方法及び組成物によって達成される。本発明において、染色体の遺伝子座15q24の遺伝学的変異体は、驚くべきことに、認知機能障害又は機能障害に罹患している患者のα7−nAChRアクチベーターによる処置に対する応答性に関する予測マーカーであることが示された。
【0005】
それゆえに本開示の第1の主題は、選択された患者集団において認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含む組成物に関し、ここで前記患者集団は、ヒトシトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーA、ポリペプチド2(CYP1A2)遺伝子(配列番号3;15番染色体NC_000015.9、細胞遺伝学的な位置:15q24.1;ゲノム座標(GeneLoc):75,041,184〜75,048,941)、Entrez遺伝子番号:1544の、少なくとも1種の指標的SNPを有することに基づいて選択される。
【0006】
指標的SNP、例えば本明細書で開示されるrs2069514−A(配列番号1)はヒト個体に示差的に存在し、患者の応答性の可能性は、前記患者のゲノム中のSNP rs2069514−A変異体の存在に基づいて予測され得る。したがって、本出願における「指標的SNP」(“indicative SNP”)は、処置の前に、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している患者がα7−nAChRアクチベーターによる処置に応答する可能性が高いかどうかを予測することを可能にする特異的なSNPを指す。本開示における指標的SNPは、CYP1A2遺伝子に存在するSNP、及び前記SNPとハプロタイプを形成するか又は同じ連鎖不平衡にあるSNPを指す。
【0007】
他の実施形態において、本開示は、CYP1A2遺伝子の指標的SNPを同定するための方法であって、
a)統計学的に有意な結果を得るのに十分大きい統合失調症患者のグループを選択するステップ、
b)CYP1A2の遺伝子座における前記患者の遺伝子型を得るステップ、
c)前記患者に、治療有効量のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを投与するステップ、
d)ステップc)の患者に、統合失調症の認知テストバッテリー(例えばコグステート(CogState)(商標)統合失調症バッテリー)を使用することによって認知評価試験を行うステップ、
e)統計学的に関連する視覚学習、記憶能力の向上、認知機能の向上、推理力、問題解決能力の向上、又は注意力及び覚醒における向上を示す患者(「応答者」)を同定することによって、ステップd)の患者を応答者及び非応答者のサブグループにさらに分類するステップであって、前記向上は、後の実施例のセクションで説明される効果量として測定される場合、少なくとも約0.1、又は約0.2、又は約0.3、又は約0.4であるか、又は約0.5を超える、ステップ、
f)ステップe)で同定された応答者及び非応答者の部分集団の遺伝子の遺伝子座のDNA配列を分析して、応答者のCYP1A2遺伝子の遺伝子の遺伝子座にのみ存在するSNPを選択するステップ、及び
g)ステップf)で選択されたSNPの存在とステップd)の認知テストの結果とを関連付けることによってヘテロ接合型又はホモ接合型の指標的SNP変異体を同定するステップ
を含む方法に関する。
【0008】
規定された遺伝子座又は遺伝子における患者の遺伝子型を得て分析する方法、加えて認知評価試験は当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に説明される。
【0009】
好ましくは、上述の組成物は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するのに使用される。一実施形態において、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、統合失調症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症からなる群より選択される。
【0010】
他の実施形態において、本組成物は、ヒトCYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを有することに基づいて選択された患者集団で使用される。
【0011】
他の実施形態において、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための組成物は、上述の指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/A(配列番号1)若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してホモ接合型であるか、又は指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してヘテロ接合型であることに基づいて選択された患者に使用される。
【0012】
さらに、本開示は、本明細書で説明され、本発明の方法に使用される組成物であって、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態の下記式(I)のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含む組成物に関する。
【化1】
[式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−又は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−又は−CH(CH
3)−であり、又は
L
1は−CH
2−CH
2−であり、L
2は−CH
2−であり、L
3は−CH
2−CH
2−であり、
L
4は、
【化2】
から選択される基であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
R
1は水素又はC
1〜4アルキルであり、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化3】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ
、ハロゲン、シアノ、又は3〜6員の単環式環系であり、ここで、該環系は芳香族であっても、飽和していても、又は部分的に飽和していてもよく、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、各環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、各環系は、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、ハロゲン、又はシアノで1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、又は
隣接する環原子における2つのR
2はC
3〜4アルキレン基を形成し、ここで、1〜2個の炭素原子はX
2で置き換えられていてもよく、C
3〜4アルキレン基はR
3で1回又は複数回置換されていてもよく、各X
2は独立に−O−又は−N(R
4)−であり、各R
4は独立に水素又はC
1〜6アルキルであり、各R
3は独立にハロゲン又はC
1〜6アルキルである。]
【0013】
本開示の追加の主題は、本明細書で説明され本発明の方法に使用される組成物であって、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターが、遊離塩基又は薬学的に許容される酸付加塩の形態として使用される、組成物に関する。他の実施形態において、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターは、医薬担体又は希釈剤と共に、その遊離塩基又は薬学的に許容される酸付加塩の形態である。
【0014】
本開示の他の実施形態において、本明細書で説明され本発明の方法に使用される組成物は、第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物をさらに含む。第2の認知改善又は治療用化合物は、例えば従来型抗精神病薬又は非定型抗精神病薬であり得る。
【0015】
さらに別の実施形態において、本開示は、認知能力を増加させる、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する個体又は個体のグループの治療応答性を予測するための方法に関し、本方法は、I)CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ、II)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNPを有するステップI)の個体を同定するステップであって、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくはSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくはSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である、ステップを含む。
【0016】
さらに、本開示は、個体の認知能力を増加させる、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している個体を処置する治療方法に関し、本方法は、
III)CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ、
IV)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを有するステップIII)の個体を同定するステップであって、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくは対応するSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応するSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である、ステップ、及び
V)ステップIV)で同定された対象に、治療有効量のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを投与するステップ
を含む。
【0017】
追加の実施形態において、上記ステップI)及びIII)は、VI)前記個体の生体サンプルを得るステップであって、前記サンプルは、血液、血液由来の生成物(例えば軟膜、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙、唾液、髄液、口腔スワブ、痰、毛根、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの任意の組合せからなる群より選択される、ステップ、及びVII)ステップVIの生体サンプルを、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPの検出が可能な試薬と接触させるステップをさらに含む。
【0018】
好ましくは、上述の方法は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するのに使用される。したがって、一実施形態において、上述の方法は、第1のステップとして、認知能力を増加させる必要性、又は個体における認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を診断するステップをさらに含み、ここで、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、統合失調症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症からなる群より選択され得る。
【0019】
本開示の他の実施形態では、上述の方法において、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPの存在は、前記1つ又は複数のSNPを有する核酸分子上の特異的な領域と特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを使用することによって決定される。特に、前記CYP1A2 SNPの存在は、配列特異的プライマー(SSP)タイピング、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、配列ベースタイピング(SBT)、DNA増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析、又は逆転写PCRによって検出され得る。
【0020】
本開示の他の態様において、認知能力を増加させるため、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するために、上述した方法に従ってアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する応答者として選択される個体が式(I)の化合物で処置される。
【0021】
さらに別の実施形態において、第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物、例えば従来型抗精神病薬又は非定型抗精神病薬は共投与されてもよい。
【0022】
開示された方法の他の実施形態において、投与しようとするアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの用量は1日当たり約2mg〜約100mgである。
【0023】
本開示の他の実施形態は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態を有する患者を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの使用に関し、ここで、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する患者は上述の方法に従って選択されている。
【0024】
さらに、本開示は、個体が、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、(a)アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置、又は(b)認知能力の増加に応答するかどうかを決定するための、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブの使用に関する。
【0025】
他の態様において、本開示は、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含むキットに関する。好ましくは、キットは、VIII)(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための手段、及びIX)該キットの使用説明書を含む。
【0026】
本開示の追加の主題は、上述の方法又は使用のいずれかに好適なキット、好ましくは上記キットの使用に関し、該キットは、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含む。関連する実施形態において、キットはオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0027】
本発明をより容易に理解できるように、まず所定の用語を定義する。追加の定義は、詳細な説明にわたり明記される。
【0028】
用語「含む」は「包含する」を意味し、例えばXを「含む」組成物は、排他的にXからなる場合もあるし、又は何か追加のものを包含してもよく、例えばX+Yであってもよい。
【0029】
数値xに関する用語「約」は例えばx±10%を意味する。
【0030】
本開示における用語「認知改善薬」は、認知、記憶、知能、意欲、注意力、及び集中力などの精神機能を改善すると言われている任意の薬物、サプリメント、栄養補助食品、又は機能性食品を指す。
【0031】
本明細書で使用される認知改善薬としては、これらに限定されないが、アセチルコリンエステラーゼインヒビター及び/又はブチリルエステラーゼインヒビターなどのコリン作動性化合物(リバスチグミン、ドネゼピル、ガランタミン、ヒューペルジン)、アンパカイン(例えば、CX614、CX516)、ムスカリン様モジュレーター(例えばムスカリン様受容体アゴニスト)、NMDA受容体のモジュレーター(例えば、ポジティブモジュレーター、アンタゴニスト、メマンティン)、ホスホジエステラーゼインヒビター(例えばPDE4インヒビター)、ヒデルギンなどの向知性化合物、オキシラセタム、アニラセタム、アセチル−L−カルニチン、イチョウ由来の化合物、p−アミノ安息香酸並びにジメチルアミノエタノール及びその誘導体などの老化防止薬に含有される化合物、並びにメチルフェニデート、トモキセチン及びモダフィニルなどの注意力を調節する化合物が挙げられる。
【0032】
用語「従来型抗精神病薬」は、主としてドーパミン受容体D2の拮抗作用を介して精神病を処置するのに効果的な化合物を示す。本明細書で使用される「従来型抗精神病薬」としては、これらに限定されないが、ハロペリドール、ドロペリドール、モリンドン、フルフェナジン、チオチキセン、フルペンチキソール、プロマジン、ピモジド、クロルプロマジン、メトトリメプラジン、ピポチアジン、トリフルオペラジン、チオリダジン、アセトフェナジン、クロルプロチキセン及びメソリダジンが挙げられる。
【0033】
用語「非定型抗精神病薬」は、ドーパミン受容体2の拮抗作用に追加のメカニズム及び/又はドーパミン受容体2拮抗作用とは異なるメカニズムを介して精神病を処置するのに効果的な化合物を示す。本明細書で使用される「非定型抗精神病薬」としては、これらに限定されないが、クロザリル、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セルチンドール、ペルフェナジン、メソリダジン、プロクロルペラジン、ナプロキセン及びロクサピンが挙げられる。
【0034】
本明細書において、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーター(α7−nAChRアクチベーター)という用語は、α7−nAChRアゴニスト及びα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーター、特に本明細書において開示されるような低分子量(LMW)化合物を指す。
【0035】
本開示における用語「SNP」は「一塩基多型」を指す。「SNP」は、個体間の遺伝学的差異であり、例えばDNA中の変化しやすい生物の単一の塩基位置である。SNPは、所定の遺伝子の特異的なアレルを規定する。SNPは、単一のヌクレオチドで占められる多型部位で発生し、この単一のヌクレオチドが、アレル配列間で異なっている部位である。この部位は通常、アレルの高度に保存された配列(例えば、100の集団要素のうちの1つ未満又は1000の集団要素のうちの1つ未満で変化している配列)の前又はその後にある。SNPは、最も高頻度で2つのアレルを有する。一塩基多型は通常、多型部位で1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換されることによって生じる。トランジションは、1つのプリンが別のプリンで交換されること、又は1つのピリミジンが別のピリミジンで交換されることである。トランスバージョンは、プリンがピリミジンで交換されること、又はその逆である。一塩基多型は、参照と比較したヌクレオチドの欠失又はヌクレオチドの挿入に起因する場合もある。またSNPは、単一の染色体上又は単一の染色体の領域内の多型部位を指す場合もあり、その場合SNPは、数種の塩基対の挿入又は欠失を指すこともある。したがって、用語「SNP」は、集団中の異なる個体の遺伝子の同じ領域中に見出される数種のヌクレオチド配列のうちの1つを有する遺伝子の領域も指す。ほとんどのSNPはめったに起こらないが、530万種の共通のSNPがあると推定され、それぞれの頻度は10〜50%であり、ヒト間のDNA配列差の大部分を占める。そのようなSNPは、ヒトゲノム中、600塩基対ごとに1回の割合で存在する(Kruglyak及びNickerson、Nature Genet.27:235(2001))。物理的に近接するそのようなSNPのブロックを構成するアレル(変異体)は相関することが多く、その結果として遺伝学的変異性の低下が起こり、限られた数の「SNPハプロタイプ」が規定される(Fullertonら、Am.J.Hum.Genet.67:881(2000))。
【0036】
用語「遺伝子」は、いくつかの方式でポリペプチド発現を制御できる適切な制御配列に機能するように連結したコード領域を指す。遺伝子は、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)の前(上流)及び後(下流)にあるDNAの翻訳されない制御領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーなど)、加えて、適用可能であれば、個々のコード領域(すなわちエキソン)間の介在配列(すなわちイントロン)を包含する。また遺伝子は、RNA転写物に存在する配列の5’末端及び3’末端の両方に位置する配列を包含する場合もある。これらの配列は、「フランキング」配列又は領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写物に存在する翻訳されない配列の5’又は3’に位置する)。5’−フランキング領域は、プロモーター及びエンハンサーなどの制御配列を含有してもよく、これらの配列は、遺伝子の転写を制御したり、又はそれに影響を与えたりする。3’−フランキング領域は、転写終結、転写後の切断及びポリアデニル化を指示する配列を含有してもよい。
【0037】
本開示における用語「軽度認知機能障害」(MCI)は、所定の年齢及び教養を有する個体において想定される認知機能障害の範囲を超えているが、そのような個体の日常生活には顕著な支障がない認知機能障害を指す(Petersen RC、Smith GE、Waring SC、Ivnik RJ、Tangalos EG、Kokmen E(1999).「Mild cognitive impairment:clinical characterization and outcome」.Arch.Neurol.56(3):303〜8)。
【0038】
本開示における用語「ハプロタイプ」は、独立に組み換えられるようには見えず、SNPのブロックにグループ化され得るSNPのグループを指す。したがって、ハプロタイプを構成するSNPは、連鎖不平衡であることから一緒に受け継がれる傾向がある。また「ハプロタイプ」は、単一の染色体上又は単一の染色体の領域内の多型部位における、集団で観察された多型変異体(SNP及び/又はアレル)の特定の組合せも指す。「ハプロタイプ」は、本明細書で説明される場合、SNP又は多型部位の任意の組合せを指す。ハプロタイプは、2つ以上のSNP/アレルを含む可能性があり、ハプロタイプを含むゲノム領域の長さは、数百塩基から最大何百キロもの塩基の範囲で変動し得る。当業者には認識されているが、異なる核酸鎖からハプロタイプを規定するアレルを決定することによって、同じハプロタイプが異なって記載される可能性がある。本明細書において説明されるSNPはヒト個体に示差的に存在し、それらの特異的な配列は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する応答性の指標となる。それゆえに、これらのSNP及び前記SNPを含むハプロタイプは、個体におけるリスク評価及び処置の有効性に関して診断的価値を有する。SNP又はハプロタイプを形成する多型領域の検出は、多型部位でヌクレオチドを検出するのに使用される当技術分野で公知の方法で達成できる(下記の連鎖不平衡の定義も参照)。
