特許第6115965号(P6115965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115965
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】低遅延タッチ入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20170410BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   G06F3/0488 130
   G06F3/041 595
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555577(P2014-555577)
(86)(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公表番号】特表2015-505630(P2015-505630A)
(43)【公表日】2015年2月23日
(86)【国際出願番号】US2013022614
(87)【国際公開番号】WO2013116047
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】13/365,169
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ラージ,ティモシー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】バシチェ,スティーヴン ナビル
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ,ポール ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】リン,バーナード ケー.
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−197634(JP,A)
【文献】 特開2012−234538(JP,A)
【文献】 特開2010−230935(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/138568(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0036176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048 − 3/0489
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力装置であって、
当該タッチ入力装置への入力として筆記を受信するタッチスクリーンディスプレイと、
前記タッチスクリーンディスプレイに重なる物理層であり、前記筆記を受け取ったことに応答して、前記入力を処理して前記筆記のデジタル表現を前記タッチスクリーンディスプレイ上に生成する前に、前記筆記を一時的に表示するように構成される物理層と、
前記入力及び前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記筆記の場所を処理したことに応答して、前記タッチスクリーンディスプレイ上の表示のために前記筆記のデジタル表現を生成するデジタイザーであって、前記筆記の前記デジタル表現は、前記物理層上に一時的に表示される前記筆記を置換するために生成される、デジタイザーと、
前記入力を前記デジタイザーに送信して前記筆記の前記デジタル表現を生成させ、前記タッチスクリーンディスプレイ上の前記筆記の場所を処理のために前記デジタイザーに送信し、前記筆記が前記物理層から完全に削除される前に、前記筆記の前記デジタル表現を前記タッチスクリーンディスプレイ上に描画するコントローラであって、当該タッチ入力装置に対して、前記筆記が前記物理層上で位置している場所と同じ前記タッチスクリーンディスプレイ上の場所に、前記筆記の前記デジタル表現を描画するように構成され、前記筆記の前記デジタル表現が前記タッチスクリーンディスプレイ上に描画されている間に、前記物理層を一定の時間間隔でリフレッシュすることにより、前記筆記を前記物理層から削除する、コントローラと、
を含むタッチ入力装置。
【請求項2】
前記物理層は、前記デジタイザーが前記筆記の前記デジタル表現生成する前に、前記筆記を瞬時に表示するように更に構成される、
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項3】
当該タッチ入力装置は、スタイラス、電子ペン、ライトペン又はユーザの指が前記タッチスクリーンディスプレイに接触するときに入力として前記筆記を受信するように構成される、
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項4】
記コントローラは、前記物理層を電気的にリフレッシュすることにより、前記筆記を前記物理層から削除するように構成される
