特許第6116098号(P6116098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 日立産業制御ソリューションズの特許一覧

<>
  • 特許6116098-検査装置 図000002
  • 特許6116098-検査装置 図000003
  • 特許6116098-検査装置 図000004
  • 特許6116098-検査装置 図000005
  • 特許6116098-検査装置 図000006
  • 特許6116098-検査装置 図000007
  • 特許6116098-検査装置 図000008
  • 特許6116098-検査装置 図000009
  • 特許6116098-検査装置 図000010
  • 特許6116098-検査装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116098
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   G01N21/90 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268030(P2013-268030)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-125016(P2015-125016A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】片根 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】三村 三千男
(72)【発明者】
【氏名】末松 克斗
(72)【発明者】
【氏名】堤 隆之
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−061852(JP,A)
【文献】 特開2013−044688(JP,A)
【文献】 特開2012−202767(JP,A)
【文献】 特開昭59−183351(JP,A)
【文献】 特開2013−198858(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/068136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された容器である被検体を搬送中に消泡処理する消泡部と、
前記被検体を撮像して検査する検査部と、
前記検査部の検査結果に基づいて、前記被検体を前記消泡部に戻すリターン機構と、を備え、
前記リターン機構は、前記被検体を溜めるバッファ機構を有し、
該バッファ機構は、二重化されており、一方のバッファ機構に溜められた前記被検体を前記消泡部に戻す際、他方のバッファ機構に前記被検体を溜める
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記二重化されたバッファ機構は、前記被検体を溜める容量が等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記バッファ機構は、前記被検体を保持する複数のキャリアカップを有し、
該バッファ機構に前記被検体を溜める際、前記キャリアカップに隙間なく保持させる
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関し、特に、液剤が充填された容器を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジのような液剤が充填された容器(被検体)について、画像を撮像し、その画像に基づいて容器の外観や容器内の異物の有無を検査する検査装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2012−202767号公報)には、所定の液が容器に充填された容器詰め液製品を被検体とする容器詰め液製品検査装置であって、前記被検体を保持する被検体保持部が閉じた搬送路上に複数個設けられ、前記被検体保持部が前記閉じた搬送路上を循環移動するように構成された循環形状搬送装置と、前記閉じた搬送路上の近傍に配置され、前記被検体の外観画像を撮像して、その外観画像に基づき、前記被検体の不良を検出する被検体画像検査装置と、外部から供給される被検体を搬送して、前記循環形状搬送装置に受け渡す被検体供給搬送装置と、前記被検体画像検査装置の不良検出結果に基づき、前記被検体が良品、不良品および未検査品のいずれであるかを判定する検査制御装置と、前記循環形状搬送装置から受け渡された前記被検体を、前記検査制御装置による判定結果に基づき、良品、不良品および未検査品に分別する被検体分別搬送装置と、前記未検査品に分別された前記被検体を、前記被検体供給搬送装置または前記循環形状搬送装置のいずれかに受け渡して再検査に供する被検体回帰用搬送装置と、を備え、前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記被検体供給搬送装置に受け渡すものである場合には、前記検査制御装置は、外部からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記被検体供給搬送装置に受け渡し、前記被検体回帰用搬送装置が前記未検査品に分別された前記被検体を前記循環形状搬送装置に受け渡すものである場合には、前記検査制御装置は、前記被検体供給搬送装置からの前記被検体よりも、前記被検体回帰用搬送装置からの前記未検査品に分別された前記被検体を優先して前記循環形状搬送装置に受け渡すことを特徴とする容器詰め液製品検査装置が開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−202767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、容器に充填される液剤には、泡が発生しやすい液剤もある。