(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリトレーに載置されたバッテリを、該バッテリ上に配設されるクランプ部材と該バッテリトレーとで挟み込んで固定保持するバッテリ固定保持用のクランプ構造であって、
前記バッテリトレーと前記クランプ部材との間にはクランプ機構が設けられており、
前記クランプ機構は、孔形状の掛止孔を有し且つ前記バッテリトレーの一辺に立設される掛止部と、先端側に前記掛止孔に引っ掛かる掛止フックを有し且つ基端側に雄螺子部を有する締結ボルトとを備え、
前記締結ボルトは、先端側を下に向けて前記掛止フックを前記掛止孔に引っ掛け且つ前記雄螺子部を前記クランプ部材に設けられた孔に挿通した状態で前記雄螺子部にて螺合される雌螺子部材を螺子回しすることにより、上方に移動させられて前記バッテリトレーと前記クランプ部材とにより前記バッテリを挟み込むことが可能に設定されており、
前記クランプ機構の掛止部には、前記掛止部の掛止孔に対する前記掛止フックの引っ掛けをガイドし且つ該引っ掛け状態を保持する案内保持部材が設けられており、
前記案内保持部材は、
下降移動する前記締結ボルトに対して幅方向両側から摺接して前記掛止孔に対しての前記掛止フックの向きを案内するテーパガイド部と、
下降移動する前記締結ボルトに対して挿入方向後側から摺接して前記掛止孔に対しての前記掛止フックの距離を縮めて該掛止孔に該掛止フックを挿入させる前進ガイド部と、
を備えることを特徴とするバッテリ固定保持用のクランプ構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図9では図示されていないが、上記したように搭載されるバッテリ112の周囲には、さまざまな車両構成部材が装備されている。たとえば、掛止孔104の周囲にはエアクリーナ(不図示)が設置されていたり、バッテリ112の上側にはカウルルーバ(不図示)が設置されていたりする。このため、これらの車両構成部材により、作業者は、掛止板103に設けられる掛止孔104を視認するのが難しくなっている。
加えて、掛止フック106を掛止孔104に引っ掛けた後の締結ボルト105は、作業者が手で持っていないと倒れてしまう。このため、作業者は、この掛止孔104に引っ掛けた後の締結ボルト105を、螺合させる螺子部材109を螺子回しするまで作業者が手で持ち続けておかねばならず、作業が煩雑であるとの指摘がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、バッテリトレーに載置したバッテリを固定保持するバッテリ固定保持用のクランプ構造において、掛止孔に対しての掛止フックの引っ掛けを確実に行えるようにして、この引っ掛けた後の螺子回しまでの間の締結ボルトを手で持たずに保持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造は次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造は、バッテリトレーに載置されたバッテリを、該バッテリ上に配設されるクランプ部材と該バッテリトレーとで挟み込んで固定保持するバッテリ固定保持用のクランプ構造であって、前記バッテリトレーと前記クランプ部材との間にはクランプ機構が設けられており、前記クランプ機構は、孔形状の掛止孔を有し且つ前記バッテリトレーの一辺に立設される掛止部と、先端側に前記掛止孔に引っ掛かる掛止フックを有し且つ基端側に雄螺子部を有する締結ボルトとを備え、前記締結ボルトは、先端側を下に向けて前記掛止フックを前記掛止孔に引っ掛け且つ前記雄螺子部を前記クランプ部材に設けられた孔に挿通した状態で前記雄螺子部にて螺合される雌螺子部材を螺子回しすることにより、上方に移動させられて前記バッテリトレーと前記クランプ部材とにより前記バッテリを挟み込むことが可能に設定されており、
前記クランプ機構の掛止部には、前記掛止部の掛止孔に対する前記掛止フックの引っ掛けをガイドし且つ該引っ掛け状態を保持する案内保持部材が設けられており、前記案内保持部材は、下降移動する前記締結ボルトに対して幅方向両側から摺接して前記掛止孔に対しての前記掛止フックの向きを案内するテーパガイド部と、下降移動する前記締結ボルトに対して挿入方向後側から摺接して前記掛止孔に対しての前記掛止フックの距離を縮めて該掛止孔に該掛止フックを挿入させる前進ガイド部と、を備えることを特徴とする。
この第1の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、クランプ機構の掛止部には、前記掛止部の掛止孔に対する掛止フックの引っ掛けをガイドし且つ引っ掛け状態を保持する案内保持部材が設けられている。この案内保持部材は、テーパガイド部を備えるので、下降移動する締結ボルトに対して幅方向両側から摺接して掛止孔に対しての掛止フックの向きを案内する。また、この案内保持部材は、前進ガイド部を備えるので、下降移動する締結ボルトに対して挿入方向後側から摺接して掛止孔に対しての掛止フックの距離を縮めて掛止孔に掛止フックを挿入させる。
【0007】
また、第2の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造は、前記第1の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造において、前記案内保持部材は、前記テーパガイド部と前記前進ガイド部とによって前記掛止孔に挿入された前記掛止フックを挿入された前端位置で下側から上側に押し上げて引っ掛け完了とする押上げ部と、前記引っ掛け完了となった前記掛止フックを含む前記締結ボルトを該引っ掛け完了位置で保持するボルト保持部と、を備えることを特徴とする。
