【実施例】
【0056】
本発明の例示
本発明の方法は、以下の実施例によってさらに理解することができる。しかしながら、これらの実施例が本発明を限定しないことが理解されるであろう。現在既知またはさらに開発された本発明の変形が、本明細書中に記載され、本明細書中以下で特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に入るとみなされる。
【0057】
実施例1:急性片頭痛発作中および非片頭痛期中の片頭痛被験者でのスマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチとイミトレックス(登録商標)(50mg)の経口用製剤の薬物動態を比較するフェーズI非盲検単一用量4方向交差試験
目的:
本フェーズI試験の主目的は、急性片頭痛発作および非片頭痛期の両方の片頭痛被験者でのスマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチと現在承認されているイミトレックス(登録商標)の製剤の薬物動態(PK)を比較することであった。
【0058】
方法/研究設計:
これは、フェーズI非盲検単一用量4方向交差試験であった。スクリーニング評価は、スクリーニング通院(第1期前)および再スクリーニング通院(第5期前)で行なった。
【0059】
第1期では、被験者は、片頭痛を経験したときに病院に来院した。第1期に適格であるには、表1に見出される被験者の頭痛重症度スコアを用いて、疼痛強度が中等度(スコア2)または重度(スコア3)であった。さらに、被験者は、片頭痛の発症の約4時間以内に病院に来院し、4時間前から食物またはアルコールを摂取しなかった。トリプタン、オピオイド、エルゴタミン、胃腸運動性に影響する薬物(すなわち、メトクロプラミド、制吐剤)は、来院の72時間以内は禁止された。
【表1】
【0060】
被験者が適格性基準を満たした場合、治療Aの投与(コハク酸スマトリプタン、RT Technology
TM、イミトレックス(登録商標)錠剤:50mg経口摂取)およびそれに続くPKサンプル採取を受けた。最後のPKサンプルを取得した後、救済薬物治療が許された。
【0061】
第2期には、非片頭痛期の間に、被験者は病院に戻った。第2期に適格であるには、被験者は、頭痛または前兆を有してはならず、被験者の最後の片頭痛が、少なくとも来院72時間前に解消していなければならない。さらに、被験者は、臨床試験の前の少なくとも24時間、前駆症状を有さず、先行する4時間に食物またはアルコールを摂取しなかった。トリプタン、オピオイド、エルゴタミン、胃腸運動性に影響する薬物(すなわち、メトクロプラミド、制吐剤)は、来院の72時間以内は禁止された。
【0062】
被験者が追加の基準を満たした場合、治療Aの投与とそれに続くPKサンプル採取を受けた。
【0063】
第1期および第2期が完了し、経口スマトリプタン療法に関するデータを回収したら、第3期、第4期、第5期および第6期を開始した。これらの期間は、イオントフォレシススマトリプタン療法に関するデータを提供するために設計された。第3期および第4期では、研究用スマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチは輸送中に凍結条件に曝露されていてもよい。第5期および第6期がプロトコールに追加され、第3期および第4期に参加したすべての被験者が、第3期および第4期の反復である第5期および第6期に参加することを要請された。
【0064】
第3期および第6期では、被験者は、片頭痛を経験したときに来院した。頭痛発症のタイミング、頭痛重症度、食物およびアルコール摂取ならびに投薬制限に関する追加の適格性基準(第1期を参照されたい)を満たした場合、被験者は、治療Bの投与(研究用スマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチを腕に貼付し、4時間留置する)とそれに続くPKサンプル採取を受けた。パッチは、1時間の4mAとそれに続く3時間の2mA(合計600mA分)を用いて、約6mgのスマトリプタンを送達するように設計された。最後のPKサンプルを取得した後、救済薬物治療が許された。
【0065】
第4期および第5期では、非片頭痛期の間に、片頭痛症状の不在、食物およびアルコール摂取ならびに投薬制限に関する追加の適格性(第2期を参照されたい)を満たした場合、被験者は、治療Bの投与とそれに続くPKサンプル採取を受けた。
