(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照合手段は、前記複数の衛星についてそれぞれ、複数の前記受信符号と照合された前記想定符号の照合数と、当該想定符号が前記受信符号と不一致であった不一致数とを前記衛星ごと前記ずれ量ごとに計数し、
前記個別ずれ量特定手段は、前記衛星ごと前記ずれ量ごとの前記照合数に対する前記不一致数が所定の上限基準値以下である場合に、対応するずれ量が当該衛星に係る前記個別合致条件を満たすと判定する
ことを特徴とする請求項3記載の衛星電波受信装置。
前記照合手段は、前記複数の衛星についてそれぞれ、複数の前記受信符号と照合された前記想定符号の照合数と、当該想定符号が前記受信符号と不一致であった不一致数とを前記衛星ごと前記ずれ量ごとに計数し、
前記調整データ統合手段は、前記調整されたずれ量ごとに各衛星の前記不一致数を加算した合計不一致数及び当該不一致数に各々対応する照合数を加算した合計照合数を算出することで前記照合結果情報を統合することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
前記ずれ量特定手段は、前記合計不一致数が所定の信頼条件を満たすか否かにより前記合致条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項5記載の衛星電波受信装置。
前記ずれ量特定手段は、最小の前記合計不一致数である最小不一致数が当該最小不一致数に対応する前記合計照合数中に出現する確率が前記統合誤同定確率に基づいて前記妥当性基準を満たす範囲内にあることを前記所定の信頼条件に含む
ことを特徴とする請求項7又は8記載の衛星電波受信装置。
前記相対ずれ量特定手段は、一の衛星により得られた受信符号について、前記個別合致条件を満たす基準ずれ量に対して、前記一の衛星以外の他の衛星による受信符号について各々所定の符号数の相対ずれ範囲内で当該受信符号と前記想定符号との間における合致の度合が最も高いずれ量を各々取得することで、前記複数の衛星に係る前記受信タイミングずれを特定することを特徴とする請求項3又は4記載の衛星電波受信装置。
前記照合手段は、前記受信手段により一の受信符号が同定されるごとに、前記一の受信符号の受信日時に対する前記最大ずれ幅内の前記想定符号と、当該一の受信符号とを照合することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
前記最大ずれ幅は、前記取得された現在日時を計数する計時手段の当該現在日時が直近に修正されてからの経過時間に応じて求められることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
前記最大ずれ幅内の想定符号を含む想定符号列と、当該想定符号列内において前記想定符号と想定されなかった符号とを識別する識別情報とを生成する想定符号列生成手段を備え、
前記照合手段は、前記識別情報に基づいて前記想定符号と前記受信符号とをそれぞれ照合する
ことを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の衛星電波受信装置を有する電子時計1の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
この電子時計1は、少なくとも米国のGPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(以下、GPS衛星と記す)からの電波(衛星電波)を受信して日時情報を取得することが可能な電波時計である。
電子時計1は、日時修正手段としてのホストCPU41(Central Processing Unit)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時手段としての計時回路46と、表示部47と、表示ドライバ48と、操作部49と、電源部50と、衛星電波受信装置としての衛星電波受信処理部60と、アンテナANなどを備える。
【0013】
ホストCPU41は、各種演算処理を行い、電子時計1の全体動作を統括制御する。ホストCPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出し、RAM43にロードして日時の表示や各種機能に係る演算制御や表示などの各種動作処理を行う。また、ホストCPU41は、衛星電波受信処理部60を動作させて測位衛星からの電波を受信させ、受信内容に基づいて求められた日時情報や位置情報を取得する。
【0014】
ROM42は、マスクROMや書き換え可能な不揮発性メモリなどであり、制御プログラムや初期設定データが記憶されている。制御プログラムの中には、測位衛星から各種情報を取得するための各種処理の制御に係るプログラム421が含まれる。
【0015】
RAM43は、SRAMやDRAMなどの揮発性のメモリであり、ホストCPU41に作業用のメモリ空間を提供して一時データを記憶すると共に、各種設定データを記憶する。各種設定データには、電子時計1のホーム都市設定や、日時の計数、表示における夏時間の適用可否に係る設定が含まれる。RAM43に記憶される各種設定データの一部又は全部は、不揮発性メモリに記憶されても良い。
【0016】
発振回路44は、予め定められた所定の周波数信号を生成して出力する。この発振回路44には、例えば、水晶発振器が用いられている。
【0017】
分周回路45は、発振回路44から入力された周波数信号を計時回路46やホストCPU41が利用する周波数の信号に分周して出力する。この出力信号の周波数は、ホストCPU41による設定に基づいて変更することが可能であっても良い。
【0018】
計時回路46は、分周回路45から入力された所定の周波数信号(クロック信号)の入力回数を計数して初期値に加算することで現在の日時を計数する。計時回路46としては、ソフトウェア的にRAMに記憶させる値を変化させるものであっても良いし、或いは、専用のカウンタ回路を備えていても良い。計時回路46の計数する日時は、特には限られないが、所定のタイミングからの累積時間、UTC日時(協定世界時)、又は予め設定されたホーム都市の日時(地方時)などのうち何れかである。また、この計時回路46の計数する日時自体は、必ずしも年月日、時分秒の形式で保持される必要がない。分周回路45から計時回路46に入力されるクロック信号には、正確な時間経過とは若干のずれがあり、1日当たりのずれの大きさ(歩度)は、動作環境、例えば、温度によって変化し、通常では、±0.5秒以内である。
【0019】
表示部47は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイなどの表示画面を備え、ドットマトリクス方式及びセグメント方式の何れか又はこれらの組み合わせにより日時や各種機能に係るデジタル表示動作を行う。
表示ドライバ48は、表示画面の種別に応じた駆動信号をホストCPU41からの制御信号に基づいて表示部47に出力して、表示画面上に表示を行わせる。
【0020】
操作部49は、ユーザからの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた電気信号を入力信号としてホストCPU41に出力する。この操作部49には、例えば、押しボタンスイッチやりゅうずスイッチが含まれる。
或いは、表示部47の表示画面に重ねてタッチセンサが設けられ、当該タッチセンサへのユーザの接触動作に係る接触位置や接触態様の検出に応じた操作信号を出力するタッチパネルとして表示画面を機能させることで、表示部47と操作部49とが一体的に設けられても良い。
【0021】
電源部50は、バッテリを備え、電子時計1の動作に係る電力を所定の電圧で各部に供給する。電源部50のバッテリとしては、ここでは、ソーラパネルと二次電池が用いられている。ソーラパネルは、入射した光により起電力を生じてホストCPU41などの各部に電力供給を行うと共に、余剰電力が生じた場合には、当該電力を二次電池に蓄電する。一方、ソーラパネルへの外部からの入射光量により発電可能な電力が消費電力に対して不足している場合には、二次電池から電力が供給される。或いは、バッテリとしてボタン型などの一次電池が用いられても良い。
