(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、第1の実施形態に係る分注装置を示す。
【0012】
(1.全体構成)
この分注装置は、
図2に示すように、略直方体形状の装置本体1に、複数本の薬液ボトル2を回動可能に支持するボトル支持部3と、このボトル支持部3に支持した各薬液ボトル2を回動させる回動駆動部4と、各薬液ボトル2に収容される薬液を注出するための薬液注出部5と、患者用ボトル6に希釈水を注入するための希釈水注入部7と、前記薬液注出部5で使用したノズルの洗浄を行うためのノズル洗浄部8と、これら構成部品を駆動制御するための制御装置9とを備える。
【0013】
(1−1.装置本体1)
装置本体1は、
図1に示すように、略直方体形の枠状で、表面がパネルによって覆われている。装置本体1の上部には、
図3に示すように、制御装置9が配置される保持プレート10が取り付けられている。保持プレート10は、前後方向に延びる、伸縮可能な支持レール11に沿って第1前面パネル12と共に前方へと引出可能となっている。また、保持プレート10は、後端部両側を支持レール11に回動可能に連結され、前端部に設けた把手10aを掴んで下方側へと回動させることができるようになっている。これにより、保持プレート10に取り付けた制御装置9を前面に露出させることができ、メンテナンス等の作業を容易に行うことが可能となっている。
【0014】
前記第1前面パネル12の下方側には、
図1に示すように、第2前面パネル13が配置されている。第2前面パネル13は、
図1中、装置本体1に対して右端を回動中心として開閉可能に取り付けられ、左端の把手13aを掴んで開閉させることができるようになっている。第2前面パネル13によって閉鎖される空間内には、後述するボトル支持部3、回動駆動部4、等が配置されている。第2前面パネル13を開放することにより、既に装着されている薬液ボトル2を交換したり、あるいは、前記各部材をメンテナンスしたりすること等が可能となっている。また、第2前面パネル13には、液晶タッチパネル等で構成されたディスプレイ14が設けられ、その側方にはジャーナルプリンタ15でプリントされた用紙が排出される払出口13bが形成されている。
【0015】
第2前面パネル13の下方領域には、
図1及び
図2に示すように、左上方部に第1引出体16が設けられ、そこには希釈水タンク17及び洗浄水タンク18が配置されている。第1引出体16は、その把手16aを引っ張ることにより前方に引き出して、希釈水タンク17や洗浄水タンク18に注水可能となっている。第1引出体16の下方側にはラベルプリンタ20でプリントされたラベルが排出される排出口19が形成されている。第2前面パネル13の下方領域中央部には、上方側に、後述するように、患者用ボトル6を載置して薬液注出部5からの薬剤を注入可能なボトル載置部60が設けられている。また、ボトル載置部60の下方側には、第2引出体21が設けられ、そこには廃液回収タンク22が配置されている。第2引出体21は、その把手21aを引っ張ることにより前方に引き出して、廃液の破棄等を行うことができるようになっている。第2前面パネル13の下方領域右側には、右縁部を中心として回動可能に開閉扉23(
図1)が設けられている。開閉扉23は、左側中央部に設けた把手23aを掴むことにより開閉可能となっている。開閉扉23の裏側には、患者用ボトル6等を収容可能な収容室24が形成されている。
【0016】
(1−2.ボトル支持部3)
ボトル支持部3は、
図4に示すように、装置本体1内に設けた支持プレート25に環状支持体26を支持し、さらに、この環状支持体26に、複数の回動支持部27(
図6)を設けたものである。
【0017】
支持プレート25は、中央部に開口部28を形成され、後述する薬液ボトル2が回動する際の干渉が回避されている。支持プレート25には、同一円周上の4箇所にそれぞれ配置される第1ガイドローラ29a及び第2ガイドローラ29bと、回転軸に駆動ギア31を備えた駆動モータ32と、エンコーダ33とが設けられている。
【0018】
環状支持体26は、
図5に示すように、上下に所定間隔で配置した環状プレート34a、34bの内縁部同士を複数本の連結レール35で連結したものである。下方側環状プレート34bは、リング部36と、その下方側に配置される、リング部36よりも小径のギア部37とで構成されている。上方側環状プレート34aは、その上面を転動可能なガイドローラ30によってガイドされている。下方側環状プレート34bは、そのリング部36が外周面及び環状下面の各4箇所(計8箇所)を、第1ガイドローラ29a及び第2ガイドローラ29bによって支持されることにより回転可能に支持されている。ギア部37には、駆動モータ32の回転軸に設けた駆動ギア31が噛合している。駆動ギア31は、ギア部37に向かって付勢されているが、ワイヤーで接続された操作部31aを操作することによりギア部37から離間させることができるようになっている。また、環状支持体26の回転はエンコーダ33によって検出され、どの回動支持部27に支持した薬液ボトル2がどの位置にあるのかを特定できるようになっている。そして、後述する制御装置9により、エンコーダ33での検出信号に基づいて駆動モータ32を回転制御し、環状支持体26を回転させ、回動支持部27に支持した薬液ボトル2を所望の位置(回動位置、注出位置、洗浄位置、乾燥位置)に移動させることができるようになっている。但し、前記駆動モータ32にステッピングモータ、サーボモータ等を使用するようにすれば、エンコーダ33を不要とすることも可能である。なお、環状支持体26の回転範囲は正逆それぞれ1回転の範囲である。
【0019】
回動支持部27は、
図6に示すように、前記下方側環状プレート34bのリング部36にネジ止め等によって取外可能に取り付けられる支持台38と、この支持台38に支軸39aを中心として回動可能に連結される回動部39とを備える。
【0020】
支持台38には、
図7及び
図8に示すように、第1ピンチバルブ40が設けられている。第1ピンチバルブ40は、支軸41aを中心として回動可能に設けた略L字形の駆動アーム41で構成され、その一端側はさらに鉛直上方に向かって延びている。駆動アーム41は、アーム用モータ42の駆動によりアーム用カム43を回転させることにより、挟持位置と開放位置の間で揺動し、これら2箇所と、これらの中間位置の1箇所にそれぞれ位置決め可能となっている。そして、挟持位置では、第1ピンチバルブ40により、後述する第1ノズル51を挟持して形状を変形させ、流路を全閉とすることにより薬液の流出を阻止し、中間位置ではその変形量を抑えて薬液の流動量すなわち吐出量をほぼ半分に制限することができるようになっている。なお、第1ピンチバルブ40による第1ノズル51の変形量は多段階あるいは無段階に調整することも可能である。
【0021】
回動部39は、
図6に示すように、回動部本体44にボトル装着部45を一体化したものである。
ボトル装着部45には、薬液ボトル2が着脱可能となっている。薬液ボトル2は、有底筒状で、上端の口部46に向かって徐々に断面積が小さくなっている。ボトル装着部45の中央部分には支持凹部47が形成されている。支持凹部47には薬液ボトル2の口部46が取外可能に装着される。支持凹部47は、少なくとも薬液ボトル2の口部46が当接する部分(底面)がゴム等の弾性材料で構成されている。回動部39には、
図9に示すように、係止部材48が設けられている。係止部材48は、口部46の外周面に形成した雄ねじ部46aに係止し、口部46を支持凹部47の底面に圧接させた状態に維持する。
【0022】
回動部39は、
図6に示すように、回動部本体44に設けた支軸に略半円形の従動ギア部49を取り付け、この従動ギア部49を後述する回動駆動部4の駆動ギア部58と噛合し、上下逆となった装着位置と、180度回動して口部46が上方に位置する着脱位置との間で回動可能となっている。回動部39が装着位置と着脱位置に回動したことは、
図8に示すように、一体的に設けた動作片36bが、各位置に設けた、発光素子及び受光素子からなる光センサ50の光路を遮断したか否かにより判断する。
【0023】
前記支持凹部47には、
図9に示すように、可撓性を有する樹脂材料からなる第1ノズル51と第2ノズル52がそれぞれ貫通している。第1ノズル51の一端側は、支持凹部47の底面から所定寸法突出して薬液ボトル2の口部46の近傍に位置し、他端側はボトル装着部45から下方側に向かって所定寸法突出している。一方、第2ノズル52の一端側は、装着される薬液ボトル2の底面近傍まで延びている。そして、第2ノズル52の他端側が、前記駆動アーム41によって挟持されて空気の流動が遮断されることにより、第1ノズル51からの薬液の流出が阻止されるようになっている。さらに、第2ノズル52の他端部は、チューブ52aを介して回動部39の側方部分まで延び、後述するエアノズル73aに接離可能に対向している。
【0024】
(1−3.回動駆動部4)
回動駆動部4は、
図6に示すように、前記支持プレート25に取り付けた取付台53に取り付けられ、第1モータ54を駆動してプーリ55a、55b及びベルト56を介して進退用ボールネジ57を作動させることにより駆動ギア部58が往復移動可能となっている。駆動ギア部58は前進位置で、前記回動部39の従動ギア部49に噛合する。そして、駆動ギア部58は、第2モータ59の駆動により、図示しないギアを介して正逆回転し、回動部39を装着位置と着脱位置の間で回動させる。
【0025】
(1−4.薬液注出部5)
薬液注出部5は、
図9に示すように、注出された薬液が充填される患者用ボトル6を載置するためのボトル載置部60と、前記薬液ボトル2内に第2ノズル52を介して空気を供給可能な空気供給部61とを備える。
【0026】
ボトル載置部60は、第2昇降モータ62を駆動してプーリ62a、62b及びベルト62cを介して昇降用ボールネジ63を作動することにより昇降する載置プレート64を備える。載置プレート64に載置される患者用ボトル6は、重量検出センサ65によって重量を検出可能となっている。また、載置プレート64の上方には、一対の挟持片66が設けられている。各挟持片66は、
図10に示すように、対向面が窪んだホールド面66aと、このホールド面66aから先端側に向かって離間するガイド面66bとを形成されている。挟持片66同士は、4本のガイド棒67によって開閉可能にガイドされ、それぞれに設けたラック68には連動ギア69が噛合されている。これにより、挟持片66は連動して開閉する。また、各挟持片66は、スプリング66cによって接近する方向(閉方向)に付勢されている。載置プレート64に載置される患者用ボトル6は、その口部46を、昇降位置検出センサ70(
図9)によって検出される。第2昇降モータ62の駆動は、昇降位置検出センサ70での検出信号に基づいて後述する制御装置9によって制御される。これにより、患者用ボトル6を、初期位置と、前記第1ノズル51から薬液を注入可能な薬液注入位置と、後述する希釈水注入部7による希釈水注入位置とにそれぞれ位置決め可能となっている。
【0027】
空気供給部61は、第1昇降モータ71を駆動して、その回転軸に設けたカム71aを回転させることにより接続位置と離間位置との間で昇降する昇降プレート72を備える。昇降プレート72には、ポンプ73から延びるエアノズル73aが接続されている。エアノズル73aは昇降プレート72を接続位置に上昇させることにより第2ノズル52に接続される。そして、ポンプ73を駆動することにより、薬液ボトル2内に空気を供給し、その空気圧で、収容される薬液を第1ノズル51から強制的に注出させる。なお、第1ノズル51からの薬液の注出は、空気圧を利用した強制排出でなくてもよく、薬液の自重により排出するようにしてもよい。また、チューブ52aの所定箇所(例えば、エアノズル73aに対向する下端開口等)に別途開閉弁を設け、昇降プレート72の上昇によりエアノズル73aが接続されるとともに昇降プレート72が開閉弁に当接して開閉弁を開放し、昇降プレート72の下降によりエアノズル73aの接続が解除されるとともに昇降プレート72が開閉弁から離間して開閉弁が閉鎖するようにしてもよい。
