特許第6115229号(P6115229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115229
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04858 20160101AFI20170410BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20170410BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20170410BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20170410BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20170410BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20170410BHJP
【FI】
   H01M8/04 P
   H01M8/04 Z
   H01M8/00 Z
   F24H1/00 631A
   F24H1/18 301F
   !H01M8/12
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-61802(P2013-61802)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-186903(P2014-186903A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 和政
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−33715(JP,A)
【文献】 特開2008−152997(JP,A)
【文献】 特開2010−246228(JP,A)
【文献】 特開2010−14373(JP,A)
【文献】 特開2009−277585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00,8/04−8/0668,8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、
前記燃料電池から供給される直流電流を交流電流に変換する電力変換装置と、
系統電源からの電力および前記電力変換装置からの電力が供給される第1負荷装置と、
前記系統電源の送電が停止された場合に、前記燃料電池を発電させて前記電力変換装置からの電力のみを自立用出力端子を介して供給する自立発電運転中において、前記自立用出力端子に接続されて、前記電力変換装置からの電力のみが供給される第2負荷装置と、
前記第2負荷装置の電流又は電圧の少なくともいずれか一方を検出するセンサと、
前記電力変換装置と前記第1負荷装置および前記系統電源との間に設けられ、前記系統電源の送電がある場合には閉路し、前記系統電源からの送電が停止された場合には開路することにより、前記電力変換装置と前記第1負荷装置および前記系統電源とを電気的に接続または遮断する第1開閉装置と、
前記電力変換装置と前記自立用出力端子との間に設けられ、前記系統電源の送電がある場合には開路し、前記系統電源からの送電が停止された場合には閉路することにより、前記電力変換装置と前記自立用出力端子とを電気的に遮断または接続する第2開閉装置と、
前記燃料電池の制御を少なくとも行う燃料電池制御装置と、
前記燃料電池制御装置からの通知制御信号に応じた通知を使用者に通知する通知装置と、を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池制御装置は、前記自立発電運転中であって、前記センサにより検出された前記第2負荷装置の電流又は電圧の少なくともいずれか一方から算出される前記第2負荷装置の消費電力が所定値以上であるときは、前記燃料電池が過負荷状態であると判定する過負荷判定部と、
前記過負荷判定部によって前記燃料電池が過負荷状態であると判定されたときに、前記通知装置に前記燃料電池が過負荷状態であることを通知させるように制御する通知制御部と、を備え
前記燃料電池制御装置は、前記過負荷判定部によって前記燃料電池が過負荷状態であると判定されたときに、前記第2開閉装置を開路させるように制御を行う燃料電池システム。
【請求項2】
少なくとも前記燃料電池の排熱を熱交換により回収した湯水を貯める貯湯槽と、
前記貯湯槽の残湯量を少なくとも制御する貯湯槽制御装置と、
前記貯湯槽制御装置に通信可能に接続されて前記貯湯槽の貯湯状況を少なくとも表示する表示部を備えた前記貯湯槽の遠隔操作を行うリモコンと、
をさらに備え、
前記通知装置は前記リモコンであり、
前記貯湯槽制御装置は、前記燃料電池制御装置から前記燃料電池が過負荷状態である通知制御信号を受けた場合に、前記表示部に前記燃料電池が過負荷状態であることを表示する制御を行う請求項1の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。燃料電池システムは、燃料と酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、燃料電池から供給される直流電流を交流電流に変換する電力変換装置とを備えており、この電力変換装置による電力と系統電源から供給される電力を組み合わせて、家庭用機器等の負荷装置に電力を供給している。
【0003】
