(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、油燃料は加熱されることによりコーキング(油の加熱による変質、炭化)するため、燃料供給路の粘度が増大し詰まりを起こすことがある。この結果として、油燃料の流量が過小となる可能性がある。
【0005】
また、
図15に示すように、分離リング127の内部に形成された燃料供給路28と、分離リング127の軸線方向Xの下流側端部に形成された燃料噴出路との間にキャビティ143を設けて、油燃料を均圧化する方法も知られている。しかしながら、キャビティ143に流速の遅い滞留域Eができ、油燃料が加熱される可能性がある。
【0006】
この発明は、燃料がキャビティに導入された際にキャビティ内に形成される滞留域が形成されにくい燃焼器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され
、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記案内部は、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記少なくとも一対の燃料噴出路の一方及び他方に案内し、前記案内部は、前記キャビティの周方向の両端部に形成され、軸線方向の一方側に向かうに従って前記キャビティの周方向の幅を漸次拡大するように形成された一対の案内面である。
【0008】
上記構成によれば、案内部が設けられていることによって、燃料がキャビティに導入された際にキャビティ内に形成される滞留域が形成されにくくなる。流速の遅い滞留域が減少することにより、油燃料の加熱が少なくなり、油の加熱による変質、炭化を低減することができる。
また、上記構成によれば、少なくとも一対の燃料噴出路が燃料供給路に対して対称位置に設けられるため、燃料をバランスよく複数の燃料噴出路に導入することができる。
また、上記構成によれば、燃料供給路からキャビティに導入された燃料は、一対の案内面によって、幅方向に過度に広がることなく燃料噴出路に導入される。即ち、キャビティの幅方向両側に滞留域が形成されにくくなり、燃料の加熱を少なくすることができる。
【0011】
前記キャビティは、前記少なくとも一対の燃料噴出路毎に独立して形成されている構成としてもよい。
【0013】
前記案内部は、前記一対の燃料噴出路の間に設けられ、前記燃料を周方向の一方及び周方向の他方に分岐させる一対の案内面としてもよい。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記キャビティは、前記少なくとも一対の燃料噴出路毎に独立して形成され、前記燃料噴出路は、前記キャビティの周方向の両端面に接続されており、前記案内部は前記両端面
である。
また、本発明の第三の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記案内部は、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記少なくとも一対の燃料噴出路の一方及び他方に案内し、前記燃料噴出路は、前記キャビティの周方向の両端面に接続されており、前記案内部は前記両端面である。
【0017】
上記構成によれば、燃料供給路からキャビティに導入された燃料は、案内部として機能する両端面に案内されるためキャビティに滞留域が形成されにくくなり、油燃料の加熱が少なくなる。
【0018】
前記燃料を径方向内側に噴射する一対の内側燃料噴出路と、前記燃料を径方向外側に噴射する一対の外側燃料噴出路と、を有し、前記両端面には、前記燃料を径方向内側及び径方向外側に分岐させる一対の径方向案内面が形成されている構成としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、燃料供給路から導入される油燃料が両端面に当接した際に発生する滞留を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の第四の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記キャビティは、前記少なくとも一対の燃料噴出路毎に独立して形成され、前記キャビティの周方向の両端面は、軸線に沿う方向からみて円弧状をなしてい
る。
また、本発明の第五の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記案内部は、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記少なくとも一対の燃料噴出路の一方及び他方に案内し、前記キャビティの周方向の両端面は、軸線に沿う方向からみて円弧状をなしている。
