特許第6116594号(P6116594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116594
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】流動性の媒体を配量する弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 61/16 20060101AFI20170410BHJP
   F02M 55/00 20060101ALI20170410BHJP
   B01D 29/13 20060101ALI20170410BHJP
   B01D 24/42 20060101ALI20170410BHJP
   B01D 29/92 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F02M61/16 C
   F02M61/16 M
   F02M61/16 P
   F02M61/16 T
   F02M55/00 C
   B01D29/14 C
   B01D29/42 510
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555996(P2014-555996)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-511289(P2015-511289A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051411
(87)【国際公開番号】WO2013117441
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】102012201940.5
(32)【優先日】2012年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ミュラー
【審査官】 森藤 淳志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0100899(US,A1)
【文献】 特許第4628461(JP,B2)
【文献】 独国特許出願公開第102006040648(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102005037265(DE,A1)
【文献】 米国特許第06206205(US,B1)
【文献】 特開2005−349345(JP,A)
【文献】 米国特許第01757690(US,A)
【文献】 特許第4042948(JP,B2)
【文献】 特開平05−149208(JP,A)
【文献】 実開平02−050172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M39/00−71/04
B01D29/10−29/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入部(11)から配量開口(12)に流れる媒体流内に配置されていて、前記流入部(11)に面する外側の流入側と、前記配量開口(12)に面する内側の流出側とを有し、複数のフィルター孔を含むフィルターリング(26)を有する、フィルター(14)と、
前記フィルターリング(26)を、流出側で支持する支持体と、
を備える、流動性の媒体を配量する弁であって、
前記支持体は、半径方向の予荷重を掛けて前記フィルターリング(26)に当接する、複数の貫通孔を含む半径方向で弾性的な支持リング(28)として構成されており、
前記支持リング(28)は、少なくとも1つの端部に、減径された端部区域(281,282)を備え、
前記フィルター(14)は、弁ハウジング(17)内に収容されていて、前記配量開口(12)に通じる少なくとも1つの供給孔(24)を備える弁ボディ(16)に、前記供給孔(24)を覆うように被せ嵌められており、前記支持リング(28)の前記少なくとも1つの端部区域(281,282)の内径は、前記弁ボディ(16)に被せ嵌められた前記支持リング(28)が前記少なくとも1つの端部区域(281,282)を介して半径方向の締付力を形成するように、寸法設定されている、
ことを特徴とする、弁。
【請求項2】
