(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、データ記録装置として、ドライブレコーダ等の車載装置は、カメラで撮影された画像など、容量の大きいデータを記録媒体に記録する。通常、記録媒体には、確実な書き込みが保障されるように、書き込み制限回数が設定されている。
【0003】
記録媒体の使用に際し、この書き込み制限回数に達してデータが壊れる前に、記録媒体を交換する必要がある。一方、書き込み制限回数まで無駄なく使用することも求められる。
【0004】
従来、記録媒体が書き込み制限回数に達した場合、書き込み寿命であることを報知する装置が知られている。
図8は従来の装置の動作手順を示すフローチャートである。この装置は、記録媒体が書き込み寿命であるか否かを判別する(ステップS101)。書き込み寿命でない場合、この装置はそのまま本動作を終了する。一方、書き込み寿命である場合、この装置は、音声による警告や表示を行い(ステップS102)、本動作を終了する。
【0005】
また、記録媒体の使用累積回数が許容使用回数を越えたと検出されるか、または使用累積期間が許容使用時間を越えたと検出された場合、ハードディスクの交換を促す表示を行う装置も知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のデータ記録装置には、つぎのような問題があった。すなわち、従来のデータ記録装置は、書き込み寿命時に単に表示や音声による警告を行うだけであった。このため、書き込み寿命に達するまでにどのくらいの時間が残っているのか分からず、記録媒体を無駄なく使用することが難しかった。
【0008】
また、複数の車両を保有している会社等では、どの車両に搭載された記録媒体が書き込み寿命に達しているのか分からず、管理が困難であった。また、お客様を乗せるような車両の場合、営業中に音声による警告や表示を行うことは難しかった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体を交換時期まで無駄なく使用することが可能となるデータ記録装置及び記録媒体寿命監視システムを提供することにある。
【0010】
また、本発明は、管理装置が複数の記録媒体の交換時期を容易に管理することができるデータ記録装置及び記録媒体寿命監視システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る記録媒体寿命監視システムは、下記(
1)または(
2)を特徴としている。
(
1)
複数の車両にそれぞれ搭載された複数のデータ記録装置であって前記車両の運行データを前記車両に搭載された記録媒体に書き込む
複数のデータ記録装置と、
前記複数の車両にそれぞれ搭載された前記記録媒体を管理する管理装置とを備えた記録媒体寿命監視システムであって、
それぞれの前記データ記録装置は、
前記記録媒体への書き込み回数を計数する計数部と、
前記計数部で計数された書き込み回数の時間変化を算出する算出部と、
前記算出部で算出された時間変化をもとに、前記書き込み回数が前記記録媒体への書き込みを制限する書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出する予測部と、
前記予測部で算出された到達予定時間が設定時間以下である場合に限って前記到達予定時間を前記管理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記到達予定時間を受信する受信部と、
前記車両毎に前記受信部で受信した到達予定時間を登録する登録部と、
前記到達予定時間が設定時間以下である場合、前記記録媒体の交換を促す警告を行う報知部と、
を備えること。
(
2)
複数の車両にそれぞれ搭載された複数のデータ記録装置であって前記車両の運行データを前記車両に搭載された記録媒体に書き込む
複数のデータ記録装置と、
前記複数の車両にそれぞれ搭載された前記記録媒体を管理する管理装置とを備えた記録媒体寿命監視システムであって、
それぞれの前記データ記録装置は、
前記記録媒体への書き込み回数を計数する計数部と、
前記計数部で計数された書き込み回数の時間変化を算出する算出部と、
前記書き込み回数が前記記録媒体への書き込みを制限する書き込み制限回数に到達するまでの残り書き込み回数が設定回数以下である場合に限って前記算出部で算出された時間変化、および前記残り書き込み回数を前記管理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記算出部で算出された時間変化および前記残り書き込み回数を受信する受信部と、
前記時間変化および前記残り書き込み回数をもとに、前記書き込み回数が前記書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出する予測部と、
前記車両毎に前記予測部で算出された到達予定時間を登録する登録部と、
前記到達予定時間が設定時間以下である場合、前記記録媒体の交換を促す警告を行う報知部と、
を備えること。
【0013】
上記(
1)または(
