特許第6116329号(P6116329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6116329プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラント始動方法、及び、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116329
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラント始動方法、及び、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラント
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20170410BHJP
   B01J 2/20 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B29B9/06
   B01J2/20
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-84671(P2013-84671)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2013-237265(P2013-237265A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】12166130.0
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501164665
【氏名又は名称】コペリオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル アールグリム
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ヨアヒム ゼーマン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス カプファー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ムンケス
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04759889(US,A)
【文献】 特開平06−079720(JP,A)
【文献】 特開2011−000854(JP,A)
【文献】 特開平06−063936(JP,A)
【文献】 特開平07−227837(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02660035(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0285276(US,A1)
【文献】 米国特許第04299553(US,A)
【文献】 米国特許第05059103(US,A)
【文献】 米国特許第05017119(US,A)
【文献】 米国特許第05098635(US,A)
【文献】 特開平03−210335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラントを始動する方法であって、以下の工程、即ち、
− 以下を有する処理プラント(1)を備える工程であって、
−− スクリュー式射出成形機(3)と、
−− 前記スクリュー式射出成形機(3)用の電気駆動装置(18)と、
−− 処理すべきプラスチック材料(2)を前記スクリュー式射出成形機(3)に供給するための計量装置(24)と、
−− 前記スクリュー式射出成形機(3)の、プラスチック材料(2)の運搬方向(5)の下流に配置された、造粒装置(6)と、及び、
−− 制御装置(67)とを有する、処理プラント(1)を備える工程と、
− 前記駆動装置(18)によって前記スクリュー式射出成形機(3)を駆動する工程と、
− 前記計量装置(24)によって、処理すべきプラスチック材料(2)を前記スクリュー式射出成形機(3)へ供給する工程と、
− 前記制御装置(67)によって前記処理プラント(1)用に決定された少なくとも一つの測定信号を評価することによって、前記スクリュー式射出成形機(3)内にあるプラスチック材料(2)の少なくとも一つの運搬位置を決定する工程と、及び、
− 前記決定された少なくとも一つの運搬位置に応じて、造粒装置(6)を作動する工程と、を含む方法において、
前記造粒装置(6)を作動させるために予め定められた処理を開始する始動時間Tが、前記制御装置(67)によって前記少なくとも一つの測定信号を用いて決定されること、及び、
造粒水を供給するための造粒装置(6)の弁(44)が、始動時間Tから時間間隔ΔTで作動されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
造粒装置(6)のカッティング機構(61)が、始動時間Tから時間間隔ΔTで作動されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ΔT>ΔTが適用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
