【実施例】
【0032】
1.矮性草高特性を有するルピナス植物の開発及び発見
[0047]本出願において開示されている矮性ルピナスの開発は、まっすぐな開花総状花序、花色の広い取り合わせ及びそれぞれの色について均一な草性などの理想的な植物種の市販のシリーズ、ミナレット(Minaret)を使用してラッセルルピナス植物を開発するための育種計画によるものであった。元の親のルピナス植物は、所有下にあるルピヌス・ポリフィルスハイブリッドとした。2005年3月に日本の栃木県真岡市において、本発明者らは、所有下にある親のルピナス系統由来の植物の人工受粉及び選抜を開始した。選抜した15のF
1系統の種子を採取し、植えて、人工受粉した。2006年に、F
2から60の系統を選抜し、人工受粉した。2007年に、F
3から140の系統を選抜し、人工受粉した。2009年に、さらなる開発及び育種のために30の系統を選抜した。2009年に選抜した植物系統のうち、特に、個々の植物が非常に短い草高のピンクと白の二色の系統が発見され、この植物は植物の草高がわずか10.0cmのときに開花し始めた。この個々の植物は、開花した総状花序、葉、非常に小型な草性及び非常に生い茂る草性の好適な組成を有していた。
【0033】
遺伝メカニズム及び矮性ルピナスの草高特性の遺伝形質の決定
[0048]ルピナスの草高は遺伝子によって決定され、この場合、Tall遺伝子であるTは優性遺伝子であり、商業的に入手可能な四倍体、例えばルピヌス・ポリフィルスハイブリッド系統では、ホモ接合型の高性(すなわち、TTTT)のみが知られている。したがって、本出願において開示されている矮性L.ポリフィルスハイブリッド四倍体系統は、遺伝子の劣性型のホモ接合型、すなわちttttに違いない。この仮説を調べるために、2009年に、本発明者らは、本出願において開示されている矮性ルピナス植物を元の市販の高性ルピナスであるルピヌス・ポリフィルスハイブリッド品種由来の、所有下にある系統と交雑した。この交雑から得た種子を植えて、2010年3月に150の個々の植物のすべて(100%)が高性であった(ヘテロ接合型、TtTtの可能性が最も高い)ことを確認した。150の植物から12の系統を選抜し、人工受粉した(自家受粉)。およそ800の種子が各系統から得られ、合計およそ10,000の種子(F
2)を植えた。F
2を2010年10月に植えて、矮性草高特性、形質又は表現型(非常に短い草高)を示す24の個々の系統を記録した。すなわち、本発明者は、継続するために矮性の表現型を示した種苗のうち、個体群から矮性草高表現型を有する最良の24の種苗を選抜した。個体を再び自家受粉し、次の世代に関して再選抜した。2013年3月に、F
4は色及び草高が固定し、安定していることを確認した。
【0034】
[0049]当該技術分野において周知の育種及び実験技術により、矮性ルピナス植物をホモ接合型の四倍体又は二倍体として作出することができた。さらに、様々なルピナス種、様々な色及び様々な遺伝的背景にわたって矮性草高形質を安定して予想どおりに導入することができる。
【0035】
2.矮性草高特性を有する矮性ルピナス植物の特性
[0050]表1〜4は、それぞれの色ごとに高性ラッセルレリアンスシリーズの品種と比較した矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナス植物の植物学的特性を示している。2014年10月15日に矮性ルピナスをプラグトレイに植え、2014年11月6日に10.5cmの鉢に移植した。移植後、開花時期まで夜間温度を摂氏5度とした。春化のための追加の低温処理は行わなかった。日中の最高温度を摂氏10度未満に制御し、植物成長調整剤は使用しなかった。人工光は使用せず、灌水を下部のみくまなく行った。2015年3月に、植物が種子から7ヶ月経ったときに植物学的特性の記録をとった。各植物種及び各特性に対して3植物のサンプル規模を使用した。
【0036】
[0051]表1は、矮性草高特性、形質又は表現型を有するピンクと白の矮性ルピナスの植物学的特性を標準的なピンクと白の二色の高性ルピナスと比較している。表1において、列1は植物学的特性を示し、列2及び3はそれぞれピンクと白の二色の矮性の各特性に対する範囲及び平均を示し、列5及び6はそれぞれピンクと白の高性ラッセル品種の各特性に対する範囲及び平均を示している。矮性と高性の間の総状花序を除く草高を比較すると、矮性植物が高性植物よりも47.6%短かった(平均高さが17.17cmの高性ルピナスと比較して平均高さが9cm)。総状花序を含む草高を比較すると、矮性植物が高性植物よりも32.6%短かった(平均高さが49.67cmの高性ルピナスと比較して平均高さが33.5cm)。1植物当たりの総状花序の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも74%多くの総状花序をもたらした(平均が2.7の総状花序を有する高性ルピナスと比較して平均が4.7の総状花序)。1植物当たりの側枝の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも123%多く側枝を有していた(平均3の側枝を有する高性ルピナスと比較して平均6.7の側枝)。1植物当たりの葉の数を比較すると、矮性植物が1植物あたり78.4%多く葉を有していた(平均15.3の葉を有する高性ルピナスと比較して平均27.3の葉)。
【0037】
【表1】
【0038】
[0052]
図7及び8は、矮性草高特性、形質又は表現型を有するピンクと白の矮性ルピナスを標準的なピンクと白の二色の高性ルピナスと比較している。
図7及び上記表1からわかるとおり、ピンクと白の矮性ルピナスと標準的なピンクと白の二色の高性ルピナスの間には葉の葉柄の長さに著しい差がある。ピンクと白の矮性ルピナスの平均の葉柄の長さが8.2cmであるのに対し、標準的なピンクと白の高性ルピナスの平均の葉柄の長さは11.2cmである。
図8では、ピンクと白の矮性ルピナス植物を右側に示し、標準的なピンクと白の二色の高性ルピナスを左側に示している。矮性品種は、標準的なピンクと白の二色の高性ルピナスよりも葉の高さ及び総状花序の高さが著しく短く、より小型である。
【0039】
