(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1基板、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2基板が搭載された本体と、
負荷回路と、
前記電力用半導体素子によって構成され、前記負荷回路を駆動する駆動回路と、
報知手段と、
前記報知手段、及び前記駆動回路の駆動を制御する制御手段と、
各種操作が入力される操作手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記本体に、前記第1基板又は前記第2基板の何れが搭載されているかを識別し、
前記操作手段からの入力に応じて、識別結果を前記報知手段に報知させるか否かを判断し、
報知させると判断した場合に、前記識別結果を前記報知手段に報知させる
ことを特徴とする電気機器。
シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1基板、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2基板が搭載された本体と、
被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記電力用半導体素子によって構成され、前記加熱コイルを駆動する駆動回路と、
報知手段と、
前記報知手段、及び前記駆動回路の駆動を制御する制御手段と、
各種操作が入力される操作手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記本体に、前記第1基板又は前記第2基板の何れが搭載されているかを識別し、
前記操作手段からの入力に応じて、識別結果を前記報知手段に報知させるか否かを判断し、
報知させると判断した場合に、前記識別結果を前記報知手段に報知させる
ことを特徴とする誘導加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態1においては、本発明の電気機器の一例として、誘導加熱により加熱調理を行う誘導加熱調理器を例に説明を行う。なお、本発明の電気機器はこれに限定されるものではなく、空気調和装置、洗濯機、冷蔵庫などの家電機器、並びに、エレベータ、鉄道車両のモータ駆動装置など、任意の電気機器に適用することができる。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の外観を示す斜視図である。
図1において、誘導加熱調理器100の本体1の上部には、被加熱物(鍋等)が載置される天板が設けられている。天板の表面には、被加熱物の載置位置を示す例えば3つの円形状の左加熱口HL、右加熱口HR及び中央加熱口HC(以下「各加熱口」という)が印刷等の方法で表示されている。本体1内には、各加熱口に対応して3つの加熱コイルが配置されている。
【0013】
本体1内の中央下部には、魚などの被加熱物を出し入れ可能に前面が開口したグリル庫Gが設けられている。グリル庫G内には被加熱物を加熱するために、ヒーターなどの熱源が備えられている。
【0014】
天板の前部側、及び本体1の前面には操作部2が設けられている。操作部2は、例えば、各加熱口にそれぞれ対応して設けられた火力設定操作部と、グリルの加熱を操作するグリル操作部からなっている。
また、天板の前部側には、表示部12が設けられている。表示部12は、例えば、各加熱口、グリル庫Gの火力、及び、動作状態をそれぞれ表示する。表示部12は、例えば液晶表示パネル、LED等により構成される。また、本体1の内部には、ブザー又はスピーカなどによって構成され、音で報知する報知部13が設けられている。
【0015】
本体1の後部側には、吸気口21及び排気口22が形成されている。本体1内部に設けられた冷却ファン20は、吸気口21から本体1の外部の空気を吸気し、本体1内部に冷却風を供給する。本体1内に供給された冷却風は、本体1内部の部品を冷却した後、排気口22から本体1の外部に排気される。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の駆動回路を示す図である。なお、駆動回路は各加熱口にそれぞれ設けられる。
図2では1つの駆動回路のみを図示する。
図2に示すように、駆動回路は、直流電源回路3と、インバータ回路4とを備え、負荷回路7に電力を供給する。
【0017】
直流電源回路3は、ダイオードブリッジ3a、リアクタ3b、平滑コンデンサ3cを備え、交流電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバータ回路4へ出力する。
【0018】
インバータ回路4は、電力用半導体素子によって構成されたスイッチング素子4a、4bが、直流電源回路3の出力に直列に接続された、ハーフブリッジ型のインバータである。インバータ回路4は、直流電源回路3から出力される直流電力を高周波の交流電力に変換して負荷回路7へ供給する。なお、インバータ回路4は、ハーフブリッジ型に限らず、フルブリッジ型又は一石電圧共振型のインバータなどを用いた構成でも良い。なお、各加熱口のインバータ回路4の構成が異なっても良い。例えば左加熱口HLのインバータ回路4をフルブリッジ型とし、右加熱口HRのインバータ回路4をハーフブリッジ型としても良い。
