特許第6115983号(P6115983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6115983固形燃料供給装置および固形燃料燃焼装置および加温装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6115983
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】固形燃料供給装置および固形燃料燃焼装置および加温装置
(51)【国際特許分類】
   F23B 40/02 20060101AFI20170410BHJP
   F23B 50/12 20060101ALI20170410BHJP
   F23K 3/00 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F23B40/02
   F23B50/12
   F23K3/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-229619(P2012-229619)
(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-81156(P2014-81156A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】594189279
【氏名又は名称】株式会社木原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 新悟
(72)【発明者】
【氏名】木原 利昌
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−190986(JP,A)
【文献】 特開2003−254521(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3176127(JP,U)
【文献】 実開昭56−58109(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第2105660(EP,A2)
【文献】 実開昭57−12536(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 40/02
F23B 50/12
F23K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の固形燃料を燃焼させて熱エネルギーを得るための固形燃料燃焼装置に付設されて,その燃焼室に前記固形燃料を送給するための固形燃料供給装置であって、
上部開口と側方開口とを備える筒体からなり,前記側方開口が前記燃焼室に接続されるシューターと、このシューターの前記上部開口又はその近傍に枢設されて前記上部開口の開閉を行うとともに,前記上部開口に供給された前記固形燃料を受け止めて前記シューターの中空部内に前記固形燃料を送給するダンパーと、前記側方開口又はその近傍に枢設されて前記ダンパーから供給される前記固形燃料を受け止めて,前記側方開口から前記燃焼室に前記固形燃料を送給する固形燃料送り部と、前記ダンパーを駆動させる第1の駆動機構と、前記固形燃料送り部を駆動させる第2の駆動機構とを有し、
前記固形燃料送り部は、平板状の受け部と、この受け部の端部に当接するストッパーとからなる断面L字体であり、
前記ダンパーが回動して傾斜した後に,前記固形燃料送り部の回動動作が行なわれ
この回動動作時に前記固形燃料送り部は前記燃焼室側に迫り出し、かつ、前記受け部が上下反転した状態になることを特徴とする固形燃料供給装置。
【請求項2】
前記側方開口又はその近傍は前記シューターの前記中空部と前記燃焼室とを間仕切る遮蔽板を開閉可能に備えていることを特徴とする請求項1記載の固形燃料供給装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は前記側方開口又はその近傍に枢設され、
前記固形燃料送り部を回動可能に支持する枢軸は、前記遮蔽板を押し上げるための扇形の押上げ部を具備し、
前記固形燃料送り部の回動動作に連動して前記押上げ部が回動動作して前記遮蔽板を開閉動作させることを特徴とする請求項2に記載の固形燃料供給装置。
【請求項4】
固形燃料を燃焼させる燃焼室と,前記燃焼室の一部に形成される固形燃料投入口と,を備える燃焼設備と、
前記固形燃料投入口に前記固形燃料を搬送して投下する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料供給装置とを有することを特徴とする固形燃料燃焼装置。
【請求項5】
請求項4記載の固形燃料燃焼装置と、
この固形燃料燃焼装置により加熱された空気により直接又は間接的に加温される加温室とを有することを特徴とする加温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪等の固形燃料を燃焼させて熱エネルギーを得るための燃焼装置に付設されて、燃焼室内に薪等の固形燃料を滞留させることなく、かつ、所望の向きで供給することのできる固形燃料供給装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農産物等の乾燥装置に用いられる燃料は主に灯油であるが、山野を所有する農家にとっては、間伐材等からなる薪の入手が比較的容易なため、この薪を燃料として用いたいというニーズがあった。
他方、例えば、農産物等の乾燥装置(加温装置)の燃料として薪を使用する場合、その固形燃料燃焼装置に一定時間毎に薪を投入する作業を行う必要があり煩雑であった。
このような事情に鑑み、本願出願人は過去に、固形燃料燃焼装置に付設されて、薪等の固形燃料を保管することができ、人の手に因らず自動で搬送して投下することができる「固形燃料保管搬送装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置」(特許文献1)を発明した。
ここで、本願出願人により発明された従来技術(特許文献1に開示される発明)を、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは特許文献1中に開示される符号をそのまま用いて説明する。
【0003】
図3は従来技術に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の正面図である。また、図4図3中に記載される従来技術に係る固形燃料燃焼装置及び加温装置の垂直方向断面図である。なお、図3は特許文献1中に開示される図5と同じであり、図4は特許文献1中に開示される図6と同じである。