この第2の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、上記した案内保持部材は、押上げ部を備えるので、テーパガイド部と前進ガイド部とによって掛止孔に挿入された掛止フックを挿入された前端位置で下側から上側に押し上げて引っ掛け完了とする。さらに、この案内保持部材は、ボルト保持部を備えるので、引っ掛け完了となった掛止フックを含む締結ボルトを引っ掛け完了位置で保持する。このようにして、案内保持部材は、掛止孔に対する掛止フックの引っ掛けをガイドして掛止孔に対しての掛止フックの引っ掛けを確実に行えるようにする。また、案内保持部材は、引っ掛け完了位置の締結ボルトを保持して、この引っ掛けた後の螺子回しまでの間の締結ボルトを手で持たずに保持できるようになる。
【0008】
また、第3の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造は、前記第1または前記第2の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造において、前記掛止部には、該掛止部の延在方向と交差する方向に突き出されるツバ部が設けられており、前記案内保持部材には、前記ツバ部に端部を当てることにより該掛止部に対しての該案内保持部材の配置状態を保持する配置保持部が設けられており、前記配置保持部は、前記案内保持部材を前記掛止部に取り付ける場合には前記ツバ部に前記配置保持部を当てることによって該配置保持部を弾性変形させて該ツバ部を乗り越えるようになっており、前記案内保持部材を前記掛止部に取り付けた後には弾性変形が復元して前記配置保持部の端部を当てることにより該掛止部に対する該案内保持部材の配置状態を保持する、ことを特徴とする。なお、「前記掛止部の延在方向」は、「該掛止部に対して装着させる前記案内保持部材の装着方向」と一致する。
この第3の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、配置保持部は、ツバ部に端部を当てることにより掛止部に対しての該案内保持部材の配置状態を保持する。ここで、配置保持部は、案内保持部材を掛止部に取り付ける場合にはツバ部に配置保持部を当てることによって配置保持部を弾性変形させてツバ部を乗り越えるようになっている。また、この配置保持部は、案内保持部材を掛止部に取り付けた後には弾性変形が復元して配置保持部の端部を当てることにより掛止部に対する案内保持部材の配置状態を保持可能とする。これによって、この第2の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、案内保持部材の掛止部への取り付けを簡単に行えることができつつ、さらに掛止部に案内保持部材を保持させておくことができる。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、掛止孔に対しての掛止フックの引っ掛けを確実に行えるようにして締結構造の作業性を向上させる。
第2の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、掛止孔に対しての掛止フックの引っ掛けを行った後の螺子回しまでの間、締結ボルトを手で持たずに保持できるようにして締結構造の作業性を向上させる。
第3の発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造によれば、案内保持部材の掛止部への取り付けを簡単に行えることができつつ、さらに掛止部に案内保持部材を保持させておくことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造を実施するための各種の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、クランプ構造20にて固定保持されるバッテリ10を示す斜視図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図示記載のとおりでクランプ構造20に関する『上下前後左右』の方向を規定している。
図1は、フード(不図示)を開けた自動車のエンジン周りを示す図であり、バッテリトレー16に載置されるバッテリ10が固定保持されている。なお、
図1では、クランプ構造20を見え易くするために、このクランプ構造20に近接して設置されるエアクリーナや、バッテリ10の上側に設置されるカウルルーバ等の図示を省略している。
【0012】
バッテリ10は、一般の車両に搭載されるバッテリと同様、自動車の各種の電気制御を行うにあたって充放電可能に構成される。
図1に示すクランプ構造20は、バッテリ10上に配置されるバッテリークランプ21により、バッテリトレー16に載置されたバッテリ10をバッテリトレー16と挟み込んで、バッテリトレー16上でバッテリ10を固定保持する。なお、