【0022】
衛星電波受信処理部60は、アンテナANを介して測位衛星からの電波に同調して各測位衛星に固有のC/Aコード(疑似ランダムノイズ)を同定、捕捉することで当該電波を受信し、測位衛星が送信する航法メッセージを復調、復号して必要な情報を取得する。衛星電波受信処理部60は、モジュールCPU61(照合手段、照合結果統合手段、ずれ量特定手段、日時取得手段、タイミングずれ特定手段、ずれ量調整手段、調整データ統合手段、個別ずれ特定手段、相対ずれ量特定手段、誤同定確率取得手段、統合誤同定率算出手段、想定符号列生成手段)と、メモリ62と、確率テーブル記憶手段としての記憶部63と、RF部64と、ベースバンド変換部65と、捕捉追尾部66などを備える。
【0023】
モジュールCPU61は、ホストCPU41からの制御信号や設定データの入力に応じて衛星電波受信処理部60の動作を制御する。モジュールCPU61は、記憶部63から必要なプログラムや設定データを読み出して、RF部64、ベースバンド変換部65及び捕捉追尾部66を動作させ、受信された各測位衛星からの電波を受信、復調させて日時情報を取得する。このモジュールCPU61は、受信した電波を復号して日時情報を取得する他、復号せずに、復調、同定された受信符号列を予め設定された比較照合用の符号列(照合符号列)と比較して一致検出を行うことが出来る。
【0024】
メモリ62は、衛星電波受信処理部60におけるモジュールCPU61に作業用のメモリ空間を提供するRAMである。また、メモリ62には、受信された符号列との比較照合用に生成された符号列データが一時記憶される。
【0025】
記憶部63は、GPS測位や日時情報取得に係る各種設定データや測位の履歴を記憶する。記憶部63には、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの各種不揮発性メモリが用いられる。記憶部63に記憶されるデータには、各測位衛星の軌道情報(エフェメリス)、予測軌道情報(アルマナック)、前回の測位日時及び位置や前回の日時情報取得日時が含まれ得る。また、記憶部63には、世界各地のタイムゾーンや夏時間の実施情報に係るデータが時差テーブルとして記憶されている。測位が行われた場合には、この時差テーブルが参照されて、得られた現在位置における標準時間での協定世界時(UTC)からの時差や夏時間実施情報などの地方時情報が特定される。また、日時情報が取得された場合には、既に設定されているタイムゾーンや夏時間の実施情報に従って地方時が算出される。
【0026】
また、記憶部63に記憶されるデータには、プログラム631と、履歴記憶部632と、符号記憶部633と、確率テーブルとしての誤同定確率テーブル634が含まれる。日時情報の取得や測位が行われる場合には、プログラム631がモジュールCPU61により読み出されて実行される。また、このプログラム631が実行される際に、直近の受信履歴を記憶する履歴記憶部632、及び当該直近の受信時における同定符号列(履歴符号列)データを記憶する符号記憶部633が参照されて利用される。また、後述のように、日時情報の信頼性判定の際に誤同定確率テーブル634が参照される。
【0027】
RF部64は、L1帯(GPS衛星では、1.57542GHz)の衛星電波を受信して測位衛星からの信号を選択的に通過、増幅させ、中間周波数信号に変換する。RF部64には、LNA(低雑音増幅器)、BPF(帯域通過フィルタ)、局部発振器やミキサなどが含まれる。
【0028】
ベースバンド変換部65は、RF部64で得られた中間周波数信号に対して各測位衛星のC/Aコードを適用してベースバンド信号、即ち、航法メッセージ(所定のフォーマット)に係る符号列(受信符号列)を取得する。
捕捉追尾部66は、RF部64で得られた中間周波数信号に対して各測位衛星の各位相でのC/Aコードとの間で各々相関値を算出してそのピークを特定することで、受信されている測位衛星からの信号とその位相を同定する。また、捕捉追尾部66は、同定された測位衛星のC/Aコードとその位相により当該測位衛星からの航法メッセージに係る符号列を継続的に取得するために、ベースバンド変換部65に対して位相情報のフィードバックなどを行い、受信電波を復調して各符号(受信符号)を同定する。
これらRF部64、ベースバンド変換部65及び捕捉追尾部66により受信手段が構成される。
【0029】
この衛星電波受信処理部60は、電源部50から直接電力が供給され、そのオンオフがホストCPU41の制御信号により切り替えられる。即ち、衛星電波受信処理部60は、測位衛星からの電波受信及び日時取得や測位に係る算出動作が行われている期間以外には、常時動作しているホストCPU41などとは別個に電源がオフされる。
【0030】
次に、GPS衛星から送信される航法メッセージのフォーマットについて説明する。
GNSSでは、複数の測位衛星を複数の軌道上に分散配置させて地上の各地点から同時に複数の異なる測位衛星の送信電波を受信可能とされ、当該受信可能な測位衛星から送信されている当該測位衛星の現在位置に係る情報や日時情報を4機以上の測位衛星(地表面であるとの仮定の上では3機)から取得することで、これらの取得データと、取得タイミングのずれ、即ち、各測位衛星からの伝播時間(距離)の差と、に基づいて三次元空間における位置座標及び日時を決定することが出来る。
【0031】
一方、一機の測位衛星から日時情報を取得することで、測位衛星からの電波が受信されるまでの伝播時間のずれの範囲内で日時を決定することが出来る。GPS衛星の場合、軌道半径が26600kmでほぼ円軌道であり、地上から見て天頂にある場合と水平線上にある場合とでは、受信日時に約20msecのずれが生じる。従って、通常、平均的な伝播距離を想定して±10msec程度の精度で日時を決定することが出来る。
【0032】
測位衛星からは、日時に係る情報と、測位衛星の位置に係る情報と、測位衛星の健康状態などのステータス情報などが所定のフォーマットで符号化され、符号列がC/Aコード(疑似ランダムノイズ)によりスペクトラム拡散されて送信されている。これらの送信フォーマット(航法メッセージのフォーマット)は、測位システムごとに定められている。
【0033】
図2は、GPS衛星から送信されている航法メッセージのフォーマットを説明する図である。
GPSでは、各GPS衛星からそれぞれ30秒単位のフレームデータが合計25ページ送信されることで、12.5分周期で全てのデータが出力されている。GPSでは、GPS衛星ごとに固有のC/Aコードが用いられており、このC/Aコードは、1.023MHzで1023個の符号(チップ)が配列されて1ms周期で送信されている。
【0034】
各フレームデータは、5つのサブフレーム(6秒)で構成されており、サブフレームごとに6秒周期(送信周期)で当該6秒単位の日時情報と、送信周期によらず一定の固定符号列とが送信されている。各サブフレームは10個のワード(各0.6秒、順番にWORD1〜WORD10)によって構成されている。各ワードは30ビットの符号列であり、WORD1とWORD2のデータフォーマットは、全てのサブフレームで同一である。WORD1は、8ビットの固定符号列であるプリアンブル(Preamble)に続き、14ビットのテレメトリメッセージ(TLM message)が含まれ、その後ろに1ビットのIntegrity status flagと1ビットの予備ビットを挟んで6ビットのパリティデータが配される。WORD2には、上述の6秒単位の日時情報である週内経過時間を示す17ビットのTOW−Count(Zカウントともいう)と、これに続くそれぞれ1ビットのアラートフラグ(Alert flag)及びアンチスプーフフラグ(Anti-spoof flag)が含まれている。それから、WORD2では、サブフレームの番号(周期番号)を示すサブフレームID(Subframe ID)が3ビットで示され、パリティデータの整合用2ビットを挟んで6ビットのパリティデータが配列される。サブフレームIDは、TOW−Countと同様に6秒周期で(所定の対応関係に従って)変化する符号列(対応符号列部分)であるので、時刻対応情報としてのこれらサブフレームIDとTOW−Countの整合性を日時の確認に利用することが出来る。
