(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理部は、蛍光パルス面積に基づいて、前記測定試料に含まれ、白血球および上皮細胞とは異なる異型細胞をさらに検出可能である、請求項2に記載の検体分析装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
尿および体液には、白血球、上皮細胞、異型細胞等の比較的大型の細胞だけでなく、細菌等の小型の細胞が含有される場合がある。例えば、白血球の直径は約10〜15μmであり、その核径は約10μmである。これに対して、細菌の直径は約0.4〜2μmしかない。つまり、細菌は白血球の核に比べて非常に小さい。
【0006】
特許文献1に記載された細胞分析装置は、大型の細胞を含む検体の分析には適しているが、尿または体液のような大型の細胞から小型の細胞まで幅広い大きさの細胞を含む検体を分析するには不向きであった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、大型の細胞から小型の細胞まで幅広い大きさの細胞を含む尿または体液等の検体を分析可能な検体分析装置および検体分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様の検体分析装置は、検体と核酸染色試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、前記測定試料に含まれる細胞に光を照射し、細胞から発せられた蛍光を受光して蛍光信号を出力する光学検出部と、前記光学検出部から出力された蛍光信号から、細胞の蛍光パルス面積および蛍光強度を取得する信号処理部と、前記測定試料に含まれる白血球を蛍光パルス面積に基づいて検出し、前記測定試料に含まれる細菌を蛍光強度に基づいて検出することが可能な情報処理部と、を備える。
【0009】
これにより、大型の細胞である白血球を蛍光パルス面積に基づいて正確に検出し、小型の細胞である細菌を蛍光強度に基づいて正確に検出することができる。
【0010】
上記態様において、前記情報処理部は、蛍光パルス面積に基づいて、前記測定試料に含まれる上皮細胞をさらに検出可能であるように構成してもよい。これにより、大型の細胞である上皮細胞も蛍光パルス面積に基づいて正確に検出することができる。
【0011】
また、上記態様において、前記情報処理部は、蛍光パルス面積に基づいて、前記測定試料に含まれ、白血球および上皮細胞とは異なる異型細胞をさらに検出可能であるように構成してもよい。これにより、大型の細胞である異型細胞も蛍光パルス面積に基づいて正確に検出することができる。
【0012】
また、上記態様において、前記情報処理部は、蛍光強度に基づいて、前記測定試料に含まれる真菌をさらに検出可能であるように構成してもよい。これにより、小型の細胞である真菌も蛍光強度に基づいて正確に検出することができる。
【0013】
また、上記態様において、前記情報処理部は、蛍光強度に基づいて、前記測定試料に含まれる精子をさらに検出可能であるように構成してもよい。これにより、小型の細胞である精子も蛍光強度に基づいて正確に検出することができる。
【0014】
また、上記態様において、前記情報処理部は、蛍光強度に基づいて、前記測定試料に含まれるトリコモナスをさらに検出可能であるように構成してもよい。これにより、小型の細胞であるトリコモナスも蛍光強度に基づいて正確に検出することができる。
【0015】
また、上記態様において、前記光学検出部は、測定試料の試料流を形成するためのフローセルと、前記フローセルにビームスポットを形成するように光を照射する光源と、を含み、前記試料流の流れ方向のビームスポットの径が、3μm以上8μm以下であるように構成してもよい。これにより、ビームスポットの径が大型の細胞よりも小さく、小型の細胞よりも大きくなり、大型の細胞を蛍光パルス面積に基づいて正確に検出することができ、また、小型の細胞を蛍光強度に基づいて正確に検出することができる。
【0016】
また、上記態様において、前記光学検出部は、細胞から発せられた散乱光を受光して散乱光信号を出力するように構成されており、前記情報処理部は、散乱光信号に基づく細胞のパラメータと前記蛍光パルス面積とに基づいて、前記測定試料に含まれる白血球を検出可能であるように構成してもよい。これにより、蛍光パルス面積だけでなく散乱光信号に基づく細胞のパラメータを用いて、より正確に白血球を検出することが可能となる。
【0017】
また、上記態様において、前記情報処理部は、散乱光信号に基づく細胞のパラメータと前記蛍光強度とに基づいて、前記測定試料に含まれる細菌を検出可能であるように構成してもよい。これにより、蛍光強度だけでなく、散乱光信号に基づく細胞のパラメータを用いて、より正確に細菌を検出することが可能となる。
【0018】
また、上記態様において、前記光学検出部は、第1の検出感度と、第1の検出感度よりも高感度の第2の検出感度とで蛍光信号を出力可能であり、前記情報処理部は、第1の検出感度で出力された蛍光信号の蛍光パルス面積に基づいて白血球を検出し、第2の検出感度で出力された蛍光信号の蛍光強度に基づいて細菌を検出することが可能であるように構成してもよい。これにより、細胞の大きさに応じて適切な感度の蛍光信号が用いられ、白血球および細菌をより正確に検出することが可能となる。
【0019】
また、本発明の他の態様の検体分析装置は、検体と核酸染色試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、光源とフローセルとを含み、前記光源により光が照射された前記フローセル内に前記測定試料の試料流を形成することで、前記測定試料に含まれる細胞から、細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータと、細胞の蛍光パルス面積および蛍光強度とを取得する測定部と、所定値以上の前記パラメータを有する細胞の種類を蛍光パルス面積に基づいて識別し、所定値未満の前記パラメータを有する細胞の種類を蛍光強度に基づいて識別する情報処理部と、を備える。
【0020】
