(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強布と前記エアバッグ本体との間に、前記接続口部の前記縦筒部側から前記本体膨張部側へ流入する膨張用ガスを、前記縦筒部の軸方向と略直交して相互に反対側の二手に分岐させるように案内するインナチューブが配設され、
該インナチューブは、
シート状のチューブ用布材を少なくとも二つ折りして形成され、
前記チューブ用布材を折る折目が、チューブ用折目となって、前記インナチューブにおける前記膨張用ガスを二手に分岐させた流路における前記接続口部から離れた縁側に配置され、また、
前記チューブ用折目から両側に延びる正面側部と背面側部とが、前記補強布の外周側に配置されるとともに、前記エアバッグ本体の前記正面側壁部と前記背面側壁部とのそれぞれの内周側に配設されることによって、
前記補強布と前記エアバッグ本体との間に、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
前記インナチューブが、前記接続口部内に配設される入口側部と、該入口側部の端部から二又状に分岐して前記チューブ用折目の位置に配置される二つの出口側部と、を備え、
少なくとも一方の前記出口側部に、膨張用ガスを案内する延設筒部が縫合されていて、
前記チューブ用布材を、前記チューブ用折目と略直交する折目で二つ折りして、二枚重ねとした二枚重ね体が、形成され、
前記二枚重ね体に、前記チューブ用折目を形成することにより、前記インナチューブが形成され、
前記延設筒部が、前記少なくとも一方の前記出口側部における前記二枚重ね体の外周側に位置する外周部の内周側に縫合されて、この縫合部位が、前記二枚重ね体の内周側に位置する内周部に覆われていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
前記補強布における前記正面側部と前記背面側部との前記離隔側縁の相互の縫合部の内周側に、前記インフレーターにおける前記ガス吐出口を有した前記先端部を覆って、前記離隔側縁の相互の縫合部に対して、前記ガス吐出口から吐出される前記膨張用ガスを直接的に当てないように保護する保護手段が、配設されていることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、エアバッグの補強布が、シート状の補強用布材を、接続口部の横筒部における本体膨張部から離れた上縁側に折目を付けて二つ折りし、縦筒部のインフレーターから離れた前縁側近傍部位に、縫合部位を設けていた。
【0005】
そして、接続口部の横筒部から縦筒部を経て本体膨張部に供給されるインフレーターからの膨張用ガスは、横筒部の軸方向に沿って流れて、縦筒部の前縁に当たるように流れ、その後、縦筒部の軸方向に沿って本体膨張部側に流れていた。しかしながら、従来のエアバッグでは、膨張用ガスが当たる縦筒部の縁側には、補強布の縫合部位が配設されることとなっていた。
【0006】
そのため、補強布の縫合部位が、高温の膨張用ガスのダメージを受けて破損する虞れが生じて、補強布の耐熱性に課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグの接続口部に配設される補強布の耐熱性を簡便に向上させることができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させることにより膨張するエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給する略円柱状のインフレーターとを備
えるエアバッグ装置であるとともに、
前記インフレーターが、ガス吐出口を有した先端部から、前記インフレーターの軸方向に沿って前記膨張部ガスを流出させて、前記エアバッグに前記膨張用ガスを供給する構成
を有し、
前記エアバッグが、エアバッグ本体と、該エアバッグ本体内に配設される補強布と、を備え、
前記エアバッグ本体が、
膨張用ガスを流入させることにより
前記エアバッグ本体の正面側壁部と背面側壁部とを離すように膨ら
んで形成される本体膨張部と、
前記インフレーターからの膨張用ガスを前記本体膨張部へ流入させるように、前記インフレーターと接続される筒状の接続口部と、
を備え、
前記接続口部が、
前記本体膨張部側に略直交するように接続される縦筒部と、
該縦筒部に略直交するように連なるとともに、前記インフレーターの前記先端部を内周側に挿入させて、前記インフレーターと接続される横筒部と、
を有
し、
前記補強布が、前記接続口部の内周側で、
少なくとも前記インフレーターの前記先端部の外周を覆
い、かつ、前記インフレーターから流出される膨張用ガスを、流れを変更させて、前記エアバッグ本体の本体膨張部側へ流出可能に配設され
るエアバッグ装置であって、
前記補強布
は、
シート状の補強用布材を少なくとも二つ折りして形成され
て、
前記補強用布材を折った折目が、補強用折目となるとともに、前記接続口部の前記縦筒部における前記インフレーターから離れた縁側で、かつ、前記縦筒部の軸方向に略沿って、配設され
、また、
前記補強用折目から両側に延びる正面側部と背面側部とが、それぞれ、前記接続口部の正面側壁部と背面側壁部との内周側に配設さ
れ、また、
前記正面側部と前記背面側部とにおける前記補強用折目から延びる
側縁の内、前記本体膨張部側の本体側縁に、前記膨張用ガスを流出可能に前記正面側部と前記背面側部とを分離させることとなる分離部が、配置され
、さらに、
