特許第6115107号(P6115107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115107
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】原子層堆積のドーピング方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20170410BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   C23C16/40
   H01L21/205
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-268744(P2012-268744)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-163863(P2013-163863A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2012年12月14日
【審判番号】不服2015-9862(P2015-9862/J1)
【審判請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】101104333
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】509078089
【氏名又は名称】財團法人國家同▲歩▼輻射研究中心
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】古慶順
(72)【発明者】
【氏名】李信義
【合議体】
【審判長】 新居田 知生
【審判官】 永田 史泰
【審判官】 中澤 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−153757(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/093203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C14/00-14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積のドーピング方法であって、
基板を反応チャンバに提供する工程と、
原子層堆積周期を実行して、前記基板表面に薄膜を形成する工程と、
を含み、
前記原子層堆積周期は、
第一前駆体を前記反応チャンバに注入して、前記第一前駆体を組成する第一原子を前記基板の第一反応位置に結合する工程と、
前記第一前駆体の注入停止後、第二前駆体を前記反応チャンバに注入して、前記第二前駆体を組成する第二原子を、一部を前記第一原子と代替して、前記基板の前記第一反応位置に結合する工程と、を含み
前記第一原子は亜鉛原子であり、前記第二原子はガリウム原子であり、前記第一反応位置はOH基である、ことを特徴とする原子層堆積のドーピング方法。
【請求項2】
前記原子層堆積周期は、更に、
第三前駆体を前記反応チャンバに注入して、前記第三前駆体を組成する第三原子を前記第一原子、および、前記第二原子に結合する工程を含み、
前記第三原子は酸素原子である、ことを特徴とする請求項1に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項3】
前記第三原子は第二反応位置を提供し、次の前記原子層堆積周期の前記第一原子、および、前記第二原子の少なくとも1つと前記第二反応位置を結合することを特徴とする請求項2に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項4】
前記各原子層堆積周期中に、前記第一前駆体、または、前記第二前駆体の注入工程を複数回実行することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項5】
更に、
第四前駆体を前記反応チャンバに注入して、前記第四前駆体を組成する第四原子を前記基板の表面に結合して、前記第一反応位置を提供する工程を含むことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項6】
前記原子層堆積周期は、更に、
パージガスを前記反応チャンバに注入して、前記反応チャンバ中の過量の前記第一前駆体、前記第二前駆体、および、反応生成物の少なくとも1つを排除する工程を含むことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項7】
前記パージガスを注入する時、前記反応チャンバの気体抽出を実行し、前記第一前駆体、または、前記第二前駆体を注入する前、気体抽出を停止することを特徴とする請求項6に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項8】
前記第二前駆体を注入するパルス時間は、前記第一前駆体を注入するパルス時間より短いことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項9】
前記第二前駆体は、パージガスと一緒に、前記反応チャンバに注入することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項10】
