(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカテーテルにおいては、安定した呼吸と十分な酸素量とを維持するために、十分な量の酸素を流す必要があり、カテーテルの外径をある程度大きくする必要がある。従って、従来のカテーテルにおいては、声帯ヒダに分け入って挿入される際、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力を加える可能性がある。また、従来のカテーテルにおいては、気管に挿入された後、声帯靭帯及び声帯ヒダが安静時呼吸の開き状況に近づいた際に、外形が円形のカテーテルと略三角形の声門の周囲の呼吸筋又は組織粘膜とが点接触した状態で、カテーテルから呼吸筋又は組織粘膜に対して長時間に亘り持続的に押し広げる力が加わる。呼吸筋又は組織粘膜に対してこれらの力が加わった場合には、組織粘膜に遷延性の炎症を生じることに伴って浮腫を生じたり、声帯を損傷して発声及び構音機能に障害を生じる等の予期せぬ後遺症に悩まされるという課題を有する。
【0006】
また、従来のカテーテルにおいては、声帯靭帯及び声帯ヒダが安静時呼吸の開き状況に近づいた際に、略三角形の声門の周囲の声帯靭帯及び声帯ヒダが外形が円形のカテーテルにより押し広げられるため、カテーテルと声帯靭帯及び声帯ヒダとの間の隙間が大きくなり、この隙間を介して浸出液等の液体が気管支内部に浸潤する恐れがあるという課題を有する。
【0007】
一方、カテーテルから呼吸筋又は組織粘膜に対して加わる力を小さくすると共に、声帯靭帯及び声帯ヒダがカテーテルにより出来るだけ押し広げられないようにするために、カテーテルの外径を小さくすることも考えられるが、カテーテルの外径を小さくした場合には、酸素を流すための容積が少なくなり、十分な量の酸素を流すことができない。従って、呼吸筋又は組織粘膜に加わる力を小さくすると共に声帯靭帯及び声帯ヒダを出来るだけ押し広げないようにすることと、十分な量の酸素を流すことと、の両立を図ることが困難であるという課題を有する。
【0008】
本発明の目的は、十分な量の酸素を流すことができると共に、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにすることで、浮腫を生じないようにすることができ、手術後の予期せぬ後遺症を回避することができ、更に浸出液等の液体を気管支に湿潤し難くすることができるカテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカテーテルは、気管に挿入されて気道を確保するカテーテルであって、軸に沿って形成された中空部を備える管状部材と、前記管状部材の気管に対する挿入方向の前端面に開口し、前記中空部を外部に開放する第1の開口部と、前記管状部材の前記挿入方向の後端面に開口し、前記中空部を外部に開放する第2の開口部と、を有し、前記管状部材は、前方から見た外縁形状が三角形であり、前記中空部の前方の内壁に設けられると共に前記中空部を流れる気体の流れを乱流にする流路調整部と、前記流路調整部よりも後方の前記内壁に設けられると共に前記中空部に突出して前記中空部を流れる気体の流れを乱流にする突出部と、を備え、前記流路調整部は、
前記内壁をすり鉢状に窪ませた形状を有し、前記第1の開口部から放出される気体の流れを渦状にする。
【0010】
管状部材の中空部を流れる酸素が中空部の内壁から中空部に突出する突出部を通過することにより、中空部を流れる酸素の量を多くする一方、管状部材の外径を従来よりも小さくすることにより、管状部材を患者の気管に挿入する際に、患者の呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力を加えることなく、管状部材が前端面を先頭にして患者の声帯ヒダに分け入って挿入されると共に、患者の気管に挿入した管状部材から呼吸筋又は組織粘膜に対して加わる力を小さく又は無くし、更に声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時呼吸の開き状況に出来るだけ近づけるか、又は声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時呼吸の開き状況にする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、十分な量の酸素を流すことができると共に、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにすることで、浮腫を生じないようにすることができ、手術後の予期せぬ後遺症を回避することができ、更に浸出液等の液体を気管支に湿潤し難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係るカテーテルにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
<カテーテルの構成>
本発明の第1の実施形態に係るカテーテル1につき、
図1から
図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0015】
カテーテル1は、患者の気管に挿入されて気道を確保する。カテーテル1は、管状部材10と、バルーン20と、分岐チューブ30と、ガイドキャップ40と、を有している。
【0016】
管状部材10は、軸Pに沿って形成された中空部11と、管状部材10の気管に対する挿入方向の前端面14に開口し、中空部11を外部に開放する開口部12と、管状部材10の気管に対する挿入方向の後端面15に開口し、中空部11を外部に開放する開口部13と、管状部材10の内壁10aから中空部11に突出する突出部17と、内壁10aから中空部11に突出する突出部18と、内壁10aの前端部に設けられた窪み部19と、を有している。
【0017】