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項5】
前記物理層は、感圧コレステリック液晶層を含み、筆記具からの圧力が前記感圧コレステリック液晶層に加えられると前記筆記を一時的に表示する、
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項6】
前記物理層は発光層を有し、光源を含む筆記具が前記発光層に接触すると一時的に前記筆記を表示する、
請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項7】
タッチ入力装置への入力として筆記を受信する工程であって、前記タッチ入力装置は、タッチスクリーンディスプレイと、該タッチスクリーンディスプレイに重なる物理層を含み、前記タッチスクリーンディスプレイ上の場所は前記物理層上の場所に対応する工程と、
前記筆記を受け取ったことに応答して、前記入力を処理して前記筆記のデジタル表現を前記タッチスクリーンディスプレイ上に生成する前に、前記タッチ入力装置の前記タッチスクリーンディスプレイに重なる前記物理層上に前記筆記を一時的に表示する工程と、
前記入力を処理して前記筆記のデジタル表現を生成する工程と、
前記一時的に表示された筆記が前記物理層から完全に削除される前に、前記タッチスクリーンディスプレイ上に前記筆記の前記デジタル表現を描画する工程であって前記筆記が前記物理層上で位置している場所と同じ前記タッチスクリーンディスプレイ上の場所に、前記筆記の前記デジタル表現を描画する、描画工程と、
前記入力を処理して前記筆記の前記デジタル表現を生成するのにかかる時間、及び前記筆記の前記デジタル表現を描画するのにかかる時間に基づく時間間隔で、前記一時的に表示された筆記を前記物理層から削除する削除工程と、
を含むコンピュータ実行方法。
【請求項8】
前記削除工程が、
前記筆記を経時的に劣化させて前記物理層から前記筆記を削除する工程、
更に含む、請求項7に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項9】
プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、請求項7又は8に記載のコンピュータ実行方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タブレット装置又はクレジットカード署名装置などの従来のタッチ入力装置は、タッチスクリーンディスプレイを備える。タッチスクリーンディスプレイでは、ユーザはスタイラス、電子ペン又はユーザの指などの筆記具を用いて書くことができる。しかしながら、典型的なタッチ入力装置は約100msの遅延がある。遅延とは、タッチスクリーンディスプレイを介して受信した筆記とタッチスクリーンディスプレイ上に描画される筆記のデジタル表現との間の遅れである。電気泳動などの低速度表示装置では、この遅れが更に長くなり得る。タッチスクリーンディスプレイ上に描画されたデジタル表現は、筆記具の瞬時的な位置に直接リンクされないため、この遅延によりタッチ入力装置上で書きづらくなる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書では、低遅延タッチ入力装置の実施形態を説明する。低遅延タッチ入力装置は該装置への入力としての筆記を受信し、該装置のタッチスクリーンディスプレイに重なる物理層上に筆記を一時的に表示させる。タッチ入力装置が入力を処理する前に、筆記は物理層上に瞬時に表示される。次に、低遅延タッチ入力装置は入力を処理して筆記のデジタル表現を生成し、該筆記のデジタル表現をタッチスクリーンディスプレイ上に描画して物理層上に表示された該筆記を置き換える。
【0003】
本発明の概要は、以下の発明の詳細な説明でより詳しく説明する簡潔な概念を簡潔な形で紹介するために設けられている。本発明の概要は、特許請求する主題の本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求する主題の範囲を決定するために用いられるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
低遅延タッチ入力装置の実施形態を下記図面を参照して説明する。同様の特徴及びコンポーネントを参照するため、同じ番号を図面全体で使用する。
図1】低遅延タッチ入力装置が実施される一環境例を示す図である。
図2a】低遅延タッチ入力装置の詳細な一実施例を示す図である。
図2b】低遅延タッチ入力装置の詳細な一実施例を示す図である。
図3】低遅延タッチ入力装置を制御する一方法例を示す図である。
図4】低遅延タッチ入力装置の技術が実施される一装置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[全体像]
