【文献】
田淵満幸,加工米飯類とその製造技術,澱粉科学,1993年,Vol. 40,pp. 169-175
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加水手段は、前記ドラム内に配設される加水パイプであって、前記一次加圧蒸煮工程で表面にアルファ化層が形成された後の原料米に、前記加水パイプを利用して加水し、
前記乾燥手段は、前記ドラム内に連通可能とされる真空ポンプを有し、前記二次加圧蒸煮工程で中心部までアルファ化された後の原料米を、前記真空ポンプを利用して前記ドラム内を減圧することにより乾燥させる請求項4記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、湯水を注ぐだけで喫食可能な米飯に復元できるインスタントライスの製造方法、
及びその製造方法で使用する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のインスタントライスの製造方法は、
原料米を撹拌しつつ加圧蒸煮し、該原料米表面にアルファ化層を形成する一次加圧蒸煮工程と、
前記表面にアルファ化層が形成された原料米に加水する加水工程と、
前記加水された原料米の水分量を均一化するテンパリング工程と、
前記加水された原料米を撹拌しつつ加圧蒸煮し、該原料米の中心部までアルファ化する二次加圧蒸煮工程と、
前記中心部までアルファ化された原料米を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥した後の原料米を膨化する膨化工程と、
を備え
、
周面に原料ハッチが設けられるとともに水平な軸心回りに回転可能に配設されるドラムと、
前記ドラム内に配設され、該ドラムの回転に伴い、前記原料ハッチから該ドラム内に投入された原料米を撹拌する撹拌手段と、
前記ドラム内に蒸気を供給する蒸気供給手段と、
前記ドラム内を外気と連通可能とする弁を有し、原料米を加圧蒸煮するに際し前記弁を閉じることで、前記ドラム内を前記蒸気供給手段から供給される蒸気により加圧可能とする圧力調整手段と、
前記ドラム内に配設され、前記ドラム内において原料米に加水する加水手段と、
前記ドラム内を減圧することにより原料米を乾燥させる乾燥手段と、
を備える装置を使用し、
前記ドラム内において、前記原料米を撹拌しつつ前記一次加圧蒸煮工程、前記加水工程、前記テンパリング工程、前記二次加圧蒸煮工程及び前記乾燥工程を実施する。
【0010】
本発明のインスタントライスの製造方法は、
前記一次加圧蒸煮工程が、0.05〜0.2MPaの加圧状態で2〜5分間、原料米を加圧蒸煮し、
前記加水工程が、25〜35%の水分量となるよう原料米に加水し、
前記テンパリング工程が、50〜80℃の雰囲気下で20〜30分間、原料米をテンパリングし、
前記二次加圧蒸煮工程が、0.1〜0.2MPaの加圧状態で5〜10分間、原料米を加圧蒸煮し、
前記乾燥工程が、20〜22%の水分量となるよう、−0.08〜−0.09MPaの減圧状態で120〜240分間、原料米を減圧乾燥することが好ましい。
【0011】
本発明のインスタントライスの製造方法は、
前記乾燥した後の原料米を精米する精米工程と、
前記精米した後の原料米を圧扁する圧扁工程と、
をさらに備え、
前記膨化工程が、6〜8%の水分量となるよう、前記圧扁した後の原料米を200〜250℃の温度により乾燥して膨化することが好ましい。
【0013】
さらに、上記目的を達成するため、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、
上記一次加圧蒸煮工程、加水工程、テンパリング工程、二次加圧蒸煮工程及び乾燥工程を実施する装置であって、
周面に原料ハッチが設けられるとともに水平な軸心回りに回転可能に配設されるドラムと、
前記ドラム内に配設され、該ドラムの回転に伴い、前記原料ハッチから該ドラム内に投入された原料米を撹拌する撹拌手段と、
前記ドラム内に蒸気を供給する蒸気供給手段と、
前記ドラム内を外気と連通可能とする弁を有し、原料米を加圧蒸煮するに際し前記弁を閉じることで、前記ドラム内を前記蒸気供給手段から供給される蒸気により加圧可能とする圧力調整手段と、
前記ドラム内に配設され、前記ドラム内において原料米に加水する加水手段と、
