特許第6116326号(P6116326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116326
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   F24F7/06 101A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-82495(P2013-82495)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-206296(P2014-206296A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】高矢 努
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−199638(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0319676(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0288655(US,A1)
【文献】 実開昭61−87512(JP,U)
【文献】 実開平1−97136(JP,U)
【文献】 実公昭46−33993(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−87976(JP,U)
【文献】 特開2006−223958(JP,A)
【文献】 実開平3−94917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを発生させるファンと、
フード内面の内面パネルの空気の吸込口にロールフィルタユニットを備えるレンジフードであって、
前記ロールフィルタユニットは、
ロール状に巻かれたフィルタを収納する収納部と、
前記収納部からロール状に巻かれたフィルタを前記吸込口の空気の流れが通過する領域へ引き出す引出部と、
前記引出部から引き出されたシート状のフィルタを前記領域から引き込む引込部と、
前記引込部に引き込んだフィルタを保持する保持部と、
を備え、
前記引出部および前記引込部の内一方は他方より低い位置に設けられると共に、前記シート状のフィルタは、前記空気の流れが通過する領域では水平面に対して傾斜して設けられ、
低い方に位置する前記一方の前記引出部の下端から前記収納部へ向けて、前記フィルタが上方に設けられる、または、
低い方に位置する前記一方の前記引込部の下端から前記保持部へ向けて、前記フィルタが上方に設けられる、
レンジフード。
【請求項2】
前記ロールフィルタユニットは、前記一方の前記引出部または前記引込部の下端より高い位置に、フィルタを引き上げる引上部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記引込部は、回転可能に軸支された第一ローラを備え、
前記保持部は、回転可能に軸支された第二ローラを備え、
前記第一ローラと前記第二ローラは、引き込んだフィルタを挟持することでフィルタを保持し、いずれか一方または両方が一方向のみに回ることを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記引込部は、回転可能に軸支された第一ローラを備え、
前記保持部は、回転可能に軸支された第二ローラを備え、
前記第二ローラは、前記第一ローラがフィルタを移動させる方向における前記第一ローラの下流側に一対のローラを備え、該一対のローラは、引き込んだフィルタを挟持し、少なくても一方が一方向のみに回ることを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記保持部は、前記第一ローラまたは前記第二ローラがフィルタを移動させる方向における前記第一ローラ及び前記第二ローラの下流側に、引き込んだフィルタを切断する切断部を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記保持部は、前記第二ローラと前記切断部の間に巻き込み回避機構をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のレンジフード。
【請求項7】
前記巻き込み回避機構のフィルタと対向する面の少なくとも一部に、凹凸を有することを特徴とする請求項6に記載のレンジフード。
【請求項8】
前記ロールフィルタユニットは、前記引出部と前記引込部との間にフィルタの下流側に位置して、前記シート状のフィルタが空気の流れの下流方向に動かないように規制する規制枠を備え、
