(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性円柱体の両端は小径部となっており、前記小径部の各々が前記絶縁性円筒体の内部に挿入されることにより、前記導電性円柱体の両端に前記絶縁性円筒体が連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の温度センサ付電極カテーテル。
前記先端可撓部分に配列された複数の温度測定用電極の電極間距離が5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の温度センサ付電極カテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような食道カテーテルにおいて、カテーテルシャフトの先端部に装着されている薄肉のリング状電極では、アブレーション術が行われている(左房のある)側に面している電極部分は焼灼エネルギーを受けて昇温するが、焼灼側とは反対側の電極部分は焼灼エネルギーが十分に伝達されず、また、周囲の組織によって冷却されるために殆ど昇温しない。
この結果、焼灼側に面している電極部分は高温(例えば50℃以上)となっているときに、焼灼側とは反対側の電極部分は低温(例えば40℃以下)となっていて、リング状電極の周方向に温度差が生じる。
【0008】
このため、リング状電極の内周面にスポット溶接されている温度センサ(熱電対の測温接点)が焼灼側に位置しているとき(温度センサが溶接されている電極部分が焼灼側に面しているとき)と、焼灼側とは反対側に位置しているときとでは、当該温度センサによって検知される温度が大きく異なる。
【0009】
そして、スポット溶接されている温度センサが焼灼側とは反対側に位置しているときには、この温度センサによって検知された食道内部の温度が通電を遮断すべき温度に到達していなくても、焼灼側に面している電極部分が通電を遮断すべき温度になっている(食道が過熱状態である)ことも考えられ、そのような場合には、食道が損傷を受けるおそれがある。
【0010】
然るに、アブレーション術中に、食道に導入した食道カテーテルにおける温度センサの溶接位置を把握することは現実的に不可能である。
また、アブレーション術中に、リング状電極が装着されたカテーテルシャフトの先端部分が軸線の回りに回転することによって温度センサの溶接位置が回転し、測定される温度が変化することも考えられる。
【0011】
このため、上記のような食道カテーテルによっては、食道内部の温度を正確に測定することができない。
【0012】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、構成する温度測定用電極を食道などの体内中空器官の内部に配置したときに、正確な温度測定を行うことができる信頼性の高い温度センサ付電極カテーテルを提供することにある。
本発明の他の目的は、アブレーション術中に、温度測定用電極が装着されたカテーテルシャフトの先端部分を軸線の回りに回転させても、測定される温度が変化することのない温度センサ付電極カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明の温度センサ付電極カテーテルは、体内の中空器官の内部温度を測定するための電極カテーテルであって、
先端可撓部分を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの基端側に接続された操作ハンドルと、前記先端可撓部分を撓ませるために前記カテーテルシャフトの内部に延在し、その基端側を引張操作することができる操作用ワイヤと、前記先端可撓部分に配置された少なくとも1個の温度測定用電極と、前記温度測定用電極に接続されている温度センサと、前記温度センサのリード線とを備えてなり、
前記温度測定用電極は、前記先端可撓部分を構成する絶縁性円筒体が両端に連結されている導電性円柱体からなり、前記導電性円柱体には、この円柱の中心軸に沿って延びて、基端側の円柱底面に開口する有底孔が形成され、前記温度センサは、前記有底孔内において前記導電性円柱体に固定されることにより、前記温度測定用電極に接続されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成の電極カテーテルによれば、温度センサが、有底孔内において導電性円柱体に固定される(導電性円柱体の中心軸上に配置される)ことにより温度測定用電極に接続されているので、アブレーション術中において温度測定用電極の周方向に温度差が生じていても正確な温度測定を行うことができる。
また、温度センサが導電性円柱体(温度測定用電極)の中心軸上に位置していることにより、アブレーション術中に、温度測定用電極が装着されたカテーテルシャフトの先端部分(先端可撓部分)をその軸線の回りに回転させても、温度センサにより検知される温度(電極カテーテルにより測定される温度)が変化することはない。
【0015】