そして、このように構成された燃料電池システムにおいては、系統電源からの送電が停止(以下、停電とする)した場合、系統電源と燃料電池を切り離し、燃料電池が発電する電力のみを負荷装置に供給するように運転(以下、自立発電運転とする)させることもできる。これにより、停電した後復旧するまでの間、家庭用機器等の負荷装置に電力を供給することができる。
【0004】
さらに、特許文献1によれば、停電後復旧するまでの間は、燃料電池の温度に応じて負荷装置の最大電力を推定し、推定された最大電力となるよう燃料ガスを継続して燃料電池へ供給するように自立発電運転を開始させることで、停電後直ちに安定した電力を供給することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−108666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような自立発電運転中において、負荷装置の消費電力が所定値以上となって燃料電池が過負荷状態となる場合は、使用する負荷装置の消費電力を所定値以下に抑える必要がある。すなわち、所定値を超える消費電力の負荷装置を接続したときは、燃料電池が過負荷状態となって燃料電池システムがシャットダウンする場合があり、燃料電池の劣化を招くという問題が発生するためである。
【0007】
さらに、接続されている負荷装置の消費電力が所定値以下である場合であっても、負荷装置である冷蔵庫やテレビ等の電源入力部がコンデンサインプット型整流回路であるときは、燃料電池と負荷装置が接続された時に、負荷装置の消費電力が所定値以上となる突入電流が発生する場合がある。このときも燃料電池は過負荷状態となり、燃料電池システムはシャットダウンする場合があり、燃料電池の劣化問題が生じる。
【0008】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、自立発電運転中における燃料電池の過負荷状態に起因する燃料電池システムのシャットダウンを回避し、燃料電池の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る燃料電池システムは、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、燃料電池から供給される直流電流を交流電流に変換する電力変換装置と、系統電源からの電力および電力変換装置からの電力が供給される第1負荷装置と、系統電源の送電が停止された場合に、燃料電池を発電させて電力変換装置からの電力のみを自立用出力端子を介して供給する自立発電運転中において、自立用出力端子に接続されて、電力変換装置からの電力のみが供給される第2負荷装置と、第2負荷装置の電流又は電圧の少なくともいずれか一方を検出するセンサと、電力変換装置と第1負荷装置および系統電源との間に設けられ、系統電源の送電がある場合には閉路し、系統電源からの送電が停止された場合には開路することにより、電力変換装置と第1負荷装置および系統電源とを電気的に接続または遮断する第1開閉装置と、電力変換装置と自立用出力端子との間に設けられ、系統電源の送電がある場合には開路し、系統電源からの送電が停止された場合には閉路することにより、電力変換装置と自立用出力端子とを電気的に遮断または接続する第2開閉装置と、燃料電池の制御を少なくとも行う燃料電池制御装置と、燃料電池制御装置からの通知制御信号に応じた通知を使用者に通知する通知装置と、を備えた燃料電池システムであって、燃料電池制御装置は、自立発電運転中であって、センサにより検出された第2負荷装置の電流又は電圧の少なくともいずれか一方から算出される第2負荷装置の消費電力が所定値以上であるときは、燃料電池が過負荷状態であると判定する過負荷判定部と、過負荷判定部によって燃料電池が過負荷状態であると判定されたときに、通知装置に燃料電池が過負荷状態であることを通知させるように制御する通知制御部と、を備え、燃料電池制御装置は、過負荷判定部によって燃料電池が過負荷状態であると判定されたときに、第2開閉装置を開路させるように制御を行う。
【0010】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る燃料電池システムにおいて、少なくとも燃料電池の排熱を熱交換により回収した湯水を貯める貯湯槽と、貯湯槽の残湯量を少なくとも制御する貯湯槽制御装置と、貯湯槽制御装置に通信可能に接続されて貯湯槽の貯湯状況を少なくとも表示する表示部を備えた貯湯槽の遠隔操作を行うリモコンと、をさらに備え、通知装置はリモコンであり、貯湯槽制御装置は、燃料電池制御装置から燃料電池が過負荷状態である通知制御信号を受けた場合に、表示部に燃料電池が過負荷状態であることを表示する制御を行う。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、系統電源からの送電が停止(以下、停電とする)したことによる燃料電池システムの自立発電運転中において、過負荷判定部によって燃料電池が過負荷状態であると判定された場合に、自立用出力端子に取り付けられた第2負荷装置と燃料電池とが、第2開閉装置によって電気的に遮断される。これにより、自動で燃料電池の過負荷状態を解消することができ、燃料電池システムのシャットダウンを自動的に回避することができる。そして、過負荷状態であることを通知装置により知らされた使用者が、第2負荷装置を自立用出力端子から外せば、消費電力を所定値以下とすることができる。その後、燃料電池システムと消費電力が所定値以下の第2負荷装置とを電気的に接続して自立発電運転を行えば、燃料電池システムのシャットダウンがないため、燃料電池の劣化を防ぐことができる。
