(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の穀粒供給装置は、グレンタンクの内部において、前後方向には穀粒を放てきするものの、左右方向に穀粒を放てきする構成ではない。このため、依然として穀粒が偏って堆積してしまい、グレンタンクの穀粒充填率が低いままの場合がある。このように、従来の穀粒供給装置には、グレンタンクに対する穀粒充填率をさらに高める余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、グレンタンクに対する穀粒充填率を高めることができる穀粒供給装置およびコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の穀粒供給装置は、穀粒を上方へ搬送する揚穀装置(70)の上部に設けられ、前記揚穀装置(70)から前記穀粒を排出する穀粒出口(71b)と、前記穀粒出口(71b)から前記穀粒を貯留するグレンタンク(6)の内部まで下り傾斜で延伸し、前記穀粒出口(71b)から排出された前記穀粒が流下する穀粒案内面(91a)と、前記穀粒案内面(91a)を通過して横向きに配置された回転軸(93)に設けられ前記穀粒案内面(91a)上の下流側に配置され、前記グレンタンク(6)の内部へ向けて前記穀粒を放出する角度に形成された放出面(92b)を有する拡散羽根(92)とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の穀粒供給装置は、請求項1に記載の穀粒供給装置において、前記穀粒案内面(91a)は、下流側端部に水平姿勢の下部案内面(91c)を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の穀粒供給装置は、請求項2に記載の穀粒供給装置において、前記グレンタンク(6)は、前記揚穀装置(70)に対して接離可能に設けられ、前記揚穀装置(70)に対向する側壁に穴部(6a)を有し、前記拡散羽根(92)は、前記グレンタンク(6)を前記揚穀装置(70)へ向けて近接移動させることで、前記下部案内面(91b)と共に前記穴部(6a)から前記グレンタンク(6)の内部へ挿入されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の穀粒供給装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の穀粒供給装置において、前記拡散羽根(92)は、前記回転軸(93)に対して平行に形成され、かつ、外縁部から前記放出面(92b)が連続された他の放出面(92c)を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の穀粒供給装置は、請求項4に記載の穀粒供給装置において、
前記穀粒案内面(91a)は、下流側端部に水平姿勢の下部案内面(91b)を有し、前記放出面(92b)は、前記他の放出面(92c)が前記回転軸(93)の直下方に位置した状態において、外縁部が前記穀粒案内面(91a)および前記下部案内面(91b)に沿った形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の穀粒供給装置は、請求項5に記載の穀粒供給装置において、前記放出面(92b)は、前記他の放出面(92c)が前記回転軸(93)の直下方に位置した状態において、前記外縁部と、前記穀粒案内面(91a)および前記下部案内面(91b)との間に前記穀粒よりも大きな隙間をあけて配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の穀粒供給装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載の穀粒供給装置において、前記回転軸(93)は、前記揚穀装置(70)の従動軸(73)の下方に該従動軸(73)と平行に配置され、前記従動軸(73)の回転に無端帯(94)を介して連動することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載のコンバインは、請求項1から7のいずれか1項に記載の穀粒供給装置(90)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の穀粒供給装置によれば、穀粒案内面を流下する穀粒を拡散羽根の放出面によって拡散羽根から離れた位置へ放出することで、グレンタンクに貯留される穀粒の偏りを低減することができる。これにより、グレンタンクに対する穀粒充填率を高めることができる。
【0016】
請求項2に記載の穀粒供給装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、穀粒案内面を流下した穀粒を水平姿勢の下部案内面で受けてから拡散羽根によって放出することができる。これにより、拡散羽根による穀粒の拡散作用が高まり、グレンタンクに貯留される穀粒の偏りをさらに低減することができる。
【0017】
