特許第6116002号(P6116002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116002
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】DC−DC電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   H02M3/155 K
   H02M3/155 P
   H02M3/155 B
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-147382(P2013-147382)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-23586(P2015-23586A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】圓岡 義也
(72)【発明者】
【氏名】植村 仁
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−086843(JP,A)
【文献】 特開2000−341936(JP,A)
【文献】 特開2011−229233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路によって発振用のスイッチング素子をオン/オフ切替制御することにより、入力端子に接続されたチョークコイルへの電磁エネルギーの蓄積と前記チョークコイルからの電磁エネルギーの放出とを繰り返して平滑コンデンサへの充電電圧を昇圧し、かつ、前記平滑コンデンサからの出力電圧を検出する出力電圧検出回路による検出電圧に応じて、前記制御回路による前記発振用のスイッチング素子のオン/オフ切替制御のデューティ比を制御するように構成されたDC−DC電源回路であって、
前記入力端子における入力電圧を規定電圧に対して高低判定する入力電圧判定回路と、
前記入力電圧判定回路が前記入力電圧を規定電圧より低いと判定したときに前記出力電圧検出回路による検出電圧を強制的に上昇シフトさせて前記制御回路の前記発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御を非活性化することで前記発振用のスイッチング素子をオフ状態にする電圧シフト回路とを備えるDC−DC電源回路。
【請求項2】
前記出力電圧検出回路は前記平滑コンデンサの正極端子とグランドとの間に直列に接続された分圧用の抵抗素子を有し、
前記電圧シフト回路は前記分圧用の抵抗素子のいずれか一方に並列に接続される補正用抵抗素子とシフト補正用のスイッチング素子との直列回路で構成され、
前記入力電圧判定回路は、前記入力電圧を規定電圧より低いと判定したときに、前記分圧用の抵抗素子の分割点の電圧を強制的に上昇シフトさせるように前記シフト補正用のスイッチング素子を制御する請求項1に記載のDC−DC電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路によって発振用のスイッチング素子をオン/オフ切替制御することによりチョークコイルへの電磁エネルギーの蓄積とチョークコイルからの電磁エネルギーの放出とを繰り返して平滑コンデンサへの充電電圧を昇圧し、かつ、前記平滑コンデンサからの出力電圧を検出する出力電圧検出回路による検出電圧に応じて、前記制御回路による前記発振用のスイッチング素子のオン/オフ切替制御のデューティ比を制御するように構成されたDC−DC電源回路であって、特には電源電圧を直流電源装置から直接に取り込む形態の非絶縁昇圧型チョッパ方式のDC−DC電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は従来例にかかわるDC−DC電源回路の構成を示す回路図である。図9に示すように、直流電源の入力端子T1は外部の直流電源装置に接続されるもので、グランド(GND)との間に電解コンデンサからなる平滑コンデンサC1が接続され、その平滑コンデンサC1の正極端子に制御回路(コントロールIC)1の電源端子(6番ピン)が接続されている。入力端子T1に過電流検出用の抵抗素子R1を介してチョークコイルL1、整流ダイオードD1および電解コンデンサからなる平滑コンデンサC2の直列回路が接続され、チョークコイルL1と整流ダイオードD1の接続点とグランド(GND)の間に発振用のスイッチング素子Q1が接続されている。発振用のスイッチング素子Q1としてNPN型トランジスタを用いるときは、そのコレクタ端子がチョークコイルL1と整流ダイオードD1の接続点に接続され、そのエミッタ端子がグランド(GND)に接続され、そのベース端子が制御回路1の駆動制御端子(2番ピン)に接続される。また、そのベース端子とグランド(GND)との間に駆動電流設定用の抵抗素子R4が接続されている。平滑コンデンサC2の正極端子は出力端子T2に接続され、またグランド(GND)との間に抵抗素子R5,R6の直列接続回路からなる出力電圧検出回路2が接続されている。抵抗素子R5と抵抗素子R6の接続点である出力電圧検出ポイントP1が制御回路1における帰還制御端子(5番ピン)に接続されている。過電流検出用の抵抗素子R1はチョークコイルとの接続点が制御回路1の電流検出端子(7番ピン)に接続され、過電流検出回路3を構成している。チョークコイルL1と発振用のスイッチング素子Q1と整流ダイオードD1と平滑コンデンサC2とで昇圧チョッパ4が構成されている。C3はタイミング用のコンデンサ、R2,R3は制御回路1の内部回路設定用の抵抗素子である。このDC−DC電源回路は電源電圧をバッテリなどの直流電源装置から直接に取り込む形態の非絶縁昇圧型チョッパ方式となっている。