【0039】
「連鎖不平衡」又は「LD」は、2つ以上のアレル変異体が連鎖している状況を指し、すなわち、集団中の個体において2つ以上の多型部位でアレル変異体間に無作為ではない相関がある状況を指す。LDは、一般的には大文字のDで表記される。観察されたアレルの頻度の理論上の最大値でDを除することによりDを標準化すると、D’が得られる。D’の値が0であることは、試験された遺伝子座が実際には互いに独立していることを示し、一方で値が1であることは、完全に依存していることを示す。連鎖している2つ以上のアレル変異体/SNPは連鎖不平衡であると言われる。一般的に、ハプロタイプ又はハプロタイプブロックの一部であるアレル変異体は連鎖不平衡である。任意の2つの多型変異体(アレル)又はSNPがどの程度LD状態であるかを評価するための種々の方法/測定基準は当技術分野で公知である。好適な測定基準としては、D’、r2などが挙げられる(例えば、Hedrick、P.W.、Genetics、117(2):331〜41、1987を参照)。本明細書において、多型変異体又はSNPは「強いLD」状態であり、D’>0.8の場合ハプロタイプを形成する。
【0040】
本明細書で使用される用語「対象」は、好ましくはヒトを指し、特に、認知機能障害、統合失調症、又は独立に活動する個体の能力に影響を与える記憶機能、問題解決、見当識及び/又は抽象化のうちの1つ又は複数における後天性障害である別の精神疾患と診断されている患者を指す。対象、患者又は個体は互換的に使用される。
【0041】
用語「認識障害/機能障害」及び「精神病性及び/又は神経変性障害」は、独立に活動する個体の能力に影響を与える記憶機能、問題解決、見当識及び/又は抽象化のうちの1つ又は複数における後天性障害である精神疾患を指す。前記障害の例は、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、筋萎縮性側索硬化症、記憶障害、記憶喪失、認知欠損、注意欠陥障害、多動性障害、統合失調症、パーキンソン病、認知症及び脳血管性認知症である。
【0042】
ヒトシトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーA、ポリペプチド2(CYP1A2)遺伝子(配列番号3)に存在する遺伝学的差異体が、認知機能障害又は機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している対象におけるα7−nAChRアクチベーター療法に対する治療応答性を予測するためのマーカーであることが発見された。CYP1A2は、カフェイン代謝に関与する主要な酵素であるが、その発現は、喫煙などの多数の環境要因の影響を受ける。ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、シナプスにおける迅速なシグナル伝達を媒介するリガンド依存性イオンチャネルのスーパーファミリーのメンバーである。本明細書で開示された教示は、ヒトCYP1A2遺伝子における所定の指標的SNPの存在に基づいて、α7−nAChRアクチベーターで認知機能障害又は機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置する方法を提供する。
【0043】
それゆえに本発明の方法、組成物及びキットは、α7−nAChRアクチベーター療法に応答する可能性がより高い、認知機能障害若しくは機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している患者を選択することにより、そのような処置の治療効果を強化するための手段を提供する。
【0044】
それゆえに、一態様において、本発明は、選択された患者集団において認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含む組成物を提供し、ここで前記患者集団は、ヒトシトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーA、ポリペプチド2(CYP1A2)遺伝子における患者の遺伝子型に基づいて選択され、ここで前記遺伝子型は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置の有効性の指標である。α7−nAChRアクチベーター療法に対する治療応答性を予測するための特異的なマーカーは、SNP及び/又は多型領域であってもよい。当業者であれば、CYP1A2遺伝子の核酸配列及び位置を認識している(ヒト15番染色体に位置する(NC_000015.9(75,041,184〜75,048,941))。
【0045】
本発明をより容易に理解できるように、本明細書で開示されたSNPを以下のように定義する。
【表a】
【0046】
好ましくは、上述の組成物は、本明細書で説明されるように、個体の認知能力を増加させることにより、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するのに使用される。一実施形態において、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症からなる群より選択される。本発明の他の実施形態において、上述の組成物は、本明細書で説明されるように、統合失調症に罹患している患者を処置するのに使用される。
【0047】
ヒトCYP1A2遺伝子における所定の指標的SNPの存在に基づいて選択された患者集団に対するα7−nAChRアクチベーターによる処置は、指標的SNPを有しない個体と比較して、統計学的に関連する視覚学習及び記憶能力の向上、認知機能の向上、推理力及び問題解決能力の向上、並びに注意力及び覚醒における向上をもたらし、前記向上は、実施例のセクションで説明される効果量として測定される場合、少なくとも0.1、又は0.2、又は0.3、又は0.4であるか、又は0.5を超える。効果量の値は、適用されたテスト及び処置条件に応じて異なる。
【0048】
成句「個体の認知能力を増加させること」は、(i)当業者によって、個体の認知能力又は性能、生理学的状態及び/又は心理的状態が、健康な個体の正常な範囲から外れていると考慮され、(ii)その場合、本発明の組成物による処置又は本発明の方法に係る処置により、対照群の個体(例えば、指標的マーカーSNPを有しない個体)又はプラセボ群と比較して有意な向上がもたらされる状況を指す。対象における上述した状態の異常な点が、本発明に係る組成物又は処置を受けていない対象が示すよりも著しく目立たなくなるように、向上は、十分な向上であってもよく(例えば、当業者が、患者が正常な範囲内にあると考慮する)、又は部分的であってもよい。部分的な処置の結果は、上述の状態又は疾患の症状における重症度の減少、疾患の症状がない期間の頻度及び持続時間の増加、又は疾患の苦痛による機能障害若しくは能力障害の予防をもたらす可能性がある。ここで、用語「著しく目立たなくなる」は、関連パラメーターの測定に基づいて、本発明の組成物による処置又は発明の方法に係る処置の後、当業者によって十分健康であるとは考慮されないが(なお、パラメーターが正常な範囲から外れている可能性がある)、関連パラメーターの有意な向上(所定のパラメーターの増加又は減少であり得る)が観察されるようなヒトの状態又はステータスを指す。有意な向上又は減少は、例えば、対照群の個体(例えば、指標的マーカーSNPを有しない個体)又はプラセボ群と比較して個々の患者の処置の結果を比較することにより同定できる。当業者であれば、個体の認知能力又は性能、生理学的状態及び/又は心理的状態に関する関連パラメーター並びにそれらの決定方法を十分認識している。前記パラメーターは、当業者(例えば医師)によって調査された加齢に関連する状態に基づいて選択されてもよい。成句「個体の認知能力を増加させること」はまた、当業者により(認知能力又は性能に関して)健康な個体の正常な範囲内であると考慮される個体がその認知能力又は性能を増加させたいと望む状況も指す。
【0049】
一実施形態において、本組成物は、配列番号1で開示されているようなヒトCYP1A2 SNP rs2069514−Aを有することに基づいて選択された患者集団に使用される。SNP rs2069514は、1の塩基対長さを有し、ヒト15番染色体の75,038,220位に位置し、CYP1A2遺伝子のプロモーター領域にあるA/Gアレル(配列番号1及び2)である。
【0050】
当業者であれば、数種のSNP又は多型領域が、SNP rs2069514−A(配列番号1)若しくはSNP rs2069514−G(配列番号2)とハプロタイプを形成するヒトCYP1A2遺伝子又はヒト15番染色体のゲノム領域に存在することを認識している。前記SNP又は多型領域は、SNP rs2069514−A(配列番号1)又はSNP rs2069514−G(配列番号2)の位置の上流及び下流における約100000、又は約50000、又は約30000、又は約20000、又は約10000塩基対の領域に位置する可能性がある。SNP rs2069514−A(配列番号1)又はSNP rs2069514−G(配列番号2)とハプロタイプを形成するSNP又は多型領域は、α7−nAChRアクチベーターに対する治療応答性を予測するためのマーカーとして使用するのに同様に適する。当業者であれば、SNP rs2069514−A(配列番号1)又はSNP rs2069514−G(配列番号2)とハプロタイプを形成する他のSNP又は多型領域を同定する方法を認識している(例えば、Hedrick,P.W.、Genetics、117(2):331〜41、1987及び上の定義のセクションを参照)。それゆえに、他の態様において、本発明は、前記患者の認知能力を増加させることを目的とした、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している患者を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含む組成物を提供し、ここで前記患者集団は、SNP rs2069514−A(配列番号1)又はSNP rs2069514−G(配列番号2)とハプロタイプを形成するSNP又は多型領域の存在に基づいて選択される。
【0051】
本発明の他の実施形態において、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している患者を処置するための組成物は、上述の指標的CYP1A2 SNP又は指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してホモ接合型/ヘテロ接合型であることに基づいて選択された患者に使用され、ここで選択された患者は特に、指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/A(配列番号1)若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してホモ接合型であるか、及び/又は指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してヘテロ接合型である。
【0052】
LMWのα7−nAChRアクチベーター:
LMWのα7−nAChRアゴニスト:
一実施形態において、使用されるα7−nAChRアクチベーターはα7−nAChRアゴニストである。
【0053】
α7−nAChRアゴニストは、インビボ及びインビトロでα7−nAChRサブユニットを含む受容体に結合して、受容体を活性化する化合物である。活性化は、国際公開第2001/85727号で開示された方法、すなわちα7−nAChRを安定して発現するラット下垂体細胞株を用いて実行された相同α7−nAChRにおける機能的親和性アッセイによって測定できる。読み出しには、エピバチジンと比較した受容体の刺激時のカルシウム流入が使用される。本発明に係る「α7−nAChRアゴニスト」は、典型的には、エピバチジンによって誘発された最大の流入の少なくとも50%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも1μMのEC
50値を示し;好ましいアゴニストは、エピバチジンによって誘発された最大の流入の少なくとも75%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも400nMのEC
50値を示し;より好ましいアゴニストは、エピバチジンによって誘発された最大の流入の少なくとも85%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも50nMのEC
50値を示す。
【0054】
好ましいα7−nAChRアゴニストは、消化管からよく吸収されるはずであり、十分に代謝的に安定であるはずであり、好都合な薬物動態学的特性を有する。さらに好ましいα7−nAChRアゴニストは、インビボでα7−nAChRに強く結合するが、他の受容体、特に他のnAChR、例えばα4β2 nAChR、ムスカリン様アセチルコリン受容体、例えばM1、及び/又は5−HT
3受容体にはほとんど親和性を示さない。さらに好ましいα7−nAChRアゴニストは効果的に血液脳関門を通過する。好ましいα7−nAChRアゴニストは非毒性であり、ほとんど副作用を示さないはずである。さらに、好ましいα7−nAChRアゴニストは、安定で非吸湿性であり、容易に製剤化される物理的形状で存在することが可能となる。
【0055】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、選択的なα7−nAChRアゴニストであり、すなわちα7−nAChRサブユニットを含む受容体に選択的であり、これは、そのようなアゴニストは処置された対象に非選択的なアゴニストよりもより少ない副作用しか引き起こさないと予想されるためである。α7−nAChRサブユニットを含む受容体に選択的であるアゴニストは、他の任意のニコチン性アセチルコリン受容体と比較してかなり高い度合いで、例えばEC
50値において少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍の親和性差でそのような受容体に機能的親和性を有する。他のニコチン性アセチルコリン受容体に対する本発明のα7−nAChRアゴニストの親和性を評価するために、国際公開第2001/85727号で開示された方法を使用してもよく、すなわちヒトα4β2 nAChRへの親和性を評価するのに、類似の機能アッセイを、ヒトα4β2サブタイプを安定して発現するヒト胎児腎臓細胞株を用いて実行し、さらに、ニコチン様受容体の「神経節サブタイプ」及び「筋肉タイプ」への本発明の化合物の活性を評価するために、ヒト「神経節サブタイプ」を安定して発現するヒト胎児腎臓細胞株又はニコチン様受容体のヒト「筋肉タイプ」を内因的に発現する細胞株を用いて類似の機能アッセイを実行する。
【0056】
この15年、選択的なα7nAChRアゴニストを開発して、前記選択的な活性を示す多くの異なる化学型の発見につなげることに多大な努力が注がれてきた。これらの努力は、Horensteinらによる総論(Mol Pharmacol、2008、74、1496〜1511)にまとめられており、それによれば、α7nAChRアゴニストの9種以上の異なるファミリーが説明されており、そのうちの多くにおいて選択的なアゴニストが見出されている。実際には、α7nAChRアゴニストの作用機序を有する数種の薬物候補が、前臨床試験又はさらには臨床試験に進んでいる(総論として:Broadら、Drugs of the Future、2007、32(2)、161〜170;Romanelliら、Expert Opin Ther Patents、2007、17(11)、1365〜1377)。そのような化合物の例は、化学型の多様性にも属するが、MEM3454、MEM63908、SSR180711、GTS21、EVP6124、ABT107、ABT126、TC−5619、AZD−6319及びSAR−130479である。さらなるα7nAChRアゴニスト及び製薬としてのそれらの使用は、例えば、国際公開第2001/85727号、国際公開第2004/022556号、国際公開第2005/123732号、国際公開第2006/005608号、国際公開第2007/045478号、国際公開第2007/068476号、及び国際公開第2007/068475号により公知である。
【0057】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは1500ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは1000ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは800ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは500ダルトンの最大分子量を有する。
【0058】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態の下記式(I)の化合物である。
【化4】
[式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−又は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−又は−CH(CH
3)−であり、又は
L
1は−CH
2−CH
2−であり、L
2は−CH
2−であり、L
3は−CH
2−CH
2−であり、
L
4は、
【化5】
から選択される基であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
R
1は水素又はC
1〜4アルキルであり、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化6】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、ハロゲン、シアノ、又は3〜6員の単環式環系であり、ここで、該環系は芳香族であっても、飽和していても、又は部分的に飽和していてもよく、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、各環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、各環系は、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、ハロゲン、又はシアノで1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、又は
隣接する環原子における2つのR
2はC
3〜4アルキレン基を形成し、ここで、1〜2個の炭素原子はX
2で置き換えられていてもよく、C
3〜4アルキレン基はR
3で1回又は複数回置換されていてもよく、各X
2は独立に−O−又は−N(R
4)−であり、各R
4は独立に水素又はC
1〜6アルキルであり、各R
3は独立にハロゲン又はC
1〜6アルキルである。]
【0059】
別段の指示がない限り、本発明で使用される表現は以下の意味を有する。
【0060】
「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、例えばメチル、エチル、n−又はイソ−プロピル、n−、イソ−、sec−又はtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルであり、C
1〜6アルキルは、好ましくは直鎖又は分岐鎖C
1〜4アルキルを表し、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル及びtert−ブチルである。
【0061】
「アルコキシ」、「ハロゲンアルキル」などの各アルキル部分は、特に線形性及び好ましいサイズに関して上述の「アルキル」の定義で説明したのと同じ意味を有するものとする。
【0062】
「1回又は複数回」置換される置換基、例えばA
1に関して規定されたような置換基は、好ましくは1〜3つの置換基で置換される。
【0063】
ハロゲンは、一般的にフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素又は臭素である。ハロゲンアルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子の鎖長を有し、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、ペンタフルオロ−エチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル又は2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルであり、好ましくは−CF3、−CHF2、−CH2F、−CHF−CH3、−CF2CH3、又は−CH2CF3である。
【0064】
本発明において、「隣接する環原子における2つのR
2はC
3〜4アルキレン基を形成し、ここで、1〜2個の炭素原子はX
2で置き換えられていてもよい」又は「隣接する環原子における2つのR
5はC
3〜4アルキレン基を形成し、ここで、1〜2個の炭素原子はX
3で置き換えられていてもよい」の定義は、−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−、−O−CH
2−O−、−O−CH
2−CH
2−O−、及び−CH
2−CH
2−NH−を包含する。置換された基の例は−CH
2−CH
2−N(CH
3)−である。
【0065】
本発明において、「5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系」としてのA
1又はA
3の定義は、C
6−又はC
10−芳香族炭化水素基又は5〜10員の複素環式芳香環系を包含する。「多環式」は、好ましくは二環式を意味する。
【0066】
本発明において、「3〜6員の単環式環系」としてのR
2の定義は、C
6−芳香族炭化水素基、5〜6員の複素環式芳香環系及び3〜6員の単環式脂肪族又は複素環系を包含する。
【0067】
C
6−又はC
10−芳香族炭化水素基は、典型的にはフェニル又はナフチルであり、特にフェニルである。
【0068】