(2)本発明の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記導電性円柱体には、前記操作用ワイヤを挿通するための貫通孔と、前記導電性円柱体の先端側に他の導電性円柱体が位置しているときに、前記他の導電性円柱体の有底孔内において当該他の導電性円柱体に固定されている温度センサのリード線を挿通することのできる貫通孔とが形成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成の電極カテーテルによれば、先端偏向操作のための操作用ワイヤと、当該導電性円柱体の先端側に位置する他の導電性円柱体の有底孔内において固定されている(先端側に位置する温度測定用電極に接続されている)温度センサのリード線を挿通させて、カテーテルシャフトの内部に延在させることができる。
【0017】
(3)本発明の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記導電性円柱体の両端は小径部となっており、前記小径部の各々が前記絶縁性円筒体の内部に挿入されることにより、前記導電性円柱体の両端に前記絶縁性円筒体が連結されていることが好ましい。
【0018】
(4)上記(3)の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記導電性円柱体の両端部を構成する小径部の少なくとも一方にザグリ加工が施されていることが好ましい。
このような構成の電極カテーテルによれば、カテーテルシャフトの内部にリード線を延在させる際の取り回し性を向上させることができる。
【0019】
(5)上記(3)または(4)の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記導電性円柱体の両端部を構成する小径部の外周に抜け防止用凸部が形成されていることが好ましい。このような構成の電極カテーテルによれば、導電性円柱体と絶縁性円筒体とが強固に連結された先端可撓部分を形成することができる。
【0020】
(6)本発明の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記先端可撓部分に配列された複数の温度測定用電極の電極間距離(隣り合う温度測定用電極の離間距離)が5mm以下であることが好ましい。
【0021】
(7)本発明の温度センサ付電極カテーテルにおいて、前記カテーテルシャフトの先端側に温度測定用の先端電極を備えており、前記先端電極の内部には、前記先端電極の中心軸上において温度センサを固定するアンカー部材が装着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の温度センサ付電極カテーテルによれば、これを構成する温度測定用電極を食道などの体内中空器官の内部に配置することにより、当該器官の内部温度を正確に測定することができる。
また、アブレーション術中において、温度測定用電極が装着されているカテーテルシャフトの先端可撓部分を、その軸線の回りに回転させても、測定される温度が変化することはない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の温度センサ付電極カテーテルの一実施形態について説明する。
図1乃至
図5に示す本実施形態の電極カテーテル100は、左房アブレーション術中において食道の内部温度を測定するための電極カテーテルであって;
先端可撓部分10Aを有するカテーテルシャフト10と、カテーテルシャフト10の基端側に接続された操作ハンドル20と、先端可撓部分10Aを撓ませるためにカテーテルシャフト10の内部に延在し、その基端側を引張操作することができる操作用ワイヤ30と、カテーテルシャフト10の先端に装着された温度測定用の先端電極41と、先端電極41に接続されている温度センサ61と、温度センサ61のリード線71と、先端電極41の内部に装着され、当該先端電極41の中心軸上において温度センサ61を固定するとともに、操作用ワイヤ30を折り返した状態で固定するアンカー部材45と、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aに装着された温度測定用電極52〜55と、温度測定用電極52〜55の各々に接続されている温度センサ62〜65と、温度センサ62〜65のリード線72〜75とを備えてなり;
温度測定用電極52〜55の各々は、先端可撓部分10Aを構成する絶縁性円筒体(絶縁性円筒体121〜125の何れか2つ)が両端に連結されている導電性円柱体50からなり、温度測定用電極52〜55の各々を構成する導電性円柱体50には、当該円柱の中心軸に沿って延びて基端側の円柱底面に開口する有底孔56が形成され、温度センサ62〜65の各々は、有底孔56内において導電性円柱体50に固定されることにより、温度測定用電極52〜55の各々に電気的に接続されており;
温度測定用電極52〜55の各々を構成する導電性円柱体50には、更に、操作用ワイヤ30を挿通するための貫通孔571および572と、先端電極41に接続されている温度センサ61のリード線71および当該導電性円柱体50の先端側に位置する他の導電性円柱体50の有底孔56内において固定されている温度センサのリード線を挿通することのできる貫通孔581および582とが形成されている。
