特許第6115511号(P6115511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115511
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   B60S3/06
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-86205(P2014-86205)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-205554(P2015-205554A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(74)【代理人】
【識別番号】100149179
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】福永 雅一
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−173175(JP,A)
【文献】 特開2005−329775(JP,A)
【文献】 特開平07−081530(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02017610(GB,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら洗車を行う洗車機であって、洗車機本体の左右方向に延設される走行レールと、該走行レールに走行可能に装着される左右一対の走行ホルダーと、該走行ホルダーにそれぞれ回転可能に装着される左右一対のサイドブラシと、を備え、
前記サイドブラシは、前記走行ホルダーを介して開閉可能に構成され、左右のサイドブラシが両側に離れた全開位置と、左右のサイドブラシが当接する全閉位置との間を変位可能とすると共に、
それぞれの走行ホルダーに接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成として、いずれか一方の前記走行ホルダーが全開位置にあるときにも、他方の走行ホルダーが全閉位置となるまで移動可能にし
前記ケーブル支持構成は、
前記ケーブル支持案内部材を支持する案内部材支持受け台を備えると共に、
前記案内部材支持受け台として、左走行ホルダーに接続する左ケーブル支持案内部材を支持する第1案内部材支持受け台と、右走行ホルダーに接続する右ケーブル支持案内部材を支持する第2案内部材支持受け台と、を設け、
第1案内部材支持受け台と第2案内部材支持受け台は、その高さ方向を段ちにして、それぞれの前記ケーブル支持案内部材同士が互いに干渉しない上下2段式とし、走行移動する左右の前記走行ホルダーと干渉しない領域に配設したことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
左右の前記走行ホルダーは互いに当接する当接部をそれぞれ備え、互いの位置に拘らずに互いに当接した位置で停止可能とされ、互いに当接した状態で、左右の前記サイドブラシは洗浄範囲を重なり合わせてブラッシング可能とされることを特徴とする請求項に記載の洗車機。
【請求項3】
左右のケーブル支持案内部材の設置長さは、左サイドブラシが開限界の左側端部に居るときに、右サイドブラシはこの左サイドブラシに当接するまで移動でき、右サイドブラシが開限界の右側端部に居るときに、左サイドブラシはこの右サイドブラシに当接するまで移動できる長さとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記走行レールの端部軸を軸受け体に支持して前後方向に傾動可能に構成し、前記走行レールの左右両端部に第1案内部材支持受け台と第2案内部材支持受け台を一体に支持する支持フレームを設け、該支持フレームと前記走行レールとが一体に傾動することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項5】
前記当接部は左右の前記走行ホルダーが当接する対面部に設け、前記ケーブル支持案内部材は対面部を離れた背面側に接続されることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドブラシを用いて洗車する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗車に使用される洗車機としては、給油所などに設置されて、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両に貯液タンクに貯留された液剤や洗浄水を噴射して、また、ブラッシングして洗車を行う構成とされる門型洗車機が知られている。
【0003】
従来の門型洗車機の洗車方法は、先ず、洗浄水を用いて汚れを落とし、次いでシャンプーなどの液剤を用いて洗浄し、さらに洗浄水を用いて水洗いする洗浄工程を実施する。この洗浄工程の後で、各送風ノズルから送風して乾燥する乾燥工程が行われる。また、必要に応じてワックスや撥水コートなどの液剤塗布工程を適宜組み合わせて洗車を行う。また、複数の洗車モードから所望のモードを選択し、使用する液剤の種類を選択して所定の洗車モードに設定する操作パネルやリモートパネルを備えている。操作パネルは洗車機本体に配設しているが、リモートパネルは洗車機本体から離れた位置に設置して、このリモートパネルと操作パネルとを電気的に接続して、リモートパネルに設定された洗車モードにより、洗車機を駆動可能にしている。
【0004】