【0028】
(1−6.希釈水注入部7)
希釈水注入部7は、
図11に示すように、装置本体1の下方側に設けた希釈水タンク17(
図2)に収容された洗浄水を、患者用ボトル6に注入するためのものである。希釈水注入部7は、注入チューブ74と、揺動支持部75と、揺動支持部75に支軸76aを中心として回動可能に設けた回動アーム76とを備える。注入チューブ74は、一端部を装置本体1の下方側に設けた希釈水タンク17に挿入され、揺動支持部75から回動アーム76を通過して他端部が回動アーム76の先端下面に注入口76bを位置させている。揺動支持部75には、第1チューブポンプ77と回動モータ78とが設けられている。第1チューブポンプ77は、前記注入チューブ74に作用し、希釈水タンク17内に収容した洗浄水を、回動アーム76の先端側の注入口76bから吐出させる。回動モータ78は、駆動によりギア78a、78bを介して回動アーム76を回動させる。回動アーム76の回動範囲はセンサ76cによって検出され、注水位置と退避位置とに位置決めされるようになっている。回動アーム76の先端側には、注入チューブ74に圧接して通過する洗浄水の流れを遮断可能な第2ピンチバルブ79が設けられている。なお、第2ピンチバルブ79は、図示しない駆動モータとカムによって開閉が制御されるようになっている。
【0029】
(1−7.ノズル洗浄部8)
ノズル洗浄部8は、
図12に示すように、装置本体1内に設けた支持プレート25に昇降可能に取り付けられる洗浄皿80を備える。洗浄皿80は、略逆円錐形状で、底面中央部には廃水口81が形成され、そこには廃液回収タンク22に延びる廃水チューブ82が接続されている。また、洗浄皿80には、廃水口81の周囲2箇所に形成した貫通孔80a及び80bを介して洗浄ノズル83及びエア供給ノズル84がそれぞれ接続されている。支持プレート25には、上下動用モータ85、第2チューブポンプ86、及び、コンプレッサ87が取り付けられている。上下動用モータ85の回転軸にはカム85aが一体化され、このカム85aを介して洗浄皿80が昇降可能となっている。第2チューブポンプ86は、一端部を洗浄水タンク18に挿入されたチューブ18aに作用して、洗浄水タンク18内に収容した洗浄水を、チューブ18aを介して洗浄ノズル83から噴出させる。コンプレッサ87は、チューブ87aを介してエア供給ノズル84から空気を噴出させる。
【0030】
(1−8.制御装置9)
制御装置9は、
図13に示すように、制御部88及び記憶部89を備える。制御部88は、後述するように、サーバ90からLAN等を介して入力される処方データや、前記各センサからの入力信号に基づいて、記憶部89に記憶させたデータベースを参照して各構成部品を駆動制御し、環状支持体26を回転させることによりボトル装着部45に装着した薬液ボトル2を回転し、薬液ボトル2を回動させて収容した薬液を攪拌し、薬液ボトル2から患者用ボトル6に薬液を注出し、薬液を希釈水で希釈し、第1ノズル51を洗浄して乾燥する等の一連の分注処理を制御する。
【0031】
(2.動作)
次に、前記構成からなる分注装置の動作について説明する。
【0032】
サーバから処方データを受信すると(ステップS1)、その処方データに含まれる薬剤(複数ある場合、最初の薬剤)が充填された薬液ボトル2を特定する(ステップS2)。この場合、薬液ボトル2の特定は、予め、薬液ボトル2をボトル支持部3の各回動支持部27に装着する際、収容される薬剤と、装着される回動支持部27とを互いに関連付けて記憶部89に記憶させておいたデータに基づいて行う。
【0033】
薬液ボトル2が特定されれば、収容される薬液が注出する前に攪拌が必要であるか否かを判断する(ステップS3)。この判断は、薬液ボトル2に収容する薬液に関する情報(薬液情報)として予め記憶部89に記憶させたデータを使用する。攪拌が必要であると判断されれば、駆動モータ32を駆動して環状支持体26を回転させることにより、該当する薬液ボトル2が装着された回動支持部27を回動位置に位置させる(ステップS4)。そして、回動駆動部4の第1モータ54を駆動することにより、駆動ギア58を前進させ、回動支持部27の従動ギア部49に噛合させる(ステップS5)。続いて、第2モータ59を駆動することにより、回動支持部27を回動させ、そこに装着された薬液ボトル2を装着位置と着脱位置との間で移動させる(ステップS6)。この場合、前記薬液ボトル2の回動方向は、略同一円周上に配置された薬液ボトル2の内側、すなわち部品が配置されてないデッドスペースである。したがって、装置を大型化することなく、薬液ボトル2内の薬液を攪拌することができる。しかも、薬液ボトル2を天地逆となるまで回動させるため、収容した薬液を十分に攪拌することができる。
【0034】
薬液ボトル2内の薬液が攪拌されれば、さらに駆動モータ32を駆動して環状支持体26を回転させ、該当する薬液ボトル2を注出位置に位置決めする(ステップS7)。注出位置には、作業者が予め注出すべき患者用ボトル6をセットしておく。患者用ボトル6は、例えば、前記処方データに基づいて、適切なサイズのものを自動選択し、ディスプレイ14に表示させたものをセットすればよい。セットされた患者用ボトル6は、検出センサによって口部46を検出され、この検出信号に基づいて第2昇降モータ62が駆動制御されることにより、載置プレート64を昇降して患者用ボトル6を注出待機位置に位置決めし(ステップS8)、薬液注出処理を開始する(ステップS9)。
【0035】
薬液注出処理では、アーム用モータ42を駆動して、第2ノズル52を圧接して駆動アーム41を挟持位置から開放位置に回動させる(ステップS21)。そして、第1ノズル51を全開にする(ステップS22)。また、コンプレッサ87を駆動して薬液ボトル2内に空気を供給し(ステップS23)、内圧を上昇させることにより薬液の注出をよりスムーズなものとする。
【0036】
この場合、第1ノズル51を全開して薬液ボトル2内に空気を供給することにより、単位時間当たりどれだけの薬液が吐出されるのかを、種類の異なる薬液を収容された薬液ボトル毎に、予め実験等でデータベース化し、記憶部89に記憶させておく。そして、このデータベースに基づいて、患者用ボトル6内に注出される薬液量を予測する。
【0037】
その後、希望する薬液量に到達する前の設定量に到達することにより(ステップS24)、駆動アーム41を中間位置に回動し(ステップS25)、注出される薬液量を抑制する。ここで、重量検出センサ65によって検出されている薬液ボトル2の重量に基づいて、薬液が処方データで決められた所望量(薬液の比重に基づいて重量から換算される薬液の容量)となれば(ステップS26)、駆動アーム41を挟持位置に回動させ、薬液の注出を中止する(ステップS27)。
【0038】
薬液注出処理が完了すれば、希釈水の注水が必要か否かを判断する(ステップS10)。希釈水の注水が必要であると判断すれば、希釈水注入処理を開始する(ステップS11)。
【0039】
希釈水注入処理では、載置プレート64を降下させて薬液ボトル2を、昇降位置検出センサ70での検出信号に基づいて希釈水注入位置に位置させる(ステップS31)。そして、希釈水注入部7の回動アーム76を回動させ、患者用ボトル6の口部46の上方に注入チューブ74の注入口76bを位置させる(ステップS32)。そして、薬液の注出の場合と同様にして、処方データに基づいて所望量の希釈水を注水する(ステップS33)。
【0040】
薬液注出処理や、適宜行う希釈水注入処理が完了すれば、さらに駆動モータ32を駆動して環状支持体26を回転させ、該当する薬液ボトル2を洗浄位置に移動させ(ステップS12)、洗浄処理を開始する(ステップS13)。
【0041】
洗浄処理では、第1ノズル51の下端開口部が洗浄ノズル83の上方に位置しているので、第2チューブポンプ86を駆動して洗浄水タンク18内の洗浄水を洗浄ノズル83から噴出させる(ステップS41)。これにより、第1ノズル51の下端部分が洗浄される。洗浄後の廃水は、洗浄皿80で底面中央部へと流動し、廃水口81から廃水チューブ82を介して廃水タンクへと回収される。
【0042】
第1ノズル51の洗浄が済めば、さらに駆動モータ32を駆動して環状支持体26を回転させ、前記薬液ボトル2を乾燥位置に移動させる(ステップS42)。そして、コンプレッサ87を駆動してエア供給ノズル84を介して第1ノズル51に空気を吹き付け、付着した洗浄水を乾燥させる(ステップS43)。
【0043】
以下、同様にして、処方データに含まれる各薬液についての分注処理を実行する。処方データに含まれる全ての薬液についての分注処理が完了すれば、次の処方データについて同様の処理を行う。
【0044】
このように、前記実施形態に係る分注装置によれば、元々デッドスペースであった、装着した薬液ボトル2で囲まれた中央部に空間を、薬液ボトル2内の薬液を攪拌する際の回動領域として有効利用することができる。このため、装置を大型化することなく、薬液の攪拌を行うことができる。また、薬液ボトル自体を回動させるため、薬液の攪拌を十分に行うことができる。しかも、回動駆動部4は、1箇所に設けるだけでよいので、構造が複雑化することもなく、コストアップを招来することもない。
【0045】
なお、本発明は、前記第1の実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0046】
前記第1の実施形態では、ピンチバルブを使用して薬液ボトル2から患者用ボトル6に注出する薬液量を調整するようにしたが、次のように構成することも可能である。
【0047】
すなわち、チューブポンプを単位時間当たりの送出流量が大きいものと小さいものの2種類(単位時間当たりの送出流量が相違する3種類以上であってもよい。)を用意する。但し、使用するモータ(ステッピングモータ、サーボモータ等)は1つとし、前記チューブポンプのいずれか一方に切り替えて動力を伝達できるように接続する。そして、薬液ボトル2から患者用ボトル6に薬液を注出する際、処方データで決められた所望量に到達する前の設定値までは、送出流量の大きいチューブポンプを使用し、設定値に至れば、送出容量の小さいチューブポンプに切り替える。これにより、高価なモータを増やすことなく、複数のチューブポンプを利用して注出処理を行うようにしたので、最適な分注スピードを実現しつつ、分注誤差を抑制することが可能となる。また、それほどコストアップを招来することもない。
【0048】
また、
図25(a)、(b)に示す開閉カム91を利用することにより、支軸92aを中心として回動する押圧部材92でチューブ18aを開閉し、一定量(例えば5ml)ずつ患者用ボトル6内に薬液を供給するようにしてもよい。すなわち、開閉カム91には、周方向に等間隔で突起91aが形成されている。押圧部材92はスプリング93によって開閉カム91の外周に当接するように付勢されている。そして、開閉カム91を回転させると、押圧部材92は、
図25(a)に示すように、各突起91aに押圧されると、支軸92aを中心として反時計回り方向に回動してチューブ18aを変形させて閉鎖し、
図25(b)に示すように、外周面91bに当接すると、支軸92aを中心として時計回り方向に回動してチューブ18aを開放する。このとき、開閉カム91の回転速度を一定としているので、1つの突起91aによってチューブ18aが開放される際に分注される薬液量が一定となる。
【0049】