【0013】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1における通知装置が貯湯槽を遠隔操作するリモコンで構成されている。リモコンは、貯湯槽の貯湯状況などをその表示部に表示して、その状況を使用者へ知らせる機能も備える既存の装置である。よって、その表示部に燃料電池が過負荷状態である表示を行えば、新たな装置を増やすことなく、使用者に燃料電池が過負荷状態であることを知らせることができ、安価に本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による燃料電池システムの実施形態を示す概要図である。
図2図1に示す発電器の概要図である。
図3図1に示す貯湯槽制御リモコンの正面図である。
図4】本発明による燃料電池システムの停電が発生した場合における動作のフローチャートである。
図5】本発明による燃料電池システムの他の実施形態における燃料電池の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による燃料電池システムの実施形態の一つである実施例について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、発電ユニット10および貯湯ユニット20を備えている。
【0017】
発電ユニット10は、直流電力を発電する発電器11、電力変換装置12および電源基板13を備えている。図2に示すように発電器11は、燃料電池11a、気化器11bおよび改質部11cを備えている。
【0018】
気化器11bは、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。気化器11bは、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して混合ガスを改質部11cに供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料がある。
【0019】
改質部11cは、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、気化器11bから供給された混合ガス(改質用原料および水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。混合ガスが触媒によって反応し、改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水素が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池11aの燃料極に導出されるようになっている。
【0020】
燃料電池11aは、燃料と酸化剤ガスとにより発電するものである。燃料電池11aは、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル11a1が図2の左右方向に積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池11aは、固体酸化物燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池11aの燃料極には、燃料としての水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。セル11a1の燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路11a2が形成されている。セル11a1の空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路11a3が形成されている。空気流路11a3には、カソードエアがカソードエアブロワ10a(またはカソードエアポンプ)によって供給されている。
【0021】
燃料電池11aにおいては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を通過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。
(化1)
+O2−→HO+2e
(化2)
CO+O2−→CO+2e
(化3)
1/2O+2e→O2−
【0022】
燃焼ガスは、燃料流路11a2から導出した発電に使用されなかった改質ガスが、空気流路11a3から導出した発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)によって燃焼されたものである。
【0023】
電力変換装置12は、燃料電池11aから供給された直流電流を交流電流に変換するものである。また、電力変換装置12は、変換した交流電流を出力する機能を備えている。電力変換装置12には、送電線14の一端が接続されており、電力変換装置12の交流電力が送電線14に出力されるようになっている。送電線14の他端には、第1負荷装置15が接続されている。電力変換装置12が出力する電力は、必要に応じて送電線14を介して第1負荷装置15に供給されるようになっている。第1負荷装置15は、電灯、アイロン、テレビ、洗濯機、電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫などの電気器具である。
【0024】