【0066】
第1期〜第4期に、PK解析のために規定の時点で15本の血液サンプルを取得した。第5期および第6期に、PK解析のために規定の時点で14本の血液サンプルを取得した。第3期、第4期、第5期および第6期で研究用パッチを装着しながら、研究スタッフによりパッチ接着性評価を行なった。
【0067】
第2期、第4期および第5期(非片頭痛期)に、24時間尿サンプルを回収した。
【0068】
第3期および第4期には、投与前、パッチ貼付4時間後(パッチ除去直後)、6、12、24、48および72時間後に、研究用パッチを用いた治療に続いて皮膚刺激検査を行なった。第5期および第6期には、投与前、パッチ貼付4時間後(パッチ除去直後)、6、12、48および72時間後に、研究用パッチを用いた治療に続いて皮膚刺激検査を行なった。72時間で紅斑が存在した場合、被験者は、追加の皮膚刺激検査のために7日(±1日)で病院に戻った。第10日の通院で紅斑が存在した場合、被験者は、皮膚刺激スコアが0になるまで、週1回通院した。
【0069】
皮膚刺激検査は、薬物貯留パッドの直下および塩貯留パッドの直下の皮膚の評価であった。皮膚刺激検査スケールを、表2に示す。
【表2】
【0070】
薬物動態血清サンプル:
血漿中スマトリプタン濃度の測定(MS/MS検出を用いた有効なHPLCにより分析した)のために、すべての治療について、PK解析のための血液サンプル(4mL/サンプル、第1〜4期それぞれについて合計60mL、第5期および第6期について28mL)を回収した。第1〜4期には、投与前(投与前15分以内)ならびに投与0.25、0.50、1、1.25、1.5、1.75、2、3、4、6、8、10、12および24時間後にサンプルを採取した。第5期および第6期には、投与24時間後のサンプルを除いた以外は、サンプルは同様であった。治療Aの投与タイミングは、経口用錠剤を飲み下したときに開始し、治療Bは、研究用パッチを貼付し、赤色LED灯が連続点灯したときに開始した。
【0071】
被験集団の選択:
試験対象基準:
被験者は、以下の基準のすべてを満たしていなければならなかった:
1. スクリーニング時点で18〜65歳の成人男性および女性被験者。
2. 頭痛障害国際分類(第2版)1.1節および1.2.1節に定義されている片頭痛(前兆を有するか有しない)の診断を有する被験者であって、診断が50歳前になされた。
3. 被験者宣誓書に基づいて、被験者が、典型的には、片頭痛発作中に中等度(スコア2)または重度(スコア3)(表1を参照されたい)の頭痛を経験した(未治療の場合);これらの発作の大部分が悪心および嘔吐を伴った。
4. 被験者宣誓書に基づいて、被験者が、少なくとも1年の片頭痛の病歴を有した。
5. 医療履歴、身体検査、バイタルサイン、ECGおよび検査プロファイルの結果に基づいて、被験者が、良好な健康状態にあると判断された。登録適格であるために、被験者が、臨床的に意義がある異常な検査パラメータ、バイタルサインまたはECGパラメータを有しなかった。
6. 被験者は、英語またはスペイン語を読むことおよび理解することができ、すべての試験手順を実施することができ、かつ施設内治験審査委員会により承認されたインフォームドコンセント同意書に自発的に署名し、日付を書き込むことができた。
【0072】
7. 被験者が、薬物スクリーニング陰性であった。
8. 出産可能な女性被験者が、スクリーニング時に妊娠検査陰性であった。
9. 被験者が、比較的毛髪がなくかつ傷痕、入れ墨、擦過傷または打撲傷を有しない2箇所の許容できるパッチ貼付部位(左および/または右腕)を有した。
【0073】
試験製品、用量および投与様式:
試験製品(治療B)は、アノード貯留パッドおよびカソード貯留パッドを有する経皮パッチであり、合計600mA分を用いて4mAで1時間、続いて2mAで3時間の波形をつくり出す低電流を用いて、約6mgのスマトリプタンを送達した。
【0074】
薬物貯留パッド(アノード)製剤は3.0グラムのスマトリプタンゲル溶液(10%ポリアミンおよび4%コハク酸スマトリプタン)を含有し、これは120mgのコハク酸スマトリプタンを含有した。
【0075】
塩貯留パッド(カソード)製剤は、0.9%NaClを含む3.0グラムの2%ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であった。
【0076】