前記ドラム内を減圧することにより原料米を乾燥させる乾燥手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、
前記加水手段が、前記ドラム内に配設される加水パイプであって、前記一次加圧蒸煮工程で表面にアルファ化層が形成された後の原料米に、前記加水パイプを利用して加水し、
前記乾燥手段が、前記ドラム内に連通可能とされる真空ポンプを有し、前記二次加圧蒸煮工程で中心部までアルファ化された後の原料米を、前記真空ポンプを利用して前記ドラム内を減圧することにより乾燥させることが好ましい。
【0015】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、
前記蒸気供給手段が、前記ドラムの第一の端面中央に形成される開口を介して該ドラム内に蒸気を供給し、
前記圧力調整手段が、前記ドラムの第二の端面中央に形成される開口を介して該ドラム内を外気と連通可能とすることが好ましい。
【0016】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、
前記ドラムの内周面における前記第一の端面側には、前記蒸気供給手段から供給される蒸気を該ドラム内に均一に分散させるスクリーンが配設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明におけるインスタントライスの製造方法は、一次加圧蒸煮工程において、原料米を撹拌しつつ加圧蒸煮するため、当該工程において原料米同士が結着することがなく、全ての原料米の表面全体に万遍なくアルファ化層が形成される。
また、本発明におけるインスタントライスの製造方法は、二次加圧蒸煮工程において、原料米を撹拌しつつ加圧蒸煮するため、当該工程において原料米同士が結着することがなく、全ての原料米の中心部まで万遍なくアルファ化される。
したがって、本発明のインスタントライスの製造方法によれば、全ての原料米を完全にアルファ化できるため、湯水を注ぐだけで喫食可能な米飯に復元できるインスタントライスを製造することができる。
【0018】
本発明におけるインスタントライスの製造方法は、加水工程において、原料米を撹拌しつつ加水することとすれば、当該工程において原料米同士が結着することがなく、全ての原料米は表面全体から万遍な吸水する。
また、本発明におけるインスタントライスの製造方法は、テンパリング工程において、原料米を撹拌しつつ水分量を均一化することとすれば、各原料米の内部において水分のムラがなくなり、また、原料米同士の水分量も均一化される。
したがって、本発明のインスタントライスの製造方法によれば、湯水を注ぐだけで喫食可能な米飯に復元できるインスタントライスをムラなく高品質に製造することができる。
【0019】
また、本発明のインスタントライスの製造方法により得られるインスタントライスは、全ての原料米が完全にアルファ化されるため、湯水を注ぐだけで喫食可能な米飯に復元できる
【0020】
本発明のインスタントライスの製造方法により得られるインスタントライスは、湯水を注ぐだけで喫食可能な高品質な米飯に復元できる。
【0021】
さらに、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、ドラム内において原料米を撹拌しながら前記製造方法における一次加圧蒸煮工程、加水工程、テンパリング工程、二次加圧蒸煮工程及び乾燥工程を実施することができるため、全ての原料米を完全にアルファ化することができ、湯水を注ぐだけで喫食可能な米飯に復元できるインスタントライスを製造することができる。
【0022】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、ドラム内で行う前記一連の処理の間、前記ドラム内に配設される撹拌手段により該ドラム内の原料米を常に撹拌することとすれば、当該ドラム内の全ての原料米に対し、前記一連の処理をムラなく均一に施すことができる。
したがって、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置によれば、ムラのない高品質なインスタントライスを効率よく製造することができる。
【0023】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、ドラム内に配設される加水手段により、該ドラム内において原料米に、アルファ化に必要なだけの少量の水を加え、該原料米に吸水を施すものであるから、浸漬処理のためのタンクが必要なく、そのための排水処理設備も設ける必要がない。