前記規制枠の桟は、前記第一ローラおよび前記第二ローラのいずれか一方または両方の位置に対応して備えられることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、特に、ロールフィルタを備えたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードでは、フィルタにより油煙等を捕集するため、フィルタに油分が付着する。そのため、定期的にフィルタを取り外して清掃するという手間が発生する。かかる問題を解決するために、ロール状に巻かれたフィルタを引き出して使用し、フィルタが使用過程において汚れてきた際新しい面を引き出し、汚れた面は切断して廃棄する機構を有するロールフィルタを備えたレンジフードが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、フィルタホルダに収納されたフィルタシートを備え、本装置の本体基盤に、通風口の穴を開け、その本体基盤に、フィルタホルダとフィルタ巻取り部を取り付け、フィルタ巻取り部には、電動モータと手動フィルタ巻取り部を取り付けられたレンジフードが開示されている。
【0004】
また、特許文献2においては、吸込み口部の下面を覆う上下フィルタを外壁下方に設け、上下フィルタと接してこれらに付着した油分、水分を吸い取りかつ自身でもろ過作用を行う不燃、吸油、吸水性のフィルタシートを、取り出して使い捨て可能に上下フィルタ間に介在させたレンジフードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3146346号公報
【特許文献2】実用新案出願公告昭50−7713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらのロールフィルタは、フィルタに付着した油脂等がフィルタから各機構や未使用のフィルタ等に流れて付着してしまったり、レンジフードの下方に備えられた調理機器に滴下してしまうという問題があった。また、付着した油脂が、そのまま各機構に固着することによって抵抗が生じ、汚れたフィルタをスムーズに引き出すことが困難となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、フード内面の内面パネルの空気の吸込口にロールフィルタユニットを備えるレンジフードであって、ロールフィルタユニットは、ロール状に巻かれたフィルタを収納する収納部と、収納部からロール状に巻かれたフィルタを吸込口の空気の流れが通過する領域へ引き出す引出部と、引出部から引き出されたシート状のフィルタを領域から引き込む引込部と、引込部に引き込んだフィルタを保持する保持部と、を備え、引出部および引込部の内一方は他方より低い位置に設けられると共に、シート状のフィルタは、空気の流れが通過する領域では水平面に対して傾斜して設けられ、低い方に位置する一方の引出部の下端から収納部へ向けて、フィルタが上方に設けられる、または、低い方に位置する一方の引込部の下端から保持部へ向けて、フィルタが上方に設けられる、レンジフードが提供される。
これによれば、フィルタを傾斜させることで上側の各機構には油脂等が流れることがなく、また、下側ではフィルタが上方に向けられて設けられることで油脂等が下側に流れても引出部または引込部の下端より先には油脂等が流れることがないので、収納部や保持部の各機構内や未使用のフィルタ等に油脂等が流れて汚すことが無く、さらにそれらの機構等に油脂等が固着することがない。従って、各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することができる。
【0009】
さらに、ロールフィルタユニットは、一方の前記引出部または引込部の下端より高い位置に、フィルタを引き上げる引上部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、下側の機構内でフィルタを引き上げることで、確実に各機構が汚れることを回避することができる。
【0010】
さらに、引込部は、回転可能に軸支された第一ローラを備え、保持部は、回転可能に軸支された第二ローラを備え、第一ローラと第二ローラは、引き込んだフィルタを挟持することでフィルタを保持し、いずれか一方または両方が一方向のみに回ることを特徴としてもよい。
これによれば、ローラは一方向のみに回るため、ロールが逆転してフィルタが緩むことがない。
【0011】
さらに、引込部は、回転可能に軸支された第一ローラを備え、保持部は、回転可能に軸支された第二ローラを備え、第二ローラは、第一ローラがフィルタを移動させる方向における第一ローラの下流側に一対のローラを備え、その一対のローラは、引き込んだフィルタを挟持し、少なくても一方が一方向のみに回ることを特徴としてもよい。
これによれば、ローラは一方向のみに回るため、ロールが逆転してフィルタが緩むことがない。また、保持部が内向きまたは外向きの癖がある引き込んだフィルタを矯正することで、フィルタの交換時にスムーズに取り出すことができる。
【0012】
さらに、保持部は、第一ローラまたは第二ローラがフィルタを移動させる方向における第一ローラ及び第二ローラの下流側に、引き込んだフィルタを切断する切断部を備えることを特徴としてもよい。
これによれば、使用済みのフィルタを手を汚すことなく容易に引き込み切断することで、処理することが可能となる。
