特許第6115499号(P6115499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115499
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】歪測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   G01B7/16 C
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-49468(P2014-49468)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-175599(P2015-175599A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
(72)【発明者】
【氏名】石丸 秀雄
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5358755(JP,B1)
【文献】 特開平05−087845(JP,A)
【文献】 特開2012−132736(JP,A)
【文献】 特開2005−121423(JP,A)
【文献】 特許第5426054(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと、前記第1ケースに対して絶縁された状態で収容される筒状電極とを有し、被測定物に取り付けられる第1電極体と、
第2ケースと、前記筒状電極に挿入されるように、前記第2ケースに対して絶縁された状態で収容される棒状電極とを有し、前記被測定物に取り付けられる第2電極体と、
前記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第1電極体の周囲を取り囲む第1絶縁部材と、
前記被測定物に対して前記第1電極体を取り付けるべく、前記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第1絶縁部材と前記被測定物との間において前記第1絶縁部材の周囲を取り囲む第1金属部材と、
前記棒状電極の前記筒状電極に挿入されている部分の長さに応じて定まる静電容量を測定する第1測定装置の測定結果に基づいて、前記被測定物における前記棒状電極が挿入される方向の歪量を測定する第2測定装置と、を備え、
前記第1金属部材は、前記第1電極体を保持するために前記第1金属部材を変形させるためのスリットと、前記スリットの幅を狭めるために調整螺子が螺着される螺子孔と、を有し、
前記第1測定装置は、
第1信号線の一端に接続される電流計と、
第2信号線の一端に接続されるアンプと、
第3信号線の一端に接続される電圧計と、
第4信号線の一端に接続される電圧源と、を有し、
前記第1電極体及び前記第2電極体が前記被測定物に取り付けられる前に、前記棒状電極及び前記筒状電極を接続させて測定誤差を補正するための第1値を取得するとともに、前記棒状電極及び前記筒状電極を離間させて測定誤差を補正するための第2値を取得し、
前記第1及第2信号線の他端は夫々、前記第1及び第2ケースのうちの一方のケースの内部において結合され、前記筒状電極及び前記棒状電極のうちの前記一方のケースに収容されている一方の電極に接続されており、
前記第3及第4信号線の他端は夫々、前記第1及び第2ケースのうちの他方のケースの内部において結合され、前記筒状電極及び前記棒状電極のうちの前記他方のケースに収容されている他方の電極に接続されている
ことを特徴とする歪測定装置。
【請求項2】
前記第1及第2信号線の他端は夫々、前記一方の電極において結合されており、
前記第3及第4信号線の他端は夫々、前記他方の電極において結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の歪測定装置。
【請求項3】
前記第1及第2信号線の他端は夫々、前記一方の電極における前記他方の電極とは反対側の第1端部に接続されており、
前記第3及第4信号線の他端は夫々、前記他方の電極における前記一方の電極とは反対側の第2端部に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の歪測定装置。
【請求項4】
前記第1及第2信号線の他端は夫々、前記第1端部に対してスポット溶接により接続されており
前記第3及第4信号線の他端は夫々、前記第2端部に対してスポット溶接により接続されている
ことを特徴とする請求項3に記載の歪測定装置。
【請求項5】
記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第2電極体の周囲を取り囲む第2絶縁部材と
