【実施例1】
【0017】
<概要>
本実施例の発明にかかる発光板の製造方法は、ベース上にベースに対して傾いた内壁を有する枠状体を配置するステップと、配置された枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材を流し込み蓄光層を形成するステップとを有するものである。また、蓄光層を形成するステップの後に透明層用原材料を含む液材を流し込み透明層を形成するステップをさらに有するものも本実施例に含まれる。また、このような製造方法を用いて製造された発光板も本実施例の発明に含まれる。
【0018】
<処理の流れ>
(全般)
図1は、本実施例の発光板の製造方法における処理の流れの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の発明に係る発光板の製造方法は、枠状体配置ステップS0101と、蓄光層形成ステップS0103とを有する。以下、これら各ステップについて、順次詳細に説明する。
【0019】
(枠状体配置ステップ) 枠状体配置ステップは、ベース上にベースに対して傾いた内壁を有する枠状体を配置するステップである。
【0020】
図2は、本実施例の発光板の製造方法について説明するための概念図である。このうち、
図2(a)は、ベース0200上にベースに対して傾いた内壁を有する枠状体0210を配置した状態を示す斜視図である。また、
図2(b)は、
図2(a)のX−X断面図(枠状体の略頂上を通る垂直面で切断したもの)である。
【0021】
「枠状体」は、これらの図に示すように上部開口面0211と下部開口面0212を有する無底の筒状部材である。本図の例では、枠状態の形状は略円柱形の上に略半球体を被せたような形状のものを示したが、枠状体の形状には特に限定はなく、例えば略円柱形状、略角柱形状、略円錐形状、略角錐形状、略半球形状などであってもよい。
【0022】
枠状体は、ベースに対して傾いた内壁0213を有する。「ベースに対して傾いた」とは、枠状体の内壁とベース面によって形成される角度が枠状体の内部側から測って90度未満であるという意味である。換言すれば、内壁がベースに対して垂直に切り立った状態にはなっておらず、枠状体内部側に傾いているという意味である。
図2(b)に示した例は、内壁とベース面によって形成される角度θが約60度である例である。なお、傾きの向きには限定はなく、
図2の例のように枠状体の内側に向かって倒れかかる向きに傾いたものであっても、これとは逆に枠状体の外側に向かって倒れかかる向きに傾いたものであってもよい。また、傾きが一定である必要はなく、例えば傾きの異なる二つの平面を組み合わせたものや円弧状のように途中で傾きが変化するものであってもよい。さらに、内壁の全部が傾いているものに限られず、内壁の一部に垂直に切り立った部分が存在するものであってもよい。
【0023】
内壁をベースに対して傾いたものとする理由は次のとおりである。後述のように、本実施例の製造方法によって得られる発光板は、枠状体の中に流し込まれて形成された蓄光層の側面を外部から枠状体を除去することで直接あるいは透明な枠状体を通じて視認することができる点に特徴がある。その際、内壁を傾いたものとすることで、蓄光層の高さが同じであれば視認できる蓄光層の側面の面積を増大させることができる。これにより、発光板を目立つものとすることができる。
【0024】
枠状体の材料には特に限定はない。ただし、枠状体の内部に流し込まれる蓄光原材料を含む液材が所定の形状の蓄光層に形成されるようにするため、枠状体は蓄光原材料を含む液材を流し込んだ時に形状が変化しない程度の硬さを有することが必要であり、かかる観点から、枠状体は金属、セラミック、硬質樹脂などを材料とするものが望ましい。具体的には鉄、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮などの金属や、ファインセラミックス、陶器、ガラスなどのセラミック、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの硬質樹脂などが考えられる。また、枠状体の材料として透明なガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の透明材料を用いれば、後述のように蓄光層等を形成後も枠状体を除去する必要がなくなる。
【0025】
枠状体は、蓄光層が形成された後に除去してもよいし、そのまま発光板の一部として用いてもよい。枠状体をそのまま発光板の一部として用いる場合には、蓄光層からの発光が枠状体を介して外部に照射されることになるので、枠状体には透明(半透明や一部透明を含む。以下同じ)なものが用いられる。詳細については後述する。
【0026】
(蓄光層形成ステップ)