前記正面側部と前記背面側部とにおける前記補強用折目から延びる
側縁の内、前記本体膨張部側から離れた離隔側縁が、相互に結合され
ることによって、
前記接続口部の内周側で
、前記インフレーターの外周を覆うように、配設されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るエアバッグ装置では、補強用布材を二つ折りする補強用折目が、接続口部の縦筒部におけるインフレーターから離れた縁側で、かつ、縦筒部の軸方向に略沿って形成されて、補強布が、接続口部内に配設されている。すなわち、インフレーターから吐出される膨張用ガスが、接続口部内で、横筒部の軸方向に沿って流れ、そして、補強布に当たっても、その部位には、補強用折目があるだけで、縫合部位がないことから、縫合部位の破損自体が発生せず、円滑に流れを変更させ、分離部を経て、膨張用ガスを本体膨張部側に流すことができ、そしてその結果、補強布の耐熱性を向上させることができる。
【0010】
なお、補強布は、正面側部と背面側部とにおける補強用折目から延びる本体膨張部側から離れた離隔側縁を、縫合等を利用して、相互に結合させているものの、その部位には、補強用折目のように、膨張用ガスが直交するように当たらず、さらに、膨張用ガスは、補強用折目から分離部を経て、本体膨張部側に流れる状態となって、吐出圧も大きく作用し難いことから、高温の膨張用ガスによるダメージは低減されている。
【0011】
そしてまた、補強布は、補強用布材の補強用折目を所定位置に配置させるだけで、別途、耐熱性を向上させる部材等を使用せずに対処できて、簡便に構成できる。
【0012】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、エアバッグの接続口部に配設される補強布の耐熱性を簡便に向上させることができる。
【0013】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、
前記補強用布材が前記補強用折目と略直交する折目
で二つ折りされて
、二枚重ね体
が形成され、
前記補強布が、前記二枚重ね体に前記補強用折目を設けて
二つ折りされて、形成されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、補強布が、補強用布材の二枚重ね体として構成されることから、内周側の補強用布材が膨張用ガスにより破損しても、その外周側の補強用布材が、エアバッグ本体側の正面側壁部や背面側壁部を膨張用ガスから保護でき、補強布の耐熱性を一層向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、
前記補強布が、
前記接続口部の前記横筒部に配置される横筒カバー部と、
前記接続口部の前記縦筒部に配置される縦筒カバー部と、
前記横筒カバー部よりも前記本体膨張部側であって前記縦筒カバー部から延びるように配置される延設部と、
前記横筒カバー部と前記延設部との間で、前記補強用折目から離れた端縁から前記縦筒カバー部の近傍まで延びるように配設されるスリットと、
を備え
、
前記接続口部が、前記正面側壁部を構成する接続口部用布材と前記背面側壁部を構成する接続口部用布材との外周縁相互を縫合して、形成されるとともに、
前記接続口部における前記正面側壁部を構成する接続口部用布材と前記背面側壁部を構成する接続口部用布材との外周縁相互の縫合部が、前記補強布における前記正面側部と前記背面側部との前記離隔側縁の相互、及び、前記スリット周縁の相互を、共縫いして、前記補強布が前記接続口部内に配設されていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、補強布を構成する補強用布材が、接続口部を形成する正面側壁部と背面側壁部との外周縁相互の縫合時、正面側部と背面側部との離隔側縁の相互、及び、スリット周縁の相互を、共縫いされて、接続口部内に配設されていることから、補強布の位置ずれが防止される。
【0017】
そして、補強布は所定のスリットを備えていることから、インフレーターの接続口部における横筒部への挿入時、補強布の横筒カバー部が、スリットにより、延設部の縫合される本体膨張部側から離れて移動でき、インフレーターを接続口部に接続するためのクランプ等の接続手段の組付作業を含めて、インフレーターの接続口部との接続作業を円滑に行うことができる。
【0018】
さらに、本発明に係るエアバッグ装置では、前記補強布と前記エアバッグ本体との間に、前記接続口部の前記縦筒部側から前記本体膨張部側へ流入する膨張用ガスを、前記縦筒部の軸方向と略直交して相互に反対側の二手に分岐させるように案内するインナチューブが配設され、
該インナチューブ
は、
シート状のチューブ用布材を少なくとも二つ折りして形成され、
前記チューブ用布材を折る折目が、チューブ用折目となって、前記インナチューブにおける前記膨張用ガスを二手に分岐させた流路における前記接続口部から離れた縁側に配置され
、また、
前記チューブ用折目から両側に延びる正面側部と背面側部とが、前記補強布の外周側に配置されるとともに、前記エアバッグ本体の前記正面側壁部と前記背面側壁部とのそれぞれの内周側に配設され
ることによって、
前記補強布と前記エアバッグ本体との間に、配設されていることが望ましい。
【0019】