また、撮像した画像に基づいて異物検査する検査装置では、泡と異物とを判別することは困難であり、泡を異物として誤検知するおそれがある。このため、検査装置は、検査部よりも上流側に、泡を低減するための消泡部を備えている。しかしながら、1回の消泡部での消泡処理では、消えなかった泡が残るおそれがある。
【0006】
1回の消泡処理で消えなかった泡も複数回消泡処理を行うことにより、消泡効果が増して、検査部での誤検知を低減することができる。したがって、検査部で異物(または泡)を検知した被検体に対して、再度消泡部に供給して再度消泡処理を行うため、被検体を検査部から消泡部に戻すリターン機構を設けることが望ましい。
【0007】
これについて、特許文献1に開示された検査装置は、連続して発生する未検査の被検体に対して、上流からの新たな被検体の供給を停止させて、未検査の被検体を連続的にリターンするものである。
【0008】
しかしながら、異物(または泡)を検知した被検体は、一般的には、不定期に発生するものと考えられる。このような、不定期なリターンが発生すると、それに合わせて、被検体の検査装置への供給も制御する必要がある。
【0009】
また、例えば、1つのトレイに複数本の被検体が載置された状態で検査装置まで搬送され、搬入装置によりそのトレイに載置された単位(例えば、20本)で、被検体が検査装置に供給されるようになっている。即ち、検査装置には、被検体が複数本同時に供給されるようになっている。
【0010】
このため、従来の検査装置では、リターンする被検体が1本発生するたびに、同時に供給される複数本の被検体の供給を止める必要があり、検査装置の検査処理能力が大幅に低下することが考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、消泡効果を向上させるとともに、検査処理能力の低下を抑制する検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、液体が充填された容器である被検体を搬送中に消泡処理する消泡部と、前記被検体を撮像して検査する検査部と、前記検査部の検査結果に基づいて、前記被検体を前記消泡部に戻すリターン機構と、を備え、前記リターン機構は、前記被検体を溜めるバッファ機構を有し、該バッファ機構は、二重化されており、一方のバッファ機構に溜められた前記被検体を前記消泡部に戻す際、他方のバッファ機構に前記被検体を溜めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消泡効果を向上させるとともに、検査処理能力の低下を抑制する検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る検査装置を上から見た構成模式図である。
図2】本実施形態に係る検査装置Sの部分拡大模式図であり、検査装置が備えるリターン機構を示す。
図3】(a)から(c)は、第1リターンコンベアに被検体を詰める際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図4】第1リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図5】第1リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図6】第1リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図7】第2リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図8】第2リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図9】第2リターンコンベアの被検体を検査ロータに供給する際の動作を説明する検査装置の動作例である。
図10】本実施形態に係る検査装置で検査する被検体の一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0016】
≪検査装置S≫
本実施形態に係る検査装置Sについて図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る検査装置Sを上から見た構成模式図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る検査装置Sは、供給コンベア1と、プレスピンロータ2と、検査ロータ3と、良品搬出コンベア4と、第1不良品トレイ5Aと、第2不良品トレイ5Bと、第3不良品トレイ5Cと、第1リターンコンベア6Aと、第2リターンコンベア6Bと、スターホイルSW1〜SW17と、検査装置S全体を制御する制御装置50と、を備えている。