蓄光層形成ステップは、配置された枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材を流し込み蓄光層を形成するステップである。蓄光原材料を含む液材を流し込む要領は、例えば
図2(a)に示すように、枠状体の上面開口から枠状体の内部に矢印A方向に流し込めばよい。
【0027】
図3も本実施例の発光板の製造方法について説明するための概念図であり、
図2(b)と同様の断面図で示したものである。このうち
図3(a)は、蓄光層形成ステップにおいて枠状体0310の内部に蓄光原材料を含む液材0301(斜線で示す部分)が流し込まれた状態を示す。本図の例は、後述するようにその後透明層形成ステップを有する例であり、蓄光原材料は枠状体の内部を完全に満たすことなく、途中まで入れられている。この場合は
図3(b)に示すように、蓄光層が形成された後に透明層原材料を含む液材0302(ドットで示す部分)が枠状体の内部を完全に満たすように流し込まれる。あるいは本図(c)の例のように、蓄光原材料を含む液材0301だけが枠状体の内部を完全に満たすように流し込まれてもよい。この場合は透明層原材料を流し込むステップは存在しない。
【0028】
(反射層形成ステップ)
本実施例の発光板の製造方法は、
図1に示すように、枠状体配置ステップと蓄光層形成ステップの間に、反射層形成ステップS0103を有していてもよい。反射層は、反射材原料を含む層状の部材であり、蓄光材からの光を反射させて発光板の視認性を向上させるためのものである。反射材原料としては、例えば酸化チタン、シリカなどの白色顔料が用いられる。反射層を形成する方法には特に限定はなく、例えば、予め形成された反射フィルムを接着剤で蓄光層の上に貼り付けるようにしてもよいし、反射材料を蓄光層の上に塗布・印刷するようにしてもよい。あるいは、枠状体の上部開口面から反射層原材料を含む液材を流し込むようにしてもよい。反射層原材料を含む液材を流し込む要領は、例えば
図2(a)に示すように、枠状体の上面開口から枠状体の内部に矢印A方向に流し込めばよい。
【0029】
(透明層形成ステップ)
本実施例の発光板の製造方法は、
図1に示すように、蓄光層形成ステップの後に透明層形成ステップS0104を有していてもよい。透明層形成ステップは、蓄光層形成ステップの後に透明層用原材料を含む液材を枠状体の内部に流し込み透明層を形成するステップである。透明層用原材料を含む液材を流し込む要領は、例えば
図2(a)に示すように、枠状体の上面開口から枠状体の内部に矢印A方向に流し込めばよい。また、透明層用原材料は、蓄光層形成ステップによって蓄光層が形成された後、即ち、蓄光原材料を含む液材が流し込まれ、乾燥させられた後に流し込まれる。その際、
図3(b)に示すように透明層原材料が枠状体の内部を完全に満たすように流し込まれることは前述のとおりである。
【0030】
透明層は、透明樹脂などの透明材料によって形成される層状の部材であって、その配置の目的は、一般に蓄光層の損傷・劣化や汚れを防止することにあるが、本発明では、これとともに、透明層が発光板上で立体的な形状をなしその側面を視認することができることで、蓄光層からの発光をより容易に視認することができるようにすることにある。その際、本実施例では透明層原材料も傾いた内壁を有する枠状体の内部に流し込まれるので、形成された透明層は蓄光層と同様、その高さが同じであれば視認できる透明層の側面の面積を増大させることができる。これにより、発光板を目立つものとすることができる。透明層原材料としては、例えば、PTFEなどの透明フッ素樹脂などが用いられる。
【0031】
また、透明層の形成方法として液状の透明層原材料を枠状体を一杯に満たすまで流し込んで形成する方法を用いることで、所定量の液状の透明層原材料を窪みに流し込んで乾燥させるだけでよいので、透明層の形成を簡単に行うことができる。しかも、乾燥による収縮を勘案してどれだけの量の透明層原材料を流し込めばどれだけの厚みや体積の透明層が形成されるかを予め計算によって知ることができるので、この計算によって得られた量の透明層原材料を一気に流し込むだけでよいので、この点からも透明層の形成を簡単に行うことができる。
【0032】
透明層原材料を流し込む量は、枠状体の内部が蓄光層及び透明層(反射層を有する場合にはこれらに加え反射層)で一杯に満たされるような量とすればよい。
【0033】
(枠状体除去ステップ)
さらに、本実施例の発光板の製造方法は、蓄光層形成ステップの後(
図1に示すように透明層形成ステップを有する場合は透明層形成ステップの後)に枠状体除去ステップS0105を有していてもよい。枠状体除去ステップは、形成された蓄光層(またはこれに加えて反射層及び/又は透明層)から枠状体を除去するステップである。
【0034】