上記した洗車機においては、被洗浄車両の側面をブラッシングするためのサイドブラシと上面をブラッシングするためのトップブラシと、ブラッシング洗浄した後で乾燥するためのサイド送風ノズルとトップ送風ノズルを備えているものが知られている。また、サイドブラシやトップブラシを被洗浄車両に軽く当接させた状態でブラッシング洗浄するために、例えば、左右一対のサイドブラシを左右方向に移動可能(開閉可能)に支持し、トップブラシを上下に昇降可能に支持して、それぞれのブラシと車体との反発バランスにより、ブラシ位置を車体表面から一定距離に保つようにしている。また、それぞれのブラシを回転駆動するモータの電流値を検知し、この電流値を所定範囲内に抑制するように開閉移動もしくは昇降移動制御することにより、被洗浄車両の形状に沿って洗浄することが行われている。
【0005】
また、被洗浄車両の側面を洗浄するサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面や後面を洗浄することも一般に行われている。そのため、被洗浄車両の傾斜した前面や後面を良好に洗浄するために、サイドブラシは前後方向に傾斜可能に構成されている。すなわち、このような洗車機に備えるサイドブラシは、車両の左右方向に加えて前後方向にも傾動可能とされている。また、左右一対のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面や後面を良好に洗浄するために、左右のサイドブラシは互いに当接する部位まで接近してブラッシング可能に構成されている。すなわち、従来の洗車機に備えるサイドブラシは、左右一対のサイドブラシを用いて被洗浄車両の幅全域を洗浄可能とされている。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の洗車機は、洗車機本体の上部の左右方向に延設する1本の走行レールに左右一対の走行ホルダーを配設して、それぞれにサイドブラシを回転可能に装着し、また、左右方向に揺動可能に装着している。例えば、前後方向軸(揺動支持部)を介してサイドブラシのブラシ軸を回転自在且つ揺動自在に支持する構成としている。さらに、走行レールの端部軸を軸受け体に支持して前後方向に傾動可能に構成することにより、左右のサイドブラシは走行レールと一体に前後方向に傾動可能とされる。
【0007】
上記のように、従来のサイドブラシは、左右方向に延設される走行レールに沿って走行移動する走行ホルダーに回転可能に装着されており、左右方向に傾斜可能で前後方向に傾動可能に構成されている。また、それぞれの走行ホルダーには、走行用モータや回転駆動用モータなどの電装品が装着されており、給電用ケーブルや制御用ケーブルをケーブル支持案内装置(ケーブルベア(登録商標)とも称する)を用いて接続して、左右方向に進退可能に構成している。
【0008】
そのため、左の走行ホルダーに対しては洗車機本体の左側から延びるケーブル支持案内装置が接続され、右の走行ホルダーに対しては洗車機本体の右側から延びるケーブル支持案内装置が接続され、左右の走行ホルダー同士が近接する位置まで左右のケーブル支持案内装置が変位可能となっている。そして、左右の走行ホルダーが最接近した位置で左右のサイドブラシが当接するようにして洗い残しを生じないようにしている。
【0009】
例えば、特許文献1の図5には、左右の走行ホルダーにケーブル支持案内装置に相当する支持案内保護装置を接続したサイドブラシ装置が開示されている。また、特許文献1の図7には、左右の支持案内保護装置が、同じ受け材に載置された構成が開示されている。
【0010】
また、サイドブラシを上下に二分割、もしくは、三分割にし、それぞれ独立回転可能にして、装備品部分をブラッシングするブラシ体を低速にしたり停止させたりして、装備品を傷付けることなく洗車可能になる。例えば、特許文献1に記載の洗車機は、サイドブラシを上中下に三分割して、上段のブラシ体を回転駆動する第1回転駆動手段と下段のブラシ体を回転駆動する第2回転駆動手段を備え、中間ブラシ体を接断体を介して回転・非回転可能に第2回転駆動手段に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−173175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の左右の支持案内保護装置(ケーブル支持案内部材に相当)は、同じ1個の受け材に案内ガイドされており、同じ位置の左右に並設された構成とされる。従って、左右のサイドブラシのストロークは、それぞれのケーブル支持案内部材が干渉しない範囲に規制されて可動範囲に限界が生じて問題となる。また、そのために、ケーブル支持案内部材同士が干渉しないように、走行ホルダーを停止させるストッパー部材が必要となる。
【0013】
また、左右の走行ホルダーを装着する走行レール自体を傾動させて、左右のサイドブラシを一体に前後方向に傾動させるので、この傾動動作に拘らずにそれぞれのケーブル支持案内装置を安定して支持し、ストローク規定用のストッパー部材が安定して作動するように設置することが求められて、設計コストが増加して問題となる。
【0014】
また、設計コストを低減するためには、左右のサイドブラシの可動範囲が容易に拡大できて、ストッパー部材を不要として、いずれか一方のサイドブラシを用いても被洗浄車両の前面と後面を洗浄できることが望ましい。この構成であれば、被洗浄車両の形状や装備品の装着部位により、左右いずれか一方のサイドブラシを用いて前面や後面の全域を洗浄できるようになるのでさらに好ましいと言える。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、車両の側面をブラッシングするサイドブラシを備える洗車機において、左右のいずれか一方のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら洗車を行う洗車機であって、洗車機本体の左右方向に延設される走行レールと、該走行レールに走行可能に装着される左右一対の走行ホルダーと、該走行ホルダーにそれぞれ回転可能に装着される左右一対のサイドブラシと、を備え、前記サイドブラシは、前記走行ホルダーを介して開閉可能に構成され、左右のサイドブラシが両側に離れた全開位置と、左右のサイドブラシが当接する全閉位置との間を変位可能とすると共に、それぞれの走行ホルダーに接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成として、いずれか一方の前記走行ホルダーが全開位置にあるときにも、他方の走行ホルダーが全閉位置となるまで移動可能にしたことを特徴としている。
