【実施例】
【0061】
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下、部は重量部、%は重量%を意味する。
本願明細書において実施例9、11、12、ならびに15〜17は参考例である。
【0062】
実施例および比較例に用いる原料を以下に示す。
【0063】
<二酸化チタン>
表1に示した被覆層を有する二酸化チタン。
【0064】
<ポリエステル樹脂>
B−1:ポリエチレンテレフタレート(融点255℃、ユニチカ社製、MA2101)
B−2:ポリブチレンテレフタレート(融点228℃、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5026)
【0065】
<接着剤>
接着剤1:ポリエステル系接着剤(主剤ダイナレオVA−3020/イソシアネート系硬化剤HD−701、東洋モートン社製、配合比:100/7)
接着剤2:下記の方法で作成したアクリル系接着剤
【0066】
<アクリル系接着剤合成例>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、数平均分子量が25、000、水酸基価が4.4(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、ガラス転移温度(Tg)が39℃、不揮発分50%のアクリル樹脂溶液を得た。
別途、MEKオキシムでブロックされた、イソホロンジイソシアネートの三量体と、MEKオキシムでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を、重量比1:1で混合し、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%の樹脂溶液とし、硬化剤溶液を得た。
上記のアクリル樹脂溶液85部、硬化剤溶液15部、その他にエポキシ樹脂溶液15部、ジブチル錫ジラウレート0.25部にて混合し、接着剤2を得た。
【0067】
なお、数平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。
【0068】
<数平均分子量(Mn)の測定>
Mnの測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)の決定はポリスチレン換算で行った。
【0069】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。
【0070】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mLとした溶液)を正確に5mL加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
【0071】
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0072】
二酸化チタンの無機被覆層および有機被覆層の形成例を以下に示す。なお被覆方法が、下記方法に限定されないのはいうまでもない。
【0073】
(二酸化チタンの表面処理1)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して1.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−1)を得た。
【0074】
(二酸化チタンの表面処理2)
アルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対する添加量を表1の処理量に変更した以外は、二酸化チタンの表面処理1と同様の方法を行うことで二酸化チタン(A−2、A−3、A−19)を得た。
【0075】
(二酸化チタンの表面処理3)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらケイ酸ナトリウムをSiO
2換算で二酸化チタンの重量に対して0.5%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。引き続き撹拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して1.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で10時間乾燥し、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均一次粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−4)を得た。
【0076】
(二酸化チタンの表面処理4)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながら硫酸ジルコニウムをZrO
2換算で二酸化チタンの重量に対して0.5%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。引き続き撹拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して1.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で10時間乾燥し、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均一次粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−5)を得た。
【0077】
(二酸化チタンの表面処理5)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらケイ酸ナトリウムをSiO
2換算で二酸化チタンの重量に対して0.5%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。引き続き撹拌しながら硫酸ジルコニウムをZrO
2換算で二酸化チタンの重量に対して0.5%、アルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で1.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に調整することで被覆層を形成した。その後、濾過、洗浄し、さらに120℃で10時間乾燥し、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.25μmの二酸化チタン(A−6)を得た。
【0078】
(二酸化チタンの表面処理6)
デシルトリメトキシシランの二酸化チタンの重量に対する添加量を表1の処理量に変更した以外は、二酸化チタンの表面処理1と同様の方法を行うことで二酸化チタン(A−7、A−8、A−23)を得た。
【0079】
(二酸化チタンの表面処理7)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のドデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−9)を得た。
【0080】
(二酸化チタンの表面処理8)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のヘキシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−10)を得た。