前記支持リング(28)の外径は、予荷重を形成する程度だけ、前記フィルターリング(26)の内径よりも大きい、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記支持リング(28)に設けられた貫通孔の孔横断面は、前記フィルターリング(26)に設けられたフィルター孔の孔サイズよりも何倍も大きい、請求項1又は2記載の弁。
【請求項4】
前記フィルターリング(26)は、目の細かい濾布から成っており、前記支持リング(28)は、目の粗い金属布から成っている、請求項3記載の弁。
【請求項5】
前記フィルターリング(26)は、目の細かい濾布から成っており、前記支持リング(28)は、孔付きの金属薄板スリーブ又はプラスチックスリーブから成っている、請求項3記載の弁。
【請求項6】
前記フィルター(14)は、軸方向に相互に間隔を置いた2つのエンドリング(291,292)と、該エンドリング(291,292)を相互に結合する、周方向で相互に間隔を置いた複数の軸方向ウェブ(293)とを有する、前記フィルターリング(26)を包囲する硬いケージ(29)を備え、前記フィルターリング(26)は、前記ケージ(29)の内側に固定されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁。
【請求項7】
前記ケージ(29)は、前記フィルターリング(26)の外側に射出成形されたプラスチックから成っている、請求項6記載の弁。
【請求項8】
前記支持リング(28)及び前記ケージ(29)の軸方向長さは、前記少なくとも1つの端部区域(281,282)が前記ケージ(29)のエンドリング(291,292)の領域に位置するように、相互に調整されている、請求項6又は7記載の弁。
【請求項9】
前記ケージ(29)の前記軸方向ウェブ(293)の1つは、縦リブ(30)を備え、前記支持リング(28)は、リング軸線に対して平行に、軸方向のリング幅にわたって延在する軸方向ギャップ(31)を備え、該軸方向ギャップ(31)内に、縦リブ(30)が突出している、請求項6から8までのいずれか1項記載の弁。
【請求項10】
前記支持リング(28)の、前記軸方向ギャップ(31)を画定し、相互に対向する軸方向側辺は、前記縦リブ(30)に押圧されている、請求項9記載の弁。
【請求項11】
前記支持リング(28)は、リング軸線に対して鋭角を成して、リング幅にわたって延在する傾斜ギャップ(32)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の弁。
【請求項12】
前記支持リング(28)は、相互に平行なそれぞれ2つの縦辺及び横辺を有する孔付きの四角形の板から曲がっており、前記横辺の、四角形の板の曲げにより生じる突き合わせ箇所又は重畳箇所で接続されている、請求項5記載の弁。
【請求項13】
前記フィルターリング(26)は、目の細かい濾布から成っており、前記支持リング(28)は、ワイヤ(33)から製作されており、該ワイヤ(33)は、前記支持リング(28)の軸方向幅にわたって延在する蛇行幅で蛇行状に曲げられており、両ワイヤエンドから形成される外側の蛇行体枝端部(331,332)が、相互に平行に対向している、請求項1又は2記載の弁。
【請求項14】
半径方向孔(23)として弁ボディ(16)内に形成された少なくとも1つの供給孔(24)が、前記配量開口(12)に前置された弁室(18)に通じており、
前記フィルター(14)は、前記供給孔(24)を覆うように、前記弁ボディ(16)に被せ嵌められている、請求項1から13までのいずれか1項記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、流動性の媒体、特に液体を配量する弁に関する。
【0002】
燃料を噴射する公知の噴射弁(独国特許出願公開第102006040648号明細書)は、少なくとも1つの半径方向の供給孔を有する中空円筒形の弁ボディを備える。流入孔は、弁ボディの、弁ニードルを収容する中空の内側を、燃料を供給するための供給部に結合する。燃料の流れ方向で供給孔の手前(上流側)に、燃料をフィルタリングするための環状のフィルターが配置されている。フィルターは、固定装置と云われるフィルターハウジングと、フィルターハウジングに固定された、金属又はプラスチックから成る濾布とを備える。フィルターハウジングは、好適には濾布のプラスチックインサート成形部であり、弁ボディにおいてフィルターをシールする。フィルターの流出側で、弁ボディに、環状隆起部の形態の支持ボディが一体的に成形されており、環状隆起部は、少なくとも1つの供給孔の領域に形成されていて、濾布の略中央に当接する。環状隆起部の両側で、弁ボディに、それぞれ1つのリング溝が設けられており、リング溝を介して複数の供給孔が相互に連通可能である。