2)の構成の記録媒体寿命監視システムによれば、書き込み回数の時間変化をもとに、書き込み回数が書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出するので、記録媒体を交換時期まで無駄なく使用することが可能となる。また、管理装置が複数の記録媒体の交換時期を容易に管理することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、書き込み回数の時間変化をもとに、書き込み回数が書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出するので、記録媒体を交換時期まで無駄なく使用することが可能となる。
また、管理装置が複数の記録媒体の交換時期を容易に管理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態におけるデータ記録装置及び記録媒体寿命監視システムについて図面を用いて説明する。本実施形態のデータ記録装置は、バスやタクシー等の車両に搭載されたドライブレコーダ等の車載装置に適用される。また、本実施形態の記録媒体寿命監視システムは、データ記録装置、および事務所に設置された車両管理装置から構成される。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における車載装置10を含む記録媒体寿命監視システム1の構成を示す図である。
図2は記録媒体寿命監視システム1の概要を示す図である。
【0018】
この記録媒体寿命監視システム1は、複数台の車両40にそれぞれ搭載された複数の車載装置10と、事務所70に設置された車両管理装置30とから構成される。ここでは、複数台の車両40として、4台の車両A、B、C、Dが車両管理装置30と無線LAN60等による無線で接続されている。
【0019】
車載装置10は、CPU11、リーダライタ12、SDRAM13、無線モジュール14、タイマ24、および各種インタフェース(I/F)15、16、17、18を有する。CPU11は、内蔵するROM(図示せず)に格納された制御プログラムを実行し、車載装置10全体を制御する。
【0020】
リーダライタ12は、着脱自在に装着されるメモリカード25に対し、運行データ等のデータの読み書きを行う。メモリカード25には、CFカードやSDカード(登録商標)が用いられる。メモリカード25に対し、データの書き込みが行われると、リーダライタ12(計数部)は、メモリカード25の所定の領域に割り当てられた書き込み回数を値1増加させる。なお、リーダライタ12が書き込み回数を記憶する代わりに、メモリカード25への書き込みがあった時、CPU11がSDRAM13の所定の領域に割り当てられた書き込み回数を増加させるようにしてもよい。
【0021】
SDRAM13には、1時間ごとに確認されるメモリカード25への書き込み回数が時系列に記憶される他、CPU11のワークメモリとして使用される。無線モジュール14は、車両管理装置30と無線LAN60等で接続され、データの送受信を行う。タイマ24は時刻を計時する。
【0022】
カメラI/F15には、車両40に設置され、車両前方を撮影するカメラ19が接続されている。センサI/F16には、車両の加速度を検出するGセンサ20が接続されている。速度I/F17には、車速を検出する速度センサ21が接続されている。I/Oインタフェース18には、警告を発するスピーカ22および点灯する表示ランプ23が接続されている。
【0023】
一方、車両管理装置30は、CPU31、ディスプレイ32、データベース(DB)33、無線モジュール34、操作部35およびスピーカ36を有する。CPU31は、内蔵するROMに格納された制御プログラムに従って、車両管理装置30全体を制御するとともに、後述する動作プログラムを実行する。
【0024】
ディスプレイ32は各種の情報を表示する。データベース33には、後述する記録媒体寿命監視テーブル55が登録されている。無線モジュール34は、車載装置10と無線LAN60等で接続され、データの送受信を行う。操作部35は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスを有し、管理者によって操作された指示を受け付ける。スピーカ36は、警告等の音声を発する。
【0025】
上記構成を有する記録媒体寿命監視システム1の動作を示す。
図3は車載装置10の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、前述したように、CPU11内のROMに格納されており、CPU11によって実行される。車載装置10は、まず、所定時間(本実施形態では、1時間)が経過するまで待つ(ステップS1)。1時間が経過すると、車載装置10は、メモリカード25(記録媒体)に記録された書き込み回数を読み出す(ステップS2)。
【0026】
車載装置10は、読み出した書き込み回数と、SDRAM13に記憶された前回(1時間前)の書き込み回数とから、残り書き込み回数および単位時間(ここでは1時間)当たり書き込み回数を算出する(ステップS3)。ここで、1時間当たりの書き込み回数は、SDRAM13に時系列に記憶された書き込み回数の平均値として算出される。なお、書き込み回数の時間変化は、平均値に限らず、過去の所定時間当たりの書き込み回数の代表値や、種々の重み付けを施した値であってもよい。ステップS3の処理は算出部に相当する。
