特許第6116330号(P6116330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116330
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】車両のシート装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 3/06 20060101AFI20170410BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20170410BHJP
   B60N 2/12 20060101ALI20170410BHJP
   B60N 2/08 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   A61G3/06 705
   B60N2/14
   B60N2/12
   B60N2/08
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-85194(P2013-85194)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-204906(P2014-204906A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
(72)【発明者】
【氏名】大和 誠歩
【審査官】 城臺 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−052695(JP,A)
【文献】 実開平07−005890(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0185229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
B60N 2/04−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内部材上に回転可能に配設されるベース部材と、該ベース部材上にスライド可能に搭載され、シート本体が固定されるスライド部材と、該スライド部材を昇降させるスライド駆動機構とを備えた車両のシート装置において、
前記スライド駆動機構を、駆動モータと、該駆動モータに連結されたピニオンギヤと、該ピニオンギヤが噛合するラックギヤとを備えたものとするとともに、
前記スライド部材の、下降方向には回転抵抗を発生し、上昇方向には回転抵抗を発生しない一方向ブレーキ機構を前記ラックギヤに噛合させた
ことを特徴とする車両のシート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体を車両のドア開口から車室外の着座し易い高さ位置までスライド昇降可能とした福祉車両等に採用されるシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート本体を車両のドア開口から車室外の着座し易い高さ位置までスライド機構により昇降駆動可能としたシート装置として、従来、例えば特許文献1あるいは特許文献2に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1のシート装置は、アーム取付フレームガイドレールに沿って前後に昇降移動するアーム取付フレームと、該アーム取付フレームに支架された駆動アームと、リンクアームの先端に軸支されるシートスライドレール取付フレームと、これに支架されるスライドシートフレームとから構成されている。
【0004】
また特許文献2のシート装置では、車室内側のベース部材上に下段スライド部材をスライド可能に搭載し、該下段スライド部材上に上段スライド部材をスライド可能に搭載し、該下段スライド部材,上段スライド部材を、駆動モータとラック・ピニオン機構とからなるスライド駆動機構により昇降駆動するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−212604号公報
【特許文献2】特開2013−52695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1のシート装置では、シート上昇時に、リンクアームによりシートは略垂直上方に上昇するため、駆動モータは大きな出力が必要となり、モータの大型化によるモータのコストアップやモータ駆動部の厚みが大きくなり、シート本体が高くなる問題がある。また昇降中でのモータ停止時のシートの落下防止のためのブレーキ機構を別個に設ける必要があり、ブレーキ機構の如何によっては更にコストアップとなる懸念がある。
【0007】
一方、特許文献2のシート装置では、シートが傾斜スライドにより上昇するため駆動モータの出力が小さくて済み、モータの小型化によるコスト低減や、ラック・ピニオン機構を用いることにより駆動部の厚みが抑えられシート本体を下げることができる。しかし昇降途中でのモータ停止時のシートの落下防止のためのブレーキ機構を別個に設ける必要があり、ブレーキ構造の如何によっては高コストとなる懸念がある。