また、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置によれば、原料米に吸水を施し、該吸水を施した原料米を加圧蒸煮処理し、該加圧蒸煮処理した原料米を乾燥させるまでの一連の処理を同一のドラム内で行うことができるため、製造ラインが簡素となり、設備コストが大幅に低減できる。
【0024】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、前記ドラム内に加温手段を配設し、ドラム内で行う前記一連の処理の間、前記加温手段により該ドラム内を常に加温することとすれば、原料を吸水しやすい状態にできるため、該原料に短時間で吸水を施すことが可能となり、また、前記加圧蒸煮処理により加工した原料を短時間で乾燥させることも可能となる。
【0025】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、前記加水手段が、前記ドラム内に配設される加水パイプであって、前記ドラム内において表面にアルファ化層を形成するための一次加圧蒸煮が施された後の原料米に、前記加水パイプを利用して加水することとすれば、原料米の表面がアルファ化層によって強靱なものとなっているため、原料米の吸水速度を速めるために加水量を増やしても、前記原料米の表面に亀裂を生じることがない。
したがって、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置によれば、外観品位の良好なインスタントライスを効率よく製造することができる。
【0026】
しかも、本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置によれば、前記ドラム内において前記一次加圧蒸煮が施された後の原料米は、当該蒸煮による熱により非常に吸水しやすい状態となるが、前記ドラム内の加温により前記原料米が非常に吸水しやすい状態を維持したまま加水することができるため、より短時間で吸水を施すことが可能となり、また、排水が出ないよう加水量をコントロールすることも可能となる。
【0027】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、前記蒸気供給手段が、前記ドラムの第一の端面中央に形成される開口を介して該ドラム内に蒸気を供給し、前記圧力調整手段が、前記ドラムの第二の端面中央に形成される開口を介して該ドラム内を外気と連通可能とすれば、前記蒸気を供給する側の端面と反対に位置する端面から該ドラム内の空気を排出することができるため、当該ドラム内の空気を効率よく蒸気に置き換えることができる。
【0028】
本発明のインスタントライスの製造方法で使用する装置は、前記ドラムの内周面における前記第一の端面側に、前記蒸気供給手段から供給される蒸気を該ドラム内に均一に分散させるスクリーンが配設されることとすれば、前記蒸気が前記スクリーンを通ってドラム内に均一に分散することとなるため、前記ドラム内に蒸気を効率よく充填することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程のフロー図を示す。
本発明のインスタントライスは、一次加圧蒸煮工程(S1)、定量加水工程(S2)、テンパリング工程(S3)、二次加圧蒸煮工程(S4)、除圧工程(S5)、乾燥工程(S6)、精米工程(S7)、圧扁工程(S8)、乾燥工程(S9)、膨化工程(S10)、放冷(S11)の各工程を経て製造される。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置の切り欠き斜視図を示す。また、
図3は、本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置の断面図を示す。
【0032】
本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置は、架台1と、該架台1上において横設され、水平な軸心回りに回転可能に支持されるドラム2と、該ドラム2を回転駆動するモータ3を備える。
【0033】