このような構成では、エアバッグ本体の本体膨張部が、前後に膨張用ガスを供給して膨張する構成としても、インナチューブにより、円滑に膨張用ガスを流して本体膨張部を膨張させることができる。そして、インナチューブ自体も、接続口部の縦筒部からの膨張用ガスを受け止める部位には、すなわち、接続口部から離れた縁側には、縫合部位を設けずに、インナチューブを形成するチューブ用布材を折ったチューブ用折目を配置させる構成であり、チューブ用折目を所定位置に配置させるだけの簡便な構成で、インナチューブの耐熱性を向上させることができる。
【0020】
さらに、このようなインナチューブを使用する場合、前記インナチューブは、前記接続口部内に配設される入口側部と、該入口側部の端部から二又状に分岐して前記チューブ用折目の位置に配置される二つの出口側部と、を備え、
少なくとも一方の前記出口側部に、膨張用ガスを案内する延設筒部
が縫合
されていて、
前記チューブ用布材を
、前記チューブ用折目と略直交する折目で二つ折りして、二枚重ねとした二枚重ね体が、形成され、
前記二枚重ね体に、前記チューブ用折目を形成することにより、前記インナチューブが形成され、
前記延設筒部が、前記少なくとも一方の前記出口側部における前記二枚重ね体の外周側に位置する外周部の内周側に縫合されて、この縫合部位
が、前記二枚重ね体の内周側に位置する内周部に
覆われていることが望ましい。
【0021】
インナチューブの出口側部に延設筒部を縫合して連結する場合、上記のような構成では、縫合部位が、チューブ用布材の二枚重ねの内周部に、覆われることから、縫合部位の耐熱性を向上させることができる。
【0022】
勿論、インナチューブ自体も、入口側部から出口側部にわたって、チューブ用布材の二枚重ね体から構成されることとなって、一層の耐熱性向上を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置は、
図1に示すように、頭部保護エアバッグ装置Sであり、頭部保護エアバッグ(カーテンエアバッグともいう、以下、単にエアバッグとする)30と、膨張用ガスを吐出するインフレーター20と、エアバッグカバー11と、取付ブラケット13と、を備えて構成されている。エアバッグ30は、車両Vの車内側における前席や後席の側方で前後に並設される窓(サイドウインド)W1,W2の上縁WU側において、フロントピラー部FPの下縁側から、中間ピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方まで、の範囲に、折り畳まれて収納されている。
【0025】
インフレーター20は、
図2〜4に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、エアバッグ30における膨張用ガスGを流入させるための後述する接続口部33に挿入されて、エアバッグ30と連結される。インフレーター20は、燃焼して膨張用ガスGを発生させる薬剤と点火装置とを内蔵した本体21と、板金製のディフューザー22とから構成され、本体21は、元部21a側がディフューザー22に挟持され、小径の先端部21bに膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口21cを備えて構成されている。ディフューザー22は、ガス吐出口21cからの膨張用ガスGを先端部21b側の端面の流出口22aと下側の流出口22bとから流出させるように構成され、元部21a側の下部には、車両Vのボディ1側のインナパネル2にインフレーター20を取り付けるための取付ブラケット部22cを備えている。
すなわち、このインフレーター20は、ガス吐出口21cを有した先端部21bから、流出口22aを経て、インフレーター20の軸方向に沿ってインフレーター20から離れる方向に、膨張用ガスGを流出させる構成としている。取付ブラケット部22cには、インナパネル2に取り付けるボルト24を挿通させる取付孔22dが形成されている。そして、インフレーター20は、取付ブラケット部22cがボルト24止めされることにより、中間ピラー部CPの上方付近におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に対し、ルーフヘッドライニング5の下縁5aに覆われて、取付固定される(
図1参照)。また、インフレーター20は、接続口部33の後述する横筒部35に挿入されて、横筒部35を接続手段としてのクランプ26によりインフレーター20側に挟持させるように押圧して、横筒部35に接続される。
【0026】
また、このインフレーター20は、車両Vの側面衝突を検知した所定の制御装置により、作動される。
【0027】
各取付ブラケット13は、取付ボルト14によって、エアバッグ30の後述する取付部60をインナパネル2に取付固定している。なお、各取付ボルト14は、インナパネル2におけるナット等を設けたねじ孔に、締結されている。
【0028】
エアバッグカバー11は、
図1に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4の下縁4a側と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5の下縁5a側と、から構成されている。
【0029】
エアバッグ30は、
図1,5に示すように、窓W1,W2を覆うように膨張するエアバッグ本体31と、エアバッグ本体31内に配設されるインナチューブ63及び補強布81と、を備えて構成される。
【0030】
エアバッグ本体31は、
図1,5,11に示すように、インフレーター20からの膨張用ガスGを流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように展開膨張する。このエアバッグ本体31は、