図1に示す符号17はラジエータサポートであり、バッテリトレー16とともに自動車の骨格をなす車体フレームに固定される。バッテリ10を挟み込むように作用するクランプ機構30は、これらバッテリトレー16とバッテリークランプ21との間に配設されている。なお、バッテリークランプ21は、本発明に係るクランプ部材に相当する。このバッテリークランプ21は、バッテリ10の前後方向に延びて、バッテリ10の上面に対して適宜に面当接可能な形状を有して形成されている。バッテリークランプ21の前端は、ラジエータサポート17に一体に配設される雄螺子部251とナット252との間で挟み込まれ、ナット252にて螺子止めされている。バッテリークランプ21の後端は、後にも説明するが、締結ボルト41の基端(上端)側の雄螺子部461に螺合されるナット462により螺子止めされる。
【0013】
次に、第1の実施の形態となるクランプ機構30について説明する。クランプ機構30は、バッテリトレー16に載置されるバッテリ10をバッテリークランプ21にて締め付けるように作用する。クランプ機構30は、概略、掛止部31と、締結ボルト41と、案内保持部材50と、を備える。
図2は、掛止部31と案内保持部材50とを示す分解斜視図である。
図3(a)は、
図2の案内保持部材50単品の外観斜視図である。
図3(b)は、
図3(a)の案内保持部材50の(b)−(b)断面矢視を示す断面斜視図である。なお、
図2および
図3では、これら掛止部31と案内保持部材50とを前から後に向く斜視方向で見ている。
図4は、
図3(a)のIV−IV断面矢視を示す図である。
図5は、
図3(a)のV−V断面矢視を示す図である。
掛止部31は、
図2に示すように板形状をなす。この掛止部31は、
図1に示すように、下部がバッテリトレー16にスポット溶接等により固定されている。掛止部31の中間部には、掛止孔35が設けられている。この掛止孔35は、後に説明する案内保持部材50が取り付けられる。掛止孔35の孔形状は、従前のとおりのダルマ形にて形成されている。具体的には、
図2に示すように、掛止孔35は、下側に配置される嵌合用孔部351と、上側に配置される掛止用孔部352とを備える。嵌合用孔部351は、大径の略円形状をなして掛止孔35のうちの下側部分を形成している。掛止用孔部352は、嵌合用孔部351の上側に連接されて形成される。この掛止用孔部352は、嵌合用孔部351に比して小径となる略円形状をなして掛止孔35のうちの上側部分を形成している。なお、掛止孔35の嵌合用孔部351は、案内保持部材50を固定保持するために設けられており、掛止孔35の掛止用孔部352は、掛止フック43を掛止させるために設けられている。
【0014】
締結ボルト41は、従来例となるクランプ構造100の締結ボルト105と同様に構成される。この締結ボルト41の先端となる下端には、掛止孔35に引っ掛かる掛止フック43が設けられている。掛止フック43は、図示するように、側面視「レ」字あるいは側面視「J」字をなす鉤型にて形成されている。つまり、掛止フック43には、掛止フック先端45が上向くように、適宜に折り返される屈曲部44が設けられて構成される。これに対し、締結ボルト41の基端となる上端には、ナット462が螺合する雄螺子部461が設けられている。この雄螺子部461に螺合するナット462には、バッテリークランプ21の後端が係止する。掛止フック43が掛止孔35に引っ掛けられた状態で雄螺子部461に螺合するナット462を螺子回しすると、ナット462と掛止フック43との間の距離を縮ませる。ここで、この締結ボルト41の基端(上端)側は、バッテリークランプ21にて係止されているので、この結果、締結ボルト41を上方に移動させる。そうすると、バッテリークランプ21は、バッテリトレー16とによりバッテリ10を挟み込むように作用する。なお、ナット462は、本発明に係る雌螺子部材に相当する。また、
図2に示す符号45は、掛止フック先端である。なお、締結ボルト41のうち、下側に設けられる掛止フック43と、上側に設けられる雄螺子部461との間は、丸棒部47として設定されている。この丸棒部47は、丸棒形状にて形成される。
【0015】
次に、クランプ機構30の一部をなす案内保持部材50について説明する。
図1および
図2に示すように、掛止部31の掛止孔35には、案内保持部材50が設けられる。案内保持部材50は、樹脂成形品として形成される。この案内保持部材50は、掛止孔35に対する掛止フック43の引っ掛けをガイドする機能を有するとともに、掛止孔35に対する掛止フック43の引っ掛け状態を保持する機能を有する。案内保持部材50は、
図1および
図2に示すように、掛止部31に対して締結ボルト41配置側に張り出す張出し部51と、この張出し部51と一体に成形され且つ掛止孔35に差し込まれる差込部55とを備える。なお、以下では、説明の便宜上、締結ボルト41の先端を下端と表現し、その反対側の基端を上端と表現する場合がある。
張出し部51は、
図3(a)に示すように、上側には、掛止フック43が挿入される上側開口部52が設けられている。また、前側には、ガイドされる掛止フック先端45が移動する前側開口部53が設けられている。この張出し部51は、
図3(b)にも示すように、概略、テーパガイド部61と、前進ガイド部67とを備える。
【0016】