これにより、細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータの値に応じて蛍光パルス面積と蛍光強度とが適切に用いられ、様々な大きさまたは核径の細胞を正確に検出することが可能となる。
【0021】
また、上記態様において、前記情報処理部は、所定値以上の前記パラメータを有し、かつ、ある範囲内の蛍光パルス面積を有する細胞を白血球、上皮細胞または異型細胞として識別し、所定値未満の前記パラメータを有し、かつ、ある範囲内の蛍光強度を有する細胞を、細菌、真菌、精子またはトリコモナスとして識別するように構成してもよい。これにより、大型の細胞である白血球、上皮細胞、または異型細胞を蛍光パルス面積を用いて正確に検出することができ、小型の細胞である細菌、真菌、精子、またはトリコモナスを蛍光強度を用いて正確に検出することができる。
【0022】
また、上記態様において、前記測定部は、前記試料流に含まれる細胞の散乱光を受光して散乱光信号を出力する散乱光受光部と、蛍光を受光して蛍光信号を出力する蛍光受光部とを含み、前記情報処理部は、前記散乱光信号を、前記細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータとして用いるように構成してもよい。
【0023】
また、本発明のさらに他の態様の検体分析方法は、検体と核酸染色試薬とを混合し測定試料を調製するステップと、調製された測定試料をフローセルに通流させ、前記フローセル中の測定試料の流れに光を照射するステップと、光が照射された測定試料中の細胞から発せられる蛍光に応じた蛍光信号を出力するステップと、蛍光信号から細胞の蛍光パルス面積および蛍光強度を取得するステップと、前記測定試料に含まれる白血球を蛍光パルス面積に基づいて検出するステップと、前記測定試料に含まれる細菌を蛍光強度に基づいて検出するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、大型の細胞から小型の細胞まで幅広い大きさの細胞を含む尿または体液等の検体を正確に分析することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
<尿検体分析装置の構成>
本実施の形態では、尿中の有形成分を分析するための尿検体分析装置について説明する。本実施の形態に係る尿検体分析装置は、尿検体を装置内部に取り込み、尿中有形成分(赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌等)を分析する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る尿検体分析装置の構成を示す外観斜視図である。
図1において、尿検体分析装置100は、測定ユニット10と、情報処理部13とを備えている。測定ユニット10は、測定試料を調製するための試料調製部2と、サンプルラック(試験管立て)3を移送するラックテーブル4と、測定試料から有形成分の情報を検出するための光学検出部5と、回路部14とを備えている。筐体側面にはアーム15を介して支持台16が取り付けられ、その上に情報処理部13が設置されている。情報処理部13は、測定ユニット10の回路部14とデータ通信可能に接続されている。
【0029】
図2は前記試料調製部2および光学検出部5の概略機能構成を示す図である。図において、試験管Tに入った尿検体は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部2へ分注される。本実施の形態における試料調製部2は反応槽2uと反応槽2bとを備えており、検体分配部1は、反応槽2uおよび反応槽2bのそれぞれに検体の定量されたアリコートを分配する。
【0030】
反応槽2uにおいて、分配されたアリコートは、希釈液19uおよび染色液18uと混合される。これにより、染色液18uに含まれる色素により検体中の有形成分の染色が施される。この反応槽2uにおいて調製された混合物は尿中の赤血球および円柱等、核を有さない粒子を分析するために用いられる。以下、反応槽2uにおいて調製された混合物を第1測定試料と呼ぶ。
【0031】
一方、反応槽2bにおいて、分配されたアリコートは、希釈液19bおよび染色液18bと混合される。これにより、染色液18bに含まれる色素により検体中の有形成分の染色が施される。この反応槽2bにおいて調製された混合物は尿中の白血球、上皮細胞、真菌、細菌等、核を有する細胞を分析するために用いられる。以下、反応槽2bにおいて調製された混合物を第2測定試料と呼ぶ。
【0032】
反応槽2u,2bからは、光学検出部5のフローセル51へとチューブが延設されており、反応槽2u,2bにおいて調製された測定試料がフローセル51へと供給可能となっている。上記のようにして調製された2種類の測定試料のうち、先に反応槽2uの第1測定試料が光学検出部5に送液され、その後、反応槽2bの第2測定試料が光学検出部5に送液される。光学検出部5に送液された第1および第2測定試料は、フローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。このような動作は、後述のマイクロコンピュータ11(制御装置)の制御により、図示しないポンプおよび電磁弁等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0033】
染色液18bは、核酸を染色する色素を含む。より詳細に説明すると、染色液18bは、核酸を特異的に染色するためのインターカレータや副溝(minor groove)に結合する蛍光色素を含む。前記インターカレータとしては、シアニン系、アクリジン系、phenanthridium系の公知の色素が挙げられる。例えば、シアニン系のインターカレータとしては、SYBR Green I、Thiazole orangeが挙げられる。アクリジン系のインターカレータとしては、Acridin orangeが挙げられる。phenanthridium系のインターカレータとしてはpropidium Iodide、Ethidium bromideが挙げられる。副溝に結合する色素としてはDAPI、Hoechstの公知の色素が挙げられる。例えば、Hoechetの副溝に結合する色素としては、Hoechst 33342、Hoechst 33258が挙げられる。本実施形態において、シアニン系のインターカレータが好ましく、特に、SYBR Green I、Thiazole orangeが好ましい。