請求項3に記載の穀粒供給装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、グレンタンクが揚穀装置に対して接離可能であるため、グレンタンクの内部および拡散羽根周辺のメンテナンスが容易となる。また、拡散羽根および下部案内面が共にグレンタンクの穴部からグレンタンクの内部へ挿入されるため、たとえば、拡散羽根および下部案内面の一部だけをグレンタンクの内部に臨ませた場合と比較しても、穀粒の拡散作用をさらに高めることができる。
【0018】
請求項4に記載の穀粒供給装置によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、放出面が回転軸から離れた位置となり、穀粒を遠くまで放出することができる。これにより、拡散羽根による穀粒の放出作用を高めることができる。
【0019】
請求項5に記載の穀粒供給装置によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、たとえば、穀粒案内面および下部案内面を流れる穀粒の流量が増加したような場合でも、拡散羽根を効率的に作用させることができる。これにより、グレンタンクに対する穀粒充填率をさらに高めることができる。
【0020】
請求項6に記載の穀粒供給装置によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、たとえば、穀粒案内面および下部案内面を流れる穀粒の流量が低下したような場合に、穀粒が拡散羽根の作用を受けることなくグレンタンクの内部へ流下する。これにより、拡散羽根による穀粒の損傷を低減することができる。
【0021】
請求項7に記載の穀粒供給装置によれば、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、拡散羽根を回転するための伝動構造を簡素化することができる。これにより、装置の製造コストを低減することができるとともにメンテナンスが容易となる。
【0022】
請求項8に記載のコンバインによれば、グレンタンクに貯留された穀粒の偏りを低減することができ、グレンタンクに対する穀粒充填率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本願の開示する穀粒供給装置およびコンバインの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1は、コンバイン1の全体説明図である。
図1には、コンバイン1の概略左側面を示している。なお、
図1に示すように、コンバイン1の前進方向を前後方向の「前」、コンバイン1の後進方向を前後方向の「後」といい、鉛直方向の上下を上下方向の「上」および「下」という。また、コンバイン1の前方へ向かって、右側を左右方向の「右」、左側を左右方向の「左」という(
図2参照)。
【0026】
また、コンバイン1は、たとえば、大豆、そば、麦などの穀稈を、圃場を走行しながら収穫するいわゆる汎用コンバインである。
図1に示すように、コンバイン1は、走行装置3と、刈取前処理装置4と、脱穀装置5と、グレンタンク6と、排出筒7とを備えている。走行装置3は、機体フレーム2の下方に設けられ、左右一対のクローラによって機体を走行させる。
【0027】
刈取前処理装置4は、機体フレーム2の前方に設けられ、圃場の穀稈を収穫する。脱穀装置5は、機体フレーム2の上方に設けられ、フィーダハウス10によって搬送されてきた穀稈を脱穀し、さらに、脱穀した穀粒を選別する。グレンタンク6は、機体フレーム2の上方、かつ、脱穀装置5の右方に位置して設けられ、脱穀装置5によって選別された穀粒を貯留する。排出筒7は、グレンタンク6に貯留された穀粒を機体の外部へ排出する。なお、コンバイン1は、機体フレーム2の上方に操縦席8を備えている。
【0028】
次に、
図2、
図3および
図4を参照して刈取前処理装置4について説明する。
図2、
図3および
図4は、刈取前処理装置4の説明図である。なお、
図2には、刈取前処理装置4の概略平面(一部断面、掻込装置40省略)を示している。また、
図3には、刈取前処理装置4の概略右側面(一部断面)を示し、
図4には、刈取前処理装置4の右側部分(ベルトコンバータ装置60)の概略背面(一部断面)を示している。
【0029】
図2および
図3に示すように、刈取前処理装置4は、フィーダハウス10と、オーガ装置20と、刈刃装置30と、掻込装置40とを備えている。
【0030】
フィーダハウス10は、オーガ装置20と脱穀装置5との間に設けられ、オーガ装置20によって集められた穀稈を脱穀装置5へ搬送する装置である。フィーダハウス10の前部には、オーガ装置20、刈刃装置(第1刈取装置)30、掻込装置40および第2刈刃装置50に対してエンジンE(
図5参照)からの回転動力を出力する軸11と、エンジンEからの回転動力が入力される軸12とが上下に所定間隔をあけて設けられている。なお、刈刃装置(第1刈取装置)30および第2刈刃装置50の伝動経路については、
図5を用いて後述する。
【0031】
また、図示しないが、フィーダハウス10の上部(上面)には、藁屑などが堆積するのを防止するために、オーガ装置20の後端部の上面とフィーダハウス10の前端部の上面とを覆うような板材が取り付けられている。