図2〜5に示すように、膨張用ガスGを流入させて対向する正面側壁部としての車内側壁部32aと背面側壁部としての車外側壁部32bとを離すように膨張するガス流入部32と、車内側壁部32aと車外側壁部32bとを結合させたような状態として膨張用ガスGを流入させない非流入部45と、を備えて構成される。
【0031】
ガス流入部32は、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆う本体膨張部37と、インフレーター20からの膨張用ガスGを本体膨張部37へ流入させるように、インフレーター20と接続される筒状の接続口部33と、を備えて構成される。
【0032】
接続口部33は、本体膨張部37の前後方向の中央付近から上方に突出するように配設されている。そして、接続口部33は、本体膨張部37側から略直交して上方へ突出するようにして本体膨張部37と接続される縦筒部34と、縦筒部34の上端で、縦筒部34から略直交して後方へ突出するように縦筒部34に連なるとともに、横筒部35の後端の開口35cからインフレーター20を挿入させてインフレーター20と接続される横筒部35と、を有するL字状として構成され、その屈曲された状態として、車両Vに搭載される。
【0033】
また、本体膨張部37は、膨張完了時、窓W1の車内側を覆うように配設される前側膨張部39と、窓W2の車内側を覆うように配設される後側膨張部40と、エアバッグ本体31の上縁31a側で前後方向に沿って筒状に配設される供給路部38と、を備えて構成されている。供給路部38は、前後方向の中間部位で、接続口部33と接続されて、接続口部33からの膨張用ガスGを、インナチューブ63を利用しつつ、前側膨張部39と後側膨張部40とに供給する部位となる。
【0034】
さらに、実施形態の場合、エアバッグ本体31は、構成部材として、非流入部45の後述する取付部60と、接続口部33の車内側壁部32aや車外側壁部32bを構成する接続口部用布材52(
図2,3,6,10のA,B参照)と、本体膨張部37の部位を構成して袋織りで形成される袋織り部47と、の三種類の部材から構成されている。袋織り部47は、ポリアミドやポリエステル等の糸から袋織りにより形成され、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部32aと車外側壁部32bとを分離させるように膨らむガス流入部32を構成する袋本体部48と、ガス流入部32の周囲に配置される閉じ部49と、を備えて構成されている。接続口部用布材52(52I,52O)や取付部60、さらに、後述する補強用布材90、チューブ用布材70、及び、延設筒部用布材78は、ポリアミド等の織布から形成されている。
【0035】
非流入部45は、周縁部46と取付部60とから構成されている。周縁部46は、ガス流入部32の周囲を囲むように形成されて、エアバッグ本体31の上縁31a側に位置する上縁46aが、袋織りで形成される袋織り部47の閉じ部49と、接続口部用布材52等と一体的な縫合により形成されるバッグ形成用縫合部55と、から構成されている。
【0036】
なお、閉じ部49は、エアバッグ本体31の上縁31a側に、上前閉じ部49aと上後閉じ部49bとを備え、両者の間に、開口部としての分断部位50を配設させている。分断部位50の周縁の車内側壁部32aと車外側壁部32bとには、
図3,9に示すように、接続口部用布材52(52I,52O)の延設部位52cが、それぞれ、連結縫合部57により、縫合されている。
【0037】
接続口部用布材52I,52Oは、
図2,3,9に示すように、接続口部33の車内側壁部32aと車外側壁部32bとを形成するものであり、それぞれ、縦筒部34を形成する縦筒部用部位52aと、横筒部35を形成する横筒部用部位52bと、本体膨張部37側、換言すれば、分断部位50側に縫合される延設部位52cと、を備えている。横筒部用部位52bにおける横筒部35の開口35c側の延設部位52cとの間には、前方に延びるスリット52dが形成されている。
【0038】
そして、分断部位50と接続口部33との車内側壁部32aと車外側壁部32bの相互は、バッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとにより、縫合されている。前縁側縫合部55aは、上前閉じ部49aから後方へ延び、分断部位50を経て、接続口部33の縦筒部34の前縁34aから横筒部35の上縁35aにおける車内側壁部32aと車外側壁部32bとの相互を縫合している(
図5参照)。後縁側縫合部55bは、上後閉じ部49bから前方に延び、分断部位50を経て、接続口部33の縦筒部34の後縁34bから横筒部35の下縁35b(換言すれば、スリット52dの周縁)の車内側壁部32aと車外側壁部32bとの相互を縫合している(
図9参照)。
【0039】
なお、実施形態の場合、バッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとは、補強布81やインナチューブ63も共縫いしている。
【0040】
取付部60は、
図5に示すように、エアバッグ本体31の上縁31a側における周縁部46の上縁46aから上方へ突出するように、複数(実施形態では6個)形成されている。各取付部60には、取付ボルト14を挿通させる取付孔60aが、形成されている。各取付部60には、既述したように、ボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ブラケット13が固着され、そして、各取付孔60aを挿通する取付ボルト14がインナパネル2の各ねじ孔に締結されることにより、各取付部60が、インナパネル2に固定される。