上記構成によれば、両端面を円弧状としない場合において発生する滞留や淀みを抑制することができる。
【0021】
また、本発明の第六の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記キャビティは、前記少なくとも一対の燃料噴出路毎に独立して形成され、前記燃料を径方向内側に噴射する一対の内側燃料噴出路と、前記燃料を径方向外側に噴射する一対の外側燃料噴出路と、を有し、前記キャビティは、軸線方向一方側に向かうに従って漸次径方向の距離が小さくなる一対の径方向対向面を有し、前記案内部は、前記一対の径方向対向面であり、二組の前記一対の燃料噴出路は、前記一対の径方向対向面のそれぞれの軸線方向一方側端部に接続されてい
る。
また、本発明の第七の態様によれば、燃焼器は、軸線の周方向に間隔をあけて、前記軸線に沿って延びる複数の燃料供給路と、前記複数の燃料供給路に接続されて、該燃料供給路を流通した燃料が導入されるとともに周方向に延びるキャビティと、周方向に間隔をあけて複数が設けられて前記キャビティの軸線方向一方側に接続されるとともに、該キャビティの外部に前記燃料を噴出する燃料噴出路と、を備え、前記キャビティ内に、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記燃料噴出路に案内する案内部が形成され、前記燃料噴出路は、前記燃料供給路に対して少なくとも一対が設けられており、前記一対の燃料噴出路の一方及び他方は、前記軸線に沿う方向からみて各々の前記燃料供給路から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されており、前記案内部は、前記燃料供給路から導入された前記燃料を前記少なくとも一対の燃料噴出路の一方及び他方に案内し、前記燃料を径方向内側に噴射する一対の内側燃料噴出路と、前記燃料を径方向外側に噴射する一対の外側燃料噴出路と、を有し、前記キャビティは、軸線方向一方側に向かうに従って漸次径方向の距離が小さくなる一対の径方向対向面を有し、前記案内部は、前記一対の径方向対向面であり、二組の前記一対の燃料噴出路は、前記一対の径方向対向面のそれぞれの軸線方向一方側端部に接続されている。
【0022】
上記構成によれば、径方向対向面によって燃料が案内されることによって、キャビティの下流側端部が平面形状である場合と比較して、キャビティ内に形成される滞留域が形成されにくくなる。
【0023】
前記燃焼器は、円筒形状の分離リング本体と、前記分離リング本体の内部を軸線に沿って貫通し、内側が前記燃料供給路とされた管形状の燃料供給管と、前記分離リング本体の軸線方向の一端に配置され、内部に前記キャビティを形成するリングマニホールドと、を有し、前記燃料供給管と前記分離リング本体との間と、前記リングマニホールドと前記分離リング本体との間の少なくとも一方に空間が設けられていることが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、空間が断熱層として機能するため、油燃料が加熱されるのを低減することができる。
【0025】
また、本発明は上記いずれかの燃焼器を備える回転機械を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、案内部が設けられていることによって、燃料がキャビティに導入された際にキャビティ内に形成される滞留域が形成されにくくなる。流速の遅い滞留域が減少することにより、油燃料の加熱が少なくなり、油の加熱による変質、炭化を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(
参考例)
以下、本発明に係る
参考例の燃焼器3について図を参照して説明する。
図1に示すように、本
参考例の回転機械であるガスタービン1は、多量の空気を内部に取り入れて圧縮する圧縮機2と、この圧縮機2にて圧縮された圧縮空気Aに燃料を混合して燃焼させる燃焼器3と、燃焼器3から導入された燃焼ガスGの熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービン4とを備えている。
【0029】