送電線14上であって電力変換装置12と第1負荷装置15の間には、一端が系統電源30に接続された電源ライン31の他端が接続部14aで接続されている。また、電源ライン31上には、配電盤32が配設されている。発電ユニット10が発電する電力より第1負荷装置15の電力が上回った場合、その不足電力は、電源ライン31から配電盤32を介して系統電源30からの電力が供給されるようになっている。よって、第1負荷装置15は、系統電源30からの電力および電力変換装置12からの電力が供給されるようになっている。
【0025】
送電線14上であって電力変換装置12と接続部14aの間には、一端が自立用出力端子16に接続された送電線17の他端が接続部14bで接続されている。自立用出力端子16には、第2負荷装置18が着脱可能に接続されている。
【0026】
自立用出力端子16は、系統電源30からの電力供給が停止(以下、停電とする)された場合に燃料電池11aを発電させて電力変換装置12からの電力のみを第2負荷装置18に供給するように運転(以下、自立発電運転とする)する間のみに使用されるものである。すなわち、自立用出力端子16は、停電の場合における自立発電運転中に燃料電池11aが発電する電力のみが出力されるようになっている。
【0027】
第2負荷装置18は、自立発電運転中において、電力変換装置12に接続されて、電力変換装置12からの電力のみが供給されるものである。第2負荷装置18は、第1負荷装置15と同様の電気器具であるが、停電の場合における自立発電運転中に、使用者が使用したい電気器具について、自立用出力端子16に接続して使用されるものである。
【0028】
また、電力変換装置12は、電源ライン31および送電線14を介して供給される系統電源30からの交流電力を直流電力に変換して出力する機能を備えている。電力変換装置12が出力する直流電力は、電源基板13に出力される。電源基板13は、供給された直流電力を所定の直流電力に変換して補機10bなどに供給している。補機10bは、図示のない改質水ポンプ、原料ポンプや各部位の温度センサなどの発電ユニット10を作動させるのに必要であって直流電流で作動するものから構成されている。
【0029】
また、電源ライン31上であって系統電源30と配電盤32の間には、電圧センサ31aが配設されている。電圧センサ31aは、系統電源30から電力変換装置12へ供給される電力の電圧を検出するものである。なお、本実施形態においては、系統電源30の電圧を検出するために電圧センサ31aを配設しているが、系統電源30から電力変換装置12へ供給される電力を検出する電力センサを配設するようにしても良い。
【0030】
さらに、発電ユニット10は、第1開閉器14c(本発明の第1開閉装置に相当)、第2開閉器17a(本発明の第2開閉装置に相当)、センサ12aおよび燃料電池制御装置19を備えている。
第1開閉器14cは、送電線14上であって接続部14aと接続部14bとの間に配設され、開路または閉路することにより電力変換装置12と系統電源30とを電気的に遮断または接続するものである。第2開閉器17aは、電力変換装置12と第2負荷装置18との間に配設され、開路または閉路することにより、電力変換装置12と第2負荷装置18とを電気的に遮断または接続する開閉装置である。より具体的には、第2開閉器17aは、送電線17上であって接続部14bと自立用出力端子16との間に配設されている。
【0031】
センサ12aは、電力変換装置12の交流電力の出力部に配設され、出力電力の電流または電圧の少なくともいずれか一つを検出するものである。停電の場合における自立発電運転中には、第2負荷装置18にのみ電力変換装置12からの電力が供給されるため、センサ12aは第2負荷装置18の電流または電圧の少なくともいずれか一方を検出する。また、送電線14上であって第1開閉器14cと接続部14aの間には、ブレーカ14dが配設されている。系統電源30からの送電が行われている場合であって、何らかの原因により送電線14に異常な電流(例えば過電流)が流れたときに、ブレーカ14dは自動で送電線14を開路とするようになっている。これにより発電ユニット10は異常な電流による損傷などから回避される。
【0032】
燃料電池制御装置19は、燃料電池11aの制御を少なくとも行うものである。具体的には、系統電源30から電力供給があるときは、第1負荷装置15の消費電力となるように燃料電池11aの発電量の制御を行う。このとき、燃料電池11aの発電する電力より第1負荷装置15の消費電力が上回る場合は、その不足電力を系統電源30から受電して補うようになっている。停電の場合は、第2負荷装置18の消費電力となるように燃料電池11aの発電量の制御を行う。また、第1開閉器14cおよび第2開閉器17aは、燃料電池制御装置19からの指示に従って、開閉制御されるようになっている。また、燃料電池制御装置19は、センサ12aの検出信号が入力されるようになっている。後述するように燃料電池制御装置19はセンサ12aの検出信号に基づいて、燃料電池11aが過負荷状態であるか否かを判定する。さらに、燃料電池制御装置19は、電圧センサ31aの検出信号が入力されるようになっている。燃料電池制御装置19は、入力された電圧センサ31aの信号に基づいて、系統電源30の停電を検出することができる。具体的には、電圧センサ31aによって検出された系統電源30の電圧が所定電圧以下(例えば定格の1/10以下)である場合は、系統電源30は停電であると検出される。
【0033】
貯湯ユニット20は、貯湯槽21、貯湯槽制御装置22および電源基板23を備えている。