【0041】
前端の取付部60Fは、エアバッグ本体31の袋織りで形成された周縁部46の前縁46cに対して、ポリアミド等の織布から形成された別体の布材を縫合して、形成されている。また、この取付部60Fは、フロントピラー部FPの下部付近に固定されて、エアバッグ30の膨張完了時、エアバッグ30の下縁31b側、具体的には、取付部60Fとフロントピラー部FPから離れた取付部60(60B、
図1参照)とを結ぶライン上に、強い張力を発揮させ、エアバッグ30における乗員の室内側への拘束性を良好にするように、構成されている。
【0042】
なお、前方から二番目の取付部60Sは、取付部60Fの布材に縫合して配設されている。
【0043】
補強布81は、接続口部33の内周側の接続口部用布材52I,52Oからなる車内側壁部32aと車外側壁部32bとの間で、インフレーター20の外周を覆うように配設される。
詳しくは、補強布81は、接続口部33の内周側で、少なくともインフレーター20の先端部21bの外周を覆い、かつ、インフレーター20から流出される膨張用ガスGを、流れを変更させて、エアバッグ本体31の本体膨張部37側へ流出可能に配設される。
【0044】
この補強布81は、
図6,7に示すように、シート状の略長方形板状の補強用布材90を二枚重ねた状態の二枚重ね体92を使用し、その二枚重ね体92を二つ折りに折って形成されている。そして、二枚重ね体92を折った折目を、補強用折目91として、
図2,5に示すように、接続口部33の縦筒部34におけるインフレーター20から離れた縁側で、換言すれば、前縁34a側で、かつ、縦筒部34の軸方向VDとなる上下方向に沿って配設している。なお、
図7のA,Bに示すように、二枚重ね体92は、横長の略長方板状としており、大きな略長方形板状の補強用布材90を、補強用折目91と直交する重ね用折目93を設けて、二つ折りして形成されている。そして、実施形態の場合、補強布81は、
図7のA〜Cに示すように、重ね用折目93と補強用折目91とを設けて、補強用布材90を四つ折りして形成されている。
【0045】
この補強布81は、
図2,3,7に示すように、補強用折目91から両側に延びる部位を、接続口部33の正面側壁部としての車内側壁部32a(接続口部用布材52I)と背面側壁部としての車外側壁部32b(接続口部用布材52O)とのそれぞれの内周側に配設される正面側部としての車内側部81aと背面側部としての車外側部81bとしている。
【0046】
そして、補強布81は、車内側部81aと車外側部81bとにおける補強用折目91から延びる本体膨張部37側の本体側縁(下縁)81cには、膨張用ガスGを本体膨張部37側へ流出可能に分離する分離部81dを配置させている。さらに、車内側部81aと車外側部81bとにおける補強用折目91から延びる本体膨張部37側から離れた離隔側縁(上縁)81eを、接続口部33の横筒部35の上縁35a側において、上縁側縫合部87を設けて、相互に縫合している。実施形態の場合、上縁側縫合部87は、接続口部用布材52I,52O相互を縫合する前縁側縫合部55aとして構成され、補強布81は、離隔側縁(上縁)81e相互を、接続口部用布材52I,52O相互と共縫いされている。
【0047】
また、実施形態の場合、補強布81の車内側部81aと車外側部81bとは、略長方形板状として、補強用折目91とともに、縦筒部34を越える本体膨張部37側まで延ばして、配設されている。そして、補強布81は、接続口部33の横筒部35に配置される横筒カバー部84と、接続口部33の縦筒部34に配置される縦筒カバー部83と、本体膨張部37側に配置される延設部85と、を備えて構成されている。横筒カバー部84と延設部85との間には、補強用折目91から離れた端縁(後縁)81fから前方に延びるスリット86が形成されている。スリット86は、縦筒カバー部83における縦筒部34の後縁34b近傍まで延びるように配設される。
【0048】
そして、スリット86の周囲の車内側部81aと車外側部81bとは、後縁側縫合部88を設けて、相互に縫合されている。実施形態の場合、後縁側縫合部88は、接続口部用布材52I,52O相互を縫合する後縁側縫合部55bとして構成され、補強布81は、スリット86の周縁相互を、接続口部用布材52I,52O相互と共縫いされている。
【0049】
すなわち、既述したように、接続口部33における車内側壁部32aとしての接続口部用布材52Iと車外側壁部32bとしての接続口部用布材52Oとの外周縁相互の縫合時(バッグ形成用縫合部55の縫合時)、補強布81における車内側部81aと車外側部81bとの離隔側縁81eの相互、及び、スリット86周縁の相互を、共縫いして、補強布81が接続口部33内に配設されている。
【0050】
インナチューブ63は、
図2〜5に示すように、補強布81とエアバッグ本体31との間に配設されて、接続口部33の縦筒部34側から本体膨張部37側へ流入する膨張用ガスGを、縦筒部34の軸方向VDと略直交して相互に前後の反対側の二手に分岐させ、前側膨張部39と後側膨張部40とへ供給するように案内するものである。
【0051】
インナチューブ63は、
