(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの内側に挿入されている部位には、当該ブレーキ操作軸の軸心回りでの回動操作によって、前記ミッションケース内に装備されているブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が備えられ、かつその押圧操作部は、前記ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸が前記ミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に形成されている請求項1又は2記載の作業車。
前記固定ボルトは単一のものであり、前記ブレーキ操作軸に対する前記規制部材の径方向での遠近移動、及び前記ミッションケースのケース壁からの前記規制部材の離間を規制するように構成されている請求項6記載の作業車。
前記規制部材は、前記固定ボルトによる締め付け固定が完了していない状態では、前記固定ボルトの軸心回りにおける所定範囲内で揺動可能に構成されていて、その規制部材の揺動可能な範囲を設定するストッパーが備えられ、このストッパーによる揺動可能範囲は、前記固定ボルトの軸心回りで揺動した前記規制部材が前記ブレーキ操作軸の外周面に当接することを阻止し得る範囲に設定されている請求項7記載の作業車。
前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの外方側への突出端部が、車体フレームに備えた前後方向に長いメインフレームの外側にまで延出され、その延出端部に前記ブレーキペダルとの連係用アーム部が前記メインフレームの外側に位置する状態で装備されている請求項1〜10のいずれか一項記載の作業車。
前記ブレーキペダルは前記メインフレームの長手方向に交差する横向きの枢支軸心回りで揺動操作可能に装備され、このブレーキペダルの踏面部とは前記枢支軸心を挟んで反対側へ向けられたアーム部が、前記枢支軸心と交差する方向に直線的に延出され、このアーム部と、前記ブレーキ操作軸の連係用アーム部とが連結されている請求項11記載の作業車。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載された作業車では、ブレーキペダルの踏み込み操作に伴って走行系の伝動軸を制動できるものであるが、ブレーキ操作軸を取り外してメンテナンスを行いたい場合などには、ミッションケースの分解操作が必要になるなどの煩わしさがあり、この点で改良の余地がある。
つまり、ブレーキパッドを押圧するカム機構がミッションケース内で、ブレーキ操作軸の軸径よりも大きな構造のものであるため、ブレーキ操作軸の枢支孔からミッションケースの分解なしにブレーキ操作軸を外部へ引き抜き操作することができない構造となっていた。
【0007】
上記の特許文献2に記載された作業車では、摩擦板を押圧する操作部材を、摩擦板が設けられた走行出力軸側に設け、その操作部材をスライド操作するブレーキ操作軸を走行出力軸とは別軸で構成している。これによって、ブレーキ操作軸の軸径はブレーキ操作軸の枢支孔の孔径以下に形成可能である。しかしながら、そのブレーキ操作軸の抜け出しを規制するための抜け止め手段が、ブレーキ操作軸の軸端側に位置するミッションケース壁に形成されたものであるため、ブレーキ操作軸を取り外してメンテナンスを行いたい場合などには、やはりミッションケースの分解操作が必要になるなどの煩わしさがあり、この点で改良の余地がある。
【0008】
【0009】
【0010】
本発明は、ミッションケースを分解するなどの煩雑な作業を要さずに、ブレーキ操作軸をミッションケース外へ引き抜いてのメンテナンス作業等を行い易くしようとするものであ
る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業機の技術手段は、ミッションケース内に装備させたブレーキと、前記ブレーキに対して前記ミッションケースの外部からブレーキ操作を行うブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸を操作するブレーキペダルとを備えるとともに、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケース外への抜け出しを規制する規制部材を前記ミッションケース外に装備させてあり、その規制部材が抜け出し規制状態と規制解除状態とに切換可能に構成されているということである。
【0012】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる本発明の構成によると、
ブレーキ操作軸のミッションケース外への抜け出しは規制部材によって確実に規制することができるとともに、その規制部材がミッションケース外に装備されていて、かつ規制解除状態に切換可能に構成されているので、ミッションケースを分解するなどの煩雑な作業を要することなく、簡単な操作でブレーキ操作軸をミッションケース外へ引き抜くことができる。
したがって、ミッションケースを分解するなどの煩雑な作業を要さずに、ブレーキ操作軸をミッションケース外へ引き抜いてのメンテナンス作業等が行い易くなる利点がある。
【0013】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブレーキ操作軸には、前記ミッションケースの外側に前記規制部材との係合部が形成されているということである。
【0014】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明の構成によると、規制部材との係合部がミッションケースの外側に位置するようにブレーキ操作軸を構成してあるので、ミッションケース外に位置する規制部材でブレーキ操作軸の抜け出し側への移動を規制することができる利点がある。
【0015】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの内側に挿入されている部位には、当該ブレーキ操作軸の軸心回りでの回動操作によって、前記ミッションケース内に装備されているブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が備えられ、かつその押圧操作部は、前記ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸が前記ミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に形成されているということである。
【0016】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明の構成によると、
ブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が、ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸がミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内であるように形成されているので、ブレーキ操作軸の引き抜き操作を簡単に行い易くなる利点がある。
【0017】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記規制部材は前記ミッションケースに対して着脱可能に構成されているということである。
【0018】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明の構成によると、規制部材がミッションケースに対して着脱可能に構成されているので、ミッションケースと一体に形成する場合のような、ミッションケースの形状が複雑化する虞がない点で有利である。
【0019】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記規制部材は、前記ブレーキ操作軸に対する径方向での遠近移動で着脱可能に構成されているということである。