テーパガイド部61は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、上側開口部52から張出し部51の内部に挿入される掛止フック43を、締結ボルト41の下降移動にしたがってガイドする。このテーパガイド部61は、開口端テーパ部62と、内部テーパ部63とを備え、掛止フック43を張出し部51の内部に挿入し易くしている。開口端テーパ部62は、上側開口部52の開口周縁に設けられている。また、内部テーパ部63は、上側開口部52から張出し部51の内部に入った部分に設けられている。具体的には、これら開口端テーパ部62と内部テーパ部63とは、左右で対をなす傾斜形状を有して形成されている。この傾斜形状は、掛止フック43が下側に向かうに従って中心側に向かうように設定されている。また、
図5に示すように、内部テーパ部63の下側には、摺接ガイド面64が設けられている。この摺接ガイド面64は、下降移動する締結ボルト41に対して、幅方向両側で摺接可能に形成されている。このようにして、開口端テーパ部62と内部テーパ部63とは、締結ボルト41の下降移動に従って、掛止フック43の掛止する方向に沿った軸線が掛止孔35の挿入中心軸に沿ったものとなるように、掛止フック43を含めた締結ボルト41の下降移動をガイドする。つまり、これら開口端テーパ部62と内部テーパ部63を具備するテーパガイド部61は、掛止フック43の掛止孔35に対しての挿入方向を整えるガイドをする。
【0017】
前進ガイド部67は、
図3(b)に示すように、張出し部51の内部に挿入された掛止フック43が、締結ボルト41の下降移動にしたがって掛止孔35に向かうようにガイドする。具体的には、この前進ガイド部67は、下側にいくにしたがって前側に向かうように傾斜する形状を有している。このため、前進ガイド部67は、張出し部51の内部に挿入された掛止フック43に対して、掛止孔35の挿入方向に沿った後側(挿入方向後側)から摺接し、締結ボルト41を下降移動にしたがって掛止フック43を前進方向へ移動させる。このようにして、前進ガイド部67は、締結ボルト41の下降移動に従って、掛止フック43が掛止孔35に向かうようにガイド移動して、掛止孔35に対する掛止フック先端45の距離を縮める。なお、締結ボルト41を限界まで下降移動させた場合には、掛止フック先端45は限界まで前側にガイド移動することとなる。この際、掛止フック先端45は、前側の限界位置となる前端位置に位置しており、掛止孔35に挿入された状態となる。
【0018】
次に、差込部55について説明する。差込部55は、上記したダルマ形の掛止孔35に対応した略ダルマ形で差込可能に形成されている。このため、この差込部55は、掛止孔35に対して相対的に回転することなく取り付けることができる。すなわち、差込部55は、
図3(a)に示すように、下側に配置される嵌合用差込部56と、上側に配置される突出用差込部58とを備える。
嵌合用差込部56は、
図4に示すように、掛止孔35の嵌合用孔部351に対応した形状を有して形成されて嵌合用孔部351に嵌合可能に差し込まれる。この嵌合用差込部56の外壁には、係止爪57が設けられている。この係止爪57は、掛止孔35に差し込まれた差込部55を係止させる機能を有する。具体的には、係止爪57は、後側が弾性揺動できるように前側が嵌合用差込部56に連接支持され、テーパ外周面571と、後端係止面572とを備える。突出用差込部58は、掛止孔35の掛止用孔部352に対応した形状を有して形成され、この掛止用孔部352に差し込まれるようになっている。なお、板厚が相違する掛止部31が選択される場合であっても、これに対応できるように、係止爪57のテーパ外周面571および後端係止面572は適宜に設計されている。
突出用差込部58は、掛止孔35の掛止用孔部352に対応した形状を有して形成されて掛止用孔部352に差し込まれる。この嵌合用差込部56の上部には、掛止フック先端45が突き出される突出開口部59が設けられている。この突出開口部59により、掛止孔35に引っ掛けられる掛止フック先端45を上側に突き出させることができる。なお、この突出用差込部58には、後に詳述するボルト保持部76が設けられている。
【0019】
この差込部55の内部には、押上げ部71が設けられている。この押上げ部71は、掛止孔35に挿入された掛止フック先端45を下側から上側に押し上げて、掛止孔35に対する掛止フック43の引っ掛けを完了とする。具体的には、押上げ部71は、後側が弾性揺動できるように前側が突出用差込部58に連接支持されている。具体的には、押上げ部71は、ストッパ部72と、揺動部73と、当接部74とを備える。ストッパ部72は、押上げ部71のうち突出用差込部58に連接支持される前側の部分である。このストッパ部72は、立設される規制壁構造を有している。なお、このストッパ部72の規制壁構造は、掛止孔35に引っ掛けられる掛止フック43の倒れ込みを規制するように作用する。揺動部73は、連接支持されるストッパ部72から後側に延びて形成される。揺動部73は、差込部55の内部のうちの、嵌合用差込部56と突出用差込部58とを区画する範囲で延在されている。この揺動部73は、連接支持するストッパ部72を支点に、上下に弾性揺動できるように形成されている。この揺動部73の後端には、当接部74が設けられている。この当接部74は、掛止フック43が当接可能にされる略矩形にて形成されている。
【0020】