記被測定物に対して前記第2電極体を取り付けるべく、前記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第2絶縁部材と前記被測定物との間において前記第2絶縁部材の周囲を取り囲む第2金属部材と、を更に備る
ことを特徴とする請求項1に記載の歪測定装置。
【請求項6】
前記被測定物と前記第1金属部材との間において前記第1金属部材から前記被測定物に向かって突出し、前記被測定物に固定される金属製の第1脚と、
前記被測定物と前記第2金属部材との間において前記第2金属部材から前記被測定物に向かって突出し、前記被測定物に固定される金属製の第2脚と、を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載の歪測定装置。
【請求項7】
前記被測定物は、第1配管と前記第1配管に溶接される第2配管と、を有し、
前記第1脚は、前記第1配管に固定され、
前記第2脚は、前記第2配管に固定される
ことを特徴とする請求項6に記載の歪測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、被測定物の歪を測定する歪測定装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-89936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1の歪測定装置においては、被測定物に取り付けられる筒状電極と、当該筒状電極の内部に挿入されるように被測定物に取り付けられる棒状電極との間の静電容量の値に基づいて、被測定物の歪が測定されている。この歪測定装置においては、例えば、静電容量を高精度に測定するには,歪測定装置のインピーダンスを幅広い測定範囲で計測する必要がある。しかし,従来の歪測定装置では,その構造から,インピーダンスの測定範囲が制限され,測定精度が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1ケースと、前記第1ケースに対して絶縁された状態で収容される筒状電極とを有し、被測定物に取り付けられる第1電極体と、第2ケースと、前記筒状電極に挿入されるように、前記第2ケースに対して絶縁された状態で収容される棒状電極とを有し、前記被測定物に取り付けられる第2電極体と、前記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第1電極体の周囲を取り囲む第1絶縁部材と、前記被測定物に対して前記第1電極体を取り付けるべく、前記棒状電極が前記筒状電極に挿入されるように前記第1絶縁部材と前記被測定物との間において前記第1絶縁部材の周囲を取り囲む第1金属部材と、前記棒状電極の前記筒状電極に挿入されている部分の長さに応じて定まる静電容量を測定する第1測定装置の測定結果に基づいて、前記被測定物における前記棒状電極が挿入される方向の歪量を測定する第2測定装置と、を備え、前記第1金属部材は、前記第1電極体を保持するために前記第1金属部材を変形させるためのスリットと、前記スリットの幅を狭めるために調整螺子が螺着される螺子孔と、を有し、前記第1測定装置は、第1信号線の一端に接続される電流計と、第2信号線の一端に接続されるアンプと、第3信号線の一端に接続される電圧計と、第4信号線の一端に接続される電圧源と、を有し、前記第1電極体及び前記第2電極体が前記被測定物に取り付けられる前に、前記棒状電極及び前記筒状電極を接続させて測定誤差を補正するための第1値を取得するとともに、前記棒状電極及び前記筒状電極を離間させて測定誤差を補正するための第2値を取得し、前記第1及第2信号線の他端は夫々、前記第1及び第2ケースのうちの一方のケースの内部において結合され、前記筒状電極及び前記棒状電極のうちの前記一方のケースに収容されている一方の電極に接続されており、前記第3及第4信号線の他端は夫々、前記第1及び第2ケースのうちの他方のケースの内部において結合され、前記筒状電極及び前記棒状電極のうちの前記他方のケースに収容されている他方の電極に接続されていることを特徴とする歪測定装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被測定物における歪の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態における歪測定装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態における歪測定装置の一部を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態における歪測定装置の一部を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態における第1装置を示す正面図である。