【0003】
同じく公知の燃料噴射弁(独国特許出願公開第102005037265号明細書)では、燃料流れに配置されたフィルターは、軸方向に相互に間隔を置いた2つの載設リングを有する中空円筒形のフィルターハウジングを備える。載設リングは、軸方向に延在する少なくとも3つのウェブを介して相互に結合されている。金網から成る管状のフィルター面は、フィルターハウジングに位置固定に結合されている。フィルターの流出側に、フィルター面を支持する支持ボディが設けられている。支持ボディは、フィルター面を支持する凸部を有する中空円筒形の支持部を備える。凸部は、例えばリブ状に形成されていて、線状にしかフィルター面に当接しない。凸部の間に流出通路が残る。流出通路を通って、フィルタリングされた燃料が流出可能である。支持ボディは、フィルターハウジング内に存在する嵌込開口を通してフィルターハウジングに挿入されており、従って、中空円筒形の支持部は、環状のフィルター面の内壁面にわたって延在している。
【0004】
発明の開示
本発明に係る、請求項1の特徴部に記載の構成を有する弁は、フィルターリングのフィルター面全体が支持リングに接触していて、如何なるときにも機械的に低い剛性を有するフィルターリングの負荷どころか変形も生じない、という利点を有する。汚染物の通流の可能性を伴うフィルター面の破れひいては弁の故障は、確実に阻止される。本発明による、予荷重を掛けられた支持リングを有するフィルターは、製造技術的に煩雑な支持ボディを有するフィルターに対して、弁ボディ又はフィルターハウジングに、著しくより低コストに仕上げることができる。
【0005】
他の請求項に記載された構成手段により、請求項1に記載された弁の好適な別の態様及び改良態様が得られる。
【0006】
本発明の好適な態様によれば、支持リングの外径がフィルターリングの内径よりも僅かに大きいことにより、支持リングの半径方向の予荷重が簡単に得られる。組込位置で、支持リングは、拡開して、半径方向にフィルターリングに押し付けられる。択一的に、支持リングに、縦方向に連続的な軸方向ギャップを設けて、支持リングを、組込位置での軸方向ギャップの拡張により、周方向に締め付けることもできる。
【0007】
本発明の好適な態様によれば、支持リングに設けられた貫通孔の孔横断面は、フィルターリングに設けられたフィルター孔の孔サイズよりも著しく大きい。支持リングの大きな孔横断面により、支持リングに接触しているフィルターリングの有効フィルター面は僅かしか縮小されない。
【0008】
本発明の好適な態様によれば、フィルターリングは、目の細かい濾布から成っており、支持リングは、目の粗い金属布又は孔付の金属薄板スリーブもしくはプラスチックスリーブから成っている。そのような金属布又はそのような孔付きスリーブは、堆積により目の細かい濾布が部分的に閉塞する場合のフィルターの負荷にも耐えるために、十分に高い機械的強度を有する。
【0009】
本発明の好適な態様によれば、フィルターは、軸方向に相互に間隔を置いた2つのエンドリングと、エンドリングを相互に結合する、周方向で相互に間隔を置いた複数の軸方向ウェブとを有する、フィルターリングを包囲する硬いケージを備え、フィルターリングは、ケージの内側に固定されている。好適には、ケージは、外側から片側でフィルターリングに射出成形されたプラスチックから製作されている。フィルターのこのようなコンセプトでは、支持リングの少なくとも1つのリング端部に減径された端部区域が設けられていると好適である。この場合、好適には屈曲により得られる端部区域の内径は、弁の、配量開口に通じる少なくとも1つの供給孔を収容する弁ボディの外径よりも、幾分か小さく寸法設定されており、弁ボディ上に、フィルターが、供給孔を覆うように配置されているので、少なくとも1つの端部区域が弁ボディに押し付けられている。弁ボディによる少なくとも1つの端部区域の締付を介して、支持リングは、フィルターリングの濾布の半径方向の締付力を形成する。フィルターを半径方向外側から内向きに通流する媒体によるフィルター面の圧力負荷もしくは撓みに際して、フィルターリングに密接する支持リングは、フィルターリングの、僅かしか加圧可能でない機械的に敏感なフィルター面を遊びなく支持している。支持リング及びケージの軸方向長さは、少なくとも1つの端部区域がケージのエンドリングの領域に位置するように、相互に調整されている。