負荷回路7は、加熱コイル5aと共振コンデンサ5bからなる共振回路によって構成される。
【0019】
制御用主マイコン9は、操作部2から入力された、加熱口の選択操作及び火力の設定操作等に応じた火力指令(電力指令)を、制御用従マイコン8に送信する。
制御用従マイコン8は、制御用主マイコン9からの指令に基づき、インバータ回路4のスイッチング素子4a、4bをオンオフ制御して、当該インバータ回路4の出力電力が設定火力となるように制御を行う。
【0020】
また、制御用主マイコン9は、制御用電源が供給されることで動作する。制御用主マイコン9は、時期をカウントするカレンダー機能、及び時間帯をカウントする時計機能を有している。また、制御用主マイコン9には、時刻、日付、及び曜日の少なくとも1つに応じた報知タイミング情報が記憶されている。詳細は後述する。
【0021】
このように構成することで、加熱コイル5aには高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によって加熱コイル5aの直上の天板上に載置された被加熱物を誘導加熱する。
【0022】
なお、制御用主マイコン9及び制御用従マイコン8は、「制御手段」に相当する。
また、表示部12及び報知部13は、「報知手段」に相当する。
【0023】
少なくとも、直流電源回路3、インバータ回路4、及び制御用従マイコン8は、電子基板11に実装されている。電子基板11は、本体1内に搭載され、制御用主マイコン9が搭載された主基板14(後述)と着脱可能に接続される。また、電子基板11には、当該基板に搭載された電力用半導体素子の種類(以下「電子基板11の種類」ともいう)を識別するための回路部品として、プルアップ抵抗10a又はプルダウン抵抗10bが搭載されている。なお、
図2では説明のため、プルアップ抵抗10a及びプルダウン抵抗10bを両方図示している。
【0024】
ここで、電子基板11に搭載された電力用半導体素子(スイッチング素子4a、4b)の種類について説明する。
電力用半導体素子としては、例えばシリコン系からなる半導体(以下、シリコン半導体という)がある。
また、電力用半導体素子としては、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム系材料(ガリウムナイトライド;GaN)、又はダイヤモンド等のワイドバンドギャップ半導体がある。
【0025】
シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子は、ワイドバンドギャップ半導体と比較して安価である。
一方、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子は、耐電圧性及び許容電流密度が高く、電力損失が低いため、シリコン半導体と比較して高電力駆動が可能となる。また、シリコン半導体と比較して電力損失が低いので発熱量が少なく、また耐熱性も高いため、冷却装置及び放熱フィンの小型化又は省略、冷却能力の低減を図ることが可能となる。
【0026】
本実施の形態1における誘導加熱調理器100は、シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した電子基板11(以下「第1電子基板11a」という)、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した電子基板11(以下「第2電子基板11b」という)の何れかを、選択的に搭載することが可能に構成されている。
【0027】
例えば、誘導加熱調理器100において、高火力調理を求める使用者に対しては第2電子基板11bを搭載し、高火力調理の必要が無く安価を求める使用者に対しては第1電子基板11aを搭載とすることで、使用者の目的及び用途に応じて、装置全体を交換する(買い換える)必要が無く、同一装置で電力用半導体素子を選択的に使用可能な、誘導加熱調理器100を提供することが可能となる。
【0028】
なお、本実施の形態1においては、インバータ回路4を構成するスイッチング素子4a、4bを、ワイドバンドギャップ半導体又はシリコン半導体の何れかにより構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2電子基板11bに搭載される直流電源回路3のダイオードブリッジ3a、及びスイッチング素子4a、4bに逆並列に接続されたダイオード(図示せず)等を、ワイドバンドギャップ半導体又はシリコン半導体の何れかにより構成するようにしても良い。
【0029】
次に、このような誘導加熱調理器100の回路構成の詳細について説明する。
【0030】
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100に搭載される電子基板11を説明するブロック図である。
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100に第1電子基板11aが搭載された状態を示すブロック図である。
図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100に第2電子基板11bが搭載された状態を示すブロック図である。