貯湯槽21は、燃料電池11aの排熱を熱交換により回収した湯水を貯めるものである。貯湯槽21には、貯湯槽21内の湯水(貯湯水)を循環させるための湯水循環回路24が接続されている。湯水循環回路24上には、熱交換器25が配設されている。熱交換器25には、一端が発電器11の排熱が排出される発電器11の排出口に接続された流路25aの他端が接続されている。熱交換器25は、流路25aを介して供給される排熱と湯水循環回路24を循環する湯水との間で熱交換を行うものである。すなわち、発電ユニット10の発電中に図示しないポンプの駆動によって湯水循環回路24を湯水が循環すると、湯水が流路25aを介して排出された発電ユニット10の排熱を熱交換器25を介して湯水に回収することで、湯水が加熱されるようになっている。
なお、発電器11の排熱とは、例えば、発電ユニット10の場合、燃料電池11aの排熱や改質部11cの排熱などをいう。しかし、それに限定せず発電ユニット10それ自体の熱など回収可能な排熱なら何でも利用できる。
【0034】
貯湯槽21は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温水が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温水が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽21に貯留されている高温の温水が貯湯槽21の柱状容器の上部から導出され、その導出された分を補給するように水道水などの水(低温の水)が貯湯槽21の柱状容器の下部から導入されるようになっている。このような貯湯槽21は、発電ユニット10の近くに設置されている。
【0035】
貯湯槽21の内部には残湯量検出センサである温度センサ群21aが設けられている。温度センサ群21aは複数(本実施形態においては5個)の温度センサ21a−1,21a−2,・・・,21a−5から構成されており、上下方向(鉛直方向)に沿って等間隔(貯湯槽21内の上下方向高さの4分の1の距離)にて配設されている。温度センサ21a−1は貯湯槽21の内部上面位置に配置されている。各温度センサ21a−1,21a−2,・・・,21a−5はその位置の貯湯槽21内の液体(温水または水)の温度をそれぞれ検出するものである。この温度センサ群21aによる各位置での湯温の検出結果に基づいて貯湯槽21内の残湯量が、この温度センサ群21aの検出結果が送信される貯湯槽制御装置22によって導出されるようになっている。残湯量は、貯湯槽21内に蓄えられた熱量を表している。
【0036】
貯湯槽21には、給湯管26が接続されている。給湯管26には、上流から順番に補助加熱装置であるガス湯沸かし器(図示省略)、温度センサ26aおよび流量センサ26bが配設されている。ガス湯沸かし器は、給湯管26を通過する貯湯槽21からの湯水を加熱して給湯するようになっている。温度センサ26aはガス湯沸かし器を通過した後の湯水の温度を検出するものであり、その検出信号は貯湯槽制御装置22に送信されるようになっている。すなわち、温度センサ26aで検出した湯水の温度が設定された給湯温度となるように、ガス湯沸かし器で加熱している。また、図示していないが、給湯管26には貯湯槽21の導出口と温度センサ26aとの間に水道水が合流するようになっている。これにより、貯湯槽21からの湯水を降温している。流量センサ26bは、貯湯槽21から供給されている湯水消費量(給湯量)を検出するものである。流量センサ26bの検出信号は貯湯槽制御装置22に送信されるようになっている。
【0037】
給湯管26には、貯湯槽21に貯留している湯水を給湯として利用する湯水使用場所A2に設置されている複数の湯利用機器A2aが接続されている。この湯利用機器としては、浴槽、シャワ、キッチン(キッチンの蛇口)、洗面所(洗面所の蛇口)などがある。また、給湯管26には、貯湯槽21の湯水を熱源として利用する湯水使用場所A2に設置されている熱利用機器A2bが接続されている。この熱利用機器としては、浴室暖房、床暖房、浴槽の湯の追い炊き機構などがある。
【0038】
貯湯槽制御装置22は、貯湯槽21の残湯量を少なくとも制御するものである。貯湯槽制御装置22は、温度センサ群21aの検出結果に基づいて、図示しないポンプを作動させて湯水を循環させ加熱することにより貯湯槽21の残湯量の制御をする。また、貯湯槽制御装置22は、温度センサ26aおよび流量センサ26bなどの検出結果に基づいて図示しないガス湯沸かし器などを作動させ、給湯温度の制御をする。貯湯槽制御装置22は、電源基板23から電力供給を受けて作動している。電源基板23は、系統電源30からの交流電力が配電盤32で分配されて送電線を介して供給されている。電源基板23は、供給された交流電力を所定の直流電力に変換して貯湯槽制御装置22へ供給している。また、貯湯槽制御装置22と燃料電池制御装置19とは互いに通信可能に接続されている。
【0039】
さらに、貯湯ユニット20は、貯湯槽制御リモコン27を備えている。特許請求の範囲に記載の通知装置は、貯湯槽制御リモコン27である。通知装置は、燃料電池制御装置19からの通知制御信号に応じた通知を使用者に通知するものである。図3に示す通知装置である貯湯槽制御リモコン27は、貯湯槽制御装置22と互いに通信可能に接続されて、貯湯槽21の貯湯状況を少なくとも表示する表示部27aを備えた貯湯槽21の遠隔操作を行うリモコンである。表示部27aは、貯湯槽21内の湯水の残湯量、給湯温度および湯水消費量などの貯湯槽21の貯湯状況が表示される。また、燃料電池制御装置19と貯湯槽制御装置22とは通信可能に接続されていることにより、表示部27aには発電器11の発電する電力や使用電力量などの発電ユニット10の運転状況が表示できるようになっている。また、燃料電池制御装置19からの通知制御信号に応じた通知を表示部27aに表示できるようになっている。なお、本実施例において、貯湯槽制御リモコン27は湯水使用場所A2に設置されているが、電力使用場所A1に設置してもよい。