前記原子層堆積周期の実行時、前記反応チャンバの気体抽出を続行することを特徴とする請求項1から6、8及び9のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項11】
前記原子層堆積周期は、更に、前記第一前駆体、または、前記第二前駆体を入れた後、前記反応チャンバを密閉すると共に、所定時間維持する工程を含むことを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項12】
前記第二前駆体は、前記所定時間内に注入されることを特徴とする請求項11に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項13】
前記基板は、有機基板、または、無機基板を含むことを特徴とする請求項1から12のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項14】
前記薄膜は、非結晶、多結晶、または、エピタキシー薄膜を含むことを特徴とする請求項1から13のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項15】
前記第一前駆体、および、前記第二前駆体の反応温度範囲は、摂氏−25度〜1500度であることを特徴とする請求項1から14のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【請求項16】
更に、焼きなまし工程を実行する工程を含み、焼きなまし温度は、前記基板の耐熱温度より低いことを特徴とする請求項1から15のうちいずれか一項に記載の原子層堆積のドーピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーピング方法に関するものであって、特に、原子層堆積法を利用したドーピング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積(Atomic layer deposition,ALD)は、自己制御式(self−limiting)特性を利用して、単一原子膜形式により、物質を一層一層、基板表面に形成する方法である。このような原子層堆積法は、極薄で、均一な大面積の薄膜を形成することができる。薄膜中に異なる性質の原子をドーピングすると、薄膜の電気的性質を修飾して、薄膜の応用範囲を広げることができる。
図1図2で、ガリウムドープの酸化亜鉛(ZnO:Ga)の透明電極を例として説明すると、図1で示される符号Pumpは、反応チャンバの気体抽出のタイミングを示す。従来の原子層堆積技術を利用したドーピング方法は、原子層堆積周期Cyc中、酸素含有の前駆体PreAと亜鉛含有の前駆体PreBを順に注入して、酸化亜鉛層101を形成し、続いて、酸素含有の前駆体PreAとガリウム含有の前駆体PreCを注入して、酸化ガリウム層102を形成する。各工程の間に、選択的に、パージガス(Purge Gas)PGを注入して、過量の前駆体PreA、前駆体PreB、前駆体PreC、及び/または、反応生成物を排除する。上述の工程を、基板10の表面成長が固定比例である酸化亜鉛層101、および、酸化ガリウム層102のサンドイッチ構造に繰り返した後、焼きなまし工程を利用して、原子を薄膜全体に拡散させる。しかし、焼きなまし工程は製造コストを増加させ、エネルギーを消耗するだけでなく、欠陥、例えば、空孔、転位、および、不整合等が生じやすいので、焼きなまし工程パラメータの掌握も一定の困難度を有する。この他、高温の焼きなまし工程は、有機基板上の電極製作に応用することが出来ない。
よって、どのようにして、焼きなまし工程を使用することなく、原子層堆積法により、ドーピング薄膜を形成するかが現在の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、原子層堆積のドーピング方法を提供し、原子層堆積方法を利用して、反応位置との親和力が高い第二原子により、元来反応位置と結合する第一原子を代替して、第二原子を反応位置に結合し、これにより、焼きなまし工程、または、低温の焼きなまし工程を使用することなく、必要な原子を堆積薄膜にドープすることが出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例による原子層堆積のドーピング方法は、基板を反応チャンバに提供する工程と、原子層堆積周期を実行して、基板表面に薄膜を形成する工程と、を含む。原子層堆積周期は、第一前駆体を反応チャンバに注入して、第一前駆体を組成する第一原子を、基板の第一反応位置に結合する工程と、第二前駆体を反応チャンバに注入して、第二前駆体を組成する第二原子を一部第一原子代替して、基板の第一反応位置に結合する工程と、を含み、前記第二原子と前記第一反応位置の親和力を、前記第一原子と前記第一反応位置の親和力より大きいものとする

【発明の効果】
【0005】
本発明の原子層堆積のドーピング方法は、焼きなまし工程を省略するか、または、低温の焼きなまし工程を使用して、大面積で、均一なドーピング薄膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】従来の原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
図2】従来の原子層堆積のドーピング方法のサンドイッチ構造を示す図である。
図3】本発明の第1つの実施例による原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