タブレット装置又はクレジットカード署名装置などの従来のタッチ入力装置は、ユーザがスタイラス、電子ペン又はユーザの指といった筆記具を用いて書くことができるタッチスクリーンディスプレイを備えている。例えば、タブレット装置ではユーザが手書きのメモを取ることが可能である。同様に、クレジットカード署名装置はユーザがクレジットカードを使用して買い物をした後、ユーザの署名を受け取るために用いられる。
【0006】
しかしながら、典型的なタッチ入力装置では、タッチスクリーンディスプレイを介して受信した筆記とタッチスクリーンディスプレイ上に描画された筆記のデジタル表現との間に遅延がある。電気泳動などの低速度表示装置では、この遅れがさらに長くなり得る。この遅延により、筆記のデジタル表現がユーザの動きよりも遅れて現れる。これが、タッチスクリーンディスプレイ上に描画されたデジタル表現と手の動きを調整するユーザの脳内のフィードバックループを破壊する。この影響は遅延聴覚フィードバックと類似しており、これは、吃音の原因として広く知られている。遅延は通常、センサプロセッサ、内部バス、コアプロセッサ、表示バッファそしてタッチスクリーンディスプレイ上に物理的に書くための時間を含むサブコンポーネントにおけるわずかな時間的遅れの蓄積である。このように、遅延により従来のタッチ入力装置のタッチスクリーンディスプレイ上に筆記することが困難になる。
【0007】
本明細書は遅延の影響を緩和あるいは除去する低遅延タッチ入力装置を説明する。低遅延タッチ入力装置は、該装置のタッチスクリーンディスプレイに重なる物理層上に筆記具を用いて書くとき、該装置への入力として筆記を受信する。タッチ入力装置が入力を処理する前に、筆記を受信すると、物理層は一時的かつ瞬時に筆記を表示する。ある実施形態において、筆記を受信すると、物理層は50ミリ秒未満で筆記を表示することができる。筆記を瞬時に表示することで、ディスプレイ上の筆記表示とユーザの手の動きを調整するユーザの脳内のフィードバックループが破壊されない。次に、低遅延タッチ入力装置は入力を処理して筆記のデジタル表現を生成し、タッチスクリーンディスプレイ上の該筆記のデジタル表現を描画して物理層上に表示された筆記を置き換える。
【0008】
[環境例]
図1は低遅延タッチ入力装置を実施することができる環境100の例を示す。環境100は、本実施例ではタブレット装置として示される低遅延タッチ入力装置(タッチ入力装置)102を含む。しかし、タッチ入力装置102は、例えばクレジットカード署名装置、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、テレビ装置又はデスクトップコンピュータがあり、これらに限定されない、タッチスクリーンディスプレイを介して入力を受信するように構成されるあらゆる装置として実施することができるということを理解すべきである。
【0009】
低遅延タッチ入力装置102はプロセッサ104及びメモリ媒体108及び記憶媒体110を有するコンピュータ読み取り可能媒体106を含む。コンピュータ読み取り可能命令としてコンピュータ読み取り可能媒体106に埋め込まれたアプリケーション及び/又はオペレーションシステム(図示しない)は、プロセッサ104により実行することができ、本明細書で説明する一部あるいは全ての機能を提供する。コンピュータ読み取り可能媒体は、タッチ入力装置102により受信された筆記をデジタル表現に変換するデジタイザー112とコントローラ114とを含む。どのようにコントローラ114が実施され、そして、さまざまに使用されるか、ということが以下で議論する方法の一部として説明される。
【0010】
タッチ入力装置102はタッチスクリーンディスプレイ116も含む。タッチスクリーンディスプレイ116は、ユーザが筆記具118を使用してタッチ入力装置102上に書くときに入力として筆記を受信するように、そして該筆記のデジタル表現を表示するように構成される。本明細書で説明するように、“筆記具”という用語は、例えば、スタイラス、電子ペン、光源を備えたライトペン又はユーザの指があり、これらに限定されないタッチスクリーンディスプレイ116上に書くことができるようなあらゆる道具を指す。ある実施例では、タッチ入力装置は特にスタイラス、電子ペン又は光源を備え付けたライトペンを介して入力を受信するように構成されたペン入力装置でもよい。
【0011】
タッチスクリーンディスプレイ116は、筆記具118がタッチスクリーンディスプレイ116に重なる物理層120と接触するとき、入力としての筆記を受信するように実施することができる。たとえ筆記具118が物理層120と接触しても、タッチスクリーンディスプレイ116は入力を受信する。それゆえ、物理層120はタッチスクリーンディスプレイ116による入力として筆記を受信できるように曲げやすく透明であることができる。コントローラ114は、タッチスクリーンディスプレイ上で筆記としての入力が受信される場所を含む入力を、デジタイザー112に送信するデジタイザー112は、この入力を処理又は“デジタル化”して、筆記のデジタル表現を生成する。次に、コントローラ114はタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現を描画する。タッチスクリーンディスプレイ116は、例えば容量型タッチスクリーンディスプレイ、抵抗型タッチスクリーンディスプレイ、赤外線タッチスクリーンディスプレイ又は光学タッチスクリーンディスプレイがあり、これらに限定されないさまざまな種類のタッチスクリーンディスプレイとして実施することができる。
