(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重み付き通行回数算出処理では、さらに、前記ユーザが前記既通行ルートを通行した時期である通行時期が現在に近づくに従って、前記既通行ルートについての重み付けを重く設定する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
前記優先期間として、前記ユーザが通行するルートを変更する可能性を生じさせる要因に応じた複数の要因別優先期間を設定し、前記要因別優先期間のそれぞれについて異なる重み付けを設定する請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
前記要因には、1年の期間内の時期に応じて設定される長期休暇と、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転及び通行規制の少なくとも一方とが含まれ、
前記重み付き回数算出処理では、前記長期休暇に応じた前記要因別優先期間内についての前記重み付けを、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が前記通常期間に比べて多い期間及び通行規制が前記通常期間に比べて多い期間の少なくとも一方に応じた前記要因別優先期間内についての前記重み付けに比べて重く設定する請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.ナビゲーションシステムの構成
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載端末装置2と、複数の車載端末装置2と通信可能に設けられた管理サーバ4とにより構成されている。このナビゲーションシステム1では、複数の車載端末装置2が、無線基地局(図示せず)を介して、インターネット等の通信網3に接続されている。車載端末装置2と無線基地局との間の無線通信は、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等を利用して行うことができる。また、管理サーバ4も、通信網3に接続されている。なお、ナビゲーションシステム1のナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶されている。また、ナビゲーションプログラムは、DVD−ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶されて配布されたり、ネットワークサーバから通信網3を介して車載端末装置2や管理サーバ4に配信されたりする。配布又は配信されたナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶される。
【0013】
本実施形態では、各車載端末装置2は、各車両が通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成し、当該通行履歴データTを、一種のプローブ情報として管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、複数の車載端末装置2から収集された当該複数の車載端末装置2のそれぞれの通行履歴データTの情報を用いて、各車載端末装置2のユーザ(以下、単にユーザとする)が頻繁に通行するルートである通常通行ルートをユーザ毎に設定する。なお、その際に、管理サーバ4は、出発地点が共通する複数の既通行ルートの中から、既通行ルートのそれぞれの通行回数に重み付けをした重み付き通行回数が最大となる既通行ルートを通常通行ルートに設定する。そして、管理サーバ4は、ユーザにより目的地が指定されたことによる案内ルートが設定されていない場合に、通常通行ルートに関する交通情報等の案内を行う。本実施形態におけるユーザは、ナビゲーションシステム1による案内を受ける対象であり、車両に乗っているユーザの他に、自転車に乗っているユーザや徒歩のユーザ等も含む。
【0014】
車載端末装置2の自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、車載側通信制御部25、計時部26と、管理サーバ4のサーバ側通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、優先期間設定判別部46、重み付き通行回数算出部47とが、本発明の「演算処理部」に相当する。なお、以下では、
図1に示すような、ユーザPの車載端末装置2の構成と管理サーバ4の構成とについて説明する。
【0015】
2.車載端末装置の構成
図1に示すように、車載端末装置2は、自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、車載側通信制御部25、計時部26を備えている。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、車載端末装置2は、位置情報検出装置31、表示入力装置32、音声出力装置35、通信インターフェース33に接続されている。これらは、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、車載端末装置2は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置34、及びRAM(Random Access Memory)等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。
【0016】
自位置情報取得部21は、車載端末装置2が搭載されている車両の現在位置を示す自位置情報を取得する機能部である。本実施形態では、自位置情報取得部21は、位置情報検出装置31から定期的(例えば、1秒単位)に自位置情報を取得して、記憶装置34に記憶させる。また、自位置情報取得部21は、現在の年月日及び時刻を計時する計時部26から、当該自位置情報を取得した際の年月日及び時刻情報を取得し、併せて記憶装置34に記憶させる。自位置情報取得部21は、取得した自位置情報を車載側演算部22にも出力する。
【0017】
位置情報検出装置31は、車載端末装置2の現在位置、速度、及び加速度を検出する機能を有する。具体的には、位置情報検出装置31は、GPS(Global Positioning System)受信機や、距離センサ(速度センサ)や、加速度センサや、方位センサや、道路に沿って設置されたビーコンから発信される地点位置情報を含む電波や光を受信する受信機などの位置情報を検出するための各種装置を備えている。そして、位置情報検出装置31は、当該検出した自位置情報を自位置情報取得部21へ出力する。
【0018】