[0053]表2は、矮性草高特性、形質又は表現型を有する青と白の矮性ルピナスの植物学的特性を標準的な青と白の二色の高性ルピナスと比較している。表2において、列1は植物学的特性を示し、列2及び3はそれぞれ青と白の二色の矮性の各特性に対する範囲及び平均を示し、列5及び6はそれぞれ青と白の高性ラッセルの各特性に対する範囲及び平均を示している。矮性と高性の間の総状花序を除く草高を比較すると、平均して、矮性植物が高性植物よりも61%短かった(平均が20cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が7.8cm)。総状花序を含む草高を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して54.5%短かった(平均が51.3cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が29cm)。1植物当たりの総状花序の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して43%多く総状花序をもたらした(1植物当たり総状花序を1.3有する高性ルピナスと比較した場合、1植物当たりの総状花序が平均4.3)。1植物当たりの側枝の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して67%多く側枝を有していた(1植物当たり4の側枝を有する高性ルピナスと比較した場合、1植物当たり平均10の側枝)。1植物当たりの葉の数を比較すると、矮性植物が1植物当たりの葉を平均して124%多く有していた(1植物当たり15.3の葉を有する高性ルピナスと比較して1植物当たり平均34.3の葉)。
【0040】
【表2】
【0041】
[0054]
図5及び6は、青と白の矮性ルピナスを標準的な青と白の二色の高性ルピナスと比較している。
図5及び上記表2からわかるとおり、青と白の矮性ルピナスと標準的な青と白の二色の高性ルピナスの間には葉の葉柄の長さに著しい差がある。青と白の矮性ルピナスの平均の葉柄の長さが7.8cmであるのに対して、標準的な青と白の高性ルピナスの平均の葉柄の長さは11.2cmである。
図5では、青と白の矮性ルピナス植物を右側に示し、標準的な青と白の二色の高性ルピナスを左側に示している。矮性品種は、標準的な青と白の二色の高性ルピナスよりも葉の高さ及び総状花序の高さが著しく短く、より小型である。
【0042】
[0055]表3は、矮性草高特性、形質又は表現型を有する赤い矮性ルピナスの植物学的特性を標準的な赤い高性ルピナスと比較している。表3において、列1は植物学的特性を示し、列2及び3はそれぞれ赤い矮性の各特性に対する範囲及び平均を示し、列5及び6はそれぞれの赤い高性ラッセルの各特性に対する範囲及び平均を示している。矮性と高性の間の総状花序を除く草高を比較すると、平均して矮性植物が高性植物よりも93.7%短かった(平均が15.8cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が8.5cm)。総状花序を含む草高を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して16.8%短かった(平均が38.8cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が32.3cm)。1植物当たりの総状花序の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して32.5%多く総状花序をもたらした(1植物当たり総状花序を平均4有する高性ルピナスと比較した場合、1植物当たりの総状花序が平均5.3)。1植物当たりの側枝の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して107.5%多く側枝を有していた(1植物当たり平均4の側枝を有する高性ルピナスと比較して1植物当たり平均8.3の側枝)。1植物当たりの葉の数を比較すると、矮性植物が1植物当たりの葉を平均して63.5%多く有していた(1植物当たり平均20の葉を有する高性ルピナスと比較して1植物当たり平均32.7の葉)。
【0043】
【表3】
【0044】
[0056]
図1及び2は、赤い矮性ルピナスを標準的な赤い高性ルピナスと比較している。
図1からわかるとおり、赤い矮性ルピナスと標準的な赤い高性ルピナスの間には葉の葉柄の長さに著しい差がある。赤い矮性ルピナスの平均の葉柄の長さが7.7cmであるのに対して、標準的な赤い高性ルピナスの平均の葉柄の長さは16.2cmである。
図2では、赤い矮性ルピナス植物を右側に示し、標準的な赤い高性ルピナスを左側に示している。矮性品種は、標準的な赤い高性ルピナスよりも葉の高さ及び総状花序の高さが著しく短く、より小型である。
【0045】
[0057]表4は、矮性草高特性、形質又は表現型を有する黄色い矮性ルピナスの植物学的特性を標準的な黄色い高性ルピナスと比較している。表4において、列1は植物学的特性を示し、列2及び3はそれぞれ黄色い矮性の各特性に対する範囲及び平均を示し、列5及び6はそれぞれ黄色い高性ラッセルの各特性に対する範囲及び平均を示している。矮性と高性の間の総状花序を除く草高を比較すると、平均して、矮性植物が高性植物よりも39.2%短かった(平均が14.3cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が8.7cm)。総状花序を含む草高を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して40.6%短かった(平均が43.3cmの高性ルピナスと比較した場合、平均が25.7cm)。1植物当たりの総状花序の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して60.9%多く総状花序をもたらした(1植物当たり総状花序を平均2.3有する高性ルピナスと比較した場合、1植物当たりの総状花序が平均3.7)。1植物当たりの側枝の数を比較すると、矮性植物が高性植物よりも平均して200%多く側枝を有していた(1植物当たり3の側枝を有する高性ルピナスと比較した場合、1植物当たり平均9の側枝)。1植物当たりの葉の数を比較すると、矮性植物が1植物当たりの葉を平均して70.9%多く有していた(1植物当たり平均12.7の葉を有する高性ルピナスと比較して1植物当たり平均21.7の葉)。