【0018】
そして、本実施形態に係る検査装置Sの上流側には、搬入装置101および搬入路102が設けられている。また、本実施形態に係る検査装置Sの下流側には、搬出装置103および搬出路104が設けられている。
【0019】
ここで、本実施形態に係る検査装置Sの検査対象である被検体は、例えば、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジのような光透過性の液剤が充填された光透過性容器である。被検体の一例を図10に示す。図10は、本実施形態に係る検査装置Sで検査する被検体PSの一例を示す外観図である。図10では、被検体の一例として、プレフィルドシリンジPSを示す。
【0020】
プレフィルドシリンジ(被検体)PSは、フランジ201aを有するシリンジ(光透過性容器)201と、ガスケット202と、封止体203と、ガスケット202および封止体203で密閉されたシリンジ201内に充填される液剤204と、を備えている。そして、プレフィルドシリンジPSの密閉空間内は、完全に液剤204で充填されているものではなく、少量の気体205も封入されている。
【0021】
このため、例えば、フィルドシリンジPSを寝た状態(横にした状態)から図10のようにフランジ201aが下になるように立てると、液剤204の液面に泡が発生したり、ガスケット202の上面やシリンジ201の内壁面に気泡206が付着したりすることがある。
【0022】
図1に戻り、搬入路102には、被検体がトレイ(図示せず)に載置されて搬入される。なお、被検体がプレフィルドシリンジPS(図10参照)の場合、トレイ(図示せず)にはプレフィルドシリンジPSが寝た状態(横にした状態)で載置されている。そして、搬入装置101は、アーム101aを用いて、搬入路102から検査装置Sの供給コンベア1に被検体を供給する。なお、被検体がプレフィルドシリンジPS(図10参照)の場合、搬入装置101は、プレフィルドシリンジPSのフランジ201aが下になるようにして、供給コンベア1に供給する。
【0023】
図1において、被検体の流れを矢印(太実線矢印、太破線矢印)で示す。供給コンベア1により供給された被検体は、図1の太実線矢印に示すように、供給コンベア1から、スターホイルSW1,SW2を介して、プレスピンロータ2に搬送される。
【0024】
プレスピンロータ2は、被検体を保持して搬送する台座(図示せず)と、消泡機構(図示せず)と、を備えている。消泡機構は、例えば、台座(図示せず)に保持された被検体を搬送中に自転させる回転装置(図示せず)で構成され、被検体の容器の内壁面に付着した気泡を壁面から剥して除去したり、液面の泡を破泡したりして、消泡することができるようになっている。なお、プレスピンロータ2での消泡方法は、従来の検査装置の消泡方法と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0025】
そして、消泡処理された被検体は、図1の太実線矢印に示すように、スターホイルSW3〜SW7を介して、検査ロータ3に搬送される。
【0026】
検査ロータ3は、被検体を保持して搬送する台座(図示せず)と、台座(図示せず)に保持された被検体を自転させる回転装置(図示せず)と、被検体を撮像するカメラ(図示せず)と、を備え、台座(図示せず)に保持された被検体を搬送中に回転装置(図示せず)で回転させて、カメラ(図示せず)で被検体の画像を撮像し、その画像に基づいて容器の外観や容器内の異物の有無を検査する。なお、検査ロータ3での検査方法は、従来の検査装置の検査方法と同様であり、詳細な説明は省略する。そして、制御装置50は、検査結果に基づいて、被検体を「良品」「不良品1」「不良品2」「不良品3」「リターン品」に分類する。ちなみに、「リターン品」とは、再度プレスピンロータ2に戻して消泡処理を行い、その後、検査ロータ3で検査する被検体である。なお、「リターン品」としては、何らかの理由で検査部での検査ができなかった被検体や、泡または異物を検知したため再度消泡処理からやり直す被検体などがある。
【0027】
検査ロータ3で「良品」と判定された被検体は、図1の太実線矢印に示すように、スターホイルSW8からスターホイルSW13,SW14を介して、良品搬出コンベア4に搬送される。そして、被検体は、良品搬出装置103のアーム103aにより、良品搬出コンベア4搬出路104へと搬送される。
【0028】
検査ロータ3で「不良品1」と判定された被検体は、スターホイルSW8,SW9,SW10を介して、第1不良品トレイ5Aに搬送される。検査ロータ3で「不良品2」と判定された被検体は、スターホイルSW8,SW11を介して、第2不良品トレイ5Bに搬送される。検査ロータ3で「不良品3」と判定された被検体は、スターホイルSW8,SW12を介して、第3不良品トレイ5Cに搬送される。
【0029】