【0032】
図2に示すように、オーガ装置20は、機体の左右幅と略同等の左右幅を有し、フィーダハウス10の前方に設けられ、掻込装置40によって掻き込まれた穀稈を一側に寄せ集めてフィーダハウス10へ引き継ぐ装置である。オーガ装置20は、オーガフレーム21と、送込口22と、掻込オーガ23とを備えている。
【0033】
オーガフレーム21は、左右一対の側板24,24と、側板24,24の後面を連結する後板25と、側板24,24の一部下面と後板25の下面とを連結する底板26とを備え、バケット状に形成されている。
【0034】
また、
図2に示すように、側板24,24の前端部には、圃場の植立穀稈を分草する分草体27が設けられ、後板25の左側部には、穀稈をフィーダハウス10に搬送する送込口22が設けられ、底板26の前端部には、穀稈を株元付近から切断する刈刃装置30が設けられている。
【0035】
オーガフレーム21の側板24,24は、前後に分割されており、分草体27が取り付けられた前側側板24aと、バケット状の構造体の一部を形成している後側側板24bとを備えている。また、前側側板24aの前端部には、機体の前後方向と交差する平坦面が形成されている。平坦面は、分草体27の後端部に形成され機体の前後方向と交差する他の平坦面とボルトなどの締結具によって連結されている。
【0036】
図2に示すように、側板24,24の上縁は、前から後にかけて上り傾斜して形成され、側板24,24の下縁は、前から中途まで平坦に形成され、中途から後まで下方へ円弧状に突出して形成されている。また、後板25は、略長方形に形成され、底板26は、側板24,24の下面に沿って前から中途まで平坦に形成され、中途から後まで下方へ円弧状に突出して形成されている。
【0037】
なお、オーガフレーム21は、側板24,24と後板25とを溶接によって一体的に形成されてもよいし、切断や折曲加工によって一体形成されてもよい。また、オーガフレーム21の形状は、上述した形状に限定されることはなく、用途に応じて任意の形状に形成されてよい。
【0038】
また、オーガフレーム21の左右一対の側板24,24にそれぞれ取り付けられた分草体27,27は、圃場の植立穀稈を分草するものである。分草体27,27は、植立穀稈の分草をさらに効率的に行うために、たとえば、左右いずれかを図示しない揺動アームに取り付けて、左右に揺動させる構成としてもよい。
【0039】
掻込オーガ23は、オーガフレーム21の左右一対の側板24,24に回転自在に軸支された軸23aに取り付けられている。また、掻込オーガ23の外周には、掻込装置40によって掻い込まれた穀稈を送込口22の前方に寄せ集める向きに傾斜した搬送ラセン23bが設けられている。また、掻込オーガ23は、送込口22と対向する部分に、穀稈の滞留を防止するために複数の掻込フィンガ23cが出没自在に設けられている。
【0040】
掻込フィンガ23cは、軸23aの重心に対して偏心した状態で、軸23aと一体回転するクランク軸23dに基部が回転自在に取り付けられ、クランク軸23dの偏心運動によって掻込オーガ23の外周に設けられた穴から出没する。なお、掻込オーガ23の穴には、掻込フィンガ23cを円滑に摺動させるガイド部材23eが設けられている。
【0041】
図2および
図3に示すように、刈取装置(以下、「第1刈刃装置」という)30は、掻込装置40によって掻き込まれた植立穀稈の株元付近を切断して、穀稈を刈り取る装置である。第1刈刃装置30は、いわゆる横刈刃装置であり、オーガフレーム21の底板26の前端部に左右にわたって設けられている。
【0042】
図2に示すように、第1刈刃装置30は、穀稈の株元を保持する、刃幅が狭く刃長が長いフィンガ状の複数の下刃31aを有する固定刃31と、固定刃31に形成された溝を左右方向に摺動する、刃幅が広く刃長が短い三角形状の複数の上刃32aを有する可動刃32とを備えている。また、第1刈刃装置30は、固定刃31の後部に連結されたアングル鋼材などの第1刈刃プレート33を備えている。
【0043】
図3に示すように、掻込装置40は、オーガ装置20の上方に設けられ、たとえば、倒伏している穀稈、丈が低い穀稈、丈が高い穀稈などを掻き込む装置である。掻込装置40は、掻込リール41と、掻込リール41を支持する支持アーム42とを備えている。なお、掻込装置40は、オーガ装置20の左右幅と略同等の左右幅を有している。
【0044】
掻込リール41は、左右いずれかから見て正六角形状に形成され、6箇所の各隅部にタイン支持杆43が設けられている。また、タイン支持杆43には、左右方向に所定間隔をあけて複数のリールタイン44が吊り下げられている。
【0045】
支持アーム42は、掻込リール41を上下に移動可能に支持するものであり、基端部がオーガフレーム21の左右の側板24,24に架け渡されて設けられた軸部に回転自在に取り付けられている。また、支持アーム42の先端部には、掻込リール41が回転自在に取り付けられる軸46が設けられている。なお、支持アーム42の中間部には、支持アーム42を上下に昇降させる油圧シリンダなどの昇降装置45が設けられている。
【0046】