【0008】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、簡単な構造のブレーキ機構を設けることでコスト上昇を抑制できる車両のシート装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車室内部材上に回転可能に配設されるベース部材と、該ベース部材上にスライド可能に搭載され、シート本体が固定されるスライド部材と、該スライド部材を昇降させるスライド駆動機構とを備えた車両のシート装置において、前記スライド駆動機構を、駆動モータと、該駆動モータに連結されたピニオンギヤと、該ピニオンギヤが噛合するラックギヤとを備えたものとするとともに、前記スライド部材の、下降方向には回転抵抗を発生し、上昇方向には回転抵抗を発生しない一方向ブレーキ機構を前記ラックギヤに噛合させたことを特徴としている。
【0010】
なお、本発明において、上昇方向には回転抵抗を発生しない、とは回転抵抗がゼロとの意味ではなく、回転抵抗が無視できる程度に小さいとの意味である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両のシート装置によれば、スライド部材の下降方向の回転については大きな回転抵抗を発生する一方向ブレーキ機構をラックギヤに噛合させたので、構造が簡単で低コストのブレーキ機構を構成できる。
【0012】
また、ラック&ピニオンギヤ機構のピニオンギヤを一方向ブレーキ機構のギヤに兼用することも可能であり、このようにすればより一層低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る車両のシート装置の、シート本体が最下降位置にある時の側面図である。
図2】前記シート装置の、下段スライド部材の下降スライド開始時の平面斜視図である。
図3】前記シート装置の、下段スライド部材の上昇スライド開始時の平面斜視図である。
図4】前記シート装置の、上段スライド部材の下降スライド開始時の底面斜視図である。
図5】前記シート装置の、上段スライド部材の上昇スライド開始時の底面斜視図である。
図6】前記シート装置の断面背面図である。
図7】前記シート装置のベース部材の平面斜視図である。
図8】前記シート装置の下段スライド部材の平面斜視図である。
図9】前記シート装置の上段スライド部材のスライド枠部の平面斜視図である。
図10】前記上段スライド部材のローラユニットの平面斜視図である。
図11】前記シート装置における下段駆動機構の模式平面図である。
図12】前記下段駆動機構の模式側面図である。
図13】前記下段駆動機構の一方向ブレーキ機構の断面模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1ないし図13は本発明の実施例1に係る車両のシート装置を説明するための図であり、本実施例において、前,後,左,右とはシート装置に着座して車両前方を見た状態での前,後,左,右を意味している。
【0016】
本実施例1に係るシート装置1は、車両の車室内に配設された前後スライド部材(車室内部材)6上に回転可能に配設されたベース部材2と、該ベース部材2上にスライド可能に搭載された下段スライド部材3と、該下段スライド部材3上にスライド可能に搭載され、シート本体Sが固定される上段スライド部材4と、前記下段スライド部材3を進退駆動する下段駆動機構13と、前記上段スライド部材4を進退駆動する上段駆動機構14とを備えている。
【0017】
前記前後スライド部材6は、前記車室のフロア5上に固定された左,右シートレール6a,6aにより車両前後方向(図1紙面垂直方向)に移動可能に配設されている。また前記ベース部材2は、前記前後スライド部材6に植設された回動軸7を中心に、車両前向きの車両走行時位置と車両外横向きのスライド昇降時位置との間で回動可能となっている。
【0018】
前記ベース部材2は、ベース2aと、該ベース板2aの両側縁及び後縁に立設された側板2b,2b及び後板2cとを有し、側面視で上縁が前下がりの傾斜をなしている。前記シート本体Sはこの傾斜角度に応じた角度でもって昇降することとなる。
【0019】
また前記側板2b,2bの上縁には横断面内向きコ字形状の第1ガイドレール2d,2dが形成され、該第1ガイドレール2d,2dは前記傾斜に沿って前方に突出するように延びている。また、前記第1ガイドレーム2d,2dの前端部2d′,2d′の内面には第1ガイドローラ2e,2eが回転自在に取り付けられている。
【0020】
前記下段スライド部材3は、横断面コ字形状の内,外ガイドレール3a,3bを互いに背中合わせに固定してなる第2ガイドレール3c,3c同士を前,後の連結部材3d,3dで結合してなる矩形枠状をなしている。前記外ガイドレール3b,3bの、後端部3b′,3b′には第2ガイドローラ3e,3eが回転自在に取り付けられており、また前端部3b′′,3b′′には第3ガイドローラ3f,3fが回転自在に、かつ前記第2ガイドローラ3eよりも幅方向に突出するように取り付けられている。
【0021】
前記下段スライド部材3の第2ガイドレール3c,3cは、前記ベース部材2の第1ガイドレール2d,2dの内側に挿入され、前記外ガイドレール3b,3bは前記第1ガイドローラ2e,2eによりスライド可能に支持され、かつ前記第2ガイドローラ3e,3eは前記第1ガイドレール2d,2d内を転動する。これにより前記下段スライド部材3は前記ベース部材2によりスライド可能に支持されている。
【0022】