図3,4に示すように、従来技術に係る加温装置33は、大まかに固形燃料保管搬送装置1と、この固形燃料保管搬送装置1から供給される固形燃料7を燃焼させて熱エネルギーを発生させるための固形燃料燃焼装置11と、この固形燃料燃焼装置11において発生した熱エネルギーを間接的に利用して、例えば、農産物等を加熱又は乾燥するための加温室27を備えてなるものである。
このような従来技術に係る加温装置33では、固形燃料7は固形燃料保管搬送装置1からシューター15に投下され、このシューター15の内部空間に配設されるガイド板18上を転がるか滑り落ちながら移動して、燃焼室13の斜め上方から燃焼室13の内に供給される仕組みになっている。
この場合、図4に示すように、燃焼室13内の燃焼床19上に、棒状の固形燃料7が載置された状態で供給されれば何ら問題はないのであるが、このように供給できない場合もあった。
より具体的には、ガイド板18上で棒状の固形燃料7の動きが止まってしまい、燃焼室13に固形燃料7が導出されないでシューター15内に滞留してしまうケースがあった。また、運良くシューター15内から燃焼室13に固形燃料7を導出できた場合でも、図4に示すように、燃焼室13の内壁に固形燃料7である薪が立て掛けられたような状態になってしまい、上手く燃焼させることができないケースもあった。
【0004】
前者の場合は、燃焼室13内に必要な固形燃料7が供給されないので、加温室27の温度を所望範囲に維持できないという課題があった。また、この場合、シューター15内に滞留している固形燃料7のせいで、後から投入された固形燃料7までもがシューター15内に滞留してしまったり、シューター15内に溜まった固形燃料7が一度に燃焼室13に供給されることで、加温室27の温度が過剰に上昇するという不具合が起きることがあった。
後者の場合は、燃焼室13内に固形燃料7である薪が燃焼に適した向きで供給されないことで、加温室27内の温度を所望範囲に維持できないという不具合があった。
従って、上述のような不具合を解消するために、燃焼室13内に所望の向きを保って固形燃料7を供給できる設備、すなわち、棒状の固形燃料7の伸長方向を水平にしながら燃焼室13の燃焼床19上に供給する技術が必要であった。
本願発明と同一の解決すべき課題を有する先行技術は現時点では発見されていないが、関連する技術分野の先行技術としては以下に示すようなものが開示されている。
【0005】
特許文献2には「連続運転ができる薪ボイラー」という名称で、設備費や燃料費コストが安価でかつ連続運転が可能なボイラーに関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案である燃焼装置は、薪あるいは竹等の固形燃焼材料を固定架台上にセットし、直線もしくは回転的に薪を移動させ、所定の位置で落下又は取り出すことが可能な薪の搬送装置を備えたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、薪ボイラーを夜間自動で連続運転させることが出来るので、燃料代の大幅な削減が期待できる。また、薪を供給するための手間及びそのためのコストも削減できる。
【0006】
特許文献3には「薪の自動供給を行う椎茸乾燥機用燃焼炉」という名称で、薪専用又は薪と油の兼用燃焼炉に関する考案が開示されている。
特許文献3に開示される考案である椎茸乾燥機用燃焼炉は、前面に開口部を設け、後部上面に燃焼ガスの上昇口を突出させた円筒炉の側面に、円筒炉の長手方向に副わせて、上端を開閉蓋とした薪収納ホッパーを設け、この薪収納ホッパーの下部を、円筒炉の側面の切り取り口に向けて斜め下に傾斜湾曲させ、該傾斜部の下端を円筒炉に結合することを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3に開示される考案によれば、円筒炉内に入った薪が燃焼し尽すと、その後に薪収納ホッパーから次の薪が炉内に自動的に供給される。よって、特許文献3に開示される考案によれば、人手によらず燃焼炉に自動で薪を供給することができ、手間のかからない椎茸乾燥機を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−190986号公報
【特許文献2】実用新案登録第3170314号公報
【特許文献3】実開昭56−18545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示される考案は、先に述べた特許文献1に開示される発明と同様の課題を有している。
【0009】
特許文献3に開示される考案は、特許文献1に開示される発明のように燃焼設備12と固形燃料保管搬送装置1とが分離した状態で配設されないので、本願発明が有するような解決すべき課題をそもそも有していない。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、棒状の固形燃料を、シューター内に滞留させることなく、かつ、所望の向きを維持させながら燃焼室内に供給することのできる固形燃料供給装置およびそれを用いた固形燃料燃焼装置およびそれを用いた加温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である固形燃料供給装置は、棒状の固形燃料を燃焼させて熱エネルギーを得るための固形燃料燃焼装置に付設されて,その燃焼室に固形燃料を送給するための固形燃料供給装置であって、上部開口と側方開口とを備える筒体からなり,側方開口が燃焼室に接続されるシューターと、このシューターの上部開口又はその近傍に枢設されて上部開口の開閉を行うとともに,上部開口に供給された固形燃料を受け止めてシューターの中空部内に固形燃料を送給するダンパーと、側方開口又はその近傍に枢設されてダンパーから供給される固形燃料を受け止めて,側方開口から燃焼室に固形燃料を送給する固形燃料送り部と、ダンパーを駆動させる第1の駆動機構と、固形燃料送り部を駆動させる第2の駆動機構とを有し、固形燃料送り部は、平板状の受け部と、この受け部の端部に当接するストッパーとからなる断面L字体であり、ダンパーが回動して傾斜した後に,固形燃料送り部の回動動作が行なわれ、この回動動作時に固形燃料送り部は燃焼室側に迫り出し、かつ、受け部が上下反転した状態になることを特徴とするものである。