図3に示すように、制御用主マイコン9が搭載された主基板14には、ハーネス16によって、第1電子基板11a又は第2電子基板11bの何れかが選択的に接続される。
図4に示すように、第1電子基板11aが本体1に搭載された場合、ハーネス16と第1電子基板11aのコネクタ15aとが接続される。
また、
図5に示すように、第2電子基板11bが本体1に搭載された場合、ハーネス16と第2電子基板11bのコネクタ15bとが接続される。
【0031】
第1電子基板11aには、プルアップ抵抗10aが搭載されており、所定電位(例えば+5V)が、コネクタ15a及びハーネス16を介して、制御用主マイコン9の電子基板種類識別用の入力ポートに入力される。
また、第2電子基板11bには、プルダウン抵抗10bが搭載されており、所定電位(例えばGND)が、コネクタ15b及びハーネス16を介して、制御用主マイコン9の電子基板種類識別用の入力ポートに入力される。
制御用主マイコン9は、電子基板種類識別用の入力ポートに入力された電位によって定まるHi論理又はLo論理から、本体1に搭載された電子基板11の種類を識別する。例えば、入力ポートがHiであれば第1電子基板11aが搭載されていると識別し、入力ポートがLoであれば第2電子基板11bが搭載されていると識別する。
【0032】
このように、第1電子基板11a及び第2電子基板11bに実装された回路部品の取り付け状態を相違させることにより、制御用主マイコン9は、第1電子基板11a又は第2電子基板11bの何れが搭載されているかを識別する。
【0033】
なお、ここでは、プルアップ抵抗10a及びプルダウン抵抗10bによって、搭載された電子基板11の種類を識別する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1電子基板11a及び第2電子基板11bに、ディップスイッチを実装して、切り換え状態を相違させることで、種類を識別するようにしても良い。また、例えばジャンパ線等によって取り付け状態を相違させることで、種類を識別するようにしても良い。つまり、第1電子基板11a及び第2電子基板11bに実装された回路部品の、取り付け状態又は接続切り換え状態に基づき、種類を識別するようにすれば良い。
【0034】
なお、第1電子基板11aは、本発明における「第1基板」に相当する。
また、第2電子基板11bは、本発明における「第2基板」に相当する。
【0035】
(報知動作)
次に、本実施の形態1における誘導加熱調理器100の報知動作について説明する。
制御用主マイコン9は、上述したように、第1電子基板11a又は第2電子基板11bの何れが搭載されているかを識別する。そして、その識別結果を表示部12及び報知部13の少なくとも一方によって報知する。
報知動作としては、報知タイミング情報に応じた報知を行う自動報知と、例えばサービスマン及び装置施工者等が所定の操作を行うことによって報知を行う特殊報知とがある。以下、各報知動作について説明する。
【0036】
(自動報知)
図6は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の自動報知の動作を示すフローチャートである。
以下、
図6の各ステップに基づき説明する。
【0037】
(S101)
制御用主マイコン9は、制御電源の起動又は再起動が行われたか否かを判断する。例えば、誘導加熱調理器100に電力を供給する電源コードが抜かれ制御電源がOFFしてから、次に電源コードが接続され制御電源が起動した場合には、制御電源が起動されたと判断する。また、例えば、操作部2からの所定の操作により再起動(リセット操作等)が行われた場合には再起動を判断する。
【0038】
(S102)
制御用主マイコン9は、時計機能(マイコンクロック)によって、日時をカウントする。このカウントは、制御電源の起動又は再起動を基準として、その経過時間及び経過日数等をカウントする。
【0039】
(S103)
制御用主マイコン9は、表示部12に、電子基板11の種類に関する情報を表示するか否かを確認する情報を表示させる。例えば「モードを表示?」などと表示し、使用者による操作部2の入力を待つ。
【0040】
(S104)
S103で情報を表示する旨の操作がされた場合、制御用主マイコン9は、報知タイミング情報に基づき、電子基板11の種類を識別した結果の情報を、表示部12による情報表示及び報知部13による音(音声又は鳴動音等)の少なくとも一方によって報知する。
ここで、報知タイミング情報としては、制御電源の起動又は再起動を基準とした経過日数が「3日間」、及び、「朝一番(例えば5:30〜)」など、予め設定した任意のタイミングとすることができる。
なお、報知タイミング情報は、これに限定されるものではない。報知タイミング情報は、時刻、日付、及び曜日の少なくとも1つに応じて設定されるものであればよい。また、経過時間及び経過日数をカウントする基準は、制御電源の起動又は再起動に限らず、任意のタイミングを基準とすることができる。例えば、電気機器の動作停止状態が一定期間継続した後に動作を開始した場合に、この開始時をカウントの基準としても良い。
【0041】
(S105)