造粒装置(6)の噴霧機構(62)によって霧状噴霧が生成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
噴霧機構(62)が、始動時間Tから時間間隔ΔTで作動されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ΔT>ΔTが適用されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
時間間隔ΔT、ΔT、及び、ΔTの少なくとも一つが、軸スピード、及び、計量速度の状態変数の少なくとも一つによって決定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
始動時間Tが第1測定信号によって定められ、且つ、第2測定信号は、プラスチック材料(2)によって特定の運搬位置で生じた圧力を特徴づけており、前記第2測定信号が閾値Wを越える時に、制御装置(67)によって時間Tが決定され、後の作動のために始動時間T、時間間隔ΔT、時間間隔ΔT、及び、時間間隔ΔTの群のうち、少なくともひとつの作動変数が、前記時間Tを用いて補正されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの測定信号が駆動装置(18)のトルクを特徴づけており、閾値Wが超過される時に、制御装置(67)によって始動時間Tが定められることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの測定信号が、プラスチック材料(2)によって特定の運搬位置で生成された圧力を特徴づけることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
閾値Wが超過される時に、制御装置(67)によって始動時間Tが定められることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
閾値Wが超過される時に、制御装置(67)によって時間Tが決定され、後の作動のために始動時間T、時間間隔ΔT、ΔT、及び、ΔTの群のうち、少なくともひとつの作動変数が、前記時間Tを用いて補正されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
− スクリュー式射出成形機(3)と、
− 前記スクリュー式射出成形機(3)を駆動するための電気駆動装置(18)と、
− 処理すべきプラスチック材料(2)を前記スクリュー式射出成形機(3)に送るための、計量装置(24)と、
− 前記スクリュー式射出成形機(3)の、プラスチック材料(2)の運搬方向(5)の下流に配置された、造粒水供給用の弁(44)を有する造粒装置(6)と、
− 制御装置(67)とを備えた、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラントにおいて、
前記制御装置(67)が、
− 前記駆動装置(18)によって前記スクリュー式射出成形機(3)が駆動可能であるように、
− 前記計量装置(24)が、処理すべきプラスチック材料(2)をスクリュー式射出成形機(3)へ供給するために作動可能であるように、
− 前記スクリュー式射出成形機(3)内におけるプラスチック材料(2)の少なくとも一つの運搬位置が、処理プラント(1)用に決定された少なくとも一つの測定信号を評価することによって決定可能であるように、及び、
− 造粒装置(6)が、前記決定された少なくとも一つの運搬位置に応じて作動可能であり、造粒装置(6)を作動するために予め定められた処理を開始する始動時間T0が、前記制御装置(67)によって前記少なくとも一つの測定信号を用いて決定可能であり、且つ、造粒水を供給する弁(44)が、前記始動時間Tから時間間隔ΔTで作動可能であるように、
構成されることを特徴とする、処理プラント。
【請求項14】
駆動装置(18)が、当該駆動装置(18)のトルクを特徴づける少なくとも一つの測定信号を決定するための、少なくとも一つの測定機構(69;68)を備えていることを特徴とする、請求項13に記載の処理プラント。
【請求項15】
プラスチック材料(2)によって特定の運搬位置で生じた圧力を特徴づける少なくとも一つの測定信号を決定するために、少なくとも一つの圧力測定機構(71、72)が備えられることを特徴とする、請求項13又は14に記載の処理プラント。
【請求項16】
造粒装置(6)が、霧状噴霧を生じるための噴霧機構(62)を備えることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の処理プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許文献1の内容を参照することによって含む。
【0002】
本発明は、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラント始動方法に関連している。また本発明は、請求項13のプレアンブル部(導入部)に記載のプラスチック材料粒状体を製造するための処理プラントに関連している。
【背景技術】
【0003】