車載側演算部22は、各種のナビゲーション処理を実行する機能部である。本実施形態では、管理サーバ4側の演算部であるサーバ側演算部43(後述)が、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する構成である為、車載端末装置2側の演算部である車載側演算部22は案内情報の出力等の補助的なナビゲーション処理を実行する。また、車載側演算部22は、地図画像や目的地入力画面等、ナビゲーション処理に必要な各種の画像を生成して、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面(図示せず)に表示させ、或いは、経路案内等に必要な案内音声データを生成して、音声出力装置35を介して案内音声を出力させる等の処理を行う。また、車載側演算部22は、地図表示処理等を行う際に、記憶装置34に設けられた地図データベース(図示しない)を参照する。なお、当該地図データベースに格納されている地図データは、管理サーバ4に設けられた地図データベースに格納されている地図データに対応している。出力制御部24は、表示入力装置32の表示画面への表示画像を描画制御すると共に、音声出力装置35を制御する機能部である。表示入力装置32は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となった装置である。音声出力装置35は、例えばスピーカ等により構成することができる。
【0019】
車載側演算部22は、自位置情報取得部21から自位置情報を取得した場合には、当該車載端末装置2の自位置を、表示入力装置32の表示画面に表示されている地図に重ねて表示させる。また、車載側演算部22は、表示入力装置32等を介して目的地が入力されると、当該目的地が入力された時点の自位置情報を自位置情報取得部21から取得し、当該入力された目的地情報と併せて管理サーバ4へ送信する。そして、車載側演算部22は、管理サーバ4にて探索された当該目的地までの経路案内情報等を取得すると、出力制御部24を介して、表示入力装置32の表示画面上に経路案内情報を表示させ、更には、音声出力装置35により案内音声を出力させる。
【0020】
また、車載側演算部22は、ユーザを案内するための出発地点からの案内ルートが設定されていない場合に、情報出力装置を用いて通常通行ルートLに関する情報を提供する情報提供処理を実行する。具体的には、車載側演算部22は、出発地点からの案内ルートが設定されていない場合には、非案内時提供情報の取得を要求する非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。本実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始(ユーザが移動開始)したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。その際に、車載側演算部22は、当該車両の走行開始を検知した時刻の情報を計時部26から取得し、当該時刻の情報(走行開始時刻情報)も非案内時提供情報要求と併せて管理サーバ4へ送信する。また、さらに、車載側演算部22は、イグニッションキーがON状態になったことを検知すると、その時点の自位置情報、すなわち、出発地の位置情報を自位置情報取得部21から取得しておき、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する際に、併せて当該出発地の位置情報も管理サーバ4へ送信する。ここで、非案内時提供情報は、管理サーバ4にてユーザ毎に設定された通常通行ルートLに関する情報であって、当該通常通行ルートLを構成する道路(リンク)に関する各種交通情報(例えば、渋滞情報や通行規制情報等)が含まれる。また、非案内時提供情報には、通常通行ルートL自体の情報、すなわち、通常通行ルートLを構成するリンク情報が含まれていてもよい。なお、通常通行ルートLの詳細については後述する。そして、車載側演算部22は、当該非案内時提供情報要求を受けて管理サーバ4から送信される非案内時提供情報を取得すると、当該非案内時提供情報を、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面に表示させ、或いは、音声出力装置35を介して案内音声を出力することにより、ユーザに対する案内を行う。一方、車載側演算部22は、途中で案内ルートが設定された場合には、非案内時提供情報要求の管理サーバ4への送信処理、非案内時提供情報の表示画面への表示処理及び案内音声の出力処理等を中止して、通常のルート案内処理を行う。本実施形態の表示入力装置32及び音声出力装置35が、本発明の情報出力装置に相当する。
【0021】
通行履歴データ生成部23は、ユーザが通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成する機能部である。本実施形態では、通行履歴データ生成部23は、記憶装置34に記憶されている自位置情報とそれに対応づけられた時刻情報とに基づいて、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを互いに対応づけて通行履歴データTを随時生成する(
図2参照)。そして、通行履歴データ生成部23は、当該生成した通行履歴データTを記憶装置34に随時格納する。
【0022】
車載側通信制御部25は、管理サーバ4との間の情報の送受信を制御する機能部である。車載側通信制御部25は、予め定められたタイミングで、記憶装置34に記憶された通行履歴データTを管理サーバ4へ送信する処理を行う。本実施形態では、車載側通信制御部25は、随時格納される通行履歴データTを、通信インターフェース33を介して、随時或いは一定間隔で管理サーバ4へ送信する。また、車載側通信制御部25は、イグニッションキー(図示しない)がOFF状態となったことを検知すると、当該イグニッションキーがOFF状態となるまでの間(前回イグニッションキーがON状態となってから当該イグニッションキーがOFF状態となるまでの間の一走行)に生成された通行履歴データTを、管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。なお、通信インターフェース33としては、専用の通信モジュールを用いても良いし、携帯電話端末等の汎用通信機器を利用しても良い。また、各車載端末装置2には、複数のユーザ(車載端末装置2)のそれぞれを識別するための識別情報(本例では、ユーザID)が付与されている。車載端末装置2(車載側通信制御部25)が通行履歴データTや非案内時提供情報要求等を管理サーバ4へ送信する際には、ユーザIDの情報が併せて送信される。
【0023】
3.管理サーバの構成
図1に示すように、管理サーバ4は、サーバ側通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、優先期間設定判別部46、重み付き通行回数算出部47を備える。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、管理サーバ4は、CPU等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置50、及びRAM等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。また、記憶装置50には地図データベースDが設けられている。地図データベースDには、地図データと、当該地図データを構成する道路ネットワークの情報が格納されている。具体的には、地図データには、複数のノードと各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータが含まれる。地図データは、サーバ側演算部43により、経路探索処理等の実行の際に参照される。
【0024】