【0081】
(二酸化チタンの表面処理9)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のイソブチルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−11)を得た。
【0082】
(二酸化チタンの表面処理10)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のメチルトリエトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−12)を得た。
【0083】
(二酸化チタンの表面処理11)
二酸化チタンを表1の平均粒子径に変更した以外は、二酸化チタンの表面処理1と同様の方法を行うことで二酸化チタン(A−13、A−14、A−25、A−26)を得た。
【0084】
(二酸化チタンの表面処理12)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%の3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−15)を得た。
【0085】
(二酸化チタンの表面処理13)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%の3−アミノプロピルトリエトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−16)を得た。
【0086】
(二酸化チタンの表面処理14)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−17)を得た。
【0087】
(二酸化チタンの表面処理15)
ルチル型二酸化チタン顔料の重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−18)を得た。
【0088】
(二酸化チタンの表面処理16)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらケイ酸ナトリウムをSiO
2換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−20)を得た。
【0089】
(二酸化チタンの表面処理17)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながら硫酸ジルコニウムをZrO
2換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のデシルトリメトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−21)を得た。
【0090】
(二酸化チタンの表面処理18)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−22)を得た。
【0091】
(二酸化チタンの表面処理19)
ルチル型二酸化チタン顔料を水と混合して、二酸化チタンの重量として300g/Lの水性スラリーを調製した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算で二酸化チタンの重量に対して2.0%添加し、次いで硫酸でpHを5に中和することで被覆層を形成した。さらに濾別、洗浄し、120℃で10時間乾燥した。その後、二酸化チタンの重量に対して1.5%のトリメチロールエタンとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、平均粒子径が0.21μmの二酸化チタン(A−24)を得た。
【0092】
本発明では二酸化チタンの疎水性を示す指標として疎水化度を使用する。前記疎水化度が40%以上であることで、裏面保護シートをより疎水性にでき、さらに接着剤層との接着性もより向上する。なお得られた二酸化チタンの疎水化度は、以下の方法で測定した。二酸化チタン0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50mlに加えて撹拌する。撹拌しながらメタノールをビュレットから滴下し、二酸化チタンの全量が懸濁されるまで滴定する。その終点は二酸化チタンの全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際のメタノールおよび水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
【0093】
【表1】
【0094】
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−1)100重量部と二酸化チタン(A−1)100重量部とをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し温度20℃で3分間撹拌した後、二軸押出機(日本プラコン社製)を用いて270℃にて混練することでペレット状の太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物を得た。
【0095】
得られた太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物40重量部とポリエチレンテレフタレート樹脂(B−1)60重量部とを単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)を用いて温度270℃ にて押出し成形をし、
図2に示す接着力測定に使用する太陽電池裏面保護シート15A、15B(それぞれ厚さ100μm)を得た。
【0096】
<実施例2〜19>
太陽電池保護シート用樹脂組成物の原料および配合量を調整して、それぞれ表2に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シート15A、15Bを得た。
【0097】
<実施例20>
ポリブチレンテレフタレート樹脂(B−2)100重量部と二酸化チタン(A−1)100重量部とをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し温度20℃で3分間撹拌した後、二軸押出機(日本プラコン社製)を用いて270℃にて混練することでペレット状の太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物を得た。
【0098】
得られた太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物40重量部とポリブチレンテレフタレート樹脂(B−2)60重量部とを単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)を用いて温度270℃ にて押出し成形をし、太陽電池裏面保護シート15A、15B(それぞれ厚さ100μm)を得た。
【0099】
<実施例21>
ポリエチレンテレフタレート樹脂(B−1)100重量部と二酸化チタン(A−1)25重量部とをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し温度20℃で3分間撹拌した後、二軸押出機(日本プラコン社製)を用いて270℃にて混練することでペレット状の太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物を得た。
【0100】