【0035】
WORD3以降のデータは、サブフレームによって異なる。サブフレーム1のWORD3には、先頭10ビットのWN(週番号)及び6ビットで表される測位衛星の健康状態(SV health)が含まれる。サブフレーム2、3には、主に、エフェメリス(精密軌道情報)が含まれ、サブフレーム4の一部及びサブフレーム5では、アルマナック(予測軌道情報)が送信されている。
【0036】
ここで、GPS衛星で計数されている日時(GPS日時)は、うるう秒の実施によるずれを含んでいない。従って、GPS日時とUTC日時との間には、ずれが存在するので、GPS衛星からの電波受信により取得された日時は、UTC日時に換算されて出力される必要がある。また、計時回路46の計数する日時に基づいてGPS衛星からの電波受信タイミングを予測、制御したり、受信される符号列を推測したりする場合には、当該計時回路46の日時がGPS日時に換算されて用いられる必要がある。このうるう秒に係るずれ量は、予め取得されて記憶部63などに記憶される。
【0037】
次に、本実施形態の電子時計1における日時情報の取得動作について説明する。
図3は、本実施形態の電子時計1における符号列の照合動作について説明する図である。
【0038】
本実施形態の電子時計1では、先ず、計時回路46の計数する日時(現在日時)の最大ずれ幅が、当該計時回路46の日時を直近に修正してからの経過時間により見積もられる。上述のように、一日当たりのずれが±0.5秒以内であるとすると、例えば、前回の日時修正から4日(96時間)経過後には、最大ずれ幅が±2秒と見積もられる。
【0039】
従って、
図3(a)に示されるように、計時回路46の日時がある日時分の02秒のタイミングで受信、同定された符号は、正確日時において、秒値が0秒から4秒までの間であると想定される。UTC日時とGPS日時とのずれが+17秒である場合には、GPS日時における秒値は、17秒から21秒までの間となる。
【0040】
上述のように航法メッセージは、予め定められたタイミングで各情報に係る符号が配置されており、また、日時情報などの一部のデータは、現在日時に応じて符号列が定まる。そこで、電波が受信されて符号が同定されたタイミングに対して上記見積もられた最大ずれ幅内で受信され得る符号(想定符号)を予め想定して、実際に同定された符号(受信符号)と照合する照合処理を行い、この照合処理を新たな符号が同定されるごとに繰返すことで、同定された符号の配列に所定の基準以上合致する想定符号列のずれ幅を検出し、当該検出されたずれ量を正確な日時と計時回路46の計数する日時とのずれ幅として同定する。
【0041】
想定符号列は、航法メッセージのフォーマットに従って計時回路46の計数する現在日時に基づいて少なくとも当該現在日時に対する最大のずれ幅の範囲の全符号が含まれるように生成される。ここでは、例えば、上述の17秒から21秒までの符号に加えてこの範囲で最も遅い21秒からサブフレーム1つ分の長さ(6秒間)の符号を含めて27秒までの符号が含まれる。
【0042】
想定される符号としては、先ず、プリアンブルや予備ビットのように常に固定された符号、及び、TOW−Count、WNやサブフレームIDのように日時から逆算が可能なものが挙げられる。これに加えて、アラートフラグやアンチスプーフフラグなどのフラグビットのように、通常では変更されず、変更されている場合にはデータ使用に問題があり得るものを含むことが出来る。
【0043】
また、テレメトリメッセージや予測軌道情報などの符号列は、短期間(例えば、1日未満)であれば、通常、変化が生じない。従って、直近の受信の際に同定されたこれらの符号列を符号記憶部633に履歴符号列として記憶させておき、履歴記憶部632に記憶された前回の受信履歴と計時回路46が計数する日時との比較で得られる前回の受信からの経過時間などに応じて情報の種別ごとに利用可能か判断を行って、適宜利用することが出来る。
【0044】
ここで、想定符号列中の全ての符号が想定可能な訳ではない。即ち、想定符号列中において想定された符号(想定符号)は、全て連続して送信される符号である必要はなく、想定符号列には、想定符号と想定されなかった符号とが混在することになる。例えば、WORD1及びWORD2のうち、パリティデータに係るWORD1の最後の6ビット及びWORD2の最後の8ビットが除外して符号が想定される。
【0045】
このような想定符号列に対して同定された受信符号を想定符号とのみ照合するために、想定符号列中の各符号について、想定符号であるか、又は想定されなかった符号であるかを示す想定可否フラグ(識別情報)が各々設定され、想定可否フラグ列が生成される。
【0046】
図3(b)に示すように、計時回路の日時t0に同定された受信符号r(t0)がある場合、上述のように最大ずれ幅が±2秒であるとすると、この符号を受信した正確な日時tcは、t0−2≦tc≦t0+2である。従って、想定符号列cのうち、当該日時tcの範囲に受信されると想定される符号c(i)と、受信符号r(t0)とが照合される。上述のように、1ワード30ビットが0.6秒で送信される(即ち、50bps(bits per second))ので、最大ずれ幅の大きさ(2×dt)=4秒に対して照合され得る最大の符号数は、(100×dt+1)=201個となる。日時tcの範囲先頭の符号における配列番号i=0として、0≦i≦200の範囲の符号c(i)のうち、想定可否フラグs(i)で想定符号であると示されているものについて、順次又は並列に照合される。
【0047】
照合された符号c(i)における配列番号iは、当該符号の日時t0からのずれ量に対応する(ずれ時間は、20×(i−100)[msec])。配列番号iで対応付けられた照合数配列Nの各要素(照合数N(i))に1が加算されることで、各ずれ量についての照合数が計数され、照合の結果一致しない符号については、不一致数配列Eの各要素(不一致数E(i))に1が加算されることで、各ずれ量についての不一致数(照合結果情報)が計数される。
【0048】
なお、各測位衛星から地上で衛星電波が受信されるまでの伝播時間に応じて、受信日時の符号は、送信日時に対して3〜5個程度の遅れがある。
また、想定符号列と受信符号列の照合に際し、実際にGPS衛星から送信されている情報に応じた符号列は、ワードごとに一つ前のワードの最終ビット(30ビット目)のパリティデータ(反転符号)の符号に応じて1〜24ビット目の符号(パリティデータ以外の符号)が反転される。即ち、反転符号が「0」であった場合、次のワードの1〜24ビット目の符号は、送信情報に応じてそのまま送信されるのに対し、この反転符号が「1」であった場合、次のワードの1〜24ビット目の符号は、送信情報に応じた符号列が全て反転されたものとなる。従って、生成される想定符号列は、一通りではなく、各ワードの反転有無のパターンに応じた数が生成され、各々受信符号と比較される。
【0049】
受信符号は、1ビットずつ随時同定されて取得される。上述のように、GPS衛星の航法メッセージでは、50bpsで符号が送信されている。従って、この場合には、20[msec]間隔で新たな符号が同定されることになる。但し、上述のように、測位衛星間で最大約20[msec]、即ち、符号1つ分程度の伝播時間の差(受信タイミングのずれ)を伴って符号が同定される場合がある。
【0050】
本実施形態の電子時計1では、上記の照合処理を複数の測位衛星に対して並列に行わせる。捕捉動作や追尾動作は、通常の測位動作に係る複数衛星からの受信時と略同様に行われるが、本実施形態の電子時計1では、電波が受信されなければならない測位衛星の数が定められている訳ではない。従って、例えば、最低限1機の測位衛星からの電波が受信されてさえいれば、予め定められた捕捉上限時間で捕捉動作を終了しても良いし、捕捉された測位衛星からの受信符号で必要数の照合が取れるまで捕捉動作が続けられても良い。
【0051】