図5】本発明の実施形態における棒状電極及び筒状電極を離間させた状態の補正装置を示す図である。
図6】本発明の実施形態における補正装置を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態における棒状電極及び筒状電極を接触させた状態の補正装置を示す図である。
図8】本発明の実施形態における歪計を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===歪測定装置===
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態における歪測定装置について説明する。図1は、本実施形態における歪測定装置を示す図である。尚、第1電極体7及び第2電極体3は、第1電極体7及び第2電極体3の略中央を通り且つXZ平面(図2)に平行な断面における断面図として示されている。容量計5に対応する構成については、一点鎖線で囲まれている。各同軸ケーブル等の導体に囲まれている信号線については、破線で示されている。図2は、本実施形態における歪測定装置の一部を示す斜視図である。尚、図2においては、説明の便宜上、第1同軸ケーブル94、第2同軸ケーブル93、第3同軸ケーブル92、第4同軸ケーブル91(「各同軸ケーブル」とも称する)、調整螺子86(図4)等については省略されている。
【0011】
歪測定装置300は、例えば火力発電所に設けられた、ボイラ、タービン、配管等における溶接されている部分の歪量を測定するための装置である。尚、歪量とは、例えば、測定対象物の変形に応じた、当該測定対象物の変位量を示すものとする。歪測定装置300は、例えば600℃以上の比較的高温となっている金属製の配管400(被測定物)における溶接部等の測定対象部分401の歪量を測定するための静電容量方式の変位計である。
【0012】
歪測定装置300は、第1装置800(図2)、第2装置200、容量計5(第1測定装置)、歪計4(第2測定装置)を有する。尚、本実施形態において、Z軸は、第1装置800及び第2装置200が立設する高さ方向(垂直方向)に沿う軸であり、+Zは、配管400から第1装置800に向かう上方向を示し、−Zは、第1装置800から配管400に向かう下方向を示すものとする。又、X軸は、第1装置800及び第2装置200が隣接する方向に沿う軸であり、+Xは、第2装置200から第1装置800に向かう方向を示し、−Xは、第1装置800から第2装置200に向かう方向を示すものとする。又、Y軸は、X軸及びZ軸に対して直交する軸であり、+Yは、第1装置800におけるスリット8Bが設けられている一方の側面からスリット8Bが設けられていない他方の側面に向かう方向を示し、−Yは、第1装置800における他方の側面から一方の側面に向かう方向を示すものとする。
【0013】
第1装置800及び第2装置200は、金属製の配管400における測定対象部分401の歪量を測定する際に、配管400が延在する方向(X軸)において、測定対象部分401の両側に設けられる。第1装置800及び第2装置200は、測定対象部分401における当該配管400が延在する方向(配管400の長手方向)の歪量を測定するためのセンサとして機能する。
【0014】
容量計5は、棒状電極32と筒状電極72とによって形成されるコンデンサ(「電極により形成されるコンデンサ」とも称する)の容量を測定するための、例えばLCRメータである。
【0015】
歪計4は、容量計5の測定結果に基づいて、測定対象部分401の歪量を測定する。
【0016】
===第1装置、第2装置===
以下、図1乃至図4を参照して、本実施形態における第1装置及び第2装置について説明する。図3は、本実施形態における歪測定装置の一部を示す断面図である。尚、図3は、図2における第1装置800の略中央を通るXZ平面から+Y方向へ向かって見た状態の、第1装置800及び第2装置200を示している。又、図3では、説明の便宜上、調整螺子86(図4)は省略されている。図4は、本実施形態における第1装置を示す正面図である。
【0017】
=第1装置=
第1装置800は、配管400における測定対象部分401よりも+X側に例えば溶接されて固定される。第1装置800は、第1取付装置8、第1電極体7を有する。
【0018】
<第1取付装置>
第1取付装置8は、第1電極体7を配管400に対して着脱自在に取り付けるための装置であり、配管400に固定される。第1取付装置8は、第1金属部材81、第1絶縁部材82、83、金属製の脚85、調整螺子86(図4)を有する。
【0019】