【0013】
さらに、保持部は、第二ローラと切断部の間に巻き込み回避機構をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、内向きまたは外向きに癖づいたフィルタであっても、切断部まで確実かつスムーズに案内することができる。
【0014】
さらに、巻き込み回避機構のフィルタと対向する面の少なくとも一部に、凹凸を有することを特徴としてもよい。
これによれば、巻き込み回避機構に油脂等が付着したフィルタが接触する面積を最小限に留めることができるため、巻き込み回避機構に油脂等が固着してフィルタが引き出しにくくなることを回避することができる。
【0015】
さらに、ロールフィルタユニットは、引出部と引込部との間にフィルタの下流側に位置して、シート状のフィルタが空気の流れの下流方向に動かないように規制する規制枠を備え、規制枠の桟は、第一ローラおよび第二ローラのいずれか一方または両方の位置に対応して備えられることを特徴としてもよい。
これによれば、桟に対応する位置にあるフィルタ部分には油脂等が付着し難いので、ローラに油脂等が付着することを最小限に留めることができるため、ローラに油脂等が固着して回転が鈍くなったりフィルタが引き出しにくくなることを回避することができる。また、規制枠を備えることで吸込み時にフィルタが撓むことがない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、レンジフードのロールフィルタユニットの各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)右側面図、(E)整流板を取り外した場合の底面図。
図2】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、(A)右下からの斜視図、(B)整流板を取り外した場合の斜視図。
図3】本発明に係る第一実施例のレンジフードの断面図(図1(A)におけるI−I断面)
図4】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)正面図、(B)底面図、(C)断面図((B)におけるV−V断面)。
図5】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)断面図(図4(A)におけるII−II断面)、(B)断面図(図4(A)におけるIII−III断面)、(C)断面図(図4(A)におけるIV−IV断面)。
図6】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)右上からの斜視図、(B)右下からの斜視図、(C)右下からの斜視図(ユニットカバーを取り外した場合)。
図7】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)保持部等拡大断面図(図4(A)におけるIII−III断面)、(B)保持部等拡大断面図(図4(A)におけるIV−IV断面)。
図8】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)保持部等拡大斜視図、(B)保持部等拡大断面斜視図(図4(A)におけるVI−VI断面)。
図9】本発明に係る第一実施例のロールフィルタユニットの、(A)収納部拡大断面図(図4(A)におけるII−II断面)、本発明に係る第二実施例のロールフィルタユニットの、(B)収納部拡大断面図(同断面と相当の断面)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至3を参照し、本発明にかかるレンジフード1について説明する。図1は、本実施例におけるレンジフード1の正六面図(一部)、図2は、本実施例におけるレンジフード1の斜視図、図3は、本実施例におけるレンジフード1の断面図である。なお、図1(E)と図2(B)においては、整流板を取り外した場合を示す。
【0019】
レンジフード1は、下方または周囲で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル5を内面に有する薄型のフード2を有する。フード2は、そのほぼ中央に位置する吸込口6付近で、排気ダクト4に接続された送風機ボックス3と連結される。送風機ボックス3は、内部に空気の流れを発生させるファン8(シロッコファン)を有する。従って、ファン8が稼働すると吸込口6は負圧となり、内面パネル5の下方の空気は吸込口6を通して吸入され、排気ダクト4を通して外部に排出される。即ち、吸込口6は、ファン8と連通し、ファン8が発生させた空気の流れ(D2)の流路上に位置する。そして、吸込口6には、空気の流れを通過させるフィルタユニット10が設けられる。従って、レンジフード1は、空気の流れを発生させるファン8と、フード2の内面の内面パネル5の空気の吸込口6にロールフィルタユニット10を備える。
【0020】