また、前記第1の実施形態では、チューブ18a、52a等をそのまま使用するようにしたが、外周にコイルバネを外装するようにすれば、例えば、薬液ボトルの回動時に、チューブ18a、52a等が折れたり、伸びたりすることを抑制することができ、その耐久性を向上させることができる点で好ましい。
【0050】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係る分注装置を示す。この分注装置は、基本的に前記第1の実施形態に係るものとほぼ同様な構成を備えるため、同様な構成についてはその説明を省略し、以下、相違点について説明する。
【0051】
ボトル支持部101は、支持台102と、この支持台102に固定されるガイド部材103とを備えている。
【0052】
支持台102は、天井部104と、その両側縁部から下方に延びる対向する一対の側面部105(
図19中、紙面手前側に位置する側面部は図示せず)とで構成されている。天井部104には、円形状の開口部106が形成されている。天井部104の上面にはボトル装着部107が固定されている。ボトル装着部107は、ゴム等の弾性材料で形成され、支持台102の天井部104の上面にネジ止めされる平面部108と、さらにその上面に形成された円筒部109とからなる。平面部108には、円筒部109によって囲まれた領域に、第1流路接続部110と第2流路接続部(図示せず)とがそれぞれ形成され、平面部108を上下に連通している。円筒部109の内周面には雌ネジが形成され、薬液ボトル2の口部に形成した雄ネジが螺合可能となっている。第1流路接続部110の下端部には、チューブ112の一端部が接続される。第2流路接続部には、前記実施形態と同様に、上端部に円筒部109に装着される薬液ボトル2内に延びる第1ノズル51が接続され、下端部にはチューブ52aが接続されている。
なお、前記ボトル装着部107は、少なくとも第2ノズル52を一体化され(第1ノズル51が一体化されてもよい。)、支持台102に着脱可能な構成とするのが好ましい。これによれば、第2ノズル52を一体化されたボトル装着部107を、予め薬液ボトル2の口部に取り付けておくことができるので、前記構成のように、薬液ボトル2の装着で、薬液ボトル2の内部に第2ノズル52を挿入する作業が不要となり、ボトル支持部101への装着作業を迅速かつスムーズに行うことが可能となる。また、薬液ボトル2を取り外した際、第2ノズル52が露出して、その内部に残留する薬液が漏出するといった心配もない。
【0053】
第1ノズル51からポンプ73に至るまでの空気経路の途中(例えば、チューブ52aの途中)には、図示しない圧力センサが設けられ、薬液ボトル2内の空気圧が検出されている。そして、ポンプ73は、圧力センサでの検出値に基づいて、薬液ボトル2内の空気圧が所定値に維持されるように駆動制御されるようになっている。これによれば、薬液ボトル2内の空気圧が高くなり過ぎて、患者用ボトル6に供給される単位時間当たりの薬液量が多くなり、重量検出センサ65による検出誤差が発生することがない。また、薬液ボトル2に収容する薬液の粘度に応じて空気圧を大きくすることにより、排出不良となることもない。さらに、ポンプ73の回転数を上昇させているにも拘わらず圧力センサでの検出圧力が上昇しない等、エア漏れが発生していないか否かをも検出することが可能である。
なお、圧力センサでの検出値に基づく薬液ボトル2内の空気圧の調整は、薬液量に応じて変化させるようにしてもよい。この場合、薬液ボトル2内の薬液量は、排出した薬液量を重量検出センサ65での検出値に基づいて算出するか、あるいは、排出した薬液を流量センサで直接検出し、得られた排出量を薬液ボトル2内の最初の薬液量から減算して求めるようにすればよい。これによれば、薬液ボトル2内の薬液残量が少なくなり、薬液の自重による排出が困難となることがなく、最後まで迅速な分注を行わせることが可能となる。
【0054】
また、支持台102の他方の側面部(ガイド部材103を固定した側面部105とは反対側の側面部)には、
図19中、2点鎖線で示すように、回動片113が支軸113aを中心として回動可能に取り付けられている。回動片113は、略扇型形状で、支軸側から半径方向に延びる直線部分が直交する方向に折り曲げられて当接部を構成している。
【0055】
ガイド部材103は、側面中央部に上端から下端にかけて円弧状のガイド溝114が形成されている。ガイド溝114の両端側にはガイド片115a、115bがそれぞれ突設されている。ガイド溝114には、後述するチューブ112が配置される。ガイド部材103の下方側には、チューブ112が挿通される貫通孔103aが形成されている。貫通孔103aの近傍には支軸117aを中心として第1押圧部材117が回動可能に取り付けられている。また、ガイド部材103には、後述するカム部材139及び第2押圧部材145の回転中心である支軸138aをガイドするための支軸ガイド116が固定されている。
【0056】
第1押圧部材117は、薄肉の上方部118と、厚肉の中間部119と、中間部119の片側から延び、支軸117aが設けられる下方部120とで構成されている。上方部両側には、幅方向の2箇所に第1突起121及び第2突起122がそれぞれ形成されている。各突起121、122には、後述する回動片113、カム部材139の突出部143がそれぞれ当接し、押圧されるようになっている。中間部119の側縁部には、上方部118及び下方部120よりも窪んだ凹部123が形成されている。凹部123には、支軸117aと同じ方向に突出する第1押圧部124が形成されている。第1押圧部124は、チューブ112に圧接してその流路を閉鎖したり、チューブ112から離間して開放したりする役割を果たす。また、中間部119には係止孔125が形成され、この係止孔125とガイド部材103に固定した係止軸103bとの間にはコイルスプリング126が係止されている。これにより、第1押圧部材117は、支軸117aを中心として、
図19中、反時計回り方向に付勢され、第1押圧部124によりチューブ112の流路を閉鎖する閉鎖位置に位置決めされる。
【0057】
装置本体1には、
図18に示すように、作動ユニット127が取り付けられている。
作動ユニット127は、装置本体1の注出位置に設けられ、
図22に示すように、取付フレーム128と、この取付フレーム128に摺動可能に支持された摺動部材129とを備えた構成である。
【0058】
取付フレーム128は、矩形枠状で、対向する一組の側壁の間には、2本の摺動レール130が並設されている。取付フレーム128の対向する他の一組の側壁のうち、一方の側壁外面には摺動用モータ131が取り付けられ、他方の側壁外面には回動用モータ132が取り付けられている。
【0059】
摺動部材129は、ブッシュ133を介して摺動レール130に摺動可能に取り付けられている。そして、前記摺動用モータ131を正逆回転駆動することにより、その回転軸に設けたピニオン131a及びラック131bを介して、摺動部材129を、前進した作動位置と、後退した待機位置とにそれぞれ位置決め可能となっている。作動位置及び待機位置は、摺動部材129の上面に取り付けた被検出板134の一部を、取付フレーム128の側面に設けた第1センサ135及び第2センサ136によってそれぞれ検出することにより特定し、摺動用モータ131を駆動・停止することにより位置決めすることができるようになっている。摺動部材129は、
図23に示すように、天板と、その両側縁部から下方に向かって延びる側板とを備え、側板には、さらに前方へと延びる取付板138が固定されている。取付板138には、カム部材139と、第2押圧部材145とが一体的に支軸138aを中心として回動可能に取り付けられている。
【0060】
カム部材139は金属製板状体からなり、取付板138に支軸138aを中心として正逆回転可能に支持されている。支軸138aには第1プーリ140が設けられ、回動用モータ132により回転駆動する第2プーリ141との間に掛け渡したベルト142により動力が伝達されるようになっている。カム部材139の外周縁には、回転中心である支軸138aから所定角度の範囲で外径方向に向かって膨出する拡張領域が形成されている。拡張領域のうち、
図19中、反時計回り方向側の一部がさらに突出する突出部143となっている。突出部143は、カム部材139が支軸138aを中心として反時計回り方向に回動した際、第1押圧部材117の第2突起122を押圧し、第1押圧部材117を支軸117aを中心として時計回り方向に回動させる。また、拡張領域のうち、時計回り方向側の一部には押込ローラ144が取り付けられている。押込ローラ144は、カム部材139が支軸138aを中心として時計回り方向に回動した際、前記回動片113を押し込んで回動させる。これにより、回動片113が第1押圧部材117の第1突起121を押圧し、第1押圧部材117を支軸117aを中心として時計回り方向に回動させる。
【0061】
第2押圧部材145は、
図22に示すように、カム部材139に固定した支持片146に、押圧ローラ147を回転可能に取り付けた構成である。押圧ローラ147の厚みは、前記ガイド部材103のガイド溝114の幅寸法よりも若干小さい寸法に設定されている。そして、カム部材139を回動させると、このカム部材139と共に押圧ローラ147も支軸138aを中心として回動する。また、支軸138aは、前記ガイド部材103に固定した支軸ガイド116にガイドされる。したがって、押圧ローラ147の回動軌跡を高精度にガイド溝114に沿った位置とすることができる。そして、押圧ローラ147がガイド溝114を移動する間、そこに配置されたチューブ112を押圧し、その流路を閉鎖状態に維持する。
【0062】
前記装置本体1の天井面には、
図18に示すように、下方に向かって突出する複数本の支持棒(図示せず)で支持された転倒防止部材148が取り付けられている。この転倒防止部材148は、環状体の一部を切り欠いて略C字形としたもので、環状に配置した薬液ボトル2が誤って内側に転倒してくることを確実に防止する。また、切欠部分が丁度回動位置に位置し、薬液ボトル2の回動を許容する。
【0063】
なお、薬液ボトル2の回動では、従動ギア部49の側面2箇所にマグネットをそれぞれ設け、図示しないセンサで、各マグネットの位置を検出することにより薬液ボトル2の回動範囲を規制するようにするのが好ましい。ここでは、薬液ボトル2が逆立ちした初期位置から、切欠部分を介して転倒防止部材148内を回動し、鉛直下方に向かう位置を超えて、装置手前側の斜め下方に向かう着脱位置まで(約200°の範囲で)回動可能となっている。着脱位置では薬液ボトル2を斜め下方に向かわせた状態で着脱することができるので、作業性に優れている。
【0064】
また、薬液ボトル2の回動を従動ギア部49に設けたマグネットを検出することにより行っているので、薬液ボトル2が装着された環状支持体26に設ける電装部品がない。したがって、環状支持体26側への電力供給用の電線が不要となり、前記第1の実施形態の構成のように、環状支持体26の回転範囲が正逆それぞれ1回転の範囲に制限されることがない。つまり、環状支持体26の回転範囲の制約をなくすことができる。環状支持体26の回転は、エンコーダ33と原点センサでの検出信号に基づいて管理すればよい。
【0065】
前記第2の実施形態に係る分注装置の動作は、前記第1の実施形態に係るものとほぼ同様であるが、薬液ボトル2に収容する薬液を攪拌する際の攪拌処理と、薬液ボトル2から患者用ボトル6に分注する際の分注処理とが相違する。
【0066】
攪拌処理では、薬液ボトル2を、薬液を十分に攪拌可能で、かつ、回動範囲を必要最小限とすることにより、攪拌時間の短縮化を図っている。
【0067】