開口部12及び開口部13は、中空部11を流れる酸素又は唾液等の分泌物の出入口となっている。突出部17は、管状部材10の内壁10aの周方向に沿って複数設けられ、管状部材10の前端部に設けられている。突出部17は、内壁10aから前方に向けて徐々に軸Pに近づくように延設されると共に後方に向いた傾斜面17aを備えている。内壁10aと傾斜面17aとの接続部9は、
図3に示すように、軸Pに対して斜めになっている。複数の突出部18は、管状部材10の内壁10aのランダムな位置に設けられている。窪み部19は、
図4に示すようにすり鉢状に窪んでいる。
【0018】
管状部材10の外縁形状は、
図2に示すように、前方から見て円形である。管状部材10の外径D1は、突出部17、突出部18及び窪み部19を設けることにより、中空部11を流れる酸素の流れを乱流にして、中空部11を流れる酸素の量を多くすることができるので、従来に比べて小径にすることができる。管状部材10は、弾力性のある合成樹脂により形成されており、透明であると共に管状である。管状部材10を形成する合成樹脂は、ここではポリエチレン又はポリウレタン等を例示する。
【0019】
中空部11には、サクションチューブ2を挿抜可能である。中空部11には、図示しない外部装置から気管支等に送られる酸素、又は図示しない外部装置により気管支等から吸引される唾液等の分泌物が流れる。
【0020】
後端面15には、サクションチューブ2を開口部13から中空部11に挿入する際のガイドとなる樹脂製のガイドキャップ40が着脱自在に設けられている。管状部材10の前端面14の近傍には、管状部材10の板厚方向に貫通して中空部11と外部とを連通する長穴の貫通孔16が形成されている。
【0021】
バルーン20は、管状部材10の外側に設けられている。バルーン20は、膨張気体が充填された際に
図1において破線で示すように膨張し、膨張気体が除去された際に
図1において実線で示すように収縮する。
【0022】
分岐チューブ30は、一部が管状部材10の内部に設けられると共に、膨張気体を送風又は吸引する図示しない外部器具とバルーン20とを接続し、膨張気体の流路となっている。分岐チューブ30は、中空部11とは連通していない。外部器具は、ここでは注射筒を例示する。
【0023】
ガイドキャップ40は、管状部材10の後端面15に着脱自在に取り付けられている。ガイドキャップ40は、開口部13から中空部11にサクションチューブ2を挿入する際のガイドとして機能する。
【0024】
<カテーテルの使用方法>
本発明の第1の実施形態に係るカテーテル1の使用方法につき、
図5及び
図6を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図6は、安静時呼吸の際の呼吸筋及び組織粘膜を示している。
【0025】
カテーテル1は、前端面14を先頭にして
図5に示す経路Rにて気管63に挿入される。この際、管状部材10は、
図6に示すように、外径D1を従来の外径D2に比べて小さくしているため(D1<D2)、喉頭蓋61からカテーテル1を手探りで挿入する際に、喉頭口62付近の呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにして声帯ヒダ60に分け入ることができる。特に、不測の事故の好発部位である声帯ヒダ60及び輪状軟骨弓65に対して不測の力が加わらないようにすることができる。
【0026】
管状部材10の前端面14の近傍に貫通孔16を設けることにより、中空部11を流れる酸素の一部が貫通孔16を介して管状部材10の外表面と気管の内壁との間に入り込むので、管状部材10の外表面が気管に貼り付いて管状部材10が挿入し難くなったり、又は引き抜き難くなることを防ぐことができる。
【0027】
気管63の所定の位置まで挿入されたカテーテル1を用いて、図示しない外部装置により酸素を気管支に送ったり、外部装置により滲出物を気管支から吸気することにより、カテーテル1を気管63に挿入された患者の気道を確保することができる。
【0028】
また、必要に応じて、図示しない外部装置から分岐チューブ30を介してバルーン20に膨張気体を充填してバルーン20を膨張させる。これにより、バルーン20が気管63を押し広げて食道64を狭めるので、気管支に酸素を確実に送ることができ、気管支から唾液等の分泌物を確実に吸入することができる。
【0029】
カテーテル1を挿入された患者の痰等を吸引する際には、ガイドキャップ40をガイドとしてサクションチューブ2を開口部13から中空部11に挿入する。
【0030】
カテーテル1を気管に挿入した後の時間の経過に伴って、声帯靭帯及び声帯ヒダ60が疲労して
図6に示す安静時呼吸の開き状況まで徐々に閉じた状態になった場合であっても、管状部材10の外径D1を従来の外径D2に比べて小さくしているため、略三角形の声門の周囲の声帯ヒダ60、呼吸筋又は組織粘膜に対して管状部材10から加わる力を弱くするか、又は管状部材10と、声帯ヒダ60、呼吸筋又は組織粘膜と、が接しないようにすることができる。これにより、呼吸筋又は組織粘膜に炎症を生じないようにすることができると共に、浸出液等の液体を気管支に湿潤し難くすることができる。浸出液は唾液等である。
【0031】
ここで、中空部11の容積は、管状部材10の外径D1を小さくすることにより、従来に比べて小さくなる。従って、所定時間に中空部11を流れる酸素の量は、従来に比べて少なくなる。このため、管状部材10の外径D1を単に小さくしただけでは、カテーテル1を気管に挿入された患者が息苦しさを感じる可能性がある。
【0032】
これに対して、本実施形態では、管状部材10の内壁10aに突出部18を設けることにより、中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、突出部18を設けない場合に比べて、カテーテル1を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。