検査ロータ3で「リターン品」と判定された被検体は、図1の太破線矢印に示すように、スターホイルSW8,SW9を介して、第1リターンコンベア6Aまたは第2リターンコンベア6Bに搬送される。第1リターンコンベア6Aおよび第2リターンコンベア6Bは、詳細は図3等を用いて後述するが、被検体(リターン品)を溜めることができるようになっている。そして、所定量の被検体(リターン品)が第1リターンコンベア6Aに溜まると、第1リターンコンベア6Aの被検体(リターン品)は、図1の太破線矢印に示すように、スターホイルSW15,SW17,SW1へと搬送され、図1の太実線矢印に示すように、スターホイルSW1,SW2を介して、プレスピンロータ2に搬送される。同様に、所定量の被検体(リターン品)が第2リターンコンベア6Bに溜まると、第2リターンコンベア6Bの被検体(リターン品)は、図1の太破線矢印に示すように、スターホイルSW15,SW17,SW1へと搬送され、図1の太実線矢印に示すように、スターホイルSW1,SW2を介して、プレスピンロータ2に搬送される。
【0030】
なお、符号aはスターホイルSW9から第1リターンコンベア6Aに被検体を受け渡す受け渡し位置aであり、符号bはスターホイルSW9から第2リターンコンベア6Bに被検体を受け渡す受け渡し位置bである。また、符号b(受け渡し位置b)は、第1リターンコンベア6Aを経由してリターンする搬送路と第2リターンコンベア6Bを経由してリターンする搬送路との分岐位置bであり、符号cは分岐した搬送路が合流する合流位置cである。
【0031】
このように、本実施形態に係る検査装置Sは、被検体を「良品」「不良品(不良品1〜3)」に選別して、搬出することができるようになっている。また、本実施形態に係る検査装置Sは、検査部で「リターン品」と判定した被検体について、リターン機構(スターホイルSW9、第1リターンコンベア6A、第2リターンコンベア6B、スターホイルSW15〜SW17)により、再度プレスピンロータ2に戻して消泡処理を行い、その後、検査ロータ3で検査することができるようになっている。
【0032】
なお、図1に示す検査装置Sは、最終的に被検体を「良品」「不良品1」「不良品2」「不良品3」の4つに選別して搬出するものとして説明したが、これに限られるものではない。少なくとも「良品」を選別できればよく、選別する種類は4つに限られるものではない。
【0033】
<リターン機構>
次に、本実施形態に係る検査装置Sが備えるリターン機構について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置Sの部分拡大模式図であり、検査装置Sが備えるリターン機構を示す。
【0034】
リターン機構は、検査部である検査ロータ3の下流側から、消泡部であるプレスピンロータ2の上流側に被検体を戻すための機構であり、スターホイルSW9と、第1リターンコンベア6Aと、第2リターンコンベア6Bと、スターホイルSW15〜SW17と、で構成されている。
【0035】
第1リターンコンベア6Aは、プーリー61〜64と、プーリー61〜64に巻回されたベルト65と、被検体を載置して保持するキャリアカップ66と、を備えている。制御装置50(図1参照)は、モータ(図示せず)等により駆動するプーリー(例えば、プーリー62)を制御することにより、ベルト65の回転を制御して、キャリアカップ66の移動を制御することができるようになっている。なお、第2リターンコンベア6Bは、第1リターンコンベア6Aと同様の構成であり説明を省略する。
【0036】
スターホイルSW9は、外周に被検体を保持する保持部Hを有し、被検体を搬送することができるようになっている。また、スターホイルSW9は、保持部Hに保持している被検体を、他のスターホイル(図1のSW10)や、第1リターンコンベア6A、第2リターンコンベア6Bに、受け渡すかそのまま保持するかを制御する受け渡し装置(図示せず)を備えている。制御装置50(図1参照)は、スターホイルSW9の受け渡し装置(図示せず)を制御することにより、受け渡し位置aで第2リターンコンベア6Bのキャリアカップ66に被検体を受け渡すか、受け渡し位置bで第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66に被検体を受け渡すか、を制御することができるようになっている。なお、他のスターホイルについても同様の構成であり説明を省略する。
【0037】
なお、分岐位置bから合流位置cまでについて、第1リターンコンベア6Aの側の被検体を保持可能な数と、第2リターンコンベア6Bの側の被検体を保持可能な数とは、等しくなっていることが望ましい。
【0038】
そして、検査装置Sが運転中において、図1に示すプレスピンロータ2、検査ロータ3、スターホイルSW1〜SW17は、周速度が一定で回転している。これに対し、第1リターンコンベア6A、第2リターンコンベア6Bは、必ずしもスターホイルSW9の回転に合わせて回転しているものではなく、停止したり、間歇的に動作したり、連続して動作したりすることができるようになっている。
【0039】
<リターン機構の動作例>
次に、本実施形態に係る検査装置Sが備えるリターン機構の動作例について、図3から図9を用いて説明する。なお、以下の説明において、被検体(リターン品)PS(PS1〜PS9)を、黒で塗りつぶした丸で図示している。
【0040】
図3の(a)から(c)は、第1リターンコンベア6Aに被検体PSを詰める際の動作を説明する検査装置Sの動作例である。
【0041】