サーバ側通信制御部41は、各車載端末装置2との間の情報の送受信を制御する機能部である。サーバ側通信制御部41は、各車載端末装置2へ情報を送信する際には、各車載端末装置2のユーザIDに基づいて行う。なお、管理サーバ4は、図示しない通信インターフェースを介して、各車載端末装置2との間で情報の送受信を行う。
【0025】
通行履歴データ取得部42は、ユーザが通行したルートである既通行ルートRの通行履歴を記憶する通行履歴記憶処理を実行する機能部である。本実施形態では、通行履歴データ取得部42は、車載端末装置2(車載側通信制御部25)から通行履歴データTを取得し、当該通行履歴データTに対応づけられているユーザIDに基づいて、記憶装置50の通行履歴データテーブルHにユーザ毎に蓄積する。また、その際に、通行履歴データ取得部42は、出発地から到着地までの全ての通行履歴データTが蓄積されると、すなわち、一走行が終了すると、当該出発地から到着地までの一連の通過リンク情報を一纏めにして既通行ルートRの情報として通行履歴データテーブルHに記憶する。なお、既通行ルートRの情報は少なくとも日付情報に対応づけられる。通行履歴データテーブルHの一例を
図2に示す。
図2に示すように、通行履歴データテーブルHでは、通行履歴データTに含まれるリンク通過時間の早い順に並んでいる。また、
図2の例では、予め定められた判定期間G内(本例では、直近1カ月以内、2013/7/9〜2013/8/8)における所定の時間帯(本例では、午前8時から午前9時)の通行履歴データTを抽出したものを表示している。なお、
図2の例では、2013/7/12以降の通行履歴データTについては記載を省略し、日付情報と既通行ルートRの情報とのみを図示している。
【0026】
サーバ側演算部43は、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する機能部である。本実施形態では、サーバ側演算部43は、目的地情報及び自位置情報を車載端末装置2から取得すると、地図データベースDを参照して、当該車載端末装置2の現在の自位置から目的地までの経路探索の処理を実行し、目的地までの経路案内情報をサーバ側通信制御部41を介して当該車載端末装置2へ送信する。
【0027】
また、サーバ側演算部43は、車載端末装置2からの非案内時提供情報要求に応じて、非案内時提供情報を生成し、当該生成した非案内時提供情報をサーバ側通信制御部41を介して車載端末装置2へ送信する処理も実行する。本実施形態では、サーバ側演算部43は、非案内時提供情報要求等を車載端末装置2から取得すると、通常通行ルート設定部44に非案内時提供情報要求があった旨、車両の走行開始時刻情報及び出発地の位置情報を出力して、通常通行ルートLを設定させる。通常通行ルート設定部44は、後述するように、通常通行ルートLを設定し、記憶装置50に記憶させる。そして、サーバ側演算部43は、記憶装置50に記憶された通常通行ルートLの情報をユーザIDに基づいて読み出し、当該通常通行ルートLを構成する道路に関する交通情報を、交通情報取得部45から取得する。そして、サーバ側演算部43は、当該取得した交通情報にユーザに通知すべき情報(例えば、渋滞や通行規制の情報)が含まれていれば、当該情報に基づいて非案内時提供情報を生成する。そして、サーバ側演算部43は、当該生成した非案内時提供情報を車載端末装置2へ送信する。
【0028】
通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートLを設定する機能部である。本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、出発地点が共通する複数の既通行ルートRの中から、積算後の重み付き通行回数が最大となる既通行ルートRを、当該出発地点から出発するユーザの通常通行ルートLに設定する通常通行ルート設定処理を実行する。また、本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、予め定められた時間帯毎(本例では1時間毎)に区切って通常通行ルートLを設定する。具体的に、通常通行ルート設定部44は、サーバ側演算部43より、非案内時提供情報要求があった旨、車両の走行開始時刻情報及び出発地の位置情報を取得すると、記憶装置50から予め定められた判定期間G(例えば直近1カ月)の情報を取得する。そして、通常通行ルート設定部44は、通行履歴データテーブルHから判定期間G内の既通行ルートRの情報とそれに対応づけられた日付情報とを抽出する。そして、通常通行ルート設定部44は、当該抽出した情報の中から、走行開始時刻情報に示される走行開始時刻(例えば、午前8時30分)が含まれる予め定められた時間帯(例えば、出勤時間帯である午前8時から9時)内の既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報を抽出する。さらに、通常通行ルート設定部44は、当該抽出した情報の中から、サーバ側演算部43より取得した車両の出発地の位置情報に示される位置と共通の位置から延びる既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報を抽出する。そして、通常通行ルート設定部44は、当該抽出した既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報(以下、単に既通行ルートRの通行履歴情報とする)を、優先期間設定判別部46に出力する。なお、通常通行ルート設定部44は、出発地の位置情報も優先期間設定判別部46に出力する。
【0029】
また、通常通行ルート設定部44は、サーバ側演算部43より、非案内時提供情報要求があった旨、車両の走行開始時刻情報及び出発地の位置情報を取得すると、その中から、走行開始時刻情報を重み付き通行回数算出部47に出力する。
【0030】
なお、通常通行ルート設定部44は、重み付き通行回数算出部47から、重み付き通行回数算出処理の結果情報を取得すると、当該結果情報に基づいて重み付き通行回数の積算値が最大となる既通行ルートRを通常通行ルートLに設定する。そして、通常通行ルート設定部44は、当該設定した通常通行ルートLを予め定められた時間帯毎及びユーザ毎に記憶装置50に記憶させる。
【0031】
優先期間設定判別部46は、1年の期間内に、通常期間と、ユーザが通行するルートを変更する可能性が当該通常期間に比べて高いと推測される期間である優先期間とを設定する機能部である。ここで、1年の期間とは、予め定められた始期から1年後(365日又はうるう年は366日後)の終期までの周期的な期間であり、例えばカレンダーや年度に基づく期間である。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、優先期間として、ユーザが通行するルートを変更する可能性を生じさせる要因に応じた複数の要因別優先期間を設定する。ここで、当該要因には、1年の期間内の時期に応じて設定される長期休暇と、既通行ルートRの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転及び通行規制の少なくとも一方とが含まれている。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、1年の期間内に、長期休暇に応じた第1優先期間と、既通行ルートRの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転の多い期間に応じた第2優先期間と、通行規制の多い期間に応じた第3優先期間との3つの期間を設定する。ここで、長期休暇とは、予め定められた日数以上の休暇期間であり、例えば5日以上の連続する休暇である。また、施設の変更とは、ユーザが日常的に利用する施設を変更することであり、例えば、引っ越し(転居)や、勤務先の変更等が含まれる。施設の移転とは、施設自体の移転であり、例えば、会社自体が移転する場合等が含まれる。また、通行規制(交通規制)とは、交通事故や災害の発生等の危険がある場合に、その道路や一部の車線の通行が禁止されたり、通行速度や通行高さ等の制限が行われたりすることであり、例えば、異常気象に伴う異常気象時通行規制(積雪・凍結規制等)、道路工事等に伴う工事時規制、イベントによる規制等が含まれる。
