【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴構成を備えた方法によって解決される。この処理プラントは、始動弁を用いることなく直接的に始動される。このことは、スクリュー式射出成形機と造粒装置の間の処理プラントが全く始動弁を持たないか、又は、例えば既存の処理プラント内の、既存の始動弁が始動に用いられないことを意味する。造粒装置が、始動弁の介入無くスクリュー式射出成形機と連結されることが好ましい。処理プラントを始動する際には、造粒装置が正しく始動され、作動中障害が生じないことを確保しなければならない。特に、溶融した熱いプラスチック材料を、造粒装置を可動状態にする間に当該造粒装置に冷却造粒水と概ね同時に導入しなければならない。プラスチック材料導入が早すぎると、当該プラスチック材料は、造粒装置のカッティング機構を妨害する。他方で、プラスチック材料導入が遅すぎると、造粒装置の穿孔板のノズル開口部内でプラスチック材料が固化して詰まらせる。造粒装置が安全に作動されることを確保するためには、スクリュー式射出成形機内のプラスチック材料の、少なくとも一つの運搬位置が、始動処理中に決定され、処理プラント用に決定された少なくとも一つの測定信号が、制御装置によって評価される。スクリュー式射出成形機内におけるプラスチック材料の少なくとも一つの運搬位置が分かるので、造粒装置は、前記少なくとも一つの運搬位置と時間依存状態で作動可能である。プラスチック材料が、例えば、スクリュー式射出成形機内の特定の運搬位置に到達すると、始動処理、又は、造粒装置を作動状態にする処理が制御装置によって起動でき、したがって造粒装置を作動できる。このことは、作動中障害なく造粒装置も始動できるということを確保する。本発明に係る方法は、したがって始動処理を容易且つ安全に実行できる、というのも、始動弁を必要とせず、プラスチック材料を始動処理中に造粒装置によって除去するので、当該始動処理中には、熱いプラスチック材料が処理プラントの外に存在しないからである。
【0008】
始動時間T
0の決定は、造粒装置が、安全に且つ時間について予め設定された方法で作動状態にされることを確保する。予め設定された、始動処理の開始を表す始動時間T
0は、少なくとも一つの測定信号によって設定される。前記始動時間T
0から進行する、様々な時間間隔が設定可能であり、造粒装置の個々の構成要素又は機構が作動される。時間間隔ΔT
Wは、造粒水(granulating water)が、実質的に溶融プラスチック材料と同時に、造粒装置に又は造粒装置の穿孔板へ到達することを確保する。その結果、造粒装置が安全に作動状態へ移行されることを確保する、というのも、プラスチック材料が、穿孔板のノズル開口部を塞ぐことも、造粒装置のカッティング機構又は造粒刃を妨害することも無いからである。
【0009】
請求項2に記載の方法は、カッティング機構と、当該カッティング機構の造粒刃が、穿孔板の摩擦により過熱しないことを確保する。このために、特に造粒刃が、穿孔板に対して早く動きすぎないこと、且つ、前記穿孔板上を冷却されないで回転することが必要である。
【0010】
請求項3に記載の方法は、プラスチック材料が、ノズル開口部を塞がないことを確保する。
【0011】
請求項4に記載の方法は、造粒装置の始動と、作動状態への移行を単純化する。噴霧機構は、過熱の危険性なく穿孔板と造粒刃との早期の接触を可能にするので、前記穿孔板を通るプラスチック材料の流れが開始すると、プラスチック材料粒状体が迅速にカットされる。噴霧される水量は、ここでは造粒刃が穿孔板との摩擦によって過熱しないようにするのではなく、穿孔板だけが僅かに冷却されるように選択されるので、ノズル開口部の凍結又は閉塞を防ぐ。製造されたプラスチック材料粒状体は、噴霧器によって冷却されて、カッティング又は造粒フードの入口領域内で回収され得る。
【0012】
請求項5に記載の方法は、造粒装置が容易に作動状態へ移行することを確保する。噴霧機構は、前記始動時間T
0から進行する予め設定した方法で始動する。
【0013】
請求項6に記載の方法は、過熱の危険性を最小化する。
【0014】
請求項7に記載の方法は、造粒装置が安全に作動状態へ移行することを確保する。処理プラント又はスクリュー式射出成形機の現在の作動状態に応じて、時間間隔、又は、複数の時間間隔、ΔT
W、ΔT
G、及び/又は、ΔT
Sが決定されるので、少なくとも一つの決められた搬送位置から進行するプラスチック材料が、決められた時間に造粒装置に、又は、穿孔板に実際に到着することを確保する。決められた搬送位置から造粒装置又は穿孔板までプラスチック材料が必要とする時間間隔は、特に、スクリュー式射出成形機の軸スピードと、計量装置の計量速度とに依存する。これら状態変数のうち少なくとも一つを考慮に入れることによって、始動処理を最適化することが可能となる。
【0015】
請求項8に記載の方法は、無駄の無い、信頼性のある始動を確保する。時間T
1が、溶融物前面が穿孔板に到着する予想時間からずれている場合には、次に続く処理プラントの始動への始動処理の補正が、当該時間T
1を用いて実行され得る。例えば、時間T
1を用いることにより、始動時間T
0、時間間隔ΔT
W、時間間隔ΔT
G、及び/又は、時間間隔ΔT
Sが補正可能である。
【0016】
請求項9に記載の方法は、始動時間T