【0046】
【表4】
【0047】
[0058]
図3及び4は、黄色い矮性ルピナスを標準的な黄色い高性ルピナスと比較している。
図3からわかるとおり、黄色い矮性ルピナスと標準的な黄色い高性ルピナスの間には葉の葉柄の長さに著しい差がある。
図4では、黄色い矮性ルピナス植物を右側に示し、標準的な黄色い高性ルピナスを左側に示している。矮性品種は、標準的な黄色い高性ルピナスよりも葉の高さ及び総状花序の高さが著しく短く、より小型である。
【0048】
[0059]表5は、表1〜4から得たすべての矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナス植物及び高性ルピナス植物のすべての色に対する特性の範囲及び平均を示している。表5において、列1は植物学的特性を示し、列2及び3はそれぞれ矮性ルピナス植物の各特性に対する範囲及び平均の範囲を示し、列5及び6はそれぞれ高性植物の各特性に対する範囲及び平均の範囲を示している。
【0049】
【表5】
【0050】
[0060]
図9は、左側の高性ラッセルレリアンスシリーズと右側の矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナスの間の全体的な草性及び高さを比較した写真である。写真からわかるとおり、2つの植物の間には草高及び幅に顕著な差がある。未熟な総状花序を有する両植物が示されている。これらの植物は、播種からおよそ7ヶ月経ったものである。
【0051】
[0061]
図10から
図12は、矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナスと高性ラッセルルピナス植物の間の複数の植物比較の写真である。
図10は、温室内で咲いている矮性ルピナスの様々な色の複数の植物の写真である。これらの植物は、播種からおよそ7ヶ月経ったものである。
図11は、温室内で咲いている高性ラッセルレリアンスシリーズのルピナスの様々な色の複数の植物の写真である。これらの植物は、播種からおよそ7ヶ月経ったものである。
図12は、温室内で咲いている高性ラッセルレリアンスシリーズとともに示される矮性ルピナス植物の写真である。矮性ルピナス植物は、写真の左前部分にある。これらの植物は、播種からおよそ7ヶ月経ったものである。
図10から
図12は、矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナスと高性ラッセルルピナス植物の間の草高の著しい差を明らかに示している。
図13〜16は、群(集団)になっている様々な矮性の個々の色のものを示している。
【0052】
3.矮性草高特性、形質又は表現型を有する矮性ルピナスの他のルピナスとの交雑 − ルピナスの種間交雑
[0062]育種の歴史及びデータによって示されるとおり、矮性ルピナスの高さ特性、形質又は表現型(すなわち、非常に短い草高)は遺伝性の形質であり、他のルピナス植物に、育種により導入することができる。ホモ接合型である場合、ルピナス植物は矮性草高表現型、特性又は形質を示すことになる。ルピナスの種間交雑は、当該技術分野において周知である。Bragdo, Marie、「Interspecific Crosses in Lupinus Cytology and Inheritance in Flower Color」、 Hereditas、43 (2): 338〜356ページ、1957年7月を参照のこと。
【0053】
[0063]例えば、矮性変異対立遺伝子に関して劣性ホモ接合型の矮性ルピヌス・ポリフィルスハイブリッド植物は、上記対立遺伝子を含有する種子の代表的なサンプルがNCIMB番号42442として寄託されており、このハイブリッド植物を、ポリフィルス、アルボレウス、スルフレウス及びノートカテンシスなどの少なくとも1つの他のルピヌス種と掛け合わせて、少なくとも1種の種間ハイブリッド種子を作ることができる。種間ハイブリッド種子を採取し、種間ハイブリッド種子を発芽させることで後代の種間ルピヌスハイブリッド植物を作り出すことができる。
【0054】
[さらなる実施形態]
相補性アッセイを使用した矮性ルピナス劣性対立遺伝子の特徴付け
[0064]本出願のルピナスの非常に短い草高に関与する劣性対立遺伝子は、相補性アッセイを使用して特定することができる。この相補性アッセイは当該技術分野において周知である。例えば、劣性対立遺伝子によって決定される変異体の状態をどのように決定することができるのかを説明しているGriffithsら、「An Introduction to Genetic Analysis」第7版、W.H. Freeman(2000年)を参照のこと。
【0055】
矮性ルピナスを用いた育種
[0065]鑑賞植物育種の目標は、新規で類のない優れた観賞用品種及びハイブリッドを開発することである。育種家は、初めに2つ以上の親系統を選抜し、交雑し、その後、自殖及び選抜を繰り返して、多くの新規の遺伝子の組み合わせを作り出す。育種家は、理論上、交雑、選抜、自殖及び突然変異により数十億の様々な遺伝子の組み合わせを形成することができる。したがって、育種家は、全く同じ親からでも、遺伝学的に同じで同じ形質を有する品種を開発することはない。
【0056】
[0066]毎年、植物育種家は、次の世代に進めるための生殖質を選抜する。この生殖質を特有の様々な地理的、気候及び土壌条件下で栽培し、その後、生育期の間及びその終わりにさらに選抜を行う。育種家の選抜はDNAレベルで制御されておらず、何百万の様々な起こり得る遺伝子の組み合わせが生じる独特の環境で行われるため、開発される品種は予測できない。当該技術分野において通常の技術の育種家は、場合によって非常に大ざっぱで概括的な様式の予測を除いて、自分が開発している最終的に得られる系統を予測することはできない。同じ育種家が、同じ元の親及び同じ選抜技術を使用しても同じ品種を2度作出することはできない。この不確実性により、優れた新規のルピナス品種を開発するために多額の研究資金を支出することになる。