すなわち、薬液ボトル2の内容積、横断面積、収容されている薬液の用量から、薬液ボトル2を水平位置から底面が上方側に位置するように傾斜させることにより、液面位置が底面の中心位置(薬液ボトル2を水平位置としたときの鉛直方向中心位置)を超える傾斜角度を算出する。そして、算出した傾斜角度と、この傾斜角度が水平面に対して対称な位置での傾斜角度との間で薬液ボトル2を揺動させる。これにより、薬液ボトル2内の薬液を十分に攪拌することができる。また、揺動範囲も必要以上に大きくなることがなく、攪拌時間を短縮することが可能となる。
【0068】
なお、薬液ボトル2に収容する薬液量が半分以下となれば、薬液ボトル2を水平位置とするだけで、前記条件を満足してしまうので、薬液量が半分以下となる前に回動角度を最小限の固定値とすればよい。
【0069】
また、回動範囲は、薬液ボトル2の底面での薬液の液面位置で決定するだけでなく、薬液ボトル2の側面での液面位置で決定することも可能である。さらに、実験により、各薬液ボトル2で収容する薬液量を変更し、薬液の攪拌が十分に行えると判断される最小の旋回範囲を決定するようにしてもよい。
【0070】
分注処理では、
図24のフローチャートに示すように、摺動用モータ131を駆動して摺動部材129を前進させる(ステップS51)。そして、第1センサ135での検出信号に基づいて(ステップS52)、摺動用モータ131の駆動を停止することにより(ステップS53)、摺動部材129を作動位置に位置決めする。このとき、摺動部材129の取付板138に設けた支軸138aが支軸ガイド116によってガイドされ、ガイド部材103に対してカム部材139及び第2押圧部材145が正確に位置決めされる。
【0071】
続いて、回動用モータ132を正転駆動することにより(ステップS54)、カム部材139を、
図19中、時計回り方向に回動させる。これにより、カム部材139に設けた押込ローラ144が回動片113を押圧し、この回動片113は支軸113aを中心として反時計回り方向に回動する。回動片113は、第1押圧部材117の第1突起121を押圧し、第1押圧部材117は支軸117aを中心として時計回り方向に回動する。この結果、第1押圧部材117の第1押圧部124がチューブ112から離間し、薬液ボトル2内の薬液が患者用ボトル6へと流出する。
【0072】
患者用ボトル6への薬液の供給は、処方データから得られる分注量に至る直前の所定分注量(例えば、分注量よりも20ml少ない値)に到達するまで行う。ここでは、重量検出センサ65によって検出される重量から患者用ボトル6の重量を減算して得られる、患者用ボトル6内の薬液の重量が、前記所定分注量に到達するまで分注を続行する(ステップS55)。但し、チューブ112を開放した際の単位時間当たりの薬液の流出量に基づいて、前記所定分注量となると予測される時間まで分注を続行するようにしてもよい(以上、最大分注処理)。
【0073】
所定分注量に到達すれば、回動用モータ132を逆転駆動し(ステップS56)、カム部材139及び第1押圧部材117を反時計回り方向に回動させる。これにより、第1押圧部材117は、回動片113を介してカム部材139に設けた押込ローラ144から受ける押込力を解除され、コイルスプリング126の付勢力により閉鎖位置に復帰する。
【0074】
そして、カム部材139の押圧ローラ147が、
図20に示すように、ガイド部材103に形成したガイド溝114に至り、チューブ112を押圧してその流路を閉鎖する。これにより、チューブ112内には、第1押圧部124と押圧ローラ147とによる閉鎖位置の間の制限領域に、一時的に薬液が貯留された状態となる。ここでは、この制限領域に貯留される薬液量は5mlとしている。
【0075】
続いて、カム部材139の突出部143が、
図21に示すように、第1押圧部材117の第2突起122を押圧し、第1押圧部材117は閉鎖位置から開放位置へと回動する。これにより、制限領域内に貯留された薬液が患者用ボトル6内へと排出される。この間、押圧ローラ147がガイド溝114を移動し、チューブ112は閉鎖状態に維持される。そして、押圧ローラ147がガイド溝114から離れた時点で、カム部材139の突出部143による押圧状態が解除され、第1押圧部材117は元の閉鎖位置に復帰する。
【0076】
以下同様にして、カム部材139の回動を続行することにより、前記制限領域に薬液を一時的に貯留し、貯留した一定量の薬液を、順次、患者用ボトル6へと供給する(以上、少量分注処理)。
【0077】
このとき、患者用ボトル6が載置されたボトル載置部60で、重量検出センサ65によって重量を検出する(ステップS57)。そして、患者用ボトル6の重量を減算して得られる、患者用ボトル6内の薬液の重量に基づいて、処方データに基づいた所望の分注量が得られるまで(ステップS58)、カム部材139の回動を続行し、一定量ずつ患者用ボトル6内に薬液を供給する。
【0078】
その後、患者用ボトル6内に所望量の薬液が分注されれば(ステップS58:YES)、回動用モータ132の駆動を停止すると共に(ステップS59)、摺動用モータ131を逆転駆動し(ステップS60)、第2センサ136での検出信号に基づいて(ステップS61)、摺動用モータ13を停止し(ステップS62)、摺動部材129を待機位置に移動させる。
【0079】
このように、前記分注処理によれば、所望の分注量に到達する直前までは、チューブ112を全開として高速で分注し、その後、一定の少量ずつ分注するようにしている。これにより、最終的な患者用ボトル6内への薬液の供給量を少量ずつの段階的なものとすることができ、重量検出センサ65による計量誤差を抑制することが可能となる。また、一定量の分注を、カム部材139を回動させるだけの機械的な構造によってのみ行うようにしているので、構成を簡略化して安価に製作することができる。
【0080】
なお、前記分注処理では、最終段階の分注を5mlずつ行うようにしたが、この分注量はこれに限らず、薬液の種類や分注精度等の違いに応じて自由に変更することができる。この場合、内径寸法の異なるチューブ112を利用したり、押圧ローラ147と第1押圧部124の位置関係を変更したりする等により、制限領域に貯留可能な薬液量を調整すればよい。
【0081】
前記各実施形態では、薬液ボトル2を回動させることにより、収容した薬液を攪拌するようにしたが、分注装置の全体を振動させたり、あるいは、環状支持体26の正逆回転を小刻みに繰り返したりすることにより行うようにしてもよい。
【0082】
また、患者用ボトル6内への薬液の供給は、ユーザが図示しない操作ボタンを操作することにより、一定量だけ供給したり、連続して供給したりできるようにしても構わない。
【0083】
前記第2の実施形態では、第2押圧部材145を正逆回転駆動するようにしたが、正転駆動させるだけとして、例えば次のような構成とすることも可能である。但し、これは一例に過ぎず、種々の変形が可能である。
すなわち、少量分注処理を実行する場合、前記第2の実施形態と同様にして、第2押圧部材145を正転駆動させる。これにより、カム部材139の突出部143が第1押圧部材117の第2突起122を押圧して第1押圧部材117が回動し、第1押圧部124による押圧状態が解除される。また、押圧ローラ147がチューブ112の押圧状態を維持しながらガイド溝114を転動する。この結果、押圧ローラ147と第1押圧部材117の第1押圧部124とによってチューブ112内に貯留された薬液が分注される。以下同様にして、第1押圧部材117と第2押圧部材145によるチューブの押圧及び押圧解除が繰り返され、薬液は一定量ずつ分注される。また、最大分注処理を実行する場合、取付板138を介して第2押圧部材145をチューブ112から離間させる。このとき、第2押圧部材145の離間動作に伴って、この第2押圧部材145と共に移動するカム部材139の突出部143によって前記第2突起122を押圧して第1押圧部材117を回動させ、第1押圧部124による押圧状態を解除する必要がある。これにより、チューブ112の流路が全開となり、薬液が連続して分注される。なお、前記変形例によれば、第1突起121や回動片113等の逆回転時に使用した部品は不要となる。
【0084】
また、前記第2の実施形態では、少量分注処理及び最大分注処理を、第1押圧部材と第2押圧部材とで行うようにしたが、次のような構成で行うことも可能である。
【0085】
すなわち、
図26には、支持円板150の外周部2箇所(180度対称な位置)に、押圧ローラ151及び152がそれぞれ回転可能に設けた押圧部材が図示されている。
少量分注処理を実行する場合、押圧ローラ151及び152でチューブ112を押圧し、支持円板150を回転させる。これにより、押圧ローラ151と152の間に貯留された薬液は、下方側に位置する押圧ローラ151がチューブ112から離れ上方に向かって円運動し、上方側に位置する押圧ローラ152がチューブ112に沿って押圧状態を維持しながら円運動することにより排出される。以下同様にして、押圧ローラ151及び152の円運動を続行し、順次、押圧ローラ151と152の間に貯留された薬液を排出する。
最大分注処理を実行する場合、取付板138を介して押圧ローラ151及び152をチューブ112から離間させ、流路を全開とする。
【0086】
(第3の実施形態)
図27は、第3の実施形態に係る分注装置を示す。この分注装置は、基本的に前記第1の実施形態に係るものとほぼ同様な構成を備えるため、同様な構成についてはその説明を省略し、以下、相違点について説明する。
【0087】
装置本体161は、ディスプレイ162の下方側に、薬液ボトル2を着脱可能とするための着脱空間163と、患者用ボトル6を配置して前記薬液ボトル2内の薬液を分注するための分注空間164とを備えている。着脱空間163は、装置本体161の正面及び右側面に沿って水平方向にスライド可能に設けたシャッター165によって開閉可能となっている。このシャッター165により正面側のみならず側面側に至る領域をも開放することができる。したがって、薬液ボトル2の着脱作業や、内部の清掃、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0088】
装置本体161内には、外装パネル等を除去した
図28に示すように、ボトル支持部166が設けられている。
ボトル支持部166は、装置本体161内に設けた環状支持体167に、複数の回動支持部168を設けた構成である。なお、回動支持部168に支持した薬液ボトル2を回動させための機構(後述する回動駆動部185)、薬液ボトル2から患者用ボトル6に薬液を注出するための機構(後述する移動部材253、第2押圧部材254等)等は、環状支持体167の近傍に配置されており、下方側には広い空間を確保することができる。このため、前述の着脱空間163や分注空間164を十分広いものとすることが可能となっている。
【0089】
環状支持体167は、詳細については図示しないが、外周部に断面略三角形状に突出する環状ガイド部が形成されている。環状支持体167は、環状ガイド部の4箇所を、外周面に略V字状の溝部を形成された支持ローラによって支持され、モータの駆動により回転可能となっている。
【0090】
環状支持体167には、周方向の複数箇所に等間隔で回動支持部168が設けられ、各回動支持部168には薬液ボトル2が支持されている(
図28では、回動支持部168及び薬液ボトル2のうち、2つのみ示している。)。
【0091】
回動支持部168は、
図29に示すように、支持台169と、この支持台169に支軸170を中心として回動可能に連結される回動部171とを備える。
【0092】
支持台169は、
図30に示すように、下端側が二股に分岐した支持本体172と、支持本体172に溝部173を介して(環状支持体167への取付状態で、環状支持体167の外径側に)形成された側壁部174と、支持本体172の上端から延びる取付部175とで構成されている。
【0093】
