特許第6116475号(P6116475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116475
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】スクロールポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   F04C18/02 311B
   F04C18/02 311E
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-506741(P2013-506741)
(86)(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公表番号】特表2013-525683(P2013-525683A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】GB2011050688
(87)【国際公開番号】WO2011135324
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】1007028.2
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】スコフィールド ナイジェル ポール
(72)【発明者】
【氏名】リウ マイケル チュン カウ
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−523301(JP,A)
【文献】 特開昭56−018090(JP,A)
【文献】 特表2000−509786(JP,A)
【文献】 特開2003−227476(JP,A)
【文献】 特開2002−371977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジングと、同心シャフト部及び周回スクロールに結合される偏心シャフト部を有するドライブシャフトとを備えるスクロールポンプであって、
前記シャフトは、使用時にシャフトの回転が固定スクロールに対する周回スクロールの周回運動を与えて、前記スクロールポンプのポンプ入口とポンプ出口との間の流体流路に沿って流体をポンプ送給するようにモータによって駆動されるように構成され、前記固定スクロールは、前記シャフトが貫通して延びて前記固定スクロールの前記モータに対して反対側で前記周回スクロールに結合される開口と、前記周回スクロールに固定され、前記スクロール構成要素の入口側に位置づけられた高真空領域と、概して前記スクロール構成要素の出口側に位置づけられた低真空領域との間をシールするキャップとを備え、
無潤滑油の回転防止装置は、周回スクロールの回転を阻止すると共に前記周回運動を可能にするように前記スクロール構成要素の周回スクロール側の前記高真空領域に配置され、同心シャフト部及び偏心シャフト部を回転支持するベアリング構成要素は、前記低真空領域に配置されており、
回転防止装置は、2つの対向するアーム対が延びる中央本体部を備え、第1の対は前記ハウジングに結合され、第2の対は前記周回スクロールに結合され、前記第1の対は可撓性があり前記ハウジングに対する前記周回スクロールの第1の方向の動きを可能にし、前記第2の対は可撓性があり前記ハウジングに対する前記周回スクロールの前記第1の方向に略直交する第2の方向の動きを可能にし、
前記ポンプは、前記ポンプの前記周回構成要素の重量バランスをとるためのカウンターウェイトを備え、前記カウンターウェイトは、前記低真空領域であって前記周回スクロールのスクロールプレートに隣接して配置されることを特徴とするスクロールポンプ。
【請求項2】
前記回転防止装置は、可撓性のあるプラスチック材料からできている、請求項1に記載のスクロールポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機と呼ばれる場合もあるスクロールポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
図3に従来のスクロール圧縮機又はポンプ100を示す。ポンプ100は、ポンプハウジング102及び偏心シャフト部106を有するドライブシャフト104を備える。シャフト104はモータ108で駆動され、偏心シャフト部は周回スクロール110に結合されて、使用時にシャフトの回転が固定スクロール112に対する周回スクロールの周回運動を与えて、圧縮機のポンプ入口114とポンプ出口116との間の流体流路に沿って流体をポンプ送給するようになっている。
【0003】
周回スクロールと固定スクロールとの間の半径方向の隙間は厳密に管理されるので、スクロール要素において一般に潤滑は必要ない。スクロール間の軸方向の隙間はチップシールで封止される。この構成は、スクロールポンプが半導体加工ツールにおけるようなドライ又はクリーンな環境をポンプ送給するのに適していることを意味する。しかしながら、同軸シャフト104及び偏心シャフト部106は、一般に潤滑油を用いるベアリング118及び120で支持される。ベローズ構成要素122は、スクロール構成要素の周回スクロール側に配置され、ベアリングを入口114の高真空領域124から隔離するが、ベアリングを包含する領域126は一般に大気であるか又は大気に近い。このようにして、ベローズ構成要素は、高真空領域124が潤滑油及び他汚染物質で汚染されることを防止する。また、ベローズ構成要素は、周回スクロールの回転を防止するが、十分に可撓性があり周回運動を可能にする。カウンターウェイト128は、ポンプの周回構成要素の重量バランスをとるために設けられる。
【0004】
図4に示す他のスクロールポンプ150において、ベローズ構成要素の代わりに、回転防止装置152は、固定部又はハウジング部154に対する周回スクロール110の回転を阻止する。この装置152は、固定部材156によってハウジング部及び周回スクロールに固定され、周回スクロールの周回運動を可能にするように可撓性がある。しかしながら、ベローズ構成要素122がないので、ベアリング118、120又はモータ108からの潤滑油は、ポンプ送給されるガス流路に漏れて、特にベアリングの両端の高真空から低真空の大きな差圧が原因で汚染を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、回転防止装置152は無潤滑油で、シャフトシール158、160を設けてベアリングをポンプの高真空領域124からシールする必要がある。ベアリングの両端の大きな差圧に照らして、ポンプの高真空領域への何らかの漏れは依然として発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも以下に詳細に説明する実施例において、公知のスクロールポンプよりも更にコンパクトな改善されたスクロールポンプを提供する。