前記架台1の一方側の上面には前記モータ3と減速機4及び一対の支持ローラ11が設けられ、前記架台1の他方側の上面には支柱12が設けられる。前記減速機4の出力軸には駆動ギヤ41が設けられ、前記モータ3の駆動力が前記減速機4を介して前記駆動ギヤ41に伝達される。
【0034】
一方、前記ドラム2の周面には、軸方向中央部に原料ハッチ21が設けられる。また、前記ドラム2の周面であって一方の端面側には、前記駆動ギヤ41に噛み合う従動ギヤ22、及び前記一対の支持ローラ11により支持される突状部23が、それぞれ全周に亘り形成される。
【0035】
また、前記ドラム2の各端面には、それぞれ中央に開口が形成され、一方の端面から外部に延出する第一の円筒状部24、及び他方の端面から外部に延出する第二の円筒状部25の各内部を介して、前記ドラム2の内外が連通するものとされる。
【0036】
前記ドラム2は、前記一方の端面側に形成される突状部23が前記一対の支持ローラ11により支持され、前記他方の端面に設けられる第二の円筒状部25が前記支柱12上に固定される軸受13により支持される。そして、前記ドラム2は、前記モータ3の駆動力が前記駆動ギヤ41から前記従動ギヤ22に伝達されて回転駆動される。
【0037】
図3に示すように、前記ドラム2内には、該ドラム2内を加温する加温パイプ51と、前記原料ハッチ21から該ドラム2内に投入される原料を攪拌する攪拌羽根54,55と、該ドラム2内において原料に加水する加水パイプ56が配設される。
【0038】
前記加温パイプ51は、前記ドラム2内において一本のパイプが二重螺旋を形成するように前記両端面間に亘り配設される。また、前記加温パイプ51は、前記ドラム2と一体となって回転するように配設される。
前記加温パイプ51には、加温用蒸気供給弁52及び加温用蒸気排出弁53の開放により、図示しないドラム外の加温用蒸気供給源から前記第二の円筒状部25内を介して加温用蒸気が供給される。そして、該加温用蒸気は、前記ドラム2内において前記加温パイプ51内を流動し、該ドラム2内を加温した後、前記第二の円筒状部25内を介して、ドラム外に排出される。
【0039】
前記撹拌羽根54,55は、前記ドラム2内において正逆方向に螺旋を形成する羽根部材が原料を軸方向中央部に移送するよう該中央部を挟んで対向して配設される。
前記撹拌羽根54,55には、直径の異なる二種類の羽根部材を設けてなり、第一の撹拌羽根54は前記ドラム2の内周面に固定され、第二の撹拌羽根55は前記加温パイプ51に固定される。これにより、該撹拌羽根54,55は、前記ドラム2と一体となって回転する。前記撹拌羽根54,55として、前記二種類の羽根部材を配設することで、原料の撹拌力及び移送力を高めることができる。
【0040】
前記加水パイプ56は、前記ドラム2内において一本の直線状のパイプが前記加温パイプ51の内側に位置するよう配設される。また、前記加水パイプ56には、複数の加水ノズル57が設けられる。該加水パイプ56は、前記ドラム2とともに回転しないように配設される。
前記加水パイプ56には、水供給弁58の開放により、図示しないドラム外の水供給源から前記第一の円筒状部24内を介して水が供給される。そして、該水は、前記ドラム2内において前記加水パイプ56に設けられる複数の加水ノズル57から噴霧又はシャワーにより原料に加水される。
【0041】
前記ドラム2内には、蒸気供給弁61の開放により、図示しないドラム外の蒸気供給源から前記第一の円筒状部24内を介して蒸気が供給される。
【0042】
前記ドラム2の内周面であって前記一方の端面の側にはスクリーン62を配設することができる。該スクリーン62は、前記蒸気供給源から前記第一の円筒状部24内を介して供給される蒸気を、前記ドラム2内に均一に分散させる。前記スクリーン62として、原料の粒径よりも小さなメッシュのものを配設すれば、前記原料が前記ドラム2の一方の側における端部に滞留するのを防ぐことができる。
また、前記ドラム2には、前記一方の端面の側であって前記スクリーン62よりも端面側の位置に、図示しない安全弁が設けられる。前記ドラム2は、該ドラム2内の圧力が異常と判断される設定値を超えた場合、該ドラム2内の蒸気が前記安全弁から放出されることで、該ドラム2内の圧力を自動的に所定の設定値以下の値まで降下させることができる。
【0043】
一方、前記ドラム2内は、後述する外気連通パイプ63に設けられるドラム開放弁64の開放により、前記第二の円筒状部25内を介して外気と連通可能とされる。