好ましくは、但し置換基の定義にも応じて、「5〜10員の複素環式芳香環系」は5〜10個の環原子からなり、そのうちの1〜3個の環原子はヘテロ原子である。そのような複素環式芳香環系は、単一の環系として、又は二環式若しくは三環式環系として存在していてもよく、好ましくは単一の環系として、又はベンゾ縮環した環系として存在していてもよい。二環式又は三環式環系は、2つ以上の環の縮環によって、又は架橋原子、例えば酸素、硫黄、窒素によって形成されてもよい。複素環系の例は、イミダゾ[2,1−b]チアゾール、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾール、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、フラザン(オキサジアゾール)、ジオキソラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、ピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、オキサジン、チアジン、ダイオキシン、モルホリン、プリン、プテリジン、及び対応するベンゾ縮環した複素環、例えばインドール、イソインドール、クマリン、イソキノリン、キノリンなどである。好ましい複素環は、イミダゾ[2,1−b]チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピロール、フラン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール又はピラゾールである。
【0069】
本発明において、3〜6員の単環式脂肪族環系は、典型的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0070】
式(I)の化合物及び式(II)の化合物に(1つ又は複数の)不斉炭素原子が存在する可能性があるために、本化合物は、光学的に活性な形態で、又は光学異性体の混合物の形態で、例えばラセミ混合物又はジアステレオマー混合物の形態で存在する可能性がある。全ての光学異性体及びそれらの混合物(例えばラセミ混合物)は本発明の一部である。
【0071】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは式(I):
【化7】
の化合物であり、式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−又は−CH(CH
3)−であり、
L
4は、
【化8】
から選択される基であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
R
1は水素又はC
1〜4アルキルであり、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化9】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、又はハロゲンである。
【0072】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは式(I):
【化10】
の化合物であり、式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−であり、
L
4は、
【化11】
であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
R
1は水素又はC
1〜4アルキルであり、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、又はハロゲンである。
【0073】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは式(I):
【化12】
の化合物であり、式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−又は−CH(CH
3)−であり、
L
4は、
【化13】
であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化14】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、又はハロゲンである。
【0074】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは式(I):
【化15】
の化合物であり、式中、
L
1は−CH
2−CH
2−であり、L
2は−CH
2−であり、L
3は−CH
2−CH
2−であり、
L
4は、
【化16】
であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化17】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、又はハロゲンである。
【0075】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは群P1から選択される化合物であり、群P1は、
A−1: (S)−(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−カルバミン酸(S)−1−(2−フルオロ−フェニル)−エチルエステル;
A−2: (R)−(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−カルバミン酸(R)−1−(2−クロロ−フェニル)−エチルエステル;
A−3: (S)−(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−カルバミン酸(S)−1−フェニル−エチルエステル;
B−1: (R)−3−(5−フェニル−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−2: (R)−3−(5−p−トリル−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−3: (R)−3−(5−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−4: (R)−3−(5−(3,4−ジメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−5: (R)−3−(6−p−トリル−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−6: (R)−3−(6−フェニル−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−7: (R)−3−(6−(3,4−ジメチル−フェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−8: (R)−3−[6−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−9: (R)−3−[6−(4,5−ジメチル−2−フルオロ−フェニル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−10: (R)−3−[6−(3,4−ジメチル−フェニル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−11: (R)−3−[6−(4−メチル−フェニル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−12: (R)−3−[6−(2,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−13: (2S,3R)−3−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−14: (2R,3S)−3−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−15: (2S,3R)−3−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−16: (2R,3S)−3−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−17: 3−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−18: (2S,3R)−2−メチル−3−[6−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−19: 3−[6−(2,3−ジメチル−1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン;
B−20: trans−2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−(6−フェニル−ピリジン−3−イル)−アミン;
B−21: trans−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イル]−(2−メチル−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−アミン;
C−1: (4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
C−2: 5−{2−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリミジン−5−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;
C−3: (4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
C−4: (4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
C−5: (4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
C−6: 5−{6−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリダジン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;
C−7: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−2−イル]−アミン;
C−8: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン;
C−9: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イル]−アミン;
C−10: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イル]−アミン;
C−11: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[5−(1H−インドール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン;
C−12: (1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イル]−アミン;
D−1: 式:
【化18】
を有する4−(5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イルオキシ)−1アザトリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン;
D−1a: (4S)−4−(5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イルオキシ)−1アザトリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン;
D−1b: 4−(6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ)−1アザトリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン;
D−1c: 4−(6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1アザトリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン;
D−1d: 4−(5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ)−1アザトリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン;
D−2: 式:
【化19】
を有する2−(6−フェニルピリダジン−3−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール;
D−3: 式:
【化20】
を有する5−[6−(5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル−ピリダジン−3−イル1H−インドール;
D−3a: 5−[6−(cis−5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル−ピリダジン−3−イル1H−インドール;
D−4: 式:
【化21】
を有する5−[5−{6−メチル−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル}−ピリジン−2−イル]−1H−インドール;
D−4a: 5−[5−{(1R,5R)−6−メチル−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル}−ピリジン−2−イル]−1H−インドール;
D−5: 式:
【化22】
を有する2−メチル−5−(6−フェニル−ピリダジン−3−イル)−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール;
D−6: 5−{6−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ]ピリダジン−3−イル}−1H−インドール;
D−6a: 5−{6−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ]ピリダジン−3−イル}−1H−インドール;
D−7: 5−{6−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ]ピリダジン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;
D−7a: 5−{6−[(3R)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ]ピリダジン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン;
D−8: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−8a: N−((3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−8b: N−((3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−9: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−9a: N−((3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−9b: N−((3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インダゾール−3−カルボキサミド;
D−10: N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド;
D−10a: (2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド;
D−11: N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3,5−ジフルオロベンズアミド;
D−11a: (2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3,5−ジフルオロベンズアミド;
D−11b: N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド;
D−11c: (2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド;
D−11d: N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−(2−ピリジニル)チオフェン−2−カルボキサミド;
D−11e: (2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−(2−ピリジニル)チオフェン−2−カルボキサミド;
D−12: 4−(5−メチルオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン;
D−13: [N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−4−クロロベンズアミド;
D−14: フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボン酸(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−アミド;
D−15: 2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−アミド;
D−16: 5−モルホリン−4−イル−ペンタン酸(4−ピリジン−3−イル−フェニル)−アミド;
D−17: N−{4−[4−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−ブチル}−4−ピリジン−2−イル−ベンズアミド;
D−18: 1−[6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル]−3−(4−ピペリジン−1−イルブチル)−尿素;
D−19: 7,8,9,10−テトラヒドロ−6,10−メタノ−6H−ピラジノ−(2,3−h)(3)−ベンゾアゼピン;
D−20: (2’R)−スピロ−[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,2’(3’H)−フロ[2,3−b]ピリジン];
D−21: 1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−4−カルボン酸4−ブロモ−フェニルエステル;
D−22: 3−[1−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−3,4,5,6−テトラヒドロ−[2,3’]ビピリジニル;
D−23: 7−(2−メトキシ−フェニル)−ベンゾフラン−2−カルボン酸(1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−アミド;
D−24: 式:
【化23】
を有するN−メチル−1−{5−[3’H−スピロ[4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−フロ[2,3−b]ピリジン]−5’−イル]−2−チエニル}メタンアミン;
D−24a: N−メチル−1−{5−[(2R)−3’H−スピロ[4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−フロ[2,3−b]ピリジン]−5’−イル]−2−チエニル}メタンアミン;
D−24b: N−メチル−1−{5−[(2S)−3’H−スピロ[4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−2,2’−フロ[2,3−b]ピリジン]−5’−イル]−2−チエニル}メタンアミン;
D−25a: 6−[(アニリノカルボニル)アミノ]−N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25b: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25c: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25d: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25e: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2−フェニルエチル)アミノ]カルボニル}アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25f: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(3−シアノフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−1−ベンジオフェン−2−カルボキサミド;
D−25g: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(3−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25h: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2−エトキシフェニル)アミノ]カルボニル)アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25i: N−[(3R)−1−アズビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アミノ]−カルボニル)アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25j: N−(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2−ニトロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25k: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2,6−ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}−アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25l: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル}−アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25m: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−[({[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−カルボニル)アミノ]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25n: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ]−カルボニル}アミノ)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25o: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−[({[4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−アミノ}カルボニル)アミノ]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25p: N−{(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−[({[3−メトキシフェニル]アミノ}カルボニル)−アミノ]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25q: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−[({[3−トリフルオロメトキシフェニル]アミノ}−カルボニル)−アミノ]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25r: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−{[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]アミノ}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25s: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−{[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]アミノ}−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25t: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−[({[(1S)−1−フェニルエチル]アミノ}カルボニル−アミノ]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25u: 7−[(アニリノカルボニル)アミノ]−N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;