【0057】
[0067]育種計画は、2つ以上の品種又は様々な広範なベースのソースからの望ましい形質を組み合わせ育種プールとし、その育種プールから所望の表現型の自殖及び選抜によって品種が開発される。系統育種は、一般的に自家受粉植物の改良のために使用される。好適な相補的形質をもつ2種類の親を交雑してF
1を作り出す。1つ又はいくつかのF
1を自殖させることによってF
2個体群を作り出す。最良の個体の選抜をF
2個体群において開始してもよく、その後F
3において開始し、最良のファミリーの最良の個体が選抜される。遺伝率が低い形質に対する選抜の有効性を向上させるためにファミリーの反復試験をF
4世代において開始することができる。同系交配の進んだ段階(すなわち、F
6及びF
7)において、最良の系統又は表現型的に類似した系統の混ざったものが新品種として販売できるか試験される。
【0058】
他のルピナス植物を開発するための矮性ルピナスの使用
[0068]矮性ルピナスなどのルピナスは、観賞用及び切り花市場において販売するために開発される。ただし、上記ルピナス植物はまた、新規のルピナス植物及び品種を開発するために使用できる育種材料のソースを提供することができる。当該技術分野において既知で、ルピナス植物育種計画に使用される植物育種技術としては、循環選抜、集団選抜、集団選抜法、ハイブリダイゼーション、集団選抜、戻し交雑、系統育種、自然受粉育種、制限断片長多型増強選抜(restriction fragment length polymorphism enhanced selection)、遺伝子マーカー増強選抜(genetic marker enhanced selection)、倍加半数体の作製、突然変異誘発及び形質転換が挙げられるが、これらに限定されるものではない。こうした技術の組み合わせが使用されることも多い。植物育種計画におけるルピナス品種の開発には、一般にホモ接合型品種の開発及び評価が必要とされる。新品種を評価するために利用することができる多くの分析方法がある。最も古く最も慣行的な分析の方法は表現型の形質の観察であるが、遺伝子型分析も使用することができる。
【0059】
さらなる育種法
[0069]少なくとも1つの親として本出願において開示されているルピナス植物を使用して作り出されるあらゆる植物も実施形態である。こうした方法は当該技術分野において周知であり、さらに一般的に使用される育種法のいくつかを本明細書に記載する。育種法の説明は、いくつかの参照書物の1つにおいて見出すことができる(例えば、Allard、「Principles of Plant Breeding」(1999年);Vainstein、「Breeding for Ornamentals: Classical and Molecular Approaches」、Kluwer Academic Publishers(2002年);Callaway、「Breeding Ornamental Plants」、Timber Press(2000年);及びBragdo, Marie、「Inter−specific Crosses in Lupinus: Cytology and Inheritance of Flower Color」、Institute of Genetics and Plant Breeding、Agricultural College of Norway、Vollebekk、ノルウェー(1956年9月28日)。
【0060】
[0070]ルピナス植物育種計画に使用できる育種工程としては、例えば、系統育種、戻し交雑、突然変異育種及び循環選抜を挙げることができる。これらの工程と併せて、RFLP増強選抜、遺伝子マーカー増強選抜(例えば、SSRマーカー)及び倍加半数体の作製などの技術が利用されてもよい。
【0061】
[0071]本明細書中で使用される場合、「植物」という用語は、花粉、胚珠、胚、プロトプラスト、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、胚珠、葯、子葉、胚軸、雌蕊、根、根端、種子、花、葉柄、莢、苗条又は茎などの、ルピナス植物を再生することができる植物細胞、植物プロトプラスト、植物細胞組織培養物、植物の一部又は植物体内において無傷の植物カルス、植物塊及び植物細胞を含む。
【0062】
系統育種
[0072]系統育種は、2つの遺伝子型、例えば、矮性ルピナスと、矮性ルピナスの表現型がないか、又はそれを補う1つ若しくは複数の望ましい特性を有する別の異なるルピナスとの交雑から開始する。2つの元の親がすべての所望の特性をもたらさない場合、育種個体群に他のソースが含まれていてもよい。系統法では、連続する子の世代で優れた植物を自殖させ、選抜する。後の子の世代において、ヘテロ接合型の状態が自家受粉及び選抜の結果として均一な品種に取って変わる。系統育種法では一般に、5以上の連続する子の世代の自殖及び選抜が行われる:F
1からF
2;F
2からF
3;F
3からF
4;F
4からF
5など。十分な量の同系交配の後、後に続く子の世代が開発品種の種子を増やすのに役立つことになる。開発品種は、その遺伝子座の約95%以上においてホモ接合型対立遺伝子を含むことが好ましい。
【0063】
戻し交雑
[0073]戻し交雑は、単純に遺伝する遺伝性の高い形質に関する遺伝子を望ましいホモ接合型品種又は反復親である純系に導入するために使用されてきた。導入される形質のソースは供与親と呼ばれる。最初の交雑の後、供与親の表現型をもつ個体を選抜し、反復親に対して交雑を繰り返す(戻し交雑される)。結果として生じる植物は、反復親の特質と供与親から導入された望ましい形質を有することが予想される。
【0064】