前記蒸気供給源から前記ドラム2内に蒸気が供給される際、前記ドラム開放弁64を開放しておけば、前記蒸気を供給する側とは反対側に位置する他方の端面から該ドラム2内の空気を排出することができる。そのため、前記ドラム2内の空気を効率よく蒸気に置き換えることができる。
また、前記ドラム2内に蒸気が供給される際に前記ドラム開放弁64を閉鎖することで、該ドラム2内を加圧状態とすることができる。
【0044】
前記ドラム2内は、吸引弁65の開放により、前記第一の円筒状部24内を介してドラム外の真空ポンプと連通可能とされる。
前記真空ポンプを利用して前記ドラム2内を減圧することで、該ドラム2内の原料を乾燥させることができる。
【0045】
ここで、
図4は
図3のA部拡大図を示す。また、
図5は
図3のB部拡大図を示す。
図4に示すように、前記第一の円筒状部24には、第一の配管72が軸受71を介して相対的に回転可能に接続される。
該第一の配管72には、前記蒸気供給源に連通する蒸気供給管73と、前記真空ポンプに連通する吸引管74が接続される。ここで、前記第一の配管72、前記蒸気供給管73、及び前記吸引管74は、一体に形成されるものでもよく、別体に形成されるものでもよい。
【0046】
また、前記第一の配管72の中心部には、前記第一の円筒状部24内を介して前記加水パイプ56に、前記水供給源から水を供給する加水配管75が、前記ドラム2とともに回転しないよう配設される。
そして、前記第一の配管72及び第一の円筒状部24の各内周面と前記加水配管75の外周面との間には、前記蒸気供給管73及び前記吸引管74と前記ドラム2内とを連通する通路が形成される。
【0047】
一方、
図5に示すように、前記第二の円筒状部25には、第二の配管81が軸受13を介して相対的に回転可能に接続される。
該第二の配管81には、前記加温用蒸気供給源に連通する加温用蒸気供給管82と、前記加温パイプ51から前記加温用蒸気を排出する加温用蒸気排出管83が接続される。ここで、前記第二の配管81、前記加温用蒸気供給管82、及び前記加温用蒸気排出管83は、一体に形成されるものでもよく、別体に形成されるものでもよい。
【0048】
また、前記第二の円筒状部25の内部には、円筒状壁84が前記ドラム2と一体となって回転するよう配設される。
さらに、前記円筒状壁84の内部には、前述のとおり、前記ドラム開放弁64の開放により前記ドラム2内を外気と連通可能とする外気連通パイプ63が、前記ドラム2とともに回転しないよう配設される。
そして、前記円筒状壁84の内周面と前記外気連通パイプ63の外周面との間には、前記加温用蒸気供給管82と前記加温パイプ51とを連通する通路が形成される。また、前記第二の円筒状部25及び前記第二の配管81の各内周面と前記円筒状壁84の外周面との間には、前記加温パイプ51と前記加温用蒸気排出管83とを連通する通路が形成される。
【0049】
次に、本発明の実施の形態における製造工程によりインスタントライスを製造する方法について説明する。
【0050】
本発明の実施の形態では、上記製造工程における一次加圧蒸煮工程(S1)から乾燥工程(S6)までの一連の工程を、
図2乃至5に示す上記装置を使用して実施する。
なお、ここでは、玄米又は分搗米を原料米として用いる。
【0051】
まず、前記加温用蒸気供給弁52及び加温用蒸気排出弁53を開放し、図示しない前記加温用蒸気供給源から前記加温パイプ51に加温用蒸気を供給し、該加温用蒸気を前記加温パイプ51内で流動させて前記ドラム2内を加温する。
そして、上方に向けられた前記原料ハッチ21から前記加温されたドラム2内に原料米を投入し、該ドラム2を回転させて前記撹拌羽根54,55により原料米の撹拌を開始する。ドラム2内の加温及び該ドラム2の回転による原料米の撹拌は、前記乾燥工程(S6)が終了するまで継続して行われる。
【0052】
(S1)一次加圧蒸煮工程
前記蒸気供給弁61を開放し、前記蒸気供給源から連続して蒸気を供給する。この時、前記吸引弁65を閉鎖し、前記蒸気を供給する側と反対側の端面に位置する前記ドラム開放弁64を開放することで、前記ドラム2内の空気が前記蒸気に押されるように前記ドラム開放弁64から排出され、前記ドラム2内の空気が効率よく蒸気に置き換わる。
前記ドラム2内の空気が前記蒸気に置き換わったら、前記ドラム2内への蒸気の供給は継続しつつ前記ドラム開放弁64を閉鎖し、該ドラム内2が0.05〜0.2MPaの所定圧力となるまで前記蒸気により加圧する。