また、刈取前処理装置4は、第1刈刃装置30に加えて、第2刈刃装置50を備えている(
図5参照)。第2刈刃装置50は、第1刈刃装置30と同様、横刈刃装置である。第2刈刃装置50は、第1刈刃装置30の後方に設けられ、第1刈刃装置30に刈り取られた後の植立穀稈(残稈)を、切株の背丈を短くするために刈り払う装置である。なお、第1刈刃装置30、第2刈刃装置50は、それぞれ「ファーストモア」、「セカンドモア」とも呼ばれる。
【0047】
第2刈刃装置50は、左右方向に延伸して設けられ、たとえば、オーガ装置20と走行装置3との間に配置され、平行リンク機構などを介して昇降自在に設けられている。また、第2刈刃装置50は、残稈の株元を保持する、刃幅が狭く刃長が長いフィンガ状の複数の下刃を有する固定刃と、固定刃に形成された溝を左右方向に摺動する、刃幅が広く刃長が短い三角形状の複数の上刃を有する可動刃と、固定刃の後部に連結されたアングル鋼材などの第2刈刃プレートとを備えている。
【0048】
ここで、
図3、
図4および
図5を参照して掻込リール41の回転を変速するベルトコンバータ装置(以下、「ベルコン装置」と略称する)60について説明する。
図5は、コンバイン1の伝動線図である。なお、
図5には、コンバイン1の伝動経路の一例を示しており、コンバイン1の伝動経路がこれに限定されることはない。
【0049】
図3に示すように、フィーダハウス10におけるオーガフレーム21の後方上部、具体的には、オーガフレーム21の後板25の後面の上部には、上述した軸11,12を有するベルコン装置60が配置されている。ベルコン装置60は、掻込リール41の回転速度を無段階で変速する装置である。
【0050】
図3および
図4に示すように、ベルコン装置60では、軸11と軸12とがベルト61を介して動力的に連結されるとともに、各軸11,12がベルコン装置60の前方に設けられたカウンタ軸62に対してベルト63,64を介してそれぞれ動力的に連結されている。また、軸11,12のそれぞれの一端側(
図3および
図4の例では、それぞれの左端側)には、有効径を変更可能な割プーリ65,66が設けられている。
【0051】
ベルコン装置60は、機体の右側部に配置されている(
図5参照)。上述したように、軸11は、カウンタ軸62を介して入力されたエンジンEからの回転動力を第1刈刃装置30へ出力する出力軸である。また、軸12は、エンジンEからの回転動力が入力される入力軸であるとともに、エンジンEからの回転動力を掻込装置40の掻込リール41へ出力する出力軸である。
【0052】
このように、ベルコン装置60が、オーガフレーム21の後方上部、具体的には、オーガフレーム21の後板25の後面の上部に配置されることで、軸11,12のそれぞれの割プーリ65,66の割量をオペレータが操縦席8(
図1参照)から目視で確認することができる。これにより、オペレータは掻込リール41の概略回転数を作業中に容易に把握することができる。
【0053】
また、カウンタ軸62は、掻込リール41の回転軸46に対してベルト67を介して動力的に連結されている。
図5に示すように、エンジンEからの回転動力は、機体の右側面側において、フィーダハウス10の駆動軸13に入力され、駆動軸13の前方に設けられた従動軸14から、オーガ装置20へ出力する経路と第2刈刃装置50へ出力する経路とに分岐する。
【0054】
機体の左側面側においては、フィーダハウス10の従動軸14からの動力は、ベルトなどの無端帯を介してウォーブル機構などの変換機構55へ出力され、変換機構55から第2刈刃装置50へ出力される。なお、変換機構55は、入力側に伝達された回転が変換機構55の基部に一定の角度を有して設けられた偏角軸部によって往復運動に変換され、出力側に接続された軸を軸心まわりで往復揺動させる。
【0055】
また、フィーダハウス10の従動軸14からの動力は、カウンタ軸62によって機体の右側面側へ伝達される。機体の右側面側においては、カウンタ軸62からの動力は、上述したように、ベルコン装置60の軸12へ入力され、軸11からベルトなどの無端帯を介してウォーブル機構などの変換機構35へ出力され、変換機構35から第1刈刃装置30へ出力される。なお、変換機構35においても、変換機構55と同様に、入力側に伝達された回転が変換機構35の基部に一定の角度を有して設けられた偏角軸部によって往復運動に変換され、出力側に接続された軸を軸心まわりで往復揺動させる。
【0056】
このように、第1刈刃装置30および第2刈刃装置50に対する伝動経路を機体の左右に振り分けることで、機体の一方側に集中していた伝動軸を減らすことができる。これにより、圃場における刈取作業時などに、伝動軸に穀稈などが引っ掛かることを防止することができる。
【0057】
また、脱穀装置5では、選別部5a(
図6および
図7参照)において選別(一次選別)された穀粒が揚穀装置によって上方へ搬送(以下、「揚送」という)される。具体的には、脱穀装置5において、一番回収部によって回収された穀粒は、グレンタンク6へ揚送され、一番回収部に回収されなかった穀粒は、二番回収部によって回収され、穀粒を再処理(二次選別)するために、他の揚穀装置によって選別部5aへ戻し搬送(以下、「戻し揚送」という)される。