【0032】
また、優先期間設定判別部46は、地域に応じて異なる優先期間を設定する。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、予め記憶装置50に記憶されている地域毎の優先期間設定情報Fに基づいて、通常期間と各優先期間とを設定する。ここで、地域とは、気候や、生活習慣や、休日のカレンダー等が同じ国や地方や行政区域等を指す。そして、優先期間設定情報Fとは、地域毎に優先期間を1年の期間内のいつに設定するかを規定した情報であり、本実施形態では、地域毎の第1優先期間〜第3優先期間の時期情報が含まれている。なお、本実施形態における優先期間設定情報Fは以下のように設定されている。ここでは、第1優先期間の長期休暇に応じた期間を夏季休暇に応じた期間とし、第2優先期間の既通行ルートRの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が多い期間に応じた期間を新年度の切り替わりによる変更又は移転の多い期間とし、第3優先期間の通行規制の多い期間に応じた期間を冬季凍結時期に応じた期間として説明する。また、長期休暇に応じた期間としては、年末年始休暇やゴールデンウィーク等に応じた期間であってもよいし、通行規制の多い期間に応じた期間としては、工事規制の多い時期に応じた期間等であってもよい。具体的には、例えば、第1優先期間は、日本国内の全地域を含む北半球の国々では8月に設定されており、ニュージーランド等の南半球の国々では1月等に設定されている。また、第2優先期間は、日本国内の全地域では4月に設定されており、米国では9月に設定されている。また、第3優先期間は、日本国内の各地域(北海度と沖縄を除く)では1〜3月に設定されており、ニュージーランド等の南半球の国々では8〜9月に設定されている。また、沖縄では「期間なし」、北海道では11〜5月に設定されている。
【0033】
優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から出発地の位置情報を取得すると、当該出発地の位置が含まれる地域の優先期間設定情報Fを記憶装置50から取得し、1年の期間の内の当該優先期間設定情報Fに含まれる第1優先期間〜第3優先期間を除いた期間を通常期間に設定する。そして、優先期間設定判別部46は、当該取得した優先期間設定情報Fと通常期間の情報とを優先期間関連情報Sとして記憶装置50に記憶する。
【0034】
また、優先期間設定判別部46は、期間別重み係数λを設定する機能も有する。優先期間設定判別部46は、第1優先期間〜第3優先期間と通常期間とを設定すると、これらの期間毎に期間別重み係数λを設定する。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、優先期間内に通行した既通行ルートRについての重み付けが、通常期間に通行した既通行ルートRについての重み付けに比べて重くなるように、期間別重み係数λを設定する。また、優先期間設定判別部46は、複数の要因別優先期間のそれぞれについて異なる重み付けとなるように期間別重み係数λを設定する。具体的には、優先期間設定判別部46は、長期休暇に応じた要因別優先期間内についての重み付けが、既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が通常期間に比べて多い期間及び通行規制が通常期間に比べて多い期間の少なくとも一方に応じた要因別優先期間内についての重み付けに比べて重くなるように期間別重み係数λを設定する。すなわち、第1優先期間内についての重み付けが、第2優先期間及び第3優先期間のうちの少なくとも一方の優先期間内についての重み付けに比べて重くなるように期間別重み係数λを設定する。ここで、期間別重み係数λとは、重み付き通行回数算出部47において既通行ルートRのそれぞれの通行回数に重み付けを行う際に用いる係数であり、優先期間設定判別部46により設定された期間別に重み付けを行うための係数である。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、第1優先期間に対応する期間別重み係数λを「2」と設定し、第2優先期間及び第3優先期間に対応する期間別重み係数λを共に「1.5」と設定し、通常期間に対応する期間別重み係数λを「1」と設定する。そして、優先期間設定判別部46は、設定した期間別重み係数λの情報を各期間と対応づけて優先期間関連情報Sとして記憶装置50に記憶する。
【0035】
また、優先期間設定判別部46は、既通行ルートRの通行履歴が優先期間内に含まれる通行履歴であるか否かを判別する機能も有する。本実施形態では、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から既通行ルートRの通行履歴情報を取得すると、記憶装置50の優先期間情報Sを参照して、当該取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が、複数(本例では3つ)の要因別優先期間のいずれかに含まれるか否かを判別する。そして、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が第1優先期間〜第3優先期間のいずれかに含まれると判別した場合は、これらの優先期間に対応する期間別重み係数λの情報(第1優先期間であればλ=2、第2優先期間及び第3優先期間であればλ=1.5)を記憶装置50から取得する。また、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が第1優先期間〜第3優先期間のいずれにも含まれないと判別すると、通常期間に対応する期間別重み係数λの情報(λ=1)を記憶装置50から取得する。そして、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報と記憶装置50から取得した期間別重み係数λの情報とを重み付き通行回数算出部47に出力する。
【0036】