0を適切な方法で設定可能にする。始動処理中に、駆動装置によって与えられたトルク(回転力)が決定される。前記トルクは、例えば、駆動軸のうち一つにおいて与えられたトルクが、少なくとも一つのトルク測定機構によって測定されることで直接測定されるか、又は、処理プラントがトルクを測定するトルク測定機構を備えていない場合には、当該与えられたトルクは算出することが可能である。例えば、トルクは、消費した有効電力、又は、消費した駆動装置の電流から算出することが可能である。ここでは、与えられたトルクが定性的(質的)に決定されれば十分である。処理すべきプラスチック材料が、計量開始後にスクリュー式射出成形機に到着し、且つ、そこで溶解されて混練されると、スクリュー式射出成形機を駆動するのに必要なトルクは著しく増加する。このトルクの増加は、駆動装置によって与えられたトルクを特徴づける測定信号によって検出される。これは、例えば、トルク測定信号、有効電力測定信号、又は、電流測定信号であっても良い。前記測定信号が既定の閾値W
Mを超過すると、溶融プラスチック材料の溶融物前面は、スクリュー式射出成形機内の実質的に分かっている搬送位置に存在する。閾値W
Mの超過から、又は、関連する搬送位置から進むことで、次に始動時間T
0が設定可能となって造粒装置を作動状態へ移行する処理が始動する。前記始動点T
0を決定するために、前記閾値W
Mを測定信号自身と、又は、そこから導出された信号、例えば測定信号における時差(time change)と比較可能である。
【0017】
請求項10に記載の方法は、スクリュー式射出成形機内の溶融プラスチック材料の搬送位置の決定を容易にさせる。このために、スクリュー式射出成形機は、処理部内の特定の搬送位置での圧力をモニターする、少なくとも一つの圧力測定機構を備えている。溶融プラスチック材料の溶融物前面が各圧力測定機構に到達した時には圧力が増加するので、溶融物前面が関連した搬送位置に到達したという事実を、関連した測定信号で検出することが可能である。搬送方向に沿った溶融物前面の進行をモニターするために、複数の圧力測定機構が、前記搬送方向に沿って配置されることが好ましい。
【0018】
請求項11に記載の方法は、造粒装置を作動状態に移行する予め設定した処理を始動する、始動時間T
0を容易に設定することを可能にする。測定信号が閾値W
pを越えれば、これは、溶融物前面が圧力測定機構の関連した搬送位置に到達したことを意味する。前記閾値W
pの超過から進行することで、始動時間T
0を容易且つ安全に設定することができる。始動時間T
0を設定するために、閾値W
pは、測定信号自身と、又は、そこから導出された信号、例えば、測定信号における時差と比較可能である。
【0019】
請求項12に記載の方法は、安全で信頼できる始動を確保する。処理プラントが圧力測定機構を備えていれば、これは、当該処理プラントの始動処理、又は、造粒装置を作動状態に移行する処理を最適化するために用いられ得る。このために、前記のようにして、駆動装置によって与えられたトルクを特徴づける測定信号によって、又は、決められた搬送位置での圧力を特徴づける測定信号によって、始動時間T
0を設定する。別の圧力測定機構が、穿孔板に近接して、好ましくは当該穿孔板の直前に配置されるので、溶融物前面が圧力測定機構に、又は、穿孔板に実際到着する時間T
1は、関連する測定信号によって決定可能である。時間T
1が、溶融物前面が穿孔板に到着する予想時間からずれる場合には、当該時間T
1を用いて、後の処理プラント始動への始動処理の補正が実行可能である。例えば、前記T
1を用いて、始動時間T
0、時間間隔ΔT
W、時間間隔ΔT
G、及び/又は、時間間隔ΔT
Sを補正可能である。
【0020】
本発明は、さらに、簡単で安全な始動処理を可能にするプラスチック材料粒状体製造用処理プラントをもたらすという課題に基づいている。
【0021】
この課題は、請求項13の特徴構成を備えた処理プラントによって解決される。本発明に係る処理プラントの利点は、既に記載した本発明に係る方法の利点と同じである。前記処理プラント、又は、制御装置は、特に請求項2から12の特徴構成によって発展され得る。
【0022】
請求項14に記載の処理プラントは、プラスチック材料の少なくとも一つの搬送位置を簡単に決定することを確保する。駆動装置によって与えられたトルクの直接測定のために、少なくとも一つの測定機構は、例えば、トルク測定機構として構成されても良い。代わりに、前記少なくとも一つの測定機構は、駆動装置によって与えられたトルクが、少なくとも一つの測定信号から算出され得るように構成されても良い。このために、測定機構は、例えば、有効電力測定機構、又は、電流測定機構として構成されても良い。
【0023】
請求項15に記載の処理プラントは、簡単に、プラスチック材料の特定搬送位置の決定を確保する。関連する測定信号を用いることにより、圧力の増加が検出されると、溶融プラスチック材料の溶融物前面は、圧力測定機構と関連した搬送位置にちょうど到達したところである。前記検出された搬送位置から進行し、次に造粒装置が作動される。
【0024】
請求項16に記載の処理プラントは、簡単な始動処理を確保する。噴霧機構により、造粒刃は早く且つ過熱の危険性無く穿孔板上に動かされ得る。噴霧される水の量は、造粒刃が穿孔板との摩擦によって過熱されず、当該穿孔板が著しく冷却されることもないので、ノズル開口部の凍結又は閉塞を防ぐことを確保する。製造されたプラスチック材料粒状体は霧状噴霧によって冷却される。
【0025】
本発明の別の特徴構成、利点、及び、詳細は、次の複数の実施形態の記載から明らかになる。