S103で情報を表示する旨の操作がされない場合、制御用主マイコン9は、表示部12及び報知部13による報知を行わず、当該動作を終了する。このように、操作部2からの操作により情報の表示又は非表示を選択することにより、使用者によっては電子基板11の種類の把握と報知が不要である場合などに、報知を省略することが可能となり、使い勝手が向上する。なお、S103、S105を省略して報知タイミング情報を常に報知するようにしても良い。
【0042】
(特殊報知)
図7は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の特殊報知の動作を示すフローチャートである。
この特殊報知の動作は、例えばサービスマン及び装置施工者等、電気機器をメンテナンス又は設置施工する者が、通常の動作では行わない操作を行うことによって、電子基板11の種類に関する情報を表示する動作である。
以下、
図7の各ステップに基づき説明する。
【0043】
(S201)
例えばサービスマン等は、操作部2により特殊モードへ移行する操作を実施する。この操作は、例えば、ある操作ボタンを長押ししつつ別のある操作ボタンを操作するなど、通常の動作では行わない操作である。
制御用主マイコン9は、操作部2から特殊モードへ移行する操作がされた場合、特殊モードへ移行する。
【0044】
(S202)
制御用主マイコン9は、表示部12に、電子基板11の種類に関する情報を表示するか否かを確認する情報を表示させる。例えば「モードを表示?」などと表示し、例えばサービスマン等による操作部2の入力を待つ。
【0045】
(S203)
S202で情報を表示する旨の操作がされた場合、制御用主マイコン9は、電子基板11の種類を識別した結果の情報を、表示部12による情報表示及び報知部13による音(音声又は鳴動音等)の少なくとも一方によって報知する。
【0046】
(S204)
S202で情報を表示する旨の操作がされない場合、制御用主マイコン9は、表示部12及び報知部13による報知を行わず、当該動作を終了する。なお、S202、S204を省略して、特殊モードへ移行した場合には常に報知を行うようにしても良い。
【0047】
なお、上述した自動報知、及び特殊報知の動作を両方とも実施するようにしても良いし、何れか一方のみを実施しても良い。
【0048】
以上のように本実施の形態においては、シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1電子基板11a、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2電子基板11bが、選択的に搭載可能である。このため、使用者の目的及び用途に応じて、装置全体を買い換える必要が無く、同一装置で選択的に使用可能な、誘導加熱調理器100を提供することが可能となる。
【0049】
また本実施の形態においては、制御用主マイコン9は、本体1に、第1電子基板11a又は第2電子基板11bの何れが搭載されているかを識別し、この識別結果を表示部12及び報知部13に報知させる。このため、本体1に搭載された電力用半導体素子の種類を報知することができる。よって、使用者及びサービスマン等は、本体1に搭載された電力用半導体素子の種類を把握することができ、使い勝手の向上又は作業性の向上を図ることができる。
【0050】
実施の形態2.
本実施の形態2では、搭載された電子基板11の種類に応じて、加熱口に設定される火力(電力)の上限を設定する形態について説明する。
なお、本実施の形態2における誘導加熱調理器100の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0051】
本実施の形態2における誘導加熱調理器100の加熱動作について説明する。
制御用主マイコン9は、操作部2からの操作により、加熱口が選択され火力が設定されると、選択された加熱口に対応する制御用従マイコン8へ火力指令を送信する。
制御用従マイコン8は、制御用主マイコン9からの指令に基づき、インバータ回路4のスイッチング素子4a、4bを駆動し、インバータ回路4の出力電力が所望の設定火力となるように制御を行う。
なお、制御用主マイコン9は、操作部2から火力設定が変更される操作がされると、変更後の火力指令値を制御用従マイコン8に送信し、制御用従マイコン8は、この火力指令値に応じて、所望の設定火力となるようにインバータ回路4の出力を制御する。
【0052】
(上限火力設定)
上述したように各加熱口に設定される火力、即ち、インバータ回路4から加熱コイル5aへ入力される電力(火力)は、火力指令によって設定されるが、この電力(火力)には上限が設定される。
制御用主マイコン9は、第1電子基板11aが搭載されていると識別した場合、1つの加熱コイル5aへ入力される電力の上限を、第2電子基板11bが搭載されていると識別した場合より小さく設定する。以下、この状態を省エネルギーモード状態という。
また、制御用主マイコン9は、第2電子基板11bが搭載されていると識別した場合、1つの加熱コイル5aへ入力される電力の上限を、第1電子基板11aが搭載されていると識別した場合より大きく設定する。以下、この状態を高火力モード状態という。
【0053】