【0025】
この実施形態の電極カテーテル100は、先端可撓部分10Aを有するカテーテルシャフト10と、操作ハンドル20と、操作用ワイヤ30と、温度測定用の先端電極41と、先端電極41に接続されている温度センサ61およびそのリード線71と、先端電極41の内部に装着されたアンカー部材45と、温度測定用電極52〜55と、温度測定用電極52〜55の各々に接続されている温度センサ62〜65およびそれらのリード線72〜75とを備えている。
【0026】
カテーテルシャフト10の先端領域は、先端可撓部分10Aとなっている。
ここに、「先端可撓部分」とは、操作用ワイヤを引張操作することによって撓むことのできるカテーテルシャフトの先端部分をいう。
【0027】
図2、
図3Aおよび
図4に示すように、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aは、絶縁性円筒体121と、温度測定用電極52を構成する導電性円柱体50と、絶縁性円筒体122と、温度測定用電極53を構成する導電性円柱体50と、絶縁性円筒体123と、温度測定用電極54を構成する導電性円柱体50と、絶縁性円筒体124と、温度測定用電極55を構成する導電性円柱体50と、絶縁性円筒体125とが連結されて形成されている。
【0028】
先端可撓部分10Aを構成する絶縁性円筒体121〜125は、シングルルーメンのチューブからなる。
絶縁性円筒体121〜125の構成材料としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタン、ナイロン、PEBAX(ポリエーテルブロックアミド)などの合成樹脂を例示することができる。
【0029】
先端可撓部分10Aの長さは、通常40〜100mmとされ、好ましくは50〜80mmとされる。
先端可撓部分10Aの外径(絶縁性円筒体121〜125および導電性円柱体50の外径)は、通常1.0〜4.0mmとされ、好ましくは1.2〜3.0mm、好適な一例を示せば2.3mmとされる。
先端可撓部分10Aの内径(絶縁性円筒体121〜125の内径)は、通常0.5〜3.5mmとされ、好ましくは1.0〜2.6mm、好適な一例を示せば1.8mmとされる。
【0030】
図3Bおよび
図5に示すように、先端可撓部分10Aを構成する絶縁性円筒体125の基端側にはシングルルーメンチューブ13が接続されている。
シングルルーメンチューブ13は、絶縁性円筒体121〜125よりも剛性が高い材料からなる。具体的には、合成樹脂からなるチューブをステンレス素線で編組したブレードチューブからなることが好ましい。
【0031】
シングルルーメンチューブ13の外径は、先端可撓部分10Aの外径と同程度であることが好ましい。
シングルルーメンチューブ13の内径は、通常0.5〜3.5mmとされ、好ましくは1.0〜2.6mm、好適な一例を示せば1.92mmとされる。
シングルルーメンチューブ13の長さは、通常300〜1500mmとされ、好ましくは500〜900mm、好適な一例を示せば760mmとされる。
【0032】
シングルルーメンチューブ13のルーメンには、抗圧縮性部材として、断面平角の線材をコイル状に巻回して構成されたコイルチューブ15が配置されている。
図3Bにおいて、14は、シングルルーメンチューブ13のルーメンにコイルチューブ15を固定するためのコイル止めである。
【0033】
抗圧縮性部材であるコイルチューブ15に圧縮力(軸方向の力)を作用させても、これを構成する線材同士が面接触するために線材間の位置ずれが生じにくく、コイルチューブ15の形状(直線性)が維持される。
従って、シングルルーメンチューブ13のルーメンにコイルチューブ15を配置することにより、操作用ワイヤ30を引張操作したときに、先端可撓部分10Aとともにシングルルーメンチューブ13が撓むことを防止することができる。
【0034】
なお、コイルチューブ15は、操作用ワイヤの引張操作に伴う圧縮力に対して直線性を維持することができるとともに、軸方向以外の力によって容易に曲げることができるので、このコイルチューブ15をルーメンに配置したシングルルーメンチューブ13(先端可撓部分10A以外のシャフト部分)を容易に変形(曲げたり、蛇行させたり)することができる。
【0035】
コイルチューブ15の構成材料としては、例えばステンレス、チタン、Ni−Tiなどの金属を挙げることができる。
【0036】
コイルチューブ15の外径は、通常0.4〜3.4mmとされ、好ましくは0.9〜2.5mm、好適な一例を示せば1.89mmとされる。
コイルチューブ15の内径は、通常0.3〜3.3mmとされ、好ましくは0.8〜2.4mm、好適な一例を示せば1.6mmとされる。
コイルチューブ15の長さは、シングルルーメンチューブ13の長さと同程度であることが好ましい。
【0037】
コイルチューブ15のルーメンには、マルチルーメンチューブ16が配置されている。
図5に示すように、コイルチューブ15のルーメンに配置されたマルチルーメンチューブ16には、操作用ワイヤ30を挿通するためのルーメン171および172と、リード線71〜75を挿通するための中央ルーメン173が形成されている。
