(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115127
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】デジタルカメラおよび携帯機器の通信システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20170410BHJP
H04N 101/00 20060101ALN20170410BHJP
【FI】
H04N5/225 F
H04N101:00
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-285693(P2012-285693)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127988(P2014-127988A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】相川 智慎
【審査官】
榎 一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−252054(JP,A)
【文献】
特開2008−205959(JP,A)
【文献】
特開2009−022032(JP,A)
【文献】
米国特許第08533371(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0290974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222〜257
H04N 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データが格納される無線機能付き記録媒体と、
前記無線機能付き記録媒体を用いて、格納された前記画像データを外部に転送する通信制御手段と、
前記無線機能付き記録媒体から通信状態を所定時間毎に取得する通信状態取得手段と、
前記通信制御手段が前記画像データを外部に転送する期間である、通信期間を予測する通信期間予測手段と、
前記通信期間予測手段によって予測された通信期間の終了直前または終了直後から、前記画像データの転送完了状態を取得するまでの間、前記通信状態取得手段による通信状態取得頻度を相対的に高める通信状態取得制御手段とからなることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
転送済み画像データのサイズと転送時間とを記憶する転送時間記憶手段をさらに備え、
前記通信期間予測手段が、前記転送時間記憶手段で記憶した、転送済み画像データの転送時間と前記記録媒体に格納された未転送画像データのサイズから、転送完了時間を予測することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記通信期間予測手段が、動画像撮影期間を非通信期間とみなし、
前記通信制御手段が、前記非通信期間に前記画像データの転送を行わないよう制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記通信状態取得制御手段は、予測された前記通信期間の終了直前または終了直後から前記データ転送の完了状態を取得するまでの間、通信状態の取得間隔を前記通信期間のうち他の期間よりも相対的に短くすることによって、前記通信状態取得頻度を相対的に高めることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記通信状態取得手段で取得した通信状態を表示する情報表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
データが格納される記録手段と、
外部と通信可能な通信手段と、
前記通信手段を用いて、格納された前記データを外部に転送する通信制御手段と、
前記記録手段から通信状態を所定時間毎に取得する通信状態取得手段と、
前記通信制御手段が前記データを外部に転送する期間である、通信期間を予測する通信期間予測手段と、
前記通信期間予測手段によって予測された通信期間の終了直前または終了直後から前記データ転送の完了状態を取得するまでの間、前記通信状態取得手段による通信状態取得頻度を相対的に高める通信状態取得制御手段とを備えることを特徴とする携帯機器の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関し、より詳しくはデジタルカメラにおける情報転送処理状況の確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラにおいて、無線通信機能を備えた記録媒体を用いて撮影画像を外部機器に送信する場合に、画像データの転送処理をより短時間で完了可能にする構成が知られている。例えば、DCFに準拠した画像データを格納する通信機能付きメモリカードによって、画像データの転送処理をより短時間で完了可能にする手法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−252054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルカメラが、通信機能を備えた記録媒体から画像転送を完了したかどうかなどの通信状態を取得するには、記録媒体の特殊ファイルに対してデータを読み書きする必要がある。記録媒体は、このデータの読み書き制御を、通信処理を一時停止して行う。そのため一般にデジタルカメラは、可能な限り通信処理を阻害しないために、30秒などの一定周期で通信状態取得を行う。従って、この場合、実際の転送完了からユーザに転送完了を伝えることができるまで、最大30秒弱の遅れが発生していた。このように、特許文献1に記載のデジタルカメラでは、転送完了などの通信状態変化をユーザに迅速に伝えることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、ユーザへの通信状況変化通知を迅速に行うことが可能なデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデジタルカメラは、画像データが格納される無線機能付き記録媒体と、無線機能付き記録媒体を用いて、格納された画像データを外部に転送する通信制御手段と、無線機能付き記録媒体から通信状態を所定時間毎に取得する通信状態取得手段と、通信制御手段が画像データを外部に転送する期間である、通信期間を予測する通信期間予測手段と、通信期間の終了直前および/または終了直後から、画像データの転送完了状態を取得するまでの間、通信状態取得手段による通信状態取得頻度を相対的に高める通信状態取得制御手段とからなることを特徴とする。