【0040】
次に、上述した燃料電池システムの系統電源30から送電がある場合の基本的動作の一例について説明する。燃料電池制御装置19は、図示しないスタートスイッチが押されて運転が開始される場合、または計画運転にしたがって運転が開始される場合には、起動運転を開始する。ここで、系統電源30から電力の供給がある場合は、第1開閉器14cは閉路に、第2開閉器17aは開路となるように燃料電池制御装置19によって制御されている。
【0041】
起動運転が開始されるときは、燃料電池制御装置19は、図示しないモータ駆動のポンプなどの補機10bを作動させ、発電器11の気化器11bに燃料および改質水の供給を開始する。上述したように、気化器11bでは混合ガスが生成されて、混合ガスは改質部11cに供給される。改質部11cでは、供給された混合ガスから改質ガスが生成されて、改質ガスが燃料電池11aに供給される。改質部11cが所定温度以上となれば、起動運転は終了する。
【0042】
発電運転中では、燃料電池制御装置19は、発電器11の発電する電力が、センサ12aからの検出信号に基づいて算出される第1負荷装置15の電力となるように補機10bを制御して、改質ガスおよびカソードエアを発電器11に供給する。上述したように、発電器11の発電する電力より第1負荷装置15の電力が上回った場合、その不足電力を系統電源30から受電して補うようになっている。
【0043】
このような発電運転中に、図示しないストップスイッチが押されて発電運転が停止される場合、または運転計画にしたがって運転が停止される場合には、燃料電池制御装置19は、燃料電池システムの停止運転(停止処理)を実施する。
【0044】
燃料電池制御装置19は、燃料および水の気化器11bへの供給を停止し、改質ガスおよび空気の燃料電池11aへの供給を停止する。このとき、発電器11が残燃料によって発電している場合には、その出力電力は補機10bなどへ供給されて消費される。残燃料による発電器11の発電が終了すれば、停止運転は終了する。
【0045】
このような停止運転が終了すると、燃料電池システムは待機状態(待機時)となる。待機時は、燃料電池システムの発電停止状態(すなわち、起動運転、発電運転、停止運転のいずれの運転中でない状態である。)のことであり、発電指示(スタートスイッチのオンなど)を待っている状態のことである。すなわち、停止運転状態終了時点の状態が維持される。
【0046】
次に、系統電源30が停電した場合の燃料電池システムの動作の一例について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
燃料電池制御装置19は、電圧センサ31aの検出信号に基づいて系統電源30に停電が発生したか否かを常時監視する(ステップS102)。燃料電池制御装置19は、系統電源30に停電が発生したことを検知すると、ステップS102で「YES」と判定し、第1開閉器14cを開路とする(ステップS104)。
【0047】
そして、燃料電池制御装置19は、ステップS106で発電器11が発電可能か否かを判断する。改質部11cが所定温度以上であれば、発電器11は定格電力を出力することができる。よって、改質部11cが所定温度以上であれば、発電器11は発電可能と判断され、ステップS106は「YES」と判定される。
一方、改質部11cが所定温度以下であれば、発電器11は定格電力を出力することができない。よって、改質部11cが所定温度以下であれば、発電器11は発電不可能と判断され、ステップS106は「NO」と判定される。
この場合は、復電後に燃料電池システムの復旧動作を行うことになる。
【0048】
燃料電池制御装置19は、発電器11が発電可能である場合は、自己発電運転を開始する(ステップS108)。まず、燃料電池制御装置19は、第2開閉器17aを閉路とする(ステップS110)。発電器11が発電する電力を自立用出力端子16に供給するためである。このとき、第1開閉器14cは開状態であるため、燃料電池11aが発電する電力のみが自立用出力端子16へ供給される。自立用出力端子16から燃料電池11aが発電する電力を出力させることで、使用者は停電時であっても、第2負荷装置18を自立用出力端子16に接続して利用することができる。
【0049】
次に、燃料電池制御装置19は、センサ12aの検出値を取り込み、その検出値に基づいて第2負荷装置18の消費電力を算出する(ステップS112)。具体的には、自立発電運転中は、第2負荷装置18には、電力変換装置12が出力する電力のみが供給されている。よって、センサ12aの検出値は、第2負荷装置18の消費電力に相当する値となる。したがって、センサ12aが電圧と電流の両方を検出していれば、それらの値を乗じることにより、第2負荷装置18の消費電力は算出される。また、センサ12aが電圧または電流のいずれか1つを検出している場合は、燃料電池制御装置19はいずれか一つの検出値から第2負荷装置18の消費電力を算出する。具体的には、第2負荷装置18は、家庭内で使用される電気機器であるため、停電時に使用されるものについてあらかじめ調査することができる。調査結果から選定された複数の電気機器の電圧または電流と電力の関係を把握しておき、電圧または電流の値に対応する電力の値をまとめた表を制御プログラムに記憶させておく。燃料電池制御装置19はこの表に従って、検出された電圧または電流のいずれか一方に対応する電力の値を第2負荷装置18の消費電力として算出する。