本発明は、スクロールポンプを提供し、該スクロールポンプは、ポンプハウジングと、同心シャフト部及び周回スクロールに結合される偏心シャフト部を有するドライブシャフトとを備え、シャフトは、使用時にシャフトの回転が固定スクロールに対する周回スクロールの周回運動を与えて、圧縮機のポンプ入口とポンプ出口との間の流体流路に沿って流体をポンプ送給するようにモータによって駆動されるように構成され、固定スクロールは、シャフトが貫通して延びて固定スクロールのモータに対して反対側で周回スクロールに結合される開口を有し、高真空領域は、スクロール構成要素の周回スクロール側に位置づけられ、低真空領域は、概してスクロール構成要素の固定スクロール側に位置づけられ、無潤滑油の回転防止装置は、周回スクロールの回転を阻止すると共に周回運動を可能にするように高真空領域に配置され、同心シャフト部及び偏心シャフト部を回転支持するベアリング構成要素は、低真空領域に配置される。
【0007】
本発明の他の好ましい及び/又は随意的な態様は添付の請求項で定義される。
本発明を十分に理解できるように、例示的に示される実施形態は、添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スクロールポンプを概略的に示す。
図2図1に示すスクロールポンプの回転防止装置を示す。
図3】スクロールポンプの第1の従来技術を示す。
図4】スクロールポンプの第2の従来技術を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はスクロール圧縮機又はポンプ10を示す。ポンプ10は、ポンプハウジング12及び偏心シャフト部16を有するドライブシャフト14を備える。シャフト14はモータ18で駆動され、偏心シャフト部は周回スクロール20に結合され、使用時にシャフトの回転が固定スクロール22に対する周回スクロールの周回運動を与えて、圧縮機のポンプ入口24とポンプ出口26との間の流体流路に沿って流体をポンプ送給するようになっている。図1において、固定スクロールは概して左側に示され、周回スクロールは概して右側に示されている。この構成において、固定スクロールは、シャフト14、16が貫通して延びる開口28を備え、シャフトは固定スクロールのモータ18に対して反対側において周回スクロール20に結合される。高真空領域30は入口24に位置づけられ、低真空又は大気領域32は出口26に位置づけられる。このようにして、スクロール構成要素は、図3及び4に示す配置とは逆になっている。
【0010】
第1のベアリング34は、ドライブシャフト14の同心部を回転支持する。ベアリング34は、ハウジング又は図示のような固定スクロール22に対して固定される。第2のベアリング36は、ドライブシャフトの偏心シャフト部16を周回スクロール20に結合して、周回スクロールの偏心シャフト部に対する角運動を可能にする。第1のシャフトシール38は、潤滑油が第1のベアリング34から周回スクロール20と固定スクロール22との間の境界面40へ移動するのを阻止し、第2のシャフトシール42は、潤滑油が第2のベアリング36から境界面へ移動するのを阻止する。ここではベアリング構成要素が低真空領域に配置されるので、比較的小さな差圧がベアリングの両端に存在し、結果的にシャフトシール38、42によって漏れが有効に防止される。更に、無潤滑油の回転防止装置は、汚染のリスクなしで高真空領域に配置できる。逆のスクロール構成要素は公知であるが、従来の潤滑装置の構成はクリーンな環境でポンプ送給するのに適していない。
【0011】
カウンターウェイト44は、周回スクロール20、第2のベアリング36、及びドライブシャフトの偏心シャフト部16を含むポンプの周回構成要素の重量バランスをとる。周回スクロール20は周回構成要素の大部分の重さを占め、その質量中心は周回スクロールのスクロールプレートの比較的近くにある。キャップ46は、周回スクロールの隆起台座48に固定され、カウンターウェイト及びベアリング34、36を含み、一般には大気である又は大気に近い低真空領域を高真空領域30からシールする。
【0012】
回転防止装置50は、ポンプの高真空領域30に配置され、周回スクロール20及びハウジング12に結合される。回転防止装置は周回スクロールの回転を阻止するが、周回スクロールの周回運動は可能にする。回転防止装置は無潤滑油であり、本実施例ではプラスチック材料から作られ、一体部品のポリマー構成要素とすることができる。
【0013】
回転防止装置50は図2により詳細に示されている。回転防止装置は複数のアーム54、56を有する中央本体部52を備え、該アームは中央本体部から延びている。各々のアームは端部に結合部58を有する。各アームは、2つの対向するアーム対に配置される。各対54、56の一方はハウジング12に結合され、他方は周回スクロール20に結合される。図1において、第1の対54はファスナ58によってハウジング12に結合され、第2の対56はファスナ60によって周回スクロールに結合される。第2のアーム対56は図1では見ることはできないがファスナ60は破線で示されている。アーム54は可撓性があり、周回スクロールの「y」方向に動くことができる。
【0014】
回転防止装置50は無潤滑油なので、スクロール構成要素を通る流路を汚染することなく又はポンプ上流の加工ツールへの潤滑油の移動を生じることなく、高真空領域に配置することができる。ベアリング36は低真空領域に配置されるのでベアリングとシャフトシール42の差圧は最小限であり、結果的に流路の下流への潤滑油の漏れが低減する。カウンターウェイト44は周回スクロールのプレートの近くに配置されるので、軸方向の質量中心に近づく。従って、偏心シャフト部16の直径は公知のポンプに比べて小径にできるのでポンプ10はよりコンパクトになる。
図1
図2
図3
図4