【0034】
希釈液19bは、溶血剤を含んでいる。より詳細に説明すると、希釈液19bは、細胞膜に損傷を与えることにより染色液18bの膜通過を進行させるとともに、赤血球を溶血させ赤血球破片等の夾雑物を収縮させるためのカチオン系界面活性剤を含む。なお、界面活性剤の種類はカチオン系界面活性剤に限らず、ノニオン系界面活性剤であってもよい。尿検体と染色液18bと希釈液19bとが混合されることにより、核酸を有する尿中の有形成分がその構成および特性に応じた程度で染色される。
【0035】
希釈液19bは溶血剤を含有しているため、第2測定試料に含まれる赤血球を溶血させることができ、高精度に白血球等の核酸を有する細胞を測定することが可能である。また、溶血剤を含む希釈液19bを使用することで細胞膜にダメージが与えられるため、核酸の染色を効率的に行うことが可能になる。このことも、核酸を有する細胞の測定精度向上に寄与する。
【0036】
染色液18uは、核酸を有していない有形成分を染色する蛍光色素を含む。
【0037】
希釈液19uは緩衝剤を主成分とする試薬である。希釈液19uは、赤血球を溶血させずに安定した蛍光信号を得ることができるように浸透圧補償剤を含有している。
【0038】
図3は、光学検出部5の構成を示す図である。コンデンサレンズ52は、半導体レーザ光源53から放射されたレーザ光をフローセル51に集光する。
【0039】
コンデンサレンズ52によって、光源53から照射された光は、フローセル51内の試料流上に扁平なビームスポットを形成する。このビームスポットの試料流の流れ方向の径は、3〜8μmである。レーザ光を安定的に細胞核に照射するためには、ビームスポットの上記流れ方向の径は、3.5〜7.5μmであることが好ましく、より好ましいのは4〜7μmである。本実施形態のビームスポットの上記流れ方向の径は4〜7μmである。
【0040】
集光レンズ54は、測定試料中の有形成分から発せられた前方散乱光を第1散乱光受光部55に集光する。集光レンズ56は有形成分から発せられる側方散乱光と蛍光をダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光をフォトマルチプライヤである第2散乱光受光部58へ反射し、蛍光をフォトマルチプライヤである蛍光受光部59の方へ透過させる。第1散乱光受光部55、第2散乱光受光部58および蛍光受光部59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(以下、「FSC」という)、側方散乱光信号(以下、「SSC」という)および蛍光信号(以下、「FL」という)を出力する。蛍光受光部59は、駆動電圧を切り替えることにより、低感度と高感度の両方で蛍光信号を出力することが可能である。この感度の切り替えは、後述のマイクロコンピュータ11により行われる。
【0041】
なお、光源として、前記半導体レーザ光源に代えてガスレーザ光源を用いることもできるが、低コスト、小型、且つ低消費電力である点より半導体レーザ光源を採用するのが好ましい。
【0042】
図4は、尿検体分析装置100の構成を示すブロック図である。測定ユニット10は、前述した検体分配部1、試料調製部2および光学検出部5と、この光学検出部5の出力信号を増幅する増幅回路50と、増幅回路50からの出力信号に対してフィルタ処理を行うフィルタ回路6と、フィルタ回路6の出力信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ7と、ディジタル信号に対して所定の波形処理を行うディジタル信号処理回路8と、ディジタル信号処理回路8に接続されたメモリ9と、検体分配部1、試料調製部2、増幅回路50、およびディジタル信号処理回路8と接続されたマイクロコンピュータ11と、マイクロコンピュータ11に接続されたLANアダプタ12とを備えている。情報処理部13は、このLANアダプタ12を介して測定ユニット10とLANケーブルにて接続されている。情報処理部13により、測定ユニット10で取得された測定データの解析が行われる。光学検出部5、増幅回路50、フィルタ回路6、A/Dコンバータ7、ディジタル信号処理回路8およびメモリ9は、測定試料を測定し、測定データを生成する測定部10aを構成している。
【0043】
光学検出部5は、FSC、SSC、FLの各信号をプリアンプによって増幅する。増幅された各信号は、増幅回路50に入力される。光学検出部5の出力側から延びるFLの信号チャンネルは、プリアンプと増幅回路50の間で二つに分岐している。一方の信号チャンネルは、増幅回路50の高増幅率の増幅器(Highアンプ)に接続されている。他方の信号チャンネルは、低増幅率の増幅器(Lowアンプ)に接続されている。したがって、一つの粒子に対応するFLから、高感度で増幅されたFLHと、低感度に増幅されたFLLとが取り出される。以下、Highアンプに入力されるFLを「FLH」と呼び、Lowアンプに入力されるFLを「FLL」と呼ぶ。
【0044】
増幅回路50は、FSC、SSC、FLH、FLLの4種類の信号を、設定されたゲインに応じて増幅する。増幅回路50は、異なる複数のゲインを設定することが可能である。マイクロコンピュータ11は、増幅回路50のゲインを設定することで、増幅回路50の感度を調節することが可能である。
【0045】
図5は、情報処理部13の構成を示すブロック図である。情報処理部13は、パーソナルコンピュータである。情報処理部13は、本体400と、入力部408と、表示部409とを備えている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0046】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0047】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。ハードディスク404には、測定ユニット10から与えられた測定データを解析し、分析結果を出力するためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0048】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスおよびキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理部13にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、情報処理部13は、通信インターフェース410を介して測定ユニット10に接続されており、通信インターフェース410により、測定ユニット10に対してデータの送受信が可能となる。