【0003】
制御回路1の駆動制御端子からの駆動信号により発振用のスイッチング素子Q1を高周波でオン/オフ切替制御する。駆動信号がアクティブの期間では発振用のスイッチング素子Q1が導通し、入力端子T1からの入力電流がチョークコイルL1と発振用のスイッチング素子Q1の回路を流れ、チョークコイルL1に電磁エネルギーが蓄積される。駆動信号がインアクティブの期間では、入力端子T1からチョークコイルL1、整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサC2に電流が流れ、チョークコイルL1の蓄積エネルギーが放出される。その蓄積エネルギーがゼロになるタイミングで発振用のスイッチング素子Q1が再び導通状態に切り替えられる。出力電圧検出回路2による検出電圧Vd が制御回路1の帰還制御端子にフィードバックされ、発振用のスイッチング素子Q1のデューティ比が制御される。発振用のスイッチング素子Q1が導通状態から非導通状態に切り替わると、その瞬間にチョークコイルL1と発振用のスイッチング素子Q1との接続点に逆起電力が発生し、昇圧が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−15881号公報
【特許文献2】特開2011−147315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の図9で説明した従来例では、制御回路1において発振開始起動電源電圧が極端に低く固定されていると、入力端子T1からの入力電圧が低い場合に発振用のスイッチング素子Q1に対する駆動力不足が生じ、発振用のスイッチング素子Q1を充分な導通状態に遷移させることができない。
【0006】
また、制御回路1の発振開始起動電源電圧に合わせて外付けの抵抗素子R2,R3,R4の抵抗値を設定すると、入力端子T1からの入力電圧が起動から立ち上がって定常状態になった後では、発振用のスイッチング素子Q1に対するドライブオーバーとなり、スイッチングスピードの低下を招いたり、駆動電力の増大を招き、発熱や効率低下を起こすおそれがある。
【0007】
昇圧型チョッパ方式の場合、起動時の出力電圧Vout が設定電圧に達するまでは、発振用のスイッチング素子Q1の導通期間を最大デューティまで拡大し、かつ、スイッチング電流を過電流制限電流まで増加して、出力電圧の昇圧を最大限に図る。しかし、低入力電圧時は発振用のスイッチング素子Q1を充分に導通できないため、導通電圧が持ち上がったまま電流が流れて、出力電圧Vout を昇圧できない。その動作の一例を図10に示している。入力電圧Vinが低いために、図10に示すように、制御回路1が発振用のスイッチング素子Q1に対して出力するベース電圧Vb は低めとなる。コレクタ電流ic が流れる発振用のスイッチング素子Q1の導通期間は最大限まで拡大されている。この導通期間においてコレクタ‐エミッタ間電圧Vceが持ち上がってしまい(ハッチング参照)、コレクタ電流ic が流れたままになる。その結果、発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御によって行われる出力電圧Vout の昇圧が所期通りには行われず、発振用のスイッチング素子Q1での損失が増大し、熱破壊を起こすおそれがある。結果、発振用のスイッチング素子Q1内での損失が発熱に置き換わり、熱破損の方向に向う暴走現象に至るおそれがある。
【0008】
発振用のスイッチング素子Q1を充分に導通させるだけの入力電圧Vinが瞬時に印加される場合は、短時間損失で済むので問題ないが、入力源がバッテリや過電流制限回路を持った直流電源装置などのようにインピーダンスをもつ場合には、発振開始起動時に低入力電圧による過大入力電流が流れてさらに入力電圧の低下を招き、出力電圧Vout が立上がらずに発振用のスイッチング素子Q1が熱破損するおそれがある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて創作したものであり、非絶縁昇圧型チョッパ方式のDC−DC電源回路において、入力電圧が起動時に低すぎて規定電圧を下回るような場合であっても、発振用のスイッチング素子に対する駆動力を大きくして充分な導通状態とでき、スイッチングスピードの低下、駆動電力の増大、発熱、効率低下などの問題を抑えることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、次のような手段を講じることにより上記の課題を解決する。
【0011】
本発明によるDC−DC電源回路は、制御回路によって発振用のスイッチング素子をオン/オフ切替制御することにより、入力端子に接続されたチョークコイルへの電磁エネルギーの蓄積と前記チョークコイルからの電磁エネルギーの放出とを繰り返して平滑コンデンサへの充電電圧を昇圧し、かつ、前記平滑コンデンサからの出力電圧を検出する出力電圧検出回路による検出電圧に応じて、前記制御回路による前記発振用のスイッチング素子のオン/オフ切替制御のデューティ比を制御するように構成されたDC−DC電源回路であって、
前記入力端子における入力電圧を規定電圧に対して高低判定する入力電圧判定回路と、