そして、該ドラム2内が所定圧力に到達した時点から原料米の澱粉が表面部のみアルファ化されるまで2〜5分間、前記蒸気供給弁61の開閉度を制御することで、前記ドラム2内の圧力を一定に維持しつつ、前記原料米を加圧蒸煮処理する。
【0053】
この時、前記ドラム2の回転は継続され、該ドラム2内において原料米が撹拌されているため、原料米同士が結着することがなく、全ての原料米の表面全体に万遍なくアルファ化層が形成される。
前記所定時間が経過した後は、前記蒸気供給弁61を閉鎖するとともに、前記ドラム開放弁64を開放し、前記ドラム2内を0MPa、即ち大気圧へと除圧する。
【0054】
(S2)定量加水工程
前記ドラム開放弁64を閉鎖するとともに前記水供給弁58を開放し、図示しない前記水供給源から前記加水パイプ56に水を供給し、該加水パイプ56に設けられた複数の加水ノズル57から噴霧又はシャワーにより、前記ドラム2内に余剰水が生じないペースで、原料米が25〜35%、好ましくは25〜32%の所定の水分量となるよう加水を行う。ここで、前記ドラム2内の圧力は0MPaに維持されている。
この時、前記ドラム2内が前記加温パイプ51により加温されているから、前記原料米の吸水は短時間で終了する。また、前記ドラム2の回転は継続され、該ドラム2内において原料米が撹拌されているため、原料米同士が結着することがなく、全ての原料米は表面全体から万遍なく給水する。
【0055】
前記一次加圧蒸煮処理が施された原料米は、表面全体に万遍なく均一なアルファ化層が形成され、該表面部が強靱なものとなっているため、原料米の吸水速度を速めるために加水量を増やしても、前記原料米の表面に亀裂を生じることがない。
また、前記一次加圧蒸煮処理が施された原料は、熱により非常に吸水しやすい状態となっているが、前記ドラム2内の加温により前記原料米が非常に吸水しやすい状態を維持したまま加水することとなるため、より短時間で吸水を施すことが可能となり、また、排水が出ないよう加水量をコントロールすることも可能となる。
【0056】
(S3)テンパリング工程
前記水供給弁58を閉鎖し、50〜80℃の雰囲気下において20〜30分間テンパリングを行う。ここで、前記ドラム2内の圧力は0MPaに維持されている。また、前記原料米の水分量は25〜35%に維持されている。
この時、前記ドラム2の回転は継続され、該ドラム2内において原料米が撹拌されているため、各原料米の内部において水分のムラがなくなり、また、原料米同士の水分量も均一化される。
また、本工程では、十分な時間をかけてテンパリングを行うため、ミネラル等の機能性成分を富化することができる。
【0057】
(S4)二次加圧蒸煮工程
前記蒸気供給弁61を開放し、前記蒸気供給源から再び蒸気を供給する。この時、前記吸引弁65は閉鎖状態を維持し、前記ドラム開放弁64を開放することで、前記ドラム2内の空気が前記蒸気に押されるように前記ドラム開放弁64から排出され、前記ドラム2内の空気が効率よく蒸気に置き換わる。
【0058】
前記ドラム2内の空気が前記蒸気に置き換わったら、前記ドラム2内への蒸気の供給は継続しつつ前記ドラム開放弁64を閉鎖し、該ドラム内2が0.1〜0.2MPaの所定圧力となるまで前記蒸気により加圧する。
そして、該ドラム2内が所定圧力に到達した時点から原料の澱粉が中心部までアルファ化されるまで5〜10分間、前記蒸気供給弁61の開閉度を制御することで、前記ドラム2内の圧力を一定に維持しつつ、前記原料米を加圧蒸煮処理する。
この時、前記ドラム2の回転は継続され、該ドラム2内において原料米が撹拌されているため、当該工程において原料米同士が結着することがなく、全ての原料米の中心部まで万遍なくアルファ化される。
【0059】
(S5)除圧工程
前記所定時間が経過した後は、前記蒸気供給弁61を閉鎖するとともに、前記ドラム開放弁64を開放し、前記ドラム2内を0MPa、即ち大気圧へと除圧する。この時、蒸気の排出に伴い、原料米表面の粗熱が取り除かれる。
【0060】
(S6)乾燥工程
前記ドラム開放弁64を閉鎖するとともに前記吸引弁65を開放し、前記真空ポンプを作動させて前記ドラム2内を減圧する。その際、前記ドラム2内を120〜240分間、−0.08〜−0.09MPaの負圧の状態に維持することで、該ドラム2内の原料米を効率よく乾燥させることができる。