【0049】
<尿検体分析装置の動作>
以下、本実施の形態に係る尿検体分析装置の動作について説明する。
【0050】
図6は、尿検体分析装置100の検体測定処理の手順を示すフローチャートである。まず、ユーザからの測定実行の指示が情報処理部13の入力部408を介して入力される(ステップS101)。この指示を受けて、CPU401は、測定ユニット10に測定開始を指示する指示データを送信する(ステップS102)。測定ユニット10が指示データを受信すると(ステップS103)、マイクロコンピュータ11が測定試料調製処理(ステップS104)と、無核成分測定処理(ステップS105)と、有核成分測定処理(ステップS106)とを実行する。
【0051】
図7は、測定試料調製処理の手順を示すフローチャートである。測定試料調製処理では、まず、マイクロコンピュータ11が検体分配部1を制御して、吸引管17に試験管Tから尿検体を所定量吸引させ、反応槽2uと反応槽2bとにそれぞれ所定量の尿検体を分注させる(ステップS201,S202)。
【0052】
マイクロコンピュータ11は、試料調製部2を制御して、次のステップS203〜S207を実行する。ステップS203およびステップS204では、反応槽2uに所定量の希釈液19uおよび染色液18uが定量されて分注される(ステップS203およびステップS204)。ステップS205およびステップS206では、反応槽2bに所定量の希釈液19bおよび染色液18bが定量されて分注される(ステップS205およびステップS206)。反応槽2uおよび反応槽2bは、それぞれ図示しないヒータによって所定温度になるように加温されており、この状態で、ステップS207でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により各槽内の混合物の攪拌が行われる(ステップS207)。これにより、反応槽2uにおいて無核成分測定用の第1測定試料が調製され、反応槽2bにおいて有核成分測定用の第2測定試料が調製される。ステップS207の処理が終了すると、マイクロコンピュータ11は、メインルーチンへ処理をリターンする。
【0053】
無核成分測定処理(ステップS105)では、フローセル51へシース液と共に反応槽2uから第1測定試料が供給され、フローセル51においてシース液に包まれた第1測定試料の試料流が形成される。そして、形成された試料流に光源53からのレーザビームが照射され、フローセル51にビームスポットが形成される。粒子がビームスポットを通過する毎に、前方散乱光、蛍光および側方散乱光が発生する。前方散乱光、蛍光、および側方散乱光のそれぞれは、第1散乱光受光部55、蛍光受光部59および第2散乱光受光部58により受光されて電気信号に変換され、FSC、FLH、FLLおよびSSCが出力される。出力されたFSC、FLH、FLLおよびSSCは、増幅回路50によって増幅される。
【0054】
増幅回路50によって増幅されたFSC、FLH、FLL、およびSSCは、フィルタ回路6によってフィルタ処理が施された後、A/Dコンバータ7によってディジタル信号に変換され、ディジタル信号処理回路8によって信号処理が施される。これにより、フローセル51を通過した粒子毎に、前方散乱光強度(FSCP)、前方散乱光パルス幅(FSCW)、蛍光強度(FLHP)、蛍光パルス幅(FLLW)、側方散乱光強度(SSCP)等の解析用パラメータが抽出される。解析用パラメータは測定データとして、メモリ9に格納され、無核成分測定処理が終了する。
【0055】
次に、有核成分測定処理(ステップS106)について説明する。
図8は、有核成分測定処理の手順を示すフローチャートである。有核成分測定処理では、まず、マイクロコンピュータ11が、第1散乱光受光部55、第2散乱光受光部58および蛍光受光部59の感度および増幅回路50のゲインを第1設定値で設定する(ステップS311)。この第1設定値は、白血球、上皮細胞、真菌などの細菌よりも大きく、且つ核を有する有核細胞を測定するための設定値である。マイクロコンピュータ11は、図示しないコンプレッサを駆動して、フローセル51へシース液を送液させる(ステップS312)。フローセル51へのシース液が供給されている状態で、マイクロコンピュータ11は、図示しないコンプレッサを駆動して、反応槽2bから第2測定試料をフローセル51へ供給させる(ステップS313)。
【0056】
これにより、フローセル51においてシース液に包まれた第2測定試料の試料流が形成される。そして、形成された試料流に光源53からのレーザビームが照射される(ステップS314)、フローセル51にビームスポットが形成される。粒子がビームスポットを通過する毎に、前方散乱光、蛍光および側方散乱光が発生する。前方散乱光、蛍光、および側方散乱光のそれぞれは、第1散乱光受光部55、蛍光受光部59および第2散乱光受光部58により受光されて電気信号に変換される(ステップS315)。蛍光受光部59が受光レベルを電気信号に変換するときの感度は、ステップS311において設定された有核細胞測定用の第1設定値によって定まる。
【0057】
第1散乱光受光部55、蛍光受光部59および第2散乱光受光部58は、受光レベルに応じた電気信号を、FSC、FLおよびSSCとして出力する。光学検出部5は、FLをFLHとFLLの二つに分割して増幅回路50に入力する。入力された信号は、増幅回路50により増幅される。増幅回路50による信号の増幅率は、ステップS311において設定された有核細胞測定用の第1設定値によって定まる。
【0058】