【0050】
燃料電池制御装置19は、算出された第2負荷装置18の消費電力が所定値より大きいか否かを判定する(過負荷判定部:ステップS114)。ステップS114においては、自立発電運転中であって、センサ12aにより検出された第2負荷装置18の電流又は電圧の少なくともいずれか一方から算出される第2負荷装置18の消費電力が所定値よりも大きいときは、燃料電池11aが過負荷状態であると判定する。所定値は、発電器11が発電できる最大電力に基づいて設定されている。例えば発電器11が発電できる最大電力の70%と設定する。発電器11が第2負荷装置18の電力変化に追従できない場合があるため、所定値は安全率を見込んで設定している。
【0051】
第2負荷装置18の消費電力が所定値以下と判定された場合は、ステップS114において「NO」と判定される。この場合は、そのまま自立発電運転を継続し、センサ12aの検出値を随時読み込み、第2負荷装置18の消費電力が所定値より大きいか否かの判定を繰り返し行う。一方、第2負荷装置18の消費電力が所定値よりも大きいと判定された場合は、ステップS114にて「YES」と判定され、燃料電池11aが過負荷状態であると判定される。
【0052】
燃料電池制御装置19は、センサ12aの検出結果を再度取り込み、上述した方法によって第2負荷装置18の電力を算出する(ステップS116)。そして、燃料電池制御装置19において燃料電池11aが過負荷状態であるか否かを再度判定する(過負荷判定部ステップS118)。再度判定を行うのは、1回目に取り込んだセンサ12aの検出結果がノイズである場合やセンサ12aの誤検出などにより、誤判定している可能性があるためである。すなわち、判定を2回続けて行うことにより、判定の精度向上を図っている。2回目の判定で、第2負荷装置18の消費電力が所定値以下と判定され(ステップS118で「NO」と判定され)、燃料電池11aが過負荷状態でないと判定される。この場合は、自立発電運転を継続し、センサ12aの検出値を随時読み込み、第2負荷装置18の電力が所定値よりも大きいか否かの判定を繰り返し行う。一方、第2負荷装置18の消費電力が所定値よりも大きいと判定された場合は、ステップS118で「YES」と判定され、燃料電池11aが過負荷状態であると判定される。
【0053】
燃料電池制御装置19は、ステップS118において、燃料電池11aが過負荷状態であると判定されたときに、第2開閉器17aを開路させるように制御を行う。これにより発電器11と第2負荷装置18とは電気的に遮断される(ステップS120)。燃料電池11aが過負荷状態であることに起因する燃料電池システムのシャットダウンを回避するためである。
【0054】
燃料電池制御装置19は、ステップS122において、燃料電池11aが過負荷状態である通知制御信号を貯湯槽制御装置22に送信する。貯湯槽制御装置22は、燃料電池制御装置19から燃料電池11aが過負荷状態である通知制御信号を受けた場合に、表示部27aに燃料電池11aが過負荷状態であることを表示する制御を行う(通知制御部:ステップS122)。ステップS122においては、ステップS114によって燃料電池11aが過負荷状態であると判定されたときに、貯湯槽制御リモコン27に燃料電池11aが過負荷状態であることを通知させるように制御する。
【0055】
表示部27aにより、燃料電池11aが過負荷状態であることを目視確認させる通知をされた使用者は、燃料電池11aが過負荷状態である旨の表示をリセットする(ステップS124)。
【0056】
本実施形態によれば、停電したことによる燃料電池システムの自立発電運転中において、ステップS114(過負荷判定部)によって燃料電池11aが過負荷状態であると判定された場合に、貯湯槽制御リモコン27(通知装置)に燃料電池11aが過負荷状態である旨を通知させることができる。そして、貯湯槽制御リモコン27が使用者に対して燃料電池11aが過負荷状態であることを知らせることにより、燃料電池システムに接続されている第2負荷装置18を外すことを使用者に促すことができる。これにより、使用者が第2負荷装置18をシステムから外し、第2負荷装置18の消費電力を所定値以下とすることができれば、燃料電池11aの過負荷状態は解消される。よって、燃料電池システムのシャットダウンを回避でき、燃料電池11aの劣化を防ぐことができる。ここで、燃料電池11aの劣化とは、燃料電池システムのシャットダウンなどにより停止運転が行われずに燃料電池11aの発電が停止した場合に、燃料電池11a内に改質ガスが残留することにより触媒が劣化した結果、燃料電池11aの発電する電力が低下することである。
【0057】
また、通知装置は貯湯槽21を遠隔操作する貯湯槽制御リモコン27で構成されている。貯湯槽制御リモコン27は、貯湯槽21の貯湯状況などを表示部27aに表示して、その状況を使用者へ知らせる機能も備える既存の装置である。よって、表示部27aに燃料電池11aが過負荷状態である表示を行えば、新たな装置を増やすことなく、使用者に燃料電池11aが過負荷状態であることを知らせることができ、安価に本発明の目的を達成することができる。
【0058】