プラスチック材料を処理するための処理プラントは、特許文献2から公知であり、始動するために始動弁が設けられている。処理すべきプラスチック材料は、スクリュー式射出成形機(screw machine)内で溶融されて、始動処理の最初において始動弁によって先ず排出される。排出されたプラスチック材料は、それが冷却され得る水を満たした冷却プールに到着し、次に処理される。始動処理の終わりには、前記始動弁は切り換えられるので、溶融プラスチック材料はそれ以上排出されないで、下流排出装置に到着する。この種類の排出装置は一般的には造粒装置であって、溶融プラスチック材料からプラスチック材料粒状体を製造する。先行技術から公知の、始動弁による始動は、始動処理中に排出されたプラスチック材料を、労力を要して処理しなければならず、且つ、高温により実質的な安全上の危険も存在することから不利である。
【0004】
水中ペレタイザーが特許文献3から公知であり、造粒水(granulating water)用制御弁が、押出しモータの信号に応じてタイマーによって作動する。バックアップとして、制御弁は、押出し室内に配置された圧力変換器によって更に且つ直接的に作動される。この公知のペレタイザーは始動が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP 12 166 130.0
【特許文献2】DE 102 00 192 A1
【特許文献3】US 4 759 889 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単で安全な始動処理を可能にする、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラントを始動するための方法をもたらすという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴構成を備えた方法によって解決される。この処理プラントは、始動弁を用いることなく直接的に始動される。このことは、スクリュー式射出成形機と造粒装置の間の処理プラントが全く始動弁を持たないか、又は、例えば既存の処理プラント内の、既存の始動弁が始動に用いられないことを意味する。造粒装置が、始動弁の介入無くスクリュー式射出成形機と連結されることが好ましい。処理プラントを始動する際には、造粒装置が正しく始動され、作動中障害が生じないことを確保しなければならない。特に、溶融した熱いプラスチック材料を、造粒装置を可動状態にする間に当該造粒装置に冷却造粒水と概ね同時に導入しなければならない。プラスチック材料導入が早すぎると、当該プラスチック材料は、造粒装置のカッティング機構を妨害する。他方で、プラスチック材料導入が遅すぎると、造粒装置の穿孔板のノズル開口部内でプラスチック材料が固化して詰まらせる。造粒装置が安全に作動されることを確保するためには、スクリュー式射出成形機内のプラスチック材料の、少なくとも一つの運搬位置が、始動処理中に決定され、処理プラント用に決定された少なくとも一つの測定信号が、制御装置によって評価される。スクリュー式射出成形機内におけるプラスチック材料の少なくとも一つの運搬位置が分かるので、造粒装置は、前記少なくとも一つの運搬位置と時間依存状態で作動可能である。プラスチック材料が、例えば、スクリュー式射出成形機内の特定の運搬位置に到達すると、始動処理、又は、造粒装置を作動状態にする処理が制御装置によって起動でき、したがって造粒装置を作動できる。このことは、作動中障害なく造粒装置も始動できるということを確保する。本発明に係る方法は、したがって始動処理を容易且つ安全に実行できる、というのも、始動弁を必要とせず、プラスチック材料を始動処理中に造粒装置によって除去するので、当該始動処理中には、熱いプラスチック材料が処理プラントの外に存在しないからである。
【0008】
始動時間Tの決定は、造粒装置が、安全に且つ時間について予め設定された方法で作動状態にされることを確保する。予め設定された、始動処理の開始を表す始動時間Tは、少なくとも一つの測定信号によって設定される。前記始動時間Tから進行する、様々な時間間隔が設定可能であり、造粒装置の個々の構成要素又は機構が作動される。時間間隔ΔTは、造粒水(granulating water)が、実質的に溶融プラスチック材料と同時に、造粒装置に又は造粒装置の穿孔板へ到達することを確保する。その結果、造粒装置が安全に作動状態へ移行されることを確保する、というのも、プラスチック材料が、穿孔板のノズル開口部を塞ぐことも、造粒装置のカッティング機構又は造粒刃を妨害することも無いからである。
【0009】
請求項2に記載の方法は、カッティング機構と、当該カッティング機構の造粒刃が、穿孔板の摩擦により過熱しないことを確保する。このために、特に造粒刃が、穿孔板に対して早く動きすぎないこと、且つ、前記穿孔板上を冷却されないで回転することが必要である。
【0010】
請求項3に記載の方法は、プラスチック材料が、ノズル開口部を塞がないことを確保する。
【0011】
請求項4に記載の方法は、造粒装置の始動と、作動状態への移行を単純化する。噴霧機構は、過熱の危険性なく穿孔板と造粒刃との早期の接触を可能にするので、前記穿孔板を通るプラスチック材料の流れが開始すると、プラスチック材料粒状体が迅速にカットされる。噴霧される水量は、ここでは造粒刃が穿孔板との摩擦によって過熱しないようにするのではなく、穿孔板だけが僅かに冷却されるように選択されるので、ノズル開口部の凍結又は閉塞を防ぐ。製造されたプラスチック材料粒状体は、噴霧器によって冷却されて、カッティング又は造粒フードの入口領域内で回収され得る。
【0012】