上記構成の請求項1記載の発明において、シューターは、その上部開口から側方開口に固形燃料を導くという作用を有する。また、ダンパーは、シューターの上部開口に供給される棒状の固形燃料を受け止めるとともに、第1の駆動機構により回動されて、受け止めた固形燃料をシューターの中空部内へ投下するという作用を有する。さらに、固形燃料送り部は、ダンパーの回動動作によりシューターの上部開口側から落下してきた固形燃料を受け止めるという作用を有する。次に、固形燃料送り部は、第2の駆動機構により回動されて、受け止めた固形燃料を固形燃料燃焼装置の燃焼室へ投下するという作用を有する。そして、第1の駆動機構はダンパーを、第2の駆動機構は固形燃料送り部をそれぞれ作動させるという作用を有する。
加えて、ダンパーと、固形燃料送り部とを、この順序で作動させることで、シューターの上部開口から側方開口にスムースに固形燃料を移動させるという作用を有する。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の固形燃料供給装置であって、側方開口又はその近傍は,シューターの中空部と燃焼室とを間仕切る遮蔽板を開閉可能に備えていることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1に記載の発明と同じ作用を有する。加えて、シューターの側方開口又はその近傍に、開閉可能に設けられる遮蔽板は、燃焼室において発生する熱気がシューター内へ流入するのを妨げるという作用を有する。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の固形燃料供給装置であって、
遮蔽板は,側方開口又はその近傍に枢設され、固形燃料送り部を回動可能に支持する枢軸は、遮蔽板を押し上げるための扇形の押上げ部を具備し、固形燃料送り部の回動動作に連動して押上げ部が回動動作して,遮蔽板を開閉動作させることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項2に記載の発明と同じ作用を有する。加えて、固形燃料送り部に設けられる押し上げ部の円弧状の外縁は、固形燃料送り部の回動動作に伴って、遮蔽板に当接して、遮蔽板を押し上げながら開くという作用を有する。また、固形燃料送り部が逆回動されて、押し上げ部と遮蔽板との当接が解除されることで、遮蔽板は自重により閉じた状態になる。
【0014】
請求項4記載の固形燃料燃焼装置は、固形燃料を燃焼させる燃焼室と,燃焼室の一部に形成される固形燃料投入口と,を備える燃焼設備と、固形燃料投入口に固形燃料を搬送して投下する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料供給装置とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、燃焼室は投入された固形燃料を燃焼させて熱を発生させるという作用を有する。また、燃焼室における固形燃料投入口は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料供給装置から投下された固形燃料の受け入れ口である。さらに、固形燃料供給装置は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用を有する。
【0015】
請求項5記載の加温装置は、請求項4記載の固形燃料燃焼装置と、この固形燃料燃焼装置により加熱された空気により直接又は間接的に加温される加温室とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、固形燃料燃焼装置は、請求項4記載の発明の作用を有する。また、加温室は固形燃料燃焼装置により直接又は間接的に加熱された空気が供給されることで、その内部に収容される乾燥対象物、又は、加熱対象物を乾燥させたり、加温するという作用を有する。
特に、固形燃料燃焼装置により間接的に空気を加熱する場合は、熱交換器を備えることで、燃焼室内において発生した臭気や灰、あるいは、すす等が熱気とともに加温室内に送給されるのを妨げるという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、ダンパー及び固形燃料送り部を用いることで、燃焼室内に確実に棒状の固形燃料を送給(投下)することができる。
これにより、シューターの上部開口に供給された固形燃料を、シューター内に滞留させることなく確実に燃焼室へ送り出すことができる。よって、必要時に確実に固形燃料を燃焼室に供給することができるので、燃焼室内の火力を所望の状態にコントロールすることができる。
また、固形燃料送り部を備えることで、シューターの側方開口の鉛直下方端部を跨ぐようにして固形燃料を燃焼室内に送り出すことができる。これにより、燃焼室に送給された固形燃料が、燃焼室の内壁に立て掛けられたような状態になるのを防止できる。すなわち、燃焼室内において、シューターから送給された固形燃料の向きや載置場所が様々になるのを防止できる。この結果、燃焼室における固形燃料の配置を一定の状態にすることができ、燃焼室内の燃焼温度を所望範囲内に維持することが容易になる。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、シューターの側方開口又はその近傍に遮蔽板を備えることで、燃焼室内において発生した熱がシューターを通じて外部に漏れるのを防止できる。
この結果、燃焼室内において発生した熱のロスを少なくすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同じ効果に加えて、遮蔽板をシューターの側部開口又はその近傍に枢設するとともに、固形燃料送り部に押上げ部を設けることで、電力等の動力を用いることなく固形燃料送り部の作動と連動して遮蔽板を開閉させることができる。
これにより、請求項3記載の固形燃料供給装置の構造を簡素にできるとともに、遮蔽板を開閉させるための動力を節約できる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、固形燃料供給装置を備えることで、シューターの上部開口に供給された固形燃料を確実に燃焼室に送り届けることができる。この場合、シューター内において固形燃料が滞留することがなく、適切なタイミングで固形燃料を燃焼室内に供給することができる。この結果、請求項4に記載の固形燃料燃焼装置における発熱量の制御が容易になる。
また、請求項4に記載の発明によれば、燃焼室の内壁に立て掛けられたような状態で固形燃料が供給されるのを防止できる。すなわち、請求項4に記載の発明によれば、燃焼室内に棒状の固形燃料を、所望の向きを保ちながら供給することができる。
この結果、燃焼室における固形燃料の配置の違いにより、請求項4に記載の固形燃料燃焼装置における発熱量にバラツキが生じるのを防止できる。よって、この点からも請求項4に記載の固形燃料燃焼装置における発熱量の制御を容易にできる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、固形燃料燃焼装置の燃焼室における発熱量を好適に制御できる。
