特許第6116081号(P6116081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6116081グラフを用いたイラストおよびその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6116081
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】グラフを用いたイラストおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20170410BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20170410BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q50/26
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-162020(P2016-162020)
(22)【出願日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年8月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516209038
【氏名又は名称】ひとしずく株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126402
【弁理士】
【氏名又は名称】内島 裕
(72)【発明者】
【氏名】小久保 啓
【審査官】 山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−222075(JP,A)
【文献】 特開2016−99979(JP,A)
【文献】 特開2001−92825(JP,A)
【文献】 特開昭63−212859(JP,A)
【文献】 特開2011−182102(JP,A)
【文献】 特開2015−5153(JP,A)
【文献】 柴犬のグラフデザインTシャツ,チコデザ[online],2013年 8月 7日,p.1-4,[平成28年12月14日検索],インターネット,URL,https://www.ttrinity.jp/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06T 3/00,11/00
G06F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
社会的な課題に関する元データに基づき予め2次元または3次元で描画されたグラフと、追加で描画された文字や図形とを含み、
前記グラフの形状はイラストのモチーフの一構成要素をなすように見立てられ、かつ、前記追加で描画された文字や図形により前記モチーフが完成され、
さらに、前記元データに関する情報のWebページへのリンク先情報を含むリンク先情報表示体を備え、
前記リンク先情報表示体を備える前記イラストを情報処理装置で撮像すると前記リンク先情報に基づく前記Webページが前記情報処理装置の表示部に表示される、
グラフを用いたイラスト。
【請求項2】
社会的な課題に関する元データに基づくグラフを2次元または3次元で印刷媒体またはデジタルに描画するステップと、
前記グラフの形状をイラストのモチーフの一構成要素をなすように見立て、前記グラフに文字や図形を追加して前記イラストのモチーフを完成させるステップと、
前記イラストを情報処理装置で撮像するとWebページが前記情報処理装置の表示部に表示されるように、前記イラストに前記元データに関する情報の前記Webページへのリンク先情報を含むリンク先情報表示体を付すステップと
を有するグラフを用いたイラストの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフを利用してイラストを作製する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
社会的な課題として、地球温暖化、資源枯渇、貧困、少子晩婚化、高齢過疎化等の種々のものが挙げられる。
しかし、これらの事象に関心がないわけではないが、これらの事象に関連する情報に触れるきっかけが少ないと感じている人々も多い。
【0003】
一般に、これらの事象に関する特定の年月日における数値情報は蓄積されて保持されている。
また、それらの数値情報は時系列等のデータとして記録媒体にデジタル的に記録されていることも少なくない。
そして、それらの数値データ(以下、数値情報を含む意味で用いる。)は、視覚に訴えて直観的な理解の容易化等を図るために、例えば、折れ線グラフ等の所定のグラフの形式で表すことが可能である。
【0004】
ところが、社会的な課題に関する数値について、単なるグラフによる表現では看る者の興味を引くのに十分ではない。
【0005】
ここで、関連技術として、有色紙を用いて紙を彫ることにより表現された絵画の製造技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4200482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の関連技術では、グラフによる表現を活かしつつ、看る者の興味を引くのに十分なイラストを実現することは困難である。さらに、グラフの元となる上記の数値情報ないしは数値データに関する情報のWebページを簡易に閲覧し、当該グラフが何を意味するものであるかを把握し、社会的な課題について考えるきっかけとすることはできなかった。
【0008】
本発明の目的は、看る者の興味を引き、グラフの元となる数値データに関する情報のWebページを簡易に閲覧することができるグラフを用いたイラストおよびその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のグラフを用いたイラストは、社会的な課題に関する元データに基づき予め2次元または3次元で描画されたグラフと、追加で描画された文字や図形とを含み、