フィルタユニット10は、空気を通すフィルタ20と、その周りに空気を通さない材質の、吸込口6に嵌り取りけられるユニットフレーム18を有する。内面パネル5の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン8が稼働すると、吸込口6下方に存在する、即ちファン8が発生させた空気の流れの流路上に位置するフィルタ20を通過することになる。その結果、フィルタ20は、空気に含まれる油分を捕獲する。なお、本実施例では、整流板7がフィルタユニット10の下に設けられているが、無くてもよい。
【0021】
ロールフィルタユニット10のフィルタ20は、ロールフィルタユニット10がレンジフード1に取り付けられた場合、レンジフード1の手前側から奥側に向けて下方に傾斜するように備えられる。そうすると、フィルタ20が空気の流れD2から捕獲した油分は、フィルタ20の同じ面を長期に使用すると奥側の下方に向けて流れ、移動する。そしてそのフィルタ面から油分が垂れる場合は、その油分は、ロールフィルタユニット10において最も奥側で下方に位置する油溜まり17に回収される。
【0022】
図4乃至6を参照し、本発明にかかるロールフィルタユニット10について説明する。図4は本実施例におけるロールフィルタユニット10の正面図等、図5は本実施例におけるロールフィルタユニット10の断面図、図6は本実施例におけるロールフィルタユニット10の斜視図である。
【0023】
ロールフィルタユニット10は、上述したように、ユニットフレーム18の部分で内面パネル5に取り付けられる。ユニットフレーム18の部分の中央部は、ほぼ矩形の孔が空いている。ロールフィルタユニット10は、ユニットフレーム18が内面パネル5に取り付けられた場合の奥側(例えば、図5(A)、図6(A)で図視右側)にロール状に巻かれたフィルタ21を収納する収納部11が、その矩形の孔を挟んで手前側(例えば、図5(A)、図6(A)で図視左側)にシート状のフィルタ22を引き込む引込部13やフィルタを保持する保持部14を備える。
【0024】
ロールフィルタユニット10は、ユニットフレーム18の近傍にある収納部11の下部に位置する引出部12の近傍から引込部13側の上部にかけ、フィルタの下流側に位置してシート状のフィルタ22が空気の流れの下流方向に動かないように規制する規制枠16を有する。ロールフィルタユニット10がレンジフード1に取り付けられた場合、規制枠16は、水平面に対して傾斜して設けられている。本実施例では、収納部11側が低く、引込部13側が高くなっているが、特にこれに限定されることはなく、逆であってもよい。規制枠16は、上記矩形の孔に手前側―奥側方向にかけて中央と両側の合計3本の桟を有し、これによりシート状のフィルタ22がファン8が発生させる空気の流れに負けて撓むことがないように規制し、フィルタ22が空気中に含まれる油分を確実に捕集することができる。上記矩形の孔の、規制枠16以外の部分が、吸込口6の空気の流れが通過する領域ARである。
【0025】
ロールフィルタユニット10は、傾斜の下側に位置する収納部11と規制枠16の接合部付近に引出部12を有し、また、引出部12の下端より高い位置であって引出部12とロール状フィルタ21の間に、フィルタを上方に引き上げる引上部15を有する。引出部12は、収納部11内にあるロール状に巻かれたフィルタ21を吸込口6の空気の流れが通過する領域ARへ引き出すものである。引出部12は、より具体的には、ロール状のフィルタ21を引込部13側から引っ張られD1’方向に動かし易くするためのローラである。また、引上部15は、同様に、ロール状のフィルタ21をD1方向に動かし易くするためのローラである。傾斜の下側にあるこの引上部15がフィルタを上方へ引き上げることにより、油分は、ロール状のフィルタ21の方へ流れてくることがなくなり、ロール状フィルタ21や収納部11が汚れることを確実に回避することができる。
【0026】
ロールフィルタユニット10は、傾斜の上側に、引出部12から引き出されたシート状のフィルタ22を領域ARから引き込む引込部13と、その引込部13に引き込んだフィルタを保持する保持部14を備える。引込部13は、より具体的には、空気の流れが通過する領域ARにあり油分を捕獲したシート状のフィルタ22をD1’方向に動かしやすくするためのローラであって、本実施例ではD1’からD1’’方向に方向転換するように備えられている。また、保持部14は、引き込んだフィルタを引込部13のローラと共に付勢力を以って挟持することで保持するローラを含む。
【0027】
図7乃至8を参照し、本発明にかかる引込部13と保持部14について説明する。引込部13のローラは、回転可能に軸支され、規制枠16の3本の桟の位置に対応して3つ備えられている。これによれば、桟に対応する位置にあるフィルタ部分には油脂等が付着し難いので、ローラに油脂等が付着することを最小限に留めることができるため、ローラに油脂等が固着して回転が鈍くなったりフィルタが引き出しにくくなることを回避することができる。
【0028】