受信符号と想定符号とを照合する場合に、衛星電波の受信強度やS/N比などに応じて受信符号に誤同定が生じ、完全に合致しない場合がある一方で、想定された符号列の出現位置と異なる場所の符号列の受信時に誤同定が生じた結果、反対に不一致数が減少する場合がある。この電子時計1では、照合された符号中に検出された符号の不一致数E(i)が、受信強度から想定される符号の誤同定確率p(ビットエラーレート:BER)に基づいて見積もられる符号の不一致数の出現確率に対して唯一妥当な範囲にあるものであるか(所定の合致条件を満たすか)否かを判別することで、ずれ量に対応する配列番号iを特定する。
【0052】
符号の誤同定確率pは、概ね受信強度やS/N比などに応じて定まる。この誤同定確率pは、衛星電波の捕捉時における受信強度から数式(近似式でも良い)を用いて算出されても良いし、予め受信強度と誤同定確率pとを対応付けた誤同定確率テーブル634を記憶部63に保持させておき、衛星電波の捕捉終了時に参照して受信強度に応じた誤同定確率pを取得しても良い。
【0053】
誤同定確率pでn個の符号を受信する際に、当該n個の符号中で誤同定の符号がe個となる場合の出現確率Pは、以下の式(1)で表される。
P=
nC
e×p
e×(1−p)
n−e … (1)
この式(1)は、e=n×p付近に極大を持ち、受信強度が低下して誤同定確率pが1/2に近づくほど極大付近の傾きが緩やかになる。本実施形態の電子時計1では、誤同定確率pの上限値、即ち、受信強度の下限値が定められるのが好ましい。
【0054】
図4は、想定符号列と受信符号列との不一致数とずれ量との関係を模式的に示す図である。
図4(a)の実線で示すように、航法メッセージの符号列では、異なる符号間での相関関係は、多くの符号について存在しないので、想定符号列と受信符号列とが異なる位相(符号位置の相対的なずれがある状態)で照合された場合には、通常、半数程度の符号が不一致になると期待される。これに対し、想定符号列と受信符号列とが一致するずれ量に応じた配列番号i1では、符号の不一致数E(i1)が「0」又はごく小さい数に急減する。ここでは、不一致数E(i1)が基準値Em以下(個別合致条件)となった配列番号i1を取得する。
【0055】
ここで、上述のように、異なる測位衛星間では、伝播時間の違い(伝播時間の差)により符号一つ分程度のずれが生じる場合がある。一の測位衛星で最小不一致数E1=E(i1)が検出された場合、全ての測位衛星からの符号がほぼ正確に同定されていれば、他の測位衛星において、配列番号i1±1の範囲(所定の符号数の相対ずれ範囲)で最小不一致数が検出されるので、当該他の測位衛星における配列番号i1±1の範囲で最も不一致数E(i)の小さい配列番号iを各々検出して、当該検出された配列番号iと配列番号i1との位相ずれ量de(受信タイミングずれ)を特定する。ここでは、
図4(a)の破線で示すように、位相ずれ量deが+1となっている。
【0056】
図4(b)に示すように、各測位衛星で同定された位相ずれ量deに応じて最小不一致数の検出位置を揃えた上で、各測位衛星で計測された配列番号ごとの不一致数E(i)が加算されることにより、各ずれ量に係る照合符号数を加算された測位衛星の捕捉衛星数fn倍程度に増やすことが出来る。ここでは、一の測位衛星におけるずれ量に応じた配列番号i1において、合計の不一致数が最小不一致数Et1となる。また、各ずれ量において二番目に小さい次点不一致数Et2が取得される。そして、最小不一致数Et1の出現確率Pt1が誤同定確率pに対して妥当な範囲内であり、且つ次点不一致数Et2の出現確率Pt2が誤同定確率pに対して妥当な範囲内になければ、次点不一致数Et2に係る配列番号i2における照合結果は、正しいずれ量に係るものではないと判別されて、最小不一致数Et1に係る配列番号i1が計時回路46の日時t0と正確な日時tcとのずれ量に応じた値として同定される。なお、最小不一致数Et1に関しては、基準値Emに基づく判定で十分であることとして、改めて出現確率Pt1の判定を行わないこととしても良い。
【0057】
図5は、本実施形態の電子時計1で実行される日時取得処理のホストCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
本実施形態の電子時計1では、予め定められたスケジュールや条件で、又は操作部49へのユーザの入力操作に応じて、ホストCPU41の制御により衛星電波受信処理部60を動作させ、モジュールCPU61により正確な日時を同定させる。
【0058】
日時取得処理が開始されると、ホストCPU41は、衛星電波受信処理部60を起動する(ステップS101)。また、ホストCPU41は、衛星電波受信処理部60に対し、初期データとして取得対象が日時情報であることを示す設定及び計時回路46の計数する日時の情報を送信する(ステップS102)。この日時情報には、前回計時回路46の日時を修正してからの経過時間に基づく最大ずれ幅±dt(又は、片側の幅dt)の情報が含まれる。それから、衛星電波受信処理部60からのデータ出力を待ち受ける。なお、この待ち受け中に、ホストCPU41は、表示部47に測位衛星からの電波を受信中である旨を示す表示を行わせても良い。
【0059】
ホストCPU41は、衛星電波受信処理部60からの信号を待ち受けて、日時データを取得する(ステップS103)。それから、ホストCPU41は、衛星電波受信処理部60を停止させると共に(ステップS104)、計時回路46の計数する日時を修正する(ステップS105)。また、ホストCPU41は、RAM43に記憶された受信履歴を更新する(ステップS106)。そして、ホストCPU41は、日時取得処理を終了する。
【0060】
図6は、本実施形態の電子時計1における日時情報受信処理のモジュールCPU61による制御手順を示すフローチャートである。
この日時情報受信処理は、ホストCPU41により衛星電波受信処理部60が起動され、ホストCPU41からステップS102の処理で出力された取得対象情報が日時情報である場合に起動される。
【0061】
日時情報受信処理が起動されると、モジュールCPU61は、メモリ領域の確保や割り当てなどの初期設定や動作チェックを行う(ステップS301)。モジュールCPU61は、ホストCPU41からステップS102の処理で出力された日時情報を取得して、取得されたUTC日時をGPS日時t0に換算し、また、最大ずれ幅±dtに基づいて正確な日時tcの範囲(t0−dt≦tc≦t0+dt)を推測する(ステップS302)。
【0062】
モジュールCPU61は、少なくとも推測された正確な日時の範囲で受信されると想定される符号を全て含む範囲の想定可否フラグ列s及び想定符号列cを生成する(ステップS303)。モジュールCPU61は、GPS衛星からの電波受信を開始して(ステップS304)、受信可能なGPS衛星からの電波を捕捉する(ステップS305)。モジュールCPU61は、各GPS衛星のC/Aコードに対してそれぞれ受信電波から得られた信号の位相をずらしながら適用して逆スペクトラム拡散を試みることで、GPS衛星からの信号を検出、捕捉する。ここで捕捉される対象の測位衛星は、一機に限られないが、衛星電波受信処理部60の構成などに応じて最大数を定めても良い。この場合、例えば、電波の受信強度の高い測位衛星から順番に選択されれば良い。モジュールCPU61は、捕捉された測位衛星について、順番に衛星番号fを付し、各々受信強度I(f)を取得する。
【0063】
GPS衛星からの信号が捕捉されると、モジュールCPU61は、当該GPS衛星を捕捉された位相で追尾しながら受信データの各符号の同定を開始する(ステップS306)。モジュールCPU61は、カウント数kに初期値「0」を設定し、また、捕捉衛星数fnを設定する。モジュールCPU61は、ステップS303の処理で想定符号列c及び想定可否フラグ列sが生成されたタイミングと実際に最初に符号が同定されるタイミングとのずれに基づいて、想定符号列の補正を行う(ステップS307)。
【0064】