スターホイルSW9で搬送される被検体(リターン品)PS1〜PS3は、図3(a)に示すように、不定期に供給される。スターホイルSW9の受け渡し装置(図示せず)は、受け渡し位置aで被検体(リターン品)PS1〜PS3を第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66に受け渡す。そして、第1リターンコンベア6Aは、被検体(リターン品)PSが、受け渡し位置aに差し掛かるタイミングに合わせて間歇的に動作することにより、図3(b)および図3(c)に示すように、第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66に、隙間なく被検体(リターン品)PS1〜PS3を保持させる。
【0042】
図4から図6は、第1リターンコンベア6Aの被検体PSを検査ロータ2に供給する際の動作を説明する検査装置Sの動作例である。
【0043】
そして、図4に示すように、第1リターンコンベア6Aに所定量の被検体(リターン品)PSが保持されると、制御装置50(図1参照)は、搬入装置101による供給コンベア1への被検体PSの搬入を停止させるとともに、第1リターンコンベア6Aを連続して動作させて、第1リターンコンベア6Aの被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に搬送する。
【0044】
ここで、第1リターンコンベア6Aの被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に搬送する際は、図5および図6に示すように、スターホイルSW9の受け渡し装置(図示せず)は、受け渡し位置bで不定期に供給される被検体(リターン品)PS4〜PS6を第2リターンコンベア6Bのキャリアカップ66に受け渡す。そして、第2リターンコンベア6Bは、被検体(リターン品)PSが、受け渡し位置bに差し掛かるタイミングに合わせて第2リターンコンベア6Bが間歇的に動作することにより、第2リターンコンベア6Bのキャリアカップ66に、隙間なく被検体(リターン品)PS4〜PS6を保持させる。
【0045】
そして、制御装置50(図1参照)は、リターン機構からの被検体(リターン品)PSと、供給コンベア1からの被検体PSとが、スターホイルSW1の合流部でぶつからないタイミングで、搬入装置101による供給コンベア1への被検体PSの搬入を再開する。なお、第1リターンコンベア6Aは、保持していた被検体(リターン品)PSを全てスターホイルSW15に受け渡した後に停止する。
【0046】
図7から図9は、第2リターンコンベア6Bの被検体PSを検査ロータ2に供給する際の動作を説明する検査装置Sの動作例である。
【0047】
そして、図7に示すように、第2リターンコンベア6Bに所定量の被検体(リターン品)PSが保持されると、制御装置50(図1参照)は、搬入装置101による供給コンベア1への被検体PSの搬入を停止させるとともに、第2リターンコンベア6Bを連続して動作させて、第2リターンコンベア6Bの被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に搬送する。
【0048】
ここで、第2リターンコンベア6Bの被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に搬送する際は、図8および図9に示すように、スターホイルSW9の受け渡し装置(図示せず)は、受け渡し位置aで不定期に供給される被検体(リターン品)PS7〜PS9を第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66に受け渡す。そして、第1リターンコンベア6Aは、図3の場合と同様に、被検体(リターン品)PSが、受け渡し位置aに差し掛かるタイミングに合わせて第1リターンコンベア6Aが間歇的に動作することにより、第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66に、隙間なく被検体(リターン品)PS7〜PS9を保持させる。
【0049】
そして、制御装置50(図1参照)は、リターン機構からの被検体(リターン品)PSと、供給コンベア1からの被検体PSとが、スターホイルSW1の合流部でぶつからないタイミングで、搬入装置101による供給コンベア1への被検体PSの搬入を再開する。なお、第2リターンコンベア6Bは、保持していた被検体(リターン品)PSを全てスターホイルSW16に受け渡した後に停止する。
【0050】
このように、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構は、被検体(リターン品)PSを保持して溜めるバッファ機構として、第1リターンコンベア6Aおよび第2リターンコンベア6Bを備えている。
【0051】
<作用効果>
以上のように、本実施形態に係る検査装置Sは、リターン機構(図2参照)を備えていることにより、被検体(リターン品)PSを検査ロータ3の下流側からプレスピンロータ2の上流側に戻すことができ、複数回プレスピンロータ2を通して、消泡処理を複数回行うことができ、消泡性能を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構(図2参照)は、被検体PSの向きを変えることなく、検査ロータ3からプレスピンロータ2に被検体PSを搬送することができる。例えば、被検体PSが図10に示すプレフィルドシリンジPSの場合、フランジ201a(図10参照)を下にしたまま、搬送することができる。
【0053】