D−25v: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−({[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−アミノ)−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド;
D−26a: N−[4−(2−チエニル)フェニル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26b: N−[4’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26c: N−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26d: N−(4’−メチルスルファニル−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26e: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アセトアミド;
D−26f: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(4’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アセトアミド;
D−26g: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アセトアミド;
D−26h: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(3’−ニトロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)アセトアミド;
D−26i: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−[4’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]アセトアミド;
D−26j: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−[4’−(ブロモメチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]アセトアミド;
D−26k: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−[2’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]アセトアミド;
D−26l: N−[3’(アセチルアミノ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)アセトアミド;
D−26m: (3R)−N−[2’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26n: (3R)−N−[4’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26o: (3S)−N−[4’(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26p: (3R)−N−[4’−(4−モルホリニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26q: (3R)−N−[4’−(ヒドロキシメチル)−3’−(メトキシ)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]−オクタン−3−カルボキサミド;
D−26r: メチル4’−{[(3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルカルボニル]アミノ}−1,1’−ビフェニル−4−カルボキシレート;
D−26s: 4’−{[(3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルカルボニル]アミノ}−1,1’−ビフェニル−4−カルボン酸;
D−26t: (3R)−N−[4’−(ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]−オクタン−3−カルボキサミド;
D−26u: (3R)−N−[4’−(アミノカルボニル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26v: (3R)−N−[4’−(ヒドロキシメチル)−3−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボキサミド;
D−26w: (4’−{[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルカルボニル]アミノ}−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチルメチルカルバメート;
D−26x: (4’−{[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルカルボニル]アミノ}−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチルイソプロピルカルバメート;
D−26y: (4’−{[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルカルボニル]アミノ}−1,1’−ビフェニル−4−イル)メチルエチルカルバメート;
D−26z: 国際公開第2003/078431号の実施例26、27、28、29、30、31、32、33、34及び35から選択される化合物の遊離塩基の形態;
D−27a: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(7−ブロモ−1−ベンゾチエン−2−イル)アセトアミド;
D−27b: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(6−ブロモ−1−ベンゾチエン−2−イル)アセトアミド;
D−27c: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(7−キノリニル)アセトアミド;
D−27d: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(2−ナフチル)アセトアミド;
D−27e: 2−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−N−(8−ニトロ−2−ナフチル)アセトアミド;
D−28a: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−6−キノリンカルボキサミド;
D−28b: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−フェナジンカルボキサミド;
D−28c: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−7−キノリンカルボキサミド;
D−28d: N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−6−キノリンカルボキサミド;
D−28e: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−エチル−7−キノリンカルボキサミド;
D−28f: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−エチル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28g: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−メチル−7−キノリンカルボキサミド;
D−28h: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−メチル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28i: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−4−メチル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28j: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−プロピル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28k: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−エチル−4−メチル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28l: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−プロピル−7−キノリンカルボキサミド;
D−28m: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−エチル−4−メチル−7−キノリンカルボキサミド;
D−28n: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−6−キノリン−カルボキサミド;
D−28o: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−7−キノリン−カルボキサミド;
D−28p: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−フェニル−6−キノリンカルボキサミド;
D−28q: N−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−2−フェニル−7−キノリンカルボキサミド;
D−29: (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド;
D−30a: 5−{5−[(endo)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−1H−インドール;
D−30b: 5−{5−[(exo)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−1H−インドール;
D−30c: 5−{5−[(endo)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−1H−インドール;
D−30d:5−{5−[(exo)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−1H−インドール;
D−30e: 4−{5−[(exo)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−1H−インドール;及び
D−30f: 5−{6−[(exo)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルオキシ]ピリジン−3−イル}−1H−インドール
からなる群であり、前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0076】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、化合物A−1、A−2、及びA−3からなる群より選択される化合物であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0077】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、化合物B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、B−6、B−7、B−8、B−9、B−10、B−11、B−12、B−13、B−14、B−15、B−16、B−17、B−18、B−19、B−20、及びB−21からなる群より選択される化合物であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0078】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態の化合物B−5である。他の実施形態において、α7−nAChRアゴニストはフマル酸塩の形態の化合物B−5である。さらに別の実施形態において、α7−nAChRアゴニストは化合物B−5のモノフマル酸塩である。
【0079】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは、化合物C−1、C−2、C−3、C−4、C−5、C−6、C−7、C−8、C−9、C−10、C−11、及びC−12からなる群より選択される化合物であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0080】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは群P2から選択される化合物であり、群P2は、化合物A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、B−6、B−7、B−8、B−9、B−10、B−11、B−12、B−13、B−14、B−15、B−16、B−17、B−18、B−19、B−20、B−21、C−1、C−2、C−3、C−4、C−5、C−6、C−7、C−8、C−9、C−10、C−11、C−12、D−1、D−1a、D−1b、D−1c、D−1d、D−2、D−3、D−3a、D−4、D−4a、D−8、D−8a、D−8b、D−9、D−9a、D−9b、D−10、D−10a、D−11、D−11a、D−11b、D−11c、D−11d、D−11e、D−12、D−19、D−22、D−24、D−24a、D−24b、D−25a、D−25b、D−25c、D−25d、D−25e、D−25f、D−25g、D−25h、D−25i、D−25j、D−25k、D−25l、D−25m、D−25n、D−25o、D−25p、D−25q、D−25r、D−25s、D−25t、D−25u、D−25v、D−28a、D−28b、D−28c、D−28d、D−28e、D−28f、D−28g、D−28h、D−28i、D−28j、D−28k、D−28l、D−28m、D−28n、D−28o、D−28p、D−28q、D−29、D−30a、D−30b、D−30c、D−30d、D−30e、及びD−30fからなる群であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0081】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは群P3から選択される化合物であり、群P3は、化合物A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、B−6、B−7、B−8、B−9、B−10、B−11、B−12、B−13、B−14、B−15、B−16、B−17、B−18、B−19、B−20、B−21、C−1、C−2、C−3、C−4、C−5、C−6、C−7、C−8、C−9、C−10、C−11、C−12、D−1、D−1a、D−1b、D−1c、D−1d、D−2、D−3、D−3a、D−4、D−4a、D−8、D−8a、D−8b、D−9、D−9a、D−9b、D−10、D−10a、D−11、D−11a、D−12、D−19、D−22、D−24、D−24a、D−24b、D−29、D−30a、D−30b、D−30c、D−30d、D−30e、及びD−30fからなる群であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0082】
一実施形態において、α7−nAChRアゴニストは群P4から選択される化合物であり、群P4は、化合物A−1、B−5、B−8、B−12、B−13、C−5、C−6、及びC−8からなる群であり、ここで前記化合物の各々は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0083】
式(I)の化合物(例えば化合物A−1からA−3、B−1からB−21及びC−1からC−12)及びそれらの製造は、国際公開第2001/85727号、国際公開第2004/022556号、国際公開第2005/123732号、国際公開第2006/005608号、国際公開第2007/045478号、国際公開第2007/068476号及び国際公開第2007/068475号により公知であるか、又は前記参考文献と同じように調製できる。
【0084】
化合物D−1及びD−1aは、国際公開第2008/058096号に従って調製できる。
【0085】
化合物D−2、D−3、D−3a、D−4、D−4a及びD−5(A−582941)は、国際公開第2005/028477号に従って調製できる。化合物D−6、D−6a、D−7及びE7aは、国際公開第2006/065233号及び/又は国際公開第2007/018738号に従って調製できる。化合物D−8、D−8a、D−8b、D−9、D−9a及びD−9bは、国際公開第2004/029050号及び/又は国際公開第2010/043515号に従って調製できる。
【0086】
化合物D−10及びD−10aは、国際公開第2004/076449号及び/又は国際公開第2009/018505号に従って調製できる。化合物D−11、D−11aからD−11eは、国際公開第2004/076449号及び/又は国際公開第2010/085724号及び/又は国際公開第2010/056622号に従って調製できる。化合物D−12(CP−810123)及び化合物D−19(バレニクリン)は、O’Donnellら、J Med Chem、2010、53、1222〜1237で説明されている。化合物D−13(PNU−282987)、D−14(PHA543613)、D−21(SSR−180771)及びD−23(ABBF)は、Horensteinら、Mol Pharmacol、2008、74、1496〜1511で説明されている。化合物D−15(PHA568487)、D−16(WAY−317538)、D−17(WAY−264620)、D−20(AZD−0328)及びD−22(GTS−21)は、Haydarら、Current Topics in Medicinal Chemistry、2010、10、144〜152で説明されている。化合物D−18(WYE−103914)は、Ghironら、J Med Chem、2010、53、4379〜4389で説明されている。化合物D−24、D−24a及びD−24bは、国際公開第2007/133155号及び/又は国際公開第2009/066107号で説明されている。化合物D−25aからD−25vは、国際公開第2004/013136号で説明されている。化合物D−26aからD−26zは、国際公開第2003/078431号で説明されている。化合物D−27aからD−27eは、国際公開第2003/078430号で説明されている。化合物D−28aからD−28qは、国際公開第2003/043991号で説明されている。
【0087】
化合物D−29は、国際公開第2003/055878号で説明されている。化合物D−30aからD−30fは、国際公開第2007/137030号で説明されている。
【0088】
LMWのα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーター:
一実施形態において、使用されるα7−nAChRアクチベーターはα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターである。
【0089】
本明細書において、「α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーター」は、インビボ及びインビトロでα7−nAChRサブユニットを含む受容体に結合し、その生理学的リガンド(すなわちアセチルコリン)が結合しているときに受容体の活性化を増強する化合物である。相乗作用は、国際公開第2001/85727号で開示された方法、すなわちα7−nAChRを安定して発現するラット下垂体細胞株を用いて実行された相同α7−nAChRにおける機能的親和性アッセイによって測定できる。読み出しには、アセチルコリン結合単独と比較した受容体の刺激時のカルシウム流入が使用される。本発明に係る「α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーター」は、典型的には、アセチルコリンによって誘発された最大の流入の少なくとも200%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも5000nMのEC