第1設定値は、後述の第2設定値に比べて低感度である。言い換えると、第1設定値が設定されている場合、第2設定値が設定されている場合よりも、低い増幅率でFLが増幅される。具体的には、第1設定値が設定されている場合、粒子から発せられた蛍光は、蛍光受光部59によって低感度で光電変換されて出力される。このとき光学検出部5から出力されるFLHおよびFLLは、それぞれ増幅回路50のHighアンプおよびLowアンプにより低増幅率および高増幅率で増幅される。この結果、低増幅率で増幅された低感度蛍光信号(FLL)と、高増幅率で増幅された第1高感度蛍光信号(以下、「FLH1」という)との2種類の蛍光信号が取得される。
【0059】
増幅されたFSC、FLL、FLH1およびSSCは、フィルタ回路6によってフィルタ処理が施された後、A/Dコンバータ7によってディジタル信号に変換され、ディジタル信号処理回路8によって所定の信号処理が施される。
【0060】
ディジタル信号処理回路8は、信号処理によって光学信号(FSC、SSC、FLL、FLH1)から、解析処理に使用するパラメータを抽出する。解析用パラメータには、前方散乱光強度(以下、「FSCP」という)、前方散乱光パルス幅(以下、「FSCW」という)、側方散乱光強度(以下、「SSCP」という)、低感度蛍光強度(以下、「FLLP」という)、低感度蛍光パルス幅(以下、「FLLW」という)、低感度蛍光パルス面積(以下、「FLLA」という)、第1高感度蛍光強度(以下、「FLHP1」という)、第1高感度蛍光パルス幅(以下、「FLHW1」という)、第1高感度蛍光パルス面積(以下、「FLHA1」という)が含まれる。
【0061】
図9A〜
図9Cに基づいて、解析用パラメータの抽出について説明する。解析用パラメータは、各光学信号について、「強度」、「パルス幅」および「パルス面積」の3種類がある。強度はPで表される。パルス幅はWで表される。パルス面積はAで表される。FSCP、SSCP、FLLP、およびFLHP1などの光学信号の強度は、それぞれ、
図9Aに示すようなパルスのピークの高さPPとして得られる。FSCW、FLLW、およびFLHW1などの光学信号のパルス幅は、それぞれ、
図9Bに示すように、パルスが所定の閾値を超えた時刻T1から閾値を下回った時刻T2までの間隔PWとして得られる。FLLA、およびFLHA1などの光学信号のパルス面積は、
図9Cに示すように、信号のパルス波形線L1と、パルスの高さが所定の閾値を取るときの時刻を示す直線L2,L3と、光学信号強度の値が0を示す直線L4とで囲まれる領域(図中斜線を付した領域)PAの面積、すなわち、信号強度の時間積分値として得られる。
【0062】
なお、ここに示した解析用パラメータの抽出方法は一例に過ぎず、異なる抽出方法を用いることができる。パルス面積は、パルスの時間曲線下面積を反映する値であれば近似値であってもよく、時間積分値には限られない。例えば、パルス面積は、パルス幅とピークの高さの積であってもよいし、パルス幅とピークの高さから求めた三角形の面積であってもよい。また、時間積分値を抽出する形態において、底辺は強度が0の直線でなくてもよく、適宜設定できる。例えば、
図9Cに示した所定の閾値を底辺としてもよいし、あるいは、シース液のみをフローセル51に流したときのパルスの値を基準値として、それを底辺としてもよい。
【0063】
再び
図8を参照する。上記のようにして光学信号から抽出されたパラメータは、測定データとしてメモリ9に格納される(ステップS316)。
【0064】
第2測定試料がフローセル51に供給され始めてから所定時間が経過すると、マイクロコンピュータ11は、蛍光受光部59の感度および増幅回路50のゲインを第2設定値に変更する(ステップS317)。この第2設定値は、細菌を測定するための設定値である。
【0065】
蛍光受光部59および増幅回路50が第2設定値で設定された状態で、測定部10aによる第2測定試料の測定が行われる(ステップS318)。これにより、第2設定値によって定まる感度で蛍光受光部59からFLが出力され、第1散乱光受光部55、第2散乱光受光部58および蛍光受光部59の出力信号が第2設定値によって定まる増幅率で増幅回路50によって増幅される。
【0066】
第2設定値は、前述の第1設定値に比べて高感度である。言い換えると、第2設定値が設定されている場合、第1設定値が設定されている場合よりも、高い増幅率でFLが増幅される。第2設定値が設定されると、蛍光受光部59による光電変換の受光感度が第1設定値の数倍に設定される。増幅回路50の増幅率は、第1設定値における増幅率と同じである。第2設定値が設定された状態で蛍光受光部59から出力されたFLは、増幅回路50のHighアンプで増幅され、第2高感度蛍光信号(以下、「FLH2」という)として取得される。
【0067】
第2設定値における蛍光受光部59の感度は、第1設定値における蛍光受光部59の感度の5倍である。これは、細菌は白血球および上皮細胞などの有核細胞に比べてサイズが小さく、蛍光量が有核細胞に比べて小さいためである。蛍光受光部59の感度を有核細胞測定の場合よりも高くすることで、細菌に適した感度となり、高精度に細菌を検出することが可能となる。なお、本実施形態では、第2設定値においては、増幅率を5倍にするために蛍光受光部59の感度のみを高くしているが、蛍光受光部59の感度と増幅回路50の増幅率の両方を高くしてもよい。例えば、第2設定値では、蛍光受光部59の感度を第1設定値における感度の2.5倍にするとともに、増幅回路50による増幅率を第1設定値における増幅率の第2倍にしてもよい。
【0068】
増幅されたFSC、FLH2およびSSCは、フィルタ回路6によってフィルタ処理が施された後、A/Dコンバータ7によってディジタル信号に変換され、ディジタル信号処理回路8によって所定の信号処理が施される。かかる信号処理により、FSCからFSCPおよびFSCWが抽出され、SSCからSSCPが抽出される。さらに、FLH2のピーク値が第2高感度蛍光強度(以下、「FLHP2」という)として抽出される。FLH2のパルス幅が、第2高感度蛍光パルス幅(以下、「FLHW2」という)として抽出される。FLH2のパルス面積が、第2高感度蛍光パルス面積(以下、「FLHA2」という)として抽出される。これにより、フローセル51を通過した各粒子について解析用パラメータが得られる。粒子毎に抽出されたパラメータのデータは、測定データとしてメモリ9に格納される(ステップS319)。以上の処理を完了すると、マイクロコンピュータ11は、処理をメインルーチンへリターンする。