【0020】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明の構成によると、
ブレーキ操作軸に対する径方向で規制部材を遠近移動させることで、ブレーキ操作軸に対する規制部材の着脱を行うことができるので、例えば、規制部材をブレーキ操作軸の軸線方向に移動させて、その軸線方向の端部から外すことによって着脱できるようにした構造に比べて、着脱操作を簡便に行い易い点で有利である。
【0021】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記規制部材は、前記ミッションケースのケース壁に対して固定ボルトで連結固定可能に構成されているということである。
【0022】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明の構成によると、固定ボルトによる構造簡単な連結及び連結解除構造を得られる利点がある。
【0023】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記固定ボルトは単一のものであり、前記ブレーキ操作軸に対する前記規制部材の径方向での遠近移動、及び前記ミッションケースのケース壁からの前記規制部材の離間を規制するように構成されているということである。
【0024】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明の構成によると、単一の固定ボルトを用いるだけの簡単な構造で、規制部材の固定を行える利点がある。
【0025】
〔解決手段8〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記規制部材は、前記固定ボルトによる締め付け固定が完了していない状態では、前記固定ボルトの軸心回りにおける所定範囲内で揺動可能に構成されていて、その規制部材の揺動可能な範囲を設定するストッパーが備えられ、このストッパーによる揺動可能範囲は、前記固定ボルトの軸心回りで揺動した前記規制部材が前記ブレーキ操作軸の外周面に当接することを阻止し得る範囲に設定されているということである。
【0026】
〔解決手段8にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段8にかかる発明の構成によると、ストッパーによって規制部材の脱着時におけるブレーキ操作軸の外周面への当接を抑制でき、ブレーキ操作軸の外周面の損傷を回避できる利点がある。
【0027】
〔解決手段9〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ストッパーは前記規制部材の揺動可能な範囲の両端側に設けてあるということである。
【0028】
〔解決手段9にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段9にかかる発明の構成によると、ストッパーは規制部材の揺動可能な範囲の両端側に設けてあるので、固定ボルトによる規制部材の固定時、及び固定解除時の、いずれの場合にもブレーキ操作軸の外周面への規制部材の当接を抑制できる利点がある。
【0029】
〔解決手段10〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ストッパーは、前記ミッションケースの一部によって構成されているということである。
【0030】
〔解決手段10にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段10にかかる発明の構成によると、ミッションケースの一部がストッパーとしての役割を果たすので、別途ストッパーを取り付ける必要がなく、部品点数を節減し得る利点がある。
【0031】
〔解決手段11〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの外方側への突出端部が、車体フレームに備えた前後方向に長いメインフレームの外側にまで延出され、その延出端部に前記ブレーキペダルとの連係用アーム部が前記メインフレームの外側に位置する状態で装備されているということである。
【0032】
〔解決手段11にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段11にかかる発明の構成によると、ブレーキ操作軸のミッションケース外方側への突出端部が、メインフレームの外側にまで延出されていて、ブレーキペダルとの連係用アーム部がその延出端部に装備されているので、メインフレームの分解作業を要することなくブレーキ操作軸のミッションケースに対する脱着操作を行える利点がある。
【0033】
〔解決手段12〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブレーキペダルは前記メインフレームの長手方向に交差する横向きの枢支軸心回りで揺動操作可能に装備され、このブレーキペダルの踏面部とは前記枢支軸心を挟んで反対側へ向けられたアーム部が、前記枢支軸心と交差する方向に直線的に延出され、このアーム部と、前記ブレーキ操作軸の連係用アーム部とが連結されているということである。
【0034】
〔解決手段12にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段12にかかる発明の構成によると、枢支軸心を挟んで踏面部が存在する側とは反対側に延出されたアームがブレーキ操作軸の連係用アーム部とが連結されているので、枢支軸を支点とした梃子作用でブレーキ操作軸の連係用アーム部を軽快に操作し易い利点がある。
【0035】
〔解決手段13〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、ミッションケース内に装備させたブレーキと、前記ブレーキに対して前記ミッションケースの外部からブレーキ操作を行うブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸を操作するブレーキペダルとを備えるとともに、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケース外への抜け出しを規制する規制部材を前記ミッションケース外に装備させてあり、その規制部材が抜け出し規制状態と規制解除状態とに切換可能に構成され、前記ブレーキ操作軸には、前記ミッションケースの外側に前記規制部材との係合部が形成され、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの内側に挿入されている部位には、当該ブレーキ操作軸の軸心回りでの回動操作によって、前記ミッションケース内に装備されているブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が備えられ、かつその押圧操作部は、前記ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸が前記ミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に形成され、前記規制部材は前記ミッションケースに対して着脱可能に構成されているということである。
【0036】
〔解決手段13にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段13にかかる発明の構成によると、前記解決手段1、2、3、4と同様の作用及び効果を奏する。
【0037】
