【実施例】
【0024】
図1に示す第1実施例の外装構造は、下地4上に、平板部11,21の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部12,12、22,22を設けて山側外装板1、谷側外装板2とし、これらを交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造であり、山側外装板1の裏面側に固定した保持部材3に、山側外装板1の上ハゼ部(下向き側縁成形部)12と谷側外装板2の下ハゼ部(上向き側縁成形部)22と係合させて取り付けた構成である。
【0025】
この第1実施例における山側外装板1は、略平坦状の平板部11の左右側縁を折り下げ、更にその下端を内側に折り返して上ハゼ12とした構成である。より詳しくは、
図1(b)に示すように上ハゼ12は、下向きの折り下げ片121と上向きの折返し部分122とその先端の折り曲げ部123とからなる。前記平板部11の裏面側には、略同一厚みの裏打ち材1bが添設されている。
また、この第1実施例における谷側外装板2は、略平坦状の平板部21の左右側縁を折り上げ、更にその上端を内側に折り返して下ハゼ22とした構成である。より詳しくは、
図1(b)に示すように下ハゼ22は、上向きの折り上げ片221と下向きの折返し部分222とからなる。前記平板部21の裏面側には、略同一厚みの裏打ち材2bが添設されている。
【0026】
この第1実施例における保持部材3は、通し吊子と称される長尺材であって、前述のように前記山側外装板1の裏面側に配設され、
図1(c)に示すように下端に下地4への固定部31を有する起立部32と、該起立部32の上端を外側へ折返した折返し部33と、その下端の内面側に傾斜面341を備える楔部34とを有する構成である。前記固定部31は、略水平状に延在し、前記起立部32は、略垂直状に立ち上がっている。また、前記折返し部33が外側を向くように配設され、
図1(a)の左側の取付部分では折返し部33は右方へ向くように、右側の取付部分では折返し部分33は左方を向くように配設されている。
【0027】
そして、これらの部材から構成される本発明の外装構造では、前記保持部材3への前記外装板1,2の取付については、
図1(d)に示すように谷側外装板2の下ハゼ22(折返し部分222)を、保持部材3の折返し部33の内側へ収容されるように係合すると共に、山側外装板1の上ハゼ12の上端(折り曲げ部123)が、保持部材3の楔部34の傾斜面341に当接するように係合する。
なお、下地4は、略一定厚みの野地材の表面に防水シート材を敷設した構成であり、前記山側外装板1の裏面には、断熱材5を配した構成とした。
【0028】
このように本発明では、保持部材3に対する上ハゼ12、下ハゼ22の係合を採用しているため、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れている。
しかも、この第1実施例では、
図1(b)に示すように敷設した状態の山側外装板1の上ハゼ12の先端(下端)と谷側外装板2の下ハゼ22の先端(上端)とは、僅かながら上下に離反しているため、後述する従来のビス止め仕様やハゼ締め仕様に比較して明らかに水密性に優れている外装構造ということができる。
なお、図示実施例では、谷側外装板2の下ハゼ22(折返し部分222)の下端が保持部材3の楔部34の内側に係合するようにしたため、下ハゼ22は安定に配設される。また、山側外装板1の上ハゼ12の上端(折り曲げ部123)が内側へ折り返されているため、楔部34の傾斜面341への当接が滑らかになる。
【0029】
次に、本発明の外装構造の水密性、負圧作用時の水密性について、
図2に基づいて説明する。
図2(a)には負圧が作用していない状態を示しているが、ハッチングにて示すように上ハゼ12の内部に空間Aが形成されている。そのため、仮に雨水の浸入があっても、それ以上の毛細管現象による雨水の浸入が生ずることがない。また、前述のように上ハゼ12の下端と下ハゼ22の上端とが、僅かながら上下に離反していることも重要であり、雨水の浸入は、極めて困難な構造である。
図2(b)には負圧が作用し、太矢印にて示すように通常は水平状の平板部11,21を上方へ引っ張り上げるような力(負圧)が作用して上方に凸状に変形させる現象が生じる。その際、山側外装板1の上ハゼ12にも谷側外装板2の下ハゼ22にも上方へ引っ張られる力が作用するが、下ハゼ22は負圧作用以前から保持部材3に当接しているため、上ハゼ12に上方へ引っ張られる作用が果たされ、その折り曲げ部123の先端が楔部34の傾斜面341に当接しつつ上方へ突き上げられ、下ハゼ部22の折返し部分222を拡開するように当接する。折り曲げ部123と折返し部分222との間には、図示するように新たな空間Aが形成される。なお、図中、ハッチング矢印は、負圧が作用する原因となる吹き上げ風を模式的に示すものである。
【0030】
これに対し、
図4(a)には、従来のビス止め仕様における水密性を示しているが、太線にて示すように山側外装板6の表面を伝う雨水Wが、この山側外装板6の側縁成形部62と谷側外装板6'の側縁成形部62'との重合部分に側方から打ち込んだ固定ビス7のビス穴から浸入してしまうことは既に説明したとおりである。
また、同図(b)には、従来のハゼ締め仕様における水密性を示しているが、やはり太線にて示すように山側外装板8の表面を伝う雨水Wが、谷側外装板8'と吊子9とのハゼ締め部分から毛細管現象により内部に浸入してしまうことは既に説明したとおりである。
なお、これらの従来の仕様において、仮に止水性に優れたシール材を使用してビス穴やハゼ締め部の水密性を向上したとしても、シール材の経年劣化にて雨水の浸入が生じてしまう。
【0031】
続いて、本発明の外装構造の強度、負圧作用時の取付強度について、
図3に基づいて説明する。
図3(a)には負圧が作用していない状態を示しているが、前述のように谷側外装板2の下ハゼ22(折返し部分222)を、保持部材3の折返し部33の内側へ収容されるように係合させている。また、山側外装板1の上ハゼ12の上端(折り曲げ部123)を、保持部材3の楔部34の傾斜面341に当接するように係合させている。このように本発明では、保持部材3に対する上ハゼ12、下ハゼ22の係合を採用している。
図3(b)には負圧が作用し、太矢印にて示すように通常は水平状の平板部11,21を上方へ引っ張り上げるような力(負圧)が作用して上方に凸状に変形させる現象が生じる。その際、山側外装板1の上ハゼ12に上方へ引っ張られる作用が果たされ、その折り曲げ部123の先端が楔部34の傾斜面341に当接しつつ上方へ突き上げられ、下ハゼ部22の折返し部分222にも係合する。このように負圧作用時には、負圧が作用していない状態よりもむしろ深く係合してより安定に強固に取り付けられるものとなる。
【0032】
これに対し、
図5(a)には、従来のビス止め仕様における負圧作用時の取付強度を示しているが、ビス7自体の抜けは生じなくても、ビス7の直近の側縁成形部62,62'に変形が生じており、この状態では、所定の特性は得られない。
また、同図(b)には、従来のハゼ締め仕様における負圧作用時の取付強度を示しているが、ハゼ締めの一部が負圧による引っ張り作用で解除されており、この状態では、やはり所定の特性は得られない。