前記入力電圧判定回路が前記入力電圧を規定電圧より低いと判定したときに前記出力電圧検出回路による検出電圧を強制的に上昇シフトさせて前記制御回路の前記発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御を非活性化することで前記発振用のスイッチング素子をオフ状態にする電圧シフト回路とを備えている。
【0012】
発振開始起動時において、入力電圧が規定電圧より低いとき、そのことを入力電圧判定回路が判定して、その低入力電圧判定信号を電圧シフト回路に送出する。低入力電圧判定信号を受け取った電圧シフト回路は、出力電圧検出回路による検出電圧を強制的に上昇シフトさせ、制御回路に送出する。この強制的に上昇シフトされた検出電圧を受け取った制御回路は発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御を非活性化する。これにより、発振開始起動時には発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御が停止状態に保持され、発振用のスイッチング素子がオフ状態にされ、入力端子から流入する電流はチョークコイル、整流ダイオードを経て平滑コンデンサに充電される。
【0013】
起動初期からの時間経過に伴って入力電圧が上昇する。この入力電圧を監視している入力電圧判定回路が規定電圧以上の入力電圧を判定するに至ると、電圧シフト回路による出力電圧検出回路への強制的な上昇シフトが解除される。この間も、平滑コンデンサへの充電継続により出力電圧検出回路による検出電圧が上昇し続けるが、強制的な上昇シフトが解除された結果、検出電圧が大きく低下して元来の状態に戻る。そのため、この検出電圧を入力する制御回路は、発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御を活性化する(発振開始)。
【0014】
以上のようにして、入力電圧が規定電圧以上となるのを待ってから制御回路による発振用のスイッチング素子に対するオン/オフ切替制御の活性化が行われるため、発振用のスイッチング素子の駆動端子(ベース端子/ゲート端子)に印加される駆動電圧は充分に高いものとなっている。よって、発振用のスイッチング素子を充分に導通させることができて、発振用のスイッチング素子を熱破損から保護することが可能となる。
【0015】
上記した本発明の好ましい一態様として、次のものがある。すなわち、前記出力電圧検出回路は前記平滑コンデンサの正極端子とグランドとの間に直列に接続された分圧用の抵抗素子を有するものとする。この場合に、前記電圧シフト回路は前記分圧用の抵抗素子のいずれか一方に並列に接続される補正用抵抗素子とシフト補正用のスイッチング素子との直列回路で構成されている。さらに、前記入力電圧判定回路は、前記入力電圧を規定電圧より低いと判定したときに、前記分圧用の抵抗素子の分割点の電圧を強制的に上昇シフトさせるように前記シフト補正用のスイッチング素子を制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非絶縁昇圧型チョッパ方式のDC−DC電源回路において、入力電圧が起動時に低すぎて規定電圧を下回るような場合であっても、発振用のスイッチング素子に対する駆動力を充分に大きくして充分な導通状態とでき、スイッチングスピードの低下、駆動電力の増大、発熱、効率低下などの問題を抑えることができる。
【0017】
なお、熱破損防止の対策のために用いる入力電圧判定回路および電圧シフト回路は、少ない部品点数による簡単な構成で実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態のDC−DC電源回路の構成を示す回路図
図2】本発明の実施形態のDC−DC電源回路の動作を示すタイミングチャート
図3】本発明の実施例のDC−DC電源回路の構成を示す回路図
図4】本発明の実施例のDC−DC電源回路において入力電圧が規定電圧以上のときの動作を示す波形図
図5】本発明の実施例のDC−DC電源回路において入力電圧が規定電圧より低いときの動作を示す波形図
図6】本発明の実施例のDC−DC電源回路における電圧シフト回路について別の実施例を示す回路図
図7】本発明の実施例のDC−DC電源回路における電圧シフト回路についてさらに別の実施例を示す回路図
図8】本発明の実施例のDC−DC電源回路における電圧シフト回路についてさらに別の実施例を示す回路図
図9】従来例にかかわるDC−DC電源回路の構成を示す回路図
図10】従来例のDC−DC電源回路の動作を示す波形図
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記構成の本発明のDC−DC電源回路には、次のような好ましい態様がある。
【0020】
以下、本発明の実施形態のDC−DC電源回路について図面を用いて詳しく説明する。図1は本発明の実施形態のDC−DC電源回路の構成を示す回路図である。
【0021】
図1において、T1は直流電源の入力端子、T2は出力端子、C1,C2は電解コンデンサからなる平滑コンデンサ、Q1はNPN型トランジスタで構成された発振用のスイッチング素子、L1はチョークコイル、D1は整流ダイオード、1は制御回路(コントロールIC)、2は出力電圧検出回路、3は過電流検出回路、R1〜R6は抵抗素子、R7は補正用抵抗素子、Q2はPNP型トランジスタで構成されたシフト補正用のスイッチング素子、C3はタイミング用コンデンサ、4は昇圧チョッパ、5は入力電圧判定回路、6は電圧シフト回路である。
【0022】