【0069】
上記のような有核成分測定処理の後、マイクロコンピュータ11は、無核成分測定処理および有核成分測定処理によって生成された測定データを情報処理部13へ送信し(ステップS107)、処理を終了する。
【0070】
情報処理部13が測定データを受信すると(ステップS108)、CPU401は、測定データ解析処理を実行し(ステップS109)、尿検体の分析結果を生成して、当該分析結果をハードディスク404に格納する。
図10は、測定データ解析処理の手順を示すフローチャートである。測定データ解析処理には、第1無核成分分類処理(ステップS401)と、第2無核成分分類処理(ステップS402)と、分画処理(ステップS403)と、第1有核成分分類処理(ステップS404)と、第2有核成分分類処理(ステップS405)と、細菌検出処理(ステップS406)とが含まれる。
【0071】
第1無核成分分類処理S401では、第1測定試料を測定することによって得られたFSCおよびFLHを使用して、赤血球と結晶とが検出され、それぞれの計数値が求められる。
【0072】
第2無核成分分類処理S402では、第1測定試料を測定することによって得られたFSCおよびFLLを使用して、円柱と粘液糸とが検出され、それぞれの計数値が求められる。
【0073】
さらに、分画処理、第1有核成分分類処理、第2有核成分分類処理、および細菌検出処理により、尿中の核酸を有する細胞が分類される。
【0074】
ここで、本実施の形態に係る検体分析装置における有核有形成分の分類について説明する。
図11は、尿中の有核有形成分の大きさと核酸量との関係を説明するための模式図である。
図11において、横軸は核酸量を示しており、縦軸は有形成分の大きさ(粒子径)を示している。尿中の有核有形成分には、核酸量の多いものから順番に、異型細胞、上皮細胞、白血球、精子、トリコモナス、真菌、細菌が存在する。
【0075】
かかる有核有形成分のうち、上皮細胞、異型細胞、白血球はサイズが大きい。上皮細胞はその直径が約50〜100μmであり、核径が約10μmである。異型細胞はその直径が約10〜20μmであり、核径が約10〜15μmである。白血球はその直径が約10〜15μmであり、核径が約10μmである。
【0076】
これに対して、精子、トリコモナス、真菌、細菌はサイズが小さい。精子は頭部の大きさが約4〜5μmである。トリコモナスは、その直径が約7〜15μmであり、核径が約5μmである。出芽前の真菌は、その直径が約3〜8μmであり、核径が約3μmである。細菌は、精子、トリコモナスおよび真菌よりもサイズが小さく、その直径が約0.4〜2μmである。細菌は核を持たないが、内部に核酸を含んでいる。
【0077】
上述したように、本実施形態では光源53によって形成されるビームスポットの試料の流れ方向の径は約4〜7μmであるので、上皮細胞、異型細胞、および白血球は、核径がビームスポットの径よりも大きい。精子の頭部、トリコモナスの核、真菌の核、細菌は、ビームスポットの径より小さい。
【0078】
図12Aは、白血球など大型の細胞から得られる蛍光信号のパルス面積を説明するための模式図であり、
図12Bは、真菌などの小型の細胞から得られる蛍光信号のパルス面積を説明するための模式図である。
図12Aに示すように、大型の細胞LCの核N1は、ビームスポットの径Wよりも大きいので、ビームスポット中に大型の細胞LCの核N1は収まらない。このため、蛍光信号の強度は、照射された核の一部の核酸量しか反映していない。一方、蛍光信号強度を時間で積分した面積値LA1は、核全体の核酸量を反映した値と考えることができる。よって、大型の細胞LCについては、核全体の核酸量を反映するパラメータとして、蛍光信号強度を時間で積分した面積値LA1が適している。
【0079】
これに対して、真菌などの小型の細胞SCでは、
図12Bに示すように、核N2がビームスポットの径Wよりも小さいので、ビームスポット中に細胞LCの核N2全体が収まる。細菌のような特に小型の細胞は、粒子全体がビームスポット中に納まる。進行方向に細胞SCが進行すると、核N2がビームスポットに入ってから外に出るまでの間、核N2の全体が照射され続ける。このため、小型の細胞SCの核酸量を反映するパラメータとして蛍光信号強度を時間で積分した面積値LA2を用いると、見かけの値が実際の核酸量よりも大きな値となってしまう。一方、蛍光信号強度は、核の実際の核酸量を反映した値と考えることができる。よって、小型の細胞LCについては、核酸量を反映するパラメータとして、蛍光信号強度が適している。
【0080】
本実施の形態に係る検体分析装置1では、上皮細胞、異型細胞、および白血球を含む大型細胞の第1群と、精子、トリコモナス、および真菌を含む小型細胞の第2群とを弁別し(分画処理)、蛍光パルス面積を用いて第1群の有核有形成分を分類し(第1有核成分分類処理)、蛍光信号強度を用いて第2群の有核有形成分を分類する(第2有核成分分類処理)。また、細菌については第1群および第2群とは別に検出される(細菌検出処理)。
【0081】
分画処理S403では、まず、第2測定試料中の粒子をFSCPおよびFSCWを使用して、第1群および第2群の集団と、細菌集団とに分類する。
図13は、FSCPとFSCWとで規定される特徴パラメータ空間における有核有形成分の出現領域を示す図である。第2測定試料中の粒子をFSCPおよびFSCWに基づいてプロットすると、
図13に示す領域R11には、第1群および第2群の有核有形成分がプロットされる。領域R12には、細菌を含む有形成分群がプロットされる。なお、領域R11およびR12以外にプロットされた粒子は夾雑物として分析対象から排除される。
【0082】
次に、
図13の領域R11にプロットされた粒子集団をFSCPおよびFLHP1を使用して、第1群と第2群とに分類する。
図14は、FSCPとFLHP1とで規定される特徴パラメータ空間における有核有形成分の出現領域を示す図である。
