(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115879
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】乾燥タイプの接合化合物組成物濃縮物
(51)【国際特許分類】
C09D 1/00 20060101AFI20170410BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20170410BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20170410BHJP
E04F 13/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
C09D1/00
C09D201/00
C09D7/12
E04F13/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-535679(P2015-535679)
(86)(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公表番号】特表2015-537066(P2015-537066A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2013060581
(87)【国際公開番号】WO2014058588
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】13/647,796
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ガイ・ローゼンタール
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァトア・イモーディノ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイチ・ネグリ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ビー・スティーブンス
【審査官】
澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06476099(US,B1)
【文献】
特表2006−505481(JP,A)
【文献】
特表2002−531369(JP,A)
【文献】
特開平04−220486(JP,A)
【文献】
特開平04−209226(JP,A)
【文献】
特開2008−208711(JP,A)
【文献】
特開平9−279804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
E04F 13/02
C09K 3/10
C09J 1/00−201/10
C04B 2/00−32/02,40/00−40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送重量を減らすために配合され、且つ、使用者が現場で十分な量の水を添加することで、使用可能な接合化合物を作るために配合された乾燥タイプの接合化合物組成物濃縮物であって、少なくとも1つの結合剤、65〜85.3重量%の範囲の量のフィラー、および水を含み、該水が前記組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有し、前記濃縮物の全液性成分は前記組成物の全重量の14〜20%の範囲であり、壁表面に適用可能な泥状の塗れる材料を形成する使用可能な接合化合物を作るため使用者が現場において所望で前記濃縮物に水を添加し混合することを促進するため、配合に際して前記組成物の75〜95%はメッシュサイズが4のふるいを介して通過することを特徴とする濃縮物。
【請求項2】
さらに少なくとも1つの増粘剤を含む、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの増粘剤が、セルロース系増粘剤である、請求項2に記載の濃縮物。
【請求項4】
少なくとも1つの防腐剤および少なくとも1つの懸濁化剤をさらに含む、請求項2に記載の濃縮物。
【請求項5】
pHレベルを少なくともpH9に維持するために水酸化マグネシウムをさらに含む、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項6】
乾燥タイプの接合化合物組成物濃縮物であって、少なくとも1つの結合剤、65〜85.3重量%の範囲の量のフィラー、および水を含み、該水が前記組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有し、前記フィラーと前記水は少なくとも4:1の割合で存在し、前記濃縮物の全液性成分は前記組成物の全重量の14〜20%の範囲であり、配合に際して前記組成物の75〜95%はメッシュサイズが4のふるいを介して通過し、現場での混合を促進するため、使用者が現場で使用可能な接合化合物を作るために、使用の際に現場において使用者により所望で配合後の前記濃縮物に水が添加されるよう、前記濃縮物は配合されており、前記化合物は450Brabender単位の粘度を有することを特徴とする濃縮物。