支持本体172と側壁部174には貫通孔172a(側壁部側は図示せず)が形成され、
図31に示すように、そこには支軸170が挿通されている。支軸170の一端部には、外周面の一部がカットされることによりギアが形成される領域が制限された従動ギア176が固定されている。側壁部174には円形の開口部(図示せず)が形成され、この開口部を介して後述するロック機構186のロッド208が溝部173内に出没可能となっている。
【0094】
回動部171は、前記支持台169に支軸170を中心として回動可能に設けられる回動プレート177にスペーサ178を介して一対の腕部179a、179bを固定したものである。
【0095】
回動プレート177は、中間壁180の両側部に両側壁181a、181bを対向して配置し、これらの一端部を天井壁182で覆った構成である。両側壁181a、181bの他端部は中間壁180よりもさらに延び、その延設部分は支持台169に設けた支軸170によって回動可能に支持されている。一方の側壁181aには、後述するロック機構186のロッド208が挿通する開口部(図示せず)が形成されている。そして、回動プレート177が上方回動位置に回動しているとき、一方の側壁181aは支持本体172の溝部173内に位置し、他方の側壁181bは支持本体172の一方の側壁外面側に位置する。
【0096】
スペーサ178と両腕部179a、179bで略コ字形のガイド部183が形成され、薬液ボトル2に装着した栓体219が着脱可能となっている。一方の腕部179bには、矩形状の係止孔184が形成され、栓体219に設けた係止爪233が係脱可能となっている。これにより、両腕部179a、179bによって栓体219すなわち栓体部材218を介して薬液ボトル2を保持することが可能となる。
【0097】
このように、回動支持部168の回動プレート177から環状支持体167の内側に突出した腕部179によって薬液ボトル2を保持することができる。したがって、回動支持部168を回動させると、薬液ボトル2は、環状支持体167の上方内側の着脱準備位置から下方外側の着脱空間163内の着脱位置へと移動する。つまり、着脱位置を装置本体161の外側から作業しやすい位置とすることができる。
【0098】
前記環状支持体167の回転によって各回動支持部168に支持された薬液ボトル2は周方向に所定ピッチずつ搬送され、その搬送位置には薬液ボトル2の着脱準備位置と、注出位置とが含まれる。
【0099】
着脱準備位置の近傍には、
図29に示すように、回動駆動部185と、ロック機構186とが配置されている。
【0100】
回動駆動部185は、
図32及び
図33に示すように、回動駆動本体187と、この回動駆動本体187に昇降可能に設けた第1モータ部188と、この第1モータ部188を昇降させる第2モータ部189とを備え、回転支持部168よりも下方側に位置している。
【0101】
回動駆動本体187は、平面視矩形状の底板190と、その両端部にそれぞれ設けたガイド枠191とを備える。ガイド枠191と底板190とで囲まれた領域には、幅方向に所定間隔で一対のガイド軸192(一方は図示せず)が設けられている。そして、ガイド軸192に沿って昇降可能に昇降ブロック193がそれぞれ設けられている。
【0102】
第1モータ部188は、前面板194、両側板195及び天板196で構成されるカバー体197を備え、前面板194の背面に第1モータ198を固定し、前面板194の前面に第1駆動ギア199及び中間ギア200を設けたものである。第1駆動ギア199は、前面板194を貫通して前面側に突出する第1モータ198の回転軸に取り付けられている。また、中間ギア200は、軸部を中心として回転可能で、前記第1駆動ギア199に噛合している。これにより、第1モータ198を正逆回転駆動すると、第1駆動ギア199を介して中間ギア200が正逆回転する。
【0103】
第2モータ部189は、回動駆動本体187の底板190に固定した第2モータ201と、この第2モータ201の回転軸に設けた第2駆動ギア202に噛合し、前記一方の昇降ブロック193に固定されるラック部203とを備える。これにより、第2モータ201を正逆回転駆動すると、第2駆動ギア202からラック部203を介して昇降ブロック193がガイド軸192に沿って昇降する。そして、昇降ブロック193を上昇移動させる場合には、これに伴って中間ギア200が上昇し、この中間ギア200が支持台169の従動ギア176に噛合する。
【0104】
ロック機構186は、
図34及び
図35に示すように、支持台169に対して回動部171を位置規制するためのものである。ロック機構186は、前記支持台169に対して前記回動部171を位置決めし、薬液ボトル2を上下逆の状態に維持するためのロック部材204と、このロック部材204を作動させるための作動部材205とで構成されている。ロック部材204は各回動支持部168に取り付けられ、作動部材205は着脱準備位置の近傍に配置されている。
【0105】
ロック部材204は、支持台169の側壁部174にネジ止め固定されるロック本体206と、このロック本体206にスライド可能に保持されるロッド部207とを備えている。ロック本体206は矩形枠体形状に形成されている。ロッド部207は、上下一対のロッド208を左右2箇所の連結棒(支持台169に近い第1連結棒209a、及び、遠い第2連結棒209b)で連結したものである。各ロッド208は、ロック本体206の上方部及び下方部に摺動可能に配置される。連結棒209は、ロック本体206の開口部206aに開口する上方部及び下方部の各長穴を介して開口部内に左右方向に移動可能に配置される。
【0106】
作動部材205は、作動本体210と、この作動本体210から出没可能な作動バー211と、この作動バー211を往復移動させるための作動モータ212とを備えている。
【0107】
作動本体210は、薄型の略直方体形状で、中央部からやや一方の側縁部側にずれた位置に、上下面に連通する連通穴が形成されている。また、作動本体210の上面には、連通穴を構成する内周面の一部にも開口する開口部が形成されている。さらに、作動本体210の他方の側縁部上面には、この側縁部に沿って3箇所に長穴がそれぞれ形成されている。各長穴を利用して3つの磁気センサ213(
図35では、1つは省略)がそれぞれ取り付けられている。
【0108】
作動バー211は、棒状で、一端側には、左右両面に長手方向2箇所で位置をずらせて略三角形状の第1突部214及び第2突部215がそれぞれ形成されている。また、作動バー211の他端側上面には永久磁石(図示せず)が設けられている。この永久磁石は、前記各磁気センサ213によって検出され、作動バー211が基準位置、第1突出位置、及び、第2突出位置のいずれに位置するのかが分かるようになっている。作動バー211は、第1突出位置で、第1突部214が第1連結棒209aを押圧し、ロッド208を支持台169側に突出させて回動プレート177の側壁181aに形成した開口部に位置させることにより支持台169に対して回動プレート177(回動部171)を位置規制する(ロック状態)。また、作動バー211は、第2突出位置で、第2突部215が第2連結棒209bを押圧し、ロッド208を支持台169側から後退させて回動プレート177を回動自在とする(アンロック状態)。作動バー211の一方の側面にはラックギア(図示せず)が形成されている。
【0109】
作動モータ212は、回転軸に駆動ギア216が一体化され、取付プレート217を介して作動本体210に固定される。この固定状態では、駆動ギア216が作動本体210の連通穴内に位置し、開口部を介して作動バー211のラックギアに噛合するピニオンとして機能する。作動モータ212は、前記各磁気センサ213からの検出信号に基づく制御装置からの制御信号に従って正逆回転駆動する。
【0110】
薬液ボトル2の上方開口部には、栓体部材218が取り付けられている。
栓体部材218は、
図36から
図38に示すように、栓体219と、この栓体219を貫通する一対の貫通孔(図示せず)の一方に接続される、可撓性を有する材料からなる第1チューブ221と、この第1チューブ221をガイドするガイド部材222と、このガイド部材222にガイドされた第1チューブ221に接離して流路を開閉する第1押圧部材223とを備える。なお、ここでは、第1チューブ221が本発明の薬液注出用ノズルとして機能している。
【0111】
栓体219は、略直方体形状で、その取付面には、薬液ボトル2の口部を配置可能な平面視円形状の凹部224が形成されている。凹部224の内周面には図示しない雌ネジが形成され、薬瓶ボトル2の口部に形成される雄ネジが螺合可能となっている。また、凹部224の底面には一対の貫通孔が形成されている。一方の貫通孔にはエアノズル220が接続され、このエアノズル220を介して薬液ボトル2内に空気が供給される。他方の貫通孔は、薬液ボトル2から薬液を排出するためのもので、第1チューブ221が接続される。
【0112】
また、取付面には、凹部224の近傍に、RFID225(Radio Frequency IDentification)が内蔵されている。RFID225には、いずれの回転支持部168であるのかを識別するための特定のID(IDentification:以下、取付位置IDと記載する。)が記憶されている。RFID225に記憶される取付位置IDは、RFIDリーダ・ライタ(図示せず)によって書き込まれる。
【0113】
栓体219の側面上端部には突条226が形成され、そこにはスライド可能にボトル留め具227が取り付けられている。ボトル留め具227は合成樹脂材料を略U字形に成形加工したもので、周囲の3辺を囲む側壁部228と、その内縁部から内側に膨出したU字形の押え部229とで構成されている。側壁部228のうち、対向面下端部には溝部230が形成され、栓体219の突条226が位置している。そして、前記栓体219の凹部224に薬液ボトル2の口部を螺合した状態で、ボトル留め具227をスライド移動させるだけで、その押え部229が薬液ボトル2の環状膨出部2aに係止する。薬液ボトル2が栓体219の凹部224に適切な位置まで螺合できていない場合、ボトル留め具227が薬液ボトル2の環状膨出部2aに適切に係止できず、薬液ボトル2の螺合状態が不十分であることが分かるようになっている。
【0114】
栓体219内にはラッチ部材231が設けられている。ラッチ部材231は、一端側から突出する押込部232を押込操作することにより、一側面から突出させた係止爪233を没入させるものである。ラッチ部材231の押込部232は栓体219の一端面から押込可能に突出し、係止爪233は栓体219の一側面から没入可能に突出する。係止爪233は、前記回動部171の一方の腕部179bに形成した係止孔184に係脱し、栓体219を回動支持部168の回動部171に装着可能とする。
【0115】
栓体219の底面には、前述の一対の貫通孔のほかに、連通孔(図示せず)が開口している。一方の貫通孔には第1チューブコネクタ234が接続され、そこには第1チューブ221の一端部が接続されている。他方の貫通孔には第2チューブコネクタ235が接続され、そこにはさらに第2チューブ236の一端側開口が接続されている。連通孔には、第3チューブコネクタ237が接続され、そこには、前記第2チューブ236の他端側開口が接続されている。連通孔は栓体219の一端面へ延び、その開口位置には円錐状のガイド凹部238が形成されている。
【0116】
また、栓体219の底面には、軸部239aを中心として回動可能に取り付けた押圧受片239が設けられている。押圧受片239の一端部は栓体219から側方に向かって斜めに突出し、他端部は栓体219の底面に固定した略コ字形のガイド受部240に第2チューブ236を押圧している。押圧受片239は、その一端部に後述する押圧プレート269が圧接することにより回動し、第2チューブ236の閉鎖状態を解除して流路を開放する。