[0074]戻し交雑転換体を作り出すために使用されることに加えて、戻し交雑は系統育種と組み合わせて使用することもできる。先に論述したとおり、戻し交雑は、供与親である1つの品種からの1つ又は複数の特に望ましい形質を、全般的に優良な商業的特性を有するが、対象の望ましい形質(複数可)が欠如している反復親と呼ばれる開発品種に導入するために使用することができる。しかしながら、同じ手順は、後代を反復親の遺伝子型の方へ向かわせるが、同時に、初期の段階で戻し交雑を止め、自殖及び選抜を続行することによって非反復親の多くの構成要素を保持させるよう使用することができる。例えば、ルピナス植物を別の品種と交雑して第1世代の後代植物を作り出すことができる。第1世代の後代植物を、その後、その一方の親品種に対して戻し交雑してBC
1又はBC
2を作り出すことができる。新たに開発した品種が多くの反復親の特質を有するが、非反復親の所望の特質のいくつかを有するよう後代を自殖させ、選抜する。このアプローチは、新規のルピナス品種に使用するための反復親の価値及び強さを活用する。
【0065】
[0075]したがって、別の実施形態は、矮性ルピナスの植物を所望の形質を含む供与植物と交雑するステップと、所望の形質を含むF
1後代植物を選抜するステップと、選抜されたF
1後代植物を矮性ルピナスの植物に対して戻し交雑するステップとを含む、矮性ルピナスの戻し交雑転換体を作製する方法である。この方法は、矮性ルピナスの分子マーカープロファイルを得るステップと、分子マーカープロファイルを使用して所望の形質と矮性ルピナスの分子マーカープロファイルを有する後代植物を選抜するステップをさらに含んでもよい。
【0066】
循環選抜及び集団選抜
[0076]循環選抜は、植物の個体群を改良するための植物育種計画に使用される方法である。矮性ルピナスは、循環選抜計画に使用するのに適している。この方法は、個々の植物が互いに他家受粉して後代を形成することを必要とする。後代を栽培し、任意の数の選抜法によって優れた後代を選抜する。この後代としては、個々の植物、半同胞後代、完全同胞後代及び自殖後代が挙げられる。選抜した後代は互いに他家受粉させて別の個体群の後代を形成する。この個体群を植えて、再び優れた植物を選抜して互いに他家受粉させる。循環選抜は周期的なプロセスであるため、所望の回数だけ繰り返すことができる。循環選抜の目的は、個体群の形質を改良することである。改良された個体群を、その後、合成品種の作出を含む商業用又は育種用の新品種を得るための育種材料のソースとして使用することができる。合成品種は、いくつかの選抜品種の異系交雑によって形成された後代である。
【0067】
[0077]集団選抜は、分子マーカー増強選抜とともに使用される場合に有用な技術である。集団選抜では、個体の種子が表現型又は遺伝子型に基づいて選抜される。これらの選抜した種子を、その後、一緒にし、次の世代を栽培するために使用する。集団選抜法には、大きな区画において植物の個体群を栽培すること、植物を自家受粉させること、種子をまとめて採取すること及びその後、まとめて採取した種子のサンプルを使用して次の世代を植え付けることが必要とされる。さらに、自家受粉にかわりに、管理された受粉が育種計画の一部として使用されてもよいだろう。
【0068】
[0078]集団選抜及び循環選抜は、自家又は他家受粉植物のいずれかの個体群を改良するために使用することができる。ヘテロ接合型個体の遺伝学的に変わりやすい個体群は、いくつかの異なる親の異系交雑によって特定されるか、又は作り出される。最良の植物を、個体の優位性、秀逸な後代又は優れた組み合わせ能力に基づいて選抜する。選抜した植物を異系交雑して新しい個体群を作り出し、その新しい個体群においてさらなる選抜のサイクルを継続する。
【0069】
突然変異育種
[0079]突然変異育種は、新しい形質を矮性ルピナスに導入する別の方法である。自然に起こるか、又は人工的に誘発された突然変異は、植物育種家にとって多様性の有用な源である場合がある。人工的な突然変異誘発の目標は、所望の特性の突然変異の率を高めることである。突然変異率は、温度、長期の種子保管、組織培養条件、X線、ガンマ線(例えば、コバルト60若しくはセシウム137)、中性子(原子炉におけるウラン235による核分裂の生成物)、ベータ線(リン32又は炭素14などの放射性同位元素から放射される)又は紫外線(2500〜2900nmが好ましい)などの照射或いは化学変異原(例えば、塩基類似体(5−ブロモ−ウラシル))、関連化合物(8−エトキシカフェイン)、抗生物質(ストレプトニグリン)、アルキル化剤(硫黄マスタード、ナイトロジェンマスタード、エポキシド、エチレンアミン、スルファート、スルホナート、スルホン、ラクトン)、アジド、ヒドロキシルアミン、亜硝酸或いはアクリジンを含む様々な手段によって高めることができる。突然変異誘発により一旦所望の形質が観察されたら、その形質は、その後、従来の育種技術によって既存の生殖質に組み込むことができる。突然変異育種の詳細については、Vainstein、「Breeding for Ornamentals: Classical and Molecular Approaches」、Kluwer Academic Publishers(2002年)に見出すことができる。さらに、他のルピナス植物において作り出された突然変異は、そのような突然変異を含む矮性ルピナスの戻し交雑転換体を作り出すために使用することができる。
【0070】
[0080]さらなる方法としては、微粒子銃を介した送達、DNA注入、エレクトロポレーションなどの遺伝子直接導入法を使用して植物組織に導入される発現ベクターが挙げられるが、これに限定されるものではない。発現ベクターは、微粒子銃装置による微粒子銃を介した送達を使用することによって、又はアグロバクテリウム(Agrobacterium)を介した形質転換を使用することによって植物組織に導入されるのがより好ましい。対象のルピナス植物の原形質を用いて得られた形質転換体植物は、本出願の実施形態の範囲内であることが意図される。
【0071】
単一遺伝子転換体