【請求項7】
前記濃縮物は配合に際して湿った粒状の稠度を有する、請求項1又は6に記載の濃縮物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏壁板の隣接するパネルの間の継ぎ目の充填およびコーティングで使用される接合化合物のための組成物に関する。より具体的には、本発明は、運送費を減少させるための水分含有量を減少させた乾燥タイプの接合化合物の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの建築において、最も一般的な要素のうちの1つは、壁および/または天井の建築において使用される石膏壁板(多くの場合ドライウォールとして公知)である。石膏壁板から作製された壁は、木製間柱または金属フレームにパネルを貼付し、接合化合物と呼ばれる特別に調製された接着剤により隣接したパネルの間の継ぎ目を処理することによって従来組み立てられる。ドライウォールパネルの側面端はテーパー状であり、したがって接合化合物が継ぎ目(隣接したパネルの間の)に塗布されることを可能にし、かかる手法では、完成された場合単一体の表面が生成される。このプロセスは、一般的には壁板の接した端によって形成された継ぎ目内にテーピング接合化合物を設置し、そのコンパウンド内に液体透過性のある紙または繊維ガラステープを埋め込むことによって進行する。乾燥(または凝固)する場合、トッピング接合化合物と称される第2のコーティングを継ぎ目にわたって塗布し、それは続いて乾燥に際して軽くサンドペーパーをかけることができる。第3または仕上げのコートを塗布し、乾燥させ、軽くサンドペーパーをかけて、ドライウォールの継ぎ目がどこだったかの徴候が隠された円滑な単一体の表面を生成する。別のタイプの接合化合物は、継ぎ目テープの埋め込みおよび仕上げコートの塗布の両方のために使用することができる、多目的グレードである。パターンまたはテクスチャーの効果は、特殊な塗布ツールの使用を介して完成した壁および継ぎ目に与えることができる。
【0003】
複数のカテゴリーの接合化合物がある。乾燥タイプのコンパウンドは水の蒸発を介して固化するが、凝固タイプの接合化合物は硬化プロセスの間に水と化学的に反応する。凝固タイプの接合化合物は典型的には基剤として硫酸カルシウム半水和物(スタッコまたは焼石膏としても公知)を使用する。水が凝固タイプ粉末に添加される場合、水和反応を介して硫酸カルシウム半水和物と反応して、硫酸カルシウム二水和物結晶の絡み合ったマトリックスを形成する。絡み合った結晶マトリックスはコンパウンドに増加した強さを与える。凝固タイプの接合化合物の乾燥タイプを上回る利益は、完成した継ぎ目の全体的な強さであり、より少ない収縮およびクラッキングをもたらすことであり、加えて接合化合物がさらなる仕上げの前に完全に乾燥するのを待つ必要がなくなることである。乾燥タイプの接合化合物は、それらは典型的には水が添加され、製造者によって混合されて、調合済み形態で到着するので、使用容易性という利点を有する。第3のタイプの接合化合物は、調合済みコンパウンドの使用容易性と硫酸カルシウム半水和物に基づくコンパウンドの凝固作用を組み合わせる。
【0004】
本組成物は乾燥タイプの接合化合物を考慮する。かかるコンパウンドの適切な例は米国特許第6,476,099号および第6,545,066号(その両者は参照として援用される)中で開示される。これらの製品は、使用者によって即時使用可能な稠度でバケツまたはタライ中で提供される(「調合済み」)。現在のところ、12ポンド/ガロン(1437.917kg/m
3)を超える重量を有する調合済みの接合化合物の従来重量は、重量でおよそ30〜40%および体積で50%ほどの水を含有する。組成物の従来重量または密度が減少するにつれて、実際に組成物中の重量でより多くの水がある。‘099の特許は重量の32%の水を有する組成物を開示し、‘066の特許は重量の40%の水を有する組成物を開示する。これらの調合済み接合化合物は、袋詰めの粉末製品と比較してそれらの使用の利便性のために幅広く認められており、それらはいくつかの塗布において製造された形態で使用することができるが、ほとんどすべての事例において現場の使用者によって水が添加される。調合済み接合化合物へ水をこのように現場で添加することは、大部分は、比較的迅速に乾燥する薄いコートで容易に広げられる比較的低い粘度の接合化合物についてのプロ用の塗布器による優先性に起因する。
【0005】
しかしながら、典型的には調合済みタイプが1ガロンまたは5ガロンの容器(バケツまたは手桶等)中で提供される場合、調合済みフォーマットでの比較的より重い組成物は、乾燥した袋詰め接合化合物と比較して、接合化合物の所定のサンプルのための運送費を増加させる。環境にやさしい技術への注目が増加していることに起因して、接合化合物生産および流通供給チェーンにおいて消費されるエネルギーの量を減少させるという製造業における動機づけがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の必要性は、運送費を低下させるために水の大部分が除去された乾燥タイプの接合化合物組成物の提供によって満たされる。現場で、使用者は必要に応じて水を添加して所望される稠度または粘度を得る。