圧縮機2及びタービン4は、それぞれ一体回転するように連結されたロータ5と、ロータ5の外周側を囲うステータ6とを備えている。ロータ5は、回転軸7と、軸線方向に間隔を空けて固定されている複数の環状動翼群8と、を有している。各々の環状動翼群8は、回転軸7の外周に、周方向に互いの間隔を空けて固定されている複数の動翼を有して構成されている。
【0030】
ステータ6は、それぞれケーシング9と、ケーシング9内において軸線方向に間隔をあけて固定された複数の環状静翼群10とを備えている。環状静翼群10は、各々のケーシング9内面に、周方向に互いの間隔をあけて固定されている複数の静翼を有している。
環状静翼群10は、それぞれ、複数の環状動翼群8と、軸線方向に交互に配置されている。
【0031】
本
参考例の燃焼器3は、ガス焚きのほかに油焚きが可能なデュアル方式のものである。
図2に示すように、燃焼器3は、内筒13の内部に配置された内側スワラ20及び外側スワラ21を備えている二重スワラ燃焼器である。
詳しくは、燃焼器3は、車室12の内部に収容された内筒13と、内筒13の外周側を覆うとともに車室12の内壁に当接された外筒14とを備えている。内筒13は、中空の管状部材である。内筒13の下流側には尾筒(図示せず)が接続されている。外筒14の内周面と内筒13の外周面との間には、圧縮空気Aが流通する空気流路15が形成されている。この空気流路15に流入した圧縮空気Aは、外筒14の底部分の反転部16で180°転回することで、内筒13の内部に供給される。
【0032】
空気流路15上であって反転部16より上流側には、空気流路15を流通する圧縮空気Aにトップハットノズル17が設けられている。トップハットノズル17は、内筒13の周方向に等間隔に配置されており、複数のトップハットノズル燃料噴射孔18を備えている。
【0033】
燃焼器3は、内筒13の軸中心と同軸に形成された内側スワラ20と、外側スワラ21とを有している。内側スワラ20と外側スワラ21とは、環状断面を有し、圧縮空気Aを流す流路である。
内側スワラ20の内部であって内側スワラ20の下流側には、多数の内側スワールベーン22が周方向に配列されている。内側スワールベーン22には、複数の内側燃料噴出孔23が形成されている。同様に、外側スワラ21の内部であって外側スワラ21の下流側には、多数の外側スワールベーン24が周方向に配列されている。外側スワールベーン24には、複数の外側燃料噴出孔25が形成されている。
【0034】
内側スワラ20と外側スワラ21とは、円筒形状の分離リング27によって区画されている。分離リング27の内部には、複数の燃料供給路28が形成されている。燃料供給路28には、油供給源29から油燃料を供給するための油供給ライン30が接続されている。
【0035】
分離リング27の軸線方向の一方側(下流側)の端部には、複数の燃料噴出路31(
図4参照)が形成されている。本
参考例の燃焼器3は、1本の燃料供給路28に対して、4個の燃料噴出路31が設けられている。
なお、以下の説明においては、分離リング27や内筒13の軸線方向を単に軸線方向として説明する。また、軸線方向の一方側を圧縮空気Aの下流側として説明する。
【0036】
図3に示すように、分離リング27は、分離リング本体33と、配管ユニット34と、ノズル35と、を有している。分離リング本体33は円筒形状をなし、分離リング本体33の内部には軸線に沿って複数の配管挿通孔36が形成されている。配管挿通孔36は、分離リング本体33の周方向に等間隔に形成されている。配管挿通孔36は、配管ユニット34の燃料供給管38が挿入するための貫通孔である。
【0037】
配管ユニット34は、環状のリングマニホールド37と、リングマニホールド37の軸線に沿って延在し、一端がリングマニホールド37に接続されている複数の燃料供給管38とを有している。
ノズル35は、分離リング27の軸線方向の一端に取り付けられる円環状の部材である。ノズル35の表面には、前述した燃料噴出路31の下流側の開口である複数の油燃料噴射孔39が形成されている。
【0038】
図4に示すように、分離リング本体33の配管挿通孔36は、分離リング本体33の板厚方向の中央に形成されている。配管挿通孔36の軸線方向の一端には、配管ユニット34のリングマニホールド37が収容される環状の収容空間40が形成されている。
【0039】
配管ユニット34のリングマニホールド37は、断面U字形状をなす環状部材であり、軸線方向の一方側(下流側)に開口部41が形成されている。リングマニホールド37の開口部41には、周方向内側、及び周方向外側に突出するリブ42が形成されている。
リングマニホールド37の内部はキャビティ43とされており、キャビティ壁44によって複数に分割されている。換言すれば、本