【0038】
マルチルーメンチューブ16の構成材料としては、絶縁性円筒体121〜125の構成材料と同様の合成樹脂を例示することができる。
【0039】
マルチルーメンチューブ16の長さは、シングルルーメンチューブ13およびコイルチューブ15の長さと同程度であることが好ましい。
コイルチューブ15のルーメンにマルチルーメンチューブ16を配置することにより、先端偏向操作時におけるレスポンスの向上を図ることができる。
【0040】
図1に示すように、カテーテルシャフト10の基端側には操作ハンドル20が装着されている。
操作ハンドル20からは、先端電極41および温度測定用電極52〜55の各々に接続された温度センサ61〜65のリード線71〜75の後端部分が引き出される。
また、操作ハンドル20には、先端偏向操作(操作用ワイヤ30の引張操作)を行うための摘み25が装着されている。
【0041】
操作用ワイヤ30は、その基端側を引張操作することによってカテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを撓ませることができる。
操作用ワイヤ30は、その一端および他端が基端(近位端)となっており、カテーテルシャフト10の内部を、一端から先端方向に延びて、先端電極41の内部に進入し、先端電極41の内部に装着されたアンカー部材45の貫通孔451および452を通って折り返され(従って、折り返し部分が、操作用ワイヤ30の遠位端となる)、カテーテルシャフト10の内部を基端方向に延びて他端に至る1本のワイヤからなる。
操作用ワイヤ30の基端(近位端)である一端および他端は、操作ハンドル20の摘み25に接続されている。
【0042】
操作ハンドル20の摘み25を操作することにより、操作用ワイヤ30の一端または他端の何れかが基端方向に引っ張られ、電極カテーテル100の先端可撓部分10Aを矢印Aまたは矢印Bで示す方向に撓ませることができる。
【0043】
例えば、操作ハンドル20の摘み25を、
図1の矢印A1で示す方向に回転させることにより、操作用ワイヤ30の一端が基端方向に引張され、先端可撓部分10Aが矢印Aで示す方向に撓んで、電極カテーテル100の先端が同方向に偏向する。
また、操作ハンドル20の摘み25を、矢印B1で示す方向に回転させることにより、操作用ワイヤ30の他端が基端方向に引張され、先端可撓部分10Aが矢印Bで示す方向に撓んで、電極カテーテル100の先端が同方向に偏向する。
【0044】
操作用ワイヤ30は、例えばステンレスやNi−Ti系超弾性合金製で構成されているが、必ずしも金属で構成する必要はなく、高強度の非導電性ワイヤなどで構成してもよい。
操作用ワイヤ30の外径は、特に限定されるものではないが0.05〜1.0mmであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5mm、好適な一例を示せば0.25mmである。
【0045】
カテーテルシャフト10の先端(遠位端)には先端電極41が固定されている。
先端電極41の固定方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着などの方法を挙げることができる。
先端電極41の構成材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、熱伝導性の良好な金属を例示することができる。なお、X線に対する良好な造影性を持たせるためには、白金などで構成されることが好ましい。
先端電極41の外径は、カテーテルシャフト10の外径と同程度であることが好ましい。
【0046】
先端電極41の内部(内側凹部)には、アンカー部材45が装着されている。
図7に示すように、このアンカー部材45には、先端電極の中心軸に沿って貫通孔453が形成されているとともに、これと平行に貫通孔451および452が形成されている。
アンカー部材45の貫通孔451および452には、これらの先端側において折り返される操作用ワイヤ30が挿通されている。
また、先端電極41の中心軸上に形成された貫通孔453には、温度センサ61およびそのリード線71の先端部分が挿入されている。
アンカー部材45の貫通孔451および452に挿通された操作用ワイヤ30の遠位端(折り返し部分)と、貫通孔453に挿入された温度センサ61およびそのリード線71の先端部分は、先端電極41の内部に充填されたハンダ80により、先端電極41に対して接続固定されている。
【0047】
先端電極41の内部に充填されているハンダ80の材質は特に限定されるものでなく、例えばSn−Pb、Sn−Pb−Ag、Sn−Pb−Cuを例示することができ、また、PbフリーのハンダであるSn−Ag−Cu、Sn−Cu、Sn−Ag、Sn−Ag−Cu−Biなどを用いることもできる。
【0048】
アンカー部材45の貫通孔453に挿入されることにより先端電極41に接続固定された温度センサ61は、熱電対の測温接点(異種の金属線の接合点)からなる。
また、温度センサ61のリード線71は、熱電対を構成する異種の金属線からなる。
【0049】
図1、
図2、
図3Aおよび