〔解決手段14〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、ミッションケース内に装備させたブレーキと、前記ブレーキに対して前記ミッションケースの外部からブレーキ操作を行うブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸を操作するブレーキペダルとを備えるとともに、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケース外への抜け出しを規制する規制部材を前記ミッションケース外に装備させてあり、その規制部材が抜け出し規制状態と規制解除状態とに切換可能に構成され、前記ブレーキ操作軸には、前記ミッションケースの外側に前記規制部材との係合部が形成され、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの内側に挿入されている部位には、当該ブレーキ操作軸の軸心回りでの回動操作によって、前記ミッションケース内に装備されているブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が備えられ、かつその押圧操作部は、前記ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸が前記ミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に形成され、前記規制部材は、前記ブレーキ操作軸に対する径方向での遠近移動で着脱可能に、かつ前記ミッションケースのケース壁に対して単一の固定ボルトで連結固定可能に構成され、前記規制部材は、前記固定ボルトによる締め付け固定が完了していない状態では、前記固定ボルトの軸心回りにおける所定範囲内で揺動可能に構成されていて、その規制部材の揺動可能な範囲を設定するストッパーが備えられ、このストッパーによる揺動可能範囲は、前記固定ボルトの軸心回りで揺動した前記規制部材が前記ブレーキ操作軸の外周面に当接することを阻止し得る範囲に設定され、前記ストッパーは前記規制部材の揺動可能な範囲の両端側に設けてあり、前記ミッションケースの一部によって構成されているということである。
【0038】
〔解決手段14にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段14にかかる発明の構成によると、前記解決手段1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10と同様の作用及び効果を奏する。
【0039】
〔解決手段15〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、ミッションケース内に装備させたブレーキと、前記ブレーキに対して前記ミッションケースの外部からブレーキ操作を行うブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸を操作するブレーキペダルとを備えるとともに、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケース外への抜け出しを規制する規制部材を前記ミッションケース外に装備させてあり、その規制部材が抜け出し規制状態と規制解除状態とに切換可能に構成され、前記ブレーキ操作軸には、前記ミッションケースの外側に前記規制部材との係合部が形成され、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの内側に挿入されている部位には、当該ブレーキ操作軸の軸心回りでの回動操作によって、前記ミッションケース内に装備されているブレーキを制動状態と制動解除状態とに切換操作するための押圧操作部が備えられ、かつその押圧操作部は、前記ブレーキ操作軸の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸が前記ミッションケースのケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に形成され、前記規制部材は、前記ブレーキ操作軸に対する径方向での遠近移動で着脱可能に、かつ前記ミッションケースのケース壁に対して単一の固定ボルトで連結固定可能に構成され、前記規制部材は、前記固定ボルトによる締め付け固定が完了していない状態では、前記固定ボルトの軸心回りにおける所定範囲内で揺動可能に構成されていて、その規制部材の揺動可能な範囲を設定するストッパーが備えられ、このストッパーによる揺動可能範囲は、前記固定ボルトの軸心回りで揺動した前記規制部材が前記ブレーキ操作軸の外周面に当接することを阻止し得る範囲に設定され、前記ストッパーは前記規制部材の揺動可能な範囲の両端側に設けてあり、前記ミッションケースの一部によって構成され、前記ブレーキ操作軸の前記ミッションケースの外方側への突出端部が、車体フレームに備えた前後方向に長いメインフレームの外側にまで延出され、その延出端部に前記ブレーキペダルとの連係用アーム部が前記メインフレームの外側に位置する状態で装備され、前記ブレーキペダルは前記メインフレームの長手方向に交差する横向きの枢支軸心回りで揺動操作可能に装備され、このブレーキペダルの踏面部とは前記枢支軸心を挟んで反対側へ向けられたアーム部が、前記枢支軸心と直交する方向に延出され、このアーム部と、前記ブレーキ操作軸の連係用アーム部とが連結されているということである。
【0040】
〔解決手段15にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段15にかかる発明の構成によると、前記解決手段1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、及び12と同様の作用及び効果を奏する。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に、作業車の一例としての乗用型田植機の右側面が示されている。
この乗用型田植機は、車体フレーム10の下方に、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪11Fと、左右一対の駆動自在な後輪11Rとを備え、車体フレーム10に搭載されたエンジンEからの動力を受けて、前記前輪11Fと後輪11Rとが駆動される自走式の走行車体1を備えている。
走行車体1には、エンジンEを内装した原動部13が機体前部に備えられ、その左右両側に予備苗のせ台14が配備されている。原動部13の後方側で走行車体1の前後方向中央部に、前輪11Fを操向操作するステアリングハンドル15及び運転座席12を有した搭乗運転部が備えられている。走行車体1の後部には、リフトシリンダ18を有したリンク機構17を介して苗植付装置2が昇降自在に支持されている。
このように構成された乗用型田植機は、苗植付装置2によって圃場に対する稲等の苗の植え付け作業を「対地作業」として行うものである。
【0057】
苗植付装置2は8条植型式に構成されており、4個の伝動ケース21、伝動ケース21の後部の右及び左の横側部に回転駆動自在に支持された植付ケース22、植付ケース22の両端に備えられた一対の植付アーム23、接地フロート24、及び苗が載置される苗のせ台20等を備えている。これにより、苗のせ台20が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース22が回転駆動され、苗のせ台20の下部から植付アーム23が交互に苗を取り出して田面に植え付けるように構成されている。
【0058】
走行車体1における車体フレーム10の前部には、前輪11Fを軸支したミッションケース3が連結固定されるとともに、車体フレーム10の後部には、後輪11Rを左右に装備した後部伝動ケース19がローリング可能に支持されている。ミッションケース3からは前方に向けて前フレーム10Fが延出され、この前フレーム10FにエンジンEが横向きに搭載されている。
【0059】
図2乃至
図4に記載のように、ミッションケース3の左右両側には、前車軸ケース3Aが左右両外側に向けて延出され、左右の前輪11F,11Fが設けられている。ミッションケース3の上側には、トルクジェネレータ4(パワーステアリング装置に相当する)を設けてあり、このトルクジェネレータ4から上方へ立設されたステアリング操作軸15aの上端にステアリングハンドル15が設けられている。ステアリングハンドル15の横側部には、後述する静油圧式無段変速装置61を操作して車速を変更する主変速レバー16(変速操作レバーに相当する)が配設されている。