前記上段スライド部材4は、スライド枠部4aと、ローラユニット4bとを有する。前記スライド枠部4aは、前記シート本体Sが固定されるシート支持部4cと、該シート支持部4cの下面に固定された第3ガイドレール4d,4dを有する。該第3ガイドレール4d,4dは横断面内向きコ字形状をなしており、後端部,中途部が連結部材4jで連結され、前方に突出するように延びている。
前記ローラユニット4bは、支持プレート4eの幅方向両縁に下方に折り曲げ形成されたフランジ部4fに第4ガイドローラ4g,4g及び第5ガイドローラ4h,4hを回転自在に取り付けたものであり、ブラケット4iを介して前記スライド枠部4aの下面に固定されている。
【0023】
前記第3ガイドレール4d,4dは前記下段スライド部材3の第3ガイドローラ3f,3fでスライド可能に支持され、また前記第4ガイドローラ4g,4g及び第5ガイドローラ4h,4hは前記下段スライド部材3の内ガイドレール3a,3a内を転動する。これにより前記上段スライド部材4は前記下段スライド部材3によりスライド可能に支持されている。
【0024】
また前記下段スライド部材3を進退駆動する下段駆動機構13は、下段駆動モータ15と、該下段駆動モータ15の出力軸15aに連結され、該出力軸15aの回転を減速する下段駆動ギヤ群16と、該ギヤ群16の出力ギヤであるピニオンギヤ16aに噛合する下段ラックギヤ17とを有する。前記下段駆動ギヤ群16は、前記出力軸15aに固定された駆動ギヤ16bと、該駆動ギヤ16bに噛合し、前記ピニオンギヤ16aの回転軸16cに固定された減速大ギヤ16dとを有する。
【0025】
そして前記下段駆動モータ15は、前記ベース部材2上に固定されている。また前記下段ラックギヤ17は、前記下段スライド部材3に、これのスライド方向に向けて、かつ前,後の連結部材3d,3dに架け渡して固定されている。
【0026】
また前記上段スライド部材4を進退駆動する上段駆動機構14は、上段駆動モータ18と、該上段駆動モータ18の出力軸に連結され、該出力軸の回転を減速する上段駆動ギヤ群19と、該ギヤ群19の出力ギヤであるピニオンギヤ19aに噛合する上段ラックギヤ20とを有する。前記上段駆動ギヤ群19は、前記出力軸に固定された駆動ギヤ19bと、該駆動ギヤ19bに噛合し、前記ピニオンギヤ19aの回転軸19cに固定された減速大ギヤ19dとを有する。
【0027】
前記上段駆動モータ18は、前記上段スライド部材4の支持プレート4eに固定されている。また前記上段ラックギヤ20は、前記下段スライド部材3に、これのスライド方向に向けて、即ち前記下段ラックギヤ17と並列に、かつ前,後の連結部材3d,3dに架け渡して配置固定されている。
【0028】
ここで前記ピニオンギヤ16a,19aは、前記スライド部材3,4の下降方向への回転時には大きな回転抵抗を発生し、上昇方向への回転時には回転抵抗を発生しない、より正確には無視できる程度の回転抵抗のみを発生する一方向ブレーキ機構21のギヤに兼用されている。
【0029】
前記一方向ブレーキ機構21は、前記回転軸16c又は19cが挿通される挿通孔21fを有するケーシング21a内に、複数の円柱状のピン21bと、該ピン21bの回転を許容する回転許容面21cと、回転を阻止する回転阻止面21dとからなる複数のカム機構21eを所定角度間隔毎に内臓した構造のものである。そして前記ケーシング21aのフランジ部21gは、前記ベース部材2に固定されたブラケット2f又は前記上段スライド部材4にボルト締め固定されている。この一方向ブレーキ機構21は前記挿通孔21fに挿通された前記回転軸16c又は19cの矢印b方向の回転時には大きな回転抵抗を発生し、矢印a方向の回転時には回転抵抗を発生しない。
【0030】
ここで前記一方向ブレーキ機構21による下降方向における回転抵抗は、下段駆動機構13及び上段駆動機構14による駆動力より小さく設定されており、従って前記駆動機構13,14は、下段スライド部材3,上段スライド部材4を支障無く下降方向にスライド駆動可能となっている。
【0031】
一方、前記一方向ブレーキ機構21の下降方向における回転抵抗は、前記シート装置1の自重の下降方向の分力による駆動力より大きい値に、あるいは少し小さい値に設定されている。
【0032】
本実施例のシート装置1においては、シート本体Sを車室内と車室外の着座し易い高さ位置との間でスライド下降及びスライド上昇させることができる。スライド下降させる場合は、ドアを開くとともに、本シート装置1全体に車幅方向外側を向くよう力を加える。するとベース部材2が前後スライド部材6上において回動軸7を中心に回動し、シート装置1全体が車幅方向外側を向く。
【0033】
この状態で、図示しない操作パネルあるいはリモコンのスライド下降スイッチをオンにすると、下段駆動モータ15が起動して下段のピニオンギヤ16aを回転駆動する。これにより下段ラックギヤ17、ひいては下段スライド部材3が下降方向にスライド移動する。
【0034】
このときベース部材2の第1ガイドローラ2eが下段スライド部材3の外ガイドレール3bをガイド支持するとともに、該下段スライド部材3の第2ガイドローラ3eがベース部材2の第1ガイドレール2d内を転動することにより、下段スライド部材3はスムーズにスライド移動する。
【0035】