モジュールCPU61は、1つの符号が同定されるごとに当該同定された受信符号rを取得する(ステップS308)。モジュールCPU61は、パターン照合処理を呼び出して実行し(ステップS309)、次いで、信頼性判定処理を呼び出して実行する(ステップS310)。モジュールCPU61は、ステップS310の処理で得られた判定結果により、信頼性がOKであるか否かを判別する(ステップS311)。OKではないと判別された場合には(ステップS311で“NO”)、モジュールCPU61は、GPS衛星からの電波受信を開始してからタイムアウト時間が経過したか否かを判別する(ステップS312)。経過したと判別された場合には(ステップS312で“YES”)、モジュールCPU61の処理は、ステップS316に移行する。経過していないと判別された場合には(ステップS312で“NO”)、モジュールCPU61は、配列番号i≧1について、それぞれ想定符号列cのi番目の要素(符号)を想定符号列cの(i−1)番目の要素とし、また、想定可否フラグ列sのi番目の要素(想定可否フラグ)を(i−1)番目の要素とすることで各配列を1つずつずらす。また、モジュールCPU61は、必要に応じて想定符号列c及び想定可否フラグ列sを追加生成する(ステップS313)。それから、モジュールCPU61の処理は、ステップS308に戻る。
【0065】
ステップS311の判別処理で、信頼性OKであると判別された場合には(ステップS311で“YES”)、モジュールCPU61は、信頼性OKと判別された想定符号列のずれ量に応じた配列番号iと、想定符号列が示す日時とに基づいて正確なGPS日時(日時情報)を取得し、更に、当該取得されたGPS日時をUTC日時に変換して、そのタイミングを設定する(ステップS314)。モジュールCPU61は、設定されたタイミングに合わせて日時情報をホストCPU41に出力する(ステップS315)。それから、モジュールCPU61の処理は、ステップS316に移行する。
【0066】
ステップS316の処理に移行すると、モジュールCPU61は、GPS衛星からの電波受信を終了する(ステップS316)。そして、モジュールCPU61は、日時情報受信処理を終了する。
【0067】
図7は、日時情報受信処理のステップS309で呼び出されるパターン照合処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0068】
パターン照合処理が呼び出されると、モジュールCPU61は、カウント数kに1を加算し、衛星番号fを初期値の「0」に設定する(ステップS501)。モジュールCPU61は、配列番号iを初期値である「0」に設定し、また、照合される対象となる符号(照合符号)を想定符号列cの配列番号iの符号c(i)に設定する(ステップS502)。
【0069】
モジュールCPU61は、想定可否フラグs(i)を参照して、照合符号が想定符号であるか否かを判別する(ステップS503)。想定符号ではないと判別された場合には(ステップS503で“NO”)、モジュールCPU61の処理は、ステップS507に移行する。
【0070】
照合符号が想定符号であると判別された場合(ステップS503で“YES”)、モジュールCPU61は、照合数N(f、i)に「1」を加算し(ステップS504)、取得されている受信符号rと照合符号、即ち、符号c(i)とが等しくないか否かを判別する(ステップS505)。等しいと判別された場合には(ステップS505で“NO”)、モジュールCPU61の処理は、ステップS507に移行する。
【0071】
受信符号rと照合符号とが等しくないと判別された場合には(ステップS505で“YES”)、モジュールCPU61は、不一致数E(f、i)に「1」を加算する(ステップS506)。それから、モジュールCPU61の処理は、ステップS507に移行する。
【0072】
ステップS507の処理に移行すると、モジュールCPU61は、配列番号iが100dt以上であるか否かを判別する(ステップS507)。即ち、モジュールCPU61は、符号c(100dt)まで比較照合に係る処理が行われたか否かを判別する。配列番号iが100dt以上ではない、即ち、照合対象範囲の全てで比較照合に係る処理が行われていないと判別された場合には(ステップS507で“NO”)、モジュールCPU61は、配列番号iに「1」を加算して、符号c(i)を照合符号として設定する(ステップS508)。それから、モジュールCPU61は、処理をステップS503に戻す。
【0073】
配列番号iが100dt以上である、即ち、符号c(100dt)までの照合対象範囲全てで比較照合に係る処理が行われたと判別された場合には(ステップS507で“YES”)、モジュールCPU61は、衛星番号fの値が捕捉衛星数fn−1未満であるか否かを判別する(ステップS509)。捕捉衛星数fn−1未満であると判別された場合には(ステップS509で“YES”)、モジュールCPU61は、衛星番号fに1加算し(ステップS510)、処理をステップS502に戻す。捕捉衛星数fn−1未満ではないと判別された場合には(ステップS509で“NO”)、モジュールCPU61は、パターン照合処理を終了して処理を日時情報受信処理に戻す。
なお、配列番号iに係る照合順と、衛星番号fに係る照合順とは、適宜入れ替えが可能である。
【0074】
図8は、日時情報受信処理のステップS310で呼び出される信頼性判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0075】
信頼性判定処理が呼び出されると、モジュールCPU61は、照合数N(f、i)の最小値が基準値以上であるか否かを判別する(ステップS701)。基準値以上ではないと判別された場合には(ステップS701で“NO”)、モジュールCPU61は、処理をステップS712に移行させて信頼性NGとして(ステップS711)、信頼性判定処理を終了させる。
【0076】
照合数N(f、i)の最小値が基準値以上であると判別された場合には(ステップS701で“YES”)、モジュールCPU61は、不一致数E(f、i)のうち最小の値を最小不一致数Ebminとして抽出する(ステップS702)。モジュールCPU61は、この最小不一致数Ebminが基準エラー数Eth以下であるか否かを判別する(ステップS703)。この基準エラー数Ethは、上述の照合数に係る基準値に基づく固定値であっても良いし、或いは、照合数N(f、i)の最小値に応じて可変に定められる値であっても良い。
【0077】
基準エラー数Eth以下ではないと判別された場合には(ステップS703で“NO”)、モジュールCPU61の処理は、ステップS711に移行して、信頼性NGとなる。基準エラー数Eth以下であると判別された場合には(ステップS703で“YES”)、モジュールCPU61は、当該最小不一致数Ebminに対応する衛星番号f1及び配列番号i1の照合数N(f1、i1)を取得する(ステップS704)。
【0078】
モジュールCPU61は、衛星番号f1以外の他の測位衛星について、配列番号i1±1の範囲でそれぞれ最小のエラー数を検出し、当該最小のエラー数の位置を一致させる調整を行うために、衛星番号fの測位衛星の受信データに係る位相ずれ量de(f)を決定する(ステップS705)。
このとき、各測位衛星の最小エラー数の何れかが基準エラー数Ethを超えている場合には、ステップS71
1の処理に移行させることとしても良いし、或いは、当該基準エラー数Ethを超えた測位衛星のデータのみを以降の処理で除外しても良い。
【0079】
モジュールCPU61は、各測位衛星の不一致情報を合計する(ステップS706)。モジュールCPU61は、合計不一致数Et(i)として、Et(i)=Σ
(0≦f<fn)E(f、i+de(f))を算出し、また、各合計不一致数Et(i)に各々対応する合計照合数Nt(i)として、Nt(i)=Σ
(0≦f<fn)N(f、i+de(f))を算出する。また、モジュールCPU61は、ステップS305の処理で得られた各測位衛星の受信強度I(f)に対して各々誤同定確率p(f)を取得し、これらの誤同定確率p(f)を統合して合計誤同定確率pt(統合誤同定確率)として、pt=Σ
(0≦f<fn)p(f)/fnを算出する。
【0080】