第1金属部材81は、配管400に対して第1電極体7を取り付けるべく、棒状電極32が筒状電極72に挿入されるように、第1絶縁部材82、83と配管400との間において第1絶縁部材82、83の周囲を取り囲んでいる。
【0020】
第1金属部材81は、スリット8B、螺子孔81A、81Bを有する。スリット8Bは、金属部材81を変形させるための隙間である。螺子孔81A、81Bは、第1金属部材81におけるスリット8Bが設けられている側(−Y)において、Z軸に沿って設けられている。
【0021】
第1金属部材81における底面(−Z)の四隅に脚85が、例えば溶接されている。当該脚85は、配管400に対して例えば溶接される。つまり、第1金属部材81は、配管400に対して脚85によって強固に固定されることとなる。
【0022】
第1絶縁部材82、83は、配管400に対して第1電極体7を電気的に絶縁した状態で保持するための例えばセラミックス等の一対の絶縁部材である。第1絶縁部材82、83は、第1金属部材81の内部に固定されている。第1絶縁部材82、83は夫々、Z軸における上側及び下側に固定されている。
【0023】
調整螺子86は、第1電極体7を保持するために第1金属部材81を変形させるのに用いられる。調整螺子86は、螺子孔81A、81Bに連続的に螺着される。Z軸方向におけるスリット8Bの幅が、調整螺子86によって狭められた場合、第1金属部材81の内部に設けられている第1電極体7は、第1絶縁部材82、83によって挟持される。そして、第1電極体7は、第1取付装置8によって配管400に取り付けられることになる。
【0024】
<第1電極体>
第1電極体7は、第1ケース71、筒状電極72、第1支持部材73を有する。
【0025】
第1ケース71は、筒状電極72を収容する例えば金属製の筐体である。第1ケース71の外形は、例えば、円柱形状を呈する。第1ケース71は、内部に筒状電極72を収容できるように、中空構造を呈する。尚、X軸方向における第1ケース71の長さは、筒状電極72全体を収容できるように、X軸方向における筒状電極72の長さよりも長くされている。第1ケース71の内径は、筒状電極72の外径よりも大きくされている。
【0026】
第1ケース71は、第1開口74A、74B、第2開口75を有する。
【0027】
第1開口74Bには、第1同軸ケーブル94の一端が挿入される。第1開口74Aには、第2同軸ケーブル93の一端が挿入される。第1開口74A、74Bは、第2電極体3側(−X)とは反対側(+X)に設けられる。第2開口75は、筒状電極72の内部と通じている。第2開口75は、第2電極体3側に設けられる。
【0028】
第1支持部材73は、第1ケース71に対して筒状電極72が接触しないように、第1ケース71の内部において筒状電極72を支持する。第1支持部材73は、例えばセラミックス等の絶縁性の部材である。第1支持部材73は、第1ケース71の内部全体に設けられていることとしてもよい。
【0029】
筒状電極72は、棒状電極32と共にコンデンサを形成するための金属製の部材である。筒状電極72は、配管400の長手方向(X軸)に沿って延在している。筒状電極72は、棒状電極32がX軸に沿って進退自在に挿入される。筒状電極72は、第1ケース71と接触しないように、第1支持部材73によって第1ケース71の内部に固定される。
【0030】
=第2装置=
第2装置200は、配管400における測定対象部分401よりも−X側に例えば溶接されて固定される。第2装置200は、第2取付装置2、第2電極体3を有する。
【0031】
<第2取付装置>
第2取付装置2は、第2電極体3を配管400に対して着脱自在に取り付けるための装置であり、配管400に固定される。
【0032】
尚、第2取付装置2の構成は、第1取付装置8の構成と同様である。つまり、第2取付装置2における第2金属部材21、第2絶縁部材22、23、調整螺子(不図示)、脚25夫々の構成は、第1金属部材81、第1絶縁部材82、83、調整螺子86、脚85の構成と同様である。
【0033】
<第2電極体>
第2電極体3は、第2ケース31、棒状電極32、第2支持部材33を有する。
【0034】
第2ケース31は、棒状電極32の一部を収容する例えば金属製の筐体である。第2ケース31の外形は、例えば、円柱形状を呈する。第2ケース31は、内部に棒状電極32の一部を収容できるように、中空構造を呈する。第2ケース31の内径は、棒状電極32の外径よりも大きくされている。
【0035】
第2ケース31は、第1開口34A、34B、第2開口35を有する。
【0036】
第1開口34Bには、第3同軸ケーブル92の一端が挿入される。第1開口34Aには、第4同軸ケーブル91の一端が挿入される。第1開口34A、34Bは、第1電極体7側(+X)とは反対側(−X)に設けられる。第2開口35からは、棒状電極32が突出している。第2開口35は、第1電極体7側に設けられる。