図5,6,8に示すように、チューブ用布材70を二枚重ねた二枚重ね体74を、チューブ用折目75を設けて二つ折りして形成されている。チューブ用折目75は、インナチューブ63における膨張用ガスGを二手に分岐させた流路における接続口部33から離れた下縁63c側に配置させている。そして、インナチューブ63は、チューブ用折目75から両側に延びる部位を、補強布81の外周側に配置させて、エアバッグ本体31の車内側壁部32aと車外側壁部32bとのそれぞれの内周側に配設される正面側部としての車内側部63aと背面側部としての車外側部63bとして、構成されている。
【0052】
このインナチューブ63は、接続口部33内に配設される入口側部64と、入口側部64の下端64aから二又状の前後に分岐してチューブ用折目75の位置に、換言すれば、供給路部38の位置に、配置される二つの出口側部65,66と、を備えて構成されている。
【0053】
実施形態のインナチューブ63では、
図8に示すように、前後方向に長い帯状のチューブ用布材70を、前後方向の中央で上下に延びる折り重ね用折目73を付けて二つ折りして、二枚重ね体74を形成し、さらに、上下方向の中央で前後に延びるチューブ用折目75を付けて二つ折りして、形成されている。そのため、実施形態のインナチューブ63は、チューブ用折目75を付けて二つ折りした際に、インナチューブ63の内周側に配置される内周部71と内周部71の外周側に配置される外周部72との二枚重ね体74から構成されている。
【0054】
なお、チューブ用布材70は、インナチューブ63に形成された際、入口側部64の配置される接続口部33の縦筒部34や横筒部35に対応する外形形状の縦筒用部位70aや横筒部用部位70b、出口側部65,66の配置される供給路部38に対応する外形形状の供給路部用部位70c、さらに、スリット52d、86に対応するスリット70dを備えている。
【0055】
そしてさらに、実施形態の場合、インナチューブ63の出口側部66には、膨張用ガスGを後方へ案内する延設筒部77が縫合されている。
【0056】
この延設筒部77は、長方形板状の延設筒部用布材78を上下方向の中央で前後方向に沿った折目79で二つ折りして形成されるとともに、延設筒部用布材78の前縁側の縫合用部位78aを、インナチューブ63の二枚重ね体74を形成する前の外周部72の後縁側の縫合用部位72aの内周側に載せて、縫合用部位72a,78a相互を縫合して形成されている。延設筒部77の縫合用部位78aは、チューブ用布材70が折り重ね用折目73を二枚重ね体74を形成した際、その内周側が内周部71で覆われることとなる。
【0057】
このインナチューブ63は、延設筒部77を縫合した状態で、チューブ用折目75で二つ折りされれば、チューブ用折目75から両側に延びる部位が、車内側部63a及び車外側部63bとして構成され、そして、車内側部63aと車外側部63bとの相互が、バッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aや後縁側縫合部55bを利用して、補強布81や接続口部用布材52と、共縫いされている。
【0058】
つぎに、実施形態のエアバッグ30の製造を述べれば、予め、袋織り部47を形成し、
図9のA,Bに示すように、その分断部位50の車内側壁部32aと車外側壁部32bとに、接続口部用布材52I,52Oとを、縫合糸95を使用する連結縫合部57を設けて、縫合する。
【0059】
ついで、
図8のA〜Dに示すように、延設筒部用布材78をチューブ用布材70に縫合して、所定の折り重ね用折目73とチューブ用折目75を付けて折ったインナチューブ63と延設筒部77とを準備しておき、
図9のB、
図10のAに示すように、エアバッグ本体31内の供給路部28と接続口部33との部位に、インナチューブ63と延設筒部77とを配置する。
【0060】
さらに、
図7のA〜Cに示すように、補強用布材90を所定の重ね用折目93と補強用折目91とを付けて四つ折りして形成した補強布81を準備しておき、
図10のA,Bに示すように、エアバッグ本体31内の接続口部33の部位からその近傍の本体膨張部37の部位に、補強布81を配置する。そして、縫合糸95を使用するバッグ形成用縫合部55の前縁側縫合部55aと後縁側縫合部55bとを設けて、接続口部用布材52I,52O、補強布81、インナチューブ63、及び、延設筒部77を共縫いする。
【0061】
そして、
図10のB,Cに示すように、取付部60を所定部位に縫合すれば、エアバッグ30を形成することができる。
【0062】
その後、
図11のA,Bに示すように、エアバッグ30を折り畳んで、折り崩れ防止用の破断可能なテープ97を巻き付けるとともに、取付部60に取付ブラケット13を取り付ける。さらに、
図11のC,Dに示すように、インフレーター20を、接続口部33の横筒部35の開口35cから、横筒部35内の補強布81の横筒カバー部84の内周側に挿入し、クランプ26を横筒部35の外周側からインフレーター20側に押圧するように締結して、インフレーター20を横筒部35に接続させれば、エアバッグ組付体99を組み立てることができる。
【0063】
そして、このように組み立てたエアバッグ組付体99は、取付ブラケット13を組み付けた各取付部60を、ボディ1側のインナパネル2の対応する取付部位に配置させ、各取付孔60aに挿通させる等して、取付ボルト14をねじ孔に締結し、さらに、取付ブラケット部22cをボルト24止めし、インフレーター20をインナパネル2に固定して、エアバッグ組付体99をボディ1に取り付ける。ついで、インフレーター20に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、中間ピラーガーニッシュ7やリヤピラーガーニッシュ8をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Sを、車両Vに搭載することができる。