【0060】
〔動力伝達系〕
エンジンEの動力が走行駆動系の前輪11F及び後輪11Rに伝達される動力伝達系、ならびに、作業装置としての苗植付装置2に対して伝達される動力伝達系について説明する。
【0061】
〔走行駆動系について〕
図3に示されるように、ミッションケース3の左右両横側には、左右一対の前車軸ケース3Aが備えられている。前車軸ケース3Aには、上記前輪11Fが上下方向に沿う軸心周りに回動して操向自在となるように支持されている。
【0062】
図3及び
図7に示すように、ミッションケース3には、ミッションケース3の上部側の左横側部に位置する状態で、静油圧式無段変速装置61が連結されている。静油圧式無段変速装置61は、中立停止位置を有し、中立停止位置から前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されている。静油圧式無段変速装置61は、外部へ延出される変速入力軸61a及び変速出力軸61bを有している。エンジンEの動力は、ベルト伝動機構61cを介して、静油圧式無段変速装置61の変速入力軸61aに伝達されるようになっている。変速入力軸61aのベルト伝動機構61cの反対側に位置する部分と、変速出力軸61bは、ミッションケース3の内部に入り込むように配置されている。
【0063】
ミッションケース3の右横側部には、油圧ポンプ62が連結されている。油圧ポンプ62のポンプ入力軸62aは、ミッションケース3の内部に入り込むように配置されている。ポンプ入力軸62aは、変速入力軸61aと同芯状に配置されており、延長入力軸61dによって変速入力軸61aと一体回転するようにスプライン連結されている。これにより、エンジンEの動力が、静油圧式無段変速装置61の変速入力軸61aから油圧ポンプ62に伝達され、油圧ポンプ62が駆動される。
【0064】
変速出力軸61bには、ミッションケース3の内部に回転自在に支持されている第一伝動軸63がスプライン連結されている。第一伝動軸63には、第一伝動軸63と一体回転し、かつ、第一伝動軸63に対してスライド移動自在とされる第一シフトギヤ64がスプライン構造により外嵌されて備えられている。第一シフトギヤ64には、第一高速ギヤ64aと、第一高速ギヤ64aよりも大径な第一低速ギヤ64bとが一体として備えられている。
【0065】
第一伝動軸63の伝動下手側には、第一伝動軸63に平行な第二伝動軸65がミッションケース3内に支持されて備えられている。第二伝動軸65には、大径ギヤ65aと大径ギヤ65aよりも小径な中径ギヤ65bとが第二伝動軸65に固定して備えられている。第一シフトギヤ64をシフト操作することにより、第一高速ギヤ64aと大径ギヤ65aとの噛み合いと、第一低速ギヤ64bと中径ギヤ65bとの噛み合いとのいずれかを選択して、第一伝動軸63から第二伝動軸65へ動力を伝達できる。そして、第二伝動軸65には、中径ギヤ65bよりも小径な小径ギヤ65cが固定されている。
【0066】
第二伝動軸65の伝動下手側には、第二伝動軸65に平行な第三伝動軸67がミッションケース3内に支持されて備えられている。第三伝動軸67には、第三伝動軸67と一体回転し、かつ、第三伝動軸67に対してスライド移動自在とされる第二シフトギヤ68がスプライン構造により外嵌されて備えられている。第二シフトギヤ68には、第二高速ギヤ68aと、第二高速ギヤ68aよりも大径な第二低速ギヤ68bとが一体として備えられている。第二シフトギヤ68をシフト操作することにより、中径ギヤ65bと第二高速ギヤ68aとの噛み合いと、小径ギヤ65cと第二低速ギヤ68bとの噛み合いとのいずれかを選択して、第二伝動軸65から第三伝動軸67へ動力を伝達できる。そして、第三伝動軸67には、伝動ギヤ69が固定されている。また、第三伝動軸67には、第一ベベルギヤ70が固定されている。
【0067】
第三伝動軸67の伝動下手側には、第三伝動軸67と平行に、一対の前側伝動軸71が突き合わせて配置されている。一対の前側伝動軸71の間にデフ機構72が備えられている。デフ機構72のデフケース72aは、ミッションケース3の内部に回転自在に支持されている。第三伝動軸67に固定された伝動ギヤ69は、デフケース72aに固定された被伝動ギヤ72bに噛み合わされている。
【0068】
一対の前側伝動軸71のうち一方の前側伝動軸71には、デフロック体72cがキー構造により一体回転及びスライド移動自在に外嵌されている。デフロック体72cは、デフケース72aに対して係合解除された差動可能状態(デフロック解除状態)と、デフケース72aに対して係合された差動不能状態(デフロック状態)と、に切り換えできるように構成されている。
【0069】
図2、
図7に示されるように、ミッションケース3の後部には、ミッションケース3の後端部から後ろ向きに突出する走行出力軸74が備えられている。走行出力軸74の前端部には第二ベベルギヤ75が備えられている。第二ベベルギヤ75は、第三伝動軸67に固定された第一ベベルギヤ70に噛み合わされており、これにより、第三伝動軸67から走行出力軸74へ動力が伝達される。
【0070】
上記左右一対の後輪11Rを支持する後部伝動ケース19が備えられており、走行出力軸74と、後部伝動ケース19の後側伝動軸76とに亘って後方伝動軸77が連動連結されている。後側伝動軸76に伝達される動力は、サイドクラッチ73を介して、左右の後輪11Rにそれぞれ伝達される。
【0071】
これにより、エンジンEの動力が、静油圧式無段変速装置61の変速出力軸61b、第一伝動軸63、第二伝動軸65、第三伝動軸67、デフ機構72、前側伝動軸71を介して左右一対の前輪11Fに伝達され、デフ機構72のデフケース72a、走行出力軸74、後側伝動軸76を介して左右一対の後輪11Rに伝達される。
【0072】
〔作業装置駆動系について〕
次に、作業装置であるところの苗植付装置2への伝動構造について説明する。
図8に示されるように、第二伝動軸65の伝動下手側には、第二伝動軸65に平行な第四伝動軸80がミッションケース3内に支持されて備えられている。第二伝動軸65には、作業用出力ギヤ81が後述するバッククラッチ100を介して動力伝達されるように設けられている。第二伝動軸65の動力は、作業用出力ギヤ81からトルクリミッターTを介して第四伝動軸80に伝達されるように構成されている。
【0073】
第四伝動軸80には、第四伝動軸80と一体回転し、かつ、第四伝動軸80に対してスライド移動自在とされる植付用シフトギヤ84がスプライン構造により外嵌されて備えられている。植付用シフトギヤ84には、第一植付用低速ギヤ84aと、第一植付用低速ギヤ84aよりも小径な第一植付用高速ギヤ84bとが一体として備えられている。
【0074】
第一伝動軸63には、第一遊嵌ギヤ85a、第二遊嵌ギヤ85b、第三遊嵌ギヤ85c、第四遊嵌ギヤ85d、第五遊嵌ギヤ85e、が第一伝動軸63に対して相対回動自在に支持されて備えられている。第一遊嵌ギヤ85a、第二遊嵌ギヤ85b、第三遊嵌ギヤ85c、第四遊嵌ギヤ85d、第五遊嵌ギヤ85eは一体回転するように互いに固定されている。ギヤの径は、第一遊嵌ギヤ85a、第二遊嵌ギヤ85b、第三遊嵌ギヤ85c、第四遊嵌ギヤ85d、第五遊嵌ギヤ85eの順に大径となるようにされている。
【0075】
植付用シフトギヤ84は、第二変速操作ロッド27をスライド移動操作されることにより、第一植付用低速ギヤ84aと第一遊嵌ギヤ85aとの噛み合いと、第一植付用高速ギヤ84bと第五遊嵌ギヤ85eとの噛み合いとのいずれかを選択できるようにされている。これにより、植付用シフトギヤ84から伝動下手側へ伝達される動力を2段に変速できるように構成されている。このように、植付用シフトギヤ84、第二変速操作ロッド27、第一遊嵌ギヤ85a、第五遊嵌ギヤ85e等により、ミッションケース3内に配置される第二変速機構S2が構成されている。つまり、第二変速機構S2は、エンジンEからの動力を2段(「複数段」の一例)に変速することにより、「作業装置」である苗植付装置2による「対地作業」としての苗植付作業の間隔(株間)を2段階に変化させる。