参考例のキャビティ43は、周方向に連続しておらず、複数の離散的なキャビティ43とされている。
【0040】
燃料供給管38は円管状をなし、その内部が燃料供給路28とされている。燃料供給管38の内部である燃料供給路28と、リングマニホールド37のキャビティ43とは連通している。
ノズル35の断面形状は、軸線方向Xの一方側に向かって漸次幅が狭くなる三角形状である。ノズル35には複数の燃料噴出路31が形成されている。燃料噴出路31は、燃料供給路28から供給される油燃料を噴射する噴射孔である。燃料噴出路31の軸線方向Xの他方側は、ノズル35の軸線方向Xの他方側の分離リング本体33との接続面45に開口しており、ノズル35を配管ユニット34とともに分離リング本体33に取り付けることによって、キャビティ43に連通するように形成されている。
【0041】
燃料噴出路31の軸線方向Xの一方側は、ノズル35の軸線方向Xの一方側に開口して油燃料噴射孔39を形成している。具体的には、径方向外側の外側燃料噴出路31aがノズル35の外周面に開口しており、径方向内側の内側燃料噴出路31bがノズル35の内周面に開口している。
【0042】
また、ノズル35の内部には、周方向に亘って二つの環状空間46が形成されている。環状空間46は、ノズル35の接続面45に形成された断面矩形形状の環状の溝条47と、溝条47の開口を封止する環状の封止板48とから構成されている。溝条47は、燃料噴出路31に干渉せず、かつ、ノズル35の強度に影響を与えない範囲で形成されている。封止板48は、環状の溶接部W1によってノズル35に溶接されている。
【0043】
図5に示すように、燃料供給路28と、キャビティ43と、燃料噴出路31とは、互いに連通している。即ち、燃料供給路28から供給された油燃料は、一旦キャビティ43に流入した後、燃料噴出路31からキャビティ43の外部であって軸線方向Xの一方側に噴射される。燃料噴出路31は、径方向R内側を指向する内側燃料噴出路31bと、径方向R外側を指向する外側燃料噴出路31aとを有しており、油燃料は圧縮空気Aの下流側であって、径方向R内側及び径方向R外側に噴射される。
【0044】
図5では示されないが、燃料噴出路31は、1本の燃料供給路28に対して4本形成されており、1本の燃料供給路28から供給された油燃料は、4本の燃料噴出路31から噴射される。即ち、1本の燃料供給路28に対して一対の内側燃料噴出路31bと、一対の外側燃料噴出路31aが形成されている。
【0045】
燃料供給管38と分離リング本体33との間には、一定の空間50が形成されている。換言すれば、分離リング本体33の配管挿通孔36の内周面と燃料供給管38の外周面との間には燃料供給管38の周方向に均一の隙間が形成されている。同様に、リングマニホールド37と分離リング本体33との間にも空間50が形成されている。燃料供給管38及び分離リング本体33との間、及びリングマニホールド37と分離リング本体33との間には、適宜スペーサ51が配置されている。
分離リング本体33と、配管ユニット34とは、リングマニホールド37のリブ42と分離リング本体33の軸線方向の一端とを溶接(溶接部をW2で示す)することによって接合されている。分離リング本体33と、ノズル35とは、符号W3で示す溶接部にて接合されている。
【0046】
図6に示すように、リングマニホールド37の内部に形成されているキャビティ43は、キャビティ壁44によって複数に区画されている。キャビティ43は、1本の燃料供給路28に対して一つの区画が独立して割り当てられるように区画されている。
外側燃料噴出路31aは1本の燃料供給路28に対して2本(一対)設けられている。
図6からは確認できないが、内側燃料噴出路31bも1本の燃料供給路28に対して2本(一対)設けられている。
【0047】
一対の内側燃料噴出路31bの一方及び他方は、軸線方向Xからみて燃料供給路28から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されている。同様に、一対の外側燃料噴出路31aの一方及び他方は、軸線方向Xからみて燃料供給路28から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されている。即ち、燃料供給路28と燃料噴出路31とは一直線上には配置されていない。
【0048】
キャビティ43の内部であって、周方向Cに離間する一対の燃料噴出路31の間には燃料供給路28から導入された油燃料を周方向Cに離間する一対の燃料噴出路31に案内する案内部52が形成されている。油燃料は案内部52によって符号Fで示すように案内される。