モジュールCPU61は、算出された合計不一致数Et(i)のうち最小の最小不一致数Et1=Et(i1)とこれに対応する合計照合数Nt(i1)、及び、二番目に小さい次点不一致数Et2=Et(i2)とこれに対応する合計照合数Nt(i2)を取得する(ステップS707)。モジュールCPU61は、これら最小不一致数Et1及び次点不一致数Et2の出現確率Pt(Et1)及び出現確率Pt(Et2)を算出する(ステップS708)。
【0081】
モジュールCPU61は、求められた出現確率Pt(Et1)が基準値Pth以上であり、且つ出現確率Pt(Et2)が基準値Pth未満(妥当性基準)であるか(所定の信頼条件を満たすか)否かを判別する(ステップS709)。上述のように、出現確率Pt(Et1)に対する判定は、成されなくても良い。この場合、ステップS708の処理における出現確率Pt(Et1)の算出も不要である。
【0082】
出現確率Pt(Et1)が基準値Pth以上であり、且つ出現確率Pt(Et2)が基準値Pth未満であると判別された場合には(ステップS709で“YES”)、モジュールCPU61は、信頼性OKとして(ステップS710)信頼性判定処理を終了し、処理を日時情報受信処理に戻す。出現確率Pt(Et1)が基準値Pth未満か、又は出現確率Pt(Et2)が基準値Pth以上であると判別された場合には(ステップS709で“NO”)、モジュールCPU61は、信頼性NGとして(ステップS711)信頼性判定処理を終了し、処理を日時情報受信処理に戻す。
【0083】
以上のように、電子時計1の衛星電波受信処理部60は、測位衛星からの電波を受信して信号を復調し、当該復調した信号における各符号を受信符号rとして同定する受信手段(RF部64、ベースバンド変換部65及び捕捉追尾部66)と、モジュールCPU61とを備える。照合手段としてのモジュールCPU61は、複数の測位衛星による受信符号rと、当該受信符号rの受信タイミングt0として取得された現在日時に対して設定される最大ずれ幅(±dt)内で受信が想定される想定符号列c中の想定符号とを照合し、受信符号rと想定符号との照合結果情報を複数の測位衛星の各々について最大ずれ幅(±dt)内におけるずれ量に応じた配列番号iと対応付けて取得する。照合結果統合手段としてのモジュールCPU61は、複数の測位衛星に係る複数の受信符号についての照合結果情報を統合する。ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、統合された照合結果情報に基づいて、受信符号rと想定符号とが信頼性判定処理で信頼性OKとなるずれ量に応じた配列番号iを特定する。日時取得手段としてのモジュールCPU61は、信頼性OKとなったずれ量(配列番号i)に基づいて日時情報を取得する。
これにより、複数の測位衛星からの受信電波により得られた符号を並列に用いることで、同じ時間内で照合される符号数を増やすことが出来るので、正確な日時情報を短時間でより確実に取得することが出来る。特に、測位衛星からの電波受信状況が良好ではなく、誤同定が混入しやすい場合でも、受信時間の延長や日時取得の失敗の確率を抑えて従来より良好に日時情報を取得することが出来る。
【0084】
また、照合結果統合手段としてのモジュールCPU61は、複数の測位衛星からの伝播時間の差に応じた受信符号rの受信タイミングずれを示す位相ずれ量de(f)を各々特定するタイミングずれ特定手段として動作し、当該位相ずれ量de(f)を反映して、複数の測位衛星に対して各々照合結果情報と対応付けられたずれ量(配列番号i)を調整するずれ量調整手段として動作し、また、調整されたずれ量ごとに複数の測位衛星に係る照合結果情報を統合する調整データ統合手段として動作する。従って、受信、捕捉された測位衛星の位置がまちまちであって相対的に伝播時間に差が生じている場合であってもそのずれを調整して正しい時刻情報の取得に用いることが出来る。
【0085】
また、タイミングずれ特定手段としてのモジュールCPU61は、複数の測位衛星のうち少なくとも一つについて、複数の受信符号rに対する照合結果情報である不一致数E(i)が所定の基準エラー数Eth以下となるずれ量を特定する個別ずれ量特定手段として動作し、また、特定されたずれ量を基準として位相ずれ量de(f)を特定する相対ずれ量特定手段として動作する。即ち、検出対象の特徴を生かして容易に受信タイミングのずれを特定し、調整を行うことが出来る。
【0086】
また、照合手段としてのモジュールCPU61は、複数の測位衛星についてそれぞれ、複数の受信符号rと照合された想定符号(符号c(i))の照合数N(f、i)と、当該符号c(i)が受信符号rと不一致であった不一致数E(f、i)とを測位衛星(f)ごとずれ量(i)ごとにそれぞれ計数し、個別ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、測位衛星(f)ごとずれ量(i)ごとの照合数N(f、i)に対する不一致数E(f、i)が所定の上限の基準値Em以下である場合に、対応するずれ量が当該測位衛星に係る個別合致条件を満たすと判定する。
従って、個別の測位衛星について特定対象のタイミングを先ず検出し、当該タイミングを基準として後の処理を行うことで、日時の取得処理を容易に効率良く進めることが出来る。
【0087】
また、調整データ統合手段としてのモジュールCPU61は、調整されたずれ量に対応する配列番号(i+de(f))ごとに各測位衛星の不一致数E(f、i)を加算した合計不一致数Et(i)及び当該不一致数E(f、i)に各々対応する照合数N(f、i)を加算した合計照合数Nt(i)を算出することで照合結果情報を統合する。このように、不一致の有無を照合結果として用いることで、統合時に単純加算を行うことが出来るので、容易な処理で処理時間をほとんど増やさずに照合精度を向上させて日時をより確実に同定しやすくすることが出来る。
【0088】
また、ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、合計不一致数Et(i)が所定の信頼条件を満たすか否かにより合致条件を満たすか否かを判定する。
即ち、最小不一致数Et1=Et(i1)の絶対値だけによらずに、その値が適切な値であるかを判断するので、電波受信強度が低く同定エラーが混在する場合に、判断が妥当か否かをより正確に判断することが出来る。
【0089】
また、モジュールCPU61は、受信手段(RF部64、ベースバンド変換部65及び捕捉追尾部66)により受信された電波の強度に基づいて符号の誤同定確率pを取得する誤同定確率取得手段として動作する。
また、モジュールCPU61は、複数の測位衛星の各々について得られた誤同定確率pに基づいて合計誤同定確率ptを算出する統合誤同定率算出手段として動作する。
ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、二番目に小さい合計不一致数である次点不一致数Et2が当該次点不一致数Et2=Et(i2)に対応する合計照合数Nt(i2)中に出現する確率Pt(Et2)が合計誤同定確率ptに応じて定まる所定の基準値Pth以上ではないことで、当該次点不一致数Et2が誤同定によりたまたま生じたものではないことが統計的に所望の精度で確かであることを所定の信頼条件とする。
これにより、他のずれ量が想定符号列cを受信符号列と合致させるのに適切な値でないことが当該精度の範囲で確定出来るので、より確実に正確な日時を取得することが出来る。
【0090】
また、電波の受信強度と誤同定確率pとを対応付けて誤同定確率テーブル634として記憶する記憶部63を備え、誤同定確率取得手段としてのモジュールCPU61は、受信強度に基づいて誤同定確率テーブル634を参照することで誤同定確率pを取得するので、容易に誤同定確率pを取得することが出来る。
【0091】
また、ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、最小の合計不一致数Et(i1)である最小不一致数Et1が当該最小不一致数Et1に対応する前記合計照合数(Nt(i1)中に出現する確率Pt1が合計誤同定確率ptに基づいて定められる基準値Pth以上の範囲内にあることを含むので、一の測位衛星についての最小不一致数E(i1)に対する基準値Em以下による条件に限らずに、より厳格な条件で適切に正確な日時に係るずれ量を同定することが出来る。