この結果、固形燃料供給装置から固形燃料燃焼装置に固形燃料が供給されないことによる意図しない温度低下や、固形燃料供給装置内に滞留した固形燃料がまとめて燃焼室に供給されることによる加温室の意図しない温度上昇、さらには、燃焼室内における固形燃料の配置が一定でないことによる加温室の意図しない温度変化が起こらないので、加温室の温度を所望範囲内に維持することが容易になる。
この結果、加温室内で乾燥又は加温されてなる被乾燥対象物への、意図しない温度変化による不具合の発生を防止できる。よって、請求項5に記載の加温装置によれば、高性能な加温装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係る固形燃料供給装置の断面図である。
図2】本発明の実施例に係る固形燃料燃焼装置およびそれを用いた加温装置の断面図である。
図3】従来技術に係る固形燃料保管搬送装置、並びに、固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の正面図である。
図4図3に記載される従来技術に係る固形燃料保管搬送装置、固形燃料燃焼装置及び加温装置の垂直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態に係る固形燃料供給装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置について実施例を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
実施例に係る固形燃料供給装置について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係る固形燃料燃焼装置およびそれを用いた固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の断面図である。
なお、図1では、本発明に係る固形燃料供給装置の作用、効果が理解され易いように、先に図3,4を用いて説明した従来技術に係る固形燃料燃焼装置11及びそれを用いた加温装置33における、シューター15及びそれに関わる構成を、そっくり本発明に係る固形燃料供給装置100に置き換えたものとして示した。
本実施例に係る固形燃料供給装置100は、図1に示すように、燃焼設備12における燃焼室13の鉛直斜め上方に形成される固形燃料投入口14に取設されるシューター101と、この内部に取設されるダンパー102及び固形燃料送り部104、そして、これらを駆動させるための第1の駆動機構106(後述の図2を参照)及び第2の駆動機構108(後述の図2を参照)から構成されるものである。
【0024】
より具体的には、シューター101は、屈曲又は湾曲した筒体からなり、このシューター101の側方開口101bと、燃焼室13の固形燃料投入口14とが連通している。また、シューター101の上部開口101a又はその近傍には、固形燃料保管搬送装置1から供給される固形燃料7を受け止めるとともに、シューター101の中空部内に送給するダンパー102が設けられている。さらに、シューター101の側方開口101b又はその近傍には、このダンパー102から送給される固形燃料7を受け止めて、燃焼室13内に投入する固形燃料送り部104が取設されている。
なお、図1に示す、ダンパー102及び固形燃料送り部104のそれぞれは、シューター101の中空部内に設けられる枢軸103,枢軸105のそれぞれを基軸に回動するよう構成されている。
本実施の形態に係る固形燃料供給装置100では、シューター101の上部開口101aが実質的に燃焼室13の固形燃料投入口14となっている。
【0025】
次に、図2を参照しながら本実施の形態に係る固形燃料供給装置100の詳細な構造及び作動機構について詳細に説明する。
図2は本発明の実施例に係る固形燃料供給装置の断面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例に係る固形燃料供給装置100のダンパー102は、図2に示すように、シューター101の上部開口101aの近傍でかつシューター101の内壁の近くに、枢軸103がシューター101を貫通して水平に(略水平の概念も含む)配設され、この枢軸103の周側面にシューター101の上部開口101aを開閉させる平板状の支持部102bが固設されたものである。さらに、このダンパー102の支持部102bの上面は、シューター101の上部開口101aに供給される棒状の固形燃料7を緩衝しながら受け止めるとともに、支持部102bが傾いた際に固形燃料を落下させるための平板状の載置部102aを備えている。
また、図2に示すように、本実施例に係る固形燃料供給装置100では、ダンパー102を回動させて固形燃料7をシューター101内に落下させる際に、支持部102b(及び載置部102a)を滑り台として利用できるように、枢軸103を燃焼設備12から離れる側のシューター101の内壁近傍に配設している。
さらに、ダンパー102の載置部102aを、シューター101の上部開口101aからやや奥まった位置に配設することで、シューター101の上部開口101aを形成する筒体の開口部を、固形燃料7の落下を防止するためのストッパーとして利用できる。
なお、平板状の支持部102bと、シューター101の上部開口101aとの間に、漏斗状の案内部112を設けることで、燃焼室13内の熱気がシューター101の中空部を通って外部に逃げるのを防止している。
【0026】
このダンパー102は、シューター101の上部開口101aに供給される固形燃料7をその上面で受け止めた後、図2に示すように、枢軸103が時計回りに回動することで、支持部102b及び載置部102aを枢軸103を基軸に回動させることで傾斜させて(図2中の符号Aで示す方向)、載置部102a上に載置された棒状の固形燃料7を、シューター101の内部の固形燃料送り部104に落下させて供給する。
このとき、枢軸103は、動力伝達部107を介して第1の駆動機構106から伝達される動力により回動される。
なお、ダンパー102を作動させる動力伝達部107としては、図2に示すように、例えば、ピストン107aとアーム107bを組み合せたものを用いることができる。
【0027】
図2では、シューター101の上部開口101a近傍に枢軸103を配設する場合を例に挙げて説明しているが、上部開口101aに投下される固形燃料7がその反動で外部へ飛び出す恐れがない場合は、枢軸103をシューター101の上部開口101a上に載置するように配設してもよい。