【0017】
この構成によると、ケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成としたので、左右の走行ホルダーの移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。従って、本発明によれば、車両の側面をブラッシングするサイドブラシを備える洗車機において、左右のいずれか一方のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる洗車機を得ることができる。
【0018】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記ケーブル支持構成は、前記ケーブル支持案内部材を支持する案内部材支持受け台を備えると共に、前記案内部材支持受け台として、左走行ホルダーに接続する左ケーブル支持案内部材を支持する第1案内部材支持受け台と、右走行ホルダーに接続する右ケーブル支持案内部材を支持する第2案内部材支持受け台と、を設け、第1案内部材支持受け台と第2案内部材支持受け台は、その高さ方向を段ちにして、それぞれのケーブル支持案内部材同士が互いに干渉しない上下2段式とし、走行移動する左右の走行ホルダーと干渉しない領域に配設することを特徴としている。この構成によると、ケーブル支持案内部材がケーブルベア方式であっても、走行ホルダーと干渉しない領域に配設する第1案内部材支持受け台と第2案内部材支持受け台を用いて、左右のケーブル支持案内部材を互いに干渉しない上下2段式にしたので、左右の走行ホルダーの移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。
【0019】
また本発明は、上記構成の洗車機において、左右の走行ホルダーは互いに当接する当接部をそれぞれ備え、互いの位置に拘らずに互いに当接した位置で停止可能とされ、互いに当接した状態で、左右のサイドブラシは洗浄範囲を重なり合わせてブラッシング可能とされることを特徴としている。この構成によると、左右の走行ホルダーの移動限を規定するストッパー部材を不要にできる。また、左右の走行ホルダー同士を当接させた状態で、左右のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる。
【0020】
また本発明は、上記構成の洗車機において、ケーブル支持案内部材の設置長さは、左サイドブラシが開限界の左側端部に居るときに、右サイドブラシはこの左サイドブラシに当接するまで移動でき、右サイドブラシが開限界の右側端部に居るときに、左サイドブラシはこの右サイドブラシに当接するまで移動できる長さとしたことを特徴としている。この構成によると、いずれか一方のサイドブラシが開限界位置に停止した状態であっても、左右の走行ホルダー同士が当接する位置まで他方のサイドブラシを移動できるので、左右のいずれか一方のサイドブラシを用いて、被洗浄車両の前面と後面の全幅を洗浄することができる。
【0021】
また本発明は、上記構成の洗車機において、走行レールの端部軸を軸受け体に支持して前後方向に傾動可能に構成し、走行レールの左右両端部に第1案内部材支持受け台と第2案内部材支持受け台を一体に支持する支持フレームを設け、該支持フレームと走行レールとが一体に傾動することを特徴としている。この構成によると、走行レールを傾動してサイブラシを前後方向に傾動させる際に、左右のケーブル支持案内部材を段ちに保持したまま安定して傾動できる。
【0022】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記当接部は左右の走行ホルダーが当接する対面部に設け、ケーブル支持案内部材は対面部を離れた背面側に接続されることを特徴としている。この構成によると、左右の走行ホルダーが当接した位置において、左右のケーブル支持案内部材の接続部位が離れているので、互いのケーブル支持案内部材同士が干渉せずに、安定して走行移動することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、左右のサイドブラシを装着して移動する左右の走行ホルダーに接続するケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成としたので、左右の走行ホルダーの移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。従って、車両の側面をブラッシングするサイドブラシを備える洗車機において、左右のいずれか一方のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる洗車機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る洗車機の要部構成を示す概略説明図である。
図2】左右一対のサイドブラシのケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図である。
図3A】従来のケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図である。
図3B】本発明のケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図である。
図4】サイドブラシの取付構成を示す概略正面図である。
図5】サイドブラシのホルダー部構成を示す正面図である。
図6】洗車機の概略正面図である。