【0007】
また、転送済み画像データのサイズと転送時間とを記憶する転送時間記憶手段をさらに備え、通信期間予測手段が、転送時間記憶手段で記憶した、転送済み画像データの転送時間と記録媒体に格納された未転送画像データのサイズから、転送完了時間を予測することが好ましい。
【0008】
また、通信期間予測手段が、動画像撮影期間を非通信期間とみなし、通信制御手段が、非通信期間に画像データの転送を行わないよう制御しても良い。
【0009】
また、通信状態取得制御手段は、予測された通信期間の終了直前または終了直後からデータ転送の完了状態を取得するまでの間、通信状態の取得間隔を通信期間のうち他の期間よりも相対的に短くすることによって、通信状態取得頻度を相対的に高めることが好ましい。
【0010】
また、通信状態取得手段で取得した通信状態を表示する情報表示手段をさらに備えることが好ましい。利用者の利便性の向上を図ることが可能となる。
【0011】
本発明に係る携帯機器の通信システムは、データが格納される記録手段と、外部と通信可能な通信手段と、通信手段を用いて、格納されたデータを外部に転送する通信制御手段と、記録手段から通信状態を所定時間毎に取得する通信状態取得手段と通信制御手段がデータを外部に転送する期間である、通信期間を予測する通信期間予測手段と、通信期間の終了直前および/または終了直後からファイル転送の完了状態を取得するまでの間、通信状態取得手段による通信状態取得頻度を相対的に高める通信状態取得制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザへの通信状況変化通知を迅速に行うことが可能なデジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラの全体を表す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る通信状態を表すタイムチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る通信における情報の取得およびその表示のフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る通信における転送時間とファイルサイズとの関係を表す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る通信における情報の取得および表示のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、デジタルカメラの構成図について説明する図である。
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る撮像装置の一例としてのデジタルスチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」)を示す正面図、
図1(b)は、その上面図、
図1(c)は、その背面図である。
【0015】
図1(a)、(b)、(c)に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1の上面側には、レリーズボタン(シャッタボタン)2、電源ボタン3、撮影・再生切替ダイアル4が設けられており、デジタルカメラ1の正面(前面)側には、撮影レンズ系5を有する鏡胴ユニット6(主要撮像光学系)、ストロボ発光部(フラッシュ)7、光学ファインダ8、補助撮像光学系16が設けられている。
【0016】
デジタルカメラ1の背面側には、LCDである液晶モニタ(情報表示手段)9、光学ファインダ8の接眼レンズ部8a、広角側ズーム(W)スイッチ10、望遠側ズーム(T)スイッチ11、メニュー(MENU)ボタン12、確定ボタン(OKボタン)13等が設けられている。また、デジタルカメラ1の側面内部には、撮影した画像データを保存するための無線機能付き記録媒体(記録手段、通信手段)32を収納する記録媒体収納部15が設けられている。
【0017】
図2は、
図1のデジタルカメラの電気的構成について説明する図である。デジタルカメラ1は、情報を記録する無線機能付き記録媒体32と、CCD、AD変換器など画像情報の入力部である撮像装置42と、各種情報の表示装置43と、外部からの入力を行う操作卓44と、記録媒体との通信を制御する、例えばSDIOインターフェイスである通信制御装置(通信制御手段、通信期間予測手段、通信状態取得制御手段、通信状態取得手段)45と、取り外しのできない不揮発性メモリを使用した内部記憶装置46(転送時間記憶手段)、デジタルカメラ全体を制御する全体制御装置50を有する。
【0018】
全体制御装置50は、CPU/ROM/RAM/入出力ポート(I/Oポート)及びこれらを結ぶバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータにより構成されている。なお、後述の
図6において示すように、全体制御装置50は、動画撮影中の通信管理処理を行うため、全体制御装置50は、並列して複数の制御を行うことになる。
【0019】