【0058】
脱穀装置5は、一次選別および二次選別された穀粒を揚送および戻し揚送するそれぞれの揚穀装置として、一番揚穀装置70と、二番揚穀装置80とを備えている。
【0059】
次に、
図6および
図7を参照して一番揚穀装置70および二番揚穀装置80について説明する。
図6および
図7は、一番揚穀装置70および二番揚穀装置80の説明図である。なお、
図6には、コンバイン1の概略正断面を示し、
図7には、コンバイン1の概略右側面(一部断面)を示している。
【0060】
図6および
図7に示すように、一番揚穀装置70は、筐体71と、筐体71の内部に設けられる、駆動軸72と、従動軸73と、チェンベルト74と、搬送バケット75とを備えている。筐体71は、角筒状に形成され、上下方向に延伸するように直立して設置され、選別部5aと連通する穀粒入口71aが下端部に設けられ、グレンタンク6へ穀粒を排出する穀粒出口71bが上端部に設けられている。また、穀粒入口71aには、左右方向に延伸するとともに、一番回収部によって回収された穀粒を左から右へ搬送する一番搬送ラセン76が連結されている。
【0061】
また、筐体71は、横向き、すなわち、左右方向に沿って配置された駆動軸72が下端部に設けられ、駆動軸72と平行な従動軸73が上端部に設けられている。なお、従動軸73は、「遊動軸」とも呼ばれ、駆動軸72との間に掛け回されたチェンベルト74を介して、駆動軸72の駆動力によって回転する。駆動軸72は、一番搬送ラセン76と同軸に設けられ、一番搬送ラセン76の回転に伴い回転する。また、チェンベルト74には、所定間隔をあけて複数の搬送バケット75が取り付けられている。
【0062】
一番揚穀装置70では、一番搬送ラセン76によって搬送されてきた穀粒が、穀粒入口71aから筐体71の内部へ供給され、複数の搬送バケット75によって順次揚送され、筐体71の上端部で搬送バケット75の上下が反転して穀粒出口71bからグレンタンク6へ排出される。
【0063】
図6および
図7に示すように、二番揚穀装置80は、筐体81を備えている。筐体81は、角筒状に形成され、後から前へ斜め上方に延伸するように傾斜して設置され、選別部5aと連通する穀粒入口81aが下端部に設けられ、選別部5aの上流側(前側)に配置された選別棚へ穀粒を排出する穀粒出口81bが設けられている。
【0064】
また、穀粒入口81aには、左右方向に延伸して、二番回収部によって回収された穀粒を左から右へ搬送する二番搬送ラセン86が連結されている。ここで、従来の二番揚穀装置は直立して設置されていた。ところが、二番揚穀装置を直立させた場合、選別部5aの上流側へ向けて延伸する搬送ラセンなどの横向きの搬送経路がさらに必要となり、装置構成が煩雑になるうえ、たとえば、ラセン搬送によって豆類の汚れや損傷、すなわち、汚粒や損傷粒の発生が増加していた。
【0065】
そこで、本実施形態に係るコンバイン1では、二番揚穀装置80を斜めに設置して穀粒出口81bを選別部5aの戻し口5bへ連結させて、二番揚穀装置80から穀粒を戻し口5bへ直接投入するようにした。このように、二番揚穀装置80を斜めに設置して穀粒出口81bを選別部5aの戻し口5bに連結させることで、選別部5aへ向けた横向きの搬送経路などが不要となり、装置構成を簡素化することができるとともに、汚粒や損傷粒の発生を低減することができる。
【0066】
また、二番揚穀装置80は、筐体81の内部に、駆動軸82と、従動軸(図示省略)と、チェンベルト84と、搬送インペラ85とを備えている。駆動軸82は、筐体81の下端部に左右方向に沿って設けられ、従動軸は、駆動軸82と平行に設けられている。なお、従動軸は、上述した一番揚穀装置70の従動軸73と同様、駆動軸82との間に掛け回されたチェンベルト84を介して、駆動軸82の駆動力によって回転する軸(遊動軸)である。
【0067】
また、駆動軸82は、二番搬送ラセン86と同軸に設けられ、二番搬送ラセン86の回転に伴い回転する。また、チェンベルト84には、所定間隔をあけて複数の搬送インペラ85がチェンベルト84の外周へ突出するように取り付けられている。チェンベルト84の上側は穀粒の揚送面となり、駆動軸82と従動軸との間に穀粒の揚送路を形成するために板状の搬送レール85aが設けられている。なお、チェンベルト84の下側は穀粒が排出された後の搬送インペラ85の送り面となるため、搬送レール85aは設けられていない。
【0068】
また、たとえば、
図7に例示したように、二番揚穀装置80が斜めに設置された場合、チェンベルト84が左まわりして、下側の搬送インペラ85を筐体81の内面に当接させ、筐体81の内面を揚送面として穀粒を揚送することが一般的である。ところが、図示のように、選別部5aの右側面側に配置された装置は、二番搬送ラセン86を含めた全装置が右まわり(時計まわり)で回転するため、筐体81の内面を穀粒の揚送面とする場合には、二番揚穀装置80に逆転機構などが必要となり、装置構成が煩雑になっていた。
【0069】