入力端子T1と出力端子T2との間に過電流検出用の抵抗素子R1、チョークコイルL1および整流ダイオードD1がこの順に挿入されている。すなわち、過電流検出用の抵抗素子R1の一方端子が入力端子T1に接続され、抵抗素子R1の他方端子がチョークコイルL1の一方端子に接続され、チョークコイルL1の他方端子が整流ダイオードD1のアノードに接続され、整流ダイオードD1のカソードが出力端子T2に接続されている。整流ダイオードD1のカソードとグランド(GND)との間に平滑コンデンサC2が接続されている。チョークコイルL1と整流ダイオードD1との接続点にNPN型トランジスタで構成された発振用のスイッチング素子Q1のコレクタ端子が接続され、そのエミッタ端子がグランド(GND)に接続され、ベース端子が制御回路1の駆動制御端子(2番ピン)に接続されている。発振用のスイッチング素子Q1のベース端子とグランド(GND)との間にベース電流調整用の抵抗素子R4が接続されている。
【0023】
入力端子T1とグランド(GND)との間に平滑コンデンサC1が接続され、平滑コンデンサC1の正極端子に制御回路1の電源端子(6番ピン)が接続されている。チョークコイルL1と過電流検出用の抵抗素子R1との接続点が制御回路1の7番ピンに接続され、同じ接続点と8番ピンとの間に内部回路設定用の抵抗素子R2が接続され、同じ接続点と1番ピンとの間に内部回路設定用の抵抗素子R3が接続されている。また、制御回路1の3番ピンとグランド(GND)との間にタイミング用コンデンサC3が接続され、4番ピンがグランド(GND)に接続されている。また、整流ダイオードD1のカソードとグランド(GND)との間に分圧用のハイサイドの抵抗素子R5とローサイドの抵抗素子R6の直列回路からなる出力電圧検出回路2が接続されている。抵抗素子R1は過電流検出回路3を構成している。
【0024】
ここまでの説明に関する回路構成は図9の従来例のものと同じである。本発明の実施形態では、上記の回路構成に加えて、入力電圧判定回路5と電圧シフト回路6とをさらに備えている。
【0025】
入力電圧判定回路5は入力端子T1に接続されて、入力端子T1における入力電圧Vinを規定電圧Vthとの関係で高低判定し、入力電圧Vinが規定電圧Vthより低いときに“L”レベル信号を出力し、入力電圧Vinが規定電圧Vth以上のときに“H”レベル信号を出力する。
【0026】
電圧シフト回路6は平滑コンデンサC2の正極端子に接続されたハイサイドの抵抗素子R5に対して並列に、PNP型トランジスタで構成されたシフト補正用のスイッチング素子Q2と補正用抵抗素子R7との直列回路が接続されている。そして、入力電圧判定回路5の出力端子がシフト補正用のスイッチング素子(PNP型トランジスタ)Q2のベース端子(FETの場合はゲート端子)に接続されている。
【0027】
次に、上記のように構成されたDC−DC電源回路の動作を図2のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0028】
DC−DC電源回路の発振開始起動時において、入力端子T1に印加される入力電圧Vinが入力電圧判定回路5における規定電圧Vthより低くなっていれば(Vin<Vth)、入力電圧判定回路5は電圧シフト回路6におけるシフト補正用のスイッチング素子Q2のベース端子に対して"L"レベル信号を出力する。その結果、PNP型トランジスタからなるシフト補正用のスイッチング素子Q2が導通(ON)し、補正用抵抗素子R7を出力電圧検出回路2のハイサイドの抵抗素子R5に並列に接続した状態とする。この並列接続された2つの抵抗素子R5,R7の合成抵抗Rc(=R5・R7/(R5+R7))は抵抗素子R5の抵抗R5よりも小さくなる(Rc<R5)。したがって、抵抗素子R6と合成抵抗Rcとの抵抗分割比R6/(Rc+R6)は並列接続していない状態の抵抗素子R6と抵抗素子R5との抵抗分割比R6/(R5+R6)よりも大きくなり、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1に現れる検出電圧Vd ′は強制的に上昇シフトされ、シフト補正用のスイッチング素子Q2に対する駆動制御を非活性化する閾値レベルVs 以上となる(時刻t1)。その結果、制御回路1は発振用のスイッチング素子Q1に対する駆動制御を非活性化することになる。すなわち、発振用のスイッチング素子Q1に対するサイクリックなオン/オフ切替制御の動作を停止し、発振用のスイッチング素子Q1をオフ状態にする。この制御動作停止は入力電圧Vinが規定電圧Vth以上(Vin≧Vth)となるまで継続維持される。
【0029】
DC−DC電源回路の発振開始の起動から時間経過するに伴って平滑コンデンサC2への充電が継続され、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1に現れる検出電圧Vd ′も次第に上昇する。その検出電圧Vd ′は非活性化閾値レベルVs 以上のレベルを保ったままで、発振用のスイッチング素子Q1に対する駆動制御の非活性化・オフ状態は維持される(時刻t1〜t2)。
【0030】