図4】本発明の実施例による原子層堆積のドーピングシステムを示す図である。
図5】本発明の第二実施例による原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
図6】本発明の第三実施例による原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
図7】本発明の第四実施例による原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
図8】本発明の第五実施例による原子層堆積のドーピング方法のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の原子層堆積のドーピング方法は、基板を反応チャンバに提供し、続いて、原子層堆積周期を実行して、基板表面に薄膜を形成する工程を含む。1つの実施例では、原子層堆積方法により形成される薄膜は、非結晶、多結晶、または、エピタキシー薄膜である。原子層堆積周期は、第一前駆体を反応チャンバに注入して、第一前駆体を組成する第一原子を、基板の第一反応位置に結合する工程と、第二前駆体を反応チャンバに注入して、第二前駆体を組成する第二原子を、基板の第一反応位置に結合する工程と、を含む。1つの実施例では、基板の第一反応位置に結合する第一原子は、飽和状態に達していないので、第二原子は、直接、第一原子を未結合の第一反応位置に結合することができる。別の実施例では、基板の第一反応位置に結合する第一原子が飽和状態に達しているかどうかにかかわらず、第二原子は、少なくとも一部が第一原子を代替して、基板の第一反応位置に結合する。例えば、第二原子と第一原子の電気陰性度、または、第二原子と第一原子とが第一反応位置に結合するエネルギーは差異を有し、第二原子が、第一原子を代替し、第一反応位置に結合しやすくする。
酸化亜鉛ドープ電極は、従来のITO基板を代替し、ディスプレイ設備、発光ダイオード、および、太陽エネルギーバッテリ等の素子に応用できると考えられている。図3図4では、ガリウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Ga)の薄膜を例として説明する。まず、真空システム42により、反応チャンバ41の気体を抜いて、反応チャンバ41を所定の真空度に維持する。続いて、バルブVaを開き、酸素含有の前駆体PreAを反応チャンバ41に注入し、基板表面に酸化層を形成する。例えば、前駆体PreAは、水、オゾン、酸素フリーラジカル、過酸化水素、および、重水等である。基板は、可撓性、または、非可撓性の有機基板、または、無機基板である。酸化層上に、複数で、且つ、後続で堆積される原子と結合する第一反応位置を含み、例えば、第一反応位置はOH基である。
1つの実施例では、前駆体PreAを注入する時、反応チャンバ41と真空システム42の間のバルブVppを閉鎖して、未反応の前駆体PreAが反応チャンバ41から抜き出されるのを防止し、これにより、前駆体PreAの使用量を節約できる。バルブVaを閉鎖して、前駆体PreA注入を停止後、反応チャンバ41を密閉状態に保持すると共に、所定時間維持し、図3のタイミングT1に示される。密閉状態の反応チャンバ41が熱平衡(thermal equilibrium)状態に達しやすく、エピタキシー構造(epitaxial)成長を助ける。
続いて、反応チャンバ41に浄化工程を実行し、バルブVppを開いて、反応チャンバ41の気体を抽出し、バルブVpgを開いて、パージガスPGを反応チャンバ41に注入して、反応チャンバ41中の過量の前駆体PreA、及び/または、反応生成物を除去する。パージガスPG注入を停止後、反応チャンバ41に、気体抽出を続行して、反応チャンバ41を適当な真空度にする。
その後、バルブVppを閉鎖すると共に、バルブVbを開いて、亜鉛含有の前駆体PreBを反応チャンバ41に注入する。亜鉛原子と第一反応位置のOH基は互いに反応して、基板表面に結合される。同様に、バルブVbを閉鎖して、前駆体PreBの注入停止後、反応チャンバ41を密閉状態に保持すると共に、所定時間維持して、エピタキシー構造成長を助け、図3のタイミングT2に示される。続いて、バルブVcを開いて、ガリウム含有の前駆体PreCを反応チャンバ41に注入し、この時、ガリウム原子が、酸化亜鉛層上の亜鉛原子を代替して、第一反応位置に結合される。前駆体PreCを反応チャンバ41に注入するパルス時間を制御して、ガリウムのドープ濃度を調整する。例えば、前駆体PreCを注入するパルス時間は、前駆体PreBを注入するパルス時間より短い。バルブVcを閉鎖後、反応チャンバ41の浄化工程を実行して、バルブVppとバルブVpgを開き、反応チャンバ41の気体抽出を実行すると共に、パージガスPGを注入する。
1つの実施例では、更に、前駆体PreAを再び注入してもよい、亜鉛原子とガリウム原子上に、酸素原子層を形成して、次の周期の亜鉛原子とガリウム原子と結合する第二反応位置とする。これにより、原子層堆積周期Cycを完成する。複数の原子層堆積周期Cycを繰り返し実行すると、適当な膜厚のガリウムドープの酸化亜鉛(ZnO:Ga)の薄膜を基板表面に形成することができる。理解できることは、各原子層堆積周期Cycは、前駆体PreAを注入する工程、および、前駆体PreB、または、前駆体PreCを注入する工程を繰り返し実行して、任意の層数比のドーピング薄膜を形成することができることである。注意すべきことは、必要に応じて、適当な前駆体を選択することにより、二元化合物のドーピング薄膜を形成することができることである。