【0012】
さまざまな実施形態に従って、タッチ入力装置102がタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記の表示を処理し描画できる前に、筆記が受信されると物理層120は、一時的かつ瞬時に筆記を表示するように構成される。例えば、筆記を受信した後、物理層は筆記を50ミリ秒未満で表示することができる。一実施形態において、物理層120はタッチ入力装置102が入力を処理することなく即座に筆記を表示する感圧層として実施することができる。例えば、物理層120は瞬時に又は実質的に瞬時に物理層120と筆記具118との間の物理的接触に反応する光を発光又は反射させることができる。この方法で、タッチ入力装置102上の筆記によりユーザがタッチ入力装置上ではるかに簡単に書くことができると、ユーザは遅延なしに直ちにフィードバックを受け取ることができる。
【0013】
物理層120上に表示された筆記は、該筆記が完全に劣化あるいは物理層から削除される前に一時的に表示されるだけである。筆記が完全に劣化あるいは物理層から削除される前、あるいはまさにその時、タッチ入力装置102はタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現を描画する。筆記のデジタル表現は物理層120上に表示された筆記を置換する。ただし、ある実施形態において、物理層120上に表示された筆記及びタッチスクリーンディスプレイ116上に描画された筆記のデジタル表現は、ユーザにとっては区別できるものではないということを留意しなければいけない。これは、この筆記及び筆記のデジタル表現がタッチ入力装置102上の同一の、あるいは実質的に同一の場所を占有するからである。さらに、筆記を表示する物理層120と筆記のデジタル表現を表示するタッチスクリーンディスプレイ116との間の移行は、ユーザに知覚できるものではない。このように、ある実施形態では、ユーザにとって筆記が受信されるとタッチ入力装置102はあたかも筆記のデジタル表現を瞬時に行っているように見える。
【0014】
タッチ入力装置102はさまざまな異なる技術を用いて、一時的に物理層120上に筆記を表示することができる。一実施形態において、物理層120上に表示された筆記が時間と共に劣化する。例えば、物理層120上に表示された筆記は、該筆記が物理層120から完全に消えるまで、ゆっくりと時間が経つにつれ薄れ得る。劣化中、タッチ入力装置102はタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現を処理し、描画して、物理層120上に表示された筆記を置き換える。
【0015】
もう一方の実施形態において、物理層120は周期的に、例えば一定の時間間隔で、リフレッシュを行い、物理層上に表示された筆記を削除する。例えば、コントローラ114は2秒おきに物理層120をリフレッシュし、物理層から筆記を削除する。さらに、他の一実施形態において、コントローラ114は物理層120から筆記の削除を決定し、次に、物理層から筆記を削除する。コントローラ114はこの決定をさまざまな異なる方法で行う。例えば、ユーザが一定時間筆記を停止したり、ユーザが完全な単語を書いたり、あるいは、ユーザが新たな行で書き始めると、コントローラ114は物理層から筆記の削除を決定することができる。他の実施例のとして、コントローラ114はタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現を処理及び描画するのにかかる時間に基づく時間間隔で、物理層から筆記を削除することを決定することができる。
【0016】
他の実施例のとして、コントローラ114は、例えばユーザの電子書籍のページをめくるといったユーザ操作に応じて物理層120から筆記の削除を決定することができる。例えば、ユーザが電子書籍のページにメモを取ると、該メモは物理層120上に瞬時に表示される。次に、ユーザが電子書籍の次のページに進むと、該メモは物理層120から削除される。後でユーザが該ページに戻る場合、メモのデジタル表現はタッチスクリーンディスプレイ116上に表示することができ、物理層120上に前回表示されたメモを置き換える。これらは、コントローラ114が物理層120から筆記の削除を決定することができる方法のほんの一部にすぎないということが理解されるべきである。
【0017】
筆記具が物理層と接触するとき、物理層120は筆記などの入力を瞬時に表示することができるあらゆる種類の材料で実施することができる。一例であり、これに限定されないが、タッチスクリーンディスプレイ116に重なり、筆記具からの圧力が感圧コレステリック液晶層に加えられると筆記を一時的に表示する感圧コレステリック液晶層として物理層120を実施することができる。物理層120が感圧コレステリック液晶層層として実施されると、物理層120は筆記具118から筆記を受信し、直ちに該筆記を表示することができる。次に、感圧コレステリック液晶層は周期的にリフレッシュを行い、タッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現によって置換される筆記の表示は電気的に削除される。