時刻t1以降、入力端子T1における入力電圧Vinが次第に上昇する。そして、時刻t2において、入力電圧Vinが入力電圧判定回路5における規定電圧Vth以上(Vin≧Vth)となり、入力電圧判定回路5は論理反転によって電圧シフト回路6におけるシフト補正用のスイッチング素子Q2のベース端子に対して“H”レベル信号を出力する。その結果、PNP型トランジスタからなるシフト補正用のスイッチング素子Q2が反転動作して非導通(OFF)となり、補正用抵抗素子R7を出力電圧検出回路2のハイサイドの抵抗素子R5から切り離す。出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1に現れる検出電圧Vd ′は平滑コンデンサC2の正極端子からの出力電圧Vout を抵抗分割比R6/(R5+R6)で分圧したもので、それはシフト補正用のスイッチング素子Q2の非活性化閾値レベルVs よりも低いレベルとなる(時刻t2)。その結果、制御回路1は発振用のスイッチング素子Q1に対する駆動制御を活性化することになる。すなわち、発振用のスイッチング素子Q1に対するサイクリックなオン/オフ切替制御の動作(発振動作)を開始する。検出電圧Vd が非活性化閾値レベルVs よりも低い本来のレベルまで戻されると発振用のスイッチング素子Q1が反転して導通し、チョークコイルL1にエネルギーを蓄積する。制御回路1の内部で規定されるオンデューティの期間(検出電圧Vd に基づく)が経過したタイミングで制御回路1によって発振用のスイッチング素子Q1が非導通とされ、逆起電力の発生によりチョークコイルL1のエネルギーが整流ダイオードD1を介して放出され、平滑コンデンサC2を充電し、出力電圧Vout を昇圧する。このような発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御が所定のデューティサイクルで繰り返される。
【0031】
以上のようにして、非絶縁昇圧型チョッパ方式のDC−DC電源回路において、入力電圧Vinが起動時に低すぎて規定電圧Vthを下回るような場合であっても、発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御を実際に活性化するのは、入力電圧Vinが次第に上昇してきて、発振用のスイッチング素子Q1に対する駆動力が充分に大きくなるのを待ってからとなるように制御している。その結果として、発振用のスイッチング素子Q1を充分な導通状態とすることができる。また、従来例で見られるようなベース抵抗(ゲート抵抗)の設定に起因した発振用のスイッチング素子Q1に対するドライブオーバーの問題や、スイッチングスピードの低下、駆動電力の増大、発熱、効率低下などの問題については、これらを良好に抑制することができる。さらに、発振用のスイッチング素子Q1の導通電圧が持ち上がったままとなるような異常事態の発生も抑制することができ、熱破損などの暴走現象も抑制できる。
【0032】
電圧シフト回路6は1つのシフト補正用のスイッチング素子Q2と1つの補正用抵抗素子R7との比較的簡単で部品点数の少ない回路構成のもとに実現化され、入力電圧判定回路5も後述する実施例で明らかとなるように比較的簡単なもので実現することが可能である。
【実施例】
【0033】
以下、本発明にかかわるDC−DC電源回路の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明の実施例におけるDC−DC電源回路の構成を示す回路図である。図3において、T1は直流電源の入力端子、T2は出力端子、1は制御回路(コントロールIC)、2は出力電圧検出回路、3は過電流検出回路、4は昇圧チョッパ、5は入力電圧判定回路、6は電圧シフト回路、Q1は発振用のスイッチング素子(NPN型トランジスタ)、Q2はシフト補正用のスイッチング素子(PNP型トランジスタ)、Q3,Q4はスイッチング素子(NPN型トランジスタ)、L1はチョークコイル、D1は整流ダイオード、C1,C2は平滑コンデンサ、C3はタイミング用コンデンサ、R1〜R12は抵抗素子、ZD1はツェナーダイオード(定電圧ダイオード)である。
【0034】
入力電圧判定回路5は、その構成要素として、ツェナーダイオードZD1、NPN型トランジスタで構成されたスイッチング素子Q3,Q4、抵抗素子R8,R9,R10を備えている。ツェナーダイオードZD1は入力電圧判定回路5における規定電圧Vthを定める要素である。入力端子T1にツェナーダイオードZD1のカソードが接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードとグランド(GND)との間に抵抗素子R8,R9の直列回路が接続されている。直列接続の抵抗素子R8,R9の接続点にスイッチング素子Q3のベース端子が接続され、そのコレクタ端子が抵抗素子R10を介して入力端子T1(ツェナーダイオードZD1のカソード)に接続されている。スイッチング素子Q3のエミッタ端子はグランド(GND)に接続されている。スイッチング素子Q3のコレクタ端子にスイッチング素子Q4のベース端子が接続され、そのエミッタ端子はグランド(GND)に接続されている。
【0035】
電圧シフト回路6を構成するPNP型トランジスタで構成されたシフト補正用のスイッチング素子Q2では、そのエミッタ端子‐ベース端子間に抵抗素子R11が接続され、そのベース端子が抵抗素子R12を介して入力電圧判定回路5のスイッチング素子Q4のコレクタ端子に接続されている。
【0036】
その他の構成については、図1に示した実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0037】
次に、上記のように構成された本実施例のDC−DC電源回路の動作を説明する。
【0038】