【0037】
第2支持部材33は、第2ケース31に対して棒状電極32が接触しないように、第2ケース31の内部において棒状電極32を支持する。第2支持部材33は、例えばセラミックス等の絶縁性の部材である。第2支持部材33は、第2ケース31の内部全体に設けられていることとしてもよい。
【0038】
棒状電極32は、筒状電極72と共にコンデンサを形成するための金属製の部材である。棒状電極32は、配管400の長手方向(X軸)に沿って延在している。棒状電極32は、X軸に沿って筒状電極72に対して進退自在に挿入される。棒状電極32は、第2ケース31と接触しないように、第2支持部材33によって第2ケース31の内部に固定される。棒状電極32は、例えば、円柱形状を呈している。
【0039】
<コンデンサの静電容量>
棒状電極32及び筒状電極72によって形成されるコンデンサの静電容量の値は、配管400が延在する方向(X軸)における第1装置800と第2装置200との間の距離に応じて定められることになる。つまり、コンデンサの静電容量の値は、棒状電極32の筒状電極72に挿入される部分の長さに応じて定まることになる。従って、コンデンサの静電容量の値の変動に基づいて、測定対象部分401における棒状電極32が筒状電極72に挿入される方向(X軸)の歪量を求めることが可能となる。
【0040】
===容量計===
以下、図1を参照して、本実施形態における容量計について説明する。
【0041】
容量計5は、自動平衡ブリッジ法による4端子対測定法に基づいて、電極により形成されるコンデンサの容量を測定する装置である。
【0042】
容量計5は、電圧源513、電圧計523、アンプ533、電流計543を有する。容量計5と、筒状電極72及び棒状電極32とは、各同軸ケーブルを介して接続される。
【0043】
<接続>
第1同軸ケーブル94の信号線941の他端は筒状電極72に例えばスポット溶接により接続されており、信号線941の一端は電流計543の一端に接続されている。第1同軸ケーブル94の外皮としての導体942の他端は第1ケース71に接続されており、導体942の一端は電流計543の他端に接続されている。
【0044】
第2同軸ケーブル93の信号線931の他端は筒状電極72に例えばスポット溶接により接続されており、信号線931の一端はアンプ533における一方の入力に接続されている。第2同軸ケーブル93の外皮としての導体932の他端は第1ケース71に接続されており、導体932の一端はアンプ533における他方の入力に接続されている。
【0045】
信号線941、931の他端は夫々、第1ケース71の内部において筒状電極72で結合されている。信号線941、931の他端は夫々、筒状電極72における+X側の端で結合されている。尚、例えば信号線941、931の他端は夫々、筒状電極72における+X側の端以外の所定位置で結合されていることとしてもよいし、第1ケース71と筒状電極72との間における所定位置で結合されていることとしてもよい。
【0046】
第3同軸ケーブル92の信号線921の他端は棒状電極32に例えばスポット溶接により接続されており、信号線921の一端は電圧計523の一端に接続されている。第3同軸ケーブル92の外皮としての導体922の他端は第2ケース31に接続されており、導体922の一端は電圧計523の他端に接続されている。
【0047】
第4同軸ケーブル91の信号線911の他端は棒状電極32に例えばスポット溶接により接続されており、信号線911の一端は電圧源513の一端に接続されている。第4同軸ケーブル91の外皮としての導体912の他端は第2ケース31に接続されており、導体912の一端は電圧源513の他端に接続されている。
【0048】
信号線921、911の他端は夫々、第2ケース31の内部において棒状電極32で結合されている。信号線921、911の他端は夫々、棒状電極32における−X側の端で結合されている。尚、例えば信号線921、911の他端は夫々、棒状電極32における−X側の端以外の所定位置で結合されていることとしてもよいし、第2ケース31と棒状電極32との間における所定位置で結合されていることとしてもよい。
【0049】
<容量測定>
容量計5における電流計543と導体542との間に電圧源(不図示)が設けられており、この電圧源の出力は、接続点P2の電圧が略0V(仮想接地)となるようにアンプ533の出力に基づいて制御される。
【0050】
容量計5は、電圧源513の出力電圧、電圧計523及び電流計543の測定結果等に基づいて、電極により形成されるコンデンサの容量を測定し、測定結果を示す測定情報を出力する。尚、ガード電流を流して容量の測定精度を向上させるために、第1ケース71と第2ケース31とが、導電ケーブルを介して電気的に接続されていることとしてもよい。
