(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116422
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】バッテリホルダ
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
H01M2/10 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-149534(P2013-149534)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-22876(P2015-22876A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
【審査官】
藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3166805(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを着脱可能とするバッテリホルダにおいて、
前面および底面が開放された箱部材と、
前記箱部材の前面に設けられ、前記バッテリを当該箱部材内に斜めに挿入可能とするよう傾斜して配置された傾斜面と、
前記傾斜面に設けられ、前記バッテリが前記箱部材内に斜めに挿入されて起こされた際に、当該バッテリの重心位置よりも前方側で当該バッテリの底面前方が嵌まり込むスリットと
を備えたことを特徴とするバッテリホルダ。
【請求項2】
前記バッテリはケーブルを有し、
前記箱部材に設けられ、当該箱部材の上面と前記傾斜面との隙間を調整するよう移動または着脱することで前記バッテリの着脱を制限/許容し、当該バッテリが当該箱部材内に収納された状態において前記ケーブルを保持するケーブル保持部
を備えたことを特徴とする請求項1記載のバッテリホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッテリを着脱可能とするバッテリホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置本体に装着され、バッテリを着脱可能に固定するバッテリホルダは、例えば
図5に示すように、板金にバッテリの断面形状に合わせた穴101を開け、バッテリを横方向に支持する面102と、底面を支える面103の2面で保持するよう構成されている。
【0003】
また、底部に舌片状に設けられ、基端が一側の側部の底部との連設部に連設され、先端が自由端とされて起立可能とされ、側部の拡開に応じてバッテリを押し出す押し出し板と、両端部の開口縁部に設けられた操作部と、側部または底部の両端に設けられバッテリの両端を係止する押さえ板とを備えたバッテリホルダも知られている(例えば特許文献1参照)。
また、回転して筐体より取り外されるベースプレートと、ベースプレートに設けられ、コイン型バッテリが取り付けられるホルダ本体と、ホルダ本体に設けられ、コイン型バッテリのリード取り出し部分に設けられた絶縁被覆部を利用してコイン型バッテリをベースプレートに所定角度をなして固定するバッテリー保持爪とを備えたバッテリホルダも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−217538号公報
【特許文献2】特開2008−84744号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、
図5に示す構成では、バッテリの着脱がし難いという課題があった。また、バッテリホルダの形状的に十分な強度を確保できず、曲げによる変形を注意しながら加工する必要があり歩留まりがよくないという課題があった。
また、特許文献1に開示された構成では、バッテリを弾性力で押える構成のため、バッテリ形状に合わせた形状である必要がある。そのため、特殊な加工や金型が必要となり、コストがかかるという課題があった。また、曲げによる変形に注意しながら加工する必要があり歩留まりがよくないという課題があった。
また、特許文献2に開示された構成では、バッテリを脱着する際に筐体外にバッテリホルダの一部を突出する必要があり、バッテリの着脱がし難いという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡易かつ安価で歩留まりもよい構成であり、バッテリの着脱が容易であるバッテリホルダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るバッテリホルダは、前面および底面が開放された箱部材と、箱部材の前面に設けられ、バッテリを当該箱部材内に斜めに挿入可能とするよう傾斜して配置された傾斜面と、傾斜面に設けられ、バッテリが箱部材内に斜めに挿入されて起こされた際に、当該バッテリの重心位置よりも前方側で当該バッテリの底面前方が嵌まり込むスリットとを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、簡易かつ安価で歩留まりもよい構成であり、バッテリの着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るバッテリホルダの構成を示す図であり、(a)斜視図であり、(b)側断面図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係るバッテリホルダに対するバッテリの脱着を説明する側断面図である。
【
図3】この発明の実施の形態2に係るバッテリホルダの構成を示す図であり、(a)正面図であり、(b)側断面図である。
【
図4】この発明の実施の形態2に係るバッテリホルダの別の構成を示す図であり、(a)正面図であり、(b)側断面図である。
【
図5】従来のバッテリホルダの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るバッテリホルダ1の構成を示す図である。なお
図1(b)では、バッテリホルダ1内にバッテリ2を収納した状態を示している。なお符号3は、バッテリ2が有するケーブルである。
バッテリホルダ1は、バッテリ2を着脱可能とするものである。このバッテリホルダ1は、
図1に示すように、前面および底面が開放された箱部材11を有している。そして、箱部材11の前面には傾斜面12が設けられている。この傾斜面12は、バッテリ2を箱部材11内に斜めに挿入可能とするよう傾斜(例えば箱部材11の背面に対して45度)して配置された板部材である。なお、箱部材11の上面に対する傾斜面12の設置位置は、上面とバッテリ2との隙間が最小となるように、バッテリ2のサイズにより設定される。