いずれにせよ使用者は存在する調合済み接合化合物製品へ慣習的に水を添加するので、本組成物は使用者の調製工程を顕著に増やすことなく、より軽い重量であり、したがって現場または地方の小売店への運送にそれほどコストのかからない組成物を提供する。従来の調合済み接合化合物および完全に乾燥した袋詰めのコンパウンドの両方を上回る本コンパウンドの長所は、脱水された接合化合物のわずかに湿った粒状の稠度が、従来の混合により現場の水中で容易に分散するということであり、同時に現場での給水プロセスおよび混合プロセスの間に生じるほこりの量を減少させるということである。したがって、従来の調合済み接合化合物と比較して軽量であり、同時に従来の完全に乾燥した袋詰めの接合化合物製剤と比較して、再び水に浸すプロセスの間に生じるほこりが比較的低いレベルで現場の水中で容易に分散される組成物が提供される。
【0007】
本組成物の開発においてなされた予想外の発見は、初期配合に際して粒状の稠度の混合物を生じる好ましい比較的狭い範囲にわたる水量で、現場での混合可能性が促進されるということである。水の好ましい範囲(それは従来の即時使用可能の調合済み接合化合物を調製するのに費やされる範囲よりも大幅に少ない)の使用が、初期配合の間の材料の凝集およびダマを減少させることが見出された。結果的に、現場で、当技術分野において慣習的であるように再び給水し動力による混合を行った場合、本粒状の組成物はより均一に混合または分散される。好ましい実施形態において、本組成物は、従来の乾燥タイプの調合済み接合化合物と比較して、重量パーセンテージでの水の減少(40〜50%の範囲中で)を特色とする。
【0008】
より具体的には、乾燥タイプの接合化合物組成物は、少なくとも1つの結合剤、フィラー、および水を含んで提供され、水は組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有する。配合(それは多様な組成物を使用して達成可能である)時の混合物の特有な湿った粒状の稠度に比べれば、水の量はさほど重要ではないことが指摘されるべきである。最適な稠度を達成するのに必要な水の量は他の成分に依存して変動するだろう。例えば、より小さな粒子を備えたフィラーと同じ好ましい稠度を達成するのに、より大きな平均粒子サイズを備えたフィラーは、表面積の差異に起因して多くの水を必要としない。
【0009】
別の実施形態において、乾燥タイプの接合化合物組成物は、少なくとも1つの結合剤、フィラーおよび水を含んで提供され、配合に際して、組成物のおよそ75〜95%は4番のふるいを通過する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本組成物において、主要な要求事項は、「乾燥タイプ」の接合化合物組成物であり、それは当技術分野において周知であり、その例は上で参照として援用され、とりわけ、米国特許第6,476,099号および第6,545,066号中で開示した組成物が含まれる。重量で水の量が組成物中のおよそ12〜18%である限り、本乾燥タイプの接合化合物の特定の配合は重要であるとは判断されず、それは、さらにこのタイプの従来の接合化合物よりもおよそ50〜75%少ない。
【0011】
化学的に遅延させたスラリーの形態における凝固タイプ(これも当技術分野において公知)のコンパウンドは、接合化合物としての使用のために正確に測定された化学的加速剤の添加を必要とするので、乾燥タイプの接合化合物は、凝固タイプよりも好ましい。さらに、一旦促進剤がスラリーへ添加されるか、または一旦水が乾燥した粉末へ添加されたならば、凝固タイプのコンパウンドは凝固/固化の前の短い時間ウィンドウにおいてのみ使用することができ、その後それは再び混合することができない。これとは対照的に、本組成物は密封され乾燥されないならば、任意の乾燥タイプの接合化合物の事例でのように、水が添加されたとしても数日後に使用することができる。
【0012】
一般に、本乾燥タイプのョイントコンパウンドの主要な成分は、フィラー(好ましくは炭酸カルシウム)である。他のフィラー(膨張パーライト、炭酸マグネシウム、ガラスまたは樹脂マイクロビーズ等)も、所望される接合化合物のタイプに依存して、適切なフィラーである。本組成物において、適切なフィラーは、Specialty Minerals,Inc.(The Chrysler Building、New York、NY)によって製造されたDolocron 4512(ドロマイト質石灰石)である。炭酸カルシウムは本組成物の重量でおよそ65〜80%を構成する。ドロマイトは同等の製品である。あるいは、軽量フィラーが所望される場合、膨張パーライトが好ましい。多くの場合、複数の異なるフィラーは特異的なセットの特性を得るように組み合わせで使用される。本組成物において、別のフィラーは、Barretts Inc(Specialty Minerals,Inc.(8625 HWY 91 S.Dillon、MT.59725)の子会社)によって製造されるTalcronまたはMontanaタルク(主としてケイ酸マグネシウム)である。この成分はクラックおよび衝撃耐性および剛性を改善し、疎水性であり、湿気の取り込みを減少させる。タルクは組成物の重量のおよそ2〜4%を占める。しかしながら、接合化合物配合の技術分野において周知であるように、他のフィラーは適切であると判断され、雲母、マイクロビーズなどを含むが、これらに限定されない。