重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRのそれぞれの通行回数に重み付けをして重み付き通行回数を決定し、設定された判定期間内における重み付き通行回数を既通行ルートRのそれぞれについて積算する重み付き通行回数算出処理を実行する機能部である。ここで、本発明における「既通行ルートのそれぞれの通行回数」とは、既通行ルートを1回通行したことを表す数値である。本実施形態では、重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRのそれぞれの通行回数について、期間別重み係数λを用いて期間別に重み付けを行うと共に、日付重み係数1/Nを用いた日付による重み付けも行う。具体的には、重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRのそれぞれの通行回数にその日に対応する期間別重み係数λと日付重み係数1/Nとを乗算することにより、すなわち重み係数λ/Nを乗算することにより重み付けを行い、既通行ルートRのそれぞれについて積算する。また、日付による重み付けとは、ユーザが既通行ルートRを通行した時期である通行時期が現在に近づくに従って、既通行ルートRについての重み付けが重くなるように重み付けを行うことである。なお、通常通行ルートLの設定処理を実行する日、すなわち、本実施形態では判定期間Gである直近1ヵ月の起算日(以下、単に基準日)と、各既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付との差分日数がNであり、本実施形態では、走行開始時刻情報に示される走行開始時刻の日付(本例では、2013/8/9)と、各既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付との差分日数がNとなる。すなわち、基準日に近い既通行ルートRの通行履歴ほど日付重み係数1/Nは大きくなる。なお、本実施形態では、基準日が重み付き通行回数算出部47での処理日に相当し、本発明における「現在」に相当する。
【0037】
本実施形態では、重み付き通行回数算出部47は、優先期間設定判別部46から既通行ルートRの通行履歴情報及び期間別重み係数λの情報を取得すると、当該既通行ルートRの通行履歴情報に含まれる日付と、通常通行ルート設定部44から取得した走行開始時刻情報とに基づいて、基準日からの差分日数Nを算出する。そして、各既通行ルートRのそれぞれの通行回数にその通行日に対応する差分日数Nに基づく日付重み係数1/Nと期間別重み係数λとを乗算して、すなわち重み係数λ/Nを乗算して重み付き通行回数を決定する。なお、ここでの通行回数は、既通行ルートRの1回の通行を指す為、重み付き通行回数は、重み係数λ/Nと等しくなる。そして、当該重み付き通行回数を既通行ルートR毎に積算して、各既通行ルートRの通行履歴(通行回数1回に同じ)の重み付き通行回数の積算値を決定する。これが、積算後の重み付き通行回数となる。重み付き通行回数算出部47は、優先期間設定判別部46から取得した全ての既通行ルートRの通行履歴、すなわち判定期間G内の全ての既通行ルートRの通行履歴に対して重み付き通行回数の積算値を決定し終えると、当該重み付き通行回数の積算値の情報を、結果情報として通常通行ルート設定部44に出力する。なお、本実施形態の優先期間設定判別部46と重み付き通行回数算出部47とが、本発明の重み付き通行回数算出処理を実行する。
【0038】
図2〜
図4の具体例を用いて説明する。ここでは、基準日、すなわち、走行開始時刻情報に示される走行開始時刻の日付が2013/8/9であり、判定期間Gは、直近1カ月の2013/7/9〜2013/8/8である。また、第1優先期間は8月の1カ月間に設定され、第2優先期間は3〜4月の2ヵ月間に設定され、第3優先期間は12〜3月の4ヵ月間に設定されているとする。なお、
図4は、
図3に示す判定期間G内の所定の時間帯(午前8時から9時)の既通行ルートの履歴と優先期間と通常期間との関係を示した概略図である。
図4に示す既通行ルート履歴は、判定期間G内の各日付に対応した履歴であり、通行履歴なし(例えば、2013/8/3〜2013/8/4)の場合は「−」で示している。優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44より、最新の既通行ルートRの通行履歴情報(日付情報:2013/8/8、既通行ルート:ルートB)(
図4の右から1番目)を取得すると、記憶装置50の優先期間情報Sを参照して、当該通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間内のいずれかに含まれるかを判別する。当該最新の既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が2013/8/8である為、優先期間設定判別部46は、第1優先期間(8月)内に含まれると判別し、当該第1優先期間に対応する期間別重み係数λ=2の情報を記憶装置50から取得する。そして、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報と、記憶装置50から取得した期間別重み係数λ=2の情報とを重み付き通行回数算出部47に出力する。重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付(2013/8/8)と、基準日(2013/8/9)との差分日数N=1を算出し、最新の既通行ルートRの通行履歴(通行回数)の重み付き通行回数λ/N=2を算出する。次に、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44より、最新から2番目の既通行ルートRの通行履歴情報(日付情報:2013/8/7、既通行ルート:ルートB)(
図4の右から2番目)を取得すると、同様に、記憶装置50の優先期間情報Sを参照して、当該通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間内のいずれかに含まれるかを判別する。
【0039】
最新から2番目の既通行ルートRの通行履歴情報も、最新の既通行ルートRの通行履歴情報と同様に、第1優先期間内に含まれる為、優先期間設定判別部46は、当該第1優先期間内に含まれると判別し、当該第1優先期間に対応する期間別重み係数λ=2の情報を記憶装置50から取得する。そして、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報と、記憶装置50から取得した期間別重み係数λ=2の情報とを重み付き通行回数算出部47に出力する。重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付(2013/8/7)と、基準日(2013/8/9)との差分日数N=2を算出し、最新から2番目の既通行ルートRの通行履歴(通行回数)の重み付き通行回数λ/N=1を算出する。同様の動作を繰り返し、優先期間設定判別部46が、通常通行ルート設定部44より、最新から7番目の既通行ルートRの通行履歴情報(日付情報:2013/7/31、既通行ルート:ルートA)(