図7】洗車機の全体構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0026】
まず、本実施形態に係る洗車機WAの全体構成について図6図7を用いて説明する。洗車機WAは、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら洗車を行うものであって、図6および図7に示すように、左右の対向する2つのスタンド部90の上端を連結する天井部91を有して門型に形成される洗車機本体(本体部)1を備える。洗車機本体1の進入経路上にはリモートパネル7Aが配される。被洗浄車両CAはリモートパネル7Aの面前で停車し、リモートパネル7Aの操作によって洗車の受け付け等を行う。
【0027】
洗車機本体1の底面には地面に設けられた左右一対のレール2上に配される車輪3が設けられる。これにより、洗車機本体1はレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動するように立設される。
【0028】
洗車機本体1には被洗浄車両CAをブラッシングする複数の回転するブラシを設けている。ブラシはトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6から成っている。トップブラシ4は被洗浄車両CAの上面をブラッシングして洗浄し、布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ体を放射状に固着して形成される。
【0029】
サイドブラシ5は左右一対設けられ、被洗浄車両CAの両側面と前後面に摺動して被洗浄車両CAを洗浄する。ロッカーブラシ6は左右一対設けられ、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄する。サイドブラシ5及びロッカーブラシ6もトップブラシ4と同様の回転軸及びブラシ体を有している。
【0030】
洗車機本体1の一方の側方には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液する複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部17が配される。タンク収納部17の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を電磁弁等を介して分配する分配配管部18が設けられる。分配配管部18には第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16が導出される。洗車機本体1の後方には洗浄液や高圧空気を供給する供給部(不図示)が設けられ、分配配管部18に接続される。洗浄液は市水だけでなく、洗剤やワックス等の各種液剤と混合されてもよい。
【0031】
第1、第2浄水ノズル11、13は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して洗剤を噴射する。撥水コートノズル14は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対して撥水コート剤を噴射する。ワックスノズル16は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対してワックスを噴射する。
【0032】
また、洗車機本体1には被洗浄車両CAを乾燥させる送風ノズルとしてトップ送風ノズル21とサイド送風ノズル22とを設けている。洗車機本体1の手前側上部にはトップ送風ノズル21が設けられ、両側方にサイド送風ノズル22が設けられる。トップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22はブロワ20からの送風を被洗浄車両CAに対して吹き付けて乾燥させる。
【0033】
洗車機本体1の前面上部には車両センサ8(車形検知部)が設けられている。車両センサ8は光電センサや超音波センサ等から成り、洗車機本体1に進入する被洗浄車両CAを検知し車体の幅方向突出した装備品も検知する。また、洗車機本体1の入り口部には、被洗浄車両CAの車形を検知する車形検知センサ9(車形検知部)を設けている。この車形検知センサ9は、透過式光電センサからなるエリアセンサであって、洗車機本体1の一方の側部の上下方向に投光器を併設し、これらの投光器に対向する他方の側部の上下方向に受光器を併設することで、洗浄位置に進入してくる被洗浄車両の車形を検知して、その先端部と後端部およびボンネット高さや車高を検知する。
【0034】
洗車機本体1の一方の側方の前面には操作パネル7が配される。操作パネル7はリモートパネル7Aと同様の操作ボタンを備え、被洗浄車両CAから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けや洗車条件の設定を行う。
【0035】
洗車条件の設定としてはシャンプー、ワックス掛け、撥水コート等を水洗いに追加するボタンが操作パネル7及びリモートパネル7Aに設けられる。また、高級なシャンプー、高級なワックス(例えば、艶出しコーティング)、高級な撥水コート、特殊なコート等を行うボタンも設けられている。さらに、フロントガード有り、フェンダーポール有り、ドアミラー有り、リヤワイパー有り、該当装備品無し等の装備品設定ボタンが設けられている。
【0036】
サイドブラシ5は、図4に示すように、洗車機本体1の上部の幅方向に配設される走行レール30に、被洗浄車両の正面側から見た左右方向に移動自在に吊り下げ状態に支持され、且つ、左右一対のそれぞれのブラシ軸52がそれぞれ走行ホルダー50(50A、50B)に回転自在に支持されて構成されている。例えば、図に示すように、左サイドブラシ5Aが左走行ホルダー50Aに回転可能に支持され、右サイドブラシ5Bが右走行ホルダー50Bに回転可能に支持されている。
【0037】