請求項5に記載の方法は、造粒装置が容易に作動状態へ移行することを確保する。噴霧機構は、前記始動時間Tから進行する予め設定した方法で始動する。
【0013】
請求項6に記載の方法は、過熱の危険性を最小化する。
【0014】
請求項7に記載の方法は、造粒装置が安全に作動状態へ移行することを確保する。処理プラント又はスクリュー式射出成形機の現在の作動状態に応じて、時間間隔、又は、複数の時間間隔、ΔT、ΔT、及び/又は、ΔTが決定されるので、少なくとも一つの決められた搬送位置から進行するプラスチック材料が、決められた時間に造粒装置に、又は、穿孔板に実際に到着することを確保する。決められた搬送位置から造粒装置又は穿孔板までプラスチック材料が必要とする時間間隔は、特に、スクリュー式射出成形機の軸スピードと、計量装置の計量速度とに依存する。これら状態変数のうち少なくとも一つを考慮に入れることによって、始動処理を最適化することが可能となる。
【0015】
請求項8に記載の方法は、無駄の無い、信頼性のある始動を確保する。時間Tが、溶融物前面が穿孔板に到着する予想時間からずれている場合には、次に続く処理プラントの始動への始動処理の補正が、当該時間Tを用いて実行され得る。例えば、時間Tを用いることにより、始動時間T、時間間隔ΔT、時間間隔ΔT、及び/又は、時間間隔ΔTが補正可能である。
【0016】
請求項9に記載の方法は、始動時間Tを適切な方法で設定可能にする。始動処理中に、駆動装置によって与えられたトルク(回転力)が決定される。前記トルクは、例えば、駆動軸のうち一つにおいて与えられたトルクが、少なくとも一つのトルク測定機構によって測定されることで直接測定されるか、又は、処理プラントがトルクを測定するトルク測定機構を備えていない場合には、当該与えられたトルクは算出することが可能である。例えば、トルクは、消費した有効電力、又は、消費した駆動装置の電流から算出することが可能である。ここでは、与えられたトルクが定性的(質的)に決定されれば十分である。処理すべきプラスチック材料が、計量開始後にスクリュー式射出成形機に到着し、且つ、そこで溶解されて混練されると、スクリュー式射出成形機を駆動するのに必要なトルクは著しく増加する。このトルクの増加は、駆動装置によって与えられたトルクを特徴づける測定信号によって検出される。これは、例えば、トルク測定信号、有効電力測定信号、又は、電流測定信号であっても良い。前記測定信号が既定の閾値Wを超過すると、溶融プラスチック材料の溶融物前面は、スクリュー式射出成形機内の実質的に分かっている搬送位置に存在する。閾値Wの超過から、又は、関連する搬送位置から進むことで、次に始動時間Tが設定可能となって造粒装置を作動状態へ移行する処理が始動する。前記始動点Tを決定するために、前記閾値Wを測定信号自身と、又は、そこから導出された信号、例えば測定信号における時差(time change)と比較可能である。
【0017】
請求項10に記載の方法は、スクリュー式射出成形機内の溶融プラスチック材料の搬送位置の決定を容易にさせる。このために、スクリュー式射出成形機は、処理部内の特定の搬送位置での圧力をモニターする、少なくとも一つの圧力測定機構を備えている。溶融プラスチック材料の溶融物前面が各圧力測定機構に到達した時には圧力が増加するので、溶融物前面が関連した搬送位置に到達したという事実を、関連した測定信号で検出することが可能である。搬送方向に沿った溶融物前面の進行をモニターするために、複数の圧力測定機構が、前記搬送方向に沿って配置されることが好ましい。
【0018】
請求項11に記載の方法は、造粒装置を作動状態に移行する予め設定した処理を始動する、始動時間Tを容易に設定することを可能にする。測定信号が閾値Wを越えれば、これは、溶融物前面が圧力測定機構の関連した搬送位置に到達したことを意味する。前記閾値Wの超過から進行することで、始動時間Tを容易且つ安全に設定することができる。始動時間Tを設定するために、閾値Wは、測定信号自身と、又は、そこから導出された信号、例えば、測定信号における時差と比較可能である。
【0019】
請求項12に記載の方法は、安全で信頼できる始動を確保する。処理プラントが圧力測定機構を備えていれば、これは、当該処理プラントの始動処理、又は、造粒装置を作動状態に移行する処理を最適化するために用いられ得る。このために、前記のようにして、駆動装置によって与えられたトルクを特徴づける測定信号によって、又は、決められた搬送位置での圧力を特徴づける測定信号によって、始動時間Tを設定する。別の圧力測定機構が、穿孔板に近接して、好ましくは当該穿孔板の直前に配置されるので、溶融物前面が圧力測定機構に、又は、穿孔板に実際到着する時間Tは、関連する測定信号によって決定可能である。時間Tが、溶融物前面が穿孔板に到着する予想時間からずれる場合には、当該時間Tを用いて、後の処理プラント始動への始動処理の補正が実行可能である。例えば、前記Tを用いて、始動時間T、時間間隔ΔT、時間間隔ΔT、及び/又は、時間間隔ΔTを補正可能である。
【0020】
本発明は、さらに、簡単で安全な始動処理を可能にするプラスチック材料粒状体製造用処理プラントをもたらすという課題に基づいている。
【0021】
この課題は、請求項13の特徴構成を備えた処理プラントによって解決される。本発明に係る処理プラントの利点は、既に記載した本発明に係る方法の利点と同じである。前記処理プラント、又は、制御装置は、特に請求項2から12の特徴構成によって発展され得る。