入力端子T1に印加される入力電圧Vinが規定電圧Vthより低いとき(Vin<Vth)、ツェナーダイオードZD1は非導通状態となっている。また、ベース端子が抵抗素子R9を介してグランド(GND)に引かれているスイッチング素子Q3も非導通状態となっている。結果として、スイッチング素子Q4が導通状態にあり、電圧シフト回路6のPNP型トランジスタで構成されたシフト補正用のスイッチング素子Q2のベース端子が抵抗素子R12と導通状態のスイッチング素子Q4を介してグランド(GND)に引かれるため、シフト補正用のスイッチング素子Q2は導通状態となっている。したがって、電圧シフト回路6における補正用抵抗素子R7が出力電圧検出回路2のハイサイドの抵抗素子R5に対して並列に接続されることになる。図1図2で説明したのと同様に、電圧シフト回路6による検出電圧Vd ′の強制上昇シフトが起こり、制御回路1は非活性化状態に保持される。すなわち、発振用のスイッチング素子Q1に対するサイクリックなオン/オフ切替制御の動作を停止することで発振用のスイッチング素子Q1をオフ状態にする。したがって、従来例のように発振用のスイッチング素子Q1の導通電圧が持ち上がったままとなるような異常事態は発生せず、熱破損などの暴走現象は抑制される。
【0039】
時間経過に伴って入力電圧Vinが次第に上昇し、規定電圧Vth以上となってツェナーダイオードZD1が降伏し導通すると、スイッチング素子Q3のベース電圧が上昇してスイッチング素子Q3が反転し導通する。スイッチング素子Q3が導通してグランド(GND)に接続されると、スイッチング素子Q4のベース電圧が降下し、スイッチング素子Q4が反転し非導通となる。結果、シフト補正用のスイッチング素子Q2のベース電圧が上昇し、シフト補正用のスイッチング素子Q2が反転し非導通となる。したがって、直前まで出力電圧検出回路2のハイサイドの抵抗素子R5に対して並列に接続されていた電圧シフト回路6における補正用抵抗素子R7が抵抗素子R5から切り離されることになる。図1図2で説明したのと同様に、制御回路1は活性状態に切り替えられる。制御回路1は出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1での検出電圧Vd が規定電圧(非活性化閾値レベルVs )に安定化することとなるデューティサイクルにおいて、発振用のスイッチング素子Q1をオン/オフ切替制御する。
【0040】
ここで、数値的な具体例を挙げて説明する。
【0041】
制御回路1すなわちスイッチング電源用のコントロールICは、一般的にその発振開始起動電源電圧がIC内部で規定されていて、1〜3ボルトと極端に低く設定されているか、逆に10ボルト以上と高く設定されていて、その中間の電圧レベルに設定されている製品は少ない。いま例えば入力の直流電源として12ボルトのバッテリを使用し、入力電圧範囲の仕様につきDC9〜16ボルト、出力電圧をDC18ボルト、2.2Aとする。また、入力電圧範囲がDC9〜16ボルトであることに対応させて、制御回路1(コントロールIC)としてNJM2374A(新日本無線株式会社製)を取り上げる。この制御回路1は発振開始起動電源電圧が約2ボルトに設定されている。
【0042】
この実施例の場合の動作波形図を図4図5に示す。また、比較のために入力電圧判定回路5と電圧シフト回路6を有しない図9の従来例相当の場合の動作波形図を図10に示す。
【0043】
まず、入力電圧判定回路5と電圧シフト回路6を有しない従来例相当の場合の動作について説明する。入力端子T1に印加する入力電圧VinとしてDC5.0ボルトを投入した起動初期の動作波形が図10に示されている。図10において、Vceは発振用のスイッチング素子Q1のコレクタ‐エミッタ間電圧、Vb はベース電圧、ic はコレクタ電流である。入力電圧Vinが5.0ボルトと低いものとなっていることから、発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb が“H”レベルになって、コレクタ電流ic が流れる発振用のスイッチング素子Q1の導通期間において、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceが持ち上がってしまい(ハッチング参照)、コレクタ電流ic が流れたままになる。その結果、発振用のスイッチング素子Q1の所定のデューティサイクルでのオン/オフ切替制御によって行われる出力電圧Vout の昇圧が所期通りには行われず、発振用のスイッチング素子Q1での損失が増大し、熱破壊を起こすおそれがある。
【0044】
これに対して、本発明実施例の場合には、次のような動作となる。
【0045】
(1)入力電圧Vinが規定電圧Vth以上のとき…図4参照
入力端子T1に印加する入力電圧Vinとして規定電圧Vth以上であるDC8.5ボルトを投入した起動初期の動作波形が図4に示されている。入力電圧Vinが8.5ボルトと規定電圧Vth以上であることから、入力電圧判定回路5が電圧シフト回路6を駆動することがなく、制御回路1は直ちに活性状態となって発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御を開始する。すなわち、所定のデューティサイクルで発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御(発振動作)が開始される。発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がると、コレクタ電流ic が流れ出すとともに、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceはそれまでの“H”レベルから“L”レベルへと立ち下がる。