引込部13のローラの回転軸と同軸で歯車を備え、その歯車が一方向のみに回るワンウェイクラッチ142と係合することで、引込部13のローラは一方向のみに回転する。保持部14は、ローラ141を備え、そのローラ141が引き込んだフィルタを引込部13のローラと共に付勢力を以って挟持することでフィルタを保持する。これによれば、ローラは一方向のみに回るため、ロールが逆転してフィルタが緩むことがない。なお、ワンウェイクラッチ142の一部はユニットフレーム18の下部から表出しており、ユーザがワンウェイクラッチ142を操作することにより、フィルタをD1’’方向へ移動させる。なお、一方向のみに回転するローラは保持部または保持部と引込部であってもよい。また、保持部14は、引込部13よりD1’’方向下流側に2つのローラを備えて、その2つのローラがフィルタを引き込み、挟持することによりフィルタを保持してもよい。これによれば、ローラは一方向のみに回るため、ロールが逆転してフィルタが緩むことがない。また、保持部が内向きまたは外向きの癖がある引き込んだフィルタを矯正することで、フィルタの交換時にスムーズに取り出すことができる。
【0029】
また、保持部14は、ローラ141がフィルタを移動させる方向D1’’におけるローラ141の下流側に、引き込んだフィルタを切断する切断部143を備える。これによれば、使用済みのフィルタを手を汚すことなく容易に引き込み切断することで、処理することが可能となる。切断部143は、固定刃と、切断部操作レバー145により動く可動刃とからなる。可動刃は、固定刃に対して一方から他方にかけて傾斜して設けられ、切断部操作レバー145をユーザが操作すると、二枚の刃の接触点が一方から他方に移動することでフィルタを切断することができる。切断部143は、可動範囲が小さくかつ長い距離を切ることができ、また、鋭利なエッジでなくても切ることができる。
【0030】
また、保持部14は、上下方向におけるローラ141と切断部143の間に巻き込み回避機構144を備える。これによれば、内向きまたは外向きに癖づいたフィルタであっても、切断部143まで確実かつスムーズに案内することができる。また、巻き込み回避機構144は、引込部13の両側のローラの幅全体に設けられているが、フィルタと対向する面の少なくとも一部に、D1’’方向に沿って凹凸を有する。これによれば、巻き込み回避機構に油脂等が付着したフィルタが接触する面積を最小限に留めることができるため、巻き込み回避機構に油脂等が固着してフィルタが引き出しにくくなることを回避することができる。
【0031】
ロールフィルタユニット10は、引出部12と引込部13との間に、空気の流れにおけるシート状のフィルタ22の下流側に位置して、シート状のフィルタ22が空気の流れの下流方向に動かないように規制する規制枠16を備える。これによれば、規制枠16を備えることで吸込み時にシート状のフィルタ22が撓むことがない。また、規制枠16の桟は、引込部13のローラ(第一ローラ)および保持ローラ141(第二ローラ)のいずれか一方または両方の位置に対応して備える。本実施例においては、規制枠16の桟はD1’方向に平行に延びており、規制枠の桟の幅がローラの幅に対応する。
【0032】
これによれば、桟に対応する位置にあるフィルタ部分には油脂等が付着し難いので、ローラに油脂等が付着することを最小限に留めることができるため、ローラに油脂等が固着して回転が鈍くなったり、フィルタが引き出しにくくなることを回避することができる。特にシート状のフィルタ面は、吸込口の空気の流れが通過する方向の上流側の面に油脂等が多く付着するため、この面に接触するローラについてより効果的である。
【0033】
なお、規制枠16の桟の幅はローラの幅よりも小さくても良いが、ローラの幅よりも規制枠16の桟の幅の方が大きい方が良い。
【0034】
また、規制枠16の桟の端面部には吸込口の空気の流れが通過する方向の下流側に向かう立上片161が設けられており、これによりフィルタに付着した油脂分が気流により規制枠の桟の裏側、すなわち吸込口の空気の流れが通過する方向の下流側に気流の影響で流れて汚れてしまうことを防止している。
【0035】
ユーザは、シート状のフィルタ22の同じ面をしばらく使用したとき、ユニットカバー19をロールフィルタユニット10から取り外し、ユニットフレーム18の下部から表出しているワンウェイクラッチ142を操作し、使用済みのシート状フィルタ22を空気の流れが通過する領域ARから引き込む。そうすると、使用済みのシート状フィルタ22が使用済みフィルタ取り出しスリット146から排出される。使用済みフィルタの全面が排出されたときに、ユーザは、切断部操作レバー145を操作し、使用済みフィルタを切断し、切り離す。この過程で、空気の流れが通過する領域ARには、新しいシート状のフィルタ22が、収納部11にあるロール状フィルタ21から充当される。
【0036】
なお、ユニットフレーム18の下部から表出しているワンウェイクラッチ142の一部、切断部操作レバー145や使用済みフィルタ取り出しスリット146は、レンジフード1を通常使用する場合には、ユニットカバー19により覆われており、油分等が付着しにくくなっている。
【0037】