【0018】
他の実施例として、物理層120は光源によって接触されると、瞬時に光を反射するように構成される発光層として実施できる。本実施例において、ライトペンが発光層と接触すると光源から発光する光が直ちに反射されるように、光源を有するライトペンはタッチ入力装置102上への筆記用に使用される。このように、物理層120が発光層として実施されると、物理層120はライトペンから筆記を受信でき、直ちに該筆記を表示することができる。次に、筆記は経時的に劣化して発光材料から筆記の表示を削除することができる。タッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現は、この発光材料を置換することができる。
【0019】
図2a及び図2bはタッチ入力装置102上の筆記の詳細な実施例200を示す。図2aにおいて、202では、ユーザが“Joh”という文字をタッチ入力装置102上に筆記具118を用いて書く。タッチ入力装置102は筆記をユーザから受信すると瞬時に“Joh”という文字を表示する。しかし、筆記を受信した直後に、タッチスクリーンディスプレイ116が該筆記のデジタル表現を表示しないのは、204において、タッチ入力装置102が該筆記のデジタル表現をまだ処理及び描画していないからである。一方で、筆記が206で受信されると、物理層120は瞬時に文字“Joh”を表示する。ただし、物理層120はタッチスクリーンディスプレイ116に重なるので、202では、ユーザにとってまるで筆記のデジタル表現が瞬時に表示されるように見える。
【0020】
図2bに続いて、208では、ユーザが筆記具118を用いて文字“n”をタッチ入力装置102上に書く。ただし、210では、タッチスクリーンディスプレイ116は文字“Joh”のデジタル表現を現在行っている。しかし、タッチスクリーンディスプレイ116が、まだ文字“n”のデジタル表現を行っていないのは、タッチ入力装置102が文字“n”のデジタル表現をまだ処理及び描画していないからである。一方で、筆記が212で受信されると、物理層120は瞬時に文字“n”を表示する。しかし、この時点で、文字“Joh”は物理層120から削除される、あるいは、劣化処理の状態にある。ただし、物理層120はタッチスクリーンディスプレイ116に重なるので、208では、ユーザにとってまるで単語“John”のデジタル表現が瞬時に行われているように見える。
【0021】
[方法例]
図3は、低遅延タッチ入力装置を制御する方法300の例を示すフロー図である。ブロック302はタッチ入力装置への入力として筆記を受信する。例えば、タッチ入力装置102(図1)は筆記具118がタッチスクリーンディスプレイ116に重なる物理層120と接触するとき、入力として筆記を受信する。
【0022】
ブロック304では、タッチ入力装置のタッチスクリーンディスプレイに重なる物理層上で筆記を一時的に表示する。例えば、タッチスクリーンディスプレイ116に重なる物理層120は、筆記を一時的に表示する。タッチ入力装置が入力を処理する前に、物理層120は筆記を瞬時に表示することができる。
【0023】
ブロック306は入力を処理し、筆記のデジタル表現を生成する。例えば、デジタイザー112は入力を処理し、筆記のデジタル表現を生成する。ブロック308はタッチスクリーンディスプレイ上の筆記のデジタル表現を描画し、物理層上に表示された筆記を置換する。例えば、コントローラ114はタッチスクリーンディスプレイ116上の筆記のデジタル表現を描画し、物理層120上に表示された筆記を置換する。
【0024】
[装置例]
図4はこれまでの図1から図3を参照して説明したあらゆる種類のクライアント、サーバ、オンチップシステム及び/又はディスプレイ装置として実施することができる装置400の例のさまざまなコンポーネントを示し、低遅延タッチ入力装置を可能にする技術を実施する。実施形態において、装置400は、有線及び/又は無線装置、フラットパネルディスプレイの形態としてのヘッドマウントディスプレイ装置(例えば、眼鏡、サングラスなど)、テレビ、テレビクライアント装置(例えば、テレビ用セットトップボックス、デジタルビデオレコーダー(DVR)など)、消費者装置、コンピュータ装置、サーバ装置、ポータブルコンピュータ装置、ユーザ装置、通信装置、映像処理及び/又はレンダリング装置、アプライアンスデバイス、ゲーム機、電子機器及び/又はその他の種類の装置のいずれか1種又はこれらの組み合わせとして実施することができる。装置400は視聴者(例えば、人又はユーザ)及び/又は装置がユーザ、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は装置の組み合わせを含む論理装置を説明するように装置を操作するエンティティに関連する。