このようにして、掛止フック43が上記したテーパガイド部61と前進ガイド部67とにより、掛止孔35に向けて掛止フック先端45が前進することとなる。ここで、掛止フック43が、これ以上前進することのない前端位置に達すると、掛止フック先端45は掛止孔35に挿入された状態となる。加えて、この際の掛止フック43は、押上げ部71の揺動部73を下側に弾性変形させて当接部74に対して当接する。このため、締結ボルト41を下側へと押す力が無くなると、押上げ部71の揺動部73は弾性復元する。これにより、押上げ部71の当接部74は、この当接部74に当接する掛止フック43を下側から上側に押し上げて、掛止孔35に対して掛止フック先端45を引っ掛けた状態(引っ掛け完了)とする。なお、この押上げ部71は、自身の弾性力により、掛止フック先端45の掛止孔35に対する引っ掛かり状態を維持することができる。
【0021】
ところで、案内保持部材50には、ボルト保持部76が設けられている。このボルト保持部76は、上記した掛止孔35に掛止フック先端45が引っ掛け完了となった場合に、この掛止フック先端45を含む締結ボルト41を、この引っ掛け完了位置で保持する。このボルト保持部76は、上記した張出し部51と差込部55との両方に設けられている。すなわち、張出し部51の内部には、ボルト保持部76の一部をなす嵌合把持部77が設けられている。この嵌合把持部77は、上下方向に延びる締結ボルト41の丸棒部47の周面を嵌合させることにより締結ボルト41を把持する。この嵌合把持部77は、張出し部51のうち、引っ掛け完了となる締結ボルト41が位置する前側箇所に設けられている。なお、この嵌合把持部77の上端部分は、上記した内部テーパ部63が設けられる範囲に亘っている。
また、差込部55の内部には、ボルト保持部76の一部をなすフック規制壁78が設けられている。このフック規制壁78は、差込部55の突出用差込部58に設けられている。このフック規制壁78は、引っ掛けた状態(引っ掛け完了)の掛止フック43に対して幅方向両側で当接可能に立設されている。このフック規制壁78は、引っ掛けた状態(引っ掛け完了)の掛止フック43の幅方向の移動を規制するように作用する。また、上記したように規制壁構造をなすストッパ部72もボルト保持部76の一部をなす。このストッパ部72も、上記したように掛止フック43の倒れ込みを規制するように作用する。
【0022】
上記した実施の形態のバッテリ10の固定保持用のクランプ構造20によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記したバッテリ10の固定保持用のクランプ構造20によれば、掛止孔35には、掛止孔35に対する掛止フック43の引っ掛けをガイドし且つ引っ掛け状態を保持する案内保持部材50が設けられている。この案内保持部材50は、テーパガイド部61を備えるので、下降移動する締結ボルト41に対して幅方向両側から摺接して掛止孔35に対しての掛止フック43の向きを案内する。また、この案内保持部材50は、前進ガイド部67を備えるので、下降移動する締結ボルト41に対して挿入方向後側から摺接して掛止孔35に対しての掛止フック43の距離を縮めて掛止孔35に掛止フック43を挿入させる。また、この案内保持部材50は、押上げ部71を備えるので、テーパガイド部61と前進ガイド部67とによって掛止孔35に挿入された掛止フック43を挿入された前端位置で下側から上側に押し上げて引っ掛け完了とする。さらに、この案内保持部材50は、ボルト保持部76を備えるので、引っ掛け完了となった掛止フック43を含む締結ボルト41を引っ掛け完了位置で保持する。このようにして、案内保持部材50は、掛止孔35に対する掛止フック43の引っ掛けをガイドして掛止孔35に対しての掛止フック43の引っ掛けを確実に行えるようにする。また、案内保持部材50は、引っ掛け完了位置の締結ボルト41を保持して、この引っ掛けた後の螺子回しまでの間の締結ボルト41を手で持たずに保持できるようになる。
なお、以上のように締結ボルト41の掛止フック43を掛止孔35に引っ掛けた状態(引っ掛け完了)とした場合には、締結ボルト41の雄螺子部461に螺合されるナット462を螺子回し(
図1参照)することができる。このようにナット462を螺子回しすると、ナット462に対して締結ボルト41を相対的に上方移動させる。そうすると、
図1に示すように、バッテリトレー16とバッテリークランプ21とによりバッテリ10を挟み込むことができる。
【0023】
[第2の実施の形態]
次に、上記した第1の実施の形態の案内保持部材50の変形例について説明する。なお、以下に説明する第2〜第4の実施の形態の案内保持部材50A,50B,50Cにおいて、上記した第1の実施の形態の案内保持部材50と同一に構成される部分については、上記と同一の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態の案内保持部材50Aについて、
図6を参照しながら説明する。
図6では、第2の実施の形態の案内保持部材50Aを図示している。
図6(a)は、案内保持部材50A単品の外観斜視図である。また、
図6(b)は、
図6(a)の案内保持部材50Aの(b)−(b)断面矢視を示す断面斜視図である。
図6に示す案内保持部材50Aは、