50値を示し;好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは、アセチルコリンによって誘発された最大の流入の少なくとも300%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも1000nMのEC
50値を示し;より好ましいアゴニストは、エピバチジンによって誘発された最大の流入の少なくとも400%のカルシウム流入を誘導し、少なくとも500nMのEC
50値を示す。
【0090】
特に、好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは、消化管からよく吸収されるはずであり、十分に代謝的に安定であるはずであり、好都合な薬物動態学的特性を有する。
【0091】
さらに好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは、インビボでα7−nAChRに強く結合するが、他の受容体、特に他のnAChR、例えばα4β2 nAChR、ムスカリン様アセチルコリン受容体、例えばM1、及び/又は5−HT
3受容体にはほとんど親和性を示さない。
【0092】
さらに好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは血液脳関門を効果的に通過する。
【0093】
好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは非毒性であり、ほとんど副作用を示さないはずであり。
【0094】
さらに、好ましいα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは、安定で非吸湿性であり、容易に製剤化される物理的形状で存在することが可能となる。
【0095】
一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは、選択的なα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターであり、すなわちα7−nAChRサブユニットを含む受容体に選択的であり、これは、そのようなポジティブアロステリックモジュレーターは、処置された対象に非選択的なポジティブアロステリックモジュレーターよりもより少ない副作用しか引き起こさないと予想されるためである。α7−nAChRサブユニットを含む受容体に選択的であるポジティブアロステリックモジュレーターは、他の任意のニコチン性アセチルコリン受容体と比較してかなり高い度合いで、例えばEC
50値において少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍の親和性差でそのような受容体に機能的親和性を有する。他のニコチン性アセチルコリン受容体への本発明のα7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターの親和性を評価するために、国際公開第2001/85727号で開示された方法を使用してもよく、すなわちヒトニューロンのα4β2 nAChRへの親和性を評価するのに、類似の機能アッセイを、ヒトα4β2サブタイプを安定して発現するヒト胎児腎臓細胞株を用いて実行し、さらにニコチン様受容体の「神経節サブタイプ」及び「筋肉タイプ」への本発明の化合物の活性を評価するために、ヒト「神経節サブタイプ」を安定して発現するヒト胎児腎臓細胞株又はニコチン様受容体のヒト「筋肉タイプ」を内因的に発現する細胞株を用いて類似の機能アッセイを実行する。
【0096】
この12年間、選択的なα7nAChRポジティブアロステリックモジュレーターを開発して、前記選択的な活性を示す多くの異なる化学型の発見につなげることに多大な努力が注がれてきた。これらの努力は、Haydarらによる総論(Current Topics in Medicinal Chemistry、2010、10、144〜152)にまとめられており、それによれば、7つの異なる化学ファミリーに属するα7nAChRポジティブアロステリックモジュレーターとして作用する11種の化合物、すなわち、XY−4083;PNU−120596、PHA−758454及びNS−1738;PHA−709829;SB−206553;LY−2087101、LY−1078733及びLY−2087133;化合物26;及びA−867744(化合物名はHaydarらから得た)が説明されている。Haydarらで説明されている前記11種の化合物の全ては、参照により本明細書に組み入れられる。実際には、α7nAChRポジティブアロステリックモジュレーターの作用機序を有する少なくとも1種の薬物候補が、臨床試験を行うために米国食品医薬品局からの許諾を獲得した(すなわちXY−4083)。
【0097】
一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは1500ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは1000ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは800ダルトンの最大分子量を有する。一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは500ダルトンの最大分子量を有する。
【0098】
一実施形態において、α7−nAChRポジティブアロステリックモジュレーターは群P5から選択される化合物であり、群P5は、下記化合物:
E−1: (Z)−N−(4−クロロ−フェニル)−3−(4−クロロ−フェニルアミノ)−2−(3−メチル−イソオキサゾール−5−イル)−アクリルアミド(XY−4083);
E−2: 1−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(5−メチル−イソオキサゾール−3−イル)−尿素(PNU−120596);
E−3: 1−(5−フルオロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−3−(5−トリフルオロメチル−イソオキサゾール−3−イル)−尿素(PHA−758454);
E−4: 1−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(NS−1738);
E−5: 4−(4−クロロ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(PHA−709829);
E−6: 5−メチル−3,5−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−f]インドール−1−カルボン酸ピリジン−3−イルアミド(SB−206553);
E−7: [2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−4−メチル−チアゾール−5−イル]−チオフェン−3−イル−メタノン(LY−2087101);
E−8: [2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−4−メチル−チアゾール−5−イル]−p−トリル−メタノン(LY−1078733);
E−9: ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[2−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−4−メチル−チアゾール−5−イル]−メタノン(LY−2087133);
E−10: 4−ナフタレン−1−イル−3a,4,5,9b−テトラヒドロ−3H−シクロペンタ[c]キノリン−8−スルホン酸アミド;及び
E−11: 4−[5−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−3−プロピオニル−ピロール−1−イル]−ベンゼンスルホンアミド(A−867744)
からなる群であり、ここで前記化合物は遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態である。
【0099】
さらに別の実施形態において、本明細書で開示された方法に従って選択された患者のグループにおける認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための、上述のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含む組成物は、第2の認知改善薬又は治療用化合物、例えば従来型抗精神病薬又は非定型抗精神病薬を含む。
【0100】
一実施形態において、本発明は、対象(例えばヒト対象)のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する治療応答性を、処置しようとする対象における特定の遺伝子マーカーの存在又は非存在に基づいて予測する方法を提供する。用語「アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する治療応答性を予測する」は、本明細書で用いられる場合、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターでの対象の処置が、対象において臨床的に有効であるか(例えば、対象に測定可能な利点を提供するか)又はそうではないことの可能性を評価する能力を指すことが意図されている。特に、処置が臨床的に有効であるか又はそうではないことの可能性を評価するそのような能力は、典型的には、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置が対象で開始される前に発揮される。しかしながら、処置が臨床的に有効であるか又はそうではないことの可能性を評価するそのような能力は、処置が開始された後、但し、対象において臨床的な有効性の指標(例えば、測定可能な利点の指標)が観察される前に発揮されることもあり得る。
【0101】
本方法は、I)CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ、及びII)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNPを有するステップIの個体を同定するステップを含み、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくはSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくはSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である。
【0102】
CYP1A2及び/SNPの特徴付け又は前記遺伝子座における個体の遺伝子型情報を得ることは、当技術分野で周知の技術のいずれかを使用することによって達成してもよい。例えば、遺伝子の領域のいずれかを配列決定してもよい。CYP1A2遺伝子の一方又は両方の鎖を配列決定するための任意の周知の方法を本発明の方法で使用でき、例えば、米国特許第5,075,216号、Engelkeら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85、544〜548及びWongら(1987)Nature 330、384〜386;Maxim及びGilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74:560;又はSanger(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74:5463で説明されている方法を使用できる。加えて、種々の自動配列決定法のいずれかを利用してもよく、例えば、マススペクトロメトリーによる配列決定を包含するNaeve、C.Wら(1995)Biotechniques 19:448を参照されたい(例えば、PCT国際公開第94/16101号;Cohenら(1996)Adv.Chromatogr.36:127〜162;及びGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147〜159を参照)。
【0103】
生体サンプル中でCYP1A2 SNPの存在又は非存在を決定することは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅反応、逆転写酵素PCR分析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)、ミスマッチ切断検出、ヘテロ二重鎖分析、サザンブロット分析、ウェスタンブロット分析、デオキシリボ核酸配列決定、制限酵素断片長多型分析、ハプロタイプ分析、血清型判定、及びそれらの組合せ又はサブコンビネーションなどの任意の周知の技術を用いて達成されてもよい。
【0104】
例えば、mRNAサンプルは対象から得てもよく、mRNAサンプル中のCYP1A2アレルによってコードされた(1つ又は複数の)mRNAの発現は、PCR分析などの標準的な分子生物学技術を用いて検出してもよい。好ましいPCR分析方法は、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)である。mRNAサンプル分析のための他の好適なシステムとしては、マイクロアレイ分析(例えば、Affymetrixのマイクロアレイシステム又はIlluminaのBeadArrayテクノロジーを使用)が挙げられる。
【0105】
ある状況では、タンパク質レベルで、バイオマーカーのmRNAによってコードされたタンパク質産物を検出する検出試薬を用いてCYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレルの発現に関してアッセイすることも可能である。例えば、CYP1A2マーカータンパク質に特異的に結合するが他のタンパク質には結合しない抗体試薬が利用できる場合、そのような抗体は、FACS分析、ELISAなどの当技術分野で公知の標準的な抗体ベースの技術を用いて、対象からの細胞サンプル又は細胞サンプルから得られた調製物中のCYP1A2マーカータンパク質の発現を検出するのに使用できる。
【0106】
上述のように、CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレルの存在又は非存在の決定は、例えば制限酵素断片長多型分析が挙げられる。制限酵素断片長多型分析(RFLPS)は制限酵素部位における変化に基づく。さらに、配列特異的なリボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号を参照)は、特異的なリボザイム切断部位の存在に関してスコア付けするのに使用できる。
【0107】
CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定する別の技術は、例えば、Wallaceら(1981)Nucl.Acids Res.9、879〜894で説明されているように、分析しようとするDNAセグメント(標的DNA)に、相補的な標識されたオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせることを含む。DNA二重鎖にたとえ1つでも塩基対ミスマッチが含まれていれば高い熱不安定性を示すことから、融解温度差を用いて、プローブに完全に相補的な標的DNAを、単一のヌクレオチドのみが異なる標的DNAから区別することが可能である。この方法は、例えば米国特許第4,683,194号で説明されているように、特異的な制限部位の存在又は非存在を検出するのに適合させてある。この方法は、標的DNAにハイブリダイズする制限部位にわたる末端を標識したオリゴヌクレオチドプローブを使用することを含む。次いでハイブリダイズしたDNA二重鎖をその部位に適した制限酵素と共にインキュベートする。改変された制限部位は、制限エンドヌクレアーゼを用いてプローブと標的との二重鎖対で消化することによって切断される。短くなったプローブ分子が検出されたら、特異的な制限部位は標的DNA中に存在する。
【0108】
CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定する他の方法としては、RNA/RNA又はRNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチした塩基を検出するのにために切断物質からの保護を使用する方法が挙げられる(例えば、Myersら(1985)Science 230:1242で説明されている通り)。一般的に、当技術分野における「ミスマッチ切断」技術は、多型配列を含有する(標識された)RNA又はDNAに、サンプルから得られた多型を含む可能性があるRNA又はDNAをハイブリダイズすることによって形成されたヘテロ二重鎖を提供することによって開始される。二本鎖の二重部分は、例えば対照の鎖とサンプルの鎖との間の塩基対ミスマッチのために存在する二重鎖の一本鎖領域を切断する物質で処置される。例えば、RNA/DNA二重鎖をRNアーゼで処置して、DNA/DNAハイブリッドをS1ヌクレアーゼで処置することにより、ミスマッチを有する領域を酵素消化してもよい。他の実施形態において、ミスマッチを有する領域を消化するために、DNA/DNA又はRNA/DNA二重鎖のいずれかをヒドロキシルアミン又は四酸化オスミウムで処置して、ピペリジンで処理してもよい。ミスマッチを有する領域を消化した後、得られた材料を変性ポリアクリルアミドゲルでサイズ分離する。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286〜295を参照されたい。好ましい実施形態において、検出のために、対照DNA又はRNAを標識してもよい。
【0109】
他の実施形態において、電気泳動移動度の変化を用いて、CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定してもよい。例えば、一本鎖高次構造多型(SSCP)を用いて、CYP1A2遺伝子の種々の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNP間の電気泳動移動度における差を検出してもよい(例えば、Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci.USA:86:276;Cotton(1993)Mutat Res 285:125〜144;及びHayashi(1992)Genet Anal Tech Appl 9:73〜79で説明されている通り)。サンプル及び対照核酸の一本鎖DNAフラグメントを変性させることもできるし、自然に再生させることもできる。一本鎖核酸の二次構造は配列に応じて様々であり、得られた電気泳動移動度の変化から1つの塩基変化でさえも検出が可能である。DNAフラグメントを標識してもよく、又は標識されたプローブで検出してもよい。アッセイの感度は、二次構造が配列の変化に対してより影響を受けやすいRNA(DNAではなく)を使用することによって強化することが可能である。好ましい実施形態において、対象の方法は、電気泳動移動度の変化に基づいて二本鎖化したヘテロ二重鎖分子を分離するのにヘテロ二重鎖分析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet.7:5)。
【0110】
さらに別の実施形態において、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いて、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中での核酸分子の移動をアッセイする(例えば、Myersら(1985)Nature 313:495で説明されている通り)。分析方法としてDGGEが使用される場合、例えば高融点のGCリッチなDNAのおよそ40bpのGCクランプをPCRで付加することによって、完全に変性しないようにDNAを改変してもよい。さらなる実施形態において、対照DNAとサンプルDNAとの移動度の差を同定するために、変性勾配の代わりに温度勾配を使用する(Rosenbaum及びReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
【0111】
CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定する他の技術の例としては、これらに限定されないが、選択的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的な増幅、又は選択的なプライマー伸長が挙げられる。例えば、中心に多型領域が配置されたオリゴヌクレオチドプライマーを調製し、次いで、完全一致が出現した場合にのみハイブリダイゼーションが許容される条件下で標的DNAにハイブリダイズさせてもよい(Saikiら(1986)Nature 324:163;Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。そのようなアレル特異的なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズ用メンブレンに連結させて、標識された標的DNAとハイブリダイズさせると、これらのオリゴヌクレオチドは、PCRで増幅した標的DNA又は多数の異なる多型にハイブリダイズする。
【0112】
CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定する別のプロセスは、テンプレートRNA又はDNAに標識されたオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイズさせること、次いで、DNAポリメラーゼ及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用いてテンプレートの5’末端に向かってプライマーを伸長させることからなるプライマー伸長プロセスである。標識されたプライマー伸長産物の分解は、次いで、例えば変性ポリアクリルアミドゲルを介した電気泳動によってサイズに基づいて分画することによってなされる。このプロセスは、相同DNAセグメントを比較して、ヌクレオチドの挿入又は欠失による差を検出するのに使用されることが多い。サイズが、プライマー伸長産物の特徴付けに使用される唯一の基準であるために、ヌクレオチド置換による差は検出されない。追加の周知のSNP遺伝子型解析方法は以下の通りである。
動的アレル特異的ハイブリダイゼーション(DASH)遺伝子型解析(Howell W.、Jobs M.、Gyllensten U.、Brookes A.(1999)Dynamic allele−specific hybridization. A new method for scoring single nucleotide polymorphisms.Nat Biotechnol.17(1):87〜8)
分子ビーコンを介したSNP検出(Abravaya K.、Huff J.、Marshall R.、Merchant B.、Mullen C.、Schneider G.、及びRobinson J.(2003)Molecular beacons as diagnostic tools:technology and applications.Clin Chem Lab Med.41:468〜474)
高密度のオリゴヌクレオチドSNPマイクロアレイ(Rapley R.、Harbron S.(編集)(2004)Molecular Analysis and Genome Discovery.Chichester.John Wiley&Sons Ltd.)