【0022】
請求項14に記載の処理プラントは、プラスチック材料の少なくとも一つの搬送位置を簡単に決定することを確保する。駆動装置によって与えられたトルクの直接測定のために、少なくとも一つの測定機構は、例えば、トルク測定機構として構成されても良い。代わりに、前記少なくとも一つの測定機構は、駆動装置によって与えられたトルクが、少なくとも一つの測定信号から算出され得るように構成されても良い。このために、測定機構は、例えば、有効電力測定機構、又は、電流測定機構として構成されても良い。
【0023】
請求項15に記載の処理プラントは、簡単に、プラスチック材料の特定搬送位置の決定を確保する。関連する測定信号を用いることにより、圧力の増加が検出されると、溶融プラスチック材料の溶融物前面は、圧力測定機構と関連した搬送位置にちょうど到達したところである。前記検出された搬送位置から進行し、次に造粒装置が作動される。
【0024】
請求項16に記載の処理プラントは、簡単な始動処理を確保する。噴霧機構により、造粒刃は早く且つ過熱の危険性無く穿孔板上に動かされ得る。噴霧される水の量は、造粒刃が穿孔板との摩擦によって過熱されず、当該穿孔板が著しく冷却されることもないので、ノズル開口部の凍結又は閉塞を防ぐことを確保する。製造されたプラスチック材料粒状体は霧状噴霧によって冷却される。
【0025】
本発明の別の特徴構成、利点、及び、詳細は、次の複数の実施形態の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】二軸形スクリュー式射出成形機と造粒装置とを備えた、プラスチック材料粒状体を製造するための処理プラントの模式化した部分断面図である。
図2図1の二軸形スクリュー式射出成形機の断面を表した平面図である。
図3図1の断面線III-IIIに沿って二軸形スクリュー式射出成形機を通る断面図である。
図4】閉鎖した造粒フードを備えた造粒装置の概略図である。
図5】開放した造粒フードを備えた造粒装置の概略図である。
図6】第1実施形態に係る処理プラントの、始動処理の時間図である。
図7】第2実施形態に係る処理プラントの、始動処理の時間図である。
図8】第3実施形態に係る処理プラントの、始動処理の時間図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1実施形態を、図1から6を用いて以下に記載する。処理プラント1は、プラスチック材料2を処理するための二軸形スクリュー式射出成形機3と、当該プラスチック材料2の搬送方向5の当該スクリュー式射出成形機3下流に配置された、当該処理されたプラスチック材料2からプラスチック材料粒状体4を製造するための、造粒装置6とを備えている。
【0028】
前記二軸形スクリュー式射出成形機3は、互いに前後に配置され、ハウジング区間と呼ばれる多数のハウジング部分8、9、10、11で作られたハウジング7を備えている。ハウジング7内には、第1ハウジング内腔(ボア:bore)12と、第2ハウジング内腔13とが存在し、後者を通り抜けて、その関連軸14、15が互いに平行に進行する。前記ハウジング内腔12、13は、その断面が水平方向に8の形を有している。
【0029】
ハウジング内腔12、13内において、電気駆動装置18によって回転可能に駆動され得る軸16、17が、各関連軸14、15に対して同心円状に配置される。前記駆動装置18は、継手20によって分岐ギア21に結合された電気駆動モータ19を有している。前記分岐ギア21は、前記軸16、17に結合された二本の駆動軸22を有している。前記軸16、17は、連結して(同速度で)回転するようにして、換言すると、軸14、15の周りを同じ回転方向に駆動される。軸14、15は、したがって、以下で回転軸とも呼ばれる。
【0030】
分岐ギア21に隣接する第1ハウジング部分8上には、漏斗の形をした材料送り装置23が配置され、処理すべきプラスチック材料2が、そこを通って計量装置24によってハウジング内腔12、13に送られ得る。プラスチック材料2は、第1ハウジング部分8から最後のハウジング部分11までハウジング7を通る搬送方向5へ搬送される。スクリュー式射出成形装置3は、搬送方向5に互いに前後に、送込み区間25、溶融区間26、混合区間27、及び、排出区間28を有している。継ぎ合わせ軸として構成された軸16、17上には、搬送方向5に互いに前後に、夫々互いに対として関連付けられた、第1スクリュー要素29、30、第1混練要素31、32、第2混練要素33、34、及び、第2スクリュー要素35、36が、夫々処理要素として配置されている。スクリュー要素29、30、35、36と混練要素31、32、33、34の両方が、互いに係合している、換言すると緻密にかみ合っている。
【0031】
造粒装置6は水中造粒装置として構成される。前記造粒装置6は、ハウジング7の端部に固定された造粒ヘッドハウジング37を有している。前記造粒ヘッドハウジング37内には、少なくとも一つの溝38が形成され、それを通って溶融され且つ造粒されるべきプラスチック材料2が穿孔板39へ送られ、当該穿孔板は、ハウジング7から離れた造粒ヘッドハウジング37の側に取り付けられる。前記造粒ヘッドハウジング37には、造粒フード41の第1造粒部分フード40も取り付けられている。よって、前記造粒ヘッドハウジング37は、穿孔板39及び第1造粒部分フード40用キャリヤとして用いられる。前記穿孔板39は、詳細に表示していないが多数のノズル開口部を有している。