例えば、第1電子基板11aが搭載されている場合においては、1つの加熱コイル5aへ入力される電力の上限を2000Wに設定する。一方、第2電子基板11bが搭載されている場合においては、1つの加熱コイル5aへ入力される電力の上限を3000Wに設定する。
これによって、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2電子基板11bが搭載されている場合には、高火力調理が可能となり、シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1電子基板11aが搭載されている場合には、調理器の省エネルギー使用が可能となる。また、制御用主マイコン9は、搭載された基板種類の識別結果に応じて、電力の上限を各々設定できるよう、制御用主マイコン9の制御情報(プログラム等)を保有させることで、電子基板11の種類を変更した場合であっても、制御用主マイコン9の制御情報(プログラム等)を変更することなく、電子基板11の種類に応じた制御が可能となる。
【0054】
(報知動作)
本実施の形態2における誘導加熱調理器100は、上記実施の形態1と同様の動作により、自動報知及び特殊報知の動作を行う。
この際、自動報知の動作のS104及び特殊報知の動作のS203において、表示部12及び報知部13の少なくとも一方によって、省エネルギーモード又は高出力モードの何れであるかを報知する。
【0055】
以上のように本実施の形態においては、シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1電子基板11a、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2電子基板11bが、選択的に搭載可能である。このため、使用者の目的及び用途に応じて、装置全体を買い換える必要が無く、同一装置で選択的に使用可能な、誘導加熱調理器100を提供することが可能となる。
【0056】
また、制御用主マイコン9は、本体1に、第1電子基板11a又は第2電子基板11bの何れが搭載されているかを識別し、識別結果に応じて、少なくともインバータ回路4の駆動を制御する。このため、制御用主マイコン9の制御情報(プログラム等)を変更することなく、電子基板11の種類に応じた制御が可能となる。
【0057】
また、第1電子基板11aが搭載されていると識別した場合、インバータ回路4から出力される電力の上限を、第2電子基板11bが搭載されていると識別した場合より小さくし、省エネルギーモード状態である旨を表示部12及び報知部13に報知させる。このため、使用者は、当該誘導加熱調理器100が省エネルギーモード状態であることを把握することが容易となり、使い勝手を向上することができる。
【0058】
また、第2電子基板11bが搭載されていると識別した場合、インバータ回路4から出力される電力の上限を、第1電子基板11aが搭載されていると識別した場合より大きくし、高火力モード状態である旨を表示部12及び報知部13に報知させる。このため、使用者は、当該誘導加熱調理器100が高火力モード状態であることを把握することが容易となり、使い勝手を向上することができる。
【0059】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、本発明の電気機器の一例として、空気調和装置、洗濯機、冷蔵庫などの家電機器、並びに、エレベータ、鉄道車両などに搭載されたモータを駆動するモータ駆動装置に、本発明を適用した形態について説明する。
【0060】
図8は、実施の形態3に係るモータ駆動装置の回路を示す図である。
図8において、インバータ回路4は、電力用半導体素子によって構成されたスイッチング素子4a〜4fを各々ブリッジ接続して構成される。インバータ回路4は、直流電源回路3で整流された直流電圧出力が入力され、例えばPWM制御によって、入力された直流電圧を任意電圧、任意周波数の三相交流に変換する。
負荷回路7は、例えば三相モータ70によって構成され、インバータ回路4からの三相交流によって回転駆動される。三相モータ70は、空気調和装置、冷蔵庫の送風機及び圧縮機を駆動するモータ、洗濯機の洗濯槽を駆動するモータなど、家電機器に搭載されるモータとして用いられる。また、三相モータ70は、エレベータの昇降駆動モータ、鉄道車両の動力用モータとして用いられる。
その他の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0061】
本実施の形態3においても、シリコン半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第1電子基板11a、又は、ワイドバンドギャップ半導体によって形成された電力用半導体素子を実装した第2電子基板11bが、選択的に搭載可能である。このため、電力用半導体素子を変更するために、電気機器全体を交換する必要が無く、同一装置で電力用半導体素子を選択的に使用可能な、電気機器を提供することが可能となる。
また、本体1に搭載された電力用半導体素子の種類を報知することができ、使用者及びサービスマン等は、本体1に搭載された電力用半導体素子の種類を把握することができ、使い勝手の向上又は作業性の向上を図ることができる。