図13の領域R11にプロットされた粒子集団は、FSCPとFLHP1とで規定された特徴パラメータ空間にプロットされる。
図14に示す領域R21には、第1群の有核有形成分がプロットされる。また、領域R22には、第2群の有核有形成分がプロットされる。
【0083】
第1有核成分分類処理S404では、
図14の領域R21にプロットされた第1群の粒子集団をFSCWおよびFLLAを使用して、異型細胞と白血球と上皮細胞とに分類し、それぞれの計数値が求められる。
【0084】
異型細胞、白血球、および上皮細胞は、精子、トリコモナス、真菌等よりも核酸量が大きいため光によって励起されたときに生ずる蛍光量が大きい。そのため低感度蛍光信号が解析に適している。また、核径がビームスポットの径よりも大きいため、パラメータとしては蛍光パルス面積が適している。よって、異型細胞、白血球、および上皮細胞は、FLLAを用いて分類される。
【0085】
図15は、FSCWとFLLAとによって規定される特徴パラメータ空間(以下、「FSCW−FLLA空間」という)における有核有形成分の出現領域を示す図である。第1群の有核有形成分は、FSCW−FLLA空間にプロットされる。図に示すように、白血球および上皮細胞と、異型細胞とはFLLAの分布領域が異なっている。これは、白血球と上皮細胞とには核酸量に概ね差異がなく、異型細胞の方が白血球および上皮細胞よりも核酸量が多く、FLLAは核酸量を反映しているためである。また、白血球と上皮細胞とは、FSCWの分布領域が異なっている。これは、上皮細胞は白血球よりもサイズが大きく、FSCWは粒子の大きさを反映しているためである。領域R31にプロットされた粒子は異型細胞として計数される。領域R32にプロットされた粒子は白血球として計数される。領域R33にプロットされた粒子は上皮細胞として計数される。
【0086】
図16A〜
図16Cに、第1有核成分分類処理S404において実際に有核成分を検出した結果を示す。
図16Aは、白血球の検出結果の一例を示すスキャッタグラムであり、
図16Bは、上皮細胞の検出結果の一例を示すスキャッタグラムであり、
図16Cは、異型細胞の検出結果の一例を示すスキャッタグラムである。なお、
図16Aは、白血球を含む検体を測定した結果を示しており、
図16Bは、上皮細胞を含む検体を測定した結果を示しており、
図16Cは、異型細胞を含む検体を測定した結果を示している。
【0087】
第2有核成分分類処理S405では、
図14の領域R22にプロットされた粒子集団をFSCPおよびFLHP1を使用して、トリコモナスと真菌と精子とに分類し、それぞれの計数値が求められる。
【0088】
精子、トリコモナス、および真菌は、白血球、上皮細胞、および異型細胞よりも核酸量が少ないため光によって励起されたときに生ずる蛍光量が、第1群の細胞に比べて相対的に小さい。そのため高感度蛍光信号が解析に適している。また、核径がビームスポットの径よりも小さいため、パラメータとしては蛍光強度が適している。よって、精子、トリコモナス、および真菌は、FLHP1を用いて検出される。
【0089】
図17は、FSCPとFLHP1とによって規定される特徴パラメータ空間における有核有形成分の出現領域を示す図である。第2群の有核有形成分は、FSCPとFLHP1とで規定された特徴パラメータ空間にプロットされる。精子と真菌とトリコモナスとは、FSCPおよびFLHP1で規定される特徴パラメータ空間における分布領域が異なっている。これは、精子と真菌とトリコモナスとが、核酸量およびサイズにおいて互いに異なっているためである。領域R41にプロットされた粒子は精子として計数される。領域R42にプロットされた粒子は真菌として計数される。領域R43にプロットされた粒子はトリコモナスとして計数される。
【0090】
図18A〜
図18Cに、第2有核成分分類処理S405において実際に有核成分を検出した結果を示す。
図18Aは、真菌の検出結果の一例を示すスキャッタグラムであり、
図18Bは、トリコモナスの検出結果の一例を示すスキャッタグラムであり、
図18Cは、精子の検出結果の一例を示すスキャッタグラムである。なお、
図18Aは、真菌を含む検体を測定した結果を示しており、
図18Bは、トリコモナスを含む検体を測定した結果を示しており、
図18Cは、精子を含む検体を測定した結果を示している。
【0091】
細菌検出処理S406では、
図14の領域R22にプロットされた粒子集団についてFSCPおよびFLHP2を使用して、細菌が計数される。
【0092】
細菌は、白血球等の他の有核細胞に比べて非常にサイズが小さく、また核酸量も少ないため、他の有核細胞よりも蛍光量が小さい。また、細菌は微小であり、粒径がビームスポットの径よりも小さい。このため、細菌は最も高感度の蛍光信号の強度であるFLHP2を用いて検出される。
図19は、FSCPとFLHP2とによって規定される特徴パラメータ空間における細菌の出現領域を示す図である。
図13の領域R12にプロットされた粒子集団は、FSCPとFLHP2とで規定された特徴パラメータ空間に展開される。
図19に示す特徴パラメータ空間では、領域R5に細菌が出現している。なお、
図19に示す特徴パラメータ空間には、細菌以外の有核細胞がプロットされる可能性があるが、そういった有核細胞の多くは、高感度の蛍光信号に変換されたときに飽和して解析対象から除外される。また、領域R5よりも蛍光強度の低い領域には、核酸を有しない夾雑物が出現する。領域R5にプロットされた粒子は細菌として計数される。
【0093】
図20に、細菌検出処理S406において細菌を実際に検出した結果を示す。
図20は、細菌の検出結果の一例を示すスキャッタグラムである。なお、
図20は、細菌を含む検体を測定した結果を示している。
【0094】
CPU401は、測定データ解析処理を終了すると、処理をメインルーチンへリターンする。
【0095】
CPU401は、上記のような測定データ解析処理によって得られた分析結果を表示部409に表示して(ステップS110)、処理を終了する。