【0076】
第四伝動軸80及び第一伝動軸63の伝動下手側には、第一伝動軸63に平行な第五伝動軸86がミッションケース3内に支持されて備えられている。第五伝動軸86には、第一伝達ギヤ87a、第二伝達ギヤ87b、第三伝達ギヤ87c、第四伝達ギヤ87dが相対回動自在に支持されて備えられている。ギヤの径は、第一伝達ギヤ87a、第二伝達ギヤ87b、第三伝達ギヤ87c、第四伝達ギヤ87dの順に小径となるようにされている。第一遊嵌ギヤ85aには第一伝達ギヤ87aが常時噛み合いされ、第二遊嵌ギヤ85bには第二伝達ギヤ87bが常時噛み合いされ、第三遊嵌ギヤ85cには第三伝達ギヤ87cが常時噛み合いされ、第四遊嵌ギヤ85dには第四伝達ギヤ87dが常時噛み合いされている。そして、第五伝動軸86には、第三ベベルギヤ88が固定されている。
【0077】
第五伝動軸86の中心に挿入された第一変速操作ロッド26を軸心方向にスライド移動操作して第一変速操作ロッド26の一端側に備えた大径カム部26aによって第五伝動軸86に係合支持される伝動ボール(図示せず)を半径方向外方に押し出し変位させる。伝動ボールを、第一伝達ギヤ87a、第二伝達ギヤ87b、第三伝達ギヤ87c、第四伝達ギヤ87dのいずれか一つの中心孔に係合させることにより、4組の常噛ギヤ対のうちの一組のみを選択して噛み合い伝動を行い、従動側の第五伝動軸86に伝達される動力を4段に変速できるように構成されている。このように、第一伝達ギヤ87a、第二伝達ギヤ87b、第三伝達ギヤ87c、第四伝達ギヤ87d、第一変速操作ロッド26、伝動ボール等により、ミッションケース3内に配置される第一変速機構S1が構成されている。つまり、第一変速機構S1は、エンジンEからの動力を4段(「複数段」の一例)に変速することにより、「作業装置」である苗植付装置2による「対地作業」としての苗植付作業の間隔(株間)を4段階に変化させる。
【0078】
このように、植付系の動力は、第一変速操作ロッド26の操作による4段の変速と、第二変速操作ロッド27の操作による2段の変速との組み合わせにより、合計8段の変速を行うことができるように構成されている。
【0079】
ミッションケース3の後部側には、ミッションケース3に対して相対回動自在に支持された筒体90が備えられている。筒体90には、第四ベベルギヤ91が備えられている。第四ベベルギヤ91は、第五伝動軸86に固定された第三ベベルギヤ88に噛み合わされている。
【0080】
ミッションケース3の後部には、ミッションケース3の後端部から後ろ向きに突出され、筒体90と同心状に、筒体90の内側に位置する植付出力軸92が備えられている。植付出力軸92には、植付出力軸92と一体回転し、かつ、植付出力軸92に対してスライド移動自在とされる植付クラッチ93がスプライン構造により外嵌されて備えられている。植付クラッチ93は、筒体90に係合する係合状態と、筒体90に係合しない係合解除状態とに切り換えることができる。植付クラッチ93を係合状態にすると、第五伝動軸86の動力は、第三ベベルギヤ88、第四ベベルギヤ91、筒体90、植付クラッチ93を介して、植付出力軸92に動力が伝達される。一方、植付クラッチ93を係合解除状態にすると、第五伝動軸86から植付出力軸92への動力伝達を切ることができる。植付クラッチ93は、係合状態となる側に付勢されており、ブッシュ95に支持された操作軸94を出退することにより、係合状態と係合解除状態との切り換えを行うように構成されている。
【0081】
図8に示されるように、植付出力軸92の動力は、回転伝動軸96を介してフィードケース97の入力軸98に伝達される。入力軸98に入力された動力により、植付アーム23の駆動及び植付アーム23での苗植え動作に連動して苗のせ台20の往復運動が行われる。これにより、機体の走行速度に対応して第一変速機構S1及び第二変速機構S2によって変速された植付速度にて圃面への苗の植え付けが行われる。これにより、第一変速機構S1及び第二変速機構S2の操作により、所望の植え付け間隔(株間)で田植えを行うことができる。
【0082】
〔ミッションケースの構造〕
上記ミッションケース3の内部構造が
図3乃至
図6に示されている。
ミッションケース3は、左右方向での一端側に開口部30aを形成した箱状のケース本体部30と、前記開口部30aを閉塞するように設けられた蓋状ケース部31との、分割ケース体の組み合わせによって構成されている。このケース本体部30と蓋状ケース部31とは、アルミダイキャスト製であり、ケース本体部30の開口部30aに対向させて蓋状ケース部31をボルト連結することにより一体化されている。
図4及び
図6に示すように、ケース本体部30は、箱状のミッションケース3の機体進行方向での前面を構成する前壁30fと、ミッションケース3の後面を構成する後壁30rと、ミッションケース3の上面を構成する上壁30tと、ミッションケース3の底面を構成する底壁30bと、ミッションケース3の左側面を構成する横壁30sとを備えている。そして、前記蓋状ケース部31が、ミッションケース3の右側面を構成し、ミッションケース3が全体としてほぼ矩形の箱状となるように形成されている。
【0083】
図2乃至
図4に示すように、ミッションケース3の上面には、ケース本体部30の上壁30tの前部位置に、パワーステアリング装置としての油圧式トルクジェネレータ4が若干後倒れ姿勢で搭載設置されている。そのトルクジェネレータ4からは、前記ステアリング操作軸15aが斜め後方上方に向けて延出されている。トルクジェネレータ4の下側からは、ステアリング操作軸15aと同軸心状で下向きの出力軸4aが、ミッションケース3内に突入するように配備されている。
出力軸4aの下端側には、内周側にスプライン部を備えたジョイント40を介して、前記出力軸4a及び前記ステアリング操作軸15aと同軸心状にステアリングシャフト41が連結されている。つまり、ステアリングシャフト41の上端部41aには外周にスプラインが形成されていて、前記ジョイント40の内周側のスプラインに係合している。
【0084】
図4乃至
図6に示すように、ミッションケース3のケース本体部30の底壁30b側の前部位置には、ステアリングシャフト41の挿抜用の底部開口32が形成されている。
この底部開口32は、ミッションケース3の下方側からステアリングシャフト41を挿抜可能であるように形成されたものであるとともに、ステアリングシャフト41の下端側を枢支するための下部ベアリング43d(下部第1軸受部に相当する)の装着部としても用いられている。
ステアリングシャフト41は、上端部41aとは反対側の下端近くにピニオンギヤ42が一体形成されており、下部ベアリング43dはステアリングシャフト41のピニオンギヤ42が存在する箇所よりも下方側へ延出された軸部分に外嵌して、前記底部開口32に嵌着されている。
【0085】
ミッションケース3のケース本体部30の底壁30bには、ステアリングシャフト41の挿抜用の底部開口32が形成された箇所よりも後方側寄りに離れた箇所に、ピットマンアーム44と一体に回動するように設けられたアーム支軸45を装着するための、別の底部開口33が形成されている。この別の底部開口33は、前記アーム支軸45を枢支するための下部ベアリング48d(下部第2軸受部に相当する)の装着部としても用いられている。
アーム支軸45の前記下部ベアリング48dに枢支された箇所よりも上方側の外周面には、セクトギヤ46(操向ギヤに相当する)の内周側に形成されたスプラインと係合するスプラインが形成され、セクトギヤ46が、アーム支軸45に対して挿抜可能に、かつ一体回動するように装着されている。
【0086】