【0092】
また、相対ずれ量特定手段としてのモジュールCPU61は、一の衛星により得られた受信符号について、最小不一致数E(i1)が基準値Em以下であるという条件を満たす基準ずれ量に対して、この一の衛星以外の他の衛星による受信符号について各々±1の符号範囲内で当該受信符号rと想定符号列cとの間における合致の度合が最も高いずれ量を各々取得することで、複数の衛星に係る位相ずれ量de(f)を特定するので、必要外の範囲に処理を広げず、また、あり得ない位置が同定された場合に対応する処理を含まず、容易且つ確実に正確であり得る受信タイミングずれを同定することが出来る。
【0093】
また、受信対象の測位衛星をGPS衛星とし、所定の符号数の相対ずれ範囲内は、前後に1符号以内であるので、多くの従来の衛星電波受信処理に係るチップの回路や制御に対して簡便な修正で容易にGPS衛星間のタイミングずれを特定して調整を行うことが出来る。
【0094】
また、照合手段としてのモジュールCPU61は、受信手段(RF部64、ベースバンド変換部65及び捕捉追尾部66)により一の受信符号が同定されるごとに、一の受信符号の受信日時t0に対する最大ずれ幅(±dt)内の想定符号(符号c(i))と、当該一の受信符号rとを照合するので、処理負荷を集中させず且つリアルタイムで遅滞なく速やかに最小不一致数E(i1)に係る配列番号(i1)を検出して正確な日時を取得する処理に進めることが出来る。
【0095】
また、最大ずれ幅(±dt)は、取得された現在日時を計数する計時回路46の当該現在日時が直近に修正されてからの経過時間に応じて求められるので、簡便な計算で妥当なずれ量を得て、当該最大ずれ幅内での無駄なく必要な演算処理により正確な日時とのずれ量を同定することが出来る。
【0096】
また、モジュールCPU61は、最大ずれ幅(±dt)内の想定符号を含む想定符号列cと、当該想定符号列c内において想定された符号と想定されなかった符号とを識別する想定可否フラグs(i)とを生成する想定符号列生成手段として動作する。
また、照合手段としてのモジュールCPU61は、想定可否フラグs(i)に基づいて想定符号である配列番号iの符号c(i)と受信符号rとをそれぞれ照合する。従って、想定可能な符号と想定されない符号とが混在する想定符号列cにおいて、容易に照合可能な符号を判別して必要な照合処理を行うことが出来る。
【0097】
また、本実施形態の電子時計1は、衛星電波受信処理部60と、現在日時を計数する計時回路46と、日時取得手段としてのモジュールCPU61により取得された日時により計時回路46の計数する日時を修正する日時修正手段としてのホストCPU41と、を備える。これにより、測位衛星からの電波受信時間を増大させず、より正確且つ確実に世界各地で日時情報を取得可能となる。従って、電子時計1の大型化や重量の増加を伴わずに正確且つ軽量な電子時計1をユーザに提供することが出来る。
【0098】
また、上述の日時取得方法を用いることで、衛星電波の受信時間を増加させずに速やか且つより高い精度及び確率で正確な日時を取得可能になる。
【0099】
また、上述の日時情報受信に係る処理を行うためのプログラムをコンピュータにインストールして実行することで、種々の電子機器で受信時間の延長を抑えつつより確実に日時を取得することが出来る。
【0100】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、何れか一のGPS衛星において基準値Em以下の不一致数が取得されたタイミングを基準として、各GPS衛星における±1符号ずれの範囲で最小の不一致数のずれ量と位置合わせを行ったが、複数のGPS衛星の受信符号に対して得られた最小の不一致数でなく、初めから特定の一のGPS衛星(例えば、最も受信強度の高いものなど)の受信符号についてのみ基準値Em以下の不一致数を検出しても良い。
【0101】
また、基準値Emを用いずに、単純に各GPS衛星で各々最小不一致数を求めて、当該最小不一致数に対応するずれ量が±1(幅2)の符号の範囲内にない場合には、タイミング合わせに失敗したとしてやり直しても良い。
【0102】
また、上記実施の形態では、複数衛星間の伝播時間の差に応じた受信タイミングの調整を行ったが、予め予測衛星軌道を保持しており、予め限られた方向から受信を行わない(行えない)場合や、準天頂衛星などで天頂角が大きく変化しない場合などには、受信タイミングの調整を行わないことも可能である。また、現在位置情報と軌道情報とに基づいて受信タイミングのずれ量が算出可能な場合には、当該算出値を用いて又は併用しても良い。
【0103】
また、上記実施の形態では、照合結果情報として不一致数と照合数とを計数したが、不一致数の代わりに合致数を計数しても同一の結果が得られる。
【0104】
また、上記実施の形態では、合計の最小不一致数Et1の出現確率Pt(Et1)=Pt(Et(i1))が合計誤同定確率ptに基づいて唯一妥当な範囲内にある場合、又は次点不一致数Et2の出現確率Pt(Et2)=Pt(Et(i2))が合計誤同定確率ptに基づいて妥当な範囲内にない場合に信頼性OKとして日時を取得することとしたが、単純に次点不一致数Et2の合計照合数Nt(i2)に対する比率などによって信頼性判定を行っても良いし、出現確率の代わりに、照合符号数Nの符号列に対して不一致数eが出現する符号列の数の割合(
NC
e/2
N)などが基準値と比較されても良い。
【0105】
また、上記実施の形態では、fn機の測位衛星から各々1つずつ合計で捕捉衛星数fn個の符号が同定されるごとにリアルタイムで照合処理を行うこととしたが、複数回符号が取得されてからまとめて照合が行われても良い。
【0106】
また、上記実施の形態では、直近の計時回路46の日時修正からの経過時間に応じて最大ずれ幅を定めたが、温度などの条件を含めて定めても良いし、或いは、経過日数が6日あれば一律に±3秒の最大ずれ幅を定めても良い。
【0107】
また、上記実施の形態では、GPS衛星からの受信データに応じた処理を例に挙げて説明したが、他の測位衛星、例えば、GLONASSやGalileoなどから受信した電波を各々の航法メッセージのフォーマットに従って処理して日時を取得しても良い。GLONASSとGPSのように異なる航法メッセージのフォーマットに係る測位衛星の符号であっても、各符号長(20[msec])が同一であれば、照合結果を統合(合算)することが可能であるが、各々想定符号を用意する必要があり、また、想定符号と想定出来ない符号の位置がずれて、単純に捕捉衛星の数に応じて受信精度が向上しない場合があり得る。
【0108】
また、上記実施の形態では、想定可否フラグ列sを用いて想定符号でない配列番号iについては、照合を省略させることとしたが、例えば、想定符号のみが配列番号に当たる番号と共に想定符号列として配列されることで、想定可否フラグ列sを用いない形で識別が行われても良い。
【0109】
また、上記衛星電波受信処理部60をなすチップは、電子時計1とは独立して取引され、用いられても良い。この場合、計時回路46の代わりに日時情報を取得する必要があり、衛星電波受信処理部60自体が継続的に日時を計数するRTC(Real Time Clock)や計時回路を有していても良い。
【0110】
また、以上の説明では、本発明に係るモジュールCPU61の処理動作に係る日時情報受信処理などの動作処理プログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として不揮発性メモリからなる記憶部63を例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)や、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0112】
[付記]
<請求項1>
衛星からの電波を受信して信号を復調し、当該復調した信号における各符号を受信符号として同定する受信手段と、