また、ダンパー102の上面に設けられる載置部102aは、後述の固形燃料送り部104への固形燃料7の送給をスムースにするために設けられるものであり、載置部102aがなくとも固形燃料送り部104にスムースに固形燃料7を送給できる場合は、必ずしも載置部102aを設ける必要はない。
【0028】
次に、シューター101の側方開口101b又はその近傍に配設される固形燃料送り部104について説明する。この固形燃料送り部104は、ダンパー102から供給された棒状の固形燃料7を受け止めて、燃焼設備12の燃焼室13に投げ込むように送給する設備である。
固形燃料送り部104は、平板状の受け部104aと、この受け部104aの端部に垂直に(略垂直の概念を含む)当接するストッパー104cとからなる断面L字体が、枢軸105に固設されたものである。このような固形燃料送り部104では、上述の断面L字体の角の伸長方向と、枢軸105の伸長方向が一致(略一致の概念も含む)するようにそれぞれが配設されている。
また、固形燃料送り部104におけるストッパー104cは、ダンパー102から供給される棒状の固形燃料7を受け部104aで受け止めた際に、勢い余って受け部104aから固形燃料7が落下するのを防止するためのものである。
本実施例に係る固形燃料供給装置100では、回動したダンパー102の載置部102aの上面と、固形燃料送り部104の受け部104aの上面とが鈍角をなすように、これらを配置しておくとよい。この場合、ダンパー102から投下される棒状の固形燃料7を、固形燃料送り部104の受け部104aで取りこぼすことなく確実に受け止めることができる。
【0029】
また、受け部104aの上面を水平でなく枢軸105に向って下降するように傾斜させておくことで、受け部104a上において棒状の固形燃料7を、その伸長方向と枢軸105の伸長方向を一致させながら保持することができる。すなわち、受け部104aに落下してきた棒状の固形燃料7を常に、ストッパー104c側に寄せた状態で保持することができる。
このように、固形燃料送り部104で保持される棒状の固形燃料7の向きを常に一定にすることで、固形燃料送り部104により燃焼室13内に送給された固形燃料7の状態も一定にすることができる。
【0030】
また、固形燃料送り部104の枢軸105は、シューター101の下部に設けられる第2の駆動機構108により回動される。より具体的には、第2の駆動機構108の駆動軸と、枢軸105との間に、例えば、動力伝達用チェーンやベルト等からなる動力伝達部109を介設しておき、第2の駆動機構108において発生した動力を、この動力伝達部109を介して枢軸105に伝達して枢軸105を回動させている。
このような本実施例に係る固形燃料供給装置100では、枢軸105を図2の紙面上の時計回りに回動させることで、受け部104aとストッパー104cとからなる断面L字体が、枢軸105の中心軸を基軸に時計回りに回動する(図2中の符号Bで示す方向)。
そして、この動作により、断面L字体の受け部104aが、図2中に破線で示すように上下反転した状態となり、受け部104a上に保持されていた棒状の固形燃料7が燃焼室13内(図2中の符号Cで示す方向)に投下される。
【0031】
このとき、棒状の固形燃料7の軸が水平(略水平の概念も含む)に保たれた状態で、側方開口101bを跨ぐように燃焼室13内に投下されるので、燃焼室13内に投下された固形燃料7が、燃焼床19上に載置された状態になる確率は極めて高くなる。
従って、先の図4に示されるように、燃焼室13の内壁に棒状の固形燃料7が立て掛けられたような状態で供給されるのを防止できる。
つまり、本実施例に係る固形燃料供給装置100を用いることで、燃焼室13の燃焼床19に到達する棒状の固形燃料7の軸を水平(略水平の概念も含む)にすることが容易になる。
これにより、燃焼室13内における棒状の固形燃料7の配置が一定でないことにより、燃焼室13内の燃焼温度が所望の範囲外になるのを防止できる。
【0032】
また、図3,4に示される従来技術に係る固形燃料燃焼装置11の場合は、スロープ状のガイド板18上に、ダンパー16により棒状の固形燃料7が投下されるだけであった。
このため、従来技術に係る固形燃料燃焼装置11ではガイド板18上に固形燃料7が滞留してしまう恐れがあった。
これに対して、本実施例に係る固形燃料供給装置100では、ダンパー102に加えて固形燃料送り部104を備えているので、二段階の動作で燃焼室13に固形燃料7を確実に送り届けることができる。よって、シューター101内における固形燃料7の滞留は起こらない。従って、必要時に燃焼室13へ確実に固形燃料7を供給することができ、これにより、燃焼室13の燃焼温度を所望範囲内に維持することが容易になる。
なお、本実施例に係る固形燃料供給装置100では、ダンパー102に供給される棒状の固形燃料7を燃焼室13に確実に送り届けるために、ダンパー102を枢軸103を基軸に回動させて傾斜させた後に、固形燃料送り部104を回動させる必要がある。
【0033】
また、本実施の形態に係る固形燃料供給装置100では、燃焼設備12の燃焼室13とシューター101の接続部分である側方開口101b又はその近傍に、燃焼室13からの熱気を遮るための遮蔽板110を開閉可能に設けてもよい。
この遮蔽板110を備えることで、燃焼室13内の熱気がシューター101から外部に逃げるのを防止できるので、燃焼設備12による加熱効率を向上できる。
なお、この遮蔽板110の駆動機構としては、例えば、シューター101の側方開口101b又はその近傍に回動軸111を介して遮蔽板110を枢設しておき、第1,第2の駆動機構106,108とは別の駆動機構を設けて、固形燃料送り部104の作動に合わせて開閉させてもよい。あるいは、第2の駆動機構108の動力を利用して、遮蔽板110を固形燃料送り部104に連動して開閉させてもよい(図示せず)。
【0034】
また、上述のような遮蔽板110を開閉させる方法としては、以下に示すような方法もある。
例えば、図2に示すように、枢軸105の外周に扇状の平板体からなる押上げ部104bを固設しておき、枢軸105が時計回りに回動する際に、この押上げ部104bを枢軸105を基軸に回動させて、この押上げ部104bの円弧状の外縁を遮蔽板110に当接させて、遮蔽板110を押し上げることができるよう構成してもよい。
この場合、枢軸105が逆時計回りに回動すると、扇状の押上げ部104bと遮蔽板110の接触が解除されて、遮蔽板110は自重により押し上げられる前の位置に戻る。すなわち、シューター101の側方開口101bが遮蔽板110により遮蔽された状態になる。