フラップエンドヌクレアーゼ(The Invader assay for SNP genotyping.Mutat Res.573(1〜2):103〜10)
【0113】
SNPが、プロモーター領域、又は前記SNPを有する遺伝子の発現率に影響を与える別の非コード領域に位置する場合では、mRNA又はタンパク質レベルが影響を受ける可能性がある。そのような状況では、SNPの存在は、前記それぞれの遺伝子のmRNA又はタンパク質配列に基づいて決定できない。しかしながら、そのような指標的SNPの存在は、mRNA又はタンパク質レベル測定によって間接的に決定される場合がある。したがって、本発明の他の実施形態において、本明細書で開示された方法は、CYP1A2遺伝子中の指標的SNPの存在に関する間接的な決定方法として、所定の遺伝子又は遺伝子産物のmRNA又はタンパク質レベルを決定する追加的又は代替的なステップを含み得る。
【0114】
CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はSNP周辺の1つ又は複数の多型部位のハプロタイプ分析は、追加の指標的SNPの存在又は非存在を決定するのにも使用され得、例えば、家系図、分子技術及び/又は統計的推定の使用が挙げられる。
【0115】
さらに、そのようなSNPを遺伝子型解析するための周知の方法のいずれか(例えば、DNA配列決定、ハイブリダイゼーション技術、PCRベースのアッセイ、蛍光色素及び消光物質ベースのPCRアッセイ(Taqman PCR検出システム)、RFLPベースの技術、一本鎖高次構造多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、化学的ミスマッチ切断(CMC)、ヘテロ二重鎖分析ベースのシステム、マススペクトロスコピーに基づく技術、侵入切断アッセイ、多型率による配列決定(PRS)、マイクロアレイ、ローリングサークル伸長アッセイ、HPLCベースの技術、DHPLCベースの技術、オリゴヌクレオチド伸長アッセイ(OLA)、伸長ベースのアッセイ(ARMS、(増幅抵抗性変異システム(Amplification Refractory Mutation System))、ALEX(増幅抵抗性変異線形伸長(Amplification Refractory Mutation Linear Extension))、SBCE(単一塩基鎖伸長)、分子ビーコンアッセイ、インベーダー(Third wave technologies)、リガーゼ連鎖反応アッセイ、5’−ヌクレアーゼアッセイベースの技術、ハイブリダイゼーションキャピラリーアレイ電気泳動(CAE)、パイロシーケンシング、タンパク質トランケーションアッセイ(PTT)、イムノアッセイ、ハプロタイプ分析、及び固相ハイブリダイゼーション(ドットブロット、逆ドットブロット、チップ)は当技術分野において極めてよく知られており、例えば、Siitari、Nucleic acid diagnostics market、Technology Review 125/2002、ISDN1239−758;Caplin(1999)Biochemica 1:5〜8;Neville、(2002)BioTechniques 32:34〜43;Underhill(197)Genome Res 7:996〜1005;Oefner(2000)J Chromatogr B Biomed Sci Appl 739:345〜55、及び米国特許出願公開第20010049586号で説明されており、本発明の方法で使用できる。
【0116】
認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している対象から生検又は別の方法で得られた任意の好適な組織サンプルを、CYP1A2遺伝子の指標的マーカーアレル又はそのような指標的アレルとハプロタイプを形成するSNPの存在又は非存在を決定するのに使用できる。対象から生検を得るための技術又は方法は当技術分野で周知である。組織サンプルに含まれる下位成分(例えば、細胞又はRNA若しくはDNA)の単離は、当技術分野で周知の技術や後の実施例のセクションで説明される技術を用いて達成できる。
【0117】
ヘテロ接合型のCYP1A2 SNP rs2069514−A/G又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNPと組み合わせた、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A(配列番号1)の存在、特にそのホモ接合型の存在は、該個体が、本明細書で説明されるアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である。SNP rs2069514−G/G(配列番号2)のホモ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答しない可能性が高いことの指標である。
【0118】
したがって、本開示はまた、個体の認知能力を増加させる、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している個体を処置する治療方法に関し、本方法は、III)上述のように、CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ;IV)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを有するステップIII)の個体を同定するステップであって、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくは対応するSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応するSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である、ステップ、V)ステップIV)で同定された対象に、治療有効量のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを投与するステップを含む。
【0119】
追加の実施形態において、上記ステップI)及びIII)は、VI)前記個体の生体サンプルを得るステップであって、前記サンプルは、血液、血液由来の生成物(例えば軟膜、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙、唾液、髄液、口腔スワブ、痰、毛根、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの任意の組合せからなる群より選択される、ステップ、及びVII)ステップVI)の生体サンプルを、(上で詳細に説明したように)(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPの検出が可能な試薬又は物質と接触させるステップをさらに含む。
【0120】
生体サンプルが接触する試薬、物質又はデバイスは、例えば、(1つ又は複数の)PCR/配列決定プライマー、サンプル中に存在するCYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを増幅させる、及び/又は配列決定する、及び/又は標識付けるのに好適なヌクレオチド及び酵素、サンプル中の上述のSNP又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPのうちの1つの検出が可能な抗体、制限酵素、及び/又はマイクロアレイであってもよい。
【0121】
本明細書において、用語「治療有効量」は、典型的には、対象に投与されると、治療的有用性をもたらすのに十分な、例えば認知機能障害若しくは機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置する、特に個体の認知能力を増加させるのに十分な、活性成分(例えば、本明細書で説明されるようなアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーター及び/又は第2の認知改善薬)の量を指す。本発明の他の態様において、認知機能障害若しくは機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、言葉の記憶、実行機能、注意力及び覚醒、言葉の流暢さ、並びに動きの速さに特に現れる記憶機能、問題解決、見当識及び/又は抽象化のうちの1つ又は複数における精神疾患又は後天性障害である。追加の実施形態において、認知機能障害若しくは機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、統合失調症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症である。
【0122】
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの投与は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト又はポジティブアロステリックモジュレーターの投与、特に群P1から選択される低分子量化合物の投与を指す。あるいは、個体の認知能力を増加させるため、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している個体を処置するための治療方法は、式(I)で開示されているようなアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト、又は群P1から選択される化合物を投与するステップを含む。
【0123】
「薬学的に許容される塩」は当分野において公知である(例えばS.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sd.、1977、66:1〜19;及び「Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use」、Stahl、RH.、Wermuth、C.G.編集;Wiley−VCH及びVHCA:Zurich、2002)。薬学的に許容される塩は、毒性、生物学的に耐えられない、又は別の意味で生物学的に望ましくないものではない遊離の形態の塩を意味することが意図される。好ましい薬学的に許容される塩は、患者の組織との接触にとって、不都合な毒性、炎症、又はアレルギー性応答を起こすことなく薬理学的に有効かつ好適な塩である。
【0124】
さらに別の実施形態では、開示された処置方法において、第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物、例えば従来型抗精神病薬又は非定型抗精神病薬が投与されてもよい。好ましくは、医薬組成物である組合せ、又は併用される医薬配合物が使用される。そのような医薬組成物は一緒に投与してもよく、交互に投与してもよく、又は1つの組み合わされた単位用量で別々に投与してもよい。
【0125】
開示された方法の他の態様において、投与されるアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの用量は1日当たり約1mg〜約100mgである。あるいは、投与される用量は、約2mg〜約100mg、又は約3mg〜約90mg、又は約4mg〜約80mg、又は約5mg〜約70mg、又は約6mg〜約60mg、又は約7mg〜約50mg、又は約8mg〜約40mg、又は約9mg〜約35mg、又は1日当たり約10mg〜約30mg、又は約5mg〜約10mg、又は約10mg〜約15mg、又は約15mg〜約20mg、又は1日当たり約20mg〜約25mgである。前記態様の一実施形態において、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターはアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストである。
【0126】
本開示の他の実施形態は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態を有する患者を処置するための、上述のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの使用に関し、ここで、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に感受性を有する患者は上述の方法に従って選択されている。
【0127】
さらに、本開示は、個体が、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、(a)アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置、又は(b)認知能力の増加に応答するかどうかを決定するための、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブの使用に関する。当業者であれば、使用に適したプローブを設計するための方法及び技術を認識している。
【0128】
他の態様において、本開示は、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含むキットに関する。好ましくは、前記キットは、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置に対する個体の応答性を診断するためのキットであり、本キットは、VIII)(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための手段、及びIX)該キットの使用説明書を含む。
【0129】
本開示の追加の主題は、上述の方法又は使用のいずれかに好適なキット、好ましくは上記キットの使用に関し、前記キットは、(i)SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含む。関連する実施形態において、上述のようにして使用されるキットはオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0130】
本発明の医薬組成物における活性物質の実際の投与レベルは、患者に毒性とならずに、特定の患者、組成物、及び投与様式にとって所望の治療応答を達成するのに効果的な活性物質の量が得られるように変更されてもよい。選択された投与レベルは、採用された本発明の特定の組成物、又はそれらのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、採用された特定の化合物の排出率、処置の持続時間、採用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態及び既往歴、並びに医療分野において周知の類似の要因などの種々の薬物動態学的な要素によって決定される。
【0131】
本発明の組成物に含まれるアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの「治療有効用量」の投与は、疾患の症状における重症度の減少、疾患の症状がない期間の頻度及び持続時間の増加、又は疾患の苦痛による機能障害若しくは能力障害の予防、すなわち認知能力の向上をもたらす可能性がある。
【0132】
本発明の組成物は、当技術分野で公知の種々の方法のうちの1つ又は複数を使用した1つ又は複数の投与経路によって投与されてもよい。当業者は理解するであろうが、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変更される。投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹膜内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば注射又は点滴が挙げられる。本明細書で使用される成句「非経口投与」は、通常は注射による、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、例えば、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹膜内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外並びに胸骨内への注射及び点滴が挙げられる。あるいは、組成物は、非経口経路以外で投与されてもよく、例えば局所、表皮又は粘膜への投与経路、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下又は局所で投与されてもよい。
【0133】
活性化合物は、急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製してもよく、例えばインプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化した送達系などの放出制御製剤が挙げられる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用してもよい。そのような調合物を調製するための多くの方法が特許化されているか、又は一般的に当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、New York、1978を参照されたい。
【0134】
好ましい治療用組成物は経口又は経皮投与用組成物である。
【0135】
経腸又は非経口投与用の組成物は、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル、坐剤又はアンプルなどの単位剤形である。
【0136】
治療有効量は複数の投与単位の投与によって達成できるために、個々の用量における活性成分の単位含量は、それ自身が治療有効量を構成していなくてもよい。本発明に係る組成物は、例えば約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%の活性成分を含有してもよい。
【0137】
別段の指示がない限り、本発明に係る医薬組成物は、それ自体公知の方式で調製され、例えば従来の混合、顆粒化、糖でのコーティング、溶解又は凍結乾燥処理を用いて調製される。経口用剤形用の組成物の調製において、例えば水、グリコール、油、アルコール、担体、例えばスターチ、糖、又は微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの通常の製薬媒体のいずれを採用してもよい。錠剤及びカプセルは、それらの投与しやすさのために最も有利な経口単位剤形の一つであり、そのようなケースにおいて固体医薬担体が採用されることは明らかである。