枠状体を除去するかどうかは、枠状体を透明材料のものとするかどうかに関わる。
図4は、枠状体が透明材料からなる例及び透明材料からなる例を示す図であり、
図2(b)などに示した枠状体と同様の形状のものを垂直断面図で示したものである。このうち、
図4(a)及び(b)は枠状体0410の全部を不透明材料とした例である(端面を黒色で示す部分が不透明材料部分である。以下同じ。)。さらにこのうち、(a)は枠状体の内部の全部が蓄光層0401のみで満たされている例(ただし、蓄光層の下層に反射層が形成されていることを妨げない。以下同じ。)、(b)は枠状体の内部が蓄光層0401及び透明層0402で満たされている例である。この場合は、蓄光層形成ステップ又は透明層形成ステップの後に枠状体除去ステップを有することが必須となる。
【0035】
図4(c)、(d)は、
図4(a)、(b)の状態からそれぞれ枠状体を除去した状態を示す。このように枠状体を除去することで初めて立体的に形成された蓄光層を含む発光部分を側面から視認することが可能となる。
【0036】
さらに、
図4(e)、(f)は、枠状体の全部を透明材料とした例である(端面を白色で示す部分が透明材料部分である。以下同じ。)。さらにこのうち、(e)は枠状体0410の内部の全部が蓄光層0401のみで満たされている例、(f)は枠状体の内部が蓄光層0401及び透明層0402で満たされている例である。この場合には、枠状体除去ステップは必須ではなく、枠状体を残したまま発光板として使用することが可能となる。
【0037】
枠状体除去ステップを有する場合には、枠状体の除去をよりスムーズに行うため、予め枠状体の内壁に離型剤を塗布しておいてもよい。即ち、本実施例の蓄光表示板の製造方法は、枠状体配置ステップの前もしくは枠状体配置ステップと蓄光層形成ステップの間に枠状体の内壁に離型剤を塗布する離型剤塗布ステップを有していてもよい。離型剤としては例えばシリコーン系離型剤を用いればよい。
【0038】
また、枠状体除去ステップを有する場合には、蓄光層が外部に露出することで蓄光層が損傷・劣化したり汚れたりすることを防止するため、枠状体除去ステップの後に蓄光層の表面に透明保護材料を塗布などにより配置するステップ(透明保護材料配置ステップ)を有していることが望ましい。一方、枠状体除去ステップを有しない場合であって、透明層形成ステップを有しない場合(
図4(e)の例のような場合)にも、枠状体の上部開口を通じて蓄光層が露出することになり、やはり蓄光層が損傷・劣化したり汚れたりすることを防止する必要があるため、上と同様の透明保護材料配置ステップを有していることが望ましい。
【0039】
以上のような方法によって製造された発光板は、発光板本体上に蓄光層を含む部分が立体的に形成され、これらを側面から視認することが可能なものとなる。なお、蓄光層を含む立体部分は発光板本体上に固定的に設置してもよい。この場合、枠状体を除去しないで用いるものであれば、枠状体を接着剤やねじ止めなどにより発光板本体に固定すればよい。また、枠状体を除去して用いるものであれば、例えば反射層の裏面を接着剤などにより発光板本体に固定すればよい。また、反射層と蓄光層、蓄光層と透明層の剥離を防ぐため、これらの層間に透明ゲルなどの粘着性のある材料を配置してもよい。あるいは、発光板を水平な状態で用いるものであれば、単に発光部分を発光板本体上に載置するだけでもよい。後者の場合には、立体部分の配置を頻繁に入れ替えることができるので、広告などのメッセージの内容にバリエーションを持たせることができる。
【0040】
(本実施例の製造方法で製造した発光板)
以上のような方法によって製造した発光板は、蓄光層からの光を斜め方向からでも容易に視認することができるという特徴を有する。
【0041】
<効果>
本実施例の発明によれば、ベース上に配置された枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材を流し込んで蓄光層を形成する方法を用いることで、発光板上に蓄光層を含む発光部分を立体的に形成し蓄光層の側面を直接視認できるようにし、より目立つようにした発光板を簡単に製造することができる。しかも、枠状体の内壁をベースに対して傾いたものとすることで、直接視認できる蓄光層の側面の面積を増大させることができ、発光板をより目立つものとすることができる。かかる本発明によれば、例えば、人目を引きやすく宣伝・広告効果の高い広告看板などを手軽に製造することが可能となる。
【実施例2】
【0042】
<概要>
本実施例は、実施例1と基本的に共通する。ただし、本実施例では、蓄光層形成ステップが、異なる発光色の蓄光原材料を含む液材を流し込む二つのサブステップを有する点に特徴がある。また、このような製造方法を用いて製造された発光板も本実施例の発明に含まれる。
【0043】
<処理の流れ>