上述のように、遮蔽板110を固形燃料送り部104の回動動作に連動して開閉させることで、遮蔽板110を開閉させるための駆動機構を別途設ける必要がなくなる。よって、本実施例に係る固形燃料供給装置100の構成をシンプルにすることができる。また、この場合は遮蔽板110を開閉させるための動力(電力等)を節約することができる。
さらに、固形燃料送り部104の下側に、受け部104aの下面側の空間を間仕切るように、遮蔽体114を設けておいてもよい。この場合、遮蔽体114と遮蔽板110とが協働して、燃焼室13内の熱気がシューター101内に流入するのを妨げることができる。これにより、燃焼設備12による加熱効率を一層向上できる。
【0035】
さらに、本実施例に係る固形燃料供給装置100では、ダンパー102に、ダンパー102の開閉状態を検知するためのセンサー113を設けておいてもよい。
この場合、例えば、ダンパー102の回動動作が検知されてから所望時間後に固形燃料送り部104が回動するように図示しない制御部を用いて、第1の駆動機構106や第2の駆動機構108の駆動を制御することで、棒状の固形燃料7をスムースにかつ確実に燃焼室13に供給することができる。
【0036】
ここで再び図1に戻って、上述のような本実施例に係る固形燃料供給装置100を備えた固形燃料燃焼装置115について説明する。
本実施例に係る固形燃料燃焼装置115は、図1に示すように、上述のような固形燃料供給装置100と、この固形燃料供給装置100から供給される固形燃料7を燃焼させてエネルギーを得る燃焼設備12とにより構成されている。
上述の固形燃料燃焼装置115に付設される固形燃料供給装置100の構成及び作用,効果は上述のとおりである。
また、上述の燃焼設備12の燃焼室13には、固形燃料供給装置100から送給された固形燃料7を受容して燃焼させる燃焼床19が設けられ、この燃焼床19には複数のスリット又は孔が形成されており、燃焼床19の下面側に固形燃料7が燃焼した際に生じる焼却灰21を収容しておくことができるよう焼却灰収容部20が設けられている。さらに、この燃焼室13の燃焼床19近傍には、固形燃料7に着火するためのバーナ22が設けられている。
【0037】
このバーナ22は、バーナ22を含んだ補助燃焼装置(図示せず)としてもよい。この補助燃焼装置は、固形燃料供給装置100からの固形燃料7の供給がない場合の補助的な熱量発生源として、灯油等の液体燃料を燃料させることができるよう構成しておくとよい。加えて、このような補助燃焼装置を、燃焼室13の壁面にヒンジ等を介して取設される開閉可能な扉に取設しておくことで、この扉が配設される開口を焼却灰収容部20からの焼却灰21の取り出しを行うために利用できるとともに、扉に取設される補助燃焼装置のメンテナンスを容易にできる。
さらに、燃焼設備12の燃焼室13の上部には、排気ダクト23が設けられており、この排気ダクト23の端部に設けられる排気口24から、固形燃料7の燃焼に伴って発生した二酸化炭素等のガスを外部に導出できる。
【0038】
このような本実施例に係る固形燃料燃焼装置115によれば、固形燃料供給装置100から供給される固形燃料7を燃焼室13内において燃焼させることで、長時間にわたり固形燃料7を用いて熱を発生させ続けることができる。
また、固形燃料供給装置100を備えることで、燃焼室13内に、固形燃料7が必要なときに、かつ、固形燃料7を効率よく燃焼させるのに最適な状態で棒状の固形燃料7を供給できるので、燃焼室13内の燃焼温度を所望の範囲内に保つことが容易になる。
この結果、本実施例に係る固形燃料燃焼装置115を用いて、例えば、シイタケ等の農産物や、海産物等の食品、あるいは、その他乾燥や加熱が必要な物品を昼夜にわたる長時間乾燥したり加熱したりすることが可能になる。
なお、特に図示しないが、本実施例に係る固形燃料燃焼装置115は、燃焼室13内のメンテナンスを行うための点検口(図示せず)を、上述の扉とは別に備えていてもよい。
【0039】
続いて、本実施例に係る固形燃料燃焼装置115を備えた加温装置116の一例について再び図1を参照しながら説明する。
本実施例に係る加温装置116は、上述の本実施例に係る固形燃料燃焼装置115の燃焼室13において発生した熱を利用して空気を連続的に加熱し、この加熱された空気を直接又は間接的に利用して加温室27内の食品や物品等を加熱又は乾燥する設備である。
本実施例に係る加温装置116は、例えば、燃焼室13を収容した燃焼設備12の近傍に加温室27が併設され、燃焼設備12の上部に形成される外気吸気口40から吸気される外気と加温室27の内部空間52の上部をつなぐ循環口42から送給される加温室27内の内部空間52上部の暖気を、燃焼室13において発生する熱との熱交換により加温した後、燃焼設備12の下部に設けられる給気口29を通じて加温室27に送給し、加温室27内の内部空間52を暖気の上昇気流により加温し、最後に、加温室27の上方に設けられる排気口41より使用済の暖気を外部に排気できるよう構成されている。
【0040】
ここで、上述のような燃焼設備12において加温室27に供給される空気が加温される仕組みについて説明を加える。
例えば、燃焼設備12は、燃焼室13が設けられる下部空間12bと、外気吸気口40を備える上部空間12aとが隔壁39で仕切られおり、この隔壁39には上部空間12aから下部空間12bへの空気の流動を可能にするための通気口53が設けられている。そして、この通気口53に設けられる送風設備26により、上部空間12a内の空気が強制的に下部空間12bに送給され、これに伴って下部空間12b内の空気が給気口29から加温室27の下部へ送給される。
【0041】
また、燃焼設備12の下部空間12b内に設けられる燃焼室13の上部には、例えば、通気塔44,45が二股状に分岐するように設けられ、通気塔44,45の間には、通気塔44から通気塔45への空気の流動を可能にする筒状の熱交換器46が複数本介設されている。なお、必要に応じて燃焼設備12に、熱交換器46のメンテナンスや点検を行うための点検口(図示せず)を設けてもよい。
上述のような構成を有することで、燃焼室13において生じた高温の空気の一部は、通気塔44に流入した後に熱交換器46を通って通気塔45に流れ込み排気ダクト23を通って排気口24から燃焼設備12の外に排出される。また、燃焼室13において生じた高温の残りの空気は通気塔45に流入し、熱交換器46から流入してくる他の高温の空気と合流してから排気ダクト23を通じて排気口24から排出される。
このように、燃焼室13上に通気塔44,45を設け、さらに、その間に熱交換器46を介設しておくことで、燃焼室13を構成する躯体の表面積が大きくなり、この躯体の表面において効率よく熱交換を行うことができる。これにより、上部空間12aから送風設備26により下部空間12bに送給される空気を効率よく暖めることができる。