得られた太陽電池裏面保護シート用樹脂組成物を単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)を用いて温度270℃ にて押出し成形をし、太陽電池裏面保護シート15A、15B(それぞれ厚さ100μm)を得た。
【0101】
【表2】
【0102】
<比較例1〜9>
【0103】
太陽電池保護シート用樹脂組成物の原料および配合量を調整して、それぞれ表3に示す配合に変更した以外は実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シート15A、15Bを得た。
【0104】
<比較例10>
太陽電池保護シート用樹脂組成物の原料および配合量を調整して、それぞれ表3に示す配合に変更した以外は実施例15と同様にして太陽電池裏面保護シート15A、15Bを得た。
【0105】
【表3】
【0106】
実施例1〜21および比較例1〜10で得られた裏面保護シート用樹脂組成物および裏面保護シートを以下の基準で評価し、評価結果を表4に示す。
【0107】
[極限粘度保持率]
ポリエステル樹脂に二酸化チタンなどを加えて溶融混練することで、熱、酸素、水分などによってポリエステルの分子量低下が起こり、極限粘度の低下を招く。極限粘度保持率はポリエステル樹脂が溶融混練前後で維持できている極限粘度を示す指標である。極限粘度保持率を75%以上に保つことで、実用上必要十分な機械的強度を備えるフィルムを生産することができる。
極限粘度保持率は裏面保護シート用樹脂組成物をフェノール:テトラクロロエタン=1:1の混合溶媒中、30℃で測定した溶液粘度から、極限粘度を算出した。測定は毛細管式自動粘度測定装置(柴山科学器械製作所製)を用い、JIS K7367−1に準拠して行った。評価は樹脂組成物に用いたポリエステル樹脂の極限粘度を100として、樹脂組成物の極限粘度に対するポリエステル樹脂の極限粘度を極限粘度保持率とした。
【0108】
[樹脂組成物の加水分解性評価]
加水分解性評価として、樹脂組成物の末端カルボキシル基増加濃度を評価した。なお、末端カルボキシル基増加濃度はポリエステル樹脂の加水分解の度合いを示す指標である。末端カルボキシル基増加濃度を30以下に保つことで、エステル結合の加水分解が生じにくくなる。
末端カルボキシル基増加濃度は裏面保護シート用樹脂組成物をo−クレゾール:クロロホルム=7:3の混合溶媒に溶解し、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用い、電位差滴定法で測定した。評価は樹脂組成物に用いたポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度との差を末端カルボキシル基増加濃度とした。
【0109】
[耐光性]
アイスーパーUVテスター(岩崎電気社製)に太陽電池裏面保護シート15Aを静置し、温度60℃、湿度50%RHの雰囲気で照射強度100mW/cm
2で12時間紫外線照射を行った。その後、裏面保護シートの黄色度(YI値)を分光測色計(倉敷紡績社製)を用いて測定した。なお黄色度は紫外線による劣化度合いを示しており、値が低いほど好ましい。
【0110】
[裏面保護シートの加水分解性評価]
太陽電池裏面保護シート15Aを85℃、湿度85%RHの環境下で500時間静置した。その後、太陽電池裏面保護シート15Aをo−クレゾール:クロロホルム=7:3の混合溶媒に溶解し、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用い、電位差滴定法で測定した。評価は耐湿熱性試験前後の末端カルボキシル基濃度の差を裏面保護シートの末端カルボキシル基増加濃度とした。
【0111】
[接着剤1との接着力評価]
(初期の接着力評価)
図2の試料を以下の方法で作成した。得られた裏面保護シート15Aの表面にコロナ処理し、次いで、接着剤1をグラビアコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように塗布し、溶剤を乾燥させて接着剤層を設けた。上記接着剤層16に、表面をコロナ処理した裏面保護シート15Bを重ね合わせた。その後、50℃で4日間、エージング処理し、上記接着剤層を硬化させ、
図2に示す接着力評価サンプル1を得た。上記サンプルを200mm×15mmの大きさに切断し、23℃、湿度50%RHの環境下で6時間静置後、ASTM−D1876−61の試験法に準拠し、引張り試験機を用いて、23℃、湿度50%RHの環境下で、剥離速度300mm/minでT型剥離試験を行った。
【0112】
(耐湿熱試験後の接着力評価)
接着力評価サンプル1を200mm×15mmの大きさに切断し、85℃、湿度85%RHの環境下で500時間静置した。その後、23℃、湿度50%RHの環境下で6時間静置後、ASTM−D1876−61の試験法に準拠し、引張り試験機を用いて、23℃、湿度50%RHの環境下で、剥離速度300mm/minでT型剥離試験を行った。
接着力評価は下記の基準で行った。
◎:5N/15mm以上であり、実用上優れる。
○:4〜5N/15mm未満であり、実用上問題なし。
△:2〜4N/15mm未満であり、実用範囲内
×:2N/15mm未満であり、実用不可である。
【0113】
[接着剤2との接着力評価]
(初期の接着力評価)
図2の試料を以下の方法で作成した。得られた裏面保護シート15Aの表面にコロナ処理し、次いで、接着剤2をグラビアコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように塗布し、溶剤を乾燥させて接着剤層を設けた。上記接着剤層16に、表面をコロナ処理した裏面保護シート15Bを重ね合わせた。その後、この積層体を真空ラミネーターによる真空下で、150℃で20分間加熱圧着し、
図2に示す接着力評価サンプル2を得た。上記サンプルを200mm×15mmの大きさに切断し、23℃、湿度50%RHの環境下で6時間静置後、ASTM−D1876−61の試験法に準拠し、引張り試験機を用いて、23℃、湿度50%RHの環境下で、剥離速度300mm/minでT型剥離試験を行った。
【0114】
(耐湿熱試験後の接着力評価)
接着力評価サンプル2を200mm×15mmの大きさに切断し、85℃、湿度85%RHの環境下で500時間静置した。その後、23℃、湿度50%RHの環境下で6時間静置後、ASTM−D1876−61の試験法に準拠し、引張り試験機を用いて、23℃、湿度50%RHの環境下で、剥離速度300mm/minでT型剥離試験を行った。
接着力評価は下記の基準で行った。
◎:5N/15mm以上であり、実用上優れる。
○:4〜5N/15mm未満であり、実用上問題なし。
△:2〜4N/15mm未満であり、実用範囲内
×:2N/15mm未満であり、実用不可である。
【0115】
[反射率]
裏面保護シート15Aの反射率を紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定した。反射率は白色標準板に対しての分光反射率を測定したものである。
反射率の判定は下記の基準で行った。
○:550nmの反射率が85%以上で実用可能。
×:550nmの反射率が85%未満で実用不可。
【0116】
【表4】
【0117】
表4の結果より、実施例1〜19は、全ての評価項目において比較例を上回る優れた耐久性が得られた。特に特定の二酸化チタンに表面処理を施すことで、一般的な二酸化チタンを用いた場合よりも、経時での接着剤層との接着力を保持できた。