上記のセクトギヤ46がステアリングシャフト41のピニオンギヤ42と噛合して、ステアリングシャフト41の回動に伴ってセクトギヤ46が回動操作される。セクトギヤ46の回動に伴ないアーム支軸45を介してピットマンアーム44が所定角度範囲内で揺動作動する。
ピットマンアーム44の遊端部に連結されたタイロッド47が図示されていないナックルアームに連動連結されて、左右の前輪11F,11Fがピットマンアーム44の揺動作動量に応じて操向操作されるように構成されている。
【0087】
図4及び
図5に示すように、前記ステアリングシャフト41は、ピニオンギヤ42が存在する箇所よりも下方側へ延出された軸部分のみならず、ピニオンギヤ42の上方側でも、上部ベアリング43u(上部第1軸受部に相当する)によって枢支されている。
図4乃至
図6に示すように、上部ベアリング43uは、ミッションケース3の前壁30fと横壁30sとから、ミッションケース3の内部で水平方向に延出されたシャフト側取付部34に取り付けられている。
図5に示すように、シャフト側取付部34は、その下面側に、上部ベアリング43uを下方から嵌入可能な凹部34aが形成されており、上部ベアリング43uを下方から嵌入させてステアリングシャフト41を枢支するように構成されている。
【0088】
この上部ベアリング43u及び下部ベアリング43dの外径は、前記底部開口32の内径D3よりも僅かに小径で、適宜のはめ合い公差を有して嵌合し、ミッションケース3の底部開口32を通して挿抜可能に構成されている。また、上部ベアリング43u及び下部ベアリング43dの内径は、ステアリングシャフト41の外径D1よりも僅かに大径で、適宜のはめ合い公差を有して嵌合し、かつピニオンギヤ42の外径D2よりも小さく設定されている。
この上部ベアリング43uと下部ベアリング43dとが、ピニオンギヤ42の上端縁と下端縁とに接触して、ピニオンギヤ42を上下で挟む状態で、上部ベアリング43uが凹部34aに嵌入され、下部ベアリング43dが底部開口32内で、止めリング32aによって抜け止め状態に保持されている。
【0089】
図4及び
図5に示すように、前記アーム支軸45は、セクトギヤ46が存在する箇所よりも下方側位置する軸部分のみならず、セクトギヤ46の上方側でも、上部ベアリング48u(上部第2軸受部に相当する)によって枢支されている。
図4乃至
図6に示すように、上部ベアリング48uは、ミッションケース3の横壁30sから、ミッションケース3の内部で水平方向に延出されたアーム側取付部36に取り付けられている。
図5に示すように、アーム側取付部36は、その下面側に、上部ベアリング48uを下方から嵌入可能な凹部36aが形成されており、上部ベアリング48uを下方から嵌入させてアーム支軸45を枢支するように構成されている。
【0090】
この上部ベアリング48u及び下部ベアリング48dの外径は、前記底部開口33の内径D6よりも僅かに小径で、適宜のはめ合い公差を有して嵌合し、ミッションケース3の底部開口33を通して挿抜可能に構成されている。
また、下部ベアリング48dの内径は、アーム支軸45のスプライン部分の外径D5よりも僅かに大径で、適宜のはめ合い公差を有して嵌合し、上部ベアリング48uの内径は、前記アーム支軸45のスプライン部分よりも上方側の軸部分における外径D4よりも僅かに大径で、適宜のはめ合い公差を有して嵌合している。
この上部ベアリング48uと下部ベアリング48dとが、セクトギヤ46の上端縁と下端縁とに接触して、セクトギヤ46を上下で挟む状態で、上部ベアリング48uが凹部36aに嵌入され、下部ベアリング48dが底部開口33内で、止めリング33aによって抜け止め状態に保持されている。
【0091】
図4乃至
図6に示すように、シャフト側取付部34とアーム側取付部36は、そのシャフト側取付部34とアーム側取付部36との中間に位置する中間接続部35によって互いに一体的に接続されている。中間接続部35は、ケース本体部30の左横壁30sの内面からリブ状に突出形成されていて、軸受け取付用の凹部などが形成されるものではないので、図示のように、上下方向厚みはシャフト側取付部34やアーム側取付部36よりも薄く、また、平面視でも、シャフト側取付部34やアーム側取付部36よりも左横壁30sからの突出量は少なく形成されている。
つまり、ステアリングシャフト41を支持する上部ベアリング43uが取り付けられるシャフト側取付部34や、アーム支軸45を支持する上部ベアリング48uが取り付けられるアーム側取付部36は、中間接続部35よりも上下方向での厚みが厚く、水平方向でも、中間接続部35よりも左右方向に幅広く形成されている。
中間接続部35は、シャフト側取付部34やアーム側取付部36よりも厚みも少なく、面積も狭いものであるが、シャフト側取付部34とアーム側取付部36とを接続することで、ミッションケース3の重量増加をできるだけ避けながら、シャフト側取付部34やアーム側取付部36の強度を効果的に増強し得る。
【0092】
アーム側取付部36には、そのアーム側取付部36の上面とミッションケース3のケース本体部30の左横壁30sとにわたって縦リブ37が一体に形成されている。この縦リブ37は、アーム側取付部36に支持されるアーム支軸45の軸心に平行な上下方向の板面を有しており、アーム側取付部36に作用する上下方向の負荷に対する補強を効果的に行えるように設けられている。
この縦リブ37は、アーム支軸45を枢支する上部ベアリング48uの前後両側に位置する状態で設けられている。そして、前後の縦リブ37のうち、ステアリングシャフト41に近い側の縦リブ37aよりも、ステアリングシャフト41から遠い側の縦リブ37bが大きく形成されている。
また、両縦リブ37a,37bは、水平方向に沿う横向きリブ38によって互いに連結され、さらに剛性を増すように構成されている。
【0093】
〔ブレーキ操作系の構造〕
図7及び
図9乃至
図13に示すように、走行出力軸74に回転抵抗を与えて走行車体1を制動することが可能なブレーキ78が、ミッションケース3の後部に内装されている。このブレーキ78に対して人為操作で制動力を付与するブレーキ操作機構5がミッションケース3、及びミッションケース3を配設した車体フレーム10の右側部に装備されている。
【0094】
ブレーキ操作機構5は、ブレーキペダル50と、ブレーキペダル50を揺動自在に枢支する枢支軸51と、ブレーキ操作軸52と、前記枢支軸51とブレーキ操作軸52とを連係作動させるための連係機構53とを備えている。
ブレーキペダル50は、
図3、
図10、及び
図13に示すように、足で踏み込み操作可能な踏面部50aを備えている。この踏面部50aと枢支軸51との連結箇所においては、枢支軸51から踏面部50aに至る前支持杆50bと、枢支軸51から前支持杆50bとは反対側に延出される後支持杆50cと、枢支軸51に外嵌する筒状部50dと、筒状部50dの機体内方側の端部に一体形成されて後方側へ延出された操作アーム50eとが備えられている。
そして、前支持杆50bと後支持杆50cとを筒状部50dに固定し、後支持杆50cの端部と操作アーム50eの延出端側とを連結することにより、ブレーキペダル50を揺動自在に枢支する枢支軸心x1を備えた枢支軸51の周辺部において、枠組み状の取付部が構成されるようにして、ブレーキペダル50の取付強度を向上させている。
【0095】
前支持杆50bと後支持杆50cとを筒状部50dに固定する箇所では、扁平板状の接続板50fが介在されている。
つまり、ブレーキペダル50の一部である前支持杆50bや後支持杆50cは断面が円弧状周面を有したパイプ状部材で構成されており、枢支軸51に外嵌する筒状部50dも断面が円弧状周面を有したパイプ状部材で構成されている。
そして、前支持杆50bや後支持杆50cの軸線方向と、枢支軸51に外嵌する筒状部50dの軸線方向とは、互いにほぼ直交する方向で交差している。このため、前支持杆50bや後支持杆50cの円弧状周面と、筒状部50dの円弧状周面とが交差する箇所では、ほぼ点接触に近い状態での接触状態となる。