また、排気ダクト23を上部空間12a内に設けることで、排気ダクト23の表面においても熱交換が行われるため、外気吸気口40から上部空間12a内に取り込まれた空気を暖気することができる。
【0042】
そして、燃焼設備12の下部空間12bにおいて加温され、給気口29から加温室27内に送給された暖気は、加温室27の下部に設けられる通気孔48を多数備えた多孔板47から内部空間52内に供給され、内部空間52内に収容される被乾燥(加熱)対象51を乾燥又は加熱する。
なお、本実施例に係る加温室27内に、例えば、容器受49を設けておき、この容器受49上に被乾燥(加熱)対象51を収容するための、例えば、メッシュ体により底面が形成された容器50(例えば、エビラ等)を載置して保持することができるよう構成してもよい。
【0043】
また、多孔板47から内部空間52に送給される暖気は上昇気流を形成するので、被乾燥(加熱)対象51を収容した容器50を複数段、層状に配置した場合に、加温室27の下方に配置される被乾燥(加熱)対象51から順次乾燥又は加温することができる。
そして、内部空間52の最上部まで到達した使用済みの暖気は、加温室27の上部に設けられる排気口41より加温室27の外部に排出される仕組みになっている。
また、燃焼設備12の上部に設けられる外気吸気口40に、枢軸を基軸に回動する吸気ダンパー43を設け、内部空間52内の温度や乾燥度合いに応じて吸気ダンパー43の開度を調整可能としてもよい。
【0044】
なお、図1においては、被乾燥(加熱)対象51が、シイタケである場合を例に挙げて説明しているが、被乾燥(加熱)対象51は図示されるものに限定される必要はなく、食品や布、建材(木材)等様々なものを乾燥させたり、加熱したりすることができる。
また、加温室27への被乾燥(加熱)対象51の収納方法も、図1に示すような形態に限定される必要はなく、加温室27の内部空間52内に吊り下げ用の棒状体(図示せず)を掛渡し、そこに被乾燥(加熱)対象51を吊り下げる等して乾燥又は加熱してもよい。
さらに、特に図示しないが、加温室27の内部空間52の上部をつなぐ循環口42を設けることなく、燃焼設備12の上部空間12aには外気吸入口40から吸気される外気のみが供給されるよう構成して、加温室27内に収容される被乾燥(加熱)対象51を乾燥又は加熱してもよい。
【0045】
なお、被乾燥(加熱)対象51の含水率が高い場合で、かつ、それを乾燥させる必要がある場合、加温室27の内部空間52内を移動し、その上部に到達した暖気には多量の水分が含まれるため、燃焼設備12と加温室27の間を循環させることなく排気口41から外部に排出させるとよい。
また、加温室27の内部空間52に湿度センサー(図示せず)を設けておき、内部空間52内の湿度の検出値に応じて外気吸気口40の開度を自動で調整可能としてもよい。
上述のような本実施例に係る加温装置116によれば、固形燃料7として薪を用いて高含水率の食品や物品を効率よく乾燥することができる。
【0046】
なお、図1では、本実施例に係る固形燃料燃焼装置115において発生する熱気を、加温室27内の加熱又は乾燥に間接的に使用する場合を例に挙げて説明しているが、被乾燥(加熱)対象51への臭気やすすの付着が問題にならない場合は、固形燃料燃焼装置115において発生される熱気で直接、被乾燥(加熱)対象51を加熱又は乾燥してもよい。
【0047】
ここで本実施例に係る固形燃料供給装置100に固形燃料7を供給するための固形燃料供給設備の一例について図1を参照しながら説明する。
上述のような本実施例に係る固形燃料燃焼装置115を、長時間稼働させるためには、固形燃料供給装置100に対して、必要時に必要量の固形燃料7が自動で供給できるような構成を備えている必要がある。このような固形燃料自動供給設備としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されるような設備を用いることができる。
ここでは、本願発明と同一の出願人による発明である特許文献1に開示される固形燃料保管搬送装置1を、上述の固形燃料燃焼装置115や加温装置116と組み合わせて備えた場合ついて説明する。
【0048】
本実施例に係る固形燃料燃焼装置115及び加温装置116は、自動燃料供給設備として、例えば、図1に示すような固形燃料保管搬送装置1を備えていてもよい。
この固形燃料保管搬送装置1は、例えば、チェーンタイプ又はベルトタイプで、かつ、鉛直方向に対して垂直に外側面を形成しながら環状に連結されたコンベアー2の外側面上に、一定間隔毎(略一定間隔毎の概念も含む)に固形燃料保持部3を備えたものである。
さらに、この固形燃料保管搬送装置1は、固形燃料保持部3に収容されて固形燃料7が搬送される際に、固形燃料7が鉛直下方側やその左右方向に落下するのを防止する目的で、コンベアー2の外側面と平行に(略平行の概念も含む),かつ,固形燃料保持部3の上端(固形燃料保持部3の外側端部をつなぐようにサポート部材4を備えている。
加えて、固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2は、プーリ6を介してU字状に折り曲げられており、このプーリ6に、例えば、動力伝達ベルト(図示せず)を介して動力発生装置(例えば、電動モータ等、図示せず)を接続しておくことで、動力発生装置において発生する動力により間接的にコンベアー2を環に沿って周回させることができる。
【0049】
このような固形燃料保管搬送装置1によれば、コンベアー2に設けられる固形燃料保持部3とサポート部材4により形成される収容空間10に、棒状の固形燃料7である、例えば、薪を収容して保管しておくことができる。
また、この固形燃料保管搬送装置1は、動力発生装置によりコンベアー2を駆動してゆっくりと周回させることで、固形燃料7を固形燃料供給装置100の上部開口101aに供給する燃料供給搬送装置としても使用できる。
【0050】
ここで、本実施例に係る固形燃料保管搬送装置1の使用方法について説明する。
上述のような固形燃料保管搬送装置1に、例えば、薪等の棒状の固形燃料7を収容して保管する場合、作業者は、固形燃料保管搬送装置1の近傍の手の届く位置に立って、図示しない動力発生装置を駆動してコンベアー2を周回させながら、固形燃料保持部3とサポート部材4により形成される収容空間10内に、固形燃料7を、例えば、1本ずつ挿入していけばよい。
また、図1に示すように、固形燃料保管搬送装置1は、コンベアー2の方向転換部6a近傍に、サポート部材4が設けられていない領域を有している。この領域は、固形燃料保管搬送装置1から固形燃料供給装置100の上部開口101aに固形燃料7の投下させるために設けられている。
【0051】