(全般)
図5は、本実施例の発光板の製造方法における処理の流れの一例を示す図である。本実施例における処理の流れは実施例1における処理の流れと基本的に共通するが、本実施例では、蓄光層形成ステップS0502は、第一液材流し込みサブステップS0503と第二液材流し込みサブステップS0504とを有する。以下、これらのサブステップについて説明する。その余の処理の流れは実施例1と同様であるから説明を省略する。
【0044】
(蓄光層形成ステップ:第一液材流し込みサブステップ)
「第一液材流し込みサブステップ」は、第一液材を流し込むステップである。「第一液材」は第一の発光色の蓄光原材料を含む液材である。第一の発光色は、第二の発光色とは異なる発光色をいう。
【0045】
(蓄光層形成ステップ:第二液材流し込みサブステップ)
「第二液材流し込みサブステップ」は、第二液材を流し込むステップである。「第二液材」は第一の発光色とは異なる第二の発光色の蓄光原材料を含む液材である。
【0046】
(本実施例の目的及び具体的構成例)
本実施例の目的は、蓄光層の発光色を異なる二色とすることで、発光板の立体部分の発光をさらに目立つようにすることにある。例えば、これを広告看板に適用すれば、カラフルな色彩が人目を引き、宣伝効果の高い広告を提供することが期待できる。
【0047】
次に具体的構成の一例について説明する。
図6は、本実施例の発光板の製造方法について説明するための概念図であり、
図2などと同様の断面図で示したものである。本図に示すように、本実施例では、蓄光層が二層にわたって形成される。まず、
図6(a)は、第一液材流し込みサブステップにて第一液材0601a(右上がり斜線で示す部分)が流し込まれた状態を示す。
【0048】
第一液材に含まれる第一の発光色の蓄光原材料としては、例えば、硫化亜鉛を母結晶とする蓄光顔料(発光色は黄緑色)、アルミン酸ストロンチウム塩を母結晶とする蓄光顔料(発光色は緑色)やいわゆるカラー蓄光顔料(発光色が赤色、青色、黄色などであるものが知られている)が考えられる。
【0049】
図6(b)は、第一液材流し込みサブステップにて第一の蓄光層が形成された後、第二液材流し込みサブステップにて第二液材0601b(左上がり斜線で示す部分)が流し込まれた状態を示す。第二液材に含まれる第二の発光色の蓄光原材料としては、第一の発光色の蓄光原材料として上に例示したものと同様の蓄光原材料のうちで、第一の発光色とは異なる発光色のものが挙げられる。
【0050】
以上では、蓄光層形成ステップにおいて形成される蓄光層が二層である場合について説明したが、本実施例における蓄光層形成ステップは、第二液材流し込みサブステップの次に、第二の発光色とは異なる第三の発光色の蓄光原材料を含む液材である第三液材を流し込むステップである第三液材流し込みサブステップを有していてもよく、さらに同様の第四、第五等のサブステップを有していてもよい。
【0051】
本実施例の製造方法によって製造される発光板は、このように異なる発光色を有する蓄光層が多層に形成されるものであることから、使用状態において各蓄光層の側面を外部から視認できるものとすることができる。
【0052】
<効果>
本実施例によれば、蓄光層の発光色を異なる二色とすることで、発光板の立体部分の発光をさらに目立つようにすることができる。
【実施例3】
【0053】
<概要>
本実施例は、実施例1又は2と基本的に共通する。ただし、本実施例では、蓄光層形成ステップの後に枠状体を型として形成された蓄光層を内包するより大きな枠状体を配置するステップと、大枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材又は/及び透明層用原材料を含む液材を流し込み大枠層を形成するステップをさらに有する点に特徴がある。また、前記大きな枠状体がベースに対して傾いた内壁を有する枠状体であるものも本実施例の発明に含まれる。また、このような製造方法を用いて製造された発光板も本実施例の発明に含まれる。
【0054】
<処理の流れ>
(全般)
図7は、本実施例の発光板の製造方法における処理の流れの一例を示す図である。本実施例における処理の流れは実施例1又は2における処理の流れと基本的に共通するが、本実施例では、蓄光層形成ステップS0702の後に、大枠状体配置ステップS0703を有し、さらにその後に大枠層形成ステップS0704を有する。なお、蓄光層形成ステップの後に透明層形成ステップや枠状体除去ステップを有する場合は、大枠状体配置ステップをこれらステップの後に有することが望ましい。以下、大枠状体配置ステップ及び大枠層形成ステップについて説明する。その余の処理の流れは実施例1又は2と同様であるから説明を省略する。
【0055】
(大枠状体配置ステップ)