図3に示す案内保持部材50と比較して、テーパガイド部61Aの構成と押上げ部71Aの構成とが、相違するものとなっている。すなわち、案内保持部材50Aのテーパガイド部61Aは、上記した第1の実施の形態と比較して、内部テーパ部63Aのみにて構成される。この内部テーパ部63Aは、弾性揺動可能に支持されている。つまり、この内部テーパ部63Aは、弾性変形させることによって、下降移動する締結ボルト41に対しての幅方向両側からの摺接力を高めている。これによって、下降移動する締結ボルト41に対しての幅方向両側から摺接をより確実にして、掛止孔35に対しての掛止フック43の向きの案内を、より確実なものとすることができる。なお、この内部テーパ部63Aに設けられる嵌合把持部77A(ボルト保持部76A)は、この弾性揺動可能な内部テーパ部63Aに設けられている。また、案内保持部材50Aの押上げ部71Aは、上記した第1の実施の形態と比較して、規制壁構造をなすストッパ部72Aがシンプルな形状にて形成されている。このようにシンプルな形状を選択すると、この案内保持部材50Aの成形工程の簡単化を図ることができて、生産性を高めることとなる。なお、この第2の実施の形態の案内保持部材50Aにあっても、上記した第1の実施の形態の案内保持部材50と略同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態の案内保持部材50Bについて、
図7を参照しながら説明する。
図7では、第3の実施の形態の案内保持部材50Bを図示している。
図7(a)は、案内保持部材50B単品の外観斜視図である。また、
図7(b)は、
図7(a)の案内保持部材50Bの(b)−(b)断面矢視を示す断面斜視図である。
図7に示す案内保持部材50Bは、
図3に示す案内保持部材50と比較して、テーパガイド部61Bの構成と嵌合把持部77B(ボルト保持部76B)の構成とが、相違するものとなっている。すなわち、案内保持部材50Bのテーパガイド部62B,63Bは、ガイドするための摺接部位が、面当接から線当接に代わっている。これによって、形状のシンプル化を図ることができる。また、案内保持部材50Bの嵌合把持部77B(ボルト保持部76B)は、弾性変形部位79Bを介した構造にて構成されている。これによって、上下方向に延びる締結ボルト41の丸棒部47の周面を嵌合させることにより締結ボルト41を把持するにあたり、弾性変形部位79Bの弾性力を利用することができて、より確実に把持することができる。なお、この第3の実施の形態の案内保持部材50Bにあっても、上記した第1の実施の形態の案内保持部材50と略同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態の案内保持部材50Cについて、
図8を参照しながら説明する。
図8では、第4の実施の形態の案内保持部材50Cを図示している。
図8(a)は、案内保持部材50C単品の外観斜視図である。また、
図8(b)は、
図8(a)の案内保持部材50Cの(b)−(b)断面矢視を示す断面斜視図である。
図8に示す案内保持部材50Cは、
図4に示す案内保持部材50Aと比較して、テーパガイド部61Cの構成と嵌合把持部77C(ボルト保持部76C)の構成とが、相違するものとなっている。すなわち、案内保持部材50Bのテーパガイド部61Cは、固定された内部テーパ部63Cのみにて構成される。これによって、テーパガイド部61Cの剛性を高めている。また、案内保持部材50Cの嵌合把持部77C(ボルト保持部76C)は、弾性変形部位79Cを介した構造にて構成されている。つまり、嵌合把持部77Cは、締結ボルト41の配置側に出没することができるようになっている。これによって、締結ボルト41が前端位置に位置した場合には、嵌合把持部77が締結ボルト41の後側に突き出して、この締結ボルト41の後側への移動を規制するようになっている。このように構成した場合には、締結ボルト41が前端位置に位置した場合に、締結ボルト41により押え込まれていた嵌合把持部77Cが内側に突き出るようになるので、この嵌合把持部77の内側への突き出しによりクリック感が生ずることとなる。つまり、組付け者にとって、締結ボルト41が前端位置に位置したことが分かり易くなり、この組付け作業性を向上させることとなる。なお、この第4の実施の形態の案内保持部材50Cにあっても、上記した第1の実施の形態の案内保持部材50と略同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
[第5の実施の形態]
次に、上記した第1〜第4の実施の形態とは相違する第5の実施の形態のクランプ構造20Dについて、
図10〜
図19を参照しながら説明する。なお、
図10は、第5の実施の形態のバッテリトレー26および案内保持部材80の斜視図である。なお、以下の説明で上記した実施の形態と略同様に機能する部分については同一の名称を用いている。
第5の実施の形態のバッテリトレー26にあっても、第1の実施の形態と同様のバッテリが載置される。このバッテリトレー26に載置されたバッテリは、第1の実施の形態と同様のバッテリークランプ(クランプ部材)にてバッテリトレー26とにより挟み込まれ、このバッテリトレー26の上で固定保持される。
図10に示す符号261はバッテリトレー26の載置面であり、符号262は、前後左右の4辺が上側に突き出される縦壁部である。縦壁部262の上端には、前後左右の外側に向けて張り出されるフランジ状のツバ部27が設けられている。なお、この縦壁部262が延びる方向が、本発明に係る掛止部の延在方向に相当する。また、この縦壁部262が延びる方向に沿って案内保持部材80を装着させる。この第5の実施の形態となるクランプ機構30Dにあっても、上記した第1の実施の形態のクランプ機構30と同様、概略、掛止部28と、締結ボルト(不図示)と、案内保持部材80と、を備える。ここで第5の実施の形態の掛止部28は、バッテリトレー26の後側の縦壁部262にて設定されている。この掛止部28には、案内保持部材80が取り付けられる。また、掛止部28には、ブッシュ282が取り付けられる掛止孔281が設けられている。