案内部52は、一対の第一案内面53から構成されている。第一案内面53は、燃料供給路28から導入された油燃料を燃料噴出路31に向かって案内する斜面であり、上流側で稜線54にて接続されている。換言すれば、案内部52は、上流側の稜線54から、下流側に向かうに従って漸次拡幅するような、一対の第一案内面53から形成されている。
【0049】
次に、本
参考例の燃焼器3の作用について説明する。
まず、圧縮機2の出口から車室12内に排出される圧縮空気Aは、外筒14と内筒13との間にできる空気流路15に流れ込む。空気流路15に流れ込んだ圧縮空気Aは、外筒14の内壁に沿って流れる。
【0050】
次いで、圧縮空気Aが反転部16で180°転回する。圧縮空気Aには燃焼器3の内側スワラ20及び外側スワラ21で旋回流が与えられつつ、内側燃料噴出孔23及び外側燃料噴出孔25からガス燃料が供給される。
油焚き運転の際においては、油燃料噴射孔39を介して圧縮空気Aに油燃料が供給される。
【0051】
上記
参考例によれば、一つの燃料供給路28に対して、燃料噴出路31が4本設けられていることによって、燃料供給路28の圧力の違いによる燃料噴出路31からの油燃料の噴射量のバラつきを低減することができる。
また、燃料供給路28と燃料噴出路31との間にキャビティ43を設けたことによって、油燃料がキャビティ43内で均圧化される。これにより、燃料噴出路31からの油燃料の噴射量のバラつきをより低減することができる。
【0052】
また、キャビティ43内であって、一対の燃料噴出路31の間に案内部52が設けられていることによって、油燃料がキャビティ43に導入された際にキャビティ43内に形成される滞留域が形成されにくくなる。流速の遅い滞留域が減少することにより、油燃料の加熱が少なくなり、コーキングを低減することができる。
【0053】
また、燃料供給路28を画定する燃料供給管38と分離リング本体33との間、及びリングマニホールド37と分離リング本体33との間に、断熱層として機能する空間50が形成されていることによって、油燃料が加熱されるのを低減することができる。
また、ノズル35の内部にも断熱層として機能する空間を形成することによって、下流側からの油燃料への入熱を低減することができる。
【0054】
また、燃料噴出路31は、燃料供給路28に対して少なくとも一対が設けられており、一対の燃料噴出路31の一方及び他方が各々の燃料供給路28から周方向の反対方向に等間隔を形成するように配置されている。これにより、少なくとも一対の燃料噴出路31が燃料供給路28に対して対称位置に設けられるため、燃料をバランスよく複数の燃料噴出路31に導入することができる。
【0055】
なお、上記
参考例では、分離リング27の組立の際、配管ユニット34を分離リング本体33に接合した後、ノズル35を分離リング本体33に接合する構成としたが、これに限ることはない。例えば、
図7に示すように、ノズル35と配管ユニット34とを溶接(溶接部をW4で示す)した後、分離リング本体33とノズル35とを溶接する構成としてもよい。
上記構成によれば、断熱層として機能する空間50の範囲を増大することができる。
【0056】
(第
一実施形態)
以下、本発明の第
一実施形態の燃焼器3の分離リング27を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した
参考例との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の案内部52は、キャビティ43の周方向Cの両端部に形成され、軸線方向Xの一方側に向かうに従ってキャビティ43の周方向Cの幅を漸次拡大するように形成された一対の斜面である第二案内面56である。
【0057】
上記実施形態によれば、燃料供給路28からキャビティ43に導入された油燃料は、第二案内面56によって構成されている案内部52によって、周方向Cに過度に広がることなく燃料噴出路31に導入される。即ち、キャビティ43の周方向C両側に滞留域が形成されにくくなり、油燃料の加熱が少なくなる。
【0058】
(第
二実施形態)
以下、本発明の第
二実施形態の燃焼器3の分離リング27を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した
参考例との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態のキャビティ43は、キャビティ壁44(
図4、