大枠状体配置ステップは、大枠状体を配置するステップである。「大枠状体」は蓄光層形成ステップの後に枠状体を型として形成された蓄光層を内包するより大きな枠状体である。大枠状体はベースに対して傾いた内壁を有するものであってもよい。その意義は実施例1で述べたところと同様である。
【0056】
図8は、本実施例の発光板の製造方法について説明するための概念図であり、
図2などと同様の断面図で示したものである。本図(a)に示すように、本実施例では、蓄光層形成ステップにて形成された蓄光層0801aの周囲に、これを内包するより大きな枠状体である大枠状体0850を配置する。本図では大枠状体配置ステップに先立って、枠状体除去ステップにより枠状体が除去されている例を示したが大枠状体を配置した後に枠状体を除去してもよい。また、透明材料の枠状体を用いる場合には枠状体を除去せずに残置したまま次に述べる大枠層を形成してもよい。
【0057】
大枠状体が「枠状体を型として形成された蓄光層を内包するより大きな枠状体である」とは、平面図で見た状態で大枠状体が枠状体を完全に内包しているという意味であって、高さについては両者の関係には限定はなく、大枠状体の高さの方が枠状体の高さより低いものであっても何ら差支えない。この点については大枠層形成ステップについて説明した後、改めて説明する。
【0058】
(大枠層形成ステップ)
大枠層形成ステップは、大枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材又は/及び透明層用原材料を含む液材を流し込み大枠層を形成するステップである。
図8(b)は、大枠状体の内部に蓄光原材料を含む液材が流し込まれて大枠層が形成された状態を示す。前述のように、本例ではこのステップに先立って枠状体が除去されているが、枠状体が透明材料からなるものであれば枠状体を残置したまま蓄光原材料を含む液材又は/及び透明層用原材料を含む液材を流し込んでもよい。蓄光原材料を含む液材又は/及び透明層用原材料を含む液材を流し込む要領は、既述の蓄光層形成ステップや透明層形成ステップにおいてこれらの液材を流し込む要領と同様である。また、蓄光原材料を含む液材を流し込む前に(透明層用原材料を含む液材だけを流し込む場合はその前に)発光板本体上に反射層を形成するステップを有していてもよいことも既述の反射層形成ステップと同様である。
【0059】
さらに、本実施例の発光板の製造方法は、大枠層形成ステップの後に大枠状体を除去する大枠状体除去ステップを有していてもよい。大枠状体を除去するかどうかは、枠状体について述べたところと同様に、大枠状体の材料に依存する。本図の例では、大枠状体が不透明材料であることを前提として、大枠層が形成された後に大枠状体を除去する例を示している。
【0060】
図9では大枠状体の高さh1が枠状体の高さh2よりも低い例を示した。このようにすれば、大枠層が形成された状態でも枠状体を型として形成された蓄光層の一部が大枠層に埋没することなく露出した状態とすることができる。一方、本図の例と異なり大枠状体の高さを枠状体の高さよりも高くして、大枠状体の高さ一杯まで蓄光原材料を含む液材蓄光原材料を含む液材を流し込んでもよい。ただし、この場合には大枠層に埋没した状態の蓄光層の少なくとも一部を視認可能とするため、蓄光原材料を含む液材の流込みは、前記蓄光層が完全に隠れない位置までとし、そこから上は透明層用原材料を含む液材を流し込むようにすることが望ましい。
【0061】
さらに、本実施例の製造方法においてに蓄光層を異なる発光色の二層以上にわたって形成するようにすれば、多様なデザインで複数色で発光する発光板を提供することができ、これを例えば広告看板に適用すれば、ひじょうに人目を引きやすく宣伝効果の高い看板を提供することが期待できる。
【0062】
参考までに、
図9は、本実施例の製造方法で製造した発光板の一例を示す図であって、枠状体を型として形成された蓄光層と大枠層のいずれをも異なる発光色の二層で形成した例である。本図の例は、枠状体と大枠状体を除去して形成されるもので、枠状体を型として形成された蓄光層の露出部分が第一の発光色で発光する蓄光層0901aと第二の発光色で発光する蓄光層0901bの二層構造になっている。また、大枠層も第一の発光色で発光する蓄光層0901cと第二の発光色で発光する蓄光層0901dの二層構造になっている。また、
図9では枠状体と大枠状体がそれぞれ一つずつ用いられている例を示したが、さらに、複数の枠状体を包含する大枠状体を用いてもよく、また大枠状体をさらに包含するより大きな枠状体(いわば超大枠状体)といったような多重の包含関係を有する枠状体を用いてもよい。
【0063】
<効果>
本実施例によれば、内側に形成される蓄光層とその周囲に形成される蓄光層/透明層の二重構造の発光板とすることで、発光板の立体部分の発光をさらに目立つようにすることができる。