本試験の6期すべてに参加することを要請された被験者は、4回の研究用パッチ貼付を受け、2回は急性片頭痛発作中、2回は非片頭痛期中であった。
【0077】
参照療法、用量および投与:
参照療法は治療Aであった(RT Technology
TMイミトレックス(登録商標) 50mg経口用スマトリプタン錠剤の製剤1種類)であった。各被験者が参照療法の錠剤2個を投与された:1個は急性片頭痛中、1個は非片頭痛期に投与された。
【0078】
パッチ接着性評価:
パッチ接着性評価は、パッチ貼付1、2、3および4時間後に、各パッチ治療について行なった。4時間の評価は、パッチを除去する直前に行なった。表3は、本評価に使用されるパッチ接着性スコア付けコードをしめす。
【表3】
【0079】
評価のための薬物動態パラメータ:
以下のPKパラメータを、WinNonlinを用いた非コンパートメント法を用いて、実血漿濃度-時間データから算出した:AUC
0-last、AUC
0-inf、C
max、T
max、λ
Zおよびt
1/2。追加の予備的PKパラメータを推定し、これは、AUC
0-2、AUC
0-4、10ng/mLスマトリプタン血漿濃度を達成するための時間ならびにC
maxの70%、80%および90%を達成するための時間を含んでいた。24時間にわたって、変化せずに、または尿中スマトリプタン代謝物として尿中に排出された薬物の量および割合(%)は、非片頭痛期中の24時間尿回収データから算出した。
【0080】
薬物動態:
薬物動態(PK)解析のために2集団を準備した。第1のPK集団は、少なくとも1用量の試験薬物を投与され、必要なPKパラメータを誘導するための十分な血漿濃度-時間データを有したすべての被験者を含む全PK集団であった。第2のPK解析集団は、試験の全6期を完了した全PK集団中のすべての被験者を含むPK評価可能集団であった。PK評価可能集団は、研究用パッチ評価に対する一次集団であった。
【0081】
結果:
合計23名の被験者が、経口投与およびパッチ投与を完了した。23名の被験者が少なくとも1用量の経口スマトリプタン(治療A)を投与され、19名の被験者が少なくとも1回のイオントフォレシスパッチ貼付を受けた。試験治療を受けた23名の被験者全員が、安全性および薬物動態の解析に含められた。18名の被験者が第1期、第2期、第5期および第6期を完了し、したがって、治療および/または期間についての薬物動態学的パラメータを比較する解析に含められた。
【0082】
投与後12時間にわたる全被験者の平均スマトリプタン血漿レベル(ng/mL)を、
図1に示す。
【0083】
PK評価可能被験者(すなわち、第1期、第2期、第5期および第6期に参加した被験者)についての平均血漿濃度-時間プロフィールおよび各時点での対応する95%信頼区間(CI)を、
図3(直線スケール)および
図4(片対数スケール)に示す。表4および表5は、第1期、第2期、第5期および第6期に対するこれらの被験者での薬物動態学的パラメータであるC
max、AUC
0-4、AUC
0-12、AUC
0-inf、T
max、t
1/2、10ng/mLを超えた時間、ならびに10ng/mLを超えたAUCのまとめを提供する。
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
図1、3および4のデータは、研究用パッチによるスマトリプタンの投与についての被験者全員に対する平均スマトリプタン血漿レベルが、片頭痛中(第6期)ならびに無片頭痛期(第5期)での投与と同等であったことを示している。対照的に、無片頭痛期中(第2期)でのスマトリプタンの経口投与と比較した場合に、片頭痛発作中(第1期)でのスマトリプタンの経口投与後の最初の4時間での平均スマトリプタン血漿レベルには、約20%の減少が見られた。無片頭痛期と比較して、片頭痛発作中には、AUC
0-4およびC
maxが約20%以上減少した。経口投与スマトリプタンでの平均スマトリプタン血漿レベルの差異は、「片頭痛効果」(例えば、吸収低下)の証拠であり得る。理論に拘泥するものではなく、一部の片頭痛患者は、おそらく部分的には片頭痛誘発性悪心または嘔吐によって、片頭痛発作中の(被験者が無頭痛または無片頭痛である場合と比較して)経口投与スマトリプタンの吸収低下を経験する場合がある。
【0086】
これらの被験者についての平均スマトリプタン血漿レベルを、
図2および以下の表6に示す。
【表6】
【0087】