【0138】
発明のさらなる実施形態:
実施形態1:
選択された患者集団における認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に使用するための組成物であって、該組成物はアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを含み、患者集団は、ヒトシトクロムP450 1A2(CYP1A2)の少なくとも1種の指標的SNPを有することに基づいて選択される、組成物。
実施形態2:
認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する状態である、実施形態1に記載の組成物。
実施形態3:
認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、統合失調症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症からなる群より選択される、実施形態1及び2に記載の組成物。
実施形態4:
指標的ヒトCYP1A2 SNPは、CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はCYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPである、実施形態1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態5:
選択された患者は、指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/A(配列番号1)若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してホモ接合型であるか、又は指標的CYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応する指標的CYP1A2 SNPハプロタイプに関してヘテロ接合型である、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態6:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターは、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態の下記式(I)の化合物である、実施形態1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【化24】
[式中、
L
1は−CH
2−であり、L
2は−CH
2−又は−CH
2−CH
2−であり、L
3は−CH
2−又は−CH(CH
3)−であり、又は
L
1は−CH
2−CH
2−であり、L
2は−CH
2−であり、L
3は−CH
2−CH
2−であり、
L
4は、
【化25】
から選択される基であり、ここで、アステリスクが付された結合はアザビシクロアルキル部分に接続されており、
R
1は水素又はC
1〜4アルキルであり、
X
1は−O−又は−NH−であり、
A
2は、
【化26】
から選択され、ここで、アステリスクが付された結合はX
1に接続されており、
A
1は5〜10員の単環式又は縮合多環式芳香族環系であり、ここで、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、該環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、該環系はR
2で1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、
各R
2は独立に、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、ハロゲン、シアノ、又は3〜6員の単環式環系であり、ここで、該環系は芳香族であっても、飽和していても、又は部分的に飽和していてもよく、該環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよく、各環系は、2個以下の酸素原子及び2個以下の硫黄原子を含有してもよく、各環系は、C
1〜6アルキル、C
1〜6ハロゲンアルキル、C
1〜6アルコキシ、C
1〜6ハロゲンアルコキシ、ハロゲン、又はシアノで1回又は複数回置換されていてもよく、複素環系中の窒素上の置換基はハロゲンでなくてもよく、又は
隣接する環原子における2つのR
2はC
3〜4アルキレン基を形成し、ここで、1〜2個の炭素原子はX
2で置き換えられていてもよく、C
3〜4アルキレン基はR
3で1回又は複数回置換されていてもよく、各X
2は独立に−O−又は−N(R
4)−であり、各R
4は独立に水素又はC
1〜6アルキルであり、各R
3は独立にハロゲン又はC
1〜6アルキルである。]
実施形態7:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターは遊離塩基又は薬学的に許容される酸付加塩の形態として使用される、実施形態6に記載の組成物。
実施形態8:
遊離塩基又は薬学的に許容される酸付加塩の形態のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを医薬担体又は希釈剤と共に含む、実施形態7に記載の組成物。
実施形態9:
第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物をさらに含む、実施形態1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態10:
第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物は、従来型抗精神病薬又は非定型抗精神病薬である、実施形態9に記載の組成物。
実施形態11:
認知能力を増加させる、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に対する個体又は個体のグループの治療応答性を予測するための方法であって、
I. CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ、及び
II. CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はSNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNPを有するステップIの個体を同定するステップであって、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくは対応するSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応するSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である、ステップ
を含む方法。
実施形態12:
個体の認知能力を増加させる、及び/又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害を処置する治療方法であって、
III. CYP1A2遺伝子の遺伝子座における個体の遺伝子型を得るステップ、
IV. CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又はCYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを有するステップIIIの個体を同定するステップであって、CYP1A2 SNP rs2069514−A/A若しくは対応するSNPハプロタイプのホモ接合型の存在、又はCYP1A2 SNP rs2069514−A/G若しくは対応するSNPハプロタイプのヘテロ接合型の存在は、該個体がアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置に応答する可能性が高いことの指標である、ステップ、及び
V. ステップIVで同定された対象に、治療有効量のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターを投与するステップ
を含む方法。
実施形態13:
ステップI又はIIIは、下記の追加のステップ:
VI. 前記個体の生体サンプルを得るステップであって、前記サンプルは、血液、血液由来の生成物(例えば軟膜、血清、及び血漿)、リンパ液、尿、涙、唾液、髄液、口腔スワブ、痰、毛根、白血球サンプル若しくは組織サンプル又はそれらの任意の組合せからなる群より選択される、ステップ、及び
VII. ステップVIの生体サンプルを、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPの検出が可能な試薬と接触させるステップ
を含む、実施形態11〜12のいずれか一つに記載の方法。
実施形態14:
第1のステップとして、認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害に罹患している患者を選択するステップをさらに含む、実施形態11〜13のいずれか一つに記載の方法。
実施形態15:
認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害は、軽度認知機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病における認知症、レヴィー小体型認知症、統合失調症、脳血管性認知症、AIDS認知症、老人性認知症、加齢に関連する軽度認知機能障害(MCI)、老年性記憶障害、自閉症、前頭葉変性型認知症、卒中、大脳基底核の変性障害、多発性硬化症、外傷、脳腫瘍、脳の感染症、脳水腫、うつ病、毒性又は代謝性疾患、及び薬物誘発性認知症からなる群より選択される、実施形態14に記載の方法。
実施形態16:
(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPの存在は、前記1つ又は複数のSNPを有する核酸分子上の特異的な領域と特異的にハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを使用することによって決定される、実施形態11〜15のいずれか一つに記載の方法。
実施形態17:
前記SNPの存在は、配列特異的プライマー(SSP)タイピング、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)タイピング、配列ベースタイピング(SBT)、DNA増幅(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR))、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析、又は逆転写PCRによって検出される、実施形態16に記載の方法。
実施形態18:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターは実施形態6に記載のアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターである、実施形態12〜17のいずれか一つに記載の方法。
実施形態19:
第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物が投与される、実施形態12〜18のいずれか一つに記載の方法。
実施形態20:
第2の認知改善薬、又は認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害の処置に有用な治療用化合物は実施形態10で列挙した化合物の群から選択される、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:
投与しようとするアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの用量は1日当たり約2mg〜約100mgである、実施形態12〜18のいずれか一つに記載の方法。
実施形態22:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態を有する患者を処置するための、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターの使用であって、患者は、そのようなアクチベーターによる処置に応答するものとして、実施形態11〜17のいずれか一つに記載の方法に従って選択されている、使用。
実施形態23:
(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブの使用であって、個体が、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、(a)アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置、又は(b)認知能力の増加に応答するかどうかを決定するための使用。
実施形態24:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置に対する個体の応答性を診断するためのキットであって、
VIII. (i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための手段、及び
IX. 該キットの使用説明書
を含むキット。
実施形態25:
実施形態11〜23のいずれか一つに記載の方法又は使用のいずれかに好適なキットの使用であって、該キットは、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含む、使用。
実施形態26:
各プローブはオリゴヌクレオチドである、実施形態22、23及び25のいずれか一つに記載の使用又は実施形態24に記載のキット。
実施形態27:
実施形態24に記載のキットが使用される、実施形態22、23及び25のいずれか一つに記載の使用。
実施形態28:
アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化がその一因となるか又はそれに関与する認知機能障害、精神病性及び/又は神経変性障害又は状態の処置に対する個体の応答性を診断するためのキットであって、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための手段を含むキット。
実施形態29:
実施形態11〜23のいずれか一つに記載の方法又は使用のいずれかに好適なキットの使用であって、該キットは、(i)CYP1A2 SNP rs2069514−A(配列番号1)、又は(ii)CYP1A2 SNP rs2069514−G(配列番号2)、又は(iii)前記SNPとハプロタイプを形成するSNP若しくは前記SNPと同じ連鎖不平衡にあるSNPを検出するための少なくとも1種のプローブを含む、使用。
実施形態30:
各プローブはオリゴヌクレオチドである、実施形態22、23及び25のいずれか一つに記載の使用又は実施形態28に記載のキット。
実施形態31:
実施形態28に記載のキットが使用される、実施形態22、23及び25のいずれか一つに記載の使用。
【0139】
配列:
【表b-1】
【表b-2】
【表b-3】
【表b-4】
【実施例】
【0140】
一般的な方法:
統合失調症患者の認知能力に対するアルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体アクチベーターによる処置の作用を測定するために、短い持続時間(以下で詳細に説明する通り)での適切な認知テストバッテリー(コグステート(CogState)(商標))を適用し、処置期間中に複数のタイムポイント測定を行った(Pietrzakら、2009;Maruffら、2009)。
【0141】
連続的な対連合学習(CPAL)試験:
CPALタスクは、視覚的なエピソード記憶(連合学習)を評価する有効な試験である。この試験は、これまで統合失調症に使用されてきた。このタスクを始める前に、試験監督者は、試験監督者の原稿から患者に全ての指示を読み聞かせる。CPAL試験時に、参加者は、言葉に表すことが難しいパターンと位置のセット間の一連の関連を学習しなければならない。タスクの発表期間において、パターンがその位置に出現したら、対象は、そのパターンが出現した位置に触ることにより対象がそのパターンを見たことを知らせることが求められる。このタスクの段階で、患者は、何の標的も出現しない2つの位置(不正解の選択肢の位置)があることも認識する。パターンはランダムな順番で示される。しかしながら、パターンが一度表示されると、タスク中はずっと同じ位置のままである。タスクの学習期間において、患者は、8つのパターンのそれぞれをそれらの正しい位置に置かなければならない。患者は、これを6回行わなければならない。一回目では、パターンの1つは中心の位置に示され、対象は、そのパターンが以前に示された位置を思い出すことが求められる。対象は、パターンを触って位置を示す。対象が不正解の位置を触った場合、視覚及び音のシグナルが発生する(その位置の上に赤色の十字が出現して、ブザー音が鳴る)。次いで患者は、第2の位置を選択することが求められる。このプロセスは、患者が、4つ全ての標的をそれらの正しい位置に正確に置くまで続けられる。8つ全てのパターンが正確に置かれたら、2回目が始まる。2回目では、パターンは同じ位置のままであるが、スクリーン中央におけるそれらの表示順が1回目の表示順とは異なっている(ランダム化)。1回目でなされたのと同様にして、各標的を正しい位置に置くプロセスを進行させる。2回目が終わったら同じプロセスを繰り返すが、試行が進むにつれて、パターンをそれらの正しい位置に置くときに起こる過誤の回数も低下する。実施時間は、健康な志願者ではおよそ5分である。統合失調症患者は、約12分間以内にタスクを終了させることが予想される。
【0142】
薬力学的解析のための統計的方法:
活性の評価を、CPALでの投与後の効果曲線下面積(AUEC)4−10の統計的解析から以下のようにして得た。固定効果としてのスケールごとの期間特異的ベースライン値、処置群、期間、及び配列、並びにランダム効果としての患者に関して補正された線形混合効果モデルを用いて、変数を別々に解析した。スケールごとの期間特異的ベースライン値を−1日目の期間特異値の平均から及び投与前の値から得た。このモデルから、各B−5投与群とプラセボとの処置間の平均の差(及びその95%CI)を得た。処置間の平均の差(及びその95%CI)を残差誤差の推定分散の2倍の平方根で除することによって効果量(effect size)を得た。上で定義された活性をCPALの効果量から評価した。