複数の前記衛星による前記受信符号と、当該受信符号の受信タイミングとして取得された現在日時に対して設定される最大ずれ幅内で受信が想定される想定符号とを照合し、前記受信符号と前記想定符号との照合結果情報を前記複数の衛星の各々について前記最大ずれ幅内におけるずれ量と対応付けて取得する照合手段と、
前記複数の衛星に係る前記複数の受信符号についての前記照合結果情報を統合する照合結果統合手段と、
前記統合された照合結果情報に基づいて、前記受信符号と前記想定符号とが所定の合致条件を満たす前記ずれ量を特定するずれ量特定手段と、
前記所定の合致条件を満たすずれ量に基づいて日時情報を取得する日時取得手段と、
を備えることを特徴とする衛星電波受信装置。
<請求項2>
前記照合結果統合手段は、
前記複数の衛星からの伝播時間の差に応じた前記受信符号の受信タイミングずれを各々特定するタイミングずれ特定手段と、
前記受信タイミングずれを反映して、前記複数の衛星に対して各々前記照合結果情報と対応付けられた前記ずれ量を調整するずれ量調整手段と、
前記調整された前記ずれ量ごとに前記複数の衛星に係る前記照合結果情報を統合する調整データ統合手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の衛星電波受信装置。
<請求項3>
前記タイミングずれ特定手段は、
前記複数の衛星のうち少なくとも一つについて、複数の前記受信符号に対する前記照合結果情報が所定の個別合致条件を満たす前記ずれ量を特定する個別ずれ量特定手段と、
特定された前記ずれ量を基準として前記受信タイミングずれを特定する相対ずれ量特定手段と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の衛星電波受信装置。
<請求項4>
前記照合手段は、前記複数の衛星についてそれぞれ、複数の前記受信符号と照合された前記想定符号の照合数と、当該想定符号が前記受信符号と不一致であった不一致数とを前記衛星ごと前記ずれ量ごとに計数し、
前記個別ずれ量特定手段は、前記衛星ごと前記ずれ量ごとの前記照合数に対する前記不一致数が所定の上限基準値以下である場合に、対応するずれ量が当該衛星に係る前記個別合致条件を満たすと判定する
ことを特徴とする請求項3記載の衛星電波受信装置。
<請求項5>
前記照合手段は、前記複数の衛星についてそれぞれ、複数の前記受信符号と照合された前記想定符号の照合数と、当該想定符号が前記受信符号と不一致であった不一致数とを前記衛星ごと前記ずれ量ごとに計数し、
前記調整データ統合手段は、前記調整されたずれ量ごとに各衛星の前記不一致数を加算した合計不一致数及び当該不一致数に各々対応する照合数を加算した合計照合数を算出することで前記照合結果情報を統合することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
<請求項6>
前記ずれ量特定手段は、前記合計不一致数が所定の信頼条件を満たすか否かにより前記合致条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項5記載の衛星電波受信装置。
<請求項7>
前記受信手段により受信された電波の強度に基づいて符号の誤同定確率を取得する誤同定確率取得手段と、
前記複数の衛星の各々について得られた前記誤同定確率に基づいて統合誤同定確率を算出する統合誤同定率算出手段と、
を備え、
前記ずれ量特定手段は、二番目に小さい前記合計不一致数である次点不一致数が当該次点不一致数に対応する前記合計照合数中に出現する確率が前記統合誤同定確率に応じた所定の妥当性基準を満たす範囲内にないことを前記所定の信頼条件とする
ことを特徴とする請求項6記載の衛星電波受信装置。
<請求項8>
電波の受信強度と前記誤同定確率とを対応付けて確率テーブルとして記憶する確率テーブル記憶手段を備え、
前記誤同定確率取得手段は、前記受信強度に基づいて前記確率テーブルを参照することで前記誤同定確率を取得する
ことを特徴とする請求項7記載の衛星電波受信装置。
<請求項9>
前記ずれ量特定手段は、最小の前記合計不一致数である最小不一致数が当該最小不一致数に対応する前記合計照合数中に出現する確率が前記統合誤同定確率に基づいて前記妥当性基準を満たす範囲内にあることを前記所定の信頼条件に含む
ことを特徴とする請求項7又は8記載の衛星電波受信装置。
<請求項10>
前記相対ずれ量特定手段は、一の衛星により得られた受信符号について、前記個別合致条件を満たす基準ずれ量に対して、前記一の衛星以外の他の衛星による受信符号について各々所定の符号数の相対ずれ範囲内で当該受信符号と前記想定符号列との間における合致の度合が最も高いずれ量を各々取得することで、前記複数の衛星に係る前記受信タイミングずれを特定することを特徴とする請求項3〜9の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
<請求項11>
前記衛星はGPS衛星であり、
前記所定の符号数の相対ずれ範囲内は、前後に1符号以内である
ことを特徴とする請求項10記載の衛星電波受信装置。
<請求項12>
前記照合手段は、前記受信手段により一の受信符号が同定されるごとに、前記一の受信符号の受信日時に対する前記最大ずれ幅内の前記想定符号と、当該一の受信符号とを照合することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
<請求項13>
前記最大ずれ幅は、前記取得された現在日時を計数する計時手段の当該現在日時が直近に修正されてからの経過時間に応じて求められることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
<請求項14>
前記最大ずれ幅内の想定符号を含む想定符号列と、当該想定符号列内において前記想定符号と想定されなかった符号とを識別する識別情報とを生成する想定符号列生成手段を備え、
前記照合手段は、前記識別情報に基づいて前記想定符号と前記受信符号とをそれぞれ照合する
ことを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の衛星電波受信装置。
<請求項15>
請求項1〜14の何れか一項に記載の衛星電波受信装置と、
現在日時を計数する計時手段と、
前記日時取得手段により取得された日時により前記計時手段の計数する日時を修正する日時修正手段と、
を備えることを特徴とする電子時計。
<請求項16>
衛星からの電波を受信して信号を復調し、当該復調した信号における各符号を受信符号として同定する受信ステップ、
複数の前記衛星による前記受信符号と、当該受信符号の受信タイミングとして取得された現在日時に対して設定される最大ずれ幅内で受信が想定される想定符号とを照合し、前記受信符号と前記想定符号との照合結果情報を前記複数の衛星の各々について前記最大ずれ幅内におけるずれ量と対応付けて取得する照合ステップ、
前記複数の衛星に係る前記複数の受信符号についての前記照合結果情報を統合する照合結果統合ステップ、
前記統合された照合結果情報に基づいて、前記受信符号と前記想定符号とが所定の合致条件を満たす前記ずれ量を特定するずれ量特定ステップ、
前記所定の合致条件を満たすずれ量に基づいて日時情報を取得する日時取得ステップ、
を含むことを特徴とする日時取得方法。
<請求項17>
衛星からの電波を受信して信号を復調する受信手段を備えたコンピュータを、
前記復調した信号における各符号を受信符号として同定する同定手段、
複数の前記衛星による前記受信符号と、当該受信符号の受信タイミングとして取得された現在日時に対して設定される最大ずれ幅内で受信が想定される想定符号とを照合し、前記受信符号と前記想定符号との照合結果情報を前記複数の衛星の各々について前記最大ずれ幅内におけるずれ量と対応付けて取得する照合手段、
前記複数の衛星に係る前記複数の受信符号についての前記照合結果情報を統合する照合結果統合手段、
前記統合された照合結果情報に基づいて、前記受信符号と前記想定符号とが所定の合致条件を満たす前記ずれ量を特定するずれ量特定手段、
前記所定の合致条件を満たすずれ量に基づいて日時情報を取得する日時取得手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。