「片頭痛効果」を有した被験者についての薬物動態学的データは、以下の表7に見出される。さらに、経口スマトリプタン治療後に片頭痛効果を有しなかった被験者および経口スマトリプタン治療後に片頭痛効果を有した被験者についての平均血漿濃度-時間プロフィールを、それぞれ
図5および
図6に、期間について示す。
【表7】
【0088】
平均T
max、t
1/2、および10ng/mLを超えた血漿スマトリプタン濃度の時間は、経口スマトリプタン後またはパッチ後のいずれにおいても、片頭痛により影響を受けたようには見えなかった。経口投与後、10ng/mLを超えた平均AUCは、片頭痛期(37.7hr.ng/mL)と比較して、無片頭痛期中でいくぶんか高かった(53.1hr.ng/mL)。
【0089】
C
maxおよびAUC
0-4に基づいて曝露比を比較することにより、曝露低下現象(例えば、吸収低下または片頭痛効果)をさらに定量化した。つまり、曝露比がC
max(C
max(片頭痛)/C
max(無片頭痛)<0.80)およびAUC
0-4(AUC
0-4(片頭痛)/AUC
0-4(無片頭痛)<0.80)の両方について80%未満であった場合に、被験者は顕著な片頭痛効果を有するとみなされた。18名のPK評価可能被験者のうち、7名の被験者(39%)がこの定義を満たし、経口スマトリプタン治療後に顕著な片頭痛効果を有すると分類され、残る11名の被験者は経口スマトリプタン治療後に顕著な片頭痛効果を有しなかったと分類された。
【0090】
経口治療後の吸収に対する片頭痛効果が実証された7名の被験者では、非片頭痛期と比較して、片頭痛の間に平均C
maxで48%の減少、平均AUC
0-4で45%の減少、平均AUC
0-12で39%の減少、および平均AUC
0-infで38%の減少が見られた。10ng/mLを超えた平均時間もまた、無片頭痛期(5.1時間)と比較して片頭痛期(3.0時間)で減少していた。しかしながら、パッチ治療後(第5期および第6期)には、これらの被験者で、無片頭痛期と比較して片頭痛期について吸収における差異はなかった。10ng/mLを超えた平均時間は、第5期および第6期の間で、それぞれ4.6時間および4.3時間であった。
【0091】
経口スマトリプタン治療後の片頭痛効果が実証されなかった11名の被験者について、経口投与後またはNP101パッチ治療後のいずれにおいても、片頭痛期と無片頭痛期との間でC
maxおよびAUC値での明らかな差異はなかった。
【0092】
2名の被験者が、本発明の例示的パッチの投与後に片頭痛効果の定義を満たす曝露比を有していた。これらの被験者のいずれも、経口スマトリプタン投与に伴う片頭痛効果の基準を満たさなかった。残りの16名のPK評価可能被験者については、NP101治療後の無片頭痛期と比較して片頭痛期についての平均C
maxまたはAUC
0-4での明らかな差異はなかった。
【0093】
本研究では、両方の試験治療が十分に忍容性であった。重度の有害事象はなかった。パッチ治療後に報告された唯一の有害事象は、8名(42.1%)の被験者での貼付部位状態であった。中等度の重症度であった貼付部位掻痒の2つの事象を除いて、これらの事象のすべてが、重症度は軽度であった。すべての事象は、パッチ除去後に消失した。表8に示した皮膚刺激評価は、パッチ貼付後12時間以内に、大多数の被験者で完全に解消された。
【表8】
【0094】
実施例2:急性片頭痛の治療でのスマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチの有効性および忍容性:無作為化二重盲検プラセボ対照試験
目的:
本研究の主目的は、パッチ活性化2時間後に頭痛を有しない被験者の割合を評価することであった。しかしながら、重要な二次的目的は、パッチ活性化2時間後に悪心を有しない被験者の割合、パッチ活性化2時間後に羞明を有しない被験者の割合ならびにパッチ活性化2時間後に音声恐怖症を有しない被験者の割合を評価することである。
【0095】
他の二次的目的は、パッチ除去後の各時点で、頭痛を有しない被験者、頭痛の軽減を経験している被験者、悪心を有しない被験者、羞明を有しない被験者および音声恐怖症を有しない被験者の割合を評価することである。追加の二次的目的は、パッチ活性化2時間後に片頭痛を有しない(頭痛なし、悪心なし、音声恐怖症なし、かつ羞明なし)被験者の割合、救済薬物治療の使用なしにパッチ活性化後に持続的無頭痛応答(2〜24時間と定義される)を有する被験者の割合、ならびにパッチ活性化後24時間以内に救済薬物治療を使用しない被験者の割合を評価することである。