前記グラフの形状はイラストのモチーフの一構成要素をなすように見立てられ、かつ、前記追加で描画された文字や図形により前記モチーフが完成され、
さらに、前記元データに関する情報のWebページへのリンク先情報を含むリンク先情報表示体を備え、
前記リンク先情報表示体を備える前記イラストを情報処理装置で撮像すると前記リンク先情報に基づく前記Webページが前記情報処理装置の表示部に表示される。
このように構成することにより、2次元または3次元で描画されたグラフに、文字や図形を追加して、イラスト(芸術作品・美術作品等を広く含む。)として完成させ、グラフによる表現を活かしつつ、看る者の興味を引くのに十分なイラストを実現することができる。
また、イラストに上記数値データに関する情報のWebページへのリンク先情報(例えば、URL情報である。)を含むリンク先情報表示体(例えば、QRコード(登録商標)である。)が付されるため、携帯情報端末やスマートフォン等を多くの人々が所有している近年の状況下では、誰でも気軽に携帯情報端末やスマートフォンのカメラ機能を利用して、気になるイラストを撮影して、イラストに付されたリンク先情報表示体のURL情報に基づいて、上記数値データに関する情報のWebページを携帯情報端末等の表示部に表示させるようにすることができ、Webページを簡易に閲覧し、当該グラフが何を意味するものであるかを把握し、社会的な課題について考えるきっかけとする。
【0010】
また、本発明のグラフを用いたイラストの作製方法は、社会的な課題に関する元データに基づくグラフを2次元または3次元で印刷媒体またはデジタルに描画するステップと、
前記グラフの形状をイラストのモチーフの一構成要素をなすように見立て、前記グラフに文字や図形を追加して前記イラストのモチーフを完成させるステップと、
前記イラストを情報処理装置で撮像するとWebページが前記情報処理装置の表示部に表示されるように、前記イラストに前記元データに関する情報の前記Webページへのリンク先情報を含むリンク先情報表示体を付すステップと
を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、看る者の興味を引き、グラフの元となる数値データに関する情報のWebページを簡易に閲覧することができるグラフを用いたイラストおよびその作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るグラフを用いたイラストの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るグラフの元となる数値データの構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る数値データに関する情報のWebページの表示画面の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係るグラフを用いたイラストの作製方法等を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態におけるグラフを用いたイラストの構成を図1を参照して説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、紙などの印刷媒体1にグラフ2が表される。
印刷媒体1は、紙などに限らず、Tシャツや小物類などプリンタ装置等により印刷が可能な種々の媒体を含む。
グラフ2は、社会的な課題である、地球温暖化、資源枯渇、貧困、少子晩婚化、高齢過疎化等に関する、元ととなる数値データ(図2も参照)に基づいて表される折れ線グラフである。
グラフ2の表すデータは典型的には社会的な課題に関するものであるが、それに限定されない。
また、グラフ2は2次元の折れ線グラフのみでなく、円グラフや棒グラフ等の2次元や3次元の種々のグラフであってよい。
【0015】
そして、図1(b)に示すように、紙などの印刷媒体1に表されたグラフ2に、ペン等で文字・図形3を追加して書き込むことでアナログ的にイラスト10が完成されている。例えば、グラフ2の箇所を髭に見立て、目や口の図柄3−1、3−2、3−3を追加して顔のイラストを完成させることであってもよい。イラスト10のモチーフは、風景等であっても、特別な意味を有しないデザインであってもよく幅広く表現物を含む。
【0016】
さらに、図1(c)に示すように、イラスト10に上記数値データに関する情報のWebページへのリンク先情報としてのURL情報を含むリンク先情報表示体としてのQRコード(登録商標)4が付されている。
QRコード(登録商標)4は、印刷や、別体のシール等が貼着されること等により付される。
QRコード(登録商標)4の位置は、印刷媒体1の隅の部分であれば邪魔にならなく好適であるが任意の場所に付されてよい。
リンク先情報表示体としてはQRコード(登録商標)4に限らず、所定のWebページが表示できるように案内する機能を有していればどのようなものであってもよい。
【0017】
図2にグラフ2を形成するための元となる数値データの構成を示す。ここでは、所定の年月日における貧困者数の数値データを示している。このように記録されている数値情報から所定の情報処理装置に個々の数値を入力してグラフ4を形成してアウトプットさせることであってもよいし、図2に示すようなテーブル構造に一連の数値データが予め格納されており、所定の情報処理装置がそのデータを読み出してグラフ4を形成してアウトプットさせることであってもよい。
なお、数値データは典型的には社会的な課題に関するものであるが、それに限定されない。
【0018】
図3に情報処理装置(例えば、携帯端末、スマートフォン)20の表示部の表示画面の一例を示す。画面には、QRコード(登録商標)4が付されたイラスト10を情報処理装置20で撮像して、QRコード(登録商標)4で示されたURL情報に基づくWebページが表示されている。このWebページは、グラフ2を形成するための元となる数値データ(所定の年月日における貧困者数)に関する情報が載っているインターネット上のものである。
【0019】