【0013】
フィラーに加えて、本接合化合物は、一般的には使用される特定の塗布によって、1つまたは複数の結合剤、1つまたは複数の増粘剤および他の添加剤を必要に応じて含む。さらに、いくつかの事例において、成分(アタパルジャイト粘土等)は増粘剤およびフィラーとして作用する。接合化合物において使用される任意の従来の結合剤も、本組成物について適切であると判断される。特に適切な結合剤には、ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリビニルアルコール、再分散可能な粉末(ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルおよびデンプン等)が含まれる。ラテックス結合剤も適切である。適切なラテックスエマルション結合剤の例には、エチレン酢酸ビニルコポリマーラテックスまたはポリ酢酸ビニルラテックスが含まれる。結合剤の組み合わせも企図される。
【0014】
本組成物において、容易に分散可能な修飾されたトウモロコシベースのデンプンポリマーが使用される。本組成物において、デンプンポリマーは増粘剤および結合剤として使用され、Tate&Lyle(Decatur、IL)から調達され、およそ0.2重量パーセントで使用されるStarpol 136である。デンプンは、およそ1.8%の重量パーセントで結合剤としてのポリ酢酸ビニル(PVA)エマルションと組み合わせて使用される。好ましいPVAは、Halltech Inc.(465 Coronation Drive、Scarborough、Ontario、カナダ)によって提供されるHalltech41−830である。デンプンおよびPVAエマルション結合剤は、それぞれの特性に起因して、および組成物のコストを低下させるために、好ましくは組み合わせで使用される。
【0015】
増粘剤を接合化合物へ任意で添加して、所望される稠度を達成する。セルロース系コンパウンド、関連する増粘剤またはデンプンは好ましい増粘剤であり、セルロース系増粘剤は最も好ましい。本組成物において、遅延可溶性を備えたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)が使用される。冷水で分散可能なセルロースエーテル(HMPC)は増粘剤として使用され、良好な水需要量、テープ結合、クラック抵抗性および実行可能を与え、水分保持を促進する。好ましいHPMCは、Dow Chemical Co.(Midland、MI.48674)から調達されたMethocel 240Sである。別の増粘剤および懸濁化剤は水溶性ヒドロキシエチルセルロース(HEC)であり、組成物の重量の0.04%および好ましくは0.02〜0.05%の間でで使用される。好ましいHECはAshland,Inc.によって提供されるNatrosol 250HXRである、他の従来のセルロース系増粘剤(エチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロース等)も、本接合化合物において適切である。セルロース系増粘剤の量は、全接合化合物成分の全重量の約0.02%〜約2%の範囲である。
【0016】
防腐剤を調合済みの配合へ任意で添加して、細菌および菌類がある期間にわたって有機的な成分を攻撃することを防止する。本組成物において、好ましい量の防腐剤は重量でおよそ0.08%である。防腐剤は一般的には全重量の約0.05〜約0.15%の範囲でわずかな量が使用される。適切な防腐剤は、ISP(1361 Alps Road、Wayne、NJ 07470)によって提供されるNuosept91である。
【0017】
最終的に、懸濁化剤は好ましくは組成物のより重い成分を沈降しないようにするために含まれる。粘土(ベントナイト、カオリン、セピオライトまたはアタパルジャイト粘土等)は特に好ましい懸濁化剤であり、アタパルジャイト粘土はとりわけ好ましい。アタパルジャイト粘土はフィラーおよび増粘剤として使用され、全重量の1.0〜2.5%、およびより好ましくはおよそ2.0%範囲の量で水の吸収に際してゲルを形成する。ゲルBは、商標MIN−U−GEL下でAdvanced Minerals、International、LLC(Hunt Valley, Maryland 21030)によって提供されるアタパルジャイト粘土の商業的な配合である。
【0018】
酸性水が使用される場合でさえ、水酸化マグネシウムも、結果として生じる接合化合物のpHレベルを少なくとも9の塩基範囲中で維持するために使用される。水酸化マグネシウムの好ましい源はMartin Marietta Magnesia Specialties、LLC(Baltimore、MD)から調達される。
【0019】
水を製造時に本接合化合物へ添加して、混合の間生じたほこりの量を減少させる組成物を提供し、一方で現場で水中での分散を促進する粒状の稠度を同時に生成する。本組成物の重要な特色は、上記の目的を達成するのに製造時に添加された水の量が、実質的には従来の乾燥タイプの接合化合物より少ないということである。より具体的には、本組成物中で水の量(組成物の重量のおよそ12〜18%を好ましくは占める)は、組成物の重量のパーセンテージとして、従来の乾燥タイプの調合済みの接合化合物と比較して、およそ50〜75%減少される。