図4の右から9番目)を取得すると、記憶装置50の優先期間関連情報Sを参照して、当該通行履歴情報に示される日付(2013/7/31)が要因別優先期間内のいずれかに含まれるかを判別する。当該最新から7番目の既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が2013/7/31である為、優先期間設定判別部46は、いずれの要因別優先期間内に含まれない、すなわち通常期間内であると判別する。そして、優先期間設定判別部46は、当該通常期間に対応する期間別重み係数λ=1の情報を記憶装置50から取得し、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報と、併せて重み付き通行回数算出部47に出力する。重み付き通行回数算出部47は、既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付(2013/7/31)と、基準日(2013/8/9)との差分日数N=7を算出し、最新から7番目の既通行ルートRの通行履歴(通行回数)の重み付き通行回数λ/N=1/7を算出する。これらの動作を、通常通行ルート設定部44で抽出された判定期間G内における所定の時間帯(午前8時から9時)の共通の出発地から延びる既通行ルートRの通行履歴情報の全てに対して繰り返し行う。そして、重み付き通行回数算出部47は、これらの全ての既通行ルートRの通行履歴情報のそれぞれに対して算出した重み付き通行回数λ/Nを、既通行ルートR毎に積算する。
図2〜
図4の例では、ルートAの積算値=2/7+2/8+1/9+1/10+1/11+1/14+1/15+1/16+1/17+1/18+1/21+1/22+1/23+1/24+1/28+1/29=1.39…となる。また、ルートBの積算値=2/1+2/2+2/3+2/4=4.16…となる。また、ルートCの積算値=1/30+1/31=0.06…となる。すなわち、重み付き通行回数λ/Nの積算値が最大となる既通行ルートRはルートBとなり、通常通行ルート設定部44は、ルートBを通常通行ルートに設定する。これにより、判定期間内Gにおける実際の通行回数はルートAが最も多くても、夏季休暇(8月)期間内の通行が多いルートBを通常通行ルートLに設定することができる。これは、夏季休暇の期間に入ったことにより渋滞状況等が変わり通行しやすいルートBをユーザが通行するようになった場合に、その後の夏季休暇期間中にも通行すると考えられる当該ルートBをできるだけ早く通常通行ルートLに設定することができる為、ユーザに対して有効である。
【0040】
4.動作処理の手順
次に、本実施形態に係る通常通行ルートLの設定処理の動作手順について、
図5及び
図6を用いて説明する。通常通行ルート設定部44は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得すると(ステップ#01:Yes)、当該非案内時提供情報要求を受けたユーザの予め定められた判定期間G(例えば、直近1カ月)内の既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報を抽出する(ステップ#02)。次に、通常通行ルート設定部44は、ステップ#02で抽出した情報の中から、走行開始時刻情報に示される走行開始時刻(例えば、午前8時30分)が含まれる予め定められた時間帯(例えば、出勤時間帯である午前8時から9時)内の既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報を抽出する(ステップ#03)。さらに、通常通行ルート設定部44は、ステップ#03で抽出した情報の中から、サーバ側演算部43から取得した出発地の位置情報に示される位置と共通の位置から延びる(出発地が一致する)既通行ルートRの情報及びそれに対応づけられた日付情報(既通行ルートRの通行履歴情報)を抽出する(ステップ#04)。そして、通常通行ルート設定部44は、ステップ#04で抽出した既通行ルートRの通行履歴情報を、出発地の位置情報と併せて優先期間設定判別部46に出力する。そして、優先期間設定判別部46及び重み付き通行回数算出部47が重み付き通行回数算出処理を実行する(ステップ#05)。
【0041】
ここで、ステップ#05の重み付き通行回数算出処理の動作手順について
図6を用いて説明する。優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から出発地の位置情報を取得すると、当該出発地の位置が含まれる地域の優先期間設定情報Fを記憶装置50から取得する(ステップ#51)。優先期間設定判別部46は、ステップ#51で取得した優先期間設定情報F(第1優先期間〜第3優先期間の情報を含む)に基づいて第1優先期間〜第3優先期間を設定するとともに、1年の期間のうちの当該第1優先期間〜第3優先期間以外の期間を通常期間として設定し、当該取得した優先期間設定情報Fと通常期間の情報とを記憶装置50に記憶する(ステップ#52)。また、優先期間設定判別部46は、第1優先期間に対応する期間別重み係数λを「2」と設定し、第2優先期間に対応する期間別重み係数λ及び第3優先期間に対応する期間別重み係数λを共に「1.5」と設定し、通常期間に対応する期間別重み係数λを「1」と設定して(ステップ#53)、記憶装置50に記憶する。
【0042】
そして、優先期間設定判別部46は、判定期間G内の既通行ルートRの通行履歴情報を順に通常通行ルート設定部44から取得する。ここでは、日付情報に含まれる日付が最も新しい既通行ルートRの通行履歴情報、すなわち、M=1番目の既通行ルートRの通行履歴情報を通常通行ルート設定部44から取得する(ステップ#54,ステップ#55)。次に、優先期間設定判別部46は、記憶装置50の優先期間関連情報Sを参照して、当該取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間のいずれかに含まれるか否かを判別する(ステップ#56)。優先期間設定判別部46が、当該取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間のうちの第1優先期間内に含まれると判別すると(ステップ#56:Yes,ステップ#57:Yes)、記憶装置50から期間別重み係数λ=2の情報を取得する(ステップ#58)。一方、優先期間設定判別部46が、当該取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間のうちの第1優先期間内に含まれないと判別すると(ステップ#56:Yes,ステップ#57:No)、要因別優先期間のうちの第2優先期間及び第3優先期間の少なくとも一方に含まれると判別し(ステップ#59)、記憶装置50から期間別重み係数λ=1.5の情報を取得する(ステップ#60)。また、優先期間設定判別部46が、記憶装置50の優先期間関連情報Sを参照して、当該取得した既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付が、要因別優先期間のいずれにも含まれないと判別すると(ステップ#56:No)、通常期間内であると判別し(ステップ#61)、記憶装置50から期間別重み係数λ=1の情報を取得する(ステップ#62)。そして、優先期間設定判別部46は、通常通行ルート設定部44から取得した既通行ルートRの通行履歴情報と記憶装置50から取得した期間別重み係数λの情報とを重み付き通行回数算出部47に出力する。
【0043】