【0027】
車載装置10は、メモリカード25への残り書き込み回数が設定回数(本実施形態では、100回)以下であるか否かを判別する(ステップS4)。設定回数以下でない場合、車載装置10は、本動作を終了する。ここで、設定回数は、ステップS1における次の所定時間が経過する前に書き込み制限回数に達しないような任意の値に設定される。また、ステップS1における所定時間は、5時間、24時間等、任意の値に設定可能である。
【0028】
一方、ステップS4で設定回数以下である場合、車載装置10は、事務所70に設置された車両管理装置30に、残り書き込み回数と1時間当たりの書き込み回数を送信する(ステップS5)。このように、設定回数以下である場合に限って送信することで、通信および処理の負荷を軽減することができる。この後、車載装置10は本動作を終了する。
【0029】
図4は車両管理装置30の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、CPU31内のROMに格納されており、CPU31によって周期的に実行される。車両管理装置30は、車載装置10から、残り書き込み回数および1時間当たりの書き込み回数からなるデータを受信したか否かを判別する(ステップS31)。
【0030】
これらのデータを受信していない場合、車両管理装置30は、本動作を終了する。一方、これらのデータを受信した場合、車両管理装置30は、残り書き込み回数と1時間当たりの書き込み回数とから、書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出する(ステップS32)。なお、ステップS31でデータを受信する処理は受信部に相当する。
【0031】
車両管理装置30は、到達予定時間があらかじめ設定された設定時間以下であるか否かを判別する(ステップS33)。なお、この設定時間は、前述したステップS1の所定時間と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。この到達予定時間が設定時間を超える場合、車両管理装置30は、そのまま本動作を終了する。
【0032】
一方、ステップS33で到達予定時間が設定時間以下である場合、車両管理装置30は、記録媒体寿命監視テーブル55を更新するとともに、警告を行う(ステップS34)。この警告としては、スピーカ36から警告を発してもよいし、ディスプレイ32に警告画面を表示してもよい。また、ステップS34で記録媒体寿命監視テーブル55を更新する処理は登録部に相当する。この後、車両管理装置30は本動作を終了する。
【0033】
図5は車両ごとの記録媒体の寿命監視結果が登録された記録媒体寿命監視テーブル55を示す図である。この記録媒体寿命監視テーブル55には、車両ごとに、残り書き込み回数および到達予定時間が示されている。例えば、車両Aでは、残り書き込み回数が100回であり、到達予定時間が50時間後であることが表されている。なお、図中、空白「−」は、残り書き込み回数および到達予定時間のデータがまだ受信されていないことを表す。
【0034】
このように、第1の実施形態の記録媒体寿命監視システム1によれば、車両40に搭載されたメモリカード25を交換時期まで無駄なく使用することが可能となる。
【0035】
また、各車載装置10が到達予定時間の算出に必要な残り書き込み回数と1時間当たりの書き込み回数を車両管理装置30に送信するので、車両管理装置30は、複数のメモリカード25の交換時期を容易に管理することができる。すなわち、複数の車両40(車両A、B、C、D)にそれぞれ搭載されているメモリカード25の交換時期を事務所70(あるいはセンタ)で一括管理することができ、各車両40ごとにメモリカード25(記録媒体)の交換時期の目安が分かる。
【0036】
従って、車両の数が多くても、書き込み制限回数に達する前に確実に交換することが可能となる。また、通常、車両ごとに書き込み回数の増え方は異なるので、各車両に適したタイミングでメモリカードを交換することができ、一度に全て交換する場合と比べ、無駄が少なくなる。
【0037】
また、表示や音声による警告が報知されないので、お客様を乗せるような車両であっても活用することができる。さらには、メモリカードの交換に関し、運転手を煩わせないで済む。
【0038】
(第2の実施形態)
前記第1の実施形態では、書き込み制限回数に達するまでの到達予定時間の算出は、事務所に設置された車両管理装置で行われた場合を示したが、第2の実施形態では、車載装置が到達予定時間を算出する場合を示す。
【0039】
第2の実施形態の車載装置および車両管理装置は、前記第1の実施形態と同一の構成を有するので、前記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0040】