また、燃料電池11aが過負荷状態であるとステップS114によって判定されたときに、第2開閉器17a(開閉装置)によって燃料電池11aと第2負荷装置18とを電気的に遮断させることができる。これにより、自動で燃料電池11aの過負荷状態を解消することができ、燃料電池システムのシャットダウンを使用者の操作によらずに自動的に回避することができる。そして、過負荷状態であることを貯湯槽制御リモコン27により知らされた使用者が、第2負荷装置18を燃料電池システムから外せば、第2負荷装置18の消費電力を所定値以下とすることができる。その後、第2開閉器17aによって燃料電池システムと消費電力が所定値以下の第2負荷装置とを電気的に接続して自立発電運転を行えば、燃料電池システムのシャットダウンはないため、燃料電池11aの劣化を防ぐことができる。
【0059】
なお、本発明による燃料電池システムの他の実施形態として、燃料電池11aが過負荷状態である旨を貯湯槽制御リモコン27の表示部27aに表示させるのではなく、燃料電池制御装置19と互いに通信可能な携帯電話やスマートフォンなどの電気通信機械器具の表示部に表示させても良い。これらの電気通信機械機器は使用者が携帯していることが多いため、燃料電池11aの過負荷状態を使用者へ早期に通知することができる。また、本実施形態のように、通知装置に燃料電池11aの過負荷状態である旨を表示させて使用者に目視確認させる通知方法の他に、通知装置に音の出力をさせて使用者に聴音確認させる通知方法でも良い。音の出力による通知であれば、表示による通知の場合に比べ、燃料電池11aが過負荷状態であることを使用者へ早期かつ確実に通知することが可能となる場合がある。
【0060】
さらに、本発明による燃料電池システムの他の実施形態として、自立用出力端子16が省略されている実施形態も考えられる。この場合、系統電源30の送電がある場合または停電の場合であっても常に第2負荷装置18が第2開閉器17aに直接接続されている。系統電源30からの送電があるときは、第2開閉器17aを開路とするため、第2負荷装置18には電力供給はされない。一方、停電の場合における自立発電運転中には、第2開閉器17aを閉路とするため、使用者によらず、自動的に第2負荷装置18へ発電器11からの電力のみが供給されることになる。
【0061】
また、本実施形態における第2負荷装置18は一つの電気器具で構成されているが、複数の電気器具で構成されていても良い。この場合であって、燃料電池11aが過負荷状態であると通知された使用者が、一部の第2負荷装置18を外すことにより、燃料電池11aの過負荷状態が解消できるときがある。
【0062】
また、本実施形態における燃料電池11aは固体酸化物燃料電池であったが、本発明を高分子電解質形燃料電池に適用するようにしても良い。この場合、発電器11は、図5に示すように、主として燃料電池51aおよび改質器51bから構成されている。
【0063】
燃料電池51aは、燃料ガス(水素ガス)および酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給されて水素と酸素の化学反応により発電して直流電流(例えば40V)を出力するものである。
改質器51bは、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池51aに供給するものであり、バーナ(燃焼部)51b1、改質部51b2、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)51b3および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)51b4から構成されている。燃料としては、天然ガス、LPG、灯油、ガソリンおよびメタノールなどがある。
【0064】
バーナ51b1は、起動運転時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池51aの燃料極からアノードオフガス(燃料電池51aに供給されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各可燃性ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部51b2に導出するものである。
【0065】
改質部51b2は、外部から供給された燃料に蒸発器からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部51b2に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部51b3に導出される。
【0066】
COシフト部51b3は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素とに変成している。これにより改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部51b4に導出される。
【0067】
CO選択酸化部51b4は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池51aの燃料極に導出される。
【符号の説明】
【0068】
10・・・発電ユニット、11・・・発電器、11a・・・燃料電池、12・・・電力変換装置、12a・・・センサ、14・・・送電線、15・・・第1負荷装置、17・・・送電線、17a・・・第2開閉器、18・・・第2負荷装置、19・・・燃料電池制御装置、20・・・貯湯ユニット、21・・・貯湯槽、22・・・貯湯槽制御装置、24・・・湯水循環回路、25・・・熱交換器、25a・・・流路、27・・・貯湯槽制御リモコン、27a・・・表示部、30・・・系統電源、31・・・電源ライン、31a・・・電圧センサ
図1
図2
図3
図4
図5