【0010】
本発明の好適な態様によれば、ケージの軸方向ウェブのうちの1つは、縦リブを備え、支持リングは、リング軸線に対して平行に延在する軸方向ギャップを有し、この軸方向ギャップに縦リブが突入している。ケージの縦リブ及び支持リングの軸方向ギャップにより、フィルター内の支持リングの回動が阻止される。追加的に、軸方向ギャップを画定するリング辺が縦リブの、相互に反対側を向いた側辺に摩擦力接続式に支持されることにより、支持リングの前述の周方向の締付力を支持リングの拡開により形成するために、軸方向ギャップ及び縦リブを利用することができる。
【0011】
本発明の好適な態様によれば、孔付きの金属薄板スリーブ又はプラスチックスリーブから成る支持リングは、圧延加工又は曲げ加工により孔付きの板から製作されている。スリーブの、相互に向き合う縦辺は、軸方向ギャップを形成しながら相互に間隔を置いて対向するか、相互に突き合わされて相互に溶接されている。スリーブ端部の重畳も考えられ、この場合、支持リングは、重畳領域で溶接されている。
【0012】
択一的な態様では、支持リングは、ワイヤから製作されている。ワイヤは、蛇行状に支持リングの軸方向幅にわたって延在する蛇行幅を有して曲げられ、リング状にロール加工されるか曲げ加工される。好適には、ワイヤ端部により形成された、相互に向き合う外側の両方の蛇行体枝端部が相互に溶接されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】媒体流に配置されたフィルターを有する、流動性の媒体を配量する弁の縦方向部分断面図である。
図2図1に示した弁に設けられるフィルターの側面図である。
図3図2の矢印III方向にみたフィルターの端面図である。
図4図3のIV−IV線に沿ったフィルターの断面図である。
図5図4のV−V線に沿ったフィルターの断面図である。
図6図3のVI−VI線に沿ったフィルターの断面図である。
図7】フィルター、及び弁の、フィルターを支持する弁ボディの、図1の部分VIIの拡大詳細図である。
図8】第1の変化態様における、図6と同様のフィルターの断面図である。
図9】第3の態様による、図3のVI−VI線に沿った支持リングの断面図である。
図10】第4の態様による支持リングの、図9と同様の断面図である。
図11】第5の態様による支持リングの、図9と同様の断面図である。
図12】第6の態様による支持リングの正面図である。
図13】第7の態様による支持リングの斜視図である。
図14】第8の態様による支持リングの展開図である。
【0014】
図1に縦断面図で示された、流動性の媒体、特に液体を配量する弁は、例えば内燃機関の燃焼シリンダに燃料を噴射する弁として使用される。図1には、噴射弁の噴射側の端部の縦断面図が示されている。完全な弁は、例えば独国特許出願公開第102009026532号明細書に図示され、記載されている。
【0015】
弁は、媒体、つまり液体又は燃料用の流入部11と、媒体用の配量開口12とを備える。配量開口12を介して、弁部材又は弁ニードル13により、その時における媒体の配量が制御される。流入部と配量開口12との間に形成される媒体流に、媒体に含まれる粒子を留め置くためのフィルター14が配量開口12の手前に配置されており、この場合、フィルター14は、配量開口12に通じる少なくとも1つの供給孔24を覆っている。配量開口12は、中空のノズルボディ15に形成されており、ノズルボディ15は、中空の弁ボディ16に同軸に装着されている。弁ボディ16は、弁ハウジング17から部分的に突出するように、弁ハウジング17に収容されている。ノズルボディ15及び弁ボディ16は、配量開口12に前置された弁室18を取り囲んでいる。弁室18を、弁ニードル13が同軸に貫通している。弁ニードル13は、配量開口から遠い方の端部で、媒体が密閉されるように弁室18から突出しており、弁ニードル13に、本態様では、アクチュエータ19が作用する。アクチュエータ19は、好適には圧電式のアクチュエータ19であり、弁ニードル13に作用する弁閉鎖ばね25と協働する。閉鎖ばね25は、軸方向に移動可能な弁ニードル13を駆動し、往復運動させる。