図6は第2の実施形態における車載装置10の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、CPU11内のROMに格納されており、CPU11によって実行される。前記第1の実施形態と同一のステップ処理については、同一のステップ番号を付すことによりその説明を省略する。
【0041】
車載装置10は、ステップS2でメモリカード25(記録媒体)に記録された書き込み回数を読み出した後、残り書き込み回数と1時間当たりの書き込み回数とから、書き込み制限回数に到達するまでの到達予定時間を算出する(ステップS3A)。ステップS3Aの処理は予測部に相当する。
【0042】
車載装置10は、到達予定時間が設定時間以下であるか否かを判別する(ステップS4A)。設定時間以下でない場合、車載装置10は本動作を終了する。
【0043】
一方、ステップS4Aで到達予定時間が設定時間以下である場合、車載装置10は、到達予定時間および残り書き込み回数からなるデータを車両管理装置30に送信する(ステップS5A)。このように、到達予定時間が記録媒体の交換時期が近い値にあらかじめ設定された設定時間以下である場合に限って送信することで、通信および処理の負荷を軽減することができる。ステップS5Aの処理は送信部に相当する。この後、車載装置10は本動作を終了する。
【0044】
一方、車両管理装置30は、車載装置10から上記データを受信すると、記録媒体寿命監視テーブル55を更新するとともに、警告を行う。この警告としては、スピーカ36から警告を発してもよいし、ディスプレイ32に警告画面を表示してもよい。
【0045】
このように、第2の実施形態の記録媒体寿命監視システム1によれば、各車載装置10が到達予定時間を車両管理装置30に送信するので、車両管理装置30は、複数のメモリカード25の交換時期を容易に管理することができる。また、各車載装置10からそれぞれの到達予定時間が送信されるので、車両管理装置側の処理の負荷を軽減することができる。
【0046】
なお、車載装置10で行われるステップS4Aの処理を、車両管理装置30が行うようにしてもよい。この場合、ステップS3Aで算出された到達予定時間と残り書き込み回数は必ず車両管理装置30に送信されることになる。これにより、車両管理装置30は、寿命に達するまでに十分な時間があると予測されるメモリカードについても、しっかりと管理することができる。
【0047】
(第3の実施形態)
前記第1、第2の実施形態では、車両管理装置が警告を行う場合を示したが、第3の実施形態では、車載装置自体が警告を行う場合を示す。
【0048】
第3の実施形態の車載装置は第1の実施形態と同一の構成を有するので、前記第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0049】
図7は第3の実施形態おける車載装置10の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、CPU11内のROMに格納されており、CPU11によって実行される。前記第1、第2の実施形態と同一のステップ処理については、同一のステップ番号を付すことによりその説明を省略する。
【0050】
車載装置10は、ステップS4Aで到達予定時間が設定時間以下である場合、警告を行うとともに、ステップS3Aで算出された到達予定時間と残り書き込み回数を車両管理装置30に送信する(ステップS5B)。この警告としては、スピーカ22により音声を発してもよいし、表示ランプ23を点灯させてもよい。
【0051】
なお、この警告は、お客様を乗せるような車両の場合、休憩開始時刻など、特定の時期にだけ行われるようにしてもよい。ステップS5Bにおいて警告を行うことは報知部に相当する。
【0052】
一方、車両管理装置30は、車載装置10から上記データを受信すると、記録媒体寿命監視テーブル55を更新する。
【0053】
第3の実施形態における車載装置によれば、車両側で警告を行うとともに、事務所側で複数のメモリカードの寿命を管理することができる。これにより、運転手がメモリカードを交換し忘れても、事務所側の管理者が運転手に交換の指示を与えることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、本実施形態の構成が持つ機能を達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、車載装置として、ドライブレコーダに適用された場合を示したが、デジタルタコグラフ、タクシーメータ等に適用してもよい。
【0056】
また、記録媒体に記録可能なリーダ/ライタは、車載装置の本体に内蔵されたものに限られず、外部に設置され、ケーブル等で本体と接続されたものでもよい。
【0057】
また、記録媒体としては、半導体メモリを記憶素子とするメモリーカードに限らず、磁気記録媒体にデータを記録するハードディスクドライブ等であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、データ記録装置として、車載装置に適用された場合を示したが、本発明は、車載装置に限らず、種々の電子機器に適用可能である。
【0059】
本発明は、データ記録装置が記録媒体にデータを書き込む際、管理装置が複数の記録媒体の交換時期を容易に管理することができ、有用である。