本実施形態に係るコンバイン1では、上述したように、チェンベルト84の上側を穀粒の揚送面としたことで、二番搬送ラセン86の回転軸によって二番揚穀装置80を直接駆動することができる。これにより、逆転機構などが不要となり、装置構成を簡素化することができる。
【0070】
また、一番揚穀装置70の筐体71の上部には、揚送された穀粒をグレンタンク6の内部へ供給する穀粒供給装置90が設けられている。次に、
図8および
図9を参照して穀粒供給装置90について説明する。
図8は、
図6におけるA部の拡大図である。
図9は、
図7におけるB部の拡大図である。すなわち、
図8には、穀粒供給装置90の正断面を示し、
図9には、穀粒供給装置90の右側面を示している。なお、
図8および
図9には、放出される穀粒およびグレンタンク6に貯留された穀粒を模式的に示している。
【0071】
図8および
図9に示すように、穀粒供給装置90は、一番揚穀装置70の上部に設けられ、穀粒出口71bと、穀粒案内板91と、拡散羽根92とを備えている。なお、穀粒出口71bは、上述したように、一番揚穀装置70の筐体71の上端部に設けられた穀粒の出口であり、一番揚穀装置70からグレンタンク6へ向けて穀粒を排出する。
【0072】
穀粒案内板91は、上面が穀粒出口71bからグレンタンク6の内部まで下り傾斜で延伸し、穀粒出口71bから排出された穀粒が流下する穀粒案内面91aに設定されている。穀粒案内板91は、穀粒の流れ方向の上流側の端部が穀粒出口71bに接続され、穀粒案内面91aの一部として、下流側の端部にグレンタンク6の内部へ向けて略水平に延伸する、水平姿勢の下部案内面91bが形成されている。
【0073】
拡散羽根92は、穀粒案内面91aを通過して、すなわち、穀粒案内板91を穀粒案内面91aとなる表面から裏面へ貫通するとともに、横向き、すなわち、左右方向に沿って配置された回転軸93の一端部(グレンタンク6側となる端部)に設けられている。また、回転軸93の他端部は、一番揚穀装置70の筐体81におけるグレンタンク6と対向する側とは反対側の外側面に突出している。また、回転軸93の他端部には従動プーリ93aが設けられている。なお、回転軸93の軸線は、穀粒案内面91aに対して垂直ではない角度で交差している。
【0074】
また、一番揚穀装置70の筐体71の上端部に設けられチェンベルト74を駆動する駆動軸72(
図6参照)に対して従動する従動軸73のグレンタンク6側とは反対側の端部は、筐体71におけるグレンタンク6と対向する側とは反対側の外側面に突出している。また、従動軸73のこの突出した端部には、従動プーリ93aを駆動する駆動プーリ73aが設けられている。
【0075】
回転軸93は、従動軸73の下方において従動軸73と平行に配置されている。駆動プーリ73aは、従動プーリ93aとの間に掛け回された無端帯(たとえば、ベルト)94によって従動プーリ93aと動力的に連結されている。このように、無端帯94によって連結されることで、従動プーリ93aは、駆動プーリ73aの回転に連動し、これにより、回転軸93は、無端帯94を介して従動軸73の回転に連動する。
【0076】
要するに、回転軸93に対する伝動は、一番搬送ラセン76(
図6参照)の回転に伴い一番揚穀装置70の駆動軸72(
図6参照)が従動して回転し、駆動軸72の回転に伴い従動軸73が従動して回転し、従動軸73が回転することで駆動プーリ73aが回転し、駆動プーリ73aの回転に伴い従動プーリ93aが従動して回転する。これにより、回転軸93が回転する。
【0077】
このように、回転軸93の回転駆動力を一番揚穀装置70の従動軸73から無端帯94を介して得るような伝動構造とすることで、ギヤボックスやチェンなどで回転方向を変換するような機構が不要となり、拡散羽根92を回転するための伝動構造を簡素化することができる。これにより、製造コストを低減することができるとともに、メンテナンスが容易となる。
【0078】
また、回転軸93には、回転軸93から従動軸73側へ延伸するステー95を介して押圧プーリ95aが設けられている。押圧プーリ95aは、駆動プーリ73aおよび従動プーリ93aに対して同軸に設けられている(
図8参照)。押圧プーリ95aは、回転軸93に回動可能に支持されたステー95の基端部を回動支点として矢線a方向に移動する。
【0079】
ステー95が回動することで、ステー95の先端部に設けられた押圧プーリ95aがベルトなどの無端帯94を押圧すると、無端帯94にテンションが付与されて駆動プーリ73aと従動プーリ93aとが動力的に連結される。一方、押圧プーリ95aが無端帯94から離れる向きに移動すると、駆動プーリ73aと従動プーリ93aとは動力的に遮断される。このように、押圧プーリ95aによって、動力の接続および遮断が可能な伝動機構(たとえば、ベルトクラッチ)を構成することができる。
【0080】
拡散羽根92は、少なくとも一対の羽根部92aを備えており、回転軸93の一端部に設けられて穀粒案内面91a上の下流側に配置されている。また、拡散羽根92の羽根部92aは、グレンタンク6の内部へ向けて穀粒を放出する角度に形成された傾斜面である放出面(以下、「第1放出面」という)92bを有している。具体的には、第1放出面92bは、回転軸93の軸線を含む面に対して垂直ではない角度で交差する面(斜面)であり、また、拡散羽根92は、