【0061】
そして、この時、前記ドラム2の回転は継続され、該ドラム2内において原料米が撹拌されているため、原料米同士が結着することがなく、全ての原料米は均一にムラなく乾燥する。
また、前記ドラム2内は、加温パイプ51により加温されているから、前記乾燥が短時間で終了する。
乾燥終了後は、前記原料ハッチ21を上向きにして前記ドラム2の回転を停止させるとともに、前記加温用蒸気供給弁52及び加温用蒸気排出弁53を閉鎖し、前記加温用蒸気供給源から前記加温パイプ51への加温用蒸気の供給を停止する。また、前記真空ポンプの作動を停止させるとともに、前記吸引弁65を閉鎖する。さらに、前記ドラム開放弁64を開放し、前記ドラム2内の圧力を大気圧へと戻す。
【0062】
その後、前記上向きの原料ハッチ21の扉を開けて前記ドラム2を回転させながら前記ドラム2内の原料を排出する。ここで、該排出される原料米の水分量は、前記乾燥処理により20〜22%となっている。
この時、前記一連の処理の間、前記ドラム2の回転による撹拌羽根の作用により原料米は中央部へ移動されており、ドラム2外へ容易に排出することができる。
【0063】
(S7)精米工程
次に、前記ドラム2から排出された原料米を、公知の縦型研削式精米機等を用いて精米し白米に仕上げる。ドラム2から排出された原料米は水分量が多く弾力があるため、これを精米(wet milling)しても砕粒が発生しにくく歩留まりが向上する。
【0064】
(S8)圧扁工程
公知の圧扁機を用い、前記白米をロール間隙0.25〜0.4mmの一対のロール間に通過させて圧扁処理を行う。当該圧扁処理により、原料米の細胞同士の結合を緩めることができ、後述する膨化を容易とすることができる。
【0065】
(S9)乾燥工程
公知の乾燥機を用い、前記圧扁処理した原料米を温風により乾燥し、該原料米の水分量を12〜16%に調整する。
【0066】
(S10)膨化工程
特許文献1に記載された「膨化乾燥処理装置」などの公知の装置を用い、前記水分量を調整した原料米を200〜250℃の高温により水分量が6〜8%となるよう膨化処理する。当該膨化処理により、原料米が膨らみ内部に空洞が形成されて吸水性が向上し、湯水で短時間に復元できるインスタントライスに仕上げることができる。
【0067】
(S11)放冷工程
膨化処理した原料米を常温風により冷却する。当該冷却された原料米は、包装等の工程を経て製品化される。
【0068】
上記本実施の形態では、
図1に示す製造工程における一次加圧蒸煮工程(S1)から乾燥工程(S6)までの一連の工程を、
図2乃至5に示す装置を使用して実施することとしたが、例えば特許文献1に記載されたように、上記各工程を複数の装置を組み合わせて実施することもできる。但し、本発明では、少なくとも一次加圧蒸煮工程(S1)及び二次加圧蒸煮工程(S4)、好ましくは一次加圧蒸煮工程(S1)から二次加圧蒸煮工程(S4)までの工程を、原料米を撹拌しながら処理することが必要である。
【0069】
また、上記本発明の実施の形態では、原料米として玄米又は分搗米を用いたが、白米を用いてもよく、その場合、前記精米工程(S7)を省略することができる。
【0070】
なお、本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置は、加温パイプ51がドラム2と一体となって回転するよう配設するものとしたが、前記加温パイプ51は前記ドラム2とともに回転しないよう配設することもできる。
【0071】
本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置は、加温パイプ51に蒸気を供給することで前記ドラム2内を加温することとしたが、該加温パイプ51に熱湯を供給することで前記ドラム2内を加温することとしてもよい。また、前記加温パイプ51に換えて加温ヒータによりドラム内を加温することとしてもよい。
【0072】
本発明の実施の形態におけるインスタントライスの製造工程で使用する装置は、前記撹拌羽根54,55として、直径の異なる二種類の羽根部材を設けることとしたが、一種類の羽根部材のみを設けることとしてもよい。
【0073】
本発明は、上記実施の形態に限らず発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更できることはいうまでもない。