【0117】
エアノズル220は、前記栓体219の凹部224に形成した一方の貫通孔に接続されて薬液ボトル2内に延び、その先端は、薬液ボトル2の底面近傍に位置している。
【0118】
ガイド部材222は、前記栓体219の底面に固定した支持プレート222aに、第1ガイド部241と第2ガイド部242とを設けたものである。
【0119】
第1ガイド部241は、支持プレート222aの一方の側面に固定され、突出側の端面が下方側に向かうに従って徐々に前方へと突出する湾曲面243を有する。湾曲面243の先端部分は両側部を残して切り欠かれることにより溝状部244が形成され、その底面は平坦な押圧受面245で構成されている。
【0120】
また、第1ガイド部241は、支持プレート167の他方の側面に取り付けられる第1リンクプレート246、第2リンクプレート247及び第1押圧部材223を備える。
【0121】
第1リンクプレート246は、支持プレート222aに支軸246aを中心として回動可能に取り付けられている。第1リンクプレート246には、その一端部が直角方向に延びることにより押圧受部248が形成されている。この押圧受部248には、カム271に一体化した押圧用ローラ273が圧接し、第1リンクプレート246が回動する。
【0122】
第2リンクプレート247は、支持プレート222aに支軸247aを中心として回動可能に取り付けられている。第2リンクプレート247の一方の面には、第1押圧受用ローラ249aが、他方の面には、第2押圧受用ローラ249bがそれぞれ回転可能に設けられている。第2リンクプレート247は、スプリング250(
図36では係止されていない。)によって付勢され、第2押圧受用ローラ249bが第2押圧部材254のカム271に形成した押圧部274によって押圧されることにより、前記スプリング250の付勢力に抗して、支軸247aを中心として、
図36中、時計回り方向に回動する。
【0123】
第1押圧部材223は、第2リンクプレート247に固定されている。第1押圧部材223は、一端側が断面半円状に膨出する押圧突条251で構成されている。第1押圧部材223は、第2リンクプレート247がスプリング250の付勢力によって回動することにより、その押圧突条251が前記第1ガイド部241の溝状部244に侵入する。この結果、押圧突条251が押圧受面245に接近することで、そこに配置された第1チューブ221が押し潰されて弾性変形し、その流路が閉鎖される。また、前述のように、第2リンクプレート247は、第1押圧受用ローラ249aが第2押圧部材254のカム271に形成した押圧部274によって押圧されることにより回動し、押圧突条251による第1チューブ221の押圧状態を解除して流路を開放する。
【0124】
第2ガイド部242は、支持プレート222aに固定され、自由端側には貫通孔(すしせず)が形成されている。貫通孔には、第4チューブコネクタ252が接続され、この第4チューブコネクタ252に前記第1チューブ221が接続されている。
【0125】
注出位置には、移動部材253によって移動し、前記薬液ボトル2から注出する薬液の流出量を調整するための第2押圧部材254を配置可能となっている。
【0126】
移動部材253は、
図39及び
図40に示すように、スライド用モータ255の駆動により前進及び後退可能なスライド台256を備える。スライド台256の側方にはラック257が形成され、このラック257にはスライド用モータ255の回転軸に設けたピニオン(図示せず)が噛合している。スライド台256の移動はスライド位置検出センサ258によって検出され、第2押圧部材254を前進位置と後退位置にそれぞれ位置決め可能となっている。
【0127】
また、スライド台256の上方には、前記スライド用モータ255を保持する保持ブロック259が設けられている。保持ブロック259の上方側には、エア供給管260と、そこに接続されたノズル部261とが設けられている。エア供給管260は、
図41に示すように、エア供給源262に接続され、そこから供給された空気をノズル部261から噴出させる。ノズル部261は、前記栓体219の端面に形成したガイド凹部238に挿入されて連通孔(図示せず)に接続されている。したがって、噴出された空気は、連通孔を介してエアノズル220から薬液ボトル2内に供給される。
【0128】
エア供給源262にはコンプレッサが使用され、ノズル部261に至る経路の途中には、エア供給源側から直列接続されるスイッチバルブ263とニードルバルブ264の4組が並列に接続され、その先には開閉バルブ265と圧力センサ266とが接続されている。4つのスイッチバルブ263のうちのいずれかが開放し、1つの流路でのみ空気を流動可能となる。ニードルバルブ264は、通過可能な単位時間当たりの流量がそれぞれ相違している。そして、いずれか1つのスイッチバルブ263を開放することにより、薬液ボトル2内に供給する空気量を調整することができるようになっている。なお、開閉バルブ265と圧力センサ266は必ずしも必要なものではない。
【0129】
保持ブロック259には、保持プレート267を介して基板268と押圧プレート269が固定されている。押圧プレート269は、スライド台256を前進させた際、前記押圧受片239の一端部を押圧して回動させる。そして、押圧受片239が回動することにより、その近傍に配置した第2チューブ236が、押し潰された状態から開放されて空気の流動を可能とする。
【0130】
第2押圧部材254は、スライド台256の上方に取り付けられている。第2押圧部材254は、回転用モータ270の回転軸に設けたカム271を備える。カム271の一方の面には押圧用突出部272が形成されている。そして、回転用モータ270を正転駆動してカム271を正転させると、押圧用突出部272が第1リンクプレート246の下方縁261aに当接し、第1リンクプレート246を(
図36中、支軸246aを中心として時計回り方向に)回動させる。
【0131】
また、カム271の他方の面には、回転可能な押圧用ローラ273が設けられている。そして、回転用モータ270を逆転駆動してカム271を逆回転させると、押圧用ローラ273が前記第1チューブ221に圧接する。そして、その圧接位置を変化させながら転動することにより、第1チューブ221内の薬液を所定量ずつ送り出す。このとき、押圧用突出部272が第1リンクプレート246の上方縁261bに当接し、第1リンクプレート246を(
図36中、支軸246aを中心として反時計回り方向に)回動させるが、この第1リンクプレート246は他の部材に何等影響を及ぼすことがない。
【0132】
さらに、カム271の外周部には部分的に突出する押圧部274が形成されている。押圧部274は、第2リンクプレート247の第2押圧受用ローラ249bに圧接し、第2リンクプレート247を回動させる。そして、この第2リンクプレート247に一体化した第1押圧部材223を回動させることにより、その押圧突条251による第1チューブ221の押圧を一時的に解除する。
【0133】
なお、前記第2押圧部材254に設けたカム271や、各リンクプレート246、247等が本発明に係る連動部材として機能し、第1押圧部材223と第2押圧部材254とを連動して動作させることができるようになっている。また、これら連動部材として機能する部品のほか、第1押圧部材223及び第2押圧部材254等とにより薬液排出機構が構成されている。
【0134】
前記構成からなる第3実施形態に係る分注装置の動作は、以下の点で、前記各実施形態とは相違する。以下、相違点についてのみ説明する。
【0135】
薬液ボトル2の口部に栓体部材218を装着する。すなわち、薬液ボトル2の口部からエアノズル220を挿入して栓体219で覆い、口部を栓体219の凹部224内に配置する。そして、ボトル留め具227をスライドさせ、その押え部229で薬液ボトル2に栓体部材218を固定する。このように、薬液ボトル2内にエアノズル220を挿入し、口部を栓体219で覆い、ボトル留め具227をスライド移動させるだけで、薬液ボトル2への栓体部材218の装着を簡単に行うことができる。
【0136】
栓体部材218の装着後は、薬液ボトル2の外周面に貼着したバーコードをバーコードリーダで読み取る。これにより、記憶部89に記憶させたデータが参照され、該当する薬剤に関する情報(薬剤の名称、コード番号等。以下、薬液情報と記載する。)が呼び出され、RFID225に書き込まれる。
【0137】
続いて、シャッター165をスライドさせ、着脱空間163を露出させる。シャッター165をスライドさせることにより、装置本体161の前方側のみならず側方側にも開口し、着脱空間163にアクセス容易な広い領域を確保することができる。これは、環状支持体167の上方に、回動支持部168に支持した薬液ボトル2、ロック機構186、移動部材253、第2押圧部材254等を配置し、薬液ボトル2を交換する場合にのみ、回動支持部168を回動させて薬液ボトル2を環状支持体167の下方側の着脱空間163に移動させるようにしているためである。したがって、以下の薬液ボトル2の着脱作業のほか、着脱空間163の清掃、その他メンテナンス等をスムーズに行うことができる。
【0138】
そして、着脱空間163を露出させた状態で、環状支持体167の各回動支持部168に薬液ボトル2をそれぞれ装着する。薬液ボトル2の装着では、ロック部材204を作動させて回動部171をアンロック状態とした後、回動駆動部185を移動させ(第2モータ部189を駆動して第1モータ部188を上昇させ)、回動支持部168の従動ギア176に、回動駆動部185の中間ギア200を噛合させる。そして、第1モータ部188を駆動することにより、第1駆動ギア199を回転させ、中間ギア200を介して従動ギア176を回転させる。これにより、回動支持部168の回動部171が着脱準備位置から着脱位置へと回動する。
【0139】
回動部171が着脱位置に回動すれば、栓体部材218を装着した薬液ボトル2を取り付ける。このとき、記憶部89には、これから装着しようとする薬液ボトル2に収容される薬液情報と、着脱位置に位置する回動部171の回動支持部168の取付位置IDとが関連付けて記憶される。
【0140】
分注処理では、サーバから受信した処方データの薬液情報に基づいて、記憶部89のデータテーブルを照会し、関連付けされた取付位置IDから該当する薬液が収容された薬液ボトル2を特定する。そして、環状支持体167を回転させることにより、該当する薬液ボトル2を注出位置へと移動させる。環状支持体167の回転では、その回転位置と各回動支持部168に支持した薬液ボトル2の位置関係を関連付けた位置情報を記憶させておき、その位置情報に基づいて環状支持体167を回転させるようにすればよい。また、注出位置にRFIDリーダ・ライタを設けてRFID225を読み取ることにより回動支持体167の位置を特定するようにしてもよい。
【0141】
続いて、患者用ボトル6を載置したボトル載置部60を上昇させ、その上方開口部を第4チューブコネクタ252の近傍に位置させる。また、スライド用モータ255を駆動することによりスライド台256を前進させ、回動支持部168に対して第2押圧部材254を所定位置に位置決めする。このとき、回動支持部側のスペーサ178に形成した位置決め凹部224に、第2押圧部材側に設けた回転用モータ270の回転軸が位置決めされる。また、エアノズル220が栓体219のガイド凹部238に侵入し、連通孔234に接続される。さらに、押圧プレート269が押圧受片239を押圧させて回動させることにより、第2チューブ236を押し潰した状態から開放させる。
【0142】