【0032】
造粒水用送りライン42は、造粒部分フード40の下部領域において当該造粒部分フードに通じている。造粒フード41に導入された造粒水は、造粒部分フード40の上部領域において外に通じている排出ライン43によって再度排出される。造粒水流は、送りライン42内に配置された弁44によって制御される。前記弁44は、図4及び5中に概略的に示されているに過ぎない。排出ライン43は、搬送方向5について穿孔板39後方の造粒部分フード40の外に通じている。造粒水を排出させるために出口弁46が設置された出口管45が、造粒部分フード40内への送りライン42の開口領域において後者から分岐する。スクリュー式射出成形機3、関連した駆動装置18、及び、造粒装置6の今まで記載した部分は、基材上に静止配置され、且つ、支持体47によって固定される。
【0033】
造粒装置6のうち、まだ記載していない部分が、駆動モータ50によって長手方向49にレール51上を動くことのできる台車48上に配置される。前記台車48上には、刃軸ベアリング55内に回転可能に装着された刃軸54を、継手53によって駆動する造粒駆動モータ52が配置される。穿孔板39に面する刃軸54の端部に回転不能に取り付けられているのは刃ホルダとして用いられる刃ヘッド56であり、放射状に外側に突出している造粒刃57が、前記穿孔板39に面する当該測定ヘッドの側に交換可能に固定される。
【0034】
穿孔板39に面する刃軸ベアリング55の側に固定されるのは、第2造粒部分フード58であり、前記第1造粒部分フード40と共に、前記造粒フード41を形成する。造粒部分フード40、58は、造粒装置6を統合する際に互いに密着して支えあう接触面59に相互に適合される。これを図4中に示す。造粒部分フード40、58は、統合された状態でロック機構60によって固定され得る。
【0035】
造粒駆動モータ52と、継手53と、刃軸ベアリング55を備えた刃軸54と、ならびに、測定ヘッド56(measuring head)であって当該測定ヘッド上に固定された造粒刃57を備えた測定ヘッド56とでカッティング機構61を形成し、穿孔板39を通って圧縮されたプラスチック材料鎖(綱、ひも:strand)を切断してプラスチック材料粒状体4を生成する。
【0036】
造粒装置6を作動状態に移行するために、後者は多数の噴霧ノズル63を備えた噴霧機構62を有している。噴霧ノズル63は、刃軸ベアリング55上の、カッティング機構61の回転軸64の周りに分散して、且つ、造粒刃57の方向に配向して配置される。噴霧ノズル63には、供給ライン65によって噴霧水が供給される。噴霧水の供給を制御するために用いられる弁66が、前記供給ライン65内に配置される。
【0037】
処理プラント1を制御するために、当該プラントは制御装置67を備えており、制御用に、造粒装置6と、駆動装置18と、及び、計量装置24と信号接続を有する。前記制御装置67は、特に駆動モータ19、50と、造粒駆動モータ52と、及び、弁44、66とを制御する。
【0038】
処理プラント1の始動処理と作動を制御するために様々な測定センサが設けられ、制御装置67と信号接続を有して、処理プラント1を制御するために様々な測定信号を供給する。駆動装置18は、駆動装置18によって消費される有効電力Pを測定するために用いられる有効電力測定機構68を備える。また、処理プラント1は、駆動装置18とスクリュー式射出成形機3との間に配置された、トルク測定機構69とスピード測定機構70とを備えている。トルク測定機構69は、駆動軸22のトルクMを測定するのに用いられ、スピード測定機構70は、駆動軸22の、又は、軸16、17の軸スピードNを測定するのに用いられる。さらに、二つの圧力測定機構71、72が、ハウジング部分10及び11領域内のハウジング内腔12、13の一つに導入される。圧力測定機構71、72は、スクリュー式射出成形機3の処理部分内の、運搬位置P又はPでの圧力pを測定する。圧力測定機構71、72は、例えば圧力スイッチとして構成される。
【0039】
第1実施形態に係る始動処理を、図6を用いて以下に記載する。処理プラント1は空の状態である。このことは、スクリュー式射出成形機3内にプラスチック材料2が存在しないことを意味する。スクリュー式射出成形機3を最初に始動する。このために、軸16、17を、時間Tから、駆動装置18によって同一方向に回転駆動する。軸スピードNがスピード測定機構70によって測定され、関連した測定信号が制御装置67に送信される。前記軸スピードNに対応する測定信号が、図6中にNと表示されている。
【0040】
次に、処理すべきプラスチック材料2が計量装置24によって供給される。このために、処理すべきプラスチック材料2を調整可能な計量速度、dm/dtで、材料送り装置23を介してスクリュー式射出成形機3に供給する、計量装置24が、時間Tに始動される。前記計量速度は、図6中にdm/dtと表示されている。
【0041】
供給されたプラスチック材料2は、それから送込み区間25を通って溶融区間26に運ばれて、そこで溶融される。溶融区間26内で溶融されたプラスチック材料2は次に、プラスチック材料2の徹底的な混合と均質化を行う混合区間27に到着する。プラスチック材料2の溶融物前面が運搬位置Pに到達すると、前記運搬位置Pにおいてハウジング内腔12、13の圧力pは増加し、これは圧力測定機構71によって測定され得る。圧力測定機構71に属する測定信号は、図6中にp(P)と表示されている。測定信号p(P)は、制御装置67内で評価され、閾値W(P)と比較される。測定信号についてp(P)≧W(P)が当てはまる場合には、これは、溶融物前面が運搬位置Pに到達したことを意味する。関連した時間は、制御装置67によって始動時間Tとして設定され、そこから予め定めた処理が開始して、造粒装置6を作動状態に移行させる。