重み付き通行回数算出部47は、基準日(本例では、走行開始時刻の日付)とM番目の既通行ルートRの通行履歴情報に示される日付との差分日数Nを算出する(ステップ#63)。そして、重み付き通行回数算出部47は、期間別重み係数λの情報とステップ#63で算出した差分日数Nの情報とからM番目の既通行ルートRの通行履歴(通行回数)について重み係数λ/Nを算出する(ステップ#64)。そして、M番目の既通行ルートRの通行履歴情報が、通常通行ルート設定部44から取得した最後の既通行ルートRの通行履歴情報、すなわち、通常通行ルート設定部44から取得した判定期間G内の全ての既通行ルートRの通行履歴情報の中で最も古い既通行ルートRの通行履歴情報でない場合(ステップ#65:No)は、Mの値をインクリメントして(ステップ#67)、ステップ#55からの処理を繰り返す。一方、M番目の既通行ルートRの通行履歴情報が、通常通行ルート設定部44から取得した最後の既通行ルートRの通行履歴情報である場合(ステップ#65:Yes)は、既通行ルートR毎にステップ#64で算出した重み付き通行回数(λ/N)の積算値を算出し(ステップ#66)、重み付き通行回数算出処理を終了し、
図5のステップ#06に戻る。
【0044】
そして、通常通行ルート設定部44は、重み付き通行回数算出部47から取得した結果情報に基づいて、重み付き通行回数の積算値が最大となる既通行ルートRを通常通行ルートLに設定し(ステップ#06)、通常通行ルート設定処理を終了する。
【0045】
5.本発明の実施形態の概要
以上で説明した本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)は、少なくとも以下の構成を備えている。すなわち、ナビゲーションシステム(1)は、ユーザが通行したルートである既通行ルートの通行履歴を記憶する通行履歴記憶処理と、前記既通行ルートのそれぞれの通行回数に重み付けをして重み付き通行回数を決定し、設定された判定期間内における前記重み付き通行回数を前記既通行ルートのそれぞれについて積算する重み付き通行回数算出処理と、出発地点が共通する複数の前記既通行ルートの中から、積算後の前記重み付き通行回数が最大となる前記既通行ルートを、前記出発地点から出発する前記ユーザの通常通行ルートに設定する通常通行ルート設定処理と、前記ユーザを案内するための前記出発地点からの案内ルートが設定されていない場合に、情報出力装置を用いて前記通常通行ルートに関する情報を提供する情報提供処理と、を実行する演算処理部を備え、前記演算処理部は、前記重み付き通行回数算出処理では、1年の期間内に、通常期間と、前記ユーザが通行するルートを変更する可能性が前記通常期間に比べて高いと推測される期間である優先期間と、を設定し、前記優先期間内に通行した前記既通行ルートについての前記重み付けを、前記通常期間に通行した前記既通行ルートに比べて重く設定する。
【0046】
このような構成により、優先期間内に通行したルートが、通常期間内に通行したルートに比べて、通常通行ルートに設定され易くなる為、優先期間内においてユーザが通行するルートが変更された場合には、当該変更後のルートを通常通行ルートに設定し易くすることができる。その結果、ユーザにとってより適切である可能性が高いルートに関する情報を提供することが可能となる。
【0047】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)は、前記重み付き通行回数算出処理では、さらに、前記ユーザが前記既通行ルートを通行した時期である通行時期が現在に近づくに従って、前記既通行ルートについての重み付けを重く設定すると好適である。
【0048】
一般的に、ユーザが日常的に通行するルートがある場合、当該ユーザが直近で通行したルートの方が今後も通行する可能性が高い。上記構成によれば、通行時期が新しくなるに従って既通行ルートについての重み付けを重く設定する為、通行時期が新しい既通行ルートほど、通常通行ルートに設定され易くなる。よって、ユーザにとってより適切である可能性が高いルートに関する情報を提供することが可能となる。
【0049】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム(1)では、前記優先期間として、前記ユーザが通行するルートを変更する可能性を生じさせる要因に応じた複数の要因別優先期間を設定し、前記要因別優先期間のそれぞれについて異なる重み付けを設定すると好適である。
【0050】
優先期間内にユーザが通行するルートを変更した場合であっても、その変更の要因によっては、速やかに変更後のルートを通常通行ルートに設定することが好ましい場合もあれば、ある程度の通行回数があった後に変更後のルートを通常通行ルートに設定することが好ましい場合もある。上記構成によれば、ユーザが通行するルートを変更する可能性を生じさせる要因に応じて、複数の要因別優先期間毎にそれぞれ適切な重み付けを設定することができる為、通常通行ルートを適切に設定することができる。従って、ユーザにとってより適切である可能性が高いルートに関する情報を提供することが可能となる。
【0051】
また、前記要因には、1年の期間内の時期に応じて設定される長期休暇と、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転及び通行規制の少なくとも一方とが含まれ、前記重み付き回数算出処理では、前記長期休暇に応じた前記要因別優先期間内についての前記重み付けを、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が前記通常期間に比べて多い期間及び通行規制が前記通常期間に比べて多い期間の少なくとも一方に応じた前記要因別優先期間内についての前記重み付けに比べて重く設定すると好適である。
【0052】
ここで、まず、ユーザが通行するルートを変更する可能性を生じさせる要因の具体例について考察する。一般的に、長期休暇は、例えば、8月の夏季休暇のように、予め期間の長さや1年の期間内での時期が明確に決められている場合が多い。そして、このような長期休暇中は、交通渋滞の発生する時間帯や場所が通常時とは異なる為或いは目的地がいつもと異なる為、ユーザは、日常的に通行しているルートとは異なるルートを通行する場合が多い。よって、長期休暇に応じた要因別優先期間内において、ユーザが通行するルートが変更された場合には、当該変更は長期休暇が要因であると推測できる為、今後の長期期間中(要因別優先期間中)においては当該変更後のルートを通行すると推測することができる。従って、このような場合には、速やかに変更後のルートを通常通行ルートに設定することが好ましい。これに対して、例えば、引っ越しに伴う自宅位置の変更や部署移動に伴う勤務先の変更等による既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転の時期や、道路工事等による通行規制の発生時期については、期間の長さや1年の期間内における時期が明確には決められていない。よって、これらが要因となる要因別優先期間内では、ユーザが通行するルートが変更された場合であっても、一概に、当該変更は、既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転によるものや、道路工事等による通行規制によるものとは推測し難い。従って、このような場合には、ある程度の通行回数があった後に変更後のルートを通常通行ルートに設定することが好ましい。
【0053】