[0081]本出願の実施形態の文脈においてルピナス植物という用語が使用される場合、ルピナス植物という用語は矮性ルピナスのあらゆる単一遺伝子転換体も含む。単一遺伝子転換された植物という用語は、本明細書中で使用される場合、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって開発されたルピナス植物を指し、この場合、品種に導入された単一遺伝子に加えて、品種の本質的にすべての所望の形態的及び生理的特性が戻し交雑技術により取り戻される。戻し交雑法は、改良するため、又は特性を品種に導入するために本出願の一実施形態とともに使用することができる。「戻し交雑すること」という用語は、本明細書中で使用される場合、雑種後代を反復親に戻す繰り返しの交雑、すなわち、反復親に対する1、2、3、4、5、6、7、8回以上の戻し交雑を指す。所望の特性の遺伝子をもたらす親のルピナス植物は、非反復親又は供与親と呼ばれる。この術語は、非反復親は、戻し交雑プロトコルにおいて1回使用されるため、再び現われないという事実を指す。非反復親の遺伝子(複数可)が導入される親のルピナス植物は、戻し交雑プロトコルにおいていくつかの循環に使用されるため反復親として知られる(Poehlman & Sleper(1994年))。典型的な戻し交雑プロトコルでは、対象の元の品種(反復親)を導入する対象の単一遺伝子をもつ第2の品種(非反復親)に対して交雑する。この交雑の結果として生じる後代を、その後、再び反復親に対して交雑する。非反復親の単一導入遺伝子に加えて、転換された植物に本質的にすべての反復親の所望の形態的及び生理的特性が取り戻されたルピナス植物が得られるまでこのプロセスを繰り返す。
【0072】
[0082]適した反復親の選択は、戻し交雑手順の成功にとって重要な工程である。戻し交雑プロトコルの目標は、元の品種の1つの形質若しくは特性を変えるか、又は置換することである。この目標を達成するために、元の品種の本質的にすべての残りの所望の遺伝的、したがって所望の生理的な及び形態的な構成を保持しながら、反復品種の単一遺伝子が非反復親の所望の遺伝子により改変されるか、又は置換される。特定の非反復親の選択は戻し交雑の目的によって左右されることになる。主要な目的の1つは、いくつかの商業的に重要な形質(複数可)を植物に加えることである。厳密な戻し交雑プロトコルは、変えられる特性又は形質により左右され、適切な検定プロトコルを決定することになる。戻し交雑法は、導入される特性が優性対立遺伝子の場合、簡略化されるが、劣性対立遺伝子も導入することができる。劣性対立遺伝子の導入の場合には、所望の特性が首尾よく導入されたどうかを判定するための後代検定を取り入れる必要がある場合もある。
【0073】
[0083]新品種の開発において通例では選抜されないが戻し交雑技術によって改良され得る多くの単一遺伝子の形質が特定されている。こうした形質は、当該技術分野において周知である。
【0074】
新しい形質又は遺伝子座の矮性ルピナスへの導入
[0084]矮性ルピナスは、新しい遺伝子座又は形質が遺伝子移入され得る遺伝的性質の新しい基盤である。直接形質転換及び戻し交雑は、そのような遺伝子移入を達成するために使用することができる2つの重要な方法である。戻し交雑転換体及び単一遺伝子座転換体という用語は、戻し交雑計画の産物を指すために互換的に使用される。
【0075】
矮性ルピナスの戻し交雑転換
[0085]矮性ルピナスの戻し交雑転換は、反復親として利用される矮性ルピナスを用いた戻し交雑によりDNA配列が導入された場合に生じる(Allard、「Principles of Plant Breeding」(1999年))。天然に生じるDNA配列及びトランスジェニックのDNA配列の両方を戻し交雑技術により導入することができる。戻し交雑転換は、少なくとも2回の交雑、少なくとも3回の交雑、少なくとも4回の交雑、少なくとも5回の交雑などを含む少なくとも2回以上の戻し交雑において形質又は遺伝子座転換を有する植物を作り出すことができる。戻し交雑転換を達成するのに必要な戻し交雑の数を減らすために、分子マーカーに補助された育種又は選抜が利用されてもよい。例えば、わずか2回の戻し交雑において戻し交雑転換を行うことができることを実証しているOpenshaw, S. J.ら、Marker−assisted Selection in Backcross Breeding、Proceedings Symposium of the Analysis of Molecular Data、Crop Science Society of America、コーヴァリス、オレゴン州(1994年8月)を参照のこと。
【0076】
[0086]戻し交雑転換法の複雑さは、導入される形質の種類(単一遺伝子又は連結していない遺伝子と比較して近接して連結された遺伝子)、形質の発現レベル、遺伝の種類(細胞質又は核)及び交雑に含まれる親の種類により決まる。分類するのが比較的容易な単一遺伝子の形質に対して、戻し交雑法は効果的で管理が比較的容易であることが当業者に理解されている。Allard、「Principles of Plant Breeding」(1999年)を参照のこと。戻し交雑転換により導入することができる所望の形質としては、不稔性(核及び細胞質)、稔性回復、耐乾性、窒素利用、観賞的特徴、耐病性(細菌性、真菌性又はウイルス性)、昆虫抵抗性及び除草剤抵抗性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、例えば、FRT部位、Lox部位又は他の部位特異的な遺伝子組入れ部位などの遺伝子移入部位自体を、戻し交雑によって挿入して、1つ又は複数の対象の遺伝子を特定の植物品種に直接挿入するために利用してもよい。一部の実施形態において、矮性ルピナスに戻し交雑され得る遺伝子座の数は、少なくとも1、2、3、4若しくは5個及び/又は6、5、4、3若しくは2個を超えない。単一遺伝子座がいくつかの導入遺伝子、例えば、同じ発現ベクター中の除草剤抵抗性に関する導入遺伝子も含む耐病性に関する導入遺伝子を含有する場合もある。除草剤抵抗性に関する遺伝子は、選択マーカーとして及び/又は表現型形質として使用することができる。組入れ系に特異的な部位の単一遺伝子座転換は、転換される遺伝子座における複数の遺伝子の組入れを可能にする。
【0077】