上述したように、ロールフィルタユニット10では、引出部12は引込部13より低い位置に設けられ、シート状のフィルタ22は、空気の流れが通過する領域ARでは水平面に対して傾斜して設けられる。そして、低い方に位置する引出部12の下端から収納部11へ向けて、フィルタが上方に設けられている。これによれば、フィルタを傾斜させることで上側に位置する引込部13や保持部14などの各機構には油脂等が流れることがなく、また、傾斜の下側ではフィルタが収納部11の方へ上方に向けられて設けられることで、油脂等が傾斜の下側に流れても引出部12の下端より収納部11の方には油脂等が流れることがないので、収納部11またはその周辺にある各機構内や未使用のフィルタ等に油脂等が流れて汚すことが無く、さらにそれらの機構等に油脂等が固着することがない。従って、各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することができる。
【0038】
本実施例では、引出部12は引込部13より低い位置に設けられたが、これに限定されず、逆に引込部が引出部より低い位置に設けられてもよい。その場合、ロールフィルタユニットでは、引込部は引出部より低い位置に設けられ、シート状のフィルタは、空気の流れが通過する領域では水平面に対して傾斜して設けられる。そして、低い方に位置する引込部の下端から保持部へ向けて、フィルタが上方に設けられる。かかる構成においても、フィルタを傾斜させることで上側に位置する引出部や収納部などの各機構には油脂等が流れることがなく、また、傾斜の下側ではフィルタが保持部の方へ上方に向けられて設けられることで、油脂等が傾斜の下側に流れても引込部の下端より保持部の方には油脂等が流れることがないので、保持部やその周辺にある各機構に油脂等が流れて汚すことが無く、さらにそれらの機構等に油脂等が固着することがない。従って、各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することができる。この場合、引上部は、引込部の下端より高い位置に、フィルタを引き上げるように備えられる。これによれば、確実に各機構が汚れることを回避することができる。
【0039】
<第二実施例>
図9を参照し、本実施例におけるロールフィルタユニット10Aを説明する。図9(A)は、第一実施例におけるロールフィルタユニット10の引出部12や収納部11付近の拡大断面図であり、図9(B)は、本実施例におけるロールフィルタユニット10Aの引出部12Aや収納部11A付近の拡大断面図である。
【0040】
第一実施例においては、引上部15が、引出部12の下端より高い位置であって引出部12とロール状フィルタ21の間にあって、フィルタを上方に引き上げていた。これにより、シート状フィルタ22を伝って流れてきた油分は、ロール状のフィルタ21の方へ流れて移動することはなく、ロール状フィルタ21や収納部11が汚れることを確実に回避することができる。
【0041】
一方、本実施例におけるロールフィルタユニット10Aは、引上部を備えない。しかし、ロール状のフィルタ21Aの上側からフィルタを引き出すことで、引出部12Aの下端から収納部11Aへ向けて、フィルタが上方に設けられている。これにより、引上部を備えなくても、第一実施例と同じ効果を得ることができる。即ち、フィルタを傾斜させることで傾斜の上側の各機構には油脂等が流れることがなく、また、傾斜の下側ではフィルタが上方に向けられて設けられることで油脂等が下側に流れても引出部の下端より先には油脂等が流れることがないので、収納部などの各機構内や未使用のフィルタ等に油脂等が流れて汚すことが無く、さらにそれらの機構等に油脂等が固着することがない。従って、各機構が汚れることを回避し、かつ汚れたフィルタをスムーズに取り出すことができるロールフィルタを備えたレンジフードを提供することができる。
【0042】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。即ち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に関し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 レンジフード
2 フード
3 送風機ボックス
4 排気ダクト
5 内面パネル
6 吸込口
7 整流板
8 ファン
10 ロールフィルタユニット
11 収納部
12 引出部
13 引込部
14 保持部
141 保持ローラ
142 ワンウェイクラッチ
143 切断部
144 巻き込み回避機構
145 切断部操作レバー
146 使用済みフィルタ取り出しスリット
15 引上部
16 規制枠
161 立上片
17 油溜まり
18 ユニットフレーム
19 ユニットカバー
20 フィルタ
21 ロール状フィルタ
22 シート状のフィルタ
D1 フィルタの移動方向
D2 空気の流れる方向
AR 空気の流れが通過する領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9