例えば、従来の検査装置の場合、未検査品や気泡のため不良品と誤検知された被検体PSを、再びトレイに載置して搬入路102から搬入して、再検査することがある。この場合、被検体PSは寝た状態となっており、被検体PSを立てて供給コンベア1に供給する際、気泡が付着したり、液面に泡が発生したりするおそれがある。
【0054】
これに対し、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構(図2参照)は、被検体PSの向きを変えることなく、被検体PSを搬送することができるので、新たな気泡の付着や液面の泡の発生を防止することができ、消泡性能を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構(図2参照)は、不定期に発生する被検体(リターン品)PSを、プレスピンロータ2にすぐに戻さず、バッファ機構(第1リターンコンベア6A、第2リターンコンベア6B)に所定量溜まった後に、搬送するようになっている。
【0056】
これにより、搬入装置101の停止回数を少なくして、被検体PSを複数本同時に供給する搬入装置101の停止時間を短くすることができる。即ち、検査装置Sの検査処理能力の低下を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構(図2参照)は、バッファ機構(第1リターンコンベア6A、第2リターンコンベア6B)が二重化されている。
【0058】
これにより、一方のバッファ機構が、被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に供給するため連続的に動作する場合であっても、他方のバッファ機構が、間歇的に動作することができ、不定期に供給される被検体(リターン品)PSを隙間なくキャリアカップ66に保持させることができる。このため、他方のバッファ機構が被検体(リターン品)PSをプレスピンロータ2に供給する際には、隙間なく被検体(リターン品)PSを供給することができ、検査装置Sの検査処理能力の低下を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る検査装置Sのリターン機構(図2参照)は、分岐位置bから合流位置cまでについて、第1リターンコンベア6Aの側の被検体を保持可能な数と、第2リターンコンベア6Bの側の被検体を保持可能な数とは、等しくなっていることが望ましい。
【0060】
これにより、連続してリターン品が供給された場合であっても、バッファ機構から出る被検体PSの数と、バッファ機構に入る被検体PSの数が同じとなるため、被検体PSがオーバーフローすることなく連続して検査装置Sを運転することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る検査装置Sは、供給された被検体PSが、プレスピンロータ2の台座、検査ロータ3の台座、スターホイルSW1〜SW17保持部、第1リターンコンベア6Aのキャリアカップ66、第2リターンコンベア6Bのキャリアカップ66のうちのいずれかで保持されている。このため、制御装置50で、ある被検体PSが、現在どの位置にいるかを把握することができる。
【0062】
このため、制御装置50は、ある被検体PSについて、現在の位置と、プレスピンロータ2へのリターン回数と、検査ロータ3での検査結果とを、管理してもよい。これにより、制御装置50は、管理したデータに基づいて、「良品」「不良品(不良品1〜不良品3)」「リターン品」を判断することができる。
【0063】
例えば、異物(または泡)を検知した被検体PSについて、1回目は被検体PSをリターン品として、リターン機構(図2参照)によりプレスピンロータ2に戻して再度消泡処理を行い、2回目の検査でも異物(または泡)を検知した場合は、異物を含む不良品(不良品2)として第2不良品トレイ5Bに搬出するといった判断をすることができる。
【0064】
≪変形例≫
なお、本実施形態に係る検査装置Sは、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0065】
本実施形態に係る検査装置Sは、図10に示すように、被検体PSとしてプレフィルドシリンジを用いるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、被検体PSは、アンプル、バイアル、プラスチックボトル等であってもよく、光透過性の液剤が充填された光透過性容器であればよい。なお、被検体PSをプレスピンロータ2の台座や検査ロータ3の台座へ固定する固定方法は、従来のプレスピンロータ2の台座や検査ロータ3の台座への固定方法と同様であり、説明を省略する。
【符号の説明】
【0066】
1 供給コンベア
2 プレスピンロータ(消泡部)
3 検査ロータ(検査部)
4 良品搬出コンベア
6A 第1リターンコンベア(リターン機構、バッファ機構)
6B 第2リターンコンベア(リターン機構、バッファ機構)
50 制御装置
61〜64 プーリー
65 ベルト
66 キャリアカップ
101 搬入装置
102 搬入路
103 良品搬出装置
104 搬出路
S 検査装置
SW1〜SW17 スターホイル(搬送部)
SW9,SW15〜SW17 スターホイル(リターン機構)
H 保持部
PS,PS1〜PS9 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10