【0025】
装置400は装置データ404(例えば、受信データ、受信中のデータ、放送予定のデータ、データのデータパケットなど)の有線及び/又は無線通信を可能にする通信装置402を含む。装置データ404又はその他のデバイスコンテンツは、装置、装置に記憶されたメディアコンテンツ及び/又は装置のユーザに関連する情報の構成設定を含むことができる。装置400に記憶されたメディアコンテンツは、あらゆる種類の音声、映像及び/又は画像データを含むことができる。装置400は、1つ以上のデータ入力406を含み、このデータ入力406を介して、例えば、ユーザによる選択が可能な入力、メッセージ、音楽、テレビメディアコンテンツ、録画映像コンテンツ、そしてあらゆるコンテンツ及び/又はデータソースから受信したあらゆる種類の音声、映像及び/又は画像データなどのあらゆる種類のデータ、メディアコンテンツ及び/又は入力が受信され得る。
【0026】
装置400は通信インターフェース408も含む。通信インターフェース408は1つ以上のシリアル及び/又はパラレルインターフェース、無線インターフェース、あらゆる種類のネットワークインターフェース、モデムそしてその他あらゆる種類の通信インターフェースとして実施することができる。通信インターフェース408は接続及び/又は通信リンクを装置400と通信ネットワークとの間にもたらし、これにより、他の電子装置、コンピュータ装置及び通信装置が装置400とデータを通信できる。
【0027】
装置400は1つ以上のプロセッサ410(例えば、マイクロプロセッサ、コントローラなどのいずれか)を含み、これらはさまざまなコンピュータ実行可能命令を処理し、装置400の動作を制御して、低遅延タッチ入力装置を実施する技術を可能にする。あるいは、又は追加的に、装置400は、ハードウェア、ファームウェア又は一般に412で特定される処理及び制御回路に関連して実施される固定論理回路の1つあるいは組み合わせで実施できる。図示していないが、装置400はデバイス内でさまざまなコンポーネントに結合するシステムバス又はデータ転送システムを含むことができる。システムバスは、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、ユニバーサルシリアルバス及び/又はプロセッサあるいはさまざまなバスアーキテクチャを利用するローカルバスなどの異なるバス構造の1つ又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0028】
装置400は永久的及び/又は非一時的データ記憶(つまり、単なる信号伝送とは対照的)を可能にする1つ以上のメモリ装置などのコンピュータ読み取り可能記憶媒体414も含む。例として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性メモリ(例えば、1つ以上の読み取り専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなど)及びディスク記憶装置を含む。ディスク記憶装置はハードディスクドライブ、追記型及び/又は書き換え型コンパクトディスク(CD)、あらゆる種類のデジタル多用途ディスク(DVD)などのあらゆる種類の磁気又は光学式記憶装置として実施することができる。
【0029】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体414はデータ記憶機構を提供し、さまざまなデバイスアプリケーション418及び装置400の動作態様に関連するあらゆる種類の情報及び/又はデータと共に、デバイスデータ404を記憶する。例えば、オペレーティングシステム420はコンピュータアプリケーションとしてコンピュータ読み取り可能記憶媒体414とともに保持され、プロセッサ410上で実行することができる。デバイスアプリケーション418は、あらゆる形態の制御アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、信号処理及び制御モジュール、特定の装置のネイティブコード、特定の装置用のハードウェア抽象化レイヤーなどのデバイスマネージャーを含むことができる。
【0030】
デバイスアプリケーション418はあらゆるシステムコンポーネント又はモジュールを含み、低遅延タッチ入力装置を利用あるいは可能にする技術を実施する。本実施例において、デバイスアプリケーション418はデジタイザー112及び低遅延タッチ入力装置を制御するためのコントローラ114を含むことができる。
【0031】
[結論]
本明細書は低遅延タッチ入力装置の実施形態を説明する。構造的特徴及び/又は方法的行為(methodological act)に特有な文言で本発明について説明したが、当然のことながら、添付した特許請求の範囲に定めた本発明は、説明した具体的な特徴や行為に必ずしも限定されるわけではない。むしろ、具体的な特徴や行為は、特許請求する発明を実施する形態の例として開示したに過ぎない。
図1
図2a
図2b
図3
図4