次いで、回転用モータ270を逆転駆動し、カム271を逆回転させ、その押圧用ローラ273で押圧受部248を押圧することにより第1リンクプレート246を回動させる。これにより、第1リンクプレート246の下縁によって押圧受用ローラ249が押圧されて第2リンクプレート247が回動し、この第2リンクプレート247に一体化した第1押圧部材223が第1チューブ221から離間する。そして、この状態を維持することにより、第1チューブ221を介して薬液ボトル2内の薬液を連続して患者用ボトル6へと供給させる。患者用ボトル6への薬液の供給量は、ボトル載置部60で検出する重量に基づいて、希望する供給量(分注値)に至る前の第1設定値になるまで行う。
【0143】
このとき、薬液ボトル2内への空気の供給は、圧力センサ266での検出信号等に基づいて、薬瓶ボトル2内が一定圧力に維持されるように行ってもよいし、薬液の水位の低下に伴って吐出量が減少しないように、徐々に内圧が上昇するように行ってもよい。
【0144】
患者用ボトル6への薬液の供給量が第1設定値に到達すれば、回転用モータ270を正転駆動し、カム271を正回転させる。これにより、第2リンクプレート247は、スプリング250の付勢力によって元の位置に復帰し、一旦、第1押圧部材223によって第1チューブ221が押圧され、流路が遮断される。そして、カム271がさらに正回転すると、これに一体化した押圧用ローラ273が回転して第1チューブ221に対して上方側から下方側に向かって圧接しながら転動する。これにより、押圧用ローラ273によって押さえられていた位置よりも下方側で第1チューブ221内に留まっていた薬液が下流側へと圧送される。そして、この転動途中で、カム271に形成した押圧部274が第2リンクプレート247の押圧受用ローラ249に当接し、この第1リンクプレート246を回動させる。これにより、一時的に第1押圧部材223が第1チューブ221から離間し、圧送された一定量の薬液が第4チューブコネクタ252を介して患者用ボトル6へと流下する。
【0145】
以下、第1設定値よりも分注値に近付いた第2設定値に至るまで前記カム271の正回転動作を続行し、一定量ずつ患者用ボトルに薬液を分注する。そして、検出値が第2設定値となれば、回転用モータ270への印加電圧を低下させることにより回転速度を抑制する。これは、間欠的であっても比較的高速で患者用ボトルに薬液を分注することによる検出値のばらつきを解消するためである。検出値が安定した状態で、薬液を一定量ずつ供給し、分注値に至った時点で、回転用モータ270の駆動を停止させる。
【0146】
なお、前記第3実施形態では採用しなかったが、薬液ボトル2から第1チューブ221の吐出口までの薬液流路の途中で、空気を供給して薬液の流れを遮断するように構成してもよい。すなわち、
図42に示すように、エアノズル220の下端開口部(吐出口)の近傍位置で、このエアノズル220に連通するエア供給路を形成する。そして、注液作業が終了した時点で、エア供給路を介してエアノズル220内に空気を供給する。この空気は、例えば、空気清浄後の空気や不活性ガスとする。これにより、薬液が直接周囲雰囲気に触れることがなくなり、汚染が防止される。
【0147】
また、前記栓体219には、
図43に示すように、薬液ボトル2の胴部及び底部をガイドする補助ガイド部275を回動可能に設けるのが好ましい。
【0148】
補助ガイド部275は、栓体219に軸部を中心として回動可能に設けられ、薬液ボトル2の外周面の一部をガイドする格子状の側面部276と、底面の約半分をガイドする底面部277とで構成されている。この補助ガイド部275によっても、前記ボトル留め具227と同様に、薬液ボトル2の口部が栓体219の凹部224に対して適切な位置まで螺合できていなければ、補助ガイド部275は、その底面部277が薬液ボトル2の底面をガイドする位置まで回動できない。したがって、この補助ガイド部275によっても、薬液ボトル2の螺合状態が適切であるか否かを検出することができる。
【0149】
(他の実施形態)
分注装置は、前記各実施形態のほかに、以下の構成とすることも可能である。
【0150】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記各薬液ボトルの口部に装着される薬液注出部と、前記薬液注出部を保持して前記各薬液ボトルを前記環状領域で回動可能に支持するボトル支持部と、を備え、前記薬液注出部は、前記薬液ボトルの口部を閉鎖する閉鎖部と、該閉鎖部を貫通して薬液ボトルの底面側に延びる空気供給用ノズルと、前記閉鎖部を貫通して薬液ボトルの口部に開口する薬液注出用ノズルと、を有するものである。
この場合、前記ボトル支持部は、薬液注出時、前記薬液ボトルを口部が下方側となるように上下逆にして支持するのが好ましい。
この構成により、薬液ボトル内に収容された薬液を作用する重力に従って薬液を注出することができるので、薬液の注出状態を良好なものとすることが可能である。
また、前記薬液注出用ノズルは、薬液ボトルから延びる、可撓性を有するチューブで構成し、前記環状領域の注出位置に移動した前記薬液ボトルから延びるチューブに対して接離することにより、前記薬液ボトル内の薬液を患者用ボトル内に注出させる薬液排出機構を、さらに備えるのが好ましい。
この構成により、チューブに接離して流路を開閉するだけの簡単な構成で、薬液の注出量を自由に変更することが可能となる。
また、前記薬液排出機構は、前記チューブを押し潰して流路を閉鎖する第1押圧部材と、前記第1押圧部材による押圧位置よりも、薬液の流動方向上流側から押圧位置に向かって前記チューブを圧接しながら移動する第2押圧部材と、前記第2押圧部材により前記チューブに対する押圧位置を変化させる際、前記第1押圧部材による押圧状態を解除して前記チューブ内の薬液を流動可能とする連動部材と、を備えるのが好ましい。
この構成により、連動部材により、第1押圧部材と第2押圧部材とによるチューブの押圧状態を変化させて薬液をスムーズに一定量ずつ注出することができる。
また、前記空気供給用ノズルに強制的に空気を供給し、前記薬液ボトル内の空気圧の上昇により、前記薬液注出用ノズルからの薬液の注出を促進させる空気供給部を、さらに備えるのが好ましい。
この構成により、空気供給部により薬液ボトル内の空気圧を自由に調整することができる。したがって、薬液ボトル内に収容される薬液の違いに応じた適切な状態で、薬液を注出することが可能となる。
また、前記薬液注出部は、前記ボトル支持部に着脱可能であるのが好ましい。
このとき、前記薬液注出部は、前記薬液ボトルの口部に装着される栓体部材であり、前記栓体部材は、スライドすることにより、前記口部に形成される膨出部に係止して前記薬液ボトルを支持するボトル留め具を備えるのが好ましい。
この構成により、薬液ボトルへの薬液注出部の取付をボトル留め具をスライド移動させるだけで簡単に行うことができる。
また、前記ボトル留め具は、前記薬液ボトルが前記栓体部材に対して適正位置に配置された状態で、前記口部に形成される膨出部に係止するようにスライド可能であるのが好ましい。
この構成により、薬液ボトルへの薬液注出部の取付位置が適正位置であるのか否かを簡単に判別することができる。
また、前記薬液ボトルの口部は前記膨出部よりも先端部分に雄ネジを形成され、前記薬液注出部は、前記薬液ボトルの口部が螺合する雌ネジを形成されるのが好ましい。
この構成により、薬液ボトルへの薬液注出部の取付状態をより一層強固なものとすることが可能となる。
【0151】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記環状領域の洗浄位置に移動した前記薬液ボトルから延びるノズルに洗浄水を供給する洗浄水供給部と、前記環状領域の乾燥位置に移動した前記ノズルに空気を供給する空気供給部と、を有するノズル洗浄部を備えたものである。
この構成により、周囲雰囲気に触れるノズル部分での薬液を除去し、次の注出時に患者用ボトルに収容される薬液が汚染されることを確実に防止することができる。
この場合、前記洗浄水供給部は、前記環状領域の下方側に配置するのが好ましい。
また、前記空気供給部は、前記環状領域の下方側に配置するのが好ましい。
これらの構成によれば、装置本体のデッドスペースを有効利用することが可能となる。
【0152】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、希釈液が収容された希釈液タンクを備え、前記希釈液タンクから延びる注入チューブを移動可能に支持する回動アームを設け、前記注入チューブの注入口が、前記注出位置に位置する患者用ボトル、及び、その上方に位置する薬液ボトルの間の注入位置と、患者用ボトルから離れた離間位置とにそれぞれ位置するように、前記回動アームを回動可能としたものである。
この構成により、患者用ボトルに注出した薬液を希釈する場合であっても、他の構成に変更を加えることなく、希釈液タンク等を追加するだけで簡単に対応することができる。
【0153】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記複数の薬液ボトルを回動可能に支持するボトル支持部と、前記各薬液ボトルの口部に取り付けられ、いずれのボトル支持部に装着されているのかを示す位置情報を記憶する被検出部を有する薬液注出部と、注出すべき薬液が収容された薬液ボトルから前記患者用ボトルに薬液を注出する前に、前記被検出部に記憶した位置情報に基づいて、該当する薬液ボトルであるのか否かの認証を行う制御手段と、を備えたものである。
この構成により、間違いなく確実に所望の薬液が収容された薬液ボトルから患者用ボトルへと薬液を注出することができる。
この場合、記憶手段を、さらに備え、前記制御手段は、前記薬液ボトルをボトル支持部に装着する際、前記被検出部に記憶させた位置情報と、前記被検出部を有する薬液注出部が取り付けられる薬液ボトルに収容される薬液情報とを互いに関連付けて前記記憶手段に記憶させるのが好ましい。
この構成により、ボトル支持部に薬液ボトルを装着する際に、その位置情報と薬液情報とを関連付けることができるので、その後の分注処理で異なる薬液が誤って注出されることがない。
【0154】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記薬液ボトルの口部に装着される薬液注出部と、前記薬液注出部から注出された薬液を回収する患者用ボトルが載置され、昇降可能なボトル載置部と、前記ボトル載置部に載置された患者用ボトルの口部の位置を特定可能なボトル検出部と、前記ボトル検出部によって検出される患者用ボトルの口部の位置情報に基づいて、前記ボトル載置部を昇降させることにより、前記薬液注出部に対する患者用ボトルの位置を調整する制御手段と、を備えたものである。
この構成により、患者用ボトルのサイズの違いに拘わらず、ボトル検出部によってその口部の位置を特定し、自動的に薬液注出部から注出可能な位置まで患者用ボトルを昇降させることができる。この結果、薬液注出部から注出された薬液がこぼれにくくなる。
この場合、前記ボトル載置部は、充填される薬液を含む、載置される患者用ボトルの重量を検出可能な重量検出部を備え、前記制御手段は、前記重量検出部で検出される前記患者用ボトルの重量に基づいて、前記薬液注出部による注出量を制御するのが好ましい。
この構成により、患者用ボトルに供給する薬液の分量を重量検出部によって検出し、注出量を適切な値とすることが可能となる。
前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する際、薬液を単位時間当たり第1注出量ずつ注出する第1注出処理と、薬液を単位時間当たり前記第1注出量よりも少ない第2注出量ずつ注出する第2注出処理と、を実行する制御手段を、さらに備えるのが好ましい。