また、発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がると、コレクタ電流ic が止まるとともに、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceは“L”レベルから“H”レベルへと立ち上がる。コレクタ電流ic が流れる発振用のスイッチング素子Q1の導通期間において、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceは“L”レベルを維持して持ち上がることはない。つまり、導通期間において発振用のスイッチング素子Q1は完全な導通状態となる。発振用のスイッチング素子Q1の所定のデューティサイクルでのオン/オフ切替制御によって行われる出力電圧Vout の昇圧が所期通りに行われる。結果として、発振用のスイッチング素子Q1での損失増大や熱破壊は回避されることになる。
【0046】
(2)入力電圧Vinが規定電圧Vthより低いとき…図5および図4参照
入力端子T1に印加する入力電圧VinとしてDC5.0ボルトを投入した起動初期の動作波形が図5に示されている。入力電圧Vinが5.0ボルトと低いものとなっていることから、入力電圧判定回路5と電圧シフト回路6とが上記のように動作して、制御回路1が非活性状態にあって発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御が停止状態に維持される。すなわち、発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb は"L"レベルに維持され、発振用のスイッチング素子Q1がオフ状態となってコレクタ電流ic は流れず、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceは"H"レベルに維持される。
【0047】
時間経過に伴って入力電圧Vinが上昇し規定電圧VthのDC8.5ボルト以上となったときの動作波形は図4と同様になる。このとき、入力電圧判定回路5と電圧シフト回路6とが上記のように動作して、それまで非活性状態にあった制御回路1が活性状態に切り替わり、発振用のスイッチング素子Q1が所定のデューティサイクルでオン/オフ切替制御(発振動作)が開始される。すなわち、発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がると、コレクタ電流ic が流れ出すとともに、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceはそれまでの“H”レベルから“L”レベルへと立ち下がる。また、発振用のスイッチング素子Q1のベース電圧Vb が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がると、コレクタ電流ic が止まるとともに、コレクタ‐エミッタ間電圧Vceは“L”レベルから“H”レベルへと立ち上がる。
【0048】
以上のようにして、本実施例においても、入力電圧Vinが起動時に低すぎて規定電圧Vthを下回るような場合であっても、その入力電圧Vinの時間経過に伴う上昇で、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1での検出電圧Vd ′が非活性化閾値レベルVs 以上となるまでは制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1のオン/オフ切替制御を停止させるので、従来例のような駆動力が不足する状態のままでの発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御は規制され、発振用のスイッチング素子Q1がオフ状態とされる。その結果として、発振用のスイッチング素子Q1の熱破損などの暴走現象も抑制される。
【0049】
電圧シフト回路6は1つのシフト補正用のスイッチング素子Q2と1つの補正用抵抗素子R7と2つの抵抗素子R11,R12の比較的簡単で部品点数の少ない回路構成のもとに実現化され、入力電圧判定回路5は1つのツェナーダイオードZD1と2つのスイッチング素子Q3,Q4と3つの抵抗素子R8,R9,R10の比較的簡単で部品点数の少ない回路構成のもとに実現化されている。
【0050】
電圧シフト回路6については、図1に示す構成に代えて図6図7図8のように構成してもよい。
【0051】
図6に示す電圧シフト回路6は、NPN型トランジスタで構成されたスイッチング素子Q2′と補正用抵抗素子R7′とで構成したものである。スイッチング素子Q2′と補正用抵抗素子R7′との直列回路を出力電圧検出回路2におけるローサイドの抵抗素子R6に並列接続している。スイッチング素子Q2′として図1のPNP型トランジスタからなるスイッチング素子Q2とは逆極性のNPN型トランジスタを用いた点が異なっている。
【0052】
DC−DC電源回路の発振開始起動時において、入力電圧Vinが規定電圧Vthより低くなっていて、入力電圧判定回路5が"L"レベル信号を出力する場合に、スイッチング素子Q2′は非導通状態となって、補正用抵抗素子R7′は抵抗素子R6から切り離される。結果、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1での検出電圧Vd ′は非活性化閾値レベルVs 以上のレベルとなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御は停止され、発振用のスイッチング素子Q1をオフ状態にする。入力電圧Vinが規定電圧Vth以上に上昇すると、入力電圧判定回路5は“H”レベル信号を出力し、スイッチング素子Q2′は反転して導通し、補正用抵抗素子R7′が抵抗素子R6に並列接続される。結果、検出電圧Vd は非活性化閾値レベルVs より低くなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御が開始される。