【0096】
方法/研究設計:
これは、無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験であった。被験者は、以下の3回の試験通院を完了するであろう:スクリーニング通院、無作為化通院、および最終通院。登録基準を満たす成人被験者を、以下の2つの治療群のうち一方に1:1の割合で無作為化した:スマトリプタンイオントフォレシス経皮パッチ、またはプラセボイオントフォレシス経皮パッチ。両方の群についての投与タイミング(t=0)は、パッチを貼付し、活性化したときに開始した。スクリーニング評価は、スクリーニング中に行なった。
【0097】
被験片頭痛に適格であるための基準は、以下の通りであった:頭痛は中等度(スコア2)または重度(スコア3)でなければならず、かつ被験者は先行する8時間に鎮痛剤または制吐剤を摂取してはならない。
【0098】
被験者が試験パッチを用いる適格片頭痛中およびその後に、被験者が以下のステップを行なう:
・被験者は、試験パッチを用いる前8時間に鎮痛剤(疼痛)または制吐剤(抗悪心)薬物治療を受けていないことを確認した。
・被験者は、パッチ貼付の直前に以下の評価に記入した:頭痛が片側性(片側)または両側性(両側)のいずれであるか、動作に伴い増大するか否か、頭痛の重症度、前兆、悪心、羞明(光に対する過敏性)および音声恐怖症(音声に対する過敏性)の非存在または存在。
・被験者はパッチを右または左上腕に貼付し、日誌にパッチ貼付位置を記録した。
・被験者は、パッチ活性化0.5、1、2、3、4、6、12および24時間後での、表9に概要を示した疼痛の存在または非存在についての評価(存在する場合、重症度の評価)、ならびに悪心、羞明(光に対する過敏性)および音声恐怖症(音声に対する過敏性)の非存在または存在についての評価に記入した。被験者は、パッチ活性化後の最初の4時間、疼痛および症状評価を記録するために、起床したままでいることが要求され、6、12および24時間評価に記入するために断続的に起床することを指導された。被験者は、特定された時点で日誌に評価を記入し、記録することを確実にするために、提供されたタイマーを用いることが奨励された。
・被験者は、パッチ活性化後の最初の2時間、疼痛薬物治療または悪心を治療するための薬物治療を用いない。
・各評価時点で、被験者は、パッチ活性化後24時間を通して摂取した疼痛を治療するための薬物治療および/または悪心を治療するための薬物治療の使用を記録した。パッチ投与前8時間以内の疼痛薬物治療または悪心を治療するための薬物治療を摂取することは禁止されているが、この情報も記録された。
・トリプタンは、最終通院後まで許可されず、疼痛薬物治療は、頭痛が中等度または重度であった場合のみ、パッチ活性化2時間後に許可された。
・悪心を治療するための薬物治療は、症状が対症療法に影響されず、薬物治療を用いた治療を必要とするのに十分に重度であった場合、パッチ活性化2時間後に許可された。
・被験者は、パッチ活性化後2〜24時間以内に頭痛が戻ったか否かを記録した(頭痛が2時間で消失した場合)。
・パッチ活性化4時間後(LED灯が消灯したとき)にパッチを丁寧に除去した。
・被験者は、パッチ活性化4時間後(パッチ除去の10分以内)、6、12、24時間後、および自己皮膚検査スコアが0になるまでその後1日1回、自己皮膚検査を完了させた。自己検査刺激スコアは、表10に見出される。
・皮膚刺激スコアが3もしくは4と記録されるか、または回復期後に悪化した場合、被験者は、できる限り早く(24時間以内に)診察を受けるために、試験医師または研究員に電話した。
・被験者は、パッチ活性化の12時間以内に電話し、試験パッチ貼付の直前に悪心が存在しなかったか存在したかを記録した。
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
試験パッチを用いて1回の片頭痛が治療されるかまたは無作為化2ヵ月後まで(どちらが先に起こっても)、被験者は本試験に留まった。最終通院時に、試験担当医が被験者のパッチ留置部位を検査し、表2(上記の実施例1)のスコアを用いて皮膚刺激をスコア付けした。最終通院時に1以上の皮膚刺激スコアを有した被験者については、試験担当医が10日以内(±2日)に追跡通院の予定を決めて別の皮膚刺激検査を行ない、皮膚刺激スコアが0になるまで、その後週1回、被験者を追跡し続けた。