図8中の矢線b方向に示すように、第1放出面92b側が先行する向きに回転する。穀粒出口71bから排出された穀粒は、第1放出面92bに角度をつけて放出されることで、拡散羽根92から離れたところへも到達するようになる。
【0081】
また、羽根部92aは、回転軸93と第1放出面
92bとの間に、回転軸93に対して平行に形成された他の放出面(以下、「第2放出面」という)92cを有している。
【0082】
このように、穀粒案内面91aを流下する穀粒を拡散羽根92の第1放出面92bによって拡散羽根92から離れた位置へ放出することで、グレンタンク6に貯留される穀粒の偏りを低減することができる。これにより、グレンタンク6に対する穀粒充填率を高めることができる。
【0083】
また、穀粒案内面91aを流下した穀粒を下部案内面91bで受けてから拡散羽根92によって放出することができる。これにより、拡散羽根92による穀粒の拡散作用が高まり、グレンタンク6に貯留される穀粒の偏りをさらに低減することができる。
【0084】
第2放出面92cは、内縁部が回転軸93に連結され、外縁部から連続して第1放出面92bが設けられている。また、第1放出面92bは、正面から見た場合に、第2放出面92cが回転軸93の直下方に位置した状態で、外縁部が穀粒案内面91aおよび下部案内面91bに沿った形状に形成されている(
図8参照)。
【0085】
このように、第1放出面92bの外縁部が穀粒案内面91aおよび下部案内面91bに沿った形状に形成されることで、たとえば、穀粒案内面91aおよび下部案内面91bを流れる穀粒の流量が増加したような場合でも、拡散羽根92を効率的に作用させることができる。
【0086】
また、第1放出面92bは、第2放出面92cが回転軸93の直下方に位置した状態で、第1放出面92bの外縁部と、穀粒案内面91aおよび下部案内面91bとの間に、穀粒よりも大きな隙間をあけて配置されている。
【0087】
このように、第1放出面92bの外縁部と穀粒案内面91aおよび下部案内面91bとの間に穀粒よりも大きな隙間をあけていることで、たとえば、穀粒案内面91aおよび下部案内面91bを流れる穀粒の流量が低下したような場合に、穀粒が拡散羽根92の作用を受けることなくグレンタンク6の内部へ流下する。これにより、拡散羽根92による穀粒の損傷を低減することができる。
【0088】
上述してきたように、本実施形態に係るコンバイン1によれば、穀粒案内面91aを流下する穀粒を拡散羽根92の第1放出面92bによって拡散羽根92から離れた位置へ放出することで、グレンタンク6に貯留される穀粒の偏りを低減することができる。これにより、グレンタンク6に対する穀粒充填率を高めることができる。
【0089】
また、穀粒案内面91aを流下した穀粒を水平姿勢の下部案内面91bで受けてから拡散羽根92によって放出することができる。これにより、拡散羽根92による穀粒の拡散作用が高まり、グレンタンク6に貯留される穀粒の偏りをさらに低減することができる。
【0090】
また、従来、二番揚穀装置80と二番搬送ラセン86との間には、二番搬送ラセン86の終端部から二番揚穀装置80の始端部(穀粒入口81a)へ穀粒を案内するために、選別部5aの外側に、選別部5aと二番揚穀装置80とを接続して穀粒を引き継ぐ引継部が設けられていた。
【0091】
このため、二番揚穀装置80と選別部5aとの間に引継部分の間隔をあける必要があり、機体の左右幅が増大することがあり、機体の左右幅を抑えるために、グレンタンク6を小さくして容量を犠牲にすることがあった。そこで、本実施形態に係るコンバイン1では、二番揚穀装置80の下部において、二番搬送ラセン86の終端部を漏斗状に形成して、二番搬送ラセン86の終端部を穀粒の引継部87aとした。
【0092】
次に、
図10および
図11を参照して二番揚穀装置80における穀粒の引継部87aについて説明する。
図10は、
図6におけるC部の拡大図である。
図11は、
図7におけるD部の拡大図である。すなわち、
図10には、二番揚穀装置80の正断面を示し、
図11には、二番揚穀装置80の右側面を示している。
【0093】
図10に示すように、二番揚穀装置80は、筐体81の穀粒入口81aにおいて、上述したように、駆動軸82が二番搬送ラセン86と同軸に設けられている。二番搬送ラセン86の下方には、二番搬送ラセン86の下方を覆う底部カバー87が横向きに、すなわち、左右方向に沿って設けられている。底部カバー87の終端部は、二番揚穀装置80の穀粒入口81aを左右方向から覆うように、下り傾斜の漏斗状に形成されている。そして、二番揚穀装置80では、漏斗状に形成された底部カバー87の終端部を穀粒の引継部87aとしている。
【0094】
このように、二番搬送ラセン86の底部カバー87の終端部が漏斗状に形成され、漏斗状の部分を穀粒の引継部87aとすることで、二番揚穀装置80を選別部5aと近接させることができる。これにより、機体の左右幅が増大することを抑えることができ、これに起因してグレンタンク6を小さくする必要がなくなる。この結果、機体のコンパクト化が図れるとともに、グレンタンク6の容量も確保することができる。