左右一対のサイドブラシ5(5A、5B)は、それぞれが揺動支持部51を介して揺動自在に吊り下げられ、それぞれの走行ホルダー50(50A、50B)を介して走行レール30に沿って往復移動自在な構成とされている。また、別に設ける回転駆動用モータによってブラシ軸52が回転可能とされる。そのために、ブラシを被洗浄車両CAの傾斜した側面部に対応して傾斜させて当接させた状態で回転させることができる。つまり、サイドブラシ5(5A、5B)を被洗浄車両CAの傾斜した側面部に合致させてブラッシングすることが可能な構成である。
【0038】
また、左走行ホルダー50Aと右走行ホルダー50Bとをそれぞれ独立して走行可能としているので、洗車機本体1に対する被洗浄車両の左右方向の位置がずれた位置であっても、左走行ホルダー50Aを矢印D11方向に移動し、右走行ホルダー50Bを矢印D12方向にそれぞれ移動して、左右のサイドブラシ5(5A、5B)を適当な位置に配置して所望の洗浄効果を発揮して、安定した洗車が可能となる。
【0039】
揺動支持部51を介して揺動自在に吊り下げられているサイドブラシ5(5A、5B)を用いて被洗浄車両CAの側面を洗浄する際には、例えば、それぞれのサイドブラシ5(5A、5B)を被洗浄車両CAの側面に当接させ、さらに少し進めて揺動支持部51を介して所定角度傾斜させた状態で回転させて洗浄する。また、所定角度傾斜させた後、所定距離戻してその傾斜を小さくした位置でそれぞれのサイドブラシ5(5A、5B)を回転操作して、車両側面への押し付け強さを緩和してそれぞれの側面の洗車を同時に行うこともある。また、この際にこの洗浄する傾斜した姿勢を維持するために、ウエイトの付勢力を利用して押し付け強さを得る場合もある。
【0040】
次に、図5を用いて洗車機WAが備えるサイドブラシ5のホルダー部構成SBについて説明する。
【0041】
本実施形態に係るホルダー部構成SBは、走行レール30に沿って走行可能な走行ホルダー50(50A、50B)にサイドブラシ5(5A、5B)を回転可能且つ揺動可能に支持した構成である。走行ホルダー50(50A、50B)は、ホルダー本体31に、走行モータ32と該走行モータ32により駆動される走行車輪33と、走行ホルダー50を走行レール30の上案内軌道面30aに沿って摺動可能に支持する案内ローラ34と下案内軌道面30bに沿って摺動可能に支持する案内ローラ35とを備えている。また、サイドブラシ5(5A、5B)のブラシ軸52を回転駆動する駆動部材60と、前述した揺動支持部51と、ブラシ軸52の揺動角度を検知する揺動角度検知センサ37とを備えている。
【0042】
サイドブラシ5(5A、5B)のブラシ軸52を回転駆動する駆動部材60は、プーリ61Aを駆動するための駆動力伝達索体62Aと駆動モータ60A(図1参照)を備えている。駆動力伝達索体62Aはベルトやチェーンなどを用いることができる。
【0043】
揺動支持部51は、ブラシ軸52を回転可能且つ揺動可能に支持する構成であれば、どのような構成でもよい。例えば、ブラシ軸52を回転可能に支持する支持部を一体に揺動可能な構成とすることも、ブラシ軸52を、回転軸52Bと固定軸52Aとの二重構成とし、固定軸52Aを揺動可能に支持し、この固定軸52A内部に回転可能に回転軸52Bを装着する構成とすることもできる。
【0044】
また、サイドブラシ5(5A、5B)を上下二段式として、それぞれを別個に回転駆動する場合には、例えば、回転可能なブラシ軸52または固定軸52Aの下部に、外回転軸53を回転可能に設けて上サイドブラシを装着し、プーリ61Bと駆動力伝達索体62Bを介装し、前記回転可能なブラシ軸52または回転軸52Bを前記外回転軸53を貫通させて下まで延設し、この延設部に下サイドブラシを装着することで、上下二段式のサイドブラシ5を回転駆動可能となる。
【0045】
上記したように、揺動支持部51を用いてブラシ軸52を回転可能且つ揺動可能に支持することができ、サイドブラシ5(5A、5B)が車両の側面に当接してブラシ軸52を揺動した姿勢で、サイドブラシ5(5A、5B)を回転駆動しブラッシングして洗浄を行うことができる。
【0046】
また、ブラシ軸52の揺動角度を検知する揺動角度検知センサ37を介して、ブラシ軸52が予め設定される所定角度θ(例えば、6°)揺動したときに、走行モータ32の駆動を停止する。ブラシ軸52が所定角度θ揺動した位置は、サイドブラシ5(5A、5B)が確実に被洗浄車両の側面に当接した状態であって、この状態を維持したまま側面を洗浄することも可能である。
【0047】
36は揺動規制体であって、予め定める所定角度θ以上に揺動したときに、この揺動を規制する部材であり、金属製部材にゴムなどの緩衝体を装着した構成とされる。また、ホルダー本体31の位置を検知するための位置センサ38とブラシ軸52を垂直方向に維持するよう弾性的に付勢するばね39を備えている。
【0048】
さらに、図示していないが、左走行ホルダー50A、右走行ホルダー50Bの開閉方向のそれぞれの限度を規定する開限センサや閉限センサを設けることもできる。
【0049】
上記のホルダー部構成SBを用いることで、それぞれの走行ホルダー50(50A、50B)を摺動移動して、左右一対のサイドブラシ5(5A、5B)を開閉駆動可能となる。また、それぞれのサイドブラシ5(5A、5B)を車両の側面に当接させ所定角度θ揺動した位置で開閉移動を停止して、この位置から少し逆戻りした位置で洗浄を開始する。この洗浄の際には、それぞれのサイドブラシ5(5A、5B)を回転駆動するそれぞれの駆動モータの電流値を検知して、所定の電流値(閾値)内に抑えるように制御する。すなわち、所定の電流値に達するまで車体側部に近接移動する。
【0050】
例えば、駆動モータの電流値を高い閾値に設定することで、サイドブラシ5(5A、5B)をより近接させて車体側部に対する押付強さを強くすることができ、駆動モータの電流値を低い閾値に設定することで、サイドブラシ5(5A、5B)の車体側部に対する押付強さを弱くすることができる。また、サイドブラシ5(5A、5B)の車体側部に対する当接長さによって、サイドブラシ5(5A、5B)の車体側部に対する押付強さを変化させてもよい。