この構成により、患者用ボトルへの薬液の注出を、第1注出処理と第2注出処理の2段階で行うことで、簡単かつ安価に製作可能な構成であるにも拘わらず、効率的で、しかも正確な注出処理を行うことが可能となる。
前記注出処理の一方は、薬液ボトルから患者用ボトルに至る流路の開閉により行うのが好ましい。
この構成により、簡単かつ安価に製作可能としつつ、注出量を自由変更することが可能となる。
一端開口を薬液ボトルの口部に接続されて下方側に延び、他端開口を介して患者用ボトル内に薬液を供給可能な可撓性を有するチューブと、前記チューブを押圧して変形させることにより、通過する薬液の流れを遮断する閉鎖位置と、前記チューブへの押圧を解除して薬液の流れを許容する開放位置とに移動可能な第1押圧部材と、前記第1押圧部材による押圧位置よりも上流側で前記チューブを押圧して変形させることにより、通過する薬液の流れを遮断する状態を維持しながら下流側に移動可能な閉鎖位置と、前記チューブへの押圧を解除して薬液の流れを許容する開放位置とに移動可能な第2押圧部材と、を備え、前記制御手段は、前記第1注出処理として、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を開放位置に位置させる最大注出処理を実行するのが好ましい。
この構成により、注出処理を完了する直前までは薬液を迅速に注出することができ、効率的な注出処理を実行することが可能となる。
前記注出処理の一方は、薬液ボトルから患者用ボトルに至る流路の押圧位置を、薬液の流動方向下流側に向かって移動させることにより行うのが好ましい。
この構成により、チューブの押圧位置を移動させるだけで、薬液を一定量ずつ注出することが可能となる。
一端開口を薬液ボトルの口部に接続されて下方側に延び、他端開口を介して患者用ボトル内に薬液を供給可能な可撓性を有するチューブと、前記チューブを押圧して変形させることにより、通過する薬液の流れを遮断する閉鎖位置と、前記チューブへの押圧を解除して薬液の流れを許容する開放位置とに移動可能な第1押圧部材と、前記第1押圧部材による押圧位置よりも上流側で前記チューブを押圧して変形させることにより、通過する薬液の流れを遮断する状態を維持しながら下流側に移動可能な閉鎖位置と、前記チューブへの押圧を解除して薬液の流れを許容する開放位置とに移動可能な第2押圧部材と、を備え、前記制御手段は、前記第2注出処理として、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を閉鎖位置に位置させた状態から、第1押圧部材を開放位置に移動させ、第2押圧部材を通過する薬液の流れを遮断する状態を維持しながら閉鎖位置を下流側に移動させることにより、閉鎖位置に位置する第1押圧部材と第2押圧部材によって仕切られたチューブ内に貯留される薬液を患者用ボトルに供給可能とする少量注出を任意の回数行う少量注出処理を実行するのが好ましい。
前記ボトル支持部に設けられ、前記薬液ボトルを上下逆にして支持した状態で、口部を閉鎖する閉鎖部と、前記閉鎖部を貫通して薬液ボトルの底面側に延びる空気供給用ノズルと、前記空気供給用ノズルに強制的に空気を供給し、前記薬液ボトル内の空気圧の上昇により、前記薬液注出用ノズルからの薬液の注出を促進させる空気供給部と、をさらに備えるのが好ましい。
この構成により、例えば、薬液が粘性の高いものであったとしても、薬液注出用ノズルを介してスムーズに患者用ボトルへと注出することができ、又、注出時間の短縮化を図ることができる。
前記薬液ボトル内の空気圧を直接又は間接的に検出する圧力検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記圧力検出手段での検出結果に基づいて、前記空気供給部による空気供給量を制御するのが好ましい。
この構成により、患者用ボトルに供給される単位時間当たりの薬液量が多くなって重量の検出誤差が発生することがない。また、薬液ボトルに粘度の大きい薬液を収容する場合であっても、空気圧が小さくて排出できないといったこともない。さらに、エア漏れが発生していないか否かをも検出することが可能となる。
前記制御手段は、前記圧力検出手段での検出結果に基づいて、薬液ボトル内の空気圧が一定となるように、前記空気供給部による空気供給量を制御してもよい。
前記制御手段は、前記圧力検出手段での検出結果に基づいて、薬液ボトルから注出される薬液の単位時間当たりの流量が一定となるように、前記空気供給部による空気供給量を制御してもよい。
前記制御手段は、第1注出処理に比べて第2注出処理において前記圧力検出手段で検出される圧力が小さくなるように、前記空気供給部による空気供給量を制御してもよい。
前記制御手段は、前記薬液ボトル内に収容される薬液の粘度が高い程、前記圧力検出手段で検出される圧力が大きくなるように、前記空気供給部による空気供給量を制御してもよい。
前記薬液ボトル内に空気を供給する流路の途中は、単位時間当たりに供給可能な空気量の相違する、少なくとも2つの流路で構成されているのが好ましい。
この構成により、流路を切り替えるという簡単かつ安価な構成で、薬液ボトル内の空気圧を調整することができ、薬液の良好な注出状態を実現することができる。
前記チューブを円弧状にガイドするガイド溝を備えたガイド部材を備え、前記第2押圧部材は、前記ガイド溝に沿って移動することにより前記チューブを押圧して薬液の流れを遮断する第2押圧部を備えるのが好ましい。
この構成により、第2押圧部を移動させながらであってもチューブでの薬液の流れを遮断することが可能となる。
前記第1押圧部材は、前記ガイド部材に第1支軸を中心として回動可能に取り付けられ、前記チューブを押圧可能な第1押圧部と、前記第1押圧部により前記チューブを押圧させるように付勢する付勢部とを有し、前記第2押圧部材は、前記第2押圧部でチューブの流路を遮断した閉鎖状態を維持したままで前記第1押圧部材を作動させるカム部材を備えるのが好ましい。
この構成により、第2押圧部によりチューブでの薬液の流れを遮断した状態で第1押圧部材を作動させることにより、チューブ内に貯留された薬液を流出させることが可能となる。
前記第2押圧部材は、第2支軸を中心として回動可能に設けられ、前記第2押圧部材を駆動する駆動部材を備え、前記制御手段は、前記駆動部材により第2押圧部材を正転駆動し、前記少量分注処理を実行するのが好ましい。
この構成により、単一の駆動部材で、チューブへの貯留量毎に患者用ボトルに薬液を供給する少量分注処理と、チューブを開放して薬液ボトルから連続して患者用ボトルに薬液を供給する最大分注処理とを実行することができ、構成を簡略化、小型化して安価に製作することが可能となる。
前記制御手段は、前記少量分注処理を、前記駆動部材により第2押圧部材を駆動し、前記第1押圧部材の第1押圧部、及び、前記第2押圧部でチューブ内に薬液を貯留した貯留位置と、第2押圧部を押圧状態に維持したままで下流側に移動させ、カム部材により第1押圧部材の第1押圧部によるチューブの押圧状態を解除した少量注出位置と、前記第2押圧部によるチューブの押圧状態を解除すると共に、前記第1押圧部によるチューブの押圧状態を再開する準備位置とで循環移動させることにより実行し、最大分注処理を、前記駆動部材により第2押圧部材を駆動し、前記第2押圧部による押圧状態を解除すると共に、前記カム部材により第1押圧部材の第1押圧部をチューブから離間させて開放状態に維持することにより実行するようにしてもよい。
前記第2押圧部材は、第2支軸を中心として回動可能に設けられ、前記第2押圧部材を正逆回転駆動する駆動部材を備え、前記制御手段は、前記駆動部材により第2押圧部材を正転駆動し、前記第1押圧部材の第1押圧部、及び、前記第2押圧部でチューブ内に薬液を貯留した貯留位置と、第2押圧部を押圧状態に維持したままで下流側に移動させ、カム部材により第1押圧部材の第1押圧部によるチューブの押圧状態を解除した少量注出位置と、前記第2押圧部によるチューブの押圧状態を解除すると共に、前記第1押圧部によるチューブの押圧状態を再開する準備位置とで循環移動させる少量分注処理と、前記駆動部材により第2押圧部材を逆転駆動し、前記第2押圧部による押圧状態を解除すると共に、前記カム部材により第1押圧部材の第1押圧部をチューブから離間させて開放状態に維持する最大分注処理とを実行するようにしてもよい。
この構成により、チューブ内に一定少量の薬液を貯留し、この少量単位で薬液を、その自重に従って、及び、第2押圧部材の移動によって患者用ボトルに供給することができる。また、薬液をその自重により分注可能であるので、ポンプ等の駆動手段が不要となる。例えば、患者用ボトルに薬液を分注する際、所望の分注量に到達する直前までチューブを全開にし、その後、チューブ内に貯留された一定量の薬液を供給することができる。つまり、患者用ボトルに供給する薬液量を所望の分注量に到達する直前から微調整することで、構成を簡略化して安価に製作しつつ、正確な分注が可能となる。
一端開口を薬液ボトルの口部に接続されて下方側に延び、他端開口を介して患者用ボトル内に薬液を供給可能な可撓性を有するチューブと、前記チューブを円弧状にガイドするガイド溝を備えたガイド部材と、前記チューブを押圧して変形させることにより、通過する薬液の流れを遮断する状態を維持しながら下流側に移動可能な閉鎖位置と、前記チューブへの押圧を解除して薬液の流れを許容する開放位置とに移動可能な一対の押圧部を有する押圧部材と、前記制御手段は、前記第2注出処理として、前記一対の押圧部で前記チューブを押圧して変形させることにより、前記一対の押圧部によってチューブ内を仕切って薬液を貯留し、前記一対の押圧部を円運動させることにより、順次、貯留した薬液を排出させる少量分注処理を実行し、前記第1注出処理として、前記一対の押圧部を前記チューブから離間させることにより、チューブを開放状態に維持し、連続して薬液を排出させる最大分注処理とを実行するのが好ましい。
【0155】
略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記複数の薬液ボトルを回動可能に支持するボトル支持部と、前記ボトル支持部を作動させて前記薬液ボトルを回動させる回動駆動部と、を備え、前記ボトル支持部は、前記環状領域に、薬液ボトルの口部が下方側に位置するように上下逆向きに各薬液ボトルを支持し、前記回動駆動部を、前記ボトル支持部を作動可能な前進位置と、前記ボトル支持部から離間した退避位置とに移動可能とし、前記前進位置の下方側に、前記回動駆動部によって回動された薬液ボトルが位置する着脱空間を配置したものである。
この構成により、着脱空間を十分広く取ることができ、薬液ボトルの着脱作業をスムーズに行うことが可能となる。
また、 略同一円周上の環状領域に配置された複数の薬液ボトルが前記環状領域の周方向に沿って移動するように前記複数の薬液ボトルを支持し、前記環状領域の注出位置に移動した薬液ボトルから患者用ボトルに薬液を注出する分注装置であって、前記複数の薬液ボトルを回動可能に支持するボトル支持部と、前記ボトル支持部を作動させて前記薬液ボトルを回動させる回動駆動部と、を備え、前記ボトル支持部は、前記環状領域に、薬液ボトルの口部が下方側に位置するように上下逆向きに各薬液ボトルを支持し、前記薬液ボトルの口部に、前記薬液ボトルの口部を閉鎖する閉鎖部と、該閉鎖部を貫通して薬液ボトルの底面側に延びる空気供給用ノズルと、前記閉鎖部を貫通して薬液ボトルの口部に開口する、可撓性を有するチューブと、を有する薬液注出部を装着し、前記チューブに接離することにより、前記薬液ボトル内の薬液を患者用ボトル内に注出させる薬液排出機構を備え、
前記薬液排出機構を、前記チューブに接離して薬液を注出可能とする前進位置と、該注出位置から離間した後退位置とに移動可能とし、前記前進位置の下方側に、患者用ボトルを載置可能な注出空間を配置したものである。
この構成により、分注空間を十分に広く取ることができ、患者用ボトルの配置、取出をスムーズに行うことが可能となる。