【0033】
また、管状部材10の先端に突出部17を設けることにより、中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、突出部17を設けない場合に比べて、カテーテル1を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。特に、突出部17に傾斜面17aを設けることにより、
図3に示すように、中空部11の前端の酸素の流れをR1方向に向けることができ、前方に螺旋を描くようにして開口部12から酸素を送ることができる。従って、中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、傾斜面17aを設けない場合に比べて、カテーテル1を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。
【0034】
更に、管状部材10の内壁10aに窪み部19を設けることにより、
図3に示すように、窪み部19で渦を巻く流路R2で開口部12から酸素を送ることができる。従って、中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、窪み部19を設けない場合に比べて、カテーテル1を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。
【0035】
上記より、管状部材10の外径D1を大きくすることなく、呼吸に必要な十分な量の酸素を送ることにより、患者に対して息苦しさを感じさせないようにすることができる。また、管状部材10の外径D1を大きくする必要をなくすることにより、管状部材10を気管に挿入した際の患者の違和感を最小限にすることができる。更に、管状部材10の外径D1を大きくする必要をなくすることにより、声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時の開き状況に近づけることができ、又は声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時の開き状況にすることができるので、唾液等の液体を気管支へ流入し難くすることができる。
【0036】
このように、本実施形態によれば、管状部材10は、中空部11の内壁10aから中空部11に突出する突出部18及び突出部17を備えることにより、管状部材10の外径D1を従来より小さくしても十分な量の酸素を送ることができると共に、管状部材10の外径D1を従来より小さくして、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにすることで、浮腫を生じないようにすることができ、手術後の予期せぬ後遺症を回避することができ、更に浸出液等の液体が気管支に湿潤し難くすることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、従来の円形の管状部材10に突出部17、突出部18及び窪み部19を設けるだけの簡易な構成で中空部11を流れる酸素の量を多くすることができ、製造費用を安価にすることができる。
【0038】
なお、本実施形態において、突出部17、突出部18及び窪み部19を設けたが、突出部17、突出部18及び窪み部19の何れか1つ又は2つを設けてもよい。
【0039】
また、本実施形態において、管状部材10の前端に突出部17を設けたが、管状部材10の前端と後端との間の中間部に突出部17を設けてもよい。
【0040】
また、本実施形態において、突出部17に傾斜面17aを設けたが、突出部17に傾斜面17aを設けなくてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
<カテーテルの構成>
本発明の第2の実施形態に係るカテーテル100につき、
図7を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0042】
なお、
図7において、
図1から
図4と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
カテーテル100は、患者の気管に挿入されて気道を確保する。カテーテル100は、バルーン20と、分岐チューブ30と、ガイドキャップ40と、管状部材110と、を有している。なお、
図7において、バルーン20、分岐チューブ30及びガイドキャップ40の記載を省略している。
【0044】
管状部材110は、開口部12を備える大径部110aと、大径部110aの後方の所定の箇所に設けられると共に大径部110aよりも小径の小径部110bと、を含んでいる。ここで、所定の箇所とは、カテーテル100を気管に挿入した際に、声帯ヒダ60に接する箇所又は対向する箇所である。
【0045】
小径部110bの内壁110cには、突出部18が設けられている。なお、管状部材110は、小径部110bの後端に開口部13を有していてもよいし、小径部110bの後方に小径部110bよりも大径の大径部を備え、この大径部の後端に開口部13を有していてもよい。
【0046】
<カテーテルの使用方法>
本発明の第2の実施形態に係るカテーテル100の使用方法につき、以下に詳細に説明する。
【0047】
カテーテル100は、前端面14を先頭にして
図5に示す経路Rにて気管63に挿入される。気管63に挿入されたカテーテル100において、管状部材110の小径部110bは声帯ヒダ60に接する状態又は対向する状態になっている。
【0048】
気管63の所定の位置まで挿入されたカテーテル100を用いて、図示しない外部装置により酸素を気管支に送ったり、外部装置により滲出物を気管支から吸気することにより、カテーテル100を気管63に挿入された患者の気道を確保することができる。この際、管状部材110の大径部110aを流れる酸素の流速は、小径部110bを流れる酸素の流速よりも遅くなる。これにより、大径部110aから開口部12を介して気管支に送られる酸素の流速を小径部110bを流れる酸素の流速よりも遅くして、気管支粘膜を傷めないようにすることができる。