ガリウム原子は、亜鉛原子を代替して、基板表面に結合されるので、本発明の原子層堆積のドーピング方法により形成されるエピタキシー薄膜は、空孔、転位や不整合等の欠陥を減少させ、薄膜の電気的性質を向上させる。
表一は、室温のホール測定により測定されたガリウム未ドープの酸化亜鉛サンプル、および、ガリウムをドープした酸化亜鉛サンプルの比較データである。表一中のデータから分かるように、本発明のドーピング方法によるガリウムドープ後の酸化亜鉛サンプルは、自由電子濃度が1.29 〜 1021に上昇し、且つ、電子移動度が少し上昇する。電気抵抗率は、従来のITO電極と比較できる。
表1 ガリウム未ドープ、および、ガリウムをドープした酸化亜鉛サンプルの比較データ
【0008】
【表1】
【0009】
前述の実施例中、第一前駆体は前駆体PreBで、第二前駆体は前駆体PreCで、第三前駆体は前駆体PreAである。理解できることは、基板表面が適当な第一反応位置を有する時、初めに前駆体PreAを注入する工程を省略することができることである。または、基板表面に原子層を形成して、第三前駆体と同じ、または、異なる第一反応位置の前駆体を提供する。この他、次の前駆体を入れた後に、反応チャンバ41の浄化工程を実行するか、または、反応チャンバ41に気体抽出を実行するかは、必要に応じて、工程やパラメータを調整することができる。例えば、前駆体PreCを注入する前に、まず、反応チャンバ41の浄化工程を実行することができる。または、原子層堆積の実行時、反応チャンバ41の気体抽出を続行できる。
1つの実施例では、被代替原子を含む前駆体PreBを注入するパルス時間内で、同時に、代替原子を含む前駆体PreCを注入することができ、図5のタイミングT3に示される。1つの実施例では、被代替原子を含む前駆体PreBを入れた後、反応チャンバ41を密閉する時、同時に、代替原子を含む前駆体PreCを注入することができ、図6のタイミングT4に示される。1つの実施例では、代替原子を含む前駆体PreCは、反応チャンバ41の浄化工程の実行時に注入することができる。例えば、前駆体PreCは、パージガスPGと一緒に、反応チャンバ41に注入することができ、図7のタイミングT5に示され、または、反応チャンバ41の気体抽出を続行する時に注入してもよい。簡単に言うと、代替原子を含む前駆体を注入する開始時間から、被代替原子を含む前駆体を注入する開始時間の間の遅延時間は、0〜1,000,000秒以上の時間範囲である。
図8を参照すると、別の実施例では、前駆体PreBは代替原子を含み、前駆体PreCは被代替原子を含み、被代替原子もドーピング原子となることができる。図8に示されるように、基板表面に、まず、一層の飽和、または、亜飽和のドーピング原子層を形成し、代替原子を含む前駆体PreBを注入して、一部のドーピング原子層上のドーピング原子を代替する。前駆体PreBを注入するパルス時間を調整することにより、基板表面上に保留したドーピング原子の濃度を調整することができる。よって、図3図8に示される実施例から分かるように、ドーピング原子は、代替原子、または、被代替原子である。例えば、窒素、または、リン等の原子は酸素原子を代替するのに用いられる。窒素、マグネシウム、ガリウム、アルミニウム、マンガン、カドミウム、鉄、コバルト等の原子は、亜鉛原子を代替するのに用いられる。ケイ素、インジウム、マグネシウム等の原子は、ガリウム原子を代替するのに用いられる。
上述の原子層堆積のドーピング方法は、焼きなまし工程を省略して、ドーピング薄膜を形成することができるので、よって、本発明の原子層堆積のドーピング方法は、耐熱温度が低い基板(例えば、有機基板)上に、ドーピング薄膜を形成することができる。これに限定されないが、本発明の原子層堆積のドーピング方法は、焼きなまし工程を含んでもよく、焼きなまし温度は、基板の変形を防止するため、基板の耐熱温度より低い。
1つの実施例では、代替原子を含む前駆体、および、被代替原子を含む前駆体の反応温度範囲が、摂氏−25度〜1500度である。同様に、反応温度の選択は、基板の耐熱温度によって決定され、即ち、前駆体の反応温度は基板の耐熱温度より低い。
総合すると、本発明の原子層堆積のドーピング方法は、反応位置との親和力が高い第二原子により、元来反応位置と結合した第一原子を代替して、第二原子を反応位置に結合し、これにより、焼きなまし工程を省略する、または、低温の焼きなまし工程を使用して、必要な原子を堆積薄膜にドープする。よって、本発明の原子層堆積のドーピング方法は、可撓性の有機基板に応用できる。この他、本発明の原子層堆積のドーピング方法に従って、適当な堆積工程を設計すると、任意の−6価〜+6価ドーピング化合物を含む二元、または、多元化合物のドーピング薄膜を形成することができ、且つ、前駆体保存槽温度、前駆体を注入する時間、圧力、および、基板成長温度等のパラメータを制御することにより、ドーピング原子の比例を調整することができる。
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0010】
10 基板
101 酸化亜鉛層
102 酸化ガリウム層
41 反応チャンバ
42 真空システム
Va〜Vc バルブ
Vpg、Vpp バルブ
Cyc 原子堆積周期
PG パージガス
PreA 前駆体
PreB 前駆体
PreC 前駆体
Pump 気体抽出
T1〜T5 タイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8