【0027】
掛止部28の上端には、案内保持部材80を装着させるように、ツバ部27の張出しが一部切欠かれたツバ切欠き部29が設けられている。なお、このツバ部27は、掛止部28に対して案内保持部材80の装着する上下方向と交差する後方向に向かって突き出されている。つまり、ツバ部27は、掛止部28に取り付けられた案内保持部材80の張出し部90に向けて突き出されている。このようにツバ切欠き部29が設けられたツバ部27は、後に説明する案内保持部材80を左側および右側で当接可能とする左側当接部271および右側当接部272が設けられる。なお、これら左側当接部271および右側当接部272の間に案内保持部材80が装着される。
図11〜
図14は、案内保持部材80の側面図、背面図、正面図、上面図である。また、
図15は、
図14の(XV)−(XV)断面矢視で装着させた案内保持部材80を模式的に示す断面図である。
図16は、
図14の(XVI)−(XVI)断面矢視で装着させた案内保持部材80を模式的に示す断面図である。
図17は、
図14の(XVII)−(XVII)断面矢視で装着させた案内保持部材80を模式的に示す断面図である。
図18は、
図12の(XVIII)−(XVIII)断面矢視で装着させた案内保持部材80を模式的に示す断面図である。
図19は、掛止孔281に対する掛止フック43の引っ掛けのガイドを模式的に示す断面図である。
【0028】
この案内保持部材80にあっても、
図19に示すように掛止孔281に対する掛止フック43の引っ掛けをガイドする機能を有するとともに、掛止孔281に対する掛止フック43の引っ掛け状態を保持する機能を有する。この案内保持部材80は、バッテリトレー26の内側に配置される内側支持部81と、バッテリトレー26の外側に張り出される張出し部90とを備える。これら内側支持部81と張出し部90とは、互いの上端を連接させる連接部85により樹脂材料により一体成形されている。つまり、これら内側支持部81と連接部85と張出し部90とは側面視コ字形をなしている。掛止部28に装着された案内保持部材80は、内側支持部81と張出し部90との間に、掛止部28をなす縦壁部262が配置される。
図12に示すように、内側支持部81は、上下左右方向に凸条で延びる複数のリブ82が設けられている。また、この内側支持部81の下部には、上記した掛止孔281に対応して切り欠かれた切欠き部83が設けられている。この内側支持部81の上端に連接部85と連なっている。
図14に示すように、連接部85にも、前後方向に凸条で延びる複数のリブ86が設けられている。
【0029】
連接部85の後側に、張出し部90が連なっている。この張出し部90の上部には、掛止フック43を挿入可能に開口される上側開口部91が設けられている。この上側開口部91から下側に向かう張出し部90の内部にも、上記した実施の形態と略同様の形状が設けられており、挿入された掛止フック先端45の移動をガイドするようになっている。具体的には、張出し部90の内部には、上側開口部91から下側に向かって形成されるテーパガイド部92(
図14参照)および前進ガイド部93(
図19参照)が設けられている。なお、テーパガイド部92は、上側開口部91から張出し部90の内部に挿入される掛止フック43を、締結ボルト41の下降移動にしたがってガイドする。つまり、テーパガイド部92は、左右で対をなして掛止フック43が下側に向かうに従って中心側に向かうように設定されている。また、前進ガイド部93は、張出し部90の内部に挿入された掛止フック43を締結ボルト41の下降移動にしたがって掛止孔281に向かうようにガイドする。つまり、前進ガイド部93は、掛止フック43に対して掛止孔281の挿入方向に沿った後側(挿入方向後側)から摺接して、締結ボルト41を下降移動にしたがって掛止フック43を前進方向へ移動させるように設定されている。
【0030】
ところで、案内保持部材80には、配置保持部95(951,952)が設けられている。この配置保持部95は、ツバ切欠き部29により設定された左側当接部271および右側当接部272に対して端部96(961,962)を当てることにより掛止部28に対しての案内保持部材80の配置状態を保持する機能を有する。具体的には、
図10の拡大図に示すように、配置保持部95(951,952)は、張出し部90の前面にて、左右方向で薄板を張り出すようにして形成される。左右個別に説明すると、張出し部90の前面901の左縁部分には、左方向で薄板に張り出される左側配置保持部951が設けられている。また、張出し部90の前面901の右縁部分には、右方向で薄板に張り出される右側配置保持部952が設けられている。これら左側配置保持部951および右側配置保持部952は、互いに対称となるように形成されており、互いに左右外側の方向に向かうにしたがって上部を次第に前側に向かわせる湾曲形状を有している。左右個別に説明すると、左側配置保持部951は、左上側が次第に前側に向いて湾曲されていく形状を有して形成され、その左上側端が当接する左上端部961として設定される。また、右側配置保持部952は、右上側が次第に前側に向いて湾曲されていく形状を有して形成され、その右上側端が当接する右上端部962として設定される。このような配置保持部95(951,952)の湾曲形状は、案内保持部材80を掛止部28に取り付けるに際して、この案内保持部材80を取り付けていくにしたがって縦壁部262から次第に押圧されていくように設定されている。具体的には、配置保持部95(951,952)のそれぞれの側辺98の湾曲形状は、案内保持部材80が掛止部28に取り付けられていくにしたがって、より縦壁部262と干渉する配置関係となる形状が選択されている。つまり、この側辺98の湾曲形状は、上側に向かうにしたがって当接される縦壁部262からより押圧されるように、縦壁部262と配置関係が干渉するように設定されている。