図4に示すように、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aには、温度測定用電極52〜55が装着されている。
温度測定用電極52、53、54および55は、それぞれの両端に、絶縁性円筒体(121,122)、(122,123)、(123,124)および(124,125)が連結されている導電性円柱体50からなる。
【0050】
図6A〜
図6Cに示すように、温度測定用電極52〜55の各々を構成する導電性円柱体50には、当該円柱の中心軸(温度測定用電極の中心軸)に沿って延び、基端側の円柱底面に開口する有底孔56が形成されている。また、導電性円柱体50には、貫通孔571および572と、貫通孔581および582とが、導電性円柱体50の軸方向に平行に形成されている。
【0051】
ここに、導電性円柱体50に形成されている有底孔56は、導電性円柱体50の中心軸(温度測定用電極の中心軸)上に温度センサ62〜65の各々を案内して、当該導電性円柱体50に固定するための非貫通孔である。
また、貫通孔571および572は、操作用ワイヤ30を挿通するための貫通孔であり、貫通孔581および582は、当該導電性円柱体50より先端側に位置する他の導電性円柱体50の有底孔内において固定されている温度センサのリード線を挿通することのできる貫通孔である。
また、貫通孔581および582は、先端電極41に接続固定された温度センサ61のリード線71を挿通することもできる。
【0052】
図3Aおよび
図4に示すように、温度測定用電極52を構成する導電性円柱体50の有底孔56には、温度センサ62およびそのリード線72の先端部分が挿入されている。
温度センサ62は、有底孔56内において導電性円柱体50に対して溶接によって固定されることにより、温度測定用電極52に接続されている。
この導電性円柱体50の貫通孔571および572には操作用ワイヤ30が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔581には、先端電極41に接続された温度センサ61のリード線71が挿通されている。
【0053】
温度測定用電極53を構成する導電性円柱体50の有底孔56には、温度センサ63およびそのリード線73の先端部分が挿入されている。
温度センサ63は、有底孔56内において導電性円柱体50に対して溶接によって固定されることにより、温度測定用電極53に接続されている。
この導電性円柱体50の貫通孔571および572には操作用ワイヤ30が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔581には、先端電極41に接続された温度センサ61のリード線71および温度測定用電極52に接続された温度センサ62のリード線72が挿通されている。
【0054】
温度測定用電極54を構成する導電性円柱体50の有底孔56には、温度センサ64およびそのリード線74の先端部分が挿入されている。
温度センサ64は、有底孔56内において導電性円柱体50に対して溶接によって固定されることにより、温度測定用電極54に接続されている。
この導電性円柱体50の貫通孔571および572には操作用ワイヤ30が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔581には、先端電極41に接続された温度センサ61のリード線71および温度測定用電極52に接続された温度センサ62のリード線72が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔582には、温度測定用電極53に接続された温度センサ63のリード線73が挿通されている。
【0055】
温度測定用電極55を構成する導電性円柱体50の有底孔56には、温度センサ65およびそのリード線75の先端部分が挿入されている。
温度センサ65は、有底孔56内において導電性円柱体50に対して溶接によって固定されることにより、温度測定用電極55に接続されている。
この導電性円柱体50の貫通孔571および572には操作用ワイヤ30が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔581には、先端電極41に接続された温度センサ61のリード線71、温度測定用電極52に接続された温度センサ62のリード線72および温度測定用電極54に接続された温度センサ64のリード線74が挿通され、この導電性円柱体50の貫通孔582には、温度測定用電極53に接続された温度センサ63のリード線73が挿通されている。
【0056】
ここに、有底孔56内において導電性円柱体50に固定された温度センサ62〜65は、熱電対の測温接点からなり、温度センサ62〜65のリード線72〜75は、熱電対を構成する異種の金属線からなる。
【0057】
温度測定用電極52〜55の各々を構成する導電性円柱体50は、先端側小径部501と中央円柱部502と基端側小径部503とからなる無垢(中実)の金属材料に孔開け加工を施して、有底孔56、貫通孔571および572、貫通孔581および582を形成することにより作製することができる。