【0095】
また、一番搬送ラセン76および二番搬送ラセン86の各底部カバー77,87には、掃除口78,88が設けられている。また、底部カバー77,87には、掃除口78,88を開放および閉鎖する蓋79,89が設けられ、さらに、蓋79,89を開閉するための開閉機構100が設けられている。次に、
図12および
図13を参照して一番搬送ラセン76および二番搬送ラセン86における掃除口78,88の開閉機構100について説明する。
【0096】
図12は、一番搬送ラセン76および二番搬送ラセン86における掃除口78,88の開閉機構100の説明図である。
図13(a),(b)は、一番搬送ラセン76および二番搬送ラセン86における掃除口78,88の開閉機構100の動作説明図である。なお、
図12には、底部カバー77,87の底面を示し、
図13には、
図12におけるX−X断面を示している。
【0097】
図12に示すように、底部カバー77,87は、左右方向に延伸し、前後方向に平行に並んで配置されている。底部カバー77,87には、所定間隔をあけて複数の掃除口78,88が設けられている。また、掃除口78,88には、掃除口78,88を開放および閉鎖する、開閉可能な蓋79,89が設けられている。各蓋79,89は、それぞれ内方へ向けて扉状に開閉する(
図13(b)参照)。
【0098】
また、底部カバー77,87には、全部の蓋79,89を同時に開閉する開閉機構100が設けられている。従来、掃除口78,88を開閉する蓋は、複数を一括操作することができるものであり、バネなどの付勢部材によって掃除口78,88を閉鎖するように付勢されていた。ところが、このような蓋の構成では、一番搬送ラセン76および二番搬送ラセン86によるラセン搬送によって搬送圧力が発生した場合に、押圧された穀粒が付勢部材の付勢力に抗して蓋を押し開けて、掃除口に隙間が生じて隙間から穀粒が漏れることがあった。このため、複数の蓋をワンタッチで一括操作できるメリットを犠牲にしても、扉状に開閉する蓋ではなく、構造的に制約が多いスライド式の蓋が採用されていた。
【0099】
そこで、本実施形態に係るコンバイン1では、バネなどの付勢部材を使用しない扉式の蓋79,89を用いて、さらに、隙間が生じることを防止して穀粒漏れなどが発生しない掃除口78,88の開閉機構100を備えることとした。
【0100】
図12に示すように、開閉機構100は、蓋79,89の間に設けられ、外側端部が蓋79,89に連結されたロッド部101と、ロッド部101の間を連結する回動アーム102とを備えている。ロッド部101は、中途位置にターンバックルなどの長さ調整部101aが設けられている。また、開閉機構100は、左右方向に並んだ複数の回動アーム102を連結しつつ、左右方向に延伸する回動支軸103を備えている。
【0101】
図13(a),(b)に示すように、開閉機構100では、回動支軸103が回動すると、回動アーム102が回動する。また、回動アーム102が回動すると、ロッド部101,101が互いに内方へ引き付けられて蓋79,89が開いて掃除口78,88が開放される。
【0102】
また、
図13(b)に示すように、回動支軸103に操作レバー104が設けられてもよい。操作レバー104が設けられることで、回動支軸103の回動操作がさらに容易となる。また、ロッド部101にターンバックルなどの長さ調整部101aが設けられることで、ロッド部101の長さを微細に調整することができる。これにより、掃除口78,88を閉鎖した状態にある蓋79,89に対して適度な押圧力を付与することができる。さらに、ロッド部101が剛性を有するため、バネなどの付勢部材を用いなくても蓋79,89を閉鎖する向きに押し付けることができる。
【0103】
このように、ロッド部101と、ロッド部101に長さ調整部101aとが設けられることで、ワンタッチで蓋79,89を一括操作する利便性を確保しつつ、掃除口78,88に隙間が発生することを防止して穀粒漏れなどを防止することができる。
【0104】
また、本実施形態に係るコンバイン1では、グレンタンク6は、一番揚穀装置70に対して接離移動可能に設けられている。また、グレンタンク6は、一番揚穀装置70に対向する側壁に、穀粒案内板91や拡散羽根92を内部へ挿入させる穴部6aが設けられている(
図6参照)。装置の製造時において、グレンタンク6は、一番揚穀装置70へ向けて近接移動されることで、穀粒案内板91の下部案内面91bおよび拡散羽根92が内部へ挿入される。
【0105】
このように、グレンタンク6が一番揚穀装置70に対して接離移動可能であるため、グレンタンク6の内部および穀粒案内板91や拡散羽根92周辺のメンテナンスが容易となる。また、拡散羽根92および下部案内面91bが共にグレンタンク6の穴部6aからグレンタンク6の内部へ挿入されるため、たとえば、拡散羽根92および下部案内面91bの一部だけをグレンタンク6の内部に臨ませた場合と比較しても、穀粒の拡散作用をさらに高めることができる。
【0106】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。