図6を参照)によって区画されておらず、周方向Cに亘って延在している。本実施形態の案内部52は、一対の第一案内面53と、一対の第二案内面56とから構成されている。
【0059】
第一案内面53は、
参考例の第一案内面53と同様に、燃料供給路28から導入された油燃料を燃料噴出路31に向かって案内する斜面であり、上流側で稜線54にて接続されている。換言すれば、案内部52は、上流側の稜線54から、下流側に向かうに従って漸次拡幅するような、一対の第一案内面53から形成されている。
第二案内面56は、キャビティ43の周方向Cの両端部に形成され、軸線方向Xの一方側に向かうに従ってキャビティ43の周方向Cの幅を漸次拡大するように形成された一対の斜面である。
【0060】
上
記のように、本実施形態の案内部52は、周方向に連続して形成されるキャビティ43にも適用可能である。
【0061】
(第
三実施形態)
以下、本発明の第
三実施形態の燃焼器3の分離リング27を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した
参考例との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図10及び
図11に示すように、本実施形態の燃料噴出路31は、キャビティ43の周方向Cの両端面58に接続されている。換言すれば、燃料噴出路31は、キャビティ43の両端面58に沿って流れる油燃料が導入され易いように、両端面58の延長線上に形成されている。これにより、キャビティ43の両端面58が案内部52として機能する。
【0062】
上記実施形態によれば、燃料供給路28からキャビティ43に導入された油燃料は、案内部52として機能する両端面58に案内されるためキャビティ43に滞留域が形成されにくくなり、油燃料の加熱が少なくなる。
【0063】
なお、上記実施形態の両端面58には、
図12に示すように、油燃料を径方向R内側及び径方向R外側に分岐させる一対の径方向案内面59を形成することが好ましい。このような径方向案内面59を形成することによって、燃料供給路28から導入される油燃料が両端面58に当接した際に発生する滞留を抑制することができる。
【0064】
(第
四実施形態)
以下、本発明の第
四実施形態の燃焼器3の分離リング27を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第
三実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態の両端面は、軸線に沿う方向からみて円弧状をなす円弧状端面60とされている。具体的には、二点鎖線で示すような角部を丸面取りしたような形状となっている。
上記実施形態によれば、両端面58を円弧状としない場合において発生する
図13に符号Eで示すような滞留や淀みを抑制することができる。
【0065】
(第
五実施形態)
以下、本発明の第五実施形態の燃焼器3の分離リング27を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した
参考例との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態のキャビティ43は、リングマニホールド37によって画定されているキャビティ43と、ノズル35内に形成されているノズルキャビティ62とによって形成されている。
【0066】
ノズルキャビティ62は、ノズル35の周方向に亘って形成されている断面三角形状の溝条であって、一対の径方向対向面63から構成されている。ノズルキャビティ62の径方向Rの寸法は、リングマニホールド37のキャビティ43の径方向Rの寸法と略同一とされている。そして、ノズルキャビティ62は、軸線方向Xの一方側に向かうに従って漸次径方向の幅が小さくなるように形成されている。即ち、ノズルキャビティ62は、軸線方向X一方側に向かうに従って漸次近づくように形成されている一対の径方向対向面63を有している。
【0067】
一対の外側燃料噴出路31a及び一対の内側燃料噴出路31bは、一対の径方向対向面63のそれぞれの軸線方向X一方側端部に接続されている。換言すれば、本実施形態のキャビティ43は、下流側に凸状とされており、二組の一対の燃料噴出路31は、リングキャビティ43の下流側先端部近傍に接続されている。
【0068】
上記実施形態によれば、径方向対向面63によって油燃料が案内されることによって、キャビティ43の下流側端部が平面形状である場合と比較して、キャビティ43内に形成される滞留域が形成されにくくなる。