弁ニードル13は、アクチュエータから遠い方の端部で、閉鎖ヘッド131を備えている。閉鎖ヘッド131は、配量開口12を開閉するための、ノズルボディ15に形成された、配量開口12を包囲する弁座20と協働する。アクチュエータ19は、弁ハウジング17内で同心に固定された管21に収容されており、この場合、管21と弁ハウジング17との間に、流入部11に接続しているリングギャップ22が残存し、リングギャップ22は、弁ボディ16に形成されたリング溝23に通じている。リング溝23から、半径方向孔として弁ボディ16内に形成された少なくとも1つの供給孔24が、配量開口12に前置された弁室18に通じており、複数の供給孔24の場合、リング溝23は、全ての供給孔24を相互に接続している。従って、システム圧下にある媒体は、流入部11から、リングギャップ22と、リング溝23と、1つ又は複数の供給孔24とを介して、弁室18に流れる。閉鎖ヘッド131は、弁ニードル13と弁ボディ16との間に支持されている弁閉鎖ばね25により、弁座20に押し付けられており、アクチュエータ19の通電時に、弁閉鎖ばね25の力に抗して、弁座20から持ち上げられ、従って配量開口12を開放する。
【0016】
媒体流に配置されたフィルター14は、リング溝23ひいては供給孔24を完全に覆うように、弁ボディ16に被せ嵌められている。この位置で、フィルター14は、弁ボディ16に形成された半径方向肩部161と、弁ハウジング17に形成された半径方向肩部171との間に、軸方向移動不能に保持され、弁ハウジング17により、半径方向で弁ボディ16上に固定される。フィルター14は、多数の微細なフィルター孔を有するフィルターリング26を備え、フィルター14の記載の位置で、流入部11に面する外側の流入側と、配量開口12に面する内側の流出側とを備えている。この場合、機械的にあまり硬くない、つまり小さな剛性を有するフィルターリング26を機械的に安定させるために、その流出側に、フィルターリング26を支持する支持ボディが設けられている。図2図6に示された、フィルター14の様々な方向図及び断面図から看取されるように、支持ボディは、多数の貫通孔を有する半径方向で弾性的な支持リング28として構成されており、支持リング28は、半径方向の予荷重を掛けてフィルターリング26に当接する。このために、支持リング28の外径は、予荷重を形成する程度だけフィルターリング26の内径よりも大きくされている。支持リング28に設けられた貫通孔の孔横断面は、フィルターリング26に設けられたフィルター孔の孔サイズよりも何倍も大きい。図1図7に示されたフィルター14、図8に示されたフィルター並びに図9図11に示された支持リング28を有する別のフィルター14では、各フィルターリング26は、目の細かい濾布から製作されていて、支持リング28は、目の粗い金属布から製作されている。図面を判りやすくするために、記載の図面では、目の粗い金属布は、図10にだけ表示されている。択一的に、図12において平面図で、図13において斜視図で表されているように、支持リング28は、孔付きの金属薄板スリーブ又はプラスチックスリーブから成っていてもよい。支持リング28に設けられた貫通孔は、図13において符号34で表されている。そのような支持リング28は、例えば圧延加工又は曲げ加工により、それぞれ平行の2つの長辺及び短辺を有する、孔付きの四角形の板から製作されている。図13では、両短辺は、軸方向ギャップ31を維持しながら間隔を置いて相互に対向しており、図12では、両板端部は重畳し合い、相互に溶接されている。ここでは図示されていないが、両短辺は、相互に突き合わして、突き合わせ箇所に沿って相互に溶接してもよい。
【0017】
フィルターリング26は、図2の側面図、図3の平面図及び図4図6の様々な断面図から看取されるように、側方のケージ29に収容されている。ケージ29は、軸方向に相互に間隔を置いたエンドリング291,292と、両エンドリング291,292を相互に結合する複数の軸方向ウェブ293とを備え、軸方向ウェブ293は、周方向に相互に間隔を置いて位置する。エンドリング291は、半径方向内向きに突入するカラー291aを備え、カラー291aを介して、ケージ29は、半径方向の押圧力を伴って弁ボディ16に被せ嵌められており、これに対してエンドリング292の端面は、半径方向のシール面として、弁ボディ16の半径方向肩部161に押圧されている。フィルターリング26は、ケージ29の内面に固定されている。好適には、ケージ29は、プラスチックから製造されており、このプラスチックは、目の細かい濾布から成るフィルターリング26の外側に片側で射出成形されている。