【0051】
上記したように、左右一致のサイドブラシ5(5A、5B)は、走行レール30に沿って走行移動する走行ホルダー50(50A、50B)を介して左右方向に移動可能に構成される。すなわち、左右のサイドブラシ5A、5Bは開閉移動する。
【0052】
走行ホルダー50(50A、50B)は駆動モータ60Aや走行モータ32などの電装部品を備えて走行移動するので、それぞれの走行ホルダーに接続する電力ケーブルや信号ケーブルなどのケーブルを挿通するケーブル支持案内部材72A、72B(例えば、ケーブルベア(登録商標))を備えている。
【0053】
そこで、ケーブル支持案内部材の装着構成、すなわち、ケーブル支持構成について図1図2を用いて説明する。図1は本発明に係る洗車機の要部構成を示す概略説明図であって、走行ホルダー50(50A、50B)部の概略断面図である。また、図2は、左右一対のサイドブラシのケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図である。
【0054】
図1の概略断面図に示すように、走行ホルダー50(50A、50B)は走行レール30の上部ガイドレール部に走行車輪33が係合し、下部ガイドレール部に案内ローラ35が係合して走行モータ32により走行可能に装着されている。また、サイドブラシ5(5A、5B)のブラシ軸52を回転駆動するための、駆動モータ60Aとプーリ61Aと駆動力伝達索体62Aを備えている。また、ブラシ軸52は揺動支持部51を介して揺動可能に支持されている。
【0055】
走行ホルダー50(50A、50B)に接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材72A、72Bは、走行ホルダー50(50A、50B)の外側に、すなわち、走行移動する走行ホルダー50(50A、50B)と干渉しない領域に上下二段式に設けられている。従って、本実施形態に係る洗車機WAは、それぞれの走行ホルダー50(50A、50B)に接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材72A、72Bと、ケーブル支持案内部材72A、72Bを支持する案内部材支持受け台71A、71Bと、を備え、左走行ホルダー50Aに接続する左ケーブル支持案内部材72Aを支持する第1案内部材支持受け台71Aと、右走行ホルダー50Bに接続する右ケーブル支持案内部材72Bを支持する第2案内部材支持受け台71Bを、高さ方向を段ちにしてケーブル支持案内部材72A、72B同士が互いに干渉しない上下2段式とし、走行移動する左右の走行ホルダー50A、50Bと干渉しない領域に配設している。
【0056】
すなわち、サイドブラシ5(5A、5B)は、走行ホルダー50(50A、50B)を介して開閉可能に構成され、左右のサイドブラシ5A、5Bが両側に離れた全開位置と、左右のサイドブラシ5A、5Bが当接する全閉位置との間を変位可能とすると共に、それぞれの走行ホルダー50(50A、50B)に接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成として、いずれか一方の走行ホルダー50(50A、50B)が全開位置にあるときにも、他方の走行ホルダー50(50A、50B)が全閉位置となるまで移動可能にしている。
【0057】
上記構成により、左右の走行ホルダー50A、50Bがそれぞれ単独で左右の限界位置まで移動可能になる。すなわち、本実施形態によれば、ケーブル支持案内部材72A、72Bがケーブルベア方式であっても、走行ホルダー50A、50Bと干渉しない領域に配設する第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bを用いて、左右のケーブル支持案内部材72A、72B同士が互いに干渉しない上下2段式にしたので、左右の走行ホルダー50A、50Bの移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。従って、車両の側面をブラッシングするサイドブラシ5を備える洗車機WAにおいて、左右のいずれか一方のサイドブラシ5(5A、5B)を用いて被洗浄車両CAの前面と後面を洗浄可能になる。
【0058】
また、図2に示すように、左サイドブラシ5Aが開限界の左側端部に居るときに、右サイドブラシ5Bはこの左サイドブラシ5Aaに当接する右サイドブラシ5Bbになるまで移動できるようにし、右サイドブラシ5Bが開限界の右側端部に居るときに、左サイドブラシ5Aはこの右サイドブラシ5Baに当接する左サイドブラシ5Abになるまで移動できるようにしている。
【0059】
また、左ケーブル支持案内部材72Aは支持受け台固定部73Aを介して一端を案内部材支持受け台71Aに固定し、他端部を走行ホルダー50Aの所定部位に接続しており、左端の左サイドブラシ5Aaから右端の左サイドブラシ5Abまで移動可能に設定される。同様に、右ケーブル支持案内部材72Bは支持受け台固定部73Bを介して一端を案内部材支持受け台71Bに固定し、他端部を走行ホルダー50Bの所定部位に接続しており、右端の右サイドブラシ5Baから左端の右サイドブラシ5Bbまで移動可能に設定される。
【0060】
すなわち、ケーブル支持案内部材72A、72Bの設置長さは、左サイドブラシ5Aが開限界の左側端部に居るときに、右サイドブラシ5Bはこの左サイドブラシ5Aに当接するまで移動でき、右サイドブラシ5Bが開限界の右側端部に居るときに、左サイドブラシ5Aはこの右サイドブラシ5Bに当接するまで移動できる長さとしている。また、左右の走行ホルダー50同士が当接する場合には、左走行ホルダー50Aに設ける当接部55Aと右走行ホルダー50Bに設ける当接部55Bとが当接するようにしている。