【0042】
前記始動時間Tから進行して、噴霧機構62、又は、噴霧機構62の弁66が最初に、時間間隔ΔTで作動され、それにより噴霧ノズル63は造粒フード41内に霧状噴霧を生成する。また、始動時間Tから時間間隔ΔTで進行して、造粒装置6のカッティング機構61が作動されて、穿孔板39に対して置かれている造粒刃57が造粒駆動モータ52によって回転軸64の周りを回転駆動される。ΔT>ΔTが適用されるのが好ましい。回転式造粒刃57は、穿孔板39との摩擦によって過熱しない程度まで、生成された霧状噴霧によって冷却される。熱い(加熱)プラスチック材料2が穿孔板39に到達すると、プラスチック材料鎖が通常のとおりに穿孔板39の後ろに生成され、造粒刃57によって切断されてプラスチック材料粒状体4を作り出す。穿孔板39が霧状噴霧によって僅かだけ冷却されるので、穿孔板39のノズル開口部は閉塞しない。プラスチック材料粒状体4は霧状噴霧で冷却されて、造粒フード41の送込み領域内に集まる。始動時間Tから時間間隔ΔTで進行して、弁44が作動されて、造粒水が送りライン42を送り方向73に通って造粒フード41へ導入される。そこではΔT>ΔTが適用されるのが好ましい。造粒水は、造粒フード41内で上向きに偏向されて、始動処理、及び、造粒刃57によって穿孔板39上に生成したプラスチック材料粒状体4のせいで入口領域内にあるプラスチック材料粒状体4を運ぶ。前記粒状体/水の混合物は、次に排出方向74に排出ライン43を通って排出される。
【0043】
各時間間隔ΔT、ΔT、及び/又は、ΔTが制御装置67において予め決定され、軸スピードN、及び/又は、計量速度dm/dtに応じて始動時間Tの前に計算されることが好ましい。前記計算は、各時間間隔ΔT、ΔT、ΔTが小さくなればなるほど、軸スピードNがより大きくなる、及び/又は、計量速度dm/dtがより大きくなるように、質的(定性的)に実行する。
【0044】
プラスチック材料2の溶融物前面が運搬位置Pに到達したときに、当該運搬位置Pにでのハウジング内腔12、13内の圧力p(P)は増加する。圧力測定機構72に属する測定信号は図6中にp(P)と表示している。測定信号p(P)が制御装置67に送られ、閾値W(P)と比較される。測定信号に対し、そこでp(P)≧W(P)が当てはまる場合、これは、プラスチック材料2の溶融物前面が運搬位置Pに到達したことを意味する。制御装置67は、関連した時間をTと定め、始動時間Tから時間Tまでの関連した時間間隔ΔTを決定する。
【0045】
各時間間隔ΔT、ΔT、及び、ΔTが、溶融物前面の推定進行スピードに基づいており、前記推定進行スピードが実際の進行スピードとずれることもあり得るので、後の始動処理は、時間Tによって、又は、時間間隔ΔTによって最適化することが可能であり、各時間間隔ΔT、ΔT、及び/又は、ΔTがT又はΔTに応じて適合されて始動処理を最適化する。
【0046】
図7を用いて本発明の第2実施形態を以下に記載する。第1の実施形態とは対照的に、処理プラント1は運搬位置Pにのみ圧力測定機構72を備えており、運搬位置Pには圧力測定機構を備えていない。したがって、運搬位置Pはもはや直接測定することはできず、始動処理中に推定しなければならない。このために、トルク測定機構69の測定信号が制御装置67において評価される。トルク測定機構69に属する測定信号は、図7中にMで表示している。供給されたプラスチック材料2が溶融区間26内で溶融され、混合区間27内で均質化される際に、スピードNを維持するのに必要なトルクMは著しく増加する。トルクMのこの増加は、測定信号Mによって検出され、当該測定信号Mは閾値Wと比較される。そこで測定信号にM≧Wが当てはまる場合、これは、制御装置67によって溶融物前面が運搬位置Pに到達したと解釈される。制御装置67は、既に記載したように、各時間間隔ΔT、ΔT、及び、ΔTが実行し始める始動点Tを定める。運搬位置Pの到達がトルクMのみを用いて推定できるので、時間T、又は、時間ΔTによる作動変数T、ΔT、ΔT、及び/又は、ΔTの補正は非常に重要となる。一つの圧力測定機構72のみが必要となるので、処理プラント1は単純で信頼性の高い構造を有する。処理プラント1の別の構造、及び、別の機能様式については、第1の実施形態を参照されたい。
【0047】
図8を用いて本発明の第3実施形態を以下に記載する。第1の実施形態とは対照的に、処理プラント1は運搬位置Pにのみ圧力測定機構72を備えており、運搬位置Pには圧力測定機構を備えていない。その上、処理プラント1は、駆動装置18によって与えられるトルクMを直接測定するためのトルク測定機構を備えていない。運搬位置Pの到達は、駆動装置18によって消費された有効電力Pによって決定される。駆動装置18の始動後の回転スピードNは概ね一定なので、消費された有効電力Pは、駆動装置18によって与えられたトルクMに質的に相当する。消費された有効電力Pは有効電力測定機構68によって測定されて、関連する測定信号が制御装置67に送られる。有効電力測定機構68に属する測定信号は、図8中にPと表示している。測定信号Pは、制御装置67によって評価され、閾値Wと比較される。そこで測定信号に対しP≧Wが当てはまる場合には、これは、制御装置67によって溶融物前面が運搬位置Pに到達したと解釈される。制御装置67は、既に記載したようにして始動時間Tを定める。始動時間Tから進行して、造粒装置6は記載したようにして作動状態に移行される。トルク測定機構69が必要でないので、処理プラント1は単純な構造を有する。処理プラント1の別の構造、及び、別の機能様式については、先の実施形態を参照されたい。