【0143】
実施例1(B−5処置に応答する患者のサブセットが存在するかどうかを同定するための研究の手順):
B−5処置に応答する患者のサブセットを同定する試みにおいて、CPAL評価を使用した29人の個体の集団における研究を行った。その目的は、この研究で、CYP1A2遺伝子における遺伝学的差異体rs2069514(配列番号1及び2)と、B−5の有効性との関係を調査することであった。この研究で、B−5モノフマル酸塩を、実施例Eで説明されるようなハードゼラチンカプセルの形態で使用した。
【0144】
臨床サンプル:
29人の個体のゲノムDNAを、Gentra Systems,Inc.(Minneapolis、MN)による説明に従って全血から抽出した。
【0145】
遺伝子型解析アッセイ:
合計29種のDNAサンプルを、CYP1A2遺伝子におけるrs2069514(配列番号1及び2)に関して遺伝子型解析した。ABI7900シーケンサーでTaqMan Assays−by−Design及びAssays−on−Demand(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて遺伝子型解析を行った。遺伝子型解析では、製造元の説明に従って1ngのゲノムDNAが使用された。
【0146】
統計的解析:
固定効果として配列、期間及び処置、共変量としてベースライン値、並びにランダム効果として対象を包含する混合効果モデルを使用した。効果量は、B−5及びプラセボ処置間の推定平均の差を残差誤差の推定分散の2倍の平方根で除することによって決定された。ベースラインの疾患重症度は、年齢、性別、教育を受けた年数、及び喫煙歴に合わせて調節したANCOVA(共分散分析)によって解析された。
【0147】
結果:
表1からわかるように、CYP1A2 SNP rs2069514−(A/A又はA/G)の「A」変異体(配列番号1)に関してホモ接合型又はヘテロ接合型である患者が、プラセボ(2mg:p=0.018、15mg:p=0.0023、及び100mg:p=0.0043)と比較して、「視覚学習及び記憶」(CPAL)でB−5に有意な応答を示した。3つの処置群における効果量は、それぞれ0.68、0.91及び0.83であった。対照的に、表2からわかるように、CYP1A2 SNP rs2069514−G/Gの「G」変異体(配列番号2)に関してホモ接合型であった患者は、認知機能に関して有意な向上をまったく示さなかった。これらの結果から、CYP1A2 SNP rs2069514の「AA」及び「AG」遺伝子型は、統合失調症患者におけるB−5への臨床応答の予測マーカーであることが示される。これを言い換えると、CYP1A2 SNP rs2069514−Gの「GG」遺伝子型(配列番号2)は、統合失調症患者におけるB−5への臨床応答の負の予測マーカーである。
【0148】
表1(CYP1A2遺伝子型AA+AG(n=14)によるコグステート(CogState)(商標)試験バッテリーの主要臨床評価項目であるCPAL評価):
【表1】
【0149】
表2(CYP1A2遺伝子型GG(n=15)によるコグステート(CogState)(商標)試験バッテリーの主要臨床評価項目であるCPAL評価):
【表2】
【0150】
以下のセクションにおいて、この技術に関するさらなる態様を開示する。
【0151】
実施例A(5−クロロ−2−(4−メチルフェニル)ピリジンの調製):
窒素下、2,5−ジクロロ−ピリジン(40g、270mmol)、4−メチルフェニルボロン酸(39g、289mmol)及びビストリフェニルホスフィン−パラジウム(II)ジクロリド(1.14g;1.6mmol)を、水(258g)/THF(117g)に35〜55℃で約30分懸濁した。水(143g)中のリン酸三カリウム(143.4g、676mmol)溶液を35〜55℃で約60〜120分かけて添加し、さらに約30〜45分、55℃を維持した。約30分間かけてさらなる水(22.9g)中のリン酸三カリウム(22.9g、108mmol)を添加し、温度を55〜60℃に上げて、追加の約2時間内に反応を完了させた。
【0152】
抽出のためのパラジウムを除去するために、反応混合物に水(115g)中のシステイン(約16g)溶液を60〜55℃で添加した。55℃で約1時間たった後、二相の反応混合物をセルフロック(cellflock)ろ過助剤(2〜5g)のパッドでろ過して透明化し、濯ぎにTHF/水の混合物(110g/75g)を使用した。合わせたろ液の層を25℃で分離し、塩を含有する水の層をTHF(1×57g)で抽出した。合わせたTHF層を94%のエタノール(195g)で希釈し、45℃のジャケット温度で減圧下(300〜200mbar)蒸留してTHFの大部分(175〜250g)を除去することによって濃縮した。残りの生成物の溶液に追加のエタノール(97g)を添加し、45〜55℃で水(565g)を約60分かけて徐々に添加し、結晶化を誘導して維持した。30分後、約90〜120分で温度を約20℃に下げ、さらにその温度で1時間たった後、固体をろ過によって収集し、1:2のエタノール/水で洗浄し、減圧下乾燥させて5−クロロ−2−(4−メチルフェニル)ピリジン(52.5g;理論値の95%;純度>95%;Pd<25ppm)を得た。
【0153】
実施例B(遊離形態及びフマル酸塩の形態の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンの調製):
実施例B1(遊離形態の形成):
窒素下、DMSO(792g)中の3R−キヌクリジノール(43.8g、0.34mol)に、約20%のカリウムtert−ブトキシド(210g、0.375mol)のTHF溶液を添加し、減圧下の約40〜45℃でTHF溶媒を蒸留して除いた。反応混合物の温度を90℃に上げ、固体の5−クロロ−2−(4−メチルフェニル)ピリジン(61.2g、0.30mol)を少なくとも4回に分けて段階的に添加した。温度をさらに約100〜105℃に上げ、この温度で少なくともさらに3時間たった後に、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンへの反応を完了させた。
【0154】
反応混合物に60〜25℃で水(150g)を添加し、温度を約60分で徐々に約20℃に下げ、追加の水(210g)を添加した。この温度で少なくとも追加でさらに2時間たった後、微細な固体をろ過によって収集し、DMSO/水(約322g;2:1混合物)、水(500g)及び水/エタノール(約500g;9:1混合物)で連続的に洗浄し、減圧下60℃で乾燥させ、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンを得た(56.3g、理論値の63%)。
【0155】
実施例B2(フマル酸塩の形態の形成):
エタノール(330g)/水(21g)中の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(39.6g;0.135mol)及びフマル酸(16.4g、0.141mol)の透明な溶液に、65℃でtert−ブチルメチルエーテル(142.5g)を添加し、反応混合物を約60分で23℃に冷却した。追加のtert−ブチルメチルエーテル(170.6g)を添加した。少なくともさらに2時間後、固体をろ過によって収集し、エタノール/tert−ブチルメチルエーテル(153g;1.1混合物)で洗浄し、減圧下55〜60℃で乾燥させ、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン水素フマレート(43.8g、理論値の79%)を得た。
【0156】
実施例C(遊離形態及びフマル酸塩の形態の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンの調製):
実施例C1(遊離形態の形成):
窒素下、DMSO(320g)中の3R−キヌクリジノール(41.4g、0.325mol)に、トルエン(201g)中の5−クロロ−2−(4−メチルフェニル)ピリジン(51g、0.250mol)溶液を添加した。温度を徐々に約100〜105℃に上げ、残った水が存在する場合、ウォータートラップで減圧下約45分還流することによってそれを除去した。約20%のカリウムtert−ブトキシド(158.8g、0.283mol)のTHF溶液を約90分間にわたり連続的に添加しつつ、THF溶媒を蒸留して徐々に除いた。約100〜105℃で追加の2〜5時間がたった後、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンへの反応を完了させた。
【0157】
反応混合物に水(293g)を60〜25℃で添加した。層を分離し、トルエン層を水で洗浄した(2×42g)。ウォータートラップで減圧下約45〜60分還流することによってトルエン溶液を約60℃で乾燥させた。
【0158】
実施例C2(フマル酸塩の形態の形成):
実施例C1のトルエン溶液に、約50〜55℃で、94%のEtOH(22g)及びトルエン(97g)中のフマル酸のスラリー(26.1g、0.9当量)を徐々に添加した。濯ぎのためにさらなるトルエン(97g)を添加し、55℃で追加の約30〜60分後、温度を約120〜180分で徐々に約20℃に下げた。少なくともさらに1時間たった後、固体をろ過によって収集し、水で飽和したトルエンで洗浄し(2×104g)、減圧下60℃で乾燥させ、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン水素フマレート(84.8g;実施例C1で使用された5−クロロ−2−(4−メチルフェニル)ピリジンの量に基づいて理論値の82%)を得た。
【0159】
実施例D(結晶性形状の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩の調製):
遊離塩基の形態の500mgの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンを20mlのイソプロピルアルコールに懸濁した。化学量論量のフマル酸を添加した。得られた溶液を周囲温度で14時間攪拌した。沈殿をろ過によって収集した。
【0160】
実施例D1(シード添加による結晶化での、結晶性形状の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩の調製):
7.3gの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩(純度>98%;例えば実施例C2で説明されているように調製された)を、約50℃でエタノール(42.9g)/イソプロパノール(8.5g)/水(7.2g)に溶解させ、ろ過によって透明化し、この温度で、ろ過したtert−ブチルメチルエーテル(118.4g)に約8時間にわたり約50℃の温度で徐々に添加した。ろ液の約25%が添加されたら、イソプロパノール(0.1ml)中の(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩の種結晶(6mg、例えば実施例C2で説明されているように調製された)の超音波処理した懸濁液を添加して、結晶化を誘導した。生成物の懸濁液を50℃でさらに1時間維持し、8時間以内で0℃に冷却した。この温度でさらに1時間たった後、固体をろ過によって単離し、イソプロパノール/tert−ブチルメチルエーテル(40ml、1:1混合物)で洗浄し、減圧下約50℃で乾燥させ、(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩(5.85g;理論値の81%;純度>99.5%)を得た。
【0161】
実施例E(ハードカプセル):
それぞれ活性成分として0.5、5又は25mgの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩を含むハードゼラチンカプセルは以下のようにして調製できる。
【表X】
【0162】
調製プロセス:
(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムの一部及びヒプロメロースを高剪断ミキサーボウルで乾式混合し、造粒用流体(純水)を添加した。顆粒化が完了したら、湿った顆粒を流動床乾燥機で乾燥させ、乾燥させた顆粒を磨砕した。残りのクロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を好適な篩に通して、乾燥させた顆粒状材料に添加し、好適なブレンド用シェルでブレンドした。これは、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素と磨砕した顆粒の一部とを、好適な篩を介してブレンド用シェルに一緒に篩うことによって達成された。同様に、バルクの顆粒に篩にかけたステアリン酸マグネシウムの必要量を添加し、同じブレンド用シェル中で混合した。この最終的なブレンドを、自動装置を用いてカプセルに封入した。カプセル充填物と空のカプセルシェルとの重量比は2:1であった。
【0163】
実施例F(錠剤):
実施例F1(フィルムコート錠剤):
例えば、0.5mgの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩を含有するフィルムコート錠剤は以下のように調製してもよい。
【0164】
予備混合物の調製:
(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩(例えば約0.7%)及びトウモロコシデンプン(例えば約13%)を計量し、タンブルブレンダーで混合し(約100〜300回転)、メッシュ−サイズが約0.25〜1.0mmの篩を通過させる。タンブルブレンダーで混合する(約100〜300回転)。
【0165】
最終的なブレンドの調製:
上記の予備混合物に、微結晶セルロース(例えば約25%)、噴霧ラクトース(例えば約68%)、カルボキシメチルセルロースナトリウムXL(例えば約2%)及びエアロジル(Aerosil)(例えば約0.5%)を添加して、タンブルブレンダーで混合する(約100〜300回転)。この混合物をメッシュ−サイズが約0.5〜1.0mmの篩に通過させ、再度混合する(約100〜300回転)。
【0166】
ステアリルフマル酸ナトリウム(例えば約1.5%)を、約0.5〜1.0mmメッシュサイズのハンドシーブを介して添加し、タンブルブレンダーで混合する(約30〜150回転)。
【0167】
圧縮:
ロータリープレスにおいて、剤形に特異的なツーリング(例えば、約6mm、円形、湾曲)を用いて上記の最終的なブレンドを約100mgのコアに圧縮する。
【0168】
コーティング:
黒色、赤色、黄色及び/又は白色のベースコーティングの予備混合物を用いて水中で懸濁液を調製する。上で得られたコアを有孔コーティングパンでコーティングし、乾燥する。
【0169】
実施例F2(二層フィルムコート錠剤):
例えば、2.5mgの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩を含有する二層フィルムコート錠剤は以下のように調製してもよい。
【0170】
最終的な活性ブレンド:
(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩の粗粒(例えば約15.5%)、微結晶セルロース(例えば約25%)、噴霧ラクトース(例えば約53%)、カルボキシメチルセルロースナトリウムXL(例えば約3%)及びエアロジル(例えば約0.5%)を計量し、タンブルブレンダーで混合する(約100〜300回転)。この混合物をメッシュサイズが約0.5〜1.0mmの篩に通過させ、再度混合する(約100〜300回転)。
【0171】
約0.5〜10mmのハンドシーブを介してステアリルフマル酸Na(例えば約3%)を添加し、タンブルブレンダーで混合する(約30〜150回転)。
【0172】
最終的なプラセボブレンド:
微結晶セルロース(例えば約26%)、噴霧ラクトース(例えば約69%)、カルボキシメチルセルロースナトリウムXL(例えば約1.9%)及びエアロジル(例えば約0.5%)を計量し、タンブルブレンダーで混合する(約100〜300回転)。この混合物をメッシュサイズが約0.5〜1.0mmの篩に通過させ、再度混合する(約100〜300回転)。
【0173】
ステアリルフマル酸ナトリウム(例えば約3%)を約0.5〜1.0mmのハンドシーブを介して添加し、タンブルブレンダーで混合する(約30〜150回転)。
【0174】
圧縮:
ロータリープレスにおいて、上記の最終的なブレンドを、剤形に特異的なツーリング(例えば、約6mm、円形、湾曲)を用いて、一方の層がプラセボ層(約77.5mg)であり、他方の層が活性層(約22.5mg)である約100mgの二層の錠剤コアに圧縮する。
【0175】
コーティング:
黒色、赤色、黄色及び/又は白色のベースコーティングの予備混合物を用いて水中で懸濁液を調製する。上で得られたコアを有孔コーティングパンでコーティングし、乾燥する。
【0176】
実施例F3(フィルムコート錠剤):
例えば、50mgの(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩を含有するフィルムコート錠剤は以下のように調製してもよい。
【0177】
最終的なブレンド:
(R)−3−(6−(4−メチルフェニル)−ピリジン−3−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンのモノフマル酸塩の粗粒(例えば約15.5%)、微結晶セルロース(例えば約25%)、噴霧ラクトース(例えば約53%)、カルボキシメチルセルロースナトリウムXL(例えば約3%)及びエアロジル(例えば約0.5%)を計量し、タンブルブレンダーで混合する(約100〜300回転)。この混合物をメッシュサイズが約0.5〜1.0mmの篩に通過させ、再度混合する(約100〜300回転)。
【0178】
ステアリルフマル酸ナトリウム(例えば約3%)を約0.5〜10mmのハンドシーブを介して添加し、タンブルブレンダーで混合する(約30〜150回転)。
【0179】
圧縮:
ロータリープレスにおいて、剤形に特異的なツーリング(例えば、約15×5.9mm、円形、湾曲)を用いて上記の最終的なブレンドをコアに圧縮する。
【0180】
コーティング:
黒色、赤色、黄色及び/又は白色のベースコーティングの予備混合物を用いて水中で懸濁液を調製する。上で得られたコアを有孔コーティングパンでコーティングし、乾燥する。