このような接触箇所では、溶接して接合させる際の溶接代が極端に少なくなるので、この発明では、前記接続板50fを互いの接触箇所に挟まれた状態に介在させることによって、前支持杆50bや後支持杆50cと接続板50fとの間ではほぼ線接触状態となり、筒状部50dと接続板50fとの間でもほぼ線接触状態となる。これによって、前支持杆50bや後支持杆50cの長手方向、及び筒状部50dの長手方向に沿う十分な溶接長を確保でき、所要の接続強度を確保し易くなる。
【0096】
ブレーキペダル50を枢支する枢支軸51は、
図2及び
図10に示すように、車体フレーム10を構成する左右一対のメインフレーム10Aから下向きに延出された固定ブラケット10Bを貫通する状態で、固定ブラケット10Bに対して回動自在に装着されている。この枢支軸51の右外端部には前記筒状部50dが外嵌していて、図示しない連結ピンで一体回動するように連結支持されている。
図2及び
図10に示されるように、枢支軸51には、左右方向での中間位置に、枢支軸51と一体回動する腕杆51aが上向きに立設されている。この腕杆51aの遊端部と、メインフレーム10Aに固定された係止片10Cとの間に復帰バネ56が張設されていて、ブレーキペダル50の踏み込み後の戻り付勢を行うように構成されている。
【0097】
ブレーキ操作軸52は、
図9乃至
図11に示すように、一端側がミッションケース3の後部に備えた支持孔39に挿入状態で支持され、支持孔39から露出した他端側に連係用アーム部52aが一体的に溶接固定されている。
ブレーキ操作軸52の前記支持孔39に挿入された一端側には、ブレーキ78の円盤状の押圧体78aに接触して、その押圧体78aを摩擦板78b側へ押圧することにより、走行出力軸74に対して制動を与えられるように、押圧操作部54が形成されている。
この押圧操作部54は、
図9及び
図11,12に示すように、丸棒状のブレーキ操作軸52の外周部をほぼ1/4周に相当する範囲でL字状に切り欠いて、ブレーキ操作軸52の外周部に、軸線方向に沿い、かつ、ほぼ直交する方向の二面54a,54bを有した状態に切り欠かれた凹溝状部分を設けることによって構成されている。
これによって、ほぼ直交する方向の二面54a,54bを有した凹溝状部分の一面54bがブレーキ78の円盤状の押圧体78aの後面側に接触する状態に位置させて、ブレーキ操作軸52を回転させることにより、凹溝状部分の一面54bが押圧体78aの後面側を前方側へ押圧して、制動作用を発揮するように構成されている。
【0098】
上記の押圧操作部54は、丸棒状のブレーキ操作軸52の外周部を切り欠くことによって形成されたものである。そのため、押圧操作部54が形成されている箇所におけるブレーキ操作軸52の断面径は、ブレーキ操作軸52の丸棒部分の外径の範囲内である。つまり、押圧操作部54は、ブレーキ操作軸52の軸心方向視で、そのブレーキ操作軸52がミッションケース3のケース壁を貫通する箇所における軸断面積の範囲内に存在している。
したがって、ブレーキ操作軸52を支持孔39に対する挿抜方向へ移動させる際には、走行出力軸74やブレーキ78の分解操作などを要することなく挿抜可能である。
【0099】
ブレーキ操作軸52の他端側に設けた連係用アーム部52aの遊端部は、
図2及び
図10に示すように、中間にターンバックル55aを備えた連係ロッド55(連結部材に相当する)を介してブレーキペダル50の筒状部50dから後方側へ延出された操作アーム50eと連結されている。
これによって、ブレーキペダル50を踏み込むと、後支持杆50cが操作アーム50eを枢支軸51の枢支軸心x1回りで回動させて上方側へ引き上げ操作する。これに伴って連係ロッド55が連係用アーム部52aの遊端部をブレーキ操作軸52の軸心回りで回動させて上方側へ引き上げ操作する。
このとき、ブレーキ操作軸52の押圧操作部54では、ブレーキ78の押圧体78aの後面側に接触する凹溝状部分の一面54bが、押圧体78aを摩擦板78bの存在する側へ押しつけるように回動して、ブレーキ78の摩擦板78bを押圧し、走行出力軸74に制動力が付与される。
ブレーキペダル50の踏み込みを解除すると、復帰バネ56がブレーキペダル50を戻り側へ揺動復帰させ、連係ロッド55に連係されたブレーキ操作軸52も、押圧操作部54の前記一面54bがブレーキ78の押圧体78aの後面側から離れる側へ逆回転し、走行出力軸74の制動が解除される。
上記のブレーキペダル50の筒状部50dから延出された操作アーム50eと、ブレーキ操作軸52の他端側に設けた連係用アーム部52aと、その操作アーム50eと連係用アーム部52aとを連結する連係ロッド55とを備えることによって連係機構53が構成されている。
【0100】
〔規制部材〕
ブレーキ操作軸52の支持孔39からの抜け出しを規制する構造について説明する。
図9乃至
図12に示すように、ブレーキ操作軸52の軸線方向での中間位置に鍔状部52b(係合部に相当する)が一体に設けられている。この鍔状部52bは、ブレーキ操作軸52の押圧操作部54が存在する側の端部を支持孔39に挿入した状態で、支持孔39から露出する側の軸部分に位置している。
【0101】
図11に示すように、ミッションケース3の前記支持孔39の上部におけるミッションケース壁には、ネジ孔39aが設けてあり、このネジ孔39aに螺着する固定ボルト58によって規制部材57を固定可能に構成してある。
規制部材57は、ブレーキ操作軸52の外周面に沿う円弧状の湾曲凹部57aを備えて、この湾曲凹部57aがブレーキ操作軸52の上半部を跨ぐ状態で装着されている。規制部材57の上部に貫通孔57bを設けてあり、この貫通孔57bに前記固定ボルト58を挿通して締め付け固定することにより、ミッションケース壁に規制部材57が固定される。
【0102】
図12に示すように、規制部材57が存在する箇所の両横側方のミッションケース壁には、規制部材57を固定ボルト58で固定する際に、その規制部材57の横側縁57cと当接して、それ以上の規制部材57の揺動を規制するストッパー部30c,30c(ストッパーに相当する)が設けられている。このストッパー部30c,30cは、
図12に仮想線で示すように、規制部材57が右方向もしくは左方向のいずれに揺動した場合にも、その規制部材57の湾曲凹部57aの内周縁がブレーキ操作軸52の外周面に接触することを規制できるように設けられたものである。
したがって、規制部材57をミッションケース壁に固定、もしくは固定解除する際に、固定ボルト58の締め込み回転、もしくは弛め方向の回転に伴って規制部材57が連れ回り回転して、その湾曲凹部57aの内周縁がブレーキ操作軸52の外周面に接触することを回避できるようにしてある。このように構成することで、ブレーキ操作軸52の外周面に規制部材57との接触傷が生じることを避けられる。
【0103】
図10に示すように、規制部材57はメインフレーム10Aよりも左右方向で機体内方側に位置し、ブレーキ操作軸52の連係用アーム部52aはメインフレーム10Aよりも左右方向で機体外方側に位置している。
このように構成することで、ミッションケース3の外側に設けられることになる規制部材57が他物と接触する可能性を極力低くしている。そして、ブレーキ操作軸52を引き抜いて点検を行う場合などのメンテナンス作業時には、外部からの操作で規制部材57による固定を簡単に解除することができ、かつ、メインフレーム10Aよりも左右方向で機体外方側に位置しているブレーキ操作軸52の外端部を把持して簡単に引き出すことができる。このように、ミッションケース3の分解や車体フレーム10の分解作業などを伴わずにメンテナンス作業の簡素化を図り得るものである。
【0104】
〔バッククラッチ操作〕
図8に示すように、ミッションケース3内に配備された第二伝動軸65から苗植付装置2に動力を伝達する伝達経路には、ステアリングハンドル15の横側部に設けた主変速レバー16の後進変速位置R側への揺動操作に伴って動力伝達を解除するバッククラッチ100が設けられている。