【0061】
従って、左右の走行ホルダー50A、50Bは互いに当接する当接部55A、55Bをそれぞれ備え、互いの位置に拘らずに互いに当接した位置で停止可能とされる。この構成であれば、左右の走行ホルダー50A、50Bの移動限を規定するストッパー部材を不要にできる。また、互いに当接した状態で、左右のサイドブラシ5A、5Bは洗浄範囲を重なり合わせてブラッシング可能とされる。従って、右サイドブラシ5Bが開限界の右側端部に居るときに、左サイドブラシ5Aはこの右サイドブラシ5Baに当接するまで移動でき、左サイドブラシ5Abとなって走行ホルダー同士が当接した位置で停止するので、左右のいずれか一方のサイドブラシ5(5A、5B)を用いて、被洗浄車両CAの前面と後面の全範囲をカバーして洗浄することができる。
【0062】
また、走行レール30の左右両端部に第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bを一体に支持する支持フレーム70を固定し、該支持フレーム70と走行フレーム30とが一体に傾動するようにしている。この構成であれば、走行レール30を傾動してサイブラシ5(5A、5B)を前後方向に傾動させる際に、左右のケーブル支持案内部材72A、72Bを段ちに保持したまま安定して傾動できる。
【0063】
当接部55A、55Bは、金属製フレームから成るホルダー本体31の所定部位にゴムなどの緩衝体を装着した構成であればよい。また、当接部55A、55Bは左右の走行ホルダー50A、50Bが当接する対面部に設け、ケーブル支持案内部材72A、72Bは対面部を離れた背面側に接続されることが好ましい。この構成であれば、左右の走行ホルダー50A、50Bが当接した位置において、左右のケーブル支持案内部材72A、72Bの接続部位が離れているので、互いのケーブル支持案内部材同士が干渉せずに、安定して走行移動することができる。
【0064】
次に、図3A図3Bを用いて従来のケーブル支持構成と本発明に係るケーブル支持構成との相違について説明する。図3Aは、従来のケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図であり、図3Bは、本発明のケーブル支持案内部材の可動範囲を示す概略説明図である。
【0065】
図3Aに示すように、従来のケーブル支持構成は、1つの案内部材支持受け台71Cに左ケーブル支持案内部材72Caと右ケーブル支持案内部材72Cbを一体に載置して支持した構成である。
【0066】
左ケーブル支持案内部材72Caは支持受け台固定部73Caを介して一端を案内部材支持受け台71Cに固定し、他端部が走行ホルダー接続部74Caとなる。そこで、走行ホルダーの走行移動に連動して走行ホルダー接続部74Caは距離HCa移動する。
【0067】
同様に、右ケーブル支持案内部材72Cbは支持受け台固定部73Cbを介して一端を案内部材支持受け台71Cに固定し、他端部が走行ホルダー接続部74Cbとなる。そして、走行ホルダーの走行移動に連動して走行ホルダー接続部74Cbは距離HCb移動する。
【0068】
距離HCaと距離HCbは略等しくて、被洗浄車両CAの前面と後面の幅方向の全域を左右のサイドブラシを同時に用いて洗浄する構成である。
【0069】
一方、図3Bに示す本発明のケーブル支持構成は、ケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成であって、第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bを上下に段ちに配置した2段構成としている。すなわち、第1案内部材支持受け台71Aが左ケーブル支持案内部材72Aを支持し、第2案内部材支持受け台71Bが右ケーブル支持案内部材72Bを支持する。
【0070】
また、左ケーブル支持案内部材72Aは支持受け台固定部73Aを介して一端を案内部材支持受け台71Aに固定し、他端部が走行ホルダー接続部74Aとなり、走行ホルダーの走行移動に連動して走行ホルダー接続部74Aは距離HA移動する。右ケーブル支持案内部材72Bは支持受け台固定部73Bを介して一端を案内部材支持受け台71Bに固定し、他端部が走行ホルダー接続部74Bとなり、走行ホルダーの走行移動に連動して走行ホルダー接続部74Bは距離HB移動する。
【0071】
距離HAの右に記載の距離HXは、開限界の右側端部に居る右走行ホルダー50Bに左走行ホルダー50Aが当接したときの走行ホルダー接続部74Aと走行ホルダー接続部74Bとの間隔である。また、逆の左側端部においても同様に、走行ホルダー接続部74Aと走行ホルダー接続部74Bとの間隔は距離HXとなる。
【0072】
すなわち、左ケーブル支持案内部材72Aは、一端を支持受け台固定部73Aとして第1案内部材支持受け台71Aに固定し、他端を走行ホルダー接続部74Aとして左走行ホルダー50Aに接続したときに、距離HA移動可能な長さに設定されている。そこで、この距離HA移動する過程において、左サイドブラシ5Aが被洗浄車両CAの幅全域を洗浄可能にしておくことにより、左サイドブラシ5Aのみを用いて被洗浄車両CAの前面と後面を洗浄可能になる。
【0073】
右サイドブラシ5Bの右ケーブル支持案内部材72Bについても同じであり、距離HB移動可能な長さに設定しておくことにより、右サイドブラシ5Bのみを用いて被洗浄車両CAの前面と後面を洗浄可能になる。
【0074】
例えば、距離HAが2.2m程度であれば被洗浄車両CAの前面や後面を左サイドブラシ5Aのみを用いて洗浄可能になる。そのために、距離HAおよび距離HBを2.2m以上に設定することにより、左右のいずれか一方のサイドブラシ5を用いて被洗浄車両CAの前面と後面を洗浄できる。
【0075】