そして、収容空間10内に固形燃料7が充填された固形燃料保管搬送装置1から固形燃料供給装置100の上部開口101aに固形燃料7を自動供給するには、図示しない動力発生装置を駆動してコンベアー2をゆっくりと周回させるだけでよい。
この動作により、固形燃料7は、サポート部材4が設けられていない方向転換部6aを通過する際に、固形燃料保持部3から落下して、方向転換部6aの下方に配設される固形燃料供給装置100の上部開口101aに投下される。
なお、上述のような固形燃料保管搬送装置1では、コンベアー2の長さを調節することで固形燃料保管搬送装置1に保管できる固形燃料7の量を調整することができる。
【0052】
上述のような固形燃料保管搬送装置1を備える場合は、人の手に因らず固形燃料供給装置100の上部開口101aに長い時間をかけて少しずつ固形燃料7を供給することができる。これにより、加温室27内の内部空間52を、固形燃料7を用いて長時間加温し続けることができる。
また、このとき、固形燃料保管搬送装置1から供給される固形燃料7は、固形燃料供給装置100により、シューター101内に滞留することなく、確実に燃焼設備12の燃焼室13内に供給されるので、燃焼室13内の燃焼温度を所望の範囲内に維持することが容易になる。
さらに、本実施例に係る固形燃料供給装置100を用いることで、燃焼室13内の燃焼床19上に、棒状の固形燃料7を横たえた状態で供給することができる。この結果、燃焼室13内における固形燃料7の配置が様々になることによる燃焼温度変化が起こり難くなるので、加温室27内の温度を所望範囲内に維持することが容易になる。
【0053】
さらに、図1に示すように、固形燃料保管搬送装置1を燃焼設備12の側面及びその上面、さらには、加温室27上に付設することで、燃焼設備12や加温室27の設置スペースと、固形燃料保管搬送装置1の設置スペースとを兼ねることができる。この結果、本実施例に係る加温装置116の床面の占有面積を小さくできる。また、この場合、固形燃料7は燃焼設備12の周囲を移動する際に、燃焼設備12から排出される熱で乾燥が進むので、燃焼室13内に投入された際に着火し易くすることができる。
【0054】
さらに、本実施例に係る加温装置116においては、図示しない制御部を備えて、一定時間毎に固形燃料保管搬送装置1から固形燃料7が上部開口101a投下されるよう設定しても良いし、加温室27内に温度センサー(図示せず)を設けておき、内部空間52内の温度が一定の値よりも低くなった場合に、固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2を作動させて上部開口101aに固形燃料7が投下されるよう構成してもよい。
さらに、固形燃料保管搬送装置1の方向転換部6aの上流側に、固形燃料保持部3における固形燃料7の有無を検知するセンサー(図示せず)をセンサー取り付け位置17に設けておき、このセンサーで固形燃料7の通過が確認された後にコンベアー2を自動停止させるよう構成してもよい。
この場合、固形燃料保持部3がコンベアー2により移動する際にセンサーにより固形燃料7の通過が確認されなかった場合に、引き続き固形燃料7の通過を確認することができるまでコンベアー2を作動させることができる。よって、仮に固形燃料保管搬送装置1の固形燃料保持部3に偶然固形燃料7が収容されていない箇所があったとしても、燃焼室13に確実に固形燃料7を供給することができる。
【0055】
上述のような固形燃料保管搬送装置1と、固形燃料燃焼装置115や加温装置116を組合せることで、固形燃料7として薪を用いて、効率よく農産物等を乾燥又は加熱することができる。
すなわち、大きさにばらつきがあって一定でない薪を用いて、固形燃料燃焼装置115の燃焼室13内の燃焼温度を所望の範囲内に維持することが容易になる。この結果、本実施例に係る加温装置116を用いて被乾燥(加熱)対象51を乾燥又は加熱した場合に、加熱温度にムラが生じるのを抑制できる。
よって、固形燃料7として薪を用いることができる高性能な固形燃料燃焼装置115や加温装置116を提供することができる。
さらに、固形燃料7として例えば、薪を用いることで、農産物等を乾燥又は加熱する際に使う灯油等の化石燃料を削減することができる。加えて、薪のみを用いて農産物等を乾燥又は加熱した場合、人為的活動を行った際に排出される二酸化炭素の量と、環境に吸収される二酸化炭素量とをほぼ同じにすることができるので、カーボンニュートラルを実現することができる。
このような本実施例に係る固形燃料供給装置100、およびこれを用いた固形燃料燃焼装置115、さらには、これを用いてなる加温装置116は、二酸化炭素の排出量削減に寄与するものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は薪等の固形燃料を燃焼させて熱エネルギーを得るための燃焼装置に付設されて、燃焼室内に薪等の固形燃料を、滞留させることなく、所望の向きを保ったまま供給することのできる固形燃料供給装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置に関するものであり、加温又は乾燥装置あるいは暖房設備に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…固形燃料保管搬送装置 2…コンベアー 3…固形燃料保持部 4…サポート部材 6…プーリ 6a…方向転換部 7…固形燃料 10…収容空間 11…固形燃料燃焼装置 12…燃焼設備 12a…上部空間 12b…下部空間 13…燃焼室 14…固形燃料投入口 15…シューター 16…ダンパー 18…ガイド板 19…燃焼床 20…焼却灰収容部 21…焼却灰 22…バーナ 23…排気ダクト 24…排気口 26…送風設備 27…加温室 29…給気口 33…加温装置 37…センサー取り付け位置 39…隔壁 40…外気吸気口 41…排気口 42…循環口 43…吸気ダンパー 44,45…通気塔 46…熱交換器 47…多孔板 48…通気孔 49…容器受 50…容器 51…被乾燥(加熱)対象 52…内部空間 53…通気口 100…固形燃料供給装置 101…シューター 101a…上部開口 101b…側方開口 102…ダンパー 102a…載置部 102b…支持部 103…枢軸 104…固形燃料送り部 104a…受け部 104b…押上げ部 104c…ストッパー 105…枢軸 106…第1の駆動機構 107…動力伝達部 107a…ピストン 107b…アーム 108…第2の駆動機構 109…動力伝達部 110…遮蔽板 111…回動軸 112…案内部 113…センサー 114…遮蔽体 115…固形燃料燃焼装置 116…加温装置
図1
図2
図3
図4