【0031】
これらの左右両側の配置保持部95(951,952)は、弾性変形可能な薄板にて形成されている。つまり、これらの配置保持部95は、自身の湾曲形状に抗して押圧して摺接できるようになっている。このように押圧可能な湾曲形状は、押圧されることにより容易に弾性変形させることができる。なお、押圧されていない配置保持部95は、通常の湾曲形状に復元される。具体的には、案内保持部材80を掛止部28に取り付ける場合には、配置保持部95(951,952)の側辺98がツバ部27に当てられることによって、この配置保持部95を弾性変形させる。このように配置保持部95は、ツバ部27を乗り越えるように弾性変形し、案内保持部材80が掛止部28に取り付けられた後には復元された通常の湾曲形状となる。このように復元された左右両側の配置保持部95(951,952)の端部96(961,962)は、左側当接部271および右側当接部272に当てられるようになっている。このように当てられた配置保持部95(951,952)の端部96(961,962)は、掛止部28に対する案内保持部材80の配置状態を保持する作用に寄与する。
【0032】
上記した配置保持部95(951,952)を含めた案内保持部材80の各部は、次のように掛止部28に対して当たることにより案内保持部材80の移動を規制する。すなわち、
図15に示すように、張出し部90の前面901は、縦壁部262の外側面に当接している。また、内側支持部81の後面811も縦壁部262の内側面に当接している。これによって、掛止部28に対する案内保持部材80の前側方向の移動は、張出し部90の前面901に当てられることにより規制される。また、掛止部28に対する案内保持部材80の後側方向の移動は、内側支持部81の後面811に当てられることにより規制される。つまり、掛止部28に対しての前後方向の移動が規制された案内保持部材80は、この掛止部28に対しての前後方向の配置状態が保持される。
また、
図16および
図17に示すように、左右両側の配置保持部95(951,952)の上側端縁971,972は、ツバ部27の下面273に当接している。つまり、これら上側端縁971,972は、上記した連接部85と共にツバ部27を挟み込んでいる。これによって、掛止部28に対する案内保持部材80の上側方向の移動は、配置保持部95の上側端縁971,972がツバ部27の下面273に当てられることにより規制される。また、掛止部28に対する案内保持部材80の下側方向の移動は、連接部85がツバ部27の上面275に当てられることにより規制される。つまり、掛止部28に対しての上下方向の移動が規制された案内保持部材80は、この掛止部28に対しての上下方向の配置状態が保持される。
【0033】
さらに
図18に示すように、左右両側の配置保持部95(951,952)の左上端部961および右上端部962は、ツバ部27の左側当接部271および右側当接部272に当てられる。これによって、掛止部28に対する案内保持部材80の左方向の移動は、左上端部961が左側当接部271に当てられることにより規制される。また、掛止部28に対する案内保持部材80の右方向の移動は、右上端部962が右側当接部272に当てられることにより規制される。つまり、掛止部28に対しての左右方向の移動が規制された案内保持部材80は、この掛止部28に対しての左右方向の配置状態が保持される。
このようにして、この第5の実施の形態のクランプ構造20Dによれば、配置保持部95(951,952)を含めた案内保持部材80の各部は、上記したように掛止部28に対して当たることによって案内保持部材80の相対移動を規制し、掛止部28に対しての案内保持部材80の配置状態を保持する。ここで、上記したように設定される配置保持部95(951,952)は、案内保持部材80を掛止部28に取り付ける場合にはツバ部27に左右両側の配置保持部951,952の側辺98を、湾曲方向に沿って当てることにより配置保持部95を弾性変形させてツバ部27を乗り越えさせることができる。また、この配置保持部95(951,952)は、案内保持部材80を掛止部28に取り付けた後には弾性変形を復元させて配置保持部95の端部96を当てることにより掛止部28に対する案内保持部材80の配置状態を保持可能とする。これによって、案内保持部材80の掛止部28への取り付けを簡単に行えることができつつ、さらに掛止部28に案内保持部材80を保持させておくことができる。
【0034】
なお、本発明に係るバッテリ固定保持用のクランプ構造にあっては、上記した実施の形態に限定されることなく、適宜箇所を変更して構成するようにしてもよい。すなわち、上記した実施の形態のクランプ機構30の案内保持部材50としては、上記した第2〜第5の実施の形態のように適宜箇所を変更するものであってもよい。つまり、本発明に係る案内保持部材としては、上記した例に限定されることなく、適宜の形状を選択することができる。