このバッククラッチ100は、第二伝動軸65の伝動下手側に相対回転自在に設けてある作業用出力ギヤ81に対して、軸線方向での遠近移動により係脱可能に構成されており、作業用出力ギヤ81に近接すると係合してクラッチ入り状態となり、苗植付装置2に動力を伝達する。作業用出力ギヤ81から離れる方向に移動すると係合が解除されてクラッチ切り状態となり、苗植付装置2への動力伝達を解除するように構成されている。
【0105】
上記のバッククラッチ100の入り切り操作と、主変速レバー16の前後進の切換操作とを連係させるための連係機構101が備えられている。この連係機構101は次のように構成されている。
図14に示すように、ガイド溝16A内を前後に揺動移動して、前進変速位置F側と後進変速位置R側とに揺動操作される主変速レバー16の操作のうち、主変速レバー16と接触して後進変速位置R側への操作を検出するための検出レバー102(検出手段に相当する)が、上下軸103回りで揺動自在に支持されている。
その検出レバー102の検出端102a側の前進変速位置F側への移動は、ガイド溝16A近くの原動部13に備えたストッパー104によって規制されている。したがって、主変速レバー16の前進変速位置Fと中立位置Nとの間での操作は、検出レバー102での検出対象の範囲外にある。
【0106】
主変速レバー16の後進変速位置R側への操作を検出した検出レバー102の前記検出端102aとは反対側の端部102bは、連結ロッド105を介してベルクランク106と連係されている。ベルクランク106は、上下軸107回りで回動自在に支持されており、前記連結ロッド105と連結された側とは反対の端部に連係用の長孔106aを備えている。
ミッションケース3の上部には、そのミッションケース3の上壁30tを貫通して回動自在に上下軸108が設けられている。この上下軸108の上端部に、揺動操作部材109(連動アームに相当する)が一体に設けられている。揺動操作部材109は、ミッションケース3の上壁30tの上側に位置して、一端部に設けたピン109aが前記ベルクランク106の長孔106aに係入するように構成されている。揺動操作部材109の他端側は、ミッションケース3の上壁30tを貫通した上下軸108の下端側に位置してミッションケース3の内部に位置する操作体109bを備えている。
したがって、ベルクランク106の揺動操作にともなって前記長孔106aと前記ピン109aとを介して揺動操作部材109が上下軸108回りで揺動操作される。この揺動操作部材109の前記上下軸108回りでの揺動操作に伴って、揺動操作部材109の他端側の操作体109bが、ミッションケース3内に配設されているバッククラッチ100を入り切り操作するように構成されている。
【0107】
前記ミッションケース3の上壁30tを貫通して回動自在に設けられた上下軸108は、その外周にブッシュ110を外嵌させて、ミッションケース3の上壁30tに回動自在に装備されている。
【0108】
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、ステアリングハンドル15の操作をステアリング操作軸15aを介してトルクジェネレータ4に伝え、そのトルクジェネレータ4の出力を、ステアリングシャフト41を介してピットマンアーム44に伝えるように構成した構造のものを例示したが、このような構造に限られるものではない。
例えば、トルクジェネレータ4を省略して、ステアリングハンドル15の操作が直接的にステアリングシャフト41に伝えられるように構成し、そのステアリングシャフト41の操作にともなってピットマンアーム44が操作されるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0109】
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、ミッションケース3として、割面が前後方向の上下に沿い、左右に分割されたケース本体部30と蓋状ケース部31との分割ケース体で構成した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。例えば、割面が左右方向の上下に沿い、前後に分割された構造、もしくは、割面が水平方向に沿い、上下に分割された構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0110】
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、規制部材57が、その固定側への回転方向でも、固定解除時の回転方向でも、規制部材の横側縁57cと当接して、規制部材57の湾曲凹部57aの内周面がブレーキ操作軸52の外周面と接触することを避けられるように、ストッパー部30c,30cを規制部材57の両横外側に設けた構造のもの例示したが、これに限られるものではない。
例えば、規制部材57の固定側への回転方向における規制部材57の湾曲凹部57aの内周面とブレーキ操作軸52の外周面との接触を避けられるように、ストッパー部30cを規制部材57の一方の横外側に設け、規制部材57の固定解除側への回転方向では、その規制部材57の移動を牽制しないように、規制部材57の他方の横外側にはストッパー部30cを設けない構造であっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0111】
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、規制部材57の揺動移動を規制するストッパー部30c,30cとして、ケース壁の一部がストッパー部30c,30cを兼ねる構造のものを例示したが、これに限らず、別途、専用の当たり部材を設けるなど、適宜の構成を採用し得るものである。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0112】
〔別実施形態の5〕
上記の実施形態では、規制部材57が一本の固定ボルト58を介してミッションケース壁に固定された構造のものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、規制部材57を環状に形成して、上下又は左右の2本、あるいはそれ以上の複数本の固定ボルト58で固定するように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0113】
〔別実施形態の6〕
上記の実施形態では、ブレーキ操作軸52の外周面に、外方側へ突出する鍔状部52bを設けることによって係合部を構成したものであるが、このような構造に限られるものではない。例えば、ブレーキ操作軸52自体を、押圧操作部54を備えて支持孔39に挿入される側の軸径よりも、押圧操作部54から遠い端部側の軸径を大きくした段付き軸によって構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0114】
〔別実施形態の7〕
上記の実施形態では、ブレーキ操作軸52の外周面に、外方側へ突出する鍔状部52bを設けることによって係合部を構成したものであるが、係合部としては、このようにブレーキ操作軸52の外周面から外方側へ突出する構造に限られるものではない。
例えば、ブレーキ操作軸52の外周面に環状溝など凹入部分を形成して、その凹入部分に規制部材57が係入するような構造によってブレーキ操作軸52の軸線方向移動を規制するようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0115】
〔別実施形態の8〕
上記の実施形態では、ブレーキペダル50の前支持杆50bや後支持杆50c、及び筒状部50dを円形断面のもので構成した構造を例示したが、これに限られるものではない。例えば、前支持杆50bや後支持杆50cと、筒状部50dとの接触箇所を少し扁平状に近づくように変形させた構造のものであってもよい。この場合、接続板50fの使用を省略することも可能である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。