【0064】
頭部保護エアバッグ装置Sの車両Vへの搭載後、インフレーター20が作動すれば、膨張用ガスGが、インフレーター20の本体21のガス吐出口21cから吐出して、ディフューザー22の流出口22a,22bから接続口部33に流入して、本体膨張部37側に流れる。詳しくは、膨張用ガスGは、
図2〜4に示すように、ディフューザー22の流出口22a,22bから補強布81の内周側に流出し、さらに、補強布81の分離部81dを経て、インナチューブ63の出口側部65,66や延設筒部77に流れ、そして、本体膨張部37の前側膨張部39と後側膨張部40とに流れることから、エアバッグ30は、エアバッグカバー11を押し開いて、
図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように展開膨張することとなる。
【0065】
この時、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、
図2〜4に示すように、補強用布材90を二つ折りする補強用折目91が、接続口部33の縦筒部34におけるインフレーター20から離れた前縁34a側で、かつ、縦筒部34の軸方向VDに略沿った上下方向に形成されて、補強布81が、接続口部33内に配設されている。すなわち、このような構成では、インフレーター20から吐出される膨張用ガスGが、
流出口22aを経て、インフレーター20の軸方向に沿ってインフレーター20から離れる方向に、流出され、そして、接続口部33内で、横筒部35の軸方向LDに沿って前方に流れ、そして、補強布81に当たっても、その部位には、補強用折目91があるだけで、縫合部位がないことから、縫合部位の破損自体が発生せず、円滑に流れを変更させ、分離部81dを経て、膨張用ガスGを本体膨張部37側に流すことができ、そしてその結果、補強布81の耐熱性を向上させることができる。
【0066】
なお、補強布81は、正面側部としての車内側部81aと背面側部としての車外側部81bとにおける補強用折目91から延びる本体膨張部37側から離れた離隔側縁(上縁)81eを、前縁側縫合部55aを利用して、相互に結合させているものの、その部位には、補強用折目91のように、膨張用ガスGが直交するように当たらず、さらに、膨張用ガスGは、補強用折目91から分離部81dを経て、本体膨張部37側に流れる状態となって、吐出圧も大きく作用し難いことから、高温の膨張用ガスGによるダメージは低減されている。
【0067】
そしてまた、補強布81は、補強用布材90の補強用折目91を前縁81gに配置させるだけで、別途、耐熱性を向上させる部材等を使用せずに対処できて、簡便に構成できる。
【0068】
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、エアバッグ30の接続口部33に配設される補強布81の耐熱性を簡便に向上させることができる。
【0069】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、補強布81が、
図7のA〜Cに示すように、補強用布材90を補強用折目91と略直交する重ね用折目93で予め二つ折りされた二枚重ね体92とし、二枚重ね体92に補強用折目91を設けて構成されている。
【0070】
そのため、実施形態では、補強布81が、補強用布材90の二枚重ね体92として構成されることから、内周側の補強用布材90A(
図3参照)が膨張用ガスGにより破損しても、その外周側の補強用布材90Bが、エアバッグ本体31側の正面側壁部として車内側壁部32aや背面側壁部としての車外側壁部32bを膨張用ガスGから保護でき、補強布81の耐熱性を一層向上させることができる。
【0071】
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、補強布81の車内側部81aと車外側部81bとが、略長方形板状として、補強用折目91とともに、縦筒部34を越える本体膨張部37側まで延ばして、配設されている。そして、車内側部81aと車外側部81bとは、接続口部33の横筒部35に配置される横筒カバー部84と、接続口部33の縦筒部34に配置される縦筒カバー部83と、本体膨張部37側に配置される延設部85と、横筒カバー部84と延設部85との間で、補強用折目91から離れた端縁(後縁)81fから縦筒カバー部83の近傍まで延びるように配設されるスリット86と、を備えて構成されている。さらに、接続口部33が、正面側壁部としての車内側壁部32a(接続口部用布材52I)と背面側壁部としての車外側壁部32b(接続口部用布材52O)の外周縁相互を縫合して、形成される構成とするとともに、車内側壁部32aと車外側壁部32bとの外周縁相互の縫合時、補強布81における車内側部81aと車外側部81bとの離隔側縁(上縁)81eの相互、及び、スリット86周縁の相互を、共縫いして、補強布81が接続口部33内に配設されている。
【0072】
そのため、実施形態では、補強布81を構成する補強用布材90が、接続口部33を形成する車内側壁部32aと車外側壁部32bとの外周縁相互の縫合時、車内側部81aと車外側部81bとの離隔側縁81eの相互、及び、スリット86周縁の相互を、共縫いされて、接続口部33内に配設されていることから、補強布81の位置ずれが防止される。