[0087]戻し交雑転換は、優性対立遺伝子又は劣性対立遺伝子の導入のいずれかにより生じる場合もある。対象の形質を含む後代の選抜は、優性対立遺伝子と関連付けられた形質の直接的な選抜によって達成される。戻し交雑により導入された導入遺伝子又は遺伝子は、一般に優性の単一遺伝子形質として機能し、分類するのが比較的容易である。劣性対立遺伝子により導入される形質に関する後代の選抜には、どの植物が劣性対立遺伝子をもっているのかを判定するために第1の戻し交雑世代を栽培し、自殖させる必要がある。劣性形質は、対象の遺伝子座の有無を判定するために後に続く戻し交雑世代において追加の後代検定が必要な場合もある。通常、最後の戻し交雑世代を自殖させて導入される遺伝子(複数可)に関して純粋な育種後代を得るが、転換された形質に対する選抜とともに反復親に対してさらに戻し交雑することによって安定して遺伝子移入された形質を有する戻し交雑転換体も維持することができる。
【0078】
[0088]さらに、本明細書に記載される上記のプロセス及び他の類似のプロセスは、プロセスの終わりに、遺伝子移入された形質又は遺伝子座を有する矮性ルピナスを異なるルピナス植物と交雑すること、及び結果として生じた第1世代の後代ルピナス種子を採取することを含むステップを加えることによって第1世代の後代ルピナス種子を作り出すために使用されてもよい。
【0079】
矮性ルピナスを使用する分子技術
[0089]新規の分子生物学的技術の出現により、特定の機能を有する遺伝要素の単離及び特徴付けが可能になった。従来の植物育種は、主に新規の生殖質のソースであったが、分子の技術の進歩により、育種家が新規で大いに望まれる商業的特質を有する品種を得られるようになった。形質転換などの分子技術は、鑑賞植物を育種する際に評判がよく、当該技術分野において周知である。Vainstein、「Breeding for Ornamentals: Classical and Molecular Approaches」、Kluwer Academic Publishers(2002年)を参照のこと。
【0080】
分子マーカーを用いた育種
[0090]質的形質を選抜するための育種プロセスの過程においても分子マーカーを使用することができる。例えば、戻し交雑育種計画の過程において、対象の対立遺伝子を含有する植物を選抜するために、対立遺伝子と近接して連結されたマーカー又は実際の対象の対立遺伝子内の配列を含有するマーカーを使用することができる。マーカーはまた、反復親のゲノムを選択するため使用されてもよく、供与親のゲノムに対して使用されてもよい。この手順を使用することで、選抜植物に依然として残る供与親のゲノムの量を最小限にすることができる。この手順を使用した戻し交雑計画において必要とされる、反復親に戻す交雑の数を減らすこともできる。選抜プロセスにおける分子マーカーの使用は、遺伝子マーカー増強選抜と呼ばれることが多い。分子マーカーはまた、交雑による遺伝子プロファイルを追跡する手段を提供することによって、植物の親品種又は祖先などの生殖質の特定のソースを確認及び排除するために使用することができる。アイソザイム電気泳動、制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA法(RAPD)、アービトラリリーポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、DNA増幅フィンガープリント法(DAF)、配列特徴付け増幅領域(SCAR)、増幅断片長多型(AFLP)、単純反復配列(SSR)及び一塩基多型(SNP)などの技術の使用により特定されるマーカーを含む分子マーカーは、矮性ルピナスを利用した植物育種法に使用することができる。Vainstein、「Breeding for Ornamentals: Classical and Molecular Approaches」、Kluwer Academic Publishers(2002年)を参照のこと。
【0081】
SSR及び第1世代の後代による遺伝子マーカープロファイル
[0091]表現型の観察に加えて、植物は植物の遺伝子型によっても特定することができる。植物の遺伝子型は、同じ品種の植物若しくは関連する品種を特定することができるか、又は系統を判定若しくは確認するために使用することができる遺伝子マーカープロファイルにより特徴付けることができる。遺伝子マーカープロファイルは、すべてが当該技術分野において周知である制限断片長多型(RFLP)、ランダム増幅多型DNA法(RAPD)、アービトラリリーポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、DNA増幅フィンガープリント法(DAF)、配列特徴付け増幅領域(SCAR)、増幅断片長多型(AFLP)、単純反復配列(SSR)(マイクロサテライトとも呼ばれる)及び一塩基多型(SNP)などの技術によって得られる。
【0082】
組織培養
[0092]品種のさらなる繁殖は、組織培養及び再生によって行うこともできる。鑑賞植物及びルピナスの各種組織の組織培養物及び組織培養物からの植物の再生は周知であり、広く公開されている。例えば、Valla Rego, Lucianaら、Crop Breeding and Applied Technology、1(3):283〜300ページ(2001年);Komatsuda, Tら、Crop Sci.、31:333〜337ページ(1991年);Stephens, P. A.ら、Theor. Appl. Genet.、82:633〜635ページ(1991年);Komatsuda, T.ら、Plant Cell、Tissue and Organ Culture、28:103〜113ページ(1992年);Dhir, Sら、Plant Cell Reports、11:285〜289ページ(1992年);Pandey, P.ら、Japan J. Breed.、42:1〜5ページ(1992年);及びShetty, K.ら、Plant Science、81:245〜251ページ(1992年)を参照されたい。したがって、別の実施形態は、増殖及び分化した場合に本出願に記載されている矮性ルピナスの生理的及び形態的な特徴を有するルピナス植物をもたらす細胞を提供することである。
【0083】