【0101】
試験集団の選択:
試験対象基準:
被験者は、実施例1に関して上記に概略を示した基準のすべてを満たした。
【0102】
結果:
合計530名の被験者を無作為化し(各治療群に265名)、そのうち469名に試験パッチを貼付した(234名スマトリプタン、235名プラセボ)。454名の被験者が試験パッチを貼付および活性化し(いずれかの時間の長さにわたってライトが連続点灯)、疼痛についての少なくとも1回のベースライン後評価を行なった。
【0103】
454名の被験者のうち、スマトリプタンパッチを投与された被験者は、プラセボと比較して高い割合で、パッチ活性化2時間後に頭痛を有しなかった(それぞれ18% 対 9%、P=0.0092)。プラセボとの有意な差異は1時間でも観察され、パッチ活性化12時間後までの引き続くすべての時点について続いた(P≦0.0357)。
【0104】
スマトリプタンパッチは、プラセボと比較してパッチ活性化1時間後という早期での頭痛軽減を報告した有意に高い割合の被験者も伴った(それぞれ29% 対 19%;P=0.0135)。プラセボとのこの差異は、2時間(53% 対 29%;P<0.0001)および12時間までの引き続くすべての時点(P<0.01)について維持された。
【0105】
パッチ活性化2時間後、スマトリプタンパッチを投与された被験者はまた、プラセボを投与された被験者と比較して高い割合で、悪心を有さず(それぞれ84% 対 63%;P<0.0001)、羞明を有さず(それぞれ51% 対 36%;P=0.0028)、音声恐怖症を有しなかった(それぞれ55% 対 39%;P=0.0002)。
【0106】
ベースラインで悪心を報告した被験者のうち、スマトリプタンパッチを用いて治療された被験者は、プラセボと比較して高い割合で、パッチ活性化1時間後(それぞれ22% 対 13%)および2時間後(それぞれ54% 対 22%)に疼痛軽減を経験した(
図7A)。ベースラインで悪心を報告した被験者のうち、スマトリプタンパッチを用いて治療された被験者は、プラセボと比較して高い割合で、パッチ活性化1時間後(それぞれ44% 対 32%)および2時間後(それぞれ68% 対 43%)に悪心を有しなかった(
図7B)。ベースラインで悪心を報告した被験者のうち、スマトリプタンパッチを用いて治療された被験者は、プラセボと比較して高い割合で、パッチ活性化1時間後(それぞれ31% 対 26%)および2時間後(それぞれ55% 対 34%)に羞明を有しなかった(
図7C)。ベースラインで悪心を報告した被験者のうち、スマトリプタンパッチを用いて治療された被験者は、プラセボと比較して高い割合で、パッチ活性化1時間後(それぞれ42% 対 37%)および2時間後(それぞれ64% 対 37%)に音声恐怖症を有しなかった(
図7D)。
【0107】
パッチを活性化した被験者(n=469)のうち、治療中に発生した有害事象は、スマトリプタンパッチを投与された被験者の50%およびプラセボを投与された被験者の44%により報告された。最も一般的な有害事象(≧5%の被験者)は貼付部位に関連するものであり、典型的には2日以内に消失した。これらには、貼付部位痛(スマトリプタンパッチ23%;プラセボ15%)、感覚異常(スマトリプタンパッチ12%;プラセボ19%)、掻痒(スマトリプタンパッチ8%;プラセボ7%)、および反応(reaction)(スマトリプタンパッチ7%;プラセボ6%)が含まれる。典型的にはスマトリプタン血漿レベル>50ng/mLに伴うトリプタン特異的有害事象の発生率は、スマトリプタンパッチ群では非常に低かった(3%)。スマトリプタンパッチ群の患者の2%およびプラセボ群の患者の1%が、有害事象により中断した。皮膚刺激データを、以下の表11および表12に提供する。
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】
等価物
当業者であれば、日常的な試行錯誤を超えるものを用いずに、本明細書中に記載された本発明の具体的な実施形態の多数の等価物を理解するであろうし、または究明することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0110】
参照による組み込み
本出願を通して参照されたすべての引用文献、特許および特許出願の内容は、参照により本明細書中に組み入れられる。