(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6116622
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
C21C 7/04 20060101AFI20170410BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20170410BHJP
F27D 3/18 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
C21C7/04 P
C21C7/04 B
F27D7/02 A
F27D3/18
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-137350(P2015-137350)
(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公開番号】特開2017-20064(P2017-20064A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2015年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(74)【代理人】
【識別番号】509338259
【氏名又は名称】木村 絹代
(72)【発明者】
【氏名】黄 文 星
(72)【発明者】
【氏名】張 健
(72)【発明者】
【氏名】張 承 乾
(72)【発明者】
【氏名】曾 馨 瑩
(72)【発明者】
【氏名】蘇 彦 豪
(72)【発明者】
【氏名】陸 木 榮
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−247015(JP,A)
【文献】
特開昭52−040405(JP,A)
【文献】
特開2000−119731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 7/00−7/04
F27D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純マグネシウム顆粒を添加する装置と、管状炉とから構成された高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する装置を用いる高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法であって、
純マグネシウム顆粒を添加する装置の下端部が、管状炉内に設置され、鋼が充填されたるつぼの上方に結合され、
純マグネシウム顆粒を添加する装置が、その最上部に設置された貯留タンクと、貯留タンクに緊密に結合された中空管状の輸送管を形成させた本体と、輸送管の側部に備えられたアルゴンガス供給用三方管と、管状炉下部へのアルゴンガス供給管路と、貯留タンクと輸送管との間に設置され、貯留タンクに充填された純マグネシウム顆粒の添加速度の調整を行う制御弁と、輸送管に内設された嵌合管と、
を少なくとも備えてなるものであり、該純マグネシウム顆粒を溶鋼に添加する装置において、
アルゴンガスを供給管路から導入し、管状炉内の酸素濃度を低下させた状態とし、貯留タンクに純マグネシウム顆粒を充填した後、三方管からアルゴンガスを導入し、純マグネシウム顆粒を添加する装置の下端部の温度が、るつぼ内の鋼の溶融可能な設定温度まで上昇した条件下で、貯留タンクから純マグネシウム顆粒を輸送管を介して嵌合管に送り、純マグネシウム顆粒を気化させることにより得られた純マグネシウム蒸気を、三方管から導入されたアルゴンガスを担体として溶鋼に接触させる
ことを特徴とする高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法。
【請求項2】
前記アルゴンガス供給管路からアルゴンガスが、1〜2L/minの流量で導入され管状炉内の酸素濃度を低下させることを特徴とする、請求項1に記載の高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法。
【請求項3】
アルゴンガスを0.2〜0.5L/minで導入することにより前記純マグネシウム蒸気を溶鋼に添加させることを特徴とする、請求項1に記載の高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法。