上記構成によれば、長期休暇に応じた要因別優先期間内に通行した既通行ルートについての重み付けを、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が通常期間に比べて多い期間及び通行規制が通常期間に比べて多い期間の少なくとも一方に応じた要因別優先期間内に通行した既通行ルートについての重み付けに比べて重く設定している。よって、長期休暇に応じた要因別優先期間内にユーザの通行するルートが変更された場合には、前記既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転が通常期間に比べて多い期間及び通行規制が通常期間に比べて多い期間の少なくとも一方に応じた要因別優先期間内にユーザの通行するルートが変更された場合に比べて、速やかに当該変更後のルートを通常通行ルートに設定することができる。従って、ユーザにとってより適切である可能性が高いルートに関する情報を提供することが可能となる。
【0054】
また、前記優先期間を、地域に応じて異ならせると好適である。
【0055】
ここで、地域とは、気候や、生活習慣や、休日のカレンダー等が同じ国や地方や行政区域等を指す。従って、地域によって、1年の期間内の時期に応じて設定される長期休暇や、既通行ルートの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転の多い時期や、通行規制の起こりやすい時期等が異なる。例えば、日本での新年度は4月であり米国での新年度は9月であり、1年の期間内における引っ越し等の多い新年度の時期が各地域によって異なる。また、冬期凍結等による通行規制の時期も、南半球と北半球や、冬の長い地域と通年温暖な地域とでは異なる。さらに、長期休暇についても国毎によって異なる。上記構成によれば、優先期間を地域に応じて異ならせることができる為、各地域の特有の事情に応じて優先期間を適切に設定することができる。従って、ユーザにとってより適切である可能性が高いルートに関する情報を提供することが可能となる。
【0056】
6.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0057】
(1)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1は、車両に搭載された車載端末装置2と管理サーバ4とにより構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。ナビゲーションシステム1は、管理サーバ4と、当該管理サーバ4と通信が可能でかつユーザが持ち運び可能な端末装置とにより構成されていればよく、例えば、多機能携帯電話機や携帯型情報端末装置等と管理サーバ4とにより構成されていてもよい。
【0058】
(2)上記の実施形態では、長期休暇に応じた要因別優先期間と、既通行ルートRの出発地点又は到着地点となる施設の変更又は移転の多い期間及び通行規制の多い期間に応じた要因別優先期間とで、期間別重み係数λを異ならせる構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。優先期間を要因別に設定することなく単に優先期間と通常期間とを設定し、当該優先期間と通常期間とで期間別重み係数λを異ならせる構成であってもよい。また、複数の月を跨ぐ優先期間について、同一の優先期間内で月毎に期間別重み係数λを異ならせる構成であってもよい。例えば、凍結時期の通行規制の多い12〜3月に優先期間を設定している場合に、特に凍結のし易い1〜2月の期間別重み係数λを1.8とし、比較的凍結のし難い12月及び3月の期間別重み係数λを1.5と少し小さく設定する構成であってもよい。
【0059】
(3)上記の実施形態では、重み付けを、期間別重み係数λと日付重み係数1/Nとの双方を用いて行う構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。日付重み係数1/Nを用いた日付による重み付けを行わずに、期間別重み係数λを用いた期間別重み付けのみを行う構成であってもよい。
【0060】
(4)上記の実施形態では、ユーザを案内するための出発地点からの案内ルートが設定されていない場合に、すなわち、目的地が設定されていない場合に、期間別重み係数λ及び日付重み係数1/Nを用いた重み付けを行った重み付き通行回数の積算値が最大となるルートを通常通行ルートLに設定する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。期間別重み係数λ及び日付重み係数1/Nを用いた重み付けを行って、重み付き通行(到着)回数の積算値が最大となる目的地をユーザが日常的に訪れている通常目的地として設定する構成であってもよい。そして、出発地点から設定された通常目的地までを結ぶルートの中で重み付き通行回数の積算値が最大となるルートを通常通行ルートLに設定する構成としても好適である。
【0061】
(5)上記の実施形態では、出発地から到着地までの通過リンクを一纏めにして既通行ルートRとし、当該既通行ルートRのそれぞれの通行回数に重み付けを行い、当該重み付けを行った後の重み付き通行回数の積算値が最大となる既通行ルートRを通常通行ルートLに設定する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。通過リンク(道路)のそれぞれの通行回数に重み付けを行い、当該重み付けを行った後の重み付き通行回数の積算値が最大となる通過リンクを通常通行リンクに設定し、出発地から到着地までの通常通行リンクを繋いだルートを通常通行ルートLに設定する構成であってもよい。
【0062】
(6)上記の実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、ユーザIDと紐づけて非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車載側演算部22は、イグニッションキーがON状態となっており、かつ、案内ルートが設定されていない場合に、予め定められたタイミング(例えば、イグニッションキーがON状態となってから30秒経過時等)で、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。
【0063】
(7)上記の実施形態では、通行履歴データ生成部23は、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクを退出した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成してもよいし、ユーザが通過したリンクの情報を当該リンクの進入及び退出時刻の双方の情報に対応づけて生成してもよい。また、通行履歴データ生成部23は、車両が通行した道路の履歴として、リンク単位ではなく、複数のリンクから構成される所定の道路単位とすることができ、当該道路単位の情報と、当該道路単位を構成するリンクのうち端のリンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であってもよい。
【0064】
(8)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1が管理サーバ4と各車載端末装置2とから構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態は、これに限定されない。例えば、管理サーバ4の機能部(サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、優先期間設定判別部46、重み付き通行回数算出部47)を各車載端末装置2が備え、ナビゲーションシステム1が車載端末装置のみから構成されていてもよい。