【0011】
また、傾斜面12にはスリット13が設けられている。このスリット13は、バッテリ12が箱部材内11に斜めに挿入されて起こされた際に、当該バッテリ2の底面前方が嵌まり込むものである。そして、このスリット13と箱部材11の背面とにより、バッテリ2を固定する。なお、傾斜面12におけるスリット13の位置は、
図1(b)に示すように、バッテリ2の重心位置Gより前方側で当該バッテリ2の底面前方が嵌まり込む位置に設定される。
【0012】
次に、上記のように構成されたバッテリホルダ1に対するバッテリ2の着脱について、
図2を参照しながら説明する。
バッテリ2をバッテリホルダ1に収納する場合には、
図2(a)に示すように、まず、バッテリ2をバッテリホルダ1の傾斜面12に沿って矢印の方向に斜めにスライドさせて、箱部材11内に挿入する。
次いで、
図2(b)に示すように、バッテリ2の底面後方が箱部材11の背面と当接した後、バッテリ2を矢印の方向に起こす。これにより、
図2(c)に示すように、バッテリ2の底面前方が傾斜面12のスリット13に嵌まり込み、スリット13と箱部材11の背面とによりバッテリ2を容易に固定することができる。また、このスリット13により、バッテリ2を起こして当該スリット13に嵌まり込ませた際に、操作者に対して、バッテリ2がスリット2に嵌まり込み固定されたことを伝えるクリック感を与えることができる。
【0013】
一方、バッテリ2をバッテリホルダ1から取り外す場合には、
図2(d)に示すように、手や棒などにより、バッテリホルダ1の底面の隙間を介してバッテリ2の底面を矢印の方向に押す。これにより、バッテリ2の底面前方がスリット13から外れて、当該バッテリ2が傾斜面12側に倒れ、
図2(b)に示す状態となる。
その後、バッテリ2を傾斜面12に沿って上方にスライドさせる。これにより、バッテリ2をバッテリホルダ1から容易に取り外すことができる。
【0014】
以上のように、この実施の形態1によれば、前面および底面が開放された箱部材11と、箱部材11の前面に設けられ、バッテリ2を当該箱部材11内に斜めに挿入可能とするよう傾斜して配置された傾斜面12と、傾斜面12に設けられ、バッテリ2が箱部材11内に斜めに挿入されて起こされた際に、当該バッテリ2の重心位置よりも前方側で当該バッテリ2の底面前方が嵌まり込むスリット13とを備えたので、簡易かつ安価で歩留まりもよい構成であり、バッテリ2の着脱が容易である。
【0015】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係るバッテリホルダ1の構成を示す図である。なお
図3(a)では、ケーブル3の図示を省略している。
図3に示す実施の形態2に係るバッテリホルダ1は、
図1に示す実施の形態1に係るバッテリホルダ1にケーブル保持部14を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0016】
ケーブル保持部14は、箱部材11の上面に設けられ、バッテリ2がバッテリホルダ1に収納された状態において当該バッテリ2のケーブル3を保持するものである。また、ケーブル保持部14は、箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を調整するよう回動可能に構成され、バッテリ2のバッテリホルダ1に対する着脱を制限/許容する。
図3に示すケーブル保持部14では、箱部材11の前方側に回動可能に構成されている。
【0017】
そして、バッテリ2をバッテリホルダ1に対して着脱する際には、
図3(b)に破線で示すように、ケーブル保持部14を箱部材11の前方に回動させる。これにより、箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を開くことができ、実施の形態1と同様の手順でバッテリ2をバッテリホルダ1に対して着脱することができる。
一方、バッテリ2がバッテリホルダ1に収納された状態では、
図3に実線で示すように、ケーブル保持部14を矛部材11の前面に位置させるように回動させる。これにより、箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を狭めることができ、バッテリ2のバッテリホルダ1からの飛び出しを防止することができる。
【0018】
また、ケーブル保持部14としては、
図3に示す構成に限るものではなく、例えば
図4に示すような構成としてもよい。
図4に示すケーブル保持部14では、箱部材11の前面内において回動可能に構成されている。なお
図4(a)では、ケーブル3の図示を省略している。
【0019】
そして、バッテリ2をバッテリホルダ1に対して着脱する際には、
図4(a)に破線で示すように、ケーブル保持部14を箱部材11の上面より上方に回動させる。これにより、箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を開くことができ、実施の形態1と同様の手順でバッテリ2をバッテリホルダ1に対して着脱することができる。
一方、バッテリ2がバッテリホルダ1に収納された状態では、
図4に実線で示すように、ケーブル保持部14を矛部材11の上面より下方に回動させる。これにより、箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を狭めることができ、バッテリ2のバッテリホルダ1からの飛び出しを防止することができる。
【0020】
また、ケーブル保持部14としては、
図3,4に示すような回動(移動)式に限るものではなく、着脱式としてもよい。
【0021】
以上のように、この実施の形態2によれば、箱部材11に、当該箱部材11の上面と傾斜面12との隙間を調整するよう移動または着脱することでバッテリ2の着脱を制限/許容し、当該バッテリ2が当該箱部材11内に収納された状態においてケーブル3を保持するケーブル保持部14を設けたので、実施の形態1における効果に加え、バッテリ2がバッテリホルダ1に収納された状態ではバッテリ2の飛出しを防止し、バッテリ2の着脱の際には回動、着脱させることでバッテリ2をバッテリホルダ1から挿抜するためのアクセス空間を確保することができる。
【0022】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 バッテリホルダ
2 バッテリ
3 ケーブル
11 箱部材
12 傾斜面
13 スリット
14 ケーブル保持部