上記したように、本発明に係る洗車機WAは、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら洗車を行う洗車機であって、洗車機本体1の左右方向に延設される走行レール30と、該走行レール30に走行可能に装着される左右一対の走行ホルダー50(50A、50B)と、該走行ホルダーにそれぞれ回転可能に装着される左右一対のサイドブラシ5(5A、5B)と、を備え、サイドブラシ5(5A、5B)は、走行ホルダー50(50A、50B)を介して開閉可能に構成され、左右のサイドブラシ5A、5Bが両側に離れた全開位置と、左右のサイドブラシ5A、5Bが当接する全閉位置との間を変位可能とすると共に、それぞれの走行ホルダー50(50A、50B)に接続するケーブルを挿通するケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成として、いずれか一方の走行ホルダー50(50A、50B)が全開位置にあるときにも、他方の走行ホルダー50(50A、50B)が全閉位置となるまで移動可能にしたことを特徴としている。
【0076】
この構成であれば、ケーブル支持案内部材同士が干渉しないケーブル支持構成としたので、左右の走行ホルダー50(50A、50B)の移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。従って、本発明によれば、車両の側面をブラッシングするサイドブラシ5(5A、5B)を備える洗車機において、左右のいずれか一方のサイドブラシ5(5A、5B)を用いて被洗浄車両CAの前面と後面を洗浄できる洗車機WAを得ることができる。
【0077】
また、本発明に係るケーブル支持構成は、ケーブル支持案内部材72A、72Bを支持する案内部材支持受け台として、左走行ホルダー50Aに接続する左ケーブル支持案内部材72Aを支持する第1案内部材支持受け台71Aと、右走行ホルダー50Bに接続する右ケーブル支持案内部材72Bを支持する第2案内部材支持受け台71Bと、を設けると共に、第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bは、その高さ方向を段ちにして、それぞれのケーブル支持案内部材同士が互いに干渉しない上下2段式とし、走行移動する左右の走行ホルダー50(50A、50B)と干渉しない領域に配設したことである。
【0078】
この構成であれば、ケーブル支持案内部材72A、72Bがケーブルベア方式であっても、走行ホルダー50と干渉しない領域に配設する第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bを用いて、左右のケーブル支持案内部材72A、72Bを互いに干渉しない上下2段式にしたので、左右の走行ホルダー50の移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。
【0079】
また、左右の走行ホルダー50A、50Bは互いに当接する当接部55A、55Bをそれぞれ備え、互いの位置に拘らずに互いに当接した位置で停止可能とされ、互いに当接した状態で、左右のサイドブラシ5A、5Bは洗浄範囲を重なり合わせてブラッシング可能とされることが好ましく、当接部55A、55Bは左右の走行ホルダー50A、50Bが当接する対面部に設け、ケーブル支持案内部材72A、72Bは対面部を離れた背面側に接続されることが好ましい。
【0080】
また、走行レール30の端部軸を軸受け体41に支持して前後方向に傾動可能に構成し、走行レール30の左右両端部に第1案内部材支持受け台71Aと第2案内部材支持受け台71Bを一体に支持する支持フレーム70を設け、該支持フレーム70と走行レール30とが一体に傾動することが好ましい。
【0081】
この構成によると、左右の走行ホルダーの移動限を規定するストッパー部材を不要にできる。また、左右の走行ホルダー同士を当接させた状態で、左右のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる。
【0082】
上記したように、本発明によれば、左右のサイドブラシを装着して移動する左右の走行ホルダーに接続するケーブル支持案内部材を支持する第1、第2案内部材支持受け台を、高さ方向を段ちにした互いに干渉しない上下2段式とし、走行移動する左右の走行ホルダーと干渉しない領域に配設する構成としたので、左右の走行ホルダーの移動限がケーブル支持案内部材同士が干渉することによる制限を受けずに、より広範囲に移動可能になる。従って、車両の側面をブラッシングするサイドブラシを備える洗車機において、左右のいずれか一方のサイドブラシを用いて被洗浄車両の前面と後面を洗浄できる洗車機を得ることができる。
【0083】
そのために、左右のサイドブラシの仕様を異ならせておき、いずれか一方のサイドブラシを用いて車両の前面と後面を洗浄することや、安全確認のための補助ミラーを車両の片側前方に設けた車両に対しては、逆側のサイドブラシを用いて車両前面を洗浄することなどを容易に選択できて、前面・後面の洗浄操作のバリエーションを増加できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
そのために、本発明に係る洗車機は、多種多様な被洗浄車両に対して洗車を実行することが求められる洗車場の洗車機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0085】
1 洗車機本体
5 サイドブラシ
5A 左サイドブラシ
5B 右サイドブラシ
30 走行レール
41 軸受け体
50 走行ホルダー
50A 左走行ホルダー
50B 右走行ホルダー
55A、55B 当接部
70 支持フレーム
71A,71B 案内部材支持受け台
72A、72B ケーブル支持案内部材
73A、73B 支持受け台固定部
74A、74B 走行ホルダー接続部
CA 被洗浄車両
WA 洗車機
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7