【請求項4】
前記純マグネシウム顆粒の粒径は0.5〜2mmであることを特徴とする、請求項1に記載の高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法。
【請求項5】
純マグネシウム顆粒を添加する装置と、管状炉とから構成される高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する装置であって、
純マグネシウム顆粒を添加する装置の下端部が、管状炉内に設置され、鋼が充填されるるつぼの上方に結合され、
純マグネシウム顆粒を添加する装置は、密閉容器であり、
最上端に設置される貯留タンクと、
貯留タンクに緊密に結合された中空の管状である輸送管を形成させる本体と、
輸送管の側部に備えたアルゴンガス供給用三方管と、
管状炉下部へのアルゴンガス供給用管路と、
貯留タンクと輸送管との間に設置され、貯留タンクに充填された純マグネシウム顆粒の添加速度の調整を行う制御弁と、
輸送管に内設され、密閉状態であり、底部に複数の気孔が開設される嵌合管と
を備えてなることを特徴とする高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する装置。
【請求項6】
前記嵌合管の底部には、孔径が純マグネシウム顆粒より小さい複数の気孔が開設されることを特徴とする請求項5に記載の高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム顆粒を添加する装置が設置されると共にそれが管状炉内に納入され、温度が設定温度に達すると、マグネシウム金属がマグネシウム蒸気を形成させ、溶鋼に添加される。
【背景技術】
【0002】
製鋼は酸化製錬工程であり、即ち、溶鋼に酸素を吹き入れ、銑鉄の過量の元素(C、Si、Mn)及び不純物(S、P)を除去し、鋼種の性能を限界まで高める。酸素を注入して製鋼することで、製鋼の最終段階で溶鋼の酸素含有量が最大で0.1%に達する。然しながら、酸素は固体の鋼には極めて溶解しにくいため(例えば、δ‐Fe中には最大で0.0082%溶解する)、これら過量の酸素は凝固の過程においてFeO或いは他の酸化物形態によって析出させ、これにより鋼の使用性能が低下する。故に、脱炭終了後に溶鋼中の酸素を除去する必要がある。溶解する遊離酸素[O]
D及び含有物中の酸素[O]
Lを含む鋼中の酸素を除去する場合、溶鋼に酸素除去剤(例えば、マンガン、ケイ素、チタン、アルミニウム、マグネシウム等)を添加し、鋼中の遊離酸素を酸化物介在物(inclusion)まで転移させ、浮上させて除去し、鋼中の酸素含有量を低減させる目的を達成させる。鋼中の酸素含有量の水準は鋼中の介在物の数量の水準を間接的に反映しており、常用される鋼中の総酸素T[O]は溶鋼の清浄度を示す。
【0003】
鋼中の総酸素量T[O]及び製品の品質には密接な関係がある。典型的な鋼種の酸素含有量に対する要求は
図1に示す。このように、鋼中の酸素含有量を如何に低減し、鋼の清浄度を如何に高め、酸素生成物を如何に有効的に除去するかに冶金業者が関心を寄せている。なお、酸素除去能力の違いにより、酸素を除去する合金は弱酸素除去剤(Mn、Si、Ti等の脱酸剤)及び強酸素除去剤(Al、Mg等)に分けられる。初期の鋼鉄製造においてはケイ素、マンガンが脱酸剤として使用され、Si及びMnと平衡する酸素含有量が高いため、鋼中の酸素含有量を極めて低水準まで除去する。大部分の鋼鉄企業はAlを最終脱酸剤として採用している。研究によりば、鋼中に溶解するアルミニウムの含有量が0.03%‐0.05%の場合、鋼中の平均酸素含有量は3ppm以下まで低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第CN102191356B号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第CN101724774B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の技術では、アルミニウムの脱酸後に鋼中に残留する房状のAl
2O
3含有物が鋼の塑性、靭性、耐久性、防蝕能力を大幅に低下させる。特に、鋼基材の連続性が破壊され、静荷重及び動荷重の作用により材料が失効し、鋼材の歩留り及び製造品質が低下する。また、溶鋼注入過程では、Al