[0093]再生とは、組織培養物からの植物の発生を指す。「組織培養物」という用語は同じ若しくは異なる種類の単離細胞、又は、植物の一部へと組織化されたそのような細胞の集まったもの含む組成物を示す。組織培養物の例示的種類は、花粉、胚珠、胚、プロトプラスト、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、胚珠、葯、子葉、胚軸、雌蕊、根、根端、花、種子、葉柄、莢、苗条又は茎などの、植物体又は植物の一部内において無傷の組織培養物を生じることができるプロトプラスト、カルス、植物塊及び植物細胞である。植物組織培養物を準備し維持するための手段は当該技術分野において周知である。
【0084】
[0094]いくつかの例示的態様及び実施形態を上で述べてきたが、当業者は特定の改変、変更、追加及びそれらのサブコンビネーションを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び以降に導入される請求項は、請求項の真の趣旨及び範囲内にあるすべてのそのような改変、変更、追加及びサブコンビネーションを含むものと解釈されることが意図される。
【0085】
[0095]1つ又は複数の態様は、その態様の趣旨又は必須の特性から逸脱することなくその他の特定の形態で具現化されてもよい。記載した実施形態は、あらゆる点で説明のためものに過ぎず、限定するものではないと考慮されるべきである。したがって、実施形態の範囲は、前述の説明によってではなくむしろ添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の等価の意味及び範囲内にあるすべての変更は、請求項の範囲内に包含されるべきである。
実施形態の前述の解説は、例示及び説明の目的のために提示した。前述のものは、実施形態を本明細書中で開示した形態(複数可)に限定する意図はない。前述の詳細な説明では、開示の合理化のために、例えば、実施形態の様々な特徴が1つ又は複数の実施形態としてまとめられている。この開示方法は、特許請求される実施形態が、各請求項において明確に挙げられているよりも多くの特徴を必要とすることを意図していることを示すものと解釈されるべきではない。むしろ、添付の請求項が示すとおり、発明の態様は、前述の開示した一実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴におけるものある。したがって、添付の請求項はこの詳細な説明に組み込まれ、それぞれの請求項は、個々の好適な実施形態として自立している。
【0086】
[0096]さらに、実施形態の説明は、1つ又は複数の実施形態並びに特定の変形形態及び改変形態の説明を含んできたが、他の変形形態及び改変形態も実施形態の範囲内にある(例えば、本開示の理解後の当業者の技術及び知識の範囲内に入り得る)。特許請求されるものと代替的な、互換的な及び/又は等価の構造、機能、範囲若しくは行為を、そのような代替的な、互換的な及び/又は等価の構造、機能、範囲若しくは行為が本明細書中で開示されているかどうかにかかわらず含めた代替実施形態を許される範囲で含む権利を、特許性のあるいかなる主題も公的に供する意図なく得ることが意図される。
【0087】
[0097]実施形態を述べる文脈における(とりわけ、添付の請求項の文脈における)用語「1つの(a、an)」及び「この(the)」並びに同様のものの使用は、本明細書において別の指示があるか、又は文脈から明らかに矛盾する場合を除いて単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含むこと(comprising)」、「有すること」、「含むこと(including)」及び「含有すること」という用語は、別の記載がない限りオープンエンドな用語として(すなわち、「含むが、これらに限定されるものではない」ことを意味すると)解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別の指示がある場合を除いて、範囲内にあるそれぞれの個別の値を個々に言及することの省略表現法の役割を果たすことが単に意図され、それぞれ個別の値は本明細書において個々に列挙されたかのように明細書に組み込まれる。例えば、範囲10〜15が開示されている場合、11、12、13及び14も開示されている。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書において別の指示があるか、又は別に文脈が明らかに否定している場合を除いて、任意の適した順序で実施することができる。本明細書において提供されるあらゆる例又は例示的表現(例えば、「など」)の使用は、実施形態をさらに明確にすることが単に意図され、別に特許請求されない限り実施形態の範囲の限定を提示するものではない。本明細書における表現は、1つ又は複数の実施形態を実施するのに必須の特許請求されていない任意の要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0088】
[寄託情報]
[0098]矮性草高特性をもたらす劣性ホモ接合型Tall遺伝子を含む、グリーンフィーズボタニカルスインク(Green Fuse Botanicals, Inc.)の所有下にあるルピナス種子の混ざったものの代表的なサンプルであって、寄託物がLMISE08−0と呼ばれ、上記種子から栽培される上記矮性ルピナス植物が矮性草高特性を示すサンプルが、National Collections of Industrial, Food and Marine Bacteria(NCIMB)、ファーガソンビルディング(Ferguson Building)、クレーブストーンエステート(Craibstone Estate)、バックスバーン、アバディーン、スコットランド、AB21 9YA、英国との共同で作製された。寄託日は2015年7月23日であり、NCIMB番号は42442である。上記ルピナス植物が矮性草高特性を示す2,500の種子の寄託物は、本出願の出願日前からグリーンフィーズボタニカルスインクが管理する同じ寄託物から取得した。特許が付与された場合、寄託物の公衆への提供可能性に対するすべての制限は、連邦規則法典第37巻§§1.801〜1.809のすべての要件と一致して取り消し不能なかたちで撤廃されることになる。寄託物は、寄託機関に30年間若しくは継続請求後5年間又は特許の権利行使可能期間のいずれかの長い期間保管され、その期間中必要に応じて再寄託される。