【0051】
容量計5は、容量計5の測定値に対してショート補正及びオープン補正を行って、測定誤差を補正した上で、前述の測定情報を出力する。
【0052】
<ショート補正及びオープン補正>
容量計5は、ショート補正を行うための第1値を用いてショート補正を行い、オープン補正を行うための第2値を用いてオープン補正を行う。ショート補正及びオープン補正を行うために、容量計5は、第1値及び第2値を取得する。
【0053】
第1値を取得する場合、棒状電極32及び筒状電極72を互いに接続させた状態とする必要がある。又、第2値を取得する場合、棒状電極32及び筒状電極72を互いに離間させた状態とする必要がある。
【0054】
===補正装置===
以下、図5乃至図7を参照して、本実施形態における補正装置について説明する。
【0055】
図5は、本実施形態における棒状電極及び筒状電極を離間させた状態の補正装置を示す図である。図6は、本実施形態における補正装置を示す斜視図である。図7は、本実施形態における棒状電極及び筒状電極を接触させた状態の補正装置を示す図である。図5及び図7は、図3に対応する断面図である。又、図5及び図7においては、説明の便宜上、ガイド511、512は省略されている。
【0056】
=補正の環境=
補正装置100は、第1値及び第2値を取得する際に、電気炉101の内部において第1電極体7及び第2電極体3を移動させる装置である。電気炉101の内部は、歪測定装置300が配管400の歪量を測定する測定環境を模擬するべく、例えば600℃以上の比較的高温とされている。つまり、第1及び第2値を取得する環境は、歪測定装置300が配管400の歪量を測定する測定環境を模擬したものとなっている。
【0057】
=構成=
補正装置100は、第1架台50、第2架台10、伝達棒103を有する。
【0058】
<第1架台>
第1架台50は、例えばセラミックス等の絶縁性の材料によって形成されている。第1架台50は、電気炉101の内部における所定位置に固定されている。第1架台50は、傾斜面51、取付面52、ガイド511、512(図6)を有する。
【0059】
取付面52は、第1架台50の天面(+Z)に形成されている。取付面52には、第1取付装置8Cが固定されている。尚、第1取付装置8Cは、第1架台50に対して第1電極体7を着脱自在に取り付けるための装置であり、第1取付装置8と同様な構成である。
【0060】
傾斜面51は、第1架台50の上部(+Z)に設けられている。傾斜面51は、−X側から+X側に向かうにつれてZ軸における高さが高くなる(+Z)ように傾斜している。
【0061】
ガイド511、512は、Y軸におけるガイド511、512の間に第2架台10が設けられて、第2架台10が傾斜面51上を滑って移動するのを案内するための部材である。
【0062】
<第2架台>
第2架台10は、例えばセラミックス等の絶縁性の材料によって形成されている。第2架台10は、電気炉101の内部において傾斜面51上を滑って移動できるように、傾斜面51上に載置されている。第2架台10は、傾斜面11、取付面12を有する。
【0063】
取付面12は、第2架台10の天面(+Z)に形成されている。取付面12には、第2取付装置2Bが固定されている。尚、第2取付装置2Bは、第2架台10に対して第2電極体3を着脱自在に取り付けるための装置であり、第2取付装置2と同様な構成である。
【0064】
傾斜面11は、第2架台10の下部(−Z)に設けられている。傾斜面11は、−X側から+X側に向かうにつれてZ軸における高さが高くなる(+Z)ように傾斜している。傾斜面11は、第2架台10が傾斜面51上を滑って移動するように、傾斜面51と対向している。
【0065】
<伝達棒>
伝達棒103は、第2架台10に対して第2架台10を移動させるための移動力F1(図5)、移動力F2(図7)を伝達するための例えば絶縁性の棒部材であり、第2架台10における−X側の側面13に取り付けられている。伝達棒103は、電気炉101の外部から移動力F1、F2を伝達できるように、電気炉101の挿通孔102に挿通されている。そして、伝達棒103の一端は、挿通孔102を介して電気炉101の内部から外部へ突出している。
【0066】
===補正値の取得===
以下、図5及び図7を参照して、本実施形態における補正値の取得について説明する。
【0067】
<オープン補正を行うための第2値の取得(図5)>
第2値を取得する場合、電気炉101の外部において+Xから−Xへ向かって第2架台10を移動させるための移動力F1が伝達棒103の一端に伝達される。この移動力F1に基づいて、第2架台10が+Xから−Xへ向かって移動する。このとき、棒状電極32が筒状電極72の外部に出て筒状電極72から離間することになる。更にこのとき、容量計5は、第2値を取得する。