2O
3含有物により注入口が詰まりやすく、注入が中断する等の事故に繋がる。
【0006】
マグネシウム元素は強い化学活性を有し、溶鋼中のMgは非金属元素に対する強い親和性を有する。1970年代早期には、Mori氏等がマグネシウム蒸気が溶鋼に対して酸素を除去する可能性を指摘しており、マグネシウムを脱酸剤として利用し、1873 K時の[%Mg][%O]<1.0×10‐6を獲得する。Saxena氏等がマグネシウムを用いて製鋼剤を作製する可能性を研究し、鋼中に極小の拡散分布されるスピネル型(spinel)酸化物が形成されることを発見した。スピネルは鋼の耐久性能及び他の性能に損害を与えない。
【0007】
(Tateyama氏等はマグネシウム心線(cored wire)(Mg、MgO、CaF2)を採用して低炭素鋼によりアルゴンガスで保護された反応炉内でマグネシウムによる酸素の除去及び脱硫実験を行った。)マグネシウムの加入量は15%より小さく、5分後に溶鋼中のT[O]が9ppmまで低下し、[S]が3ppmまで低下した。静止した状態で10分間放置した後にも溶鋼中のT[O]及び[S]が回復することがなく、それぞれ11ppm及び3ppmの水準を保持させた。このため、Mg及び溶鋼中のSとOとは強烈な親和性を有し、且つ溶鋼の成分を変化させず、理想的な酸素除去及び脱硫剤である。このほか、近年酸化物冶金技術の発展により、Mgにより溶鋼を処理して高い融点の、極小の拡散するマグネシウムを含有する介在物の微細化結晶を獲得可能になったが、溶鋼中にMgが添加される際に発生する問題が焦点となっている。
【0008】
事実上、鋼鉄の製造過程では、ガス噴射法により鈍化されたマグネシウム(passivation magnesium)顆粒を噴射して溶銑(hot metal)に入れ、溶銑の脱硫の目的を達成させる。類似の方法を採用して、マグネシウムを溶鋼に注入してノジュラー鋳鉄(nodular cast iron)を製造する。
図2に示すように、Mg及びAlの蒸気圧と温度の関係は、
図2の製鋼温度が(1600℃)の Mgは非常に高い蒸気圧を有し(蒸気圧はアルミニウムの200倍)、溶鋼温度(1600℃)が溶銑温度(1300‐1400℃)よりもずっと高いことは明白である。鈍化されたマグネシウム顆粒を噴射する方法は溶鋼のマグネシウム処理過程に直接応用できない。このため、マグネシウムを実際の製鋼過程に使用するのは大きく制限されている。よって、如何に安全で有効的な方式でマグネシウムを溶鋼に加えるかが、溶鋼のマグネシウム処理の冶金技術の重要な問題の1つである。
【0009】
現在通常では、マグネシウムを溶鋼に加える方法には注入法、射出法(cored wire method)、圧入法(plunging method)等が採用され、加えられる合金の種類は希土類マグネシウム合金、高マグネシウム合金、鈍化されたマグネシウム顆粒等である。例えば、特許文献1及び特許文献2に鋳塊鋳型(ingot mold)の底部にNiMg合金を均一に敷設してマグネシウムを添加する方法と記載されている。添加されるNiMg合金中のMg含有量の範囲は5‐50%である。前記の方法で溶鋼中に金属Niを添加すると、本来の溶鋼の化学成分を破壊し、製造コストが増加することは明白である。また、前記の方法を応用する場合、鋼中の酸素レベルを高水準まで調整させ、溶鋼の全酸素含有量を上昇させる必要がある。
【0010】
他の特殊な構造のマグネシウム二層構造糸では、前記マグネシウム二層構造糸を糸送給設備により溶鋼の深部まで送給する。マグネシウム二層構造糸が溶鋼の底部まで達すると、マグネシウムにMg(s)→Mg(l) →Mg(g)の発展過程が発生し、溶鋼とマグネシウム二層構造糸との間に大きな温度変化が生まれる。Mg(s)→Mg(g)の過程は非常に短時間で完成し、マグネシウムの気化過程では、非常に大きな圧力が発生するため、溶鋼が沸騰して事故に繋がった。さらには、アルミニウム熱還元法(Aluminothermic reduction)設備によるMg蒸気を利用し、アルゴンガスを担体としてマグネシウム蒸気を溶鋼に導入する。
【0011】
従来の様々なマグネシウムの溶鋼への添加方式はどれも瑕疵があり、理想的な方式ではない。本発明者はこれを鑑み、研究と改良を加え、また自身の専門知識と長年の実験の経験を重ね、幾度も試験を行って修正と改良を加えて、本発明が誕生するに至った。