【0018】
図4図6及び図7による断面図において看取されるように、支持リング28は、両端部に、減径されたそれぞれ1つの端部区域281もしくは282を備える。好適には屈曲により実施される減径は、端部区域281,282の内径が弁ボディ16上のフィルター装着領域で弁ボディ16の外径よりも僅かに小さくなるように行われるので、フィルター14を弁ボディ16に被せ嵌める際に、端部区域281,282は、弁ボディ16上で締め付けられる(図7)。この弁ボディ16上の締付を介して、フィルターリングの濾布の半径方向の締付力が形成される。外側から内側へフィルター11を通流する媒体による濾布の圧力負荷もしくは撓みに際して、フィルターリング26の中央領域でフィルターリング26に密に当接する支持リングは、機械的に僅かに負荷可能な目の細かい濾布を確実に支持する。支持リング28の軸方向の長さは、ケージ29の軸方向長さに合わせて調整されており、端部区域281,282は、それぞれエンドリング291,292の領域に位置する。
【0019】
フィルター14の内側で支持リング28の捻れを防止するために、ケージ29の軸方向ウェブ293の1つに縦リブ30が設けられており、縦リブ30は、軸方向ウェブ293の内側で軸方向ウェブ293の少なくとも一部にわたって延在しており、支持リング28は、リング軸線に対して平行にリング幅全体にわたって延在する軸方向ギャップ31を備え、軸方向ギャップ31に、縦リブが突入している(図3図5及び図6)。縦リブ30は、支持リング28を周方向で締め付けるためにも用いることができる。この場合、図8に示すように、支持リング28における軸方向ギャップ31は、縦リブ30の周方向でみた幅よりも僅かに狭くなっている。支持リング28をケージ29に差し込んだ後の組付け位置で、支持リング28の、軸方向ギャップ31を画定する両軸方向辺は、支持リング28の半径方向の拡張下で、摩擦力接続式に、縦リブ30の、互いに反対側を向いた側辺に支持されている。そのような場合、支持リング28の、目の粗い金属布をより強く可撓性に構成することが好適であり、このことは、例えば布の糸の斜交いの配置により達成することができる。
【0020】
図9図11には、支持リング28の別の択一的な態様が示されている。図9において図3のVI−VI線に沿った断面図で示された支持リング28は、減径された1つの端部区域281しか備えていない。図10に同様に図3のVI−VI線に沿った断面図で示された支持リング28は、減径された端部区域が完全に省略されている。図9による支持リング28並びに図10による支持リング28は、図2図7によるフィルター14及び図8によるフィルター14に設けられた支持リング28のように、リング幅全体わたって、リング軸線に対して平行に延在する軸方向ギャップ31を備える。これに対して図11による支持リング28は、軸方向のリングギャップにわたってリング軸線に対して鋭角を成して延在する傾斜ギャップ32を備え、これに対して図12による支持リング28は、完全に閉じられていて、つまり軸方向ギャップを有しない。図11及び図12による支持リング28の使用では、フィルターリング26に結合されるケージ29は、縦リブを有しない。
【0021】
支持リング28の別の態様では、支持リング28は、ワイヤ33から製作されている。このワイヤ33は、蛇行状(メアンダ状)に、支持リング28の軸方向幅にわたって延在する蛇行幅で曲げられている。図14において、支持リング28は展開して示されている。フィルターリング26に相応に適合された外径を有する支持リング28に、蛇行状に曲げられたワイヤ33の湾曲加工、ロール加工又は曲げ加工の後で、ワイヤ端部から形成された外側の両蛇行体枝部331,332は、相互に平行に位置し、好適に相互に溶接されている。外側の両蛇行体枝端部331,332の間に、軸方向ギャップを設けてもよい。図9図13による別の支持リング28と同様に、この支持リング28も、ケージ29により保持されるフィルターリング26の内側に嵌め込まれ、半径方向でそのフィルター面に押し付けられる。
図1
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図14