【0068】
<ショート補正を行うための第1値の取得(図7)>
第1値を取得する場合、電気炉101の外部において−Xから+Xへ向かって第2架台10を移動させるための移動力F2が伝達棒103の一端に伝達される。この移動力F2に基づいて、第2架台10が−Xから+Xへ向かって移動する。このとき、棒状電極32の外周の一部が筒状電極72の内周の一部に接触することになる。更にこのとき、容量計5は、第1値を取得する。
【0069】
尚、例えば棒状電極32及び筒状電極72の離間及び接触を確実に行わせるために、第2架台10の移動範囲を規制する規制部材が電気炉101の内部における所定位置に設けられていることとしてもよい。
【0070】
歪測定装置300を用いて配管400の歪量を測定する際、容量計5は、上述の取得された第1値及び第2値を用いて、ショート補正及びオープン補正を行うことにより、例えば各同軸ケーブルの浮遊容量等に基づく測定誤差の補正を行う。
【0071】
===歪計===
以下、図8を参照して、本実施形態における歪計について説明する。図8は、本実施形態における歪計を示すブロック図である。
【0072】
歪計4は、歪測定部46、制御部47を有する。
【0073】
歪測定部46は、容量計5から受信した測定情報に基づいて、電極により形成されるコンデンサの容量値から配管400の歪量を算出し、算出結果を出力又は表示する。尚、容量計5から受信した測定情報においては、第1値及び第2値を用いて行われたショート補正及びオープン補正が反映されている。尚、例えば、電極により形成されるコンデンサの容量値と配管400の歪量との関係を示す歪情報が各種情報に含まれており、歪測定部46は、歪情報等に基づいて配管400の歪量を算出することとしてもよい。制御部47は、容量計5の制御を行う。
【0074】
===歪量の測定===
以下、図3図5及び図7を参照して、本実施形態における歪量の測定について説明する。
【0075】
第1及び第2値を取得するために、第1電極体7及び第2電極体3が夫々第1取付装置8C及び第2取付装置2Bに取り付けられる。このとき、第1電極体7及び第2電極体3は夫々、第1架台50及び第2架台10に載置されることになる。
【0076】
移動力F1(図5)が伝達棒103の一端に伝達されて、棒状電極32が筒状電極72の外部に出て筒状電極72から離間することになる。このとき、容量計5は、第2値を取得する。移動力F2(図7)が伝達棒103の一端に伝達されて、棒状電極32の外周の一部が筒状電極72の内周の一部に接触することになる。このとき、容量計5は、第1値を取得する。
【0077】
これらの後、配管400の歪量を測定するために、第1電極体7及び第2電極体3は夫々、第1取付装置8及び第2取付装置2に取り付けられる。このとき、配管400に対して第1電極体7及び第2電極体3が取り付けられたことになる。そして、歪計4は、電極により形成されるコンデンサの容量値に基づいて、配管400の歪量を計測する。
【0078】
前述したように、歪測定装置300は、第1電極体7、第2電極体3、歪計4有する。第1電極体7は、第1ケース71と、第1ケース71に対して絶縁された状態で収容される筒状電極72とを有する。第2電極体3は、第2ケース31と、筒状電極72に挿入されるように、第2ケース31に対して絶縁された状態で収容される棒状電極32とを有する。第1電極体7及び第2電極体3は、被測定物としての配管400に取り付けられる。歪計4は、棒状電極32の筒状電極72に挿入されている部分の長さに応じて定まる静電容量を測定する容量計5の測定結果に基づいて、配管400における棒状電極32が挿入される方向(X軸)の歪量を測定する。容量計5は、信号線941の一端に接続されている電流計543、信号線931の一端に接続されているアンプ533、信号線921の一端に接続されている電圧計523、信号線911の一端に接続されている電圧源513を有する。信号線941及び信号線931の他端は夫々、例えば第1ケース71の内部において結合され、筒状電極72に接続されている。信号線921及び信号線911の他端は夫々、例えば第2ケース31の内部において結合され、棒状電極32に接続されている。よって、筒状電極72及び棒状電極32を含む筒状電極72及び棒状電極32の近傍において、信号線941、931の他端が結合され、信号線921、911の他端が結合されることになる。従って、信号線941、931の他端の結合位置から筒状電極72までの第1距離、及び、信号線921、911の他端の結合位置から棒状電極32までの第2距離を短くすることにより、容量計5の測定精度を向上させることができる。よって、歪測定装置300の測定精度を向上させることができる。又、容量計5のオープン補正及びショート補正を行うための第1値及び第2値を、歪測定装置300による測定環境を模擬した環境において取得することが可能となる。従って、オープン補正及びショート補正を行うことにより、歪測定装置300の測定精度を更に向上させることができる。