【0053】
図7に示すものでは、出力電圧検出回路2におけるハイサイドの抵抗素子R5とローサイドの抵抗素子R6との間にスイッチング素子Q2bを挿入し、抵抗素子R5とスイッチング素子Q2bとの直列回路に、補正用抵抗素子R7′とシフト補正用のスイッチング素子Q2aとの直列回路を並列接続して電圧シフト回路6を構成したものである。シフト補正用のスイッチング素子Q2aは図1の場合と同様にPNP型トランジスタで構成され、スイッチング素子Q2bは逆極性のNPN型トランジスタで構成されている。補正用抵抗素子R7′の抵抗値は抵抗素子R5の抵抗値よりも小さく設定されている。
【0054】
DC−DC電源回路の発振開始起動時において、入力電圧Vinが規定電圧Vthより低くなっていて、入力電圧判定回路5が"L"レベル信号を出力する場合に、シフト補正用のスイッチング素子Q2aは導通状態となり、スイッチング素子Q2bは非導通状態となる。つまり、ハイサイドの抵抗素子R5は切り離され、ローサイドの抵抗素子R6に対してはシフト補正用のスイッチング素子Q2aを介して補正用抵抗素子R7′が直列に接続された状態となる。結果、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1での検出電圧Vd ′は非活性化閾値レベルVs 以上のレベルとなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御は停止され、発振用のスイッチング素子Q1をオフ状態にする。入力電圧Vinが規定電圧Vth以上に上昇すると、入力電圧判定回路5は"H"レベル信号を出力し、シフト補正用のスイッチング素子Q2aは反転して非導通となり、スイッチング素子Q2bは反転して導通する。つまり、補正用抵抗素子R7′は切り離され、ローサイドの抵抗素子R6に対してはハイサイドの抵抗素子R5がスイッチング素子Q2bを介して直列に接続された状態となる。結果、検出電圧Vd は非活性化閾値レベルVs より低くなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御が開始される。
【0055】
図8に示すものでは、出力電圧検出回路2におけるローサイドの抵抗素子R6とグランド(GND)との間にスイッチング素子Q2bを挿入し、抵抗素子R6とスイッチング素子Q2bとの直列回路に、補正用抵抗素子R7′とシフト補正用のスイッチング素子Q2aとの直列回路を並列接続して電圧シフト回路6を構成したものである。シフト補正用のスイッチング素子Q2aは図1の場合と同様にPNP型トランジスタで構成され、スイッチング素子Q2bは逆極性のNPN型トランジスタで構成されている。補正用抵抗素子R7′の抵抗値は図7とは逆で抵抗素子R5の抵抗値よりも大きく設定されている。
【0056】
DC−DC電源回路の発振開始起動時において、入力電圧Vinが規定電圧Vthより低くなっていて、入力電圧判定回路5が"L"レベル信号を出力する場合に、シフト補正用のスイッチング素子Q2aは導通状態となり、スイッチング素子Q2bは非導通状態となる。つまり、ローサイドの抵抗素子R6は切り離され、ハイサイドの抵抗素子R5に対しては補正用抵抗素子R7′が直列に接続された状態となる。結果、出力電圧検出回路2における出力電圧検出ポイントP1での検出電圧Vd ′は非活性化閾値レベルVs 以上のレベルとなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御は停止され、発振用のスイッチング素子Q1をオフ状態にする。入力電圧Vinが規定電圧Vth以上に上昇すると、入力電圧判定回路5は"H"レベル信号を出力し、シフト補正用のスイッチング素子Q2aは反転して非導通となり、スイッチング素子Q2bは反転して導通する。つまり、補正用抵抗素子R7′は切り離され、ハイサイドの抵抗素子R5に対してはローサイドの抵抗素子R6が直列に接続された状態となる。結果、検出電圧Vd は非活性化閾値レベルVs より低くなり、制御回路1による発振用のスイッチング素子Q1に対するオン/オフ切替制御が開始される。
【0057】
なお、発振用のスイッチング素子Q1をFET(電界効果トランジスタ)やMOSFET(金属酸化物半導体による電界効果トランジスタ)で構成する場合には、スイッチング素子Q1の駆動端子はゲート端子となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、非絶縁昇圧型チョッパ方式のDC−DC電源回路において、入力電圧が起動時に低すぎる場合であっても、充分な導通状態のもとで発振用のスイッチング素子をオン/オフ切替制御させ、スイッチングスピードの低下、駆動電力の増大、発熱、効率低下などの問題を抑える技術として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 制御回路(コントロールIC)
2 出力電圧検出回路
5 入力電圧判定回路
6 電圧シフト回路
C2 平滑コンデンサ
L1 チョークコイル
Q1 発振用のスイッチング素子
T1 入力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10