【0012】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0013】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明の目的は、高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る高蒸気圧のマグネシウムを溶鋼に添加する方法は、前記装置はマグネシウムの添加装置であり、密閉される貯留タンクと、制御弁と、輸送管組とを備える。マグネシウム顆粒を添加する装置が管状炉内に納入されることで、粒径が0.5〜2mmの純マグネシウム顆粒が貯留タンク内に填入される。純マグネシウム顆粒の粒径が0.5mmより小さい場合、マグネシウム顆粒が輸送管組内の嵌合管を通過して溶鋼に接触し、粒径が2mmより大きい場合、マグネシウム顆粒が制御弁を通過して輸送管に進入することができない。輸送管の下部の温度が1120℃‐1200℃まで上昇すると、制御弁を開いて適度な添加速度で純マグネシウム顆粒を管に添加し、この際にアルゴンガス調節弁を開く。アルゴンガスの流量が0.2 L/minより低い場合、溶鋼の底部に形成されたマグネシウムを含むアルゴンガスバブルが大きくなり過ぎ、アルゴンガスバブル中のマグネシウム質が溶鋼に移りる。アルゴンガスの流量が0.5L/minより大きい場合、或いは溶鋼の表面のマグネシウムの蒸気圧が低過ぎる場合、マグネシウムの取得率が低下する。このため、0.2‐0.5 L/minの流量でアルゴンガスを注入することで、高速且つ安全に輸送管中のマグネシウム蒸気を溶鋼内に添加できる。
【0015】
金属マグネシウム及び鋼中の酸素及び硫黄は極めて強い親和性を有し、非常に高い脱酸及び脱硫効果がある。また、生成されたMgO及びMgS介在物は極小で、粒径の分布が均一である等の長所を備える。マグネシウムを製鋼過程の一次脱酸元素として利用し、或いは二次脱酸脱硫元素として利用し、鋼中の総酸素含有量及び硫黄含有量を極低水準まで低下させる。アルミニウムやチタン等を一次脱酸後の改質剤として使用し、鋼中の大型の酸化アルミニウム及びチタンの酸化物介在物を極小のマグナリウムやマグネシウムチタン複合介在物に改質する。これは基礎的な酸化物冶金技術の応用である。
【0016】
しかしながら、金属マグネシウムの融点及び沸点はそれぞれ670℃及び1100℃である。製鋼温度が(1600℃)の条件では、蒸気圧は20‐25気圧に達し、固体の金属マグネシウムを溶鋼に直接加えると、溶鋼が強烈に沸騰して爆発事故が起こり、また、マグネシウムの取得率も著しく低下した。このため、本発明の装置及び方法を利用して、安全且つ効率的な方式でマグネシウムを溶鋼に加えることが、溶鋼のマグネシウム処理の鍵となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により安全で安定的にマグネシウムを溶鋼に添加し、且つ他の合金元素を導入する必要がなく、製造コストが低下してマグネシウムの取得率が高まるほか、溶鋼中のマグネシウムの分布も非常に均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のスチールが酸素含有量に対する要求図である。
【
図2】従来のMgとAlの蒸気圧及び温度の関係図である。
【
図3】本発明のマグネシウム顆粒を添加する装置を示す断面図である。
【
図4】本発明のマグネシウム顆粒を添加する装置が管状炉に入れる概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、実用新案登録請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。
図3は本発明に係るマグネシウム顆粒を添加する装置の断面図である。前記マグネシウム顆粒を添加する装置1は主に、貯留タンク11と、制御弁12と、本体13とで構成される。前記本体13は輸送管131を有し、中空内部には嵌合管132が設置され、前記本体13は輸送管131であり、側壁には三方管133が設置されてアルゴンガスの注入に用いられる。輸送管131には嵌合管132が内設され、嵌合管132の底部は密閉されると共に複数の気孔1321が開設され、嵌合管132の底部には温度感知装置14が設置され、本体13の内壁には耐残滓浸食塗布層15が形成される。上述の各部材は共に緊密に連結されて空気が進入するのを防止する。
【0021】