【0049】
また、必要に応じて、図示しない外部装置から分岐チューブ30を介してバルーン20に膨張気体を充填してバルーン20を膨張させる。これにより、バルーン20が気管63を押し広げて食道64を狭めるので、気管支に酸素を確実に送ることができ、気管支から唾液等の分泌物を確実に吸入することができる。
【0050】
カテーテル100を挿入された患者の痰等を吸引する際には、ガイドキャップ40をガイドとしてサクションチューブ2を開口部13から中空部11に挿入する。
【0051】
カテーテル100を気管に挿入した後の時間の経過に伴って、声帯靭帯及び声帯ヒダが疲労から安静時呼吸の開き状況まで徐々に閉じた状態になった場合であっても、管状部材110の小径部110bの外径を従来に比べて小径にすることができるため、小径部110bから呼吸筋又は組織粘膜に対して加わる力を弱くするか、又は小径部110bと呼吸筋又は組織粘膜とが接しないようにすることができる。これにより、呼吸筋又は組織粘膜に炎症を生じないようにすることができると共に、浸出液等の液体の気管支内部への浸潤を防ぐことができる。
【0052】
ここで、中空部11の容積は、小径部110bの外径を小さくすることにより、従来に比べて小さくなる。従って、中空部11を流れる酸素の量は、従来に比べて少なくなる。このため、小径部110bの外径を単に小さくしただけでは、カテーテル100を気管に挿入された患者が息苦しさを感じる可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施形態では、管状部材110の小径部110bの内壁110cに突出部18を設けることにより、中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、突出部18を設けない場合に比べて、カテーテル1を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。
【0054】
上記より、小径部110bの外径を大きくすることなく、呼吸に必要な十分な量の酸素を送ることができるので、患者に対して息苦しさを感じさせないようにすることができる。また、小径部110bの外径を大きくする必要をなくすることにより、管状部材110を気管に挿入した際の患者の違和感を最小限にすることができる。更に、小径部110bの外径を大きくする必要をなくすることにより、声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時の開き状況に近づけることができ、又は声帯靭帯及び声帯ヒダを安静時の開き状況にすることができるので、唾液等の液体を気管支へ流入し難くすることができる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、管状部材110は、中空部11の内壁110cから中空部11に突出する突出部18を備えることにより、管状部材10の外径D1を従来より小さくしても十分な量の酸素を送ることができると共に、管状部材110の小径部110bの外径を従来より小さくして、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにすることで、浮腫を生じないようにすることができ、手術後の予期せぬ後遺症を回避することができ、更に浸出液等の液体が気管支に湿潤し難くすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、小径部110bを流れる酸素の流速を大径部110aを流れる酸素の流速よりも速くすることにより、小径部110bから声帯ヒダ60に対して加わる圧力を小さくすることができる。これにより、小径部110bと声帯ヒダ60とが接する場合であっても、小径部110bから声帯ヒダ60及び声門靭帯に対して加わる力を最小限にするので、浮腫を生じないようにすることができ、手術後の予期せぬ後遺症を回避することができる。
【0057】
なお、本実施形態において、突出部17及び窪み部19を設けていないが、突出部17又は窪み部19を小径部110bに設けてもよい。これにより、小径部110bの中空部11における酸素の流れを乱流にして酸素の流速を速めるので、突出部17又は窪み部19を設けない場合に比べて、カテーテル100を気管に挿入された患者に対して、より多くの酸素を送ることができる。
【0058】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0059】
具体的には、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、前方から見た管状部材10の外縁形状を円形にしたが、前方から見た管状部材10の外縁形状を三角形等の円形以外の形状にすることができる。
【0060】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、バルーン20を設けたが、バルーン20を設けなくてもよい。
【課題】十分な量の酸素を流すと共に、呼吸筋又は組織粘膜に対して不測の力が加わらないようにすることで、浮腫を生じないようにして、手術後の予期せぬ後遺症を回避し、更に浸出液等の液体を気管支に湿潤し難くすること。
【解決手段】気管に挿入されて気道を確保するカテーテル1は、軸Pに沿って形成された中空部11を備える管状部材10と、管状部材10の気管に対する挿入方向の前端面14に開口し、中空部11を外部に開放する開口部12と、管状部材10の挿入方向の後端面15に開口し、中空部11を外部に開放する開口部13と、を有する。管状部材10は、中空部11の内壁10aから中空部11に突出する突出部17及び突出部18を備える。