【0048】
本発明に係る処理プラント1、及び、本発明に係る方法により、簡単で安全な始動が可能となる。前記始動は、始動弁の必要なく、又は、既に存在している始動弁を用いることなく直接的に実行する。前記始動は、本発明に係る処理プラント1及び本発明に係る方法における処理プラント1の測定信号の解析によって専ら制御されるので、計量の開始後に、穿孔板39方向へのプラスチック材料2の流量が決定され得る、このことは、穿孔板39を通るプラスチック材料2の流量と、前記穿孔板39上での造粒刃57の接触ならびに回転と、カッティング又は造粒フード41への造粒水の送りとが、所望の時系列で行われることを意味する。このことは、始動弁の機能が不要であり、それゆえにこれが省略可能となることを約束する。
【0049】
制御装置67において予め定められた時間間隔ΔT、ΔT、及び、ΔTが、処理すべきプラスチック材料2ならびに配合に応じて定められることが好ましい。圧力測定機構72により、処理プラント1又は造粒装置6の始動が、プラスチック材料2ならびに配合に応じて継続的に改善され得るので、後の最適化された始動処理中には、プラスチック材料粒状体廃棄物の発生が減る。圧力測定機構72ができるだけ穿孔板39の近くに配置されるのが好ましい。これは、例えば図1中に示すように、溝38のうち一つの圧力を測定するために、最後のハウジング部分11の端部に、又は、穿孔板39直前の造粒ヘッドハウジング37内に存在してもよい。溶融プラスチック材料2が粘稠であればあるほど、溶融物前面の局在化がいっそう容易にできるので、必要に応じて混合される例えば過酸化物のような粘度低下材料が、造粒装置6の順調な始動の後、最初に追加される。
【0050】
本発明に係る方法は、圧力を増すためにスクリュー式射出成形機3の下流に配置された溶融物ポンプを使用する際にも適用可能である、というのも、この溶融物ポンプの時間制御された始動処理によって、造粒装置6前の溶融物前面の滞留時間だけが、特定の期間だけ延長され、この期間は、前記造粒装置6が作動状態に移行された時に付加的に考慮に入れることができるからです。本発明に係る方法は、水中造粒装置内で切断可能な全てのポリマー、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエンゴム、又は、類似のスチレンポリマー類、又は、ブタジエンコポリマー類に対して用いることができる。
【0051】
原則的に、溶融物前面の時間経過が、スクリュー式射出成形機3の処理部分、必要に応じて存在する溶融物ポンプ、及び/又は、選別装置に沿って、及び、穿孔板39直前の造粒ヘッドハウジング37内に設置された、あらゆる数の圧力測定機構によってモニタできる。後の始動処理は、作動変数の補正によって自動的に最適化され、例えば、篩の変更、穿孔板の変更、又は、処理要素の消耗によって生じ得る状態変更に適合させることが可能となる。
【0052】
本発明に係る方法は、噴霧機構無しで造粒装置6に用いることもできる。穿孔板39内のノズル開口部の凍結又は閉塞を防止するために、予め定められた作動処理によって、造粒水が造粒フード41へ入る前に穿孔板39を通る最小のプラスチック材料2の流れが既に生じていることを確保しなければならない。したがって、プラスチック材料2が穿孔板39に到達すれば、所望の時間範囲内に造粒水が造粒フード41に入るように、時間間隔ΔTを選択しなければならない。始動処理は噴霧機構62によって単純化可能であり、且つ、造粒刃57上のプラスチック材料凝集物の形成が確実に防止できる。噴霧機構62は、穿孔板39と造粒刃57との早期の接触を可能にし、且つ、プラスチック材料2の流れが開始すると、プラスチック材料粒状体4が迅速に切断されて、霧状噴霧内で冷却されることを保証する。噴霧される水の量は、ここでは、造粒刃57が穿孔板39との摩擦によって過熱されないように、しかしノズル開口部の凍結を防ぐために当該穿孔板39を著しく冷却しないように選択される。造粒刃57を穿孔板39表面に載るまで当該穿孔板39方向に動かす駆動モータ50が、噴霧機構62の作動と共に作動される。噴霧機構62又はカッティング機構61の作動は、穿孔板39に溶融物前面が到着する数秒前に実行するべきである。低粘性ポリマー溶融物の場合には、必要に応じて、噴霧機構62を駆動装置18の始動によって前もって作動することができる。
【0053】
製造物の変更がある時には、新たな始動のために先ず処理プラント1を空にしなければならない。
【0054】
本発明に係る方法は、あらゆるスクリュー式射出成形機において、例えば、同一方向に回転し、緻密にかみ合った、多軸形押出し機、又は、二軸形押出し機、単軸形押出し機、又は、連続ミキサにおいて用いることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8