次に、本発明に係るマグネシウム顆粒を添加する装置1は管状炉2の炉(furnace)20内に装設される(
図4参照)。マグネシウム顆粒を添加する装置1が管状炉2内に納入され、前記管状炉2内のマグネシウム顆粒を添加する装置1の上端及び下端はそれぞれ管路21に延伸されて連通され、且つそれぞれ異なる位置にバルブ211、バルブ212、及びバルブ213が設置される。バルブ211とバルブ213との間にはガス清浄器22が設置され、流量計23及び流量計230が設置される。最上端は送気導管24からバルブ213に連結され、マグネシウム顆粒を添加する装置1の内壁にはるつぼが設置されて溶鋼3を入れるために使用され、管状炉2の外壁には温度感知装置4が設置される。
【0022】
製鋼温度が1600℃の条件で、如何に安全に且つ高い取得率でマグネシウムを溶鋼に添加するかが、本発明の核心である。
図3及び
図4に示すように、本発明を実際に使用する場合、先ずバルブ211、バルブ212、及びバルブ213を開き、その後バルブ212を調節して流量計230の流量範囲を1‐2 L/minの流量にし、アルゴンガスを10分間注入し、管状炉2内の酸素を最低まで分圧する。続いて、粒径が0.5〜2minの純マグネシウム顆粒を貯留タンク11内に填入し、バルブ213を調節して流量計23の流量範囲を0.5〜1L/minの流量にしてアルゴンガスを5分間注入した後、バルブ213を閉める。そして、通電して管状炉2のるつぼ16内の鋼を1600℃まで加熱した後、るつぼ16内の鋼が完全に溶融し、溶鋼3の温度がさらに均一化される。
【0023】
この際、マグネシウム顆粒を添加する装置1を管状炉2のるつぼ16の上方に設置させ、温度感知装置14が感知した温度の範囲が1120℃‐1200℃の範囲内であり、且つ前記範囲内に恒常的に留まる場合、制御弁12を開いて一定の速度でマグネシウム顆粒を加え、貯留タンク11中の純マグネシウム顆粒を嵌合管132内に添加し、前記の温度により純マグネシウム顆粒が気化してマグネシウム蒸気が形成される。この際、バルブ213を開いて、0.2〜0.5L/minの流量でアルゴンガスを注入し、溶鋼にマグネシウムを添加する過程を完成させる。
【0024】
このように、本発明に係る溶鋼3に高蒸気圧のマグネシウムを添加する技術には、以下の長所があることが分かる。
(1)本発明は主に溶鋼3に純マグネシウムを添加するため、他の元素を導入して溶鋼3の成分が複雑になることがない。
(2)本発明の特徴は、マグネシウム金属が蒸気化した後にアルゴンガスを担体として利用し、溶鋼3に添加することで、固体のマグネシウム顆粒が液体の溶鋼に直接接触して爆発が発生する危険性を回避させる。
(3)本発明の実施過程では、全工程でアルゴンガスを保護ガスとして採用し、マグネシウムが空気に接触して酸化するのを防ぐ。
(4)本発明の重点は、管状炉2の炉(furnace)20内の温度範囲を1120℃‐1200℃にしてマグネシウムの気化過程を達成させ、マグネシウムを加熱して気化させるための加熱装置が不要になる。
(5)本発明では、1120℃‐1200℃の温度範囲内で固体のマグネシウムを気化させ、前記温度範囲内のマグネシウムの蒸気圧は4気圧になる。
(6)本発明の嵌合管14の部分は、前記嵌合管14は耐高温のステンレス材質であり、故にマグネシウムの気化過程で輸送管13が破裂しない。
(7)本発明では、溶鋼3にマグネシウムを添加する場合、アルゴンガスを担体として、溶鋼3の成分を均一にすることで、管状炉2での添加過程でマグネシウム成分が溶鋼3に不均一に分布されないようにする。
(8)本発明では、溶鋼3にマグネシウムを添加する場合、マグネシウムの回収率が高くなる。
(9)本発明では、貯留タンク11から嵌合管14に加えるマグネシウムの量、及びマグネシウムを加える時間を制御することで鋼中のマグネシウムの含有量を精確に制御させる。
【0025】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0026】
1 マグネシウム顆粒を添加する装置
11 貯留タンク
12 制御弁
13 本体
131 輸送管
132 嵌合管
1321 気孔
133 三方管
14 温度感知装置
15 耐残滓浸食塗布層
16 るつぼ
2 管状炉
20 炉
21 管路
211 バルブ
212 バルブ
213 バルブ
22 ガス清浄器
23 流量計
230 流量計
24 送気導管
3 溶鋼
4 温度感知装置