このようにして得られる導電性円柱体50からなる温度測定用電極52〜55は、リング状の電極と比較して、焼灼側に面している電極部分と、それとは反対側の電極部分との温度差を小さくすることができる。
【0058】
導電性円柱体50を構成する金属材料としては、先端電極41を構成するものとして例示した材料を挙げることができる。
【0059】
温度測定用電極52〜55の外径(導電性円柱体50の中央円柱部502の外径)は、絶縁性円筒体121〜125の外径と実質的に同一である。
【0060】
図3Aおよび
図4に示すように、導電性円柱体50の先端側小径部501および基端側小径部503の各々が絶縁性円筒体の内部(ルーメン)に挿入されることにより、当該導電性円柱体50の両端に絶縁性円筒体が連結されている。
これにより、導電性円柱体50の中央円柱部502の外周面のみが、温度測定用電極52〜55の外観として先端可撓部分10Aに現れている。
【0061】
温度測定用電極52〜55の電極幅(w)は、5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは1〜4mm、好適な一例を示せば2mmである。この電極幅(w)は、導電性円柱体50の中央円柱部502の軸方向長さに相当する。
この電極幅(w)が短すぎると、熱電対を十分に固定することができなくなる。
他方、電極幅(w)が長すぎると、先端可撓部分10Aを十分に曲げることができなくなる。
【0062】
また、温度測定用電極52〜55における電極間距離(d)は、5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは2〜4mm、好適な一例を示せば2mmである。
この電極間距離(d)は、隣り合う温度測定用電極の離間距離であり、絶縁性円筒体122〜124の長さに相当する。
電極間距離(d)が短すぎると、連結される絶縁性円筒体の内部において、リード線の取り回しが困難となる。
他方、電極間距離(d)が長すぎると、隣り合う電極の中間に位置する部位の測定温度(温度センサにより検知される温度)が、実際より低い温度になることがある。
【0063】
また、先端電極41と温度測定用電極52との離間距離(絶縁性円筒体121の長さ)は2〜20mmであることが好ましく、好適な一例を示せば10mmである。
【0064】
図3A、
図4および
図6A〜
図6Cに示すように、導電性円柱体50の先端側小径部501にはザグリ加工が施され、先端側小径部501に内部空間が形成されている。
これにより、カテーテルシャフト10(絶縁性円筒体122〜124)の内部にリード線を延在させるときに(このとき、絶縁性円筒体の軸方向にリード線を移動させながら径方向にも移動させる)、軸方向の移動距離を長く確保することができるので、リード線の取り回しを向上させることができる。
【0065】
また、導電性円柱体50の先端側小径部501および基端側小径部503の外周には、抜け防止用凸部59が形成されている。
これにより、絶縁性円筒体121〜125と導電性円柱体50とが強固に連結された先端可撓部分10Aを形成することができ、先端可撓部分10Aの撓み剛性などを向上させることができる。
【0066】
この実施形態の電極カテーテル100によれば、温度センサ62〜65が、有底孔56内において導電性円柱体50に固定される(導電性円柱体50の中心軸上に配置される)ことにより温度測定用電極52〜55に接続されているので、温度測定用電極52〜55が何れの方向から焼灼エネルギーを受けたとしても、また、アブレーション術中において温度測定用電極の周方向に温度差が生じたとしても、これらに影響されることのない正確な温度測定を行うことができる。
【0067】
また、温度センサ62〜65が導電性円柱体50(温度測定用電極)の中心軸上に位置していることにより、アブレーション術中において、カテーテルシャフト10の先端可撓部分10Aを、その軸線の回りに回転させても、それによって、温度センサ62〜65によって検知される温度(電極カテーテル100により測定される温度)が変化することはない。
【0068】
また、導電性円柱体50に形成された貫通孔571および572により、先端偏向操作のための操作用ワイヤ30を挿通させることができるとともに、貫通孔581および582により、先端電極41に接続されている温度センサ61のリード線71、および当該導電性円柱体50の先端側に位置する他の導電性円柱体50に固定されている温度センサのリード線を挿通させることができ、操作用ワイヤ30およびリード線71〜75をカテーテルシャフト10の内部に延在させることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の温度センサ付電極カテーテルは、これに限定されるものでなく種々の変更が可能である。
例えば、食道の内部温度を測定するための電極数は5個(先端電極41および温度測定用電極52〜55)に限定されるものではなく、例えば1〜20個の範囲で適宜調整することができる。
また、温度を測定するための電極として先端電極41が必須ではなく、先端可撓部分に装着された温度測定用電極のみにより、内部温度を測定してもよい。