【0020】
調合済み接合化合物の製造には、乾燥した成分と湿った成分を混合器中で組み合わせることが含まれる。例えば、湿った成分を組み合わせた後、PVA+水、乾燥した成分を混合器中で湿った成分と混合する。所望される湿気の粒状の稠度を有する均一な混合物が得られるまで、混合を継続する。
【0021】
この実施形態において、水の量の関数としての組成物の操作可能を試験するために試行を行った。すべての試行において成分を組み合わせ、90秒間混合した。組成物Aは対照であり、およそ450 Brabender単位の粘度を備えた従来の調合済み乾燥タイプの接合化合物を生じた。本組成物の配合を代表する組成物BおよびCを形成して手によって圧迫すれば、非常に低い粘着性を有するがまとまっている、湿った砕けやすい粒状の混合物が形成された。Hobart N−50 5クォート混合器を水平ビーター撹拌器により低速度(撹拌器速度136RPM、アタッチメント速度60RPM)で混合した場合、この混合物は混合の90秒間の全体で同じ粒状の稠度を保持し、結果として生じる混合物の75〜95%は最小の撹拌で#4ふるいを介して通過した。組成物D(BおよびCと同じ条件下で混合した場合、より高い重量パーセンテージの水を有する)は、塑像用粘土の稠度を備えた直径およそ5インチの単一体の塊へとおよそ30秒後に集塊し、このボールは手触りがべとついたが、まとまっており、混合ボウルの側面に粘着しなかった。この塊は#4ふるいを介して通過することができず、さらに詳細に以下に記述されるように塊は水中で容易に分散しないので、壁板の接合化合物のための従来の現場での塗布における使用には所望されないと判断される。
【0022】
6日後に、どのバッチ中でも明らかな変化はなく、組成物B、CおよびDへ水を添加して、対照Aバッチへもともと添加された水と一致させた。組成物BおよびCを比較的容易にHobart N−50混合器中で水と組み合わせて、混合の60秒後に多少塊の多い混合物を形成し、それはすべての成分が湿るにつれて2時間にわたって滑らかになった。組成物D(水18.5%を有する)は、粘土様の塊が低表面積を有し、破壊するのが困難であったので、水と組み合わせるのが困難であった。Hobart N−50混合器が成分を効率的に組み合わせることができる前に、単一体の塊を破壊し、添加された水中でそれを分散させるには、かなりの努力が必要であった。したがって、最大でおよそ18重量%の水を有する以下に示されるような組成物は、所望される有益な結果を提供する。すべてのバッチが手動混合器により混合された場合、翌日の外観および感触は同一であった。組成物を以下の通り調製し、単位はグラムで示した。
【表1】
【0023】
接合化合物への結合は、75°F(24℃)および50%の相対的湿度で24時間後にASTM−C474に従って測定した。組成物Aは97%の紙繊維引裂きであり;Bは92%であり;Cは95%であり;Dは92%であると測定された。したがって、本組成物BおよびCは、対照ジのョイントコンパウンド(その欠点は上記されている)において見出されるような紙継ぎ目テープに匹敵する結合を提供する。
【0024】
本低水分乾燥タイプの接合化合物の特定の実施形態が示され記述されてきたが、より広範囲の態様の本発明から逸脱せずに、および以下の請求項において記載されるように、それに対して変化および修飾を行なえることは当業者によって認識されるだろう。
[付記1]
少なくとも1つの結合剤、フィラー、および水を含み、該水が組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有する、乾燥タイプの接合化合物組成物。
[付記2]
配合に際して、結果として生じる混合物のおよそ75〜95%は#4ふるいを介して通過する、付記1に記載の組成物。
[付記3]
さらに少なくとも1つの増粘剤を含む、付記1に記載の組成物。
[付記4]
前記少なくとも1つの増粘剤が、セルロース系増粘剤である、付記3に記載の組成物。
[付記5]
少なくとも1つの防腐剤および少なくとも1つの懸濁化剤をさらに含む、付記3に記載の組成物。
[付記6]
およそ9でpHレベルを維持するために水酸化マグネシウムをさらに含む、付記1に記載の組成物。
[付記7]
少なくとも1つの結合剤、フィラーおよび水を含み、結果として生じる混合物のおよそ75〜95%が#4ふるいを介して通過する、乾燥タイプの接合化合物組成物。
[付記8]
前記水が組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有する、付記7に記載の組成物。
[付記9]
少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つのフィラーを提供しともに混合する工程と;
結果として生じる組成物の全重量の12〜18%の範囲中の重量パーセンテージを有する水を提供する工程と;
乾燥した成分および湿った成分を個別に混合する工程と;
乾燥した成分および湿った成分を組み合わせて混合物を形成し、混合物を90秒間混合する工程と
を含む、乾燥タイプの接合化合物を作製する方法。
[付記10]
前記混合物のおよそ75〜95%が#4ふるいを通過する、付記9に記載の方法。