そして前記下段スライド部材3が前進端までスライド移動すると、続いて上段駆動モータ18が起動して上段のピニオンギヤ19aを回転駆動する。これにより上段スライド部材4が下降方向にスライド移動し、シート本体Sが着座し易い高さ位置に移動することとなる。このとき、下段スライド部材3の第3ガイドローラ3fが上段スライド部材4の第3ガイドレール4dをガイド支持するとともに、上段スライド部材4の第4,第5ガイドローラ4g,4hが下段スライド部材3の内ガイドレール3a内を転動することにより、上段スライド部材4はスムーズにスライド移動する。
【0036】
ここで、前記下段スライド部材3,上段スライド部材4の、下降方向へのスライド移動に対しては、前記一方向ブレーキ機構21が回転抵抗を発生するが、前記下段駆動機構13,上段駆動機構14による下降方向への駆動力が前記回転抵抗より大きいので、シート本体Sを支障無く着座し易い高さ位置までスライドさせることができる。
【0037】
一方、何らかの理由により駆動モータ15,18への電源供給がオフされた場合、シート本体Sを含む下段,上段スライド部材3,4の自重の下降方向分力による駆動力より前記一方向ブレーキ機構21による回転抵抗が大きいので、シート本体Sが自重により下降するのを防止できる。また、回転抵抗が自重による駆動力より少し小さい場合はシート本体Sの下降速度を低くできる。
【0038】
なお、前記シート本体Sを車室内に戻す場合は、上述のスライド下降と逆のスライド上昇動作を行うことは言うまでもない。この場合、前記一方向ブレーキ機構21は回転抵抗を発生しないので、前記駆動モータ15,18の駆動力によりシート本体Sを支障なく車室内にスライド上昇させることができる。
【0039】
また、本実施例では、ベース部材2に下段駆動モータ15を固定すると共に、該下段駆動モータ15の出力軸に連結された下段ピニオンギヤ16aを前記下段スライド部材3に固定された下段ラックギヤ17に噛合させたので、下段駆動モータ15が下段スライド部材3と共に移動することなく下段スライド部材3をスライドさせることとなる。従って前記下段駆動モータ15が周辺部材と干渉するのを回避するために該周辺部材との隙間を大きく確保するといった必要はなく、下段駆動モータが下段スライド部材と共に移動する場合に比較してスライド機構全体の高さ寸法を低くでき、その結果シート本体Sの配置高さを低くできる。
【0040】
また、下段スライド部材3に、下段ラックギヤ17及び上段ラックギヤ20を下段スライド部材3の前,後の連結部材3d,3dに架け渡して配置固定したので、該下段スライド部材3の剛性を高めることができ、この点からもシート本体Sを安定してスライドさせることができる。
【0041】
さらにまた、本実施例では、下段スライド部材3,上段スライド部材4を、減速ギヤ群16,19とラック・ピニオン機構との組み合わせによりスライドさせるようにしたので、大きな減速比を容易に確保でき、それだけ出力の小さい駆動モータを採用でき、コスト低減,配置スペースの容易確保を図ることができる。
【0042】
ここで、図4図5に示すように、下段スライド部材3と上段スライド部材4との間にリターンばね22を介在させても良い。このリターンばね22の一端22aは下段スライド部材3の後端の連結部材3dに係止され、他端22bは上段スライド部材4の中途部の連結部材4kに係止されている。
【0043】
前記リターンばね22を設けた場合は、上段スライド部材4及びシート本体Sの自重による上段スライド部材4の下降方向の力をばね力の分だけ削減でき、従って上段駆動モータ18に必要な出力を軽減でき、モータの小型化を図ることができる。
【0044】
なお、前記下段スライド部材3と前記ベース部材2との間にリターンばねを介在させることもできる。このようにした場合は、下段駆動モータ15を小型化できる。
【0045】
また、前記実施例では、ピニオンギヤが一方向ブレーキ機構のギヤに兼用されている場合を説明したが、図7図11に二点鎖線で示すように、本発明の一方向ブレーキ機構21′は、ピニオンギヤと別個のギヤ23を備えたものとしても良い。この場合は、ギヤ23をラックギヤ17に噛合させるとともに、フランジ部21g′をベース部材2側に固定することとなる。なお、上段駆動機構4についても同様であり、一方向ブレーキ機構を、ピニンンギヤ19aと別個のギヤを備えたものとし、該ギヤをラックギヤ20に噛合させるとともに、そのフランジ部を上段スライド部材側に固定することとなる。
【0046】
また前記実施例では、スライド機構が、下段スライド部材と上段スライド部材との二段構造となっている場合を説明したが、本発明は、スライド機構が一段の場合、あるいは3段以上の場合の何れにも適用可能である。
【0047】
また前記実施例では、一方向ブレーキ機構が、円柱状のピンと回転許容面及び回転阻止面とからなる場合を説明したが、本発明の一方向ブレーキ機構は、前記タイプに限定されるものではなく、要は下降時に大きな抵抗を発生し、上昇時には抵抗を発生しない構造であれば良い。
【符号の説明】
【0048】
1 シート装置
2 ベース部材
3,4 下段,上段スライド部材
6 前後スライド部材(車室内部材)
13,14 下段,上段スライド駆動機構
15,18 下段,上段駆動モータ
16a,19a 下段,上段ピニオンギヤ
17,20 下段,上段ラックギヤ
21 一方向ブレーキ機構
S シート本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13