次に、図4を参照して本実施の形態に係るグラフを用いたイラストの作製方法および活用方法等のフローを説明する。
【0020】
まず、図1(a)に示すようなグラフ2を作成する(S401)。その際には、図2に示すようなグラフ2を形成するための元となる数値データを利用する。
そして、紙などの印刷媒体1にグラフ2を印刷して表す。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、紙などの印刷媒体1に表されたグラフ2に、ペン等で文字や図形3を追加して書き込むことでアナログ的にイラスト10を完成する(S402)。
すると、単なるグラフ2のみによる表現とは異なり、イラスト独自の価値により、幅広い対象者の興味をそそり、より注目してもらうことができる。特に、有名なアーティスト・文化人等が作製した作品であれば、老若男女を問わず様々な階層の人々に訴求することとなる。
【0022】
さらに、図1(c)に示すように、完成させたイラスト10の右上隅には、上記数値データに関する情報のWebページへのリンク先情報としてのURL情報を含むリンク先情報表示体としてのQRコード(登録商標)4を付す(S403)。例えば、QRコード(登録商標)4を印刷してあるシールを印刷媒体1に貼着することであってもよい。
【0023】
このようにして作製されたイラスト10は、例えば、展示会に出品したり、企業とコラボして小物やTシャツに付されたり、インターネット上のサービスのスタンプとして用いられるなど多様な活用方法がある。そして、SNS等を通じてイラスト10がさらに世の中に加速度的に浸透・普及していく可能性は無限大にある。
【0024】
次に、イラスト10を見かけた第三者が、カメラ機能を有する情報処理装置(例えば、携帯端末、スマートフォン)20によりイラスト10を撮像する(S404)。
すると、情報処理装置20の表示部に、例えば図3に示すような、グラフ2を形成するための元となる数値データに関するWebページが表示される(S405)。
【0025】
携帯情報端末やスマートフォンを多くの人々が所有している近年の状況下では、誰でも気軽に携帯情報端末やスマートフォンのカメラ機能を利用して、気になるイラスト10を撮影して、イラストの隅に付されたQRコード(登録商標)4のURL情報に基づいて、上記数値データに関する情報のWebページを携帯情報端末等の表示部に表示させるようにすることができ、社会的な課題ないし現象の関連情報に触れるきっかけを身近に生み出すことに繋がる。
【0026】
また、変形例として、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置の表示部にデジタルで表示されたグラフ2にデジタル処理による描画により文字や図形等を追加してデジタルデータとしてイラスト10を完成することであってもよい。
PCは周知の構成としてキーボートやマウス等の入力装置、モニタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置、中央演算処理装置(CPU)、主記憶装置、補助記憶装置等を備え、例えば、以下の機能を実現することができる。
PCの数値データ取得部は、所定のデータベースから社会的な課題ないし現象等の数値データ(グラフ作成の元になるデータ)を取得する。グラフ作成部は、数値データに基づいて所定のグラフを作成し、表示部はグラフとして表示する。PC操作者(イラスト作成者)は、PCの表示部に表示されたグラフを見ながら、マウス等の入力部を操作して、付加表示体(文字・記号・図形等を広く含む)を描画して表示部に追加して表示させながらイラストを完成させる。すなわち、PCの図形等追加部は、マウス等の入力部の操作に応じて、文字や図形等をデジタル処理して生成して表示部に描画し、完成したイラストをデジタルデータとして所定の記憶部に記憶する。出力部は、イラストのデジタルデータをプリンタに出力して紙媒体に印刷したり、ネットワーク上の他の装置へデータ送信したりする。
【0027】
上述のとおり、本実施の形態によれば、2次元または3次元で描画されたグラフによる表現を活かしつつ、看る者の興味を引くのに十分なイラストを実現することができる。
また、イラストに付されたリンク先情報表示体のURL情報に基づいて、上記数値データに関する情報のWebページを携帯情報端末等の表示部に表示させるようにすることができ、Webページを簡易に閲覧し、当該グラフが何を意味するものであるかを把握し、社会的な課題について考えるきっかけとすることができる。
【0028】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、各装置・システムの機能を実現するためのプログラムを各装置・システム等に読込ませて実行することにより各装置・システム等の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線等を介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、一部のシステムが人の動作を介在して実現されてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 印刷媒体
2 グラフ
3(3−1、3−2、3−3、) 文字・図形(図柄)
4 QRコード(登録商標)
10 イラスト
20 情報処理装置
【要約】
【課題】看る者の興味を引き、グラフの元となる数値データに関する情報のWebサイトを簡易に閲覧することができるグラフを用いたイラストおよびその作製方法を提供すること。
【解決手段】予め2次元または3次元で描画された元データに基づくグラフと、追加で描画された文字や図形とを含み、さらに、前記元データに関する情報のWebページへのリンク先情報を含むリンク先情報表示体を備え、前記リンク先情報表示体を備えるイラストを情報処理装置で撮像すると前記リンク先情報に基づく前記Webページが前記情報処理装置の表示部に表示される、グラフを用いたイラスト。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4