【0096】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、分画処理において第1群と第2群とを弁別し、第1有核成分分類処理においてFLLAを用いて第1群の有核有形成分を分類し、第2有核成分分類処理においてFLHP1を用いて第2群の有核有形成分を分類する構成について述べたが、これに限定されるものではない。つまり、特徴パラメータ空間の所定の範囲にプロットされた粒子を抽出して、抽出した粒子を次の特徴パラメータ空間にプロットするという処理を繰り返す必要はない。例えば、一の粒子をある種類の細胞として識別する条件として、「第1の特徴パラメータ空間において規定された範囲内のパラメータを有し、且つ、第2の特徴パラメータ空間において規定された範囲内のパラメータを有すること」と定義する。このような条件を、細胞の種類毎に定義する。そして、いずれかの条件を満たす粒子を、その条件に対応する細胞種として識別する。具体的な例を挙げると、
図14のR21に入るFSCPおよびFLHP1を有し、且つ、
図15のR32に入るFSCWおよびFLLAを有する有核有形成分を、白血球として検出する。
図14のR22に入るFSCPおよびFLHP1を有し、且つ、
図19のR5に入るFSCPおよびFLHP2を有する有核有形成分を、細菌として検出する。他の種類の細胞についても同様にして、細胞種の識別を行うことができる。
【0097】
また、上述した実施の形態においては、2次元の特徴パラメータ空間を例示したが、3次元あるいはさらに高次元の特徴パラメータ空間に粒子をプロットしてもよい。
【0098】
また、上述した実施の形態においては、分画処理において、主にFSCPの違いを利用して、第1群と第2群とを区別して検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1群と第2群とを区別するためのパラメータとしては、細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータであれば、FSCP以外のパラメータを使用することができる。例えば、FSCPに代えて、SSCPを使用することも可能である。FSCPに代えて、蛍光パルス幅を使用することも可能である。ビームスポットより核径が大きい有核細胞は、ビームスポットに進入してから出るまでの時間がビームスポットより核径が小さい有核細胞よりも長いため、蛍光パルス幅が大きい。したがって、蛍光パルス幅を使用しても、第1群と第2群とを区別することができる。
【0099】
さらに別の実施形態では、細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータとして、DCインピーダンスを使用してもよい。具体的には、フローサイトメータと公知のDCインピーダンス検出器を組み合わせた検体分析装置を構築することができる。この装置では、フローサイトメータにより細胞の蛍光信号を取得しつつ、DCインピーダンス検出器により、細胞の大きさまたは核径を反映するパラメータを取得することができる。
【0100】
また、上述した実施の形態においては、第1有核成分分類処理において、FSCWおよびFLLAを使用して、第1群の有核有形成分を分類する構成について述べたが、これに限定されるものではない。FSCWに代えて、FSCPまたはSSCPを使用することも可能である。
【0101】
また、上述した実施の形態においては、第2有核成分分類処理において、FSCPおよびFLHP1を使用して、第2群の有核有形成分を分類する構成について述べたが、これに限定されるものではない。FSCPに代えて、SSCPを使用することも可能である。
【0102】
また、上述した実施の形態においては、第1有核成分分類処理において、白血球、上皮細胞、および異型細胞を区別して検出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。蛍光パルス面積を用いて、白血球、上皮細胞、および異型細胞のうちの1つまたは2つを検出する構成とすることも可能である。また、第2有核成分分類処理において、精子、トリコモナス、および真菌を区別して検出する構成ではなく、蛍光強度を用いて、精子、トリコモナス、および真菌のうちの1つまたは2つを検出する構成とすることも可能である。
【0103】
また、上述した実施の形態においては、測定試料を調製するときに、染色液と希釈液とを個別に反応槽に供給する構成について述べたが、これに限定されるものではない。染色色素および希釈液の成分を含む1つの試薬を使用して、測定試料を調製するときに、1つの試薬を反応槽に供給する構成とすることも可能である。
【0104】
また、上述した実施の形態においては、尿検体を分析する尿検体分析装置について述べたが、これに限定されるものではない。本発明は、体液検体を分析する検体分析装置に適用することもできるし、尿検体および体液検体を分析する検体分析装置に適用することもできる。
【0105】
また、上述した実施の形態においては、検体分配部1がピペッティングによって検体を定量吸引して、反応槽2uと反応槽2bとに検体のアリコートを分配する構成について述べたが、これに限定されるものではない。吸引した検体をサンプリングバルブによって定量し、定量されたアリコートを反応槽2uと反応槽2bとに供給する構成とすることも可能である。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、測定試料調製処理、無核成分測定処理、有核成分測定処理、および測定データ解析処理をこの順序で実行する構成について述べたが、この順序は一例であり、他の順序で上記処理を実行することも可能である。例えば、第1測定試料を調製した後、無核成分測定処理を実行し、さらに第1無核成分分類処理および第2無核成分分類処理を実行し、その後に、第2測定試料を調製し、有核成分測定処理を実行し、第1有核成分分類処理、第2有核成分分類処理、および細菌検出処理をその後に実行する構成とすることも可能である。また、有核成分測定処理における第1設定値を用いた第2測定試料の測定と、第2設定値を用いた第2測定試料の測定の順序も変更可能である。
【0107】
また、上述した実施の形態においては、情報処理部13によって測定データの解析を行う構成につて述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニット10のマイクロコンピュータ11によって測定データを解析する構成とすることも可能である。