【0073】
そして、補強布81は所定のスリット86を備えていることから、インフレーター20の接続口部33における横筒部35への挿入時、補強布81の横筒カバー部84が、スリット86により、延設部85の縫合される本体膨張部37側から離れて移動でき、インフレーター20を接続口部33に接続するためのクランプ26等の接続手段の組付作業を含めて、インフレーター20の接続口部33との接続作業を円滑に行うことができる。
【0074】
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、補強布81とエアバッグ本体31との間に、接続口部33の縦筒部34側から本体膨張部37側へ流入する膨張用ガスGを、縦筒部34の軸方向VDと略直交して相互に前後の反対側の二手に分岐させるように案内するインナチューブ63が配設されている。このインナチューブ63は、
図5,8に示すように、シート状のチューブ用布材70を、チューブ用折目75を付けて、二つ折りして形成されている。そして、インナチューブ63は、チューブ用布材70を折るチューブ用折目75を、インナチューブ63における膨張用ガスGを前後二手に分岐させた流路(供給路部)38における接続口部33から離れた下縁63c側に配置させて、チューブ用折目75から両側に延びる部位を、補強布81の外周側に配置させて、エアバッグ本体31の車内側壁部32aと車外側壁部32bとのそれぞれの内周側に配設される車内側部63aと車外側部63bとして、構成されている。
【0075】
そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Sでは、エアバッグ本体31の本体膨張部37が、前後の前側膨張部39と後側膨張部40とに膨張用ガスGを供給して膨張する構成としても、インナチューブ63により、円滑に膨張用ガスGを前側膨張部39と後側膨張部40とに流して本体膨張37部を膨張させることができる。そして、インナチューブ63自体も、接続口部33の縦筒部34からの膨張用ガスGを受け止める部位には、すなわち、接続口部33から離れた下縁63c側には、縫合部位を設けずに、インナチューブ63を形成するチューブ用布材70を折ったチューブ用折目75を配置させる構成であり、チューブ用折目75を下縁63cに配置させるだけの簡便な構成で、インナチューブ63の耐熱性を向上させることができる。
【0076】
さらに、実施形態では、インナチューブ63が、接続口部33内に配設される筒状の入口側部64と、入口側部64の端部(下端)64aから二又状に分岐して前記チューブ用折目75の位置に配置される二つの筒状の出口側部65,66と、を備え、出口側部66に、膨張用ガスGを後方へ案内する筒状の延設筒部77を縫合させる構成としている。そして、インナチューブ63は、チューブ用布材70を、インナチューブ63の内周側に配置される内周部71と内周部71の外周側に配置される外周部72との二枚重ね体74として構成し、延設筒部77を外周部72と縫合し、縫合した縫合部位72a,78aを内周部71で覆って、構成されている。
【0077】
そのため、インナチューブ63が、出口側部66に延設筒部77を縫合して連結する構成としていても、縫合部位72a,78aが、チューブ用布材70の二枚重ねの内周部71に、覆われることから、縫合部位72a,78aの耐熱性を向上させることができる。
【0078】
勿論、インナチューブ63自体も、入口側部64から出口側部65,66にわたって、チューブ用布材70の二枚重ね体74から構成されることとなって、一層の耐熱性向上を確保することができる。
【0079】
なお、実施形態のインナチューブ63では、延設筒部77を後方の出口側部66に縫合したが、膨張部位の配置により、前方の出口側部65だけに延設筒部77を縫合して接続したり、あるいは、前後の出口側部65,66に延設筒部77を縫合して接続させてもよい。
【0080】
また、インナチューブの出口側部に延設筒部を設ける場合、チューブ用布材70を、耐熱性を向上させるコート層を有したコーティング布から構成し、延設筒部用布材78をノンコート布から構成してもよい。
【0081】
さらに、実施形態では、エアバッグ30が内部にインナチューブ63を配設した構成を例示したが、接続口部33内に、インナチューブ63が配設されず、補強布81が配設される構成のエアバッグに、本発明を適用してもよい。
【0082】
さらにまた、実施形態では、頭部保護エアバッグ装置Sを例示したが、エアバッグが、本体膨張部から接続口部が突出される構成として、接続口部が、車両への搭載時、L字状に屈曲されて、縦筒部と横筒部とを形成するように、L字状に屈曲されるエアバッグであれば、本発明を実施することができ、例えば、カーテンエアバッグでなくとも、歩行者保護エアバッグ等に本発明を適用してもよい。
【0083】
さらに、本発明のエアバッグの接続口部は、本体膨張部から単に直線状に突出し、車両への搭載時、L字状に屈曲されて、縦筒部と横筒部とを形成する構成であってもよい。
【0084】
また、実施形態では、補強布81の車内側部81aと車外側部81bとにおけるスリット86の周縁を、後縁側縫合部55b,88として、エアバッグ本体31と共縫いした場合を示したが、縦筒カバー部83の前後方向の幅寸法を、補強用折目91から縦筒部34の後縁34b側付近までの寸法として、縦筒カバー部83の補強用折目91から離れた後縁81f側をエアバッグ本体31に縫合させない構成としてもよい。