【0079】
又、信号線941及び信号線931の他端は夫々、筒状電極72において結合されている。信号線921及び信号線911の他端は夫々、棒状電極32において結合されている。よって、前述の第1距離及び第2距離を更に短くすることにより、歪測定装置300の測定精度を向上させることができる。
【0080】
又、信号線941及び信号線931の他端は夫々、筒状電極72における棒状電極32とは反対側の端部に接続されている。信号線921及び信号線911の他端は夫々、棒状電極32における筒状電極72とは反対側の端部に接続されている。よって、信号線941、931の筒状電極72への接続作業、及び、信号線921、911の棒状電極32への接続作業が容易となる。従って、製造が比較的容易で、量産性に優れた歪測定装置300を提供することができる。
【0081】
又、信号線941及び信号線931の他端は夫々、筒状電極72に対して例えばスポット溶接により接続されている。信号線921及び信号線911の他端は夫々、棒状電極32に対して例えばスポット溶接により接続されている。従って、例えば信号線941、931の筒状電極72に対する接触不良、及び、信号線921、911の棒状電極32に対する接触不良を防止して、歪測定装置300の測定精度を向上させることができる。又、歪測定装置300の耐久性を向上させることができる。
【0082】
又、歪測定装置300は、第1絶縁部材82、83、第1金属部材81、第2絶縁部材22、23、第2金属部材21を有する。第1絶縁部材82、83は、棒状電極32が筒状電極72に挿入されるように第1電極体7の周囲を取り囲む。第2絶縁部材22、23は、棒状電極32が筒状電極72に挿入されるように第2電極体3の周囲を取り囲む。第1金属部材81は、配管400に対して第1電極体7を取り付けるべく、棒状電極32が筒状電極72に挿入されるように第1絶縁部材83と配管400との間において第1絶縁部材82、83の周囲を取り囲む。第2金属部材21は、配管400に対して第2電極体3を取り付けるべく、棒状電極32が筒状電極72に挿入されるように第2絶縁部材23と配管400との間において第2絶縁部材22、23の周囲を取り囲む。よって、電極によって形成されるコンデンサを測定する際に、例えば、筒状電極72及び棒状電極32から配管400に対して供給されるリーク電流を低減させることができる。従って、容量計5の測定精度を更に向上させることができる。
【0083】
又、脚85は、配管400と第1金属部材81との間において第1金属部材81から配管400に向かって突出する。脚85は、配管400に固定される金属製の脚である。脚25は、配管400と第2金属部材21との間において第2金属部材21から配管400に向かって突出する。脚25は、配管400に固定される金属製の脚である。従って、第1電極体7及び第2電極体3を配管400に対して確実に固定することができる。
【0084】
又、脚25、85は、配管400における測定対象部分401の両側に固定される。従って、配管400における比較的大きくひずむことがある測定対象部分401の歪を測定することができる。
【0085】
尚、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0086】
本実施形態では、信号線931、941の他端が筒状電極72に接続され、信号線911、921の他端が棒状電極32に接続されることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば信号線931、941の他端が棒状電極32に接続され、信号線911、921の他端が筒状電極72に接続されることとしてもよい。
【0087】
又、本実施形態では、第1ケース71及び第2ケース31が金属製の筐体であることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば第1ケース71及び第2ケース31が樹脂等の絶縁性の筐体であることとしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
3 第2電極体
4 歪計
5 容量計
7 第1電極体
31 第2ケース
32 棒状電極
71 第1ケース
72 筒状電極
300 歪測定装置
400 配管
911、921、931、941 信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8