また、デジタルカメラ1は無線機能付き記録媒体32を用いてネットワーク33への接続機能を持つ。ここでは、外付けのメモリカードに代わる画像の内部記録用のメモリを想定しているが、メモリは情報を保持した状態を維持できるものであれば、いかなるメモリであっても良い。
【0020】
図3は、通信状態取得頻度を変更する具体的なタイムチャートについて表す図である。通信制御装置45は、転送開始前において30秒おきに無線機能付き記録媒体から通信状態の取得を行なっている。
【0021】
取得可能な状態は、「無線接続確立中」、「無線接続されていない」、「未転送ファイルあり」、または、「未転送ファイルなし」等である。通信制御装置45は、必要に応じて、表示装置43へ取得した状態を表示指示する。本タイムチャートでは、30秒経過後に転送を開始した例が示されている。
【0022】
転送開始後、通信制御装置45は表示装置43に転送開始表示指示を行い、転送完了時刻を予測する。ここでは、転送完了まで55秒と予測されたとすると、通信制御装置45は転送完了まで30秒おきに通信状態取得を継続するが、転送完了予測時刻の直前には、通信状態取得間隔が30秒から5秒に変更されている。
【0023】
その際に「未転送ファイルなし」情報が取得できなかった場合は、無線機能付き記録媒体32は転送中であるので、通信状態取得間隔を相対的に短い時間(ここでは1秒)として状態取得を繰り返す。この例では、実転送時間(通信期間)が56.5秒であるので、転送開始から57秒の時点で「未転送ファイルなし」情報が取得でき、通信制御手段は表示装置に通信完了を表示指示することができる。このように、転送完了予測時刻経過後は設定当初の30秒を待たずに状態取得を行う。
【0024】
このように、転送完了予測時間の経過直前および経過直後から、通信状態取得間隔は相対的に短い時間に設定される。相対的に短い時間とは、本実施形態では、転送時間全体に対する略2%から略10%の時間をいう。また、直前とは、例えば転送完了予測時間から転送時間全体に対する略10%の時間遡る時刻をいう。直後とは、例えば転送完了予測時間から転送時間全体に対する略2%の時間経過した時刻をいう。
【0025】
図4は、
図3の通信状態取得頻度におけるフローチャートである。通信制御装置45は、転送開始前の状態取得間隔を、例えば30秒に設定する(ステップS401)。
【0026】
通信制御装置45は記録媒体32にファイルが生成され、転送開始状態になった場合は、表示装置43に転送中表示の指示を行う(ステップS402、S403)。すると、通信制御装置45は、転送完了予測時間を算出する(ステップS404)。以下の
図5において詳述するように、通信制御装置45は、記録媒体32の通信性能と未転送ファイルのサイズから転送完了予測時間を算出する。通信制御装置45は、転送完了予測時間を超過している場合、情報取得間隔を相対的に短い間隔、例えば1秒にする(ステップS405、S406)。
【0027】
通信制御装置45は、記録媒体32から状態を取得する(ステップS407)。通信制御装置45は、記録媒体32から取得した状態が転送完了状態ではない場合、ステップS402に戻る(ステップS408)。通信制御装置45が記録手段から取得した状態が転送完了状態であれば、表示装置43に転送完了の表示指示を行い、状態取得間隔を初期状態に戻す(ステップS409、S410)。ステップS411では、転送したファイルサイズ及び転送時間が内部記憶装置21等に保持され、ステップS402に戻る。
【0028】
転送済み結果が記憶される内部記憶装置46等は、電源の入切によらず情報を保持するメモリである。このように、記憶対象は、直前の結果が想定されているが、記録媒体32毎、メモリカード毎に対応する過去平均、転送場所または転送先が分けて記憶されても良い。例えば、直近の転送結果を用いた予測の他、カード内の転送済み画像の平均結果、転送したときの使用場所、転送先などの場合分けのデータが記憶され、予測時間算出に使用されても良い。
【0029】
一方、ステップS402において、転送開始ではなかった場合、ステップS412に進み、状態取得間隔が経過したか否かが判断される。または、ステップS405で転送完了予測時刻を超過していない場合、ステップS412に進み、状態取得間隔が経過したか否かが判断される。ステップS412において、状態取得間隔が経過していないと判断されると、ステップS402に戻る。ステップS412において、状態取得間隔が経過している場合、ステップS407に進み、状態取得間隔ごとに状態取得を行う。
【0030】
図5は、具体的なファイルサイズと時間から転送完了時刻を予測する方法を示す図である。
図5では、過去に送信したファイルサイズとその転送時間から、未転送ファイルの送信時間が予測される。図中に示されるように、過去に転送したファイルサイズと未転送ファイルサイズとの比率を算出し、過去の転送時間にその比率を乗算することで、未転送ファイルの転送時間が予測される。
【0031】
このように、画像データを外部に転送する期間である通信期間を予測し、その通信期間の終了直前および終了直後から、通信状態の取得頻度をそれ以前の取得頻度と比較して高めることによって、ユーザへの通信状況変化通知を迅速に行うことが可能となる。具体的には、画像データの転送が完了したことを即座にユーザへ通知することができるという効果がある。
【0032】
図6は、第2の実施形態を示す図である。第1の実施形態との違いは、動画撮影中(非通信期間)は記録媒体32の更新が行われないことである。すなわち、ステップS502以外は、第1の実施形態と同様である。
【0033】
第2の実施形態では、動画撮影中に記録媒体32の更新を行わないことにより、第1の実施形態の効果に加えて、処理負荷の高い動画処理を停止させることによるフレーム落ちを防止することが出来るという効果が得られる。
【符号の説明】
【0034】
1 デジタルカメラ
9 モニタ(情報表示手段)
32 無線機能付き記録媒体(通信手段、記録手段)
33 ネットワーク
45 通信制御装置(通信制御手段、通信期間予測手段、通